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2023年4月28日金曜日

米国ルイジアナ州のタンクターミナルで原油タンクが火災

  今回は、202343日(月)、米国ルイジアナ州セントチャールズ郡セントローズにあるインターナショナル-マテックス・ タンクターミナル社の石油貯蔵施設において原油タンクで起こった火災事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国ルイジアナ州(Louisiana)セントチャールズ郡(St. Charles Parish)のセントローズ(St. Rose)にあるインターナショナル-マテックス・ タンクターミナル社(International-Matex Tank Terminal)の石油・ケミカルの貯蔵施設である。施設の総容量は1,630万バレル(259KL)で、207基の貯蔵タンクがある。

■ 事故があったのは、川沿いにある石油・ケミカルの貯蔵施設の原油用の貯蔵タンクである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 202343日(月)の午後2時頃、インターナショナル-マテックス・ タンクターミナル社の貯蔵施設でタンク火災が発生した。タンクからは炎が見え、黒煙が空に流れた。

■ 発災に伴い、自衛消防隊と公設消防隊が出動した。出動した消防士は24名以上で、現場で消火活動を行った。

■ 事故に伴い、請負業者の社員2名が負傷し、病院へ搬送された。

■ 事故は容量250,000 バレル(40,000KL)の原油タンクで起こったが、タンクはカラにされた後の残留物しか入っていなかったといわれ、保全作業中だった。

■ 安全対策上、近くを通っている鉄道が閉鎖された。

■ 当局は、火災からの煙は大気中の低い位置を樹木が茂った地域に向かって流れており、一般市民への脅威にはなっていないようだといい、市民の避難は必要ないと語った。 当局は、煙が州間高速道路 310号線に向かう可能性を監視しており、必要であれば、閉鎖すると述べた。

■ 43日(月)の午後8時時点で、消防隊はまだ活発な火災スポット2か所と戦っていた。現場は、消防隊が支援で要請していた12 インチの泡放射装置が到着したところだった。火災から敷地外に吹き出す煙は北東から真北の方向に移っていた。近くの貯蔵タンクは延焼を防ぐために冷却されており、消火に使用された水の流出を敷地内で食い止めていた。

■ インターナショナル-マテックス・ タンクターミナル社は施設付近の空気の質を監視しており、敷地外への影響はないとみているという。

■ インターナショナル-マテックス・ タンク ターミナル社は出火原因を調べているという。

被 害

■ 容量250,000バレル(40,000KL)の原油タンクが焼損した。内部に残量していた油が焼失した。

■ 消火水の廃液が発生したが、構内に留まり、構外への影響は報告されていない。

■ 黒煙などで環境汚染が発生した。住民への影響は報告されていない。

< 事故の原因 >

■ 火災と人身災害の原因は調査中である。保全工事に要因があるとみられる。 

< 対 応 >

■ 43日(月)の午後8時時点で火災は消火されていない。消防隊が支援で要請していた12 インチの泡放射装置が到着したので、その後、制圧されたものとみられる。

補 足

■「ルイジアナ州」(Louisiana)は、米国の南部にあり、テキサス州に隣接し、人口約465万人の州である。州都はバトンルージュで、最大の都市はニューオーリンズである。ルイジアナ州は石油と天然ガスの資源が豊富である。

「セントチャールズ郡」(St. Charles Parish)は、ルイジアナ州の南部に位置し、人口約52,000人の郡である。

「セントローズ」(St. Rose)は、セントチャールズ郡にある人口約7,500人の町で、ニューオーリンズ大都市圏の一部である。

 ルイジアナ州では、つぎのような事故や対応事例がある。

 ●198912月、「米国バトンルージュの貯蔵タンク複数火災における消火活動」

 ●20129月、「米国ルイジアナ州の製油所でハリケーン襲来後に油漏出」

 ●20131月、「米国ルイジアナ州でクリスマスに落雷によるタンク火災」

 ●20163月、「米国ルイジアナ州における消防活動の相互応援の歩み」

 ●20188月、「米国ルイジアナ州の油井用タンク施設で落雷による火災」

 ●20192月、「米国ルイジアナ州で天然ガス施設の炭化水素用タンクが爆発・火災」

 ●20196月、「米国ルイジアナ州の油井用タンク施設で消火活動中にタンク噴き飛ぶ」

 ●201910月、「ルイジアナ州ミシシッピー川沿いの製油所で油漏洩、野鳥に被害」

 ●20204月、「米国ルイジアナ州の原油生産施設でタンクに落雷して火災」

■「インターナショナル-マテックス・ タンクターミナル社」(International-Matex Tank Terminal LLC IMTT) は、1939年に設立されたエネルギー会社で16の貯蔵ターミナル施設を所有・運営している。石油製品、植物油、再生可能燃料、アルコール、メタノールなどのケミカル類を取り扱い、北米で事業を展開している。

「セントローズ・タンクターミナル」は207基の貯蔵タンクを有し、施設の総容量は1,630万バレル(259KL)である。

■「発災タンク」は原油用で容量250,000バレル(40,000KL)と報じられているが、そのほかの仕様は分かっていない。グーグルマップと被災写真をもとに調べると、鉄道が通っている近くに発災タンクとみられるタンクがある。屋根付きで屋根外周の周囲に20個ほどの特別通気口が設置されているので、内部浮き屋根式タンクと思われる。このタンクの直径は約65mであるので、高さは約12mとなる。

所 感

■ 今回の火災と人身事故の原因はタンクの保全工事に関わる要因だと思われる。 米国CSB(化学物質安全性委員会)がまとめた「タンク内外の火気工事における人身事故を防ぐ7つの教訓」10年以上前に公表されたものだが、この教訓が活かされていないと思われる。代替方法の検討、危険度の分析、作業モニタリング、作業エリアのテスト、着工許可の発行、徹底した訓練、請負者への監督 の7つのうちのいくつかが不徹底のために事故が起こったのであろう。

■ タンクの火災状況の写真によると、側板が内側に座屈しているように見える。このような座屈は火災が長時間続き、側板が炎に曝露され続けるために内側に座屈するのであるが、今回のタンクは残留液しか入っていなかったといわれており、このような条件に当てはまらない。タンク内が原油のベーパーで充満し、何らかの引火源によって爆発が起こり、屋根がタンク内に落下して側板が引きずられて内側に座屈したのかも知れない。しかし、考え難い推測であり、別な要因があるのかも知れない。

■ 火炎の勢いは大した状態ではないように見えるが、火災は6時間を経過した午後8時にも消火できておらず、消火活動は難航している。タンクはカラにされた後の残留物しか入っていなかったといわれているが、タンク内からの油の抜き出しが不十分で、結構な量の油が残っていたものと思われる。全面火災ではないが、屋根が障害物になり、的確な泡放射ができず、保有の泡放射装置では対応できず、もっと大容量の泡放射装置を要請したものとみられる。しかし、直径65mのタンクの全面火災では、放射能力40,000リットル/分の大容量泡放射装置が必要であり、内部浮き屋根式タンクという認識で事業所としての事前準備に課題があったと思われる。 一方、ルイジアナ州では、「米国ルイジアナ州における消防活動の相互応援の歩み」のように消防資機材の応援体制が整っているともいえる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Powderbulksolids.com, 2 Injured in Chemical Storage Facility Fire in Louisiana, April 05, 2023

      Fox8live.com, 2 injured in fire at chemical storage facility in St. Rose, April 04, 2023

      Wwltv.com, Fire reported at IMTT chemical storage facility in St. Charles Parish, April 03, 2023

      Wdsu.com, Storage facility fire reported in St. Charles Parish, April 03, 2023

      Wgno.com, Homeland Security and Emergency Preparedness monitoring storage facility fire in St. Rose, April 03, 2023


後 記: 今回の事故について前回に続いてチャットGPTを使ってみました。ある面の限界が見えてきました。最新の事件は情報をもっていないと回答しています。正直ですね。

質 問: 202343日、米国ルイジアナ州セントチャールズ郡のセントローズにあるインターナショナル-マテックス・ タンクターミナル社でタンク火災がありましたが、なぜ、どのようにして起こったのでしょうか。

回 答; 申し訳ありませんが、あなたが参照している事件は、私が知る限り報告されていません。私は20219月までにトレーニングされたため、20234月に起こった出来事に関する情報を持っていない可能性があります。しかし、このような事件が発生した場合は、ニュースメディアや当局の声明などを確認することをお勧めします。

 

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