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2013年1月18日金曜日

米国ルイジアナ州でクリスマスに落雷によるタンク火災

 今回は、2012年12月25日のクリスマスの日に、米国ルイジアナ州ドゥソンにあるシェブロン・ガス井のタンクに落雷があり、火災となった事故について紹介します。
本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
  ・Klfy.com, Lightning Strike States Fire,  December 25, 2012 
  ・Katc.com,  Lightning to Blame for Gas Tank Explosion,  December 25, 2012
    ・TheAcdvertiser.com,  Acadiana Misses  Worst of Storms,  December 26, 2012

<事故の状況> 
■  2012年12月25日(火)午前7時過ぎ、米国ルイジアナ州ドゥソンにあるシェブロン・ガス井のタンクに落雷があり、火災となる事故があった。
          (写真はKlfy.comから引用)
■ 当時、大きな嵐が来る前兆で、雷雲が通過していた。12月25日午前7時23分に、ボランティア型のドゥソン消防署はキャメロン通り8900区にあるシェブロン・ガス井から煙が上がっているという通報を受け、状況を調査するため出動した。消防隊が現場に到着すると、よく油田現場で油の生産に使用される90バレル(14KL)の貯蔵タンクが火災を起こしているのを確認した。
■ このため、ラファエット消防署のハズマットHazMat)隊が支援のために出動要請された。ハズマット部隊は特別な泡剤を使用し、火災の制圧を支援した。ハズマット隊の別な隊員は、事故対応中、大気のモニタリングを実施した。生命を脅かすような問題はないことが確認されたので、避難の勧告は出されなかった。調査された結果、油の入ったタンクに直接雷が落ちて、火災に至ったことが明らかになった。
■ この事故に伴う負傷者はいなかった。環境浄化チームが呼ばれ、環境への影響が出ないよう、火災で生じた残留物が除去された。
■ ルイジアナ州のこの地区には、このあと、嵐が来襲して北部と東部には竜巻が発生し、少なくとも1人が亡くなるなど、最悪のクリスマスとなった。
写真はKlfy.comの動画から引用
写真はKlfy.comの動画から引用

補 足  
■  「ルイジアナ州」は、米国南部のメキシコ湾に面しており、州都はバトンルージュ、最大の都市はニューオリンズで、州人口は約457万人である。州は64の教区に分かれている。
 「ドゥソン」は、ルイジアナ州南部のアカディア教区とラファエット教区にまたがってあり、人口約1,600人の町である。
 「ラファエット」は、ルイジアナ州ラファエット教区にある都市で、人口は約12万人である。

■ 「ラファエット消防署のハズマット隊」(Lafayette Fire Department Hazardous Materials Response Team; LFDHMRT)は、ラファエット消防署に組織された危険性物質を取扱う特別なチームで、化学、生物、放射能および爆発混合物の事故の対応を行う。ハズマット隊の人員は32名であるが、2010年に新しく入った7名の消防士に危険性物質の取扱いに関する教育・訓練を行っているほか、署内には危険性物資に対応できる消防士は80名になっている。ハズマット隊はフォードF-550で牽引する長さ9mのトレーラーを保有している。トレーラー内には、危険性物質の様々な状況を処理するため、防護服、処理装置、資機材、計測機器などを装備している。
ラファエット消防署のハズマット隊 (写真はLafayette Fire Department WebSiteから引用

■ 今回のドゥソンの事故現場は「シェブロン・ガス井」(Chevron Gas Well)と報じられているが、石油メジャーのシェブロン社との関係は不明である。米国の地方に見られる原油または天然ガスの油井だと思われ、キャメロン通りから少し入った所にあり、小さな施設で、落雷のあったタンクの規模も小さい。
 発災前のドゥソンのタンク施設 (写真はグーグルマップから引用)      

所 感
■ 今回の事故は小型タンクではあるが、2基のタンクは完全に焼損し、1基は完全に座屈している状況である。しかし、油井用のタンクにおける落雷による火災で、米国では比較的発生頻度の高い事故であるため、報道も淡々として状況を伝えているという印象である
 米国(というよりキリスト教社会)では、クリスマスの日を大事にするが、20091224日クリスマスイブの日に、米国モンタナ州のコノコフィリップス社ビリングス製油所においてコーカー装置のタンクが火災を起こす事故があった。関係者落胆するだろうが、事故は日時や人の気持ちに関係なく起こるということである。
■ 今回の事故対応では、ハズマット(HazMat)隊が出動している。2012年10月23日、米国カリフォルニア州ロサンジェルス市街地で起こった油流出事故(当ブログ2012年11月に紹介)の所感で、「危険性物質の取扱いを熟知しているハズマット隊が出動している。日本では、生物・化学テロの対応を想定し、大都会の消防庁・局にしかハズマット隊を組織していない。しかし、最近、日本の石油化学コンビナートで起こる事故において消防機関の危険性物質の対応が適切でない事例が出ている。地方の消防機関、特に石油化学コンビナート地区を管轄する消防署でも、住民および消防士を守る上から、危険性物質(Hazardous Material)を専門とする人材を育成すべきである」と述べたが、今回のラファエット消防署は、人口約12万人の地方都市であるが、ハズマット隊を組織し、さらに教育・訓練を行い、人材の育成を行っている。他国とは言え、見習うべき点だと思う。

後記; 本情報をまとめているとき、アルジェリアの石油施設の建設現場で人質事件が発生したというニュースが報道されました。事故発生の第一報は不正確なものですが、今回は時間が経っても確かな情報が出てきません。そのうち、アルジェリア軍による救出作戦(制圧作戦?)がとられたという情報が出ましたが、ますます混乱しています。外遊している首相が人命第一に対応するというのも虚しく聞こえますね。










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