2017年8月10日木曜日

米国テキサス州で消防活動中にタンク噴き飛ぶ(2009年)

 今回は、2009年5月14日(木)、テキサス州ラボック郡ラミーサにあるマスルホワイト運送会社のタンク・ステーションの貯蔵タンクに落雷があり、火災となった後、消火活動中に別なタンクが爆発した事例を紹介します。
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国テキサス州(Texas)ラボック郡(Lubbock County)ラミーサ(Lamesa) にあるマスルホワイト運送会社(Musslewhite Trucking Company)のタンク・ステーションである。

■ 発災があったのは、マスルホワイト運送会社のタンク・ステーションにある貯蔵タンクである。タンク・ステーション構内には小型タンクが10基ほど設置されていた。
ラボック郡ラミーサにあるマスルホワイト運送会社のタンク・ステーション 
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2009年5月14日(木)、テキサス州ラボック郡のラミーサ地区は激しい天候に見舞われており、あちこちで落雷があった。
 
■ 5月14日(木)午後11時頃、マスルホワイト運送会社のタンク・ステーション内のウィチタ水処理式塩水浄化装置(Wichita Water LLC Saltwater Disposal Unit)のタンクに落雷があり、火災が発生した。黒煙は10キロ先からも見えた。

■ 発災に伴い、ボランティア型のラミーサ消防署とアンドリュース消防署の消防隊が出動し、消防車による消火活動が行われた。

■ 火災発生から約2時間後、タンク・ステーション構内に設置されていた貯蔵タンク群のうち、高さ約25フィート(7.5m)のタンク1基が爆発して噴き飛んだ。タンクの安全弁が開いて火を噴き出してから3秒後にタンクが空中へ飛び出した。この状況は真にロケットの発射のようだった。タンクから漏れた油に火がついて火災は大きなファイアボールを形成した。そして、その5秒後には、別のタンクの頂部が壊れて飛んだ。損壊した頂部は落下すると、地面を約10秒ほど転がった。

■ 火災は、9時間以上続いたのち、消えた。

■ この爆発を伴った火災の消火活動に従事していた消防隊は、奇跡的に軽傷者が1名のみだった。負傷者は、一人の消防士が両足首を過伸長ということで、怪我の程度は軽かった。

■ ニュースチャンネル11のストーム・チェイサー(嵐追跡者)でカメラマンのデイビット・ドラモンド氏は、前夜、テキサス州ドーソン郡で雹(ひょう)の嵐を取材した後(雹は1時間15分も降り続いた)、落雷に伴って起こったラミーサのタンク火災現場へ行くように連絡を受け、現地へ飛んだ。現場到着後、タンクが爆発して噴き飛ぶ様子がビデオカメラで撮影され、インターネットを通じて紹介されたため、全米で話題になった。




被 害
■ タンク・ステーションの設備は壊滅的な被害を受けた。推定損害額は、清掃費用を含まないで、約725,000ドル(約8,000万円)程度と見込まれる。
 
■ 事故に伴って1名の負傷者が発生した。

< 事故の原因 >
■ 最初の事故原因は、落雷による貯蔵タンクの可燃性ガスへの引火とみられる。

< 対 応 >
■ ラミーサ消防署のケンドール・エイモス署長は、爆発時についてつぎのように語った。
 「タンクは “ロケットのようにファイアボールを残して離陸して” 爆発しました。 私は火災の最前線からおよそ20ヤード(18m)のところにいました。私は一組の消防士が倒れるのを見ました。そして、私は彼らを助けようと駆け出しました。ところが、塩水浄化装置のまわりには金網フェンスが設置されており、これが飛んでくる破片から消防士を守っていたのです。爆発は爆弾が破裂したようなものですから、人がケガしなかったのは信じられないことです。実際、私の頭の中をよぎったことは、死ぬことはないだろうが、火傷を負うかもしれない。しかし、生き抜かなければならないということでした。生きてここにいることは、神が私たちに手を差しのばされたということだと思っています」

■ 爆発を撮影したデイビット・ドラモンド氏は、つぎのような語っている。
 「事故の状況を撮影し始めてから約45分経過し、火災は消防隊に制圧されているように見えました。ところが、タンクの安全弁が作動したかと思うと、引火して、そのタンクと隣のタンク群が猛烈なファイアボールを伴った爆発を起こしました。
 私は200ヤード(180m)ほど離れた所にいたのですが、口径4インチの長さが1フィート半(45cm)の遮断弁の付いた配管断片がミサイルのように高い孤を描いて飛んできました。パイプ断片は途中にあった送電線を越え、こっちの方に飛んできて、私の車のフロント部に衝突し、大きく壊しました。私は車に当たった箇所から4フィート(1.2m)のところに立っていました。私の周辺には他の破片が雨のように落ちてくるのが聞こえました。
 信じられないことですが、消防士全員が無事でした。爆発したとき、タンクのすぐ前に消防士がいたにもかかわらずですよ。消防士たちはみんなよくやりました。彼らのほとんどはボランティアとして無報酬です。多くの人は、彼らが毎日私たちのために、いつでもボランティアで活動していることについて知らないのではないですか。私から皆さんへのお願いですが、ラミーサとアンドリュースの消防署に感謝の意を伝えるとともに、ボランティア部署に寄付をしてください。ボランティア部署は少ない予算で運用されているので、寄付が集まれば、本当に助かるでしょう」            
事故後のタンク・ステーションの状況
補 足
■ 「テキサス州」(Texas)は、米国南部に位置し、メキシコ湾に面する州で、人口は約2,200万人である。
 「ラボック郡」(Lubbock County)は、テキサス州北部に位置し、人口約28万人の郡である。
 「ラミーサ」(Lamesa)は、南ラボックにある町で人口9,500名の町である。
              米国とテキサス州の位置   (図はGoogleMap から引用)
■ マスルホワイト運送会社(Musslewhite Trucking Company)は主にテキサス州、ニューメキシコ州などの油田地域において運送サービスを営む会社である。 
 ラミーサにはタンク・ステーションを保有していた。タンク・ステーションには油タンクのほか、落雷のあったウィチタ水処理式塩水浄化装置(Wichita Water LLC Saltwater Disposal Unit)があった。汲上げ水をこの塩水浄化装置で浄化して、構内の浄水に利用していたものと思われる。なお、現在はタンクはなく、タンク・ステーション機能が無くなっている。

所 感
■ 今回の事故では、落雷によるタンク火災の状況(タンクの種類、大きさ、油種など)は分かっていない。注目は加圧タンクとみられる別なタンクが消火活動中に爆発したことに移っている。しかし、タンクが爆発して噴き飛ぶ状況がビデオカメラで撮影され、事故の恐ろしさを疑似体験できる。米国では、都会を除けば、ボランティア型の消防署が多く、このような消防隊の消防士にとって疑似体験できるビデオ映像は有用であろう。

■ 消火活動に関する詳細な状況は不詳であるが、落雷で発災したタンク火災は、ほぼ制圧できる状況だったとあるので、泡消火による積極的消火戦略がとられた思われる。しかし、消防活動のアクセス上の問題あるいは消防資機材不足の問題によって、まわりのタンクへの延焼防止に関する対応がうまく行かなかったものと思われる。つぎつぎと爆発が起こるような状況になり、防御的消火戦略または不介入戦略がとられ、火災は施設を壊滅的な状態にした後、燃え尽きるように消えたものと思われる。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである
    ・Youtube.com, 05/15/09 INCREDIBLE **SLOW MOTION** TANK BATTERY EXPLOSION Lamesa, TX (in West Texas)」 ,  May 15,  2009
  ・Newschannel11.com, Oil Tank Battery Explodes Following  a Fire in Lamesa, May 15, 2009  
  ・Nationalnews com, 1 Firefighter Hurt  in Texas Tank Fire, May 15, 2009  
  ・Daviddrummond. com, Lamesa, TX Tank  Battery Fire Explosion, May 15, 2009
  ・Texas-Fire. com. Oil Tank Battery Explodes Following a Fire in Lamesa,  May 15, 2009  
  ・Statter911.com Slow Motion of Tank Farm Explosion in Lamesa, Texas., May 16, 2009


後 記: 最近は事故が起こった場合、監視カメラによる映像が報じられたり、一般市民による動画がインターネットに投稿されたり、以前とは随分様相が変わりました。今回の事故報道では、プロのカメラマンによる爆発映像がとられて報じられたものです。現在の状況のさきがけのように感じます。ということで、昔(といっても8年前ですが)の事故を紹介することとしました。

2017年7月25日火曜日

米国インディアナ州の石油タンク施設に落雷して火災

 今回は、2017年7月7日(金)、米国インディアナ州スペンサー郡ラマーにある石油タンク施設で貯蔵タンク1基に落雷があり、火災となった事例を紹介します。
(写真はDuboiscountyherald.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国インディアナ州(Indiana)スペンサー郡(Spencer County)ラマー(Lamar)にある石油タンク施設である。

■ 発災があったのは、ラマーを通る国道245号線の東で郡道1100N号線沿いにある石油タンク施設の貯蔵タンクである。施設には16基の貯蔵タンクがあった。
スペンサー郡ラマーの郡道1100N号線沿い (矢印が発災した石油タンク施設) 
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年7月7日(金)午後9時47分頃、石油タンク施設の貯蔵タンク1基に落雷があり、火災となった。タンク火災は、つぎつぎと隣接するタンクへ延焼し、爆発を伴って広がった。

■ 火災の通報を受け、スペンサー郡緊急事態対応センターが対応した。 対応に参加したのは、ボランティア型のクリスニー消防署、グランドビュー消防署、ニューボストン消防署、サンタクロース消防署、スペンサー郡緊急医療サービス、保安官事務所などである。

■ この事故に伴う負傷者はいなかった。

被 害
■ 爆発・火災によって施設内のタンクが複数基焼損した。被害の範囲や程度は明らかでない。

■ 事故に伴う負傷者は無かった。

< 事故の原因 >
■ 事故の原因は落雷による貯蔵タンクの可燃性ガスへの引火とみられる。

< 対 応 >
■ 事故の調査はスペンサー郡緊急事態対応センターのほか、インディアナ州環境管理局が現地を訪れて行っている。
(写真は14news.comから引用)
(写真はDuboiscountyherald.com から引用)
(写真はTristatehomepage.com から引用)
補 足
インディアナ州の位置 
(図はNizm.co.jp から引用)
■ 「インディアナ州」は米国中西部に位置し、五大湖地域にも含まれ、人口は約6,500万人である。
 「スペンサー郡」( Spencer County)は、インディアナ州南西部に位置し、人口約21,000人の郡である。
 「ラマー」(Lamar)は、スペンサー郡の東部に位置するクレイ町の中にあるコミュニティである。
 インディアナ州は、州南部に豊富な石炭資源があり、発電の主は石炭で州に28か所の石炭火力発電所がある。インディアナ州にある世界初の商業規模の石炭ガス化発電所は、2013 年6月に運転を開始したが、当初、20 億ドル (2,000億円)と見積もられていた建設費が35 億ドル(3,500 億円)に上がったほか、運転開始以来、地元の反対を受けたり、技術的課題に悩まされ続けているという。一方、再生可能エネルギーの利用を促進させようとしており、風力発電量が急成長を遂げている州で、工業の盛んな米国中西部で最大規模の風力発電所がある。
  
■ 「発災のタンク施設」は16基という情報以外、施設保有者を含めて詳細はわかっていない。グーグルマップによれば、タンクの大半は直径2.6mであり、高さを3~4mとすれば、容量は15~20KLクラスと思われる。しかし、ストリートビューを見ると、多くのタンクはかなり錆が目立ち、供用中であるようには思えない状態である。発災後の状況の写真と見比べると、比較的きれいなタンクが無くなっているので、使用していた一部のタンクが爆発・火災で損壊したものではないかと思われる。
発災した石油タンク施設(事故前) 
(写真はGoogleMapから引用)
発災した石油タンク施設(事故前) 
(写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ インディアナ州は石炭の豊富な州で、雷の発生頻度も高いところでない。(「NASAによる世界の雷マップ」を参照) このような州で油井施設とみられる石油タンク施設の落雷による火災は珍しい。しかし、発災状況や消防活動はよく分からない。落雷後の火災によって「つぎつぎと隣接するタンクへ延焼し、爆発を伴って広がった」とされるが、事故後の被災写真を見ると、原形をとどめているタンクが多く、被災タンクの基数はそれほど多くないように思う。

■ 消火活動に関する情報はほとんどないが、積極的消火戦略がとられた様子はない。漏洩した油による地上火災が隣接する小型タンクを巻き込んでおり、タンク内部に油が入っておれば、爆発のリスクが高いので、安易に発災場所に近づくべきでないと判断したのではないだろうか。そして、不介入戦略または防御的消火戦略が選択されたと思われる。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである
    ・Tristatehomepage.com, Lightning Strike Causes Chain Reaction of Explosions in Spencer County,  July  08,  2017 
  ・ 14news.com,  Oil Tank Struck by Lightning Sets off  Chain Reaction of Explosions,  July  08,  2017
    ・Duboiscountyherald.com,  Lightning Triggers Oil Tank Battery Fire, Explosions,  July  10,  2017  
  ・Hazmatnation.com,  Lightning Strike Causes Tank Battery Fire in Indiana,  July  10,  2017
    ・Wiky.com, Lightning blamed for tank explosion in Spencer County,  July  10,  2017



後 記: このブログでインディアナ州の事故を紹介するのは珍しく、「米国ホワイティング製油所の装置爆発で貯蔵タンク70基に延焼(1955年)」(2017年4月)に続き、2例目です。
 インディアナ州といえば、州都であるインディアナポリスで行われるカーレース「インディ500」が有名ですし、今年の大会では、日本人ドライバーの佐藤琢磨さんが優勝して大きく報道されましたね。
 ところで、インディアナという名は「インディアンの土地」というところから来たのですが、インディアンの部族はすべて州外に移住させられたそうです。インディアナ州にインディアンはいませんが、アーミッシュの多い州だそうです。アーミッシュといえば、「米国メリーランド州で納屋の火災中に燃料油タンクが爆発」(2015年8月)の事例を思い出します。

2017年7月18日火曜日

米国ワイオミング州で硫黄の山の幻想的な災の火災

 今回は、2017年7月7日(金)、米国ワイオミング州(Wyoming)ワシャキー郡(Washakie)ウォーランド(Worland)のハイウェイ20号線沿いのある旧硫黄プラント硫黄の山で起った火災を紹介します。
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国ワイオミング州(Wyoming)ワシャキー郡(Washakie)ウォーランド(Worland)のハイウェイ20号線沿いのある旧硫黄プラントのあったところである。

■ 発災があったのは、旧硫黄プラントの硫黄の山である。旧硫黄プラントは1950年代にテキサス・ガルフ・サルファー・プラント(Texas Gulf Sulfur Plant)が操業していた。
ウォーランド北のハイウェイ20号線沿い付近 (矢印が火災が発生したとみられる場所) 
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年7月7日(金)午後10時30分頃、ウォーランドのハイウェイ20号線沿いのある旧硫黄プラントのあったところで火災が起った。南に隣接するカー部品リサイクル会社のピート・スメット・リサイクリング社から通報があった。

■ 発災に伴い、ボランティア型のウォーランド消防署が出動した。現地に到着したとき、消防隊は不思議な光景を見た。硫黄の山で幻想的な炎の火災が生じていた。

■ 硫黄の山は、1950年代に操業していた硫黄プラントが閉鎖して残されたものである。硫黄は100%純粋な状態のものでなく、大半は土と混ざったものだった。

■ 着火の原因はオートバイの排気管によるものとみられる。火災の1時間ほど前に、ひとりのライダーがこの場所でオフロード用バイクを乗り回しているのが目撃されている。ライダーが硫黄の山を駆け抜けたとき、硫黄が排気管と直接接触したか、高温の排気ガスによって着火したとみられる。

■ 紫色の炎は幻想的であるが、この種の火災は極めて危険性が高い。美しい炎にも関わらず、硫黄が燃えると、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)という有毒なガスが生じ、強い刺激臭がある。

■ 火災はお椀状の場所で発生したため、火が旋回するような形で燃え続けていた。消防隊は防護服と自給式呼吸器を装着して火災への対処を始めた。消防隊は消防車に積んだわずかな水と泡消火剤を用い、溶融状態にある硫黄の温度を150℃以下に冷却しようとした。そうすることによって、硫黄の表面が固まるからである。消防隊は約20分で消火することができた。

■ この種の火災は一般的ではないが、安全且つ迅速に対処する必要がある。幸い、ウォーランド消防署には、ハズマット(HazMat)隊員がおり、硫化水素や二酸化硫黄の取扱いについて理解していた。

■ この火災によって住民が避難する必要は出なかった。
 
被 害
■ 火災による物的損害は無かった。また、火災に伴う負傷者も無かった。

< 事故の原因 >
■ 火災の原因は、硫黄がオートバイの高温の排気管で着火したものとみられる。

< 対 応 >
■ 火災のビデオがインターネットで紹介されると、全国的に注目されることとなった。ウォーランド消防署は、他の消防署が訓練用ツールとして使うことを希望しているという。
 (動画は、Youtube 「Sulfur Fire in Washakie County, Worland, WY.」を参照)

補 足
ワイオミング州の位置 
(図はHttpontheworldmap.com から引用)
■ 「ワイオミング州」は、米国中西部に位置し、人口約58万人と全米50州の中で最も人口の少ない州である。州は山岳・高原地域で、ロッキー山脈やイエローストーン国立公園がある。
 「ワシャキー郡」(Washakie County)は、米国ワイオミング州北中央に位置し、人口約8,200人の郡である。

 「ウォーランド」(Worland)は、ワシャキー郡の北部に位置し、人口約5,400人の町である。 
ウォーランドの火災発生とみられる場所 
(写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ 事故情報を知って初めて動画を見たときには、なんと神秘的な炎だろうと感じた。米国で最も人口の少ない州のボランティア型の一消防署からフェースブックで発信され、全国的なニュースとして取り上げられただけある興味深い映像である。しかし、これも火災である。硫黄の炎を実験で見たことがあっても、このような大規模な炎(火災)を見ることはなく、ハズマット(HazMat)隊にとっては貴重な映像になるだろう。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである
      ・Youtube.com,  Sulfur Fire in Washakie County, Worland,  July  09,  2017
      ・Eastidahonews.com,  Watch: Wyoming Sulfur Fire Creates ‘beautiful Flames’ and ‘Hazardous Gas’,  July  10,  2017
      ・Aol.com,  Firefighters Called to Battle Ghostly, ‘Unknown Type of Fire,  July  11,  2017
      ・Whodaily.com,  Video of Sulfur Fire Goes Viral,  July  12,  2017 
      ・Upi.com,  Wyoming Fire Department Shares Footage of Unusual Sulfur Flames,  July  13,  2017
      ・Abc13.com, Evacuation lifted after tank farm fire in Beach City,  May 12,  2017 click2houston.com
      ・Edition.cnn.com, Radiant, toxic sulfur inferno caught on camera,   July 13,  2017
      ・ Washingtonpost.com, Watch: This crazy, blue burning sulfur at a landfill is literally ‘fire and brimstone’,   July 10,  2017 


後 記: 火山の多い日本では、硫黄の山は珍しいものではありません。箱根の大涌谷、北海道の川湯温泉、九州霧島の硫黄山などで見ることができます。しかし、閉鎖された硫黄プラントの跡地に硫黄の山が残っているというのは、広大な米国らしいというか、大らかな1950年代の遺物ですね。貯蔵タンクの事故情報ではありませんが、極めて珍しく、幻想的な映像ですので、紹介することとしました。動画の中で、撮影者の自給式呼吸器の呼吸音と警報音(?)がまた印象的ですね。

2017年7月14日金曜日

イングランドの移動タンク貯蔵所施設で火災

 今回は、2017年6月26日、イングランドのウェスト・サセックス州クローリーダウンのロウファント・ビジネス・センターにある移動タンク貯蔵所施設で起った火災事故を紹介します。
(写真はYoutube.comの動画 から引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、イングランド(England)ウェスト・サセックス州(West Sussex)クローリーダウン(Crawley Down)のロウファント・ビジネス・センター(Rowfant Business Centre)にある施設である。

■ 発災があったのは、イングランドの主要な国際空港のひとつであるガトウィック空港から約6マイル(10km)離れたところにある工業団地内の移動タンク貯蔵所施設だった。
ウェスト・サセックス州のロウファント・ビジネス・センター付近 (矢印部が当該工業団地)
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年6月26日(月)真夜中の午前1時15分頃、ロウファント・ビジネス・センターにある施設から火災が発生した。大きな黒煙が空に向かって舞い上がった。
(写真はYoutube.comの動画から引用)
■ 火災発生に伴い、ウェスト・サセックス消防署などから消防士60名と消防車両12台が現場に出動した。火災との戦いは夜通し続くこととなった。
 
■ 火災が起こったのは、移動タンク貯蔵所施設にあるタンクローリーが火災になったとみられる。タンクローリーの車両タンクには、暖房油やレッド・ディーゼル燃料を積載していたとみられる。

■ この火災により、近くに停めてあったトラックや保管されていた資材に延焼し、3つの会社が被害にあった。

■ 消防隊の撮影班によると、巨大な炎は消防活動で使用する高所放水車の先端より高く立ち上り、高さは100フィート(30m)以上に達していたという。

■ サルフォード消防署から参加した消防隊は、「我々は午前1時30分頃に出動要請があり、午前8時10分に署に戻った」といい、「火災は典型的なディーゼル火災だった」と語っている。

■ 最終的には、消火活動にガトウィック空港消防隊から特殊消火剤を搭載した空港用化学消防車の出動要請をしなければならなかった。空港用化学消防車の消火活動によって火災は消え始めた。火災は発災から約10時間後に鎮火した。

■ 事故に伴うケガ人はいなかった。また、施設のあるところは住宅地の近くではなかったので、住民が避難することはなかった。しかし、ウェスト・サセックス消防署は、近くの住民に対して煙が消えるまで、ドアと窓を閉めておくよう注意を呼びかけた。

■ ガトウィック空港では、火災による影響を受けた便はなかった。

被 害
■ トラックとタンクローリー車が多数焼損した。現場にあった油は130トンと報じられている。被災の範囲と程度は不詳である。
(写真はYoutube.comの動画から引用)
(写真はYoutube.comの動画から引用)
(写真はExpress.co.ukから引用)
< 事故の原因 >
■ 火災の原因は不明で、調査中である。警察は火災について見たり、聞いたりした目撃情報を求めている。

< 対 応 >
■ ウェスト・サセックス消防署は環境庁と密接に協力して業務を行い、地元の水系に影響が出ることがないように配慮している。

■ 火災に伴い出動した消防士は最終的に100名を超した。
(写真はMirror.co.ukから引用)
(写真はYoutube.comの動画から引用)
(写真は左:EXpress.co.uk、右: Mirror.co.ukから引用)
空港用化学消防車(左下)による消火準備
(写真はYoutube.comの動画から引用)
空港用化学消防車による消火活動
(写真はYoutube.comの動画から引用)
ガトウィック空港消防隊による消火活動
(写真はYoutube.comの動画から引用)
■ インターネットでは、メディアの報道に加え、火災の状況がドローンで撮影され、その映像が投稿されている。ガトウィック空港消防隊の空港用化学消防車による消火活動の状況はYoutube「Rowfantbusiness park fuel fire - Gatwick Airport Fire Service RosenbauerPanther in action」を参照。  

補 足
イングランドとウェスト・エセックス州の位置
(図はWikipedia.orgから引用)
■ 「イングランド」(England)は、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)、すなわちイギリスを構成する4つの国の一つで、ブリテン島の要地を占め、人口約5,300万人である。なお、連合王国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドから構成され、立憲君主制国家であり、英連邦王国の一国である。
 「ウェスト・サセックス州」(West Sussex)は、イングランド南部に位置し、人口約83万人の州である。
 「クローリーダウン」(Crawley Down)は、ウェスト・サセックス州にあり、人口約4,600人の村である。
 
 ■ 「ロウファント・ビジネス・センター」(Rowfant Business Centre)は、クローリーダウンにある工業団地で、20社以上の企業が進出している。グーグルマップでは最新の地図でなく、発災した地区は造成中の状態にあり、事故前の状況はつかめない。
 「発災場所」は、移動タンク貯蔵所、すなわちタンクローリーの施設とした。しかし、タンクローリーの夜間駐車場なのか、タンク関連施設なのかは判然としない。ドローンによって撮影された映像がYoutubeに投稿されており、多数の車両が焼損しているのが分かる。しかし、焼損した車両が単なるトラックなのか、タンクローリーなのかははっきり分からない。ただし、最後に出火していたのは3台のタンクローリーと思われる
ロウファント・ビジネス・センター付近 (矢印の建設後の施設で発災)
(写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ タンクローリーが道路で交通事故にあって火災を起こしたり、ローリー充填場で火災を起こす例はある。しかし、タンクローリーが夜間駐車していた施設で火災事故が起こり、多数のタンクローリーやトラックに延焼するという事例は聞いたことがない。施設内の資材が燃えているが、おそらく、タンクローリーから漏れた油やトラックの燃料タンクから漏れた油による延焼だと思われる。今回の事故が大きな火災になったのは、タンクローリーやトラックの燃料油が漏れて地上火災を起こしたためと思われる。

■ 当該事故の初期の消火戦略は、火災拡大を防ぐことを優先した防御的戦略だったとみられる。消防隊が出動し、資機材が出揃ったときには、すでに大きな火災になっていたとみられる。戦術としてはまわりの施設への冷却散水を行い、燃え尽きるのを待ったものと思われる。また、この背景には、近くに湖があり、水系の汚染についてかなり気を遣っている。
 夜が明けて火災の勢いが弱くなった段階で、積極的消火戦略に変更し、このために空港用化学消防車を要請したものと思われる。空港用化学消防車は最初に粉末消火剤を放出して制圧はできたが、完全に消火できなかった。このため、可搬式泡モニターを併用して泡消火を行ったとみられる。日本でも、空港用化学消防車が石油コンビナートの防災訓練に参加することはあるが、実際の火災消火に携わったことは無い。この点、 Youtubeの動画「Rowfantbusiness park fuel fire - Gatwick Airport Fire Service RosenbauerPanther in action」は貴重な映像といえよう。

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Express.co.uk,  Firefighters Tackle Blaze near Gatwick Airport as Eight Tanks of Diesel Burst into Flames,  June 26,  2017  
     ・Mirror.co.uk,  Firefighters Battle Massive Inferno at Oil and Gas Factory as Eight Tanks of Diesel Explode into Flames,  June 26,  2017 
     ・Surreymirror.co.uk,  5 Photos of Firefighters Battling Huge Flames near Turners Hill after Diesel Trucks Catch Alight,  June 26,  2017
     ・Spiritfm.net,  Watch: 100 Firefighters Tackle Diesel Blaze in West Sussex,  June 26,  2017
     ・Westsussex.gov.uk, Rowfant Business Centre fire,  June 26,  2017
     ・Sussex.police.uk,  Serious fire at Rowfant fuel depot being investigated as arson,  July  07,  2017
     ・Crawleynews24.co.uk,  Overnight fire at Rowfant Business Centre,  June 26,  2017
     ・Youtube.com,  Rowfant Fuel Depot Fire 26.6.17 full Edit,  June 26,  2017
     ・Youtube.com,  Rowfant Fuel Fire - Live drone recce for the command team,  June 26,  2017
     ・Youtube.com,  Rowfant business park fuel fire - Gatwick Airport Fire Service Rosenbauer Panther in action,  June 26,  2017
     ・Youtube.com,  Rowfant Business Park 1,  June 26,  2017


後 記: 今回、一番時間を費やしたのが発災場所の特定です。はっきりと8基のタンクと報じているメディアがあり、グーグルマップで探しましたが、わかりません。工業団地らしい場所はあるのですが、該当するようなところがありません。火災状況の映像が動画で発信されていますので、映像とグーグルマップを見比べてみてやっと分かりました。グーグルマップの工業団地の地図が最新ではなく、発災場所が造成中のものだったことです。従って、発災前の地図は無いということです。タンクがあるのかどうかは、動画の映像でしか判別がつきませんので、何回か見ましたが、どうやら無さそうな感じです。発災した場所は分かったのですが、報道では発災事業所が明らかにされていませんでした。意図的に公表していない(海外報道ではよくある)のかと思いましたが、あとから考えると、どうやらはっきりしていないようです。発災施設を日本流に移動タンク貯蔵所の施設としましたが、実際はタンクローリーやトラックが夜間駐車していただけの場所ではないかという気がしています。
 なにかモヤのかかったような事故情報ですが、空港用化学消防車(オーストリアのローゼンバウアー社製のパンター)が一般の火災消火に携わっているドローンによる動画が公開されているので、ブログで紹介することとしました。