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2019年8月6日火曜日

中国・河南省のガス工場で空気分離装置が爆発、死者15名負傷者多数

 今回は、2019年7月19日(金)、中国河南省三門峡市にある河南省煤気社の義馬ガス工場で深冷分離法の空気分離装置で起こったコールドボックスと液体酸素タンクの破裂・爆発事故を紹介します。
写真Dw.comから引用)
 < 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、中国河南省(かなん/ホーナン省)の三門峡市(さんもんきょう/サンメンシャー市)義馬(ぎば/イーマー)にある河南省煤有限責任公司Henan Coal Gas Co.)である。
 同社は、天然ガス、メタノール、ジメチルエーテル、合成アンモニア、硝酸アンモニウム、酸素、窒素、アルゴンなどのガス製造を行っている会社である。

■ 発災があったのは、河南省煤気社の義馬ガス工場にある深冷分離法の空気分離装置C号機である。C号機の製造能力は酸素20,800N/h、窒素11,000N/h、アルゴン720N/hである。
              三門峡市の河南省煤気社付近(矢印が発災場所)  写真はGoogleMapから引用)
   河南省煤気社義馬ガス工場の空気分離装置付近(発災前;下が北)  (写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2019719日(金)午後545分頃、ガス工場の空気分離装置で大きな爆発があった。爆発で装置施設の多くが吹き飛び、巨大な白い雲が立ち上った。

■ ガス工場から500m離れたところにいた地元の住民は爆発が発生したとき、「火の球と煙の雲が見え、非常に大きな音がしました」と語った。
(写真は、左;6parknews.com、右; xianjichina.comから引用)

■ 爆発の衝撃で半径3km圏内の建物の窓やドアが破損した。特に爆発した場所から500m以内の建物の損傷はひどく、高層住宅から窓ガラスやアルミ製の窓枠が次々に落下し、地上にいた人や自動車が被害にあった。街路樹も鋭い落下物に直撃され、枝葉が地上に散乱した。また、マンションでは激しい振動で天井板が落下した部屋もあった。中国のインターネットに投稿された映像には、爆発の瞬間、飲食店が爆風で激しく揺れる様子が映っていた。また、爆心から5kmのところでも爆発による被害が見つかっている。

■ 事故に伴い15人が死亡、16人が重傷を負った。このほかに250人を超える多数のけが人が出ている。
ガス工場は43交代のシフトで運転が行われ、発災時は少なくとも200人の従業員が従事していた。

■ 爆発によって引き起こされた火災は夜遅くまで続いた。

■ 発災に伴い、河南省消防署と三門峡消防署が出動し、209名の消防隊員が46台の消防車両とともに現場での対応に当たった。

■ 発災現場は危険なガスタンクのある区画ではなかったが、工場の操業は全面的に停止された。

■ メディアの空撮映像が公開され、並んでいた工場の建物が倒壊し、鉄板や破片が点在し、現場が壊滅的になったことが分かった。

被 害
■ ガス工場の空気分離装置C号機と容量500㎥の液体酸素貯蔵タンクが完全に破壊した。また、爆発箇所近くの建物数棟で壁が無くなるほどの深刻な被害を受けた。
 発災前にあったコールドボックス(矢印)とそばにあったタンクが無くなっている
(写真は左;Afpbb.com、右;GoogleMapから引用)
■ 事故に伴い、従業員の15人が死亡、15人が重傷を負った。このほかに250人を超える多数のけが人が出ている。

■ 爆発の衝撃で半径3km圏内の建物の窓やドアが破損した。特に爆発した場所から500m以内の建物の損傷がひどく、高層住宅から窓ガラスやアルミ製の窓枠が落下し、地上にいた人や自動車が被害にあった。

< 事故の原因 >
■ 義馬ガス工場の空気分離装置は酸素と窒素の分離に使用され、極低温を用いる深冷分離法で、-150℃で運転されている。予備調査によると、事故の直接的な原因は、空気分離装置のコールドボックスの液体酸素漏れの対応が適切に行われなかったため、“砂爆発”が発生したことによるとみられている。
 コールドボックスの外側ケーシングには断熱材としてパーライト(真珠砂)が充填されているが、コールドボックスの漏れにより大量の極低温液体が断熱層内に流出して蒸発し、コールドボックスの外側ケーシングが低温脆性で自重の作用で崩壊、ガスが大量のパーライトと共に噴出する“砂爆発”が発生した。コールドボックスが崩壊して近くのあった容量500㎥の液体酸素貯蔵タンクが漏れて、大量の液体酸素が一気に流出した。このため、爆発と火災が起こり、周囲にいた人の間に多数の死傷者が出た。
 
■ 事故の詳細な原因はさらに調査中である。
(写真はHk01.comから引用)
(写真はXinhuanet.comから引用)
(写真は、左;Orientaldaily.on.cc、右; 360kuai.comから引用)

(写真は、左; 360kuai.com、右;Kuaibao.qq.comから引用)
(写真は、左;Std.stheadline.com、右;Afpbb.comから引用)
(写真は、左;Shareapp.cyol.com、右;M.gelonghui.comから引用)
(写真はAfpbb.comから引用)
< 対 応 >
■ 河南省政府は720日(土)に「719日」大規模爆発事故調査チームを立ち上げた。本会議が開かれ、事故の調査が本格的に始められた。

■ 最初に爆発したのは空気分離装置で、別の会社の技術者によると、空気分離装置は比較的安全だが、-150℃以下で操作せねばならないと指摘した上で、容器には、内部圧力が一定値以上に高まると内部の気体を放出する安全装置が設置されているが、何らかの原因で安全装置が機能せず、圧力超過による爆発が発生したとの見方を示した。

■ 中国では安全規定が厳格に履行されないことが多く、重大な産業事故が頻発していると報じられている。中央政府から工場、発電所、鉱山での安全性向上の命令にもかかわらず、中国では頻繁に労働災害が発生している。20193月には、東部江蘇省の化学工場の爆発で78人が死亡、600人以上が負傷した事故があった。さらに、最悪の事故のひとつとして、20158月に天津市の港地区にある化学倉庫で大規模な爆発があり、165人が死亡、8人が行方不明、798人が負傷した。2回の爆発によって引き起こされた爆発力は24トンTNT火薬相当といわれ、死傷者の大半が消防士と警察官だった。
 また、今回の事故を除くと、1973年以来、中国では運転中に空気分離装置(ASU)の爆発事故は8回あったとみられる。
 
72日の事故対応訓練
  写真はXianjichina.comから引用)
■ 皮肉なことに、発災のあった義馬ガス工場は、79日(火)に同省政府から安全管理の手本となる72社のうちの1社に選ばれていた。また、72日(火)には、アンモニアタンクの漏洩の事故対応の訓練を実施していたという。

■ 河南省政府の事故調査チームの予備調査による原因が発表された。

 ● 事故の直接的な原因は、空気分離装置のコールドボックスの漏れに対応が適切でなく、“砂爆発”が発生したことによるとみられている。空気分離装置のコールドボックスの外側ケーシングには断熱材としてパーライト(真珠砂)が充填されている。コールドボックスの漏れにより大量の極低温液体が断熱層内に流出して蒸発し、コールドボックスの外側ケーシングが低温脆性で自重の作用で崩壊、大量のガスが断熱材のパーライトと共に噴出する“砂爆発”が発生した。コールドボックスが崩壊して近くのあった容量500㎥の液体酸素貯蔵タンクが漏れて、大量の液体酸素が一気に流出した。このため、爆発と火災が起こり、周囲にいた人の間に多数の死傷者が出た。
 ● 発災前の2019年6月26日(水)、空気分離装置のコールドボックス断熱層中の酸素濃度が上昇したので、少量の酸素漏れがあると判断した。しかし、この漏れについて重要視せず、しばらく様子をみることとし、適切な保守と修理の措置をしなかったとみられる。

■ この事故についてはユーチューブでも発信されており、主なものはつぎのとおりである。
   ● 「河南义马气化厂爆炸」(2019/07/19)
 ● 「河南三门峡气化厂爆炸」(2019/07/19)
(写真はRti.org.twから引用)
(写真はAfpbb.comから引用)
(写真はStd.stheadline.comから引用)
補 足
■ 「中国」は、正式には中華人民共和国といい、東アジアに位置し、人口約139,500万人の社会主義国家である。
 「河南省」 (かなん/ホーナン省) は、中国の東部中央にあり、黄河の南にあることから河南と称された中国の中でも歴史のある地域で、人口約9,400万人の省である。省都は鄭州市(ていしゅう/チェンチョウ市)である。 
 「三門峡市(さんもんきょう/サンメンシャー市)」は、河南省北部に位置し、人口約227万人の地級市である。「義馬」(ぎば/イーマー)は、三門峡市の東部にある人口約16万人の県級市である。
                       中国における河南省三門峡市の位置(マーク部) 
  (図はGoogleMapから引用)
■ 「河南省煤有限責任公司」(河南省煤气(集团)有限责任公司Henan Coal Gas Co.)は、河南エネルギー化学工業集団有限公司の100%所有であり、河南省国有資産監督管理委員会が河南エネルギー化学工業集団の100%の株式を保有している。河南省煤気社は1996年に河南省政府によって承認された石炭-各種ガスの生産、流通および販売に従事する大規模な国有企業である。
 河南省煤気社の「義馬ガス工場」(義馬氣化廠)は、従業員数は1,220人で、天然ガス、メタノール、ジメチルエーテル、合成アンモニア、液体酸素、液体窒素、液体アルゴンなどを生産している。義馬ガス工場には、3基の空気分離装置があり、AB号機は7500〜8000N/hの酸素製造用空気分離装置である。発災のあったC号機は、2006年に運転が開始され、既存装置の2倍以上の製造能力を持ち、酸素20,800N/h、窒素11,000N/hアルゴン720N/hである。

■ 「空気分離装置」(Air Separation Unit;ASU)は、空気を分離し、酸素・窒素・アルゴンなどの産業用ガスを製品として製造する装置である。空気分離装置のプロセスには、深冷分離法、吸着分離法、膜分離法の3種類が実用化されている。深冷分離法は、空気を極低温(一般に-170℃以下)まで冷却して液化させ、蒸留により分離する方法で、酸素・窒素・アルゴンなど、空気中の組成物のほぼ全てを高純度で得ることができる。一方、極低温までの冷却が必要となるため、設備が大きくなり、起動に時間がかかるというような欠点がある。なお、酸素量8,000N㎥/h以上の大規模な空気分離装置は、ほぼすべて深冷分離法が採用されている。

 「コールドボックス」(Cold Box)は、外気から精留塔への熱侵入量を抑えるため、精留塔を覆うように断熱材を充填した機器である。内部に精留塔、熱交換器等が内蔵されている。断熱材としてパーライト(真珠砂)を精留塔の周りに充填し、外気からの熱侵入量を減少させている。空気分離装置とコールドボックスの例を図に示す。
深冷分離法による空気分離装置の例とコールドボックスの範
(写真はTn-sanso-plant.comから引用)
                                 空気分離装置のプラント例    (写真はTn-sanso-plant.comから引用)
所 感
■ 空気分離装置は原料流体が空気で、生産物が窒素、酸素、アルゴンという安全な流体である。しかし、深冷分離法の超低温というプロセスが恐ろしい事象を生むということを示す事例である。コールドボックス内の液体酸素の漏れにより、炭素鋼製鋼材が低温脆性で強度を失い、崩壊し、ついで液体酸素タンクの漏れにより何らかの可燃物との接触により、いわゆる液体酸素爆薬のような爆発・火災を引き起こしてしまったとみられる。
 被災写真を最初に見て感じたのは、現場が異常に白っぽいことだったが、事故原因をみると、コールドボックス内に充填していたパーライト(真珠砂)が“砂爆発”で四方に飛散してしまったと思われる。まったく異常な事例である。

■ 今回の事故原因から想起されるのは、生産第一だったのではないかということである。コールドボックス内の酸素の漏れと思われる事象を捉えていたのも関わらず、処置をとらなかったのは、運転を停止することをためらったからだろう。単なる常温の酸素でなく、液体酸素という物質に関する甘い判断があったのではないかと思う。

備  考
  本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである
    ・Afpbb.com,  中国のガス工場で大爆発 2人死亡 3キロ圏の窓割れる,  July  20,  2019
    ・Jp.sputniknews.com,  中国河南省のガス工場で爆発 10人死亡5人行方不明,  July  20,  2019
    ・Fnn.jp,  中国 ガス工場で大規模爆発 2人死亡 12人不明,  July  20,  2019
    ・Mainichi.jp,  中国・河南省の化学工場爆発 2人不明,  July  19,  2019
    ・Jiji.com,  工場爆発で2人死亡、12人不明=中国河南省,  July  20,  2019
    ・Excite.co.jp,  河南省で工場が大爆発、10人死亡=10日前に「安全ベンチマーク企業」に認定されたばかり,  July  20,  2019
    ・Youtube.com ,  河南省でガス工場爆発 当局は情報封鎖 |新唐人|中国情報,  July  23,  2019
    ・Nhk.or.jp,中国 河南省で大規模な爆発 多くのけが人,  July  19,  2019
    ・Nytimes.com, Gas Plant Explosion in Central China Kills at Least 10,  July  20,  2019
    ・Insurancejournal.com, Death Toll Rises from Chinese Gas Plant Explosion,  July  23,  2019
    ・Financialexpress.com, 10 killed, 19 injured in China gas plant explosion,  July  20,  2019
    ・Gasworld.com,  ASU explosion in China, casualties and missing persons according to local reports,  July  22,  2019
    ・Thechemicalengineer.com,  Gas plant explosion in China kills 15,  July  22,  2019
    ・Hk01.com ,   河南氣化廠爆炸 事故釀10死19重傷 衝擊波致附近房屋坍塌,  July  20,  2019
    ・Tw.weibo.com,  應急管理部通報河南義馬氣化廠“7·19”重大爆炸事故,  July  26,  2019
    ・Std.stheadline.com, 河南氣化廠爆炸15死15重傷,  July  21,  2019
    ・Moread.cc, 義馬爆炸:致15死15重傷 涉事企業曾多次被安監環保處罰,  July  22,  2019
    ・Bj.people.com.cn, 義馬氣化廠“7·19”重大爆炸事故調查組調查工作全面展開,  July  22,  2019
    ・Big5.zhengjian.org, 河南義馬氣化廠大爆炸 15人死256人住院,  July  20,  2019
     ・Pttnews.cc, 義馬氣化廠爆炸事故直接原因查明:裝置“帶病”運行,  July  27,  2019
    ・Baike.baidu.com, 7·19义马气化厂爆炸事故,  July  25,  2019
    ・M.news.cctv.com, 持续关注 | 河南三门峡义马气化厂爆炸事故已致10人死亡19人重伤 仍有5人失联,  July  19,  2019
    ・Xinhuanet.com, 河南义马气化厂爆炸事故已致10人死亡5人失联,  July  20,  2019
    ・New.qq.com, 河南气化厂爆炸已致15人死亡 员工称爆炸时至少200人在岗,  July  20,  2019
    ・Cb.com.cn, 义马之灾,  August 03,  2019


後 記: 報道の中には情報封鎖が敷かれているというものがあり、今回の事故も情報公開がオープンではないかと思いました。しかし、調べてみると、意外に多くのメディアから情報が出されていました。この6月に同じ河南省で起こった「中国・河南省の食品関連工場で二重層タンクが爆発、死傷者11名」では確かに情報がオープンでなかったように感じましたが、今回の事故は被害が広範囲で、情報封鎖を敷くというレベルではありません。おそらく、異常な事故であり、初期には何が起こっているのか分からないという状況にあったと思います。日本のメディアも報道しており、参照しましたが、初期の情報だけで報じているので、あとから見ると、内容は乏しいものです。今回の発災事業者は河南省が関係している国営企業のためか、予備調査の段階で原因について発表されています。速いのは結構ですが、中央政府を意識した責任回避が背景にあるのではないかと思うのはうがった見方すぎるでしょうか。

2019年7月27日土曜日

中国における石油貯蔵所の火災・爆発の事例分析


 今回は、中国でまとめられた「Research on Fire and Explosion Accidents of Oil Depots」(油貯蔵所の火災・爆発事故のリサーチ)という資料を紹介します。
(写真はZj1.cn から引用)
< 概 要 >
■ 中国の石油貯蔵所では、ときに火災や爆発事故が起こり、大きな犠牲者、厳しい環境汚染、甚大な経済的損失が出ている。この論文では、1951年~2013年の間に中国で起こった435件の石油貯蔵所の火災や爆発事故について事例分析を行った。事例について時間軸、場所、設備、引火源、発災物質の種類、責任性について統計的な分析の結果、最も危険な場所は入・出荷の運転エリアであり、最も弱点のある設備は貯蔵タンクであることが分かった。一方、引火源の割合は分散化しており、火災・爆発を防止するには、引火源の要因を限定してしまうのでなく、広く検討していくべきである。蒸気雲爆発は、石油貯蔵所における最も共通的な事故のタイプであるが、事故の原因の中でマネジメントの責任に関する問題が支配的である。データを分析することによって事故から学ぶべき教訓が提起されるので、安全に関するマネジメントを改善すれば、石油貯蔵所における火災・爆発の大部分は未然に防ぐことができるだろう。
■ この資料では、つぎのような事項についてまとめている。
 1. はじめに
 2. 中国における石油貯蔵所の火災・爆発事故
  2.1 事故の総括的な分析
  2.2 発災場所
  2.3 発災設備
  2.4 事故の引火源と発災物質
  2.5 事故の責任性
 3. 事故の教訓
 4. 結 論

1. はじめに
■ オイル・ターミナルやガソリンスタンドを含む石油貯蔵所では、可燃性の石油製品が大量に保管されている。入出荷作業、タンク清掃、サビ落とし、貯蔵タンクのメンテナンス、溶接などを行っている際、一旦、保管されている燃料油や可燃性混合気に引火すれば、石油貯蔵所では重大な火災・爆発の事故につながり、痛ましい人身災害、厳しい環境汚染、大きな経済損失を引き起こす要因になる。近年、世界的に石油貯蔵所で大きな火災・爆発事故が続いて起こっている。2005年12月の英国バンスフィールド石油貯蔵所の火災事故、2009年10月のプエルトリコのカリビアン石油タンクターミナルの爆発・火災事故、2009年10月のインド・ジャイプールのインディアン石油でタンク火災事故である。中国では、急速な経済成長と石油消費の増加が起こっており、石油貯蔵所における火災・爆発の防止は安全に関するマネジメントそのものであり、ひいては安定的に成長し続けることができるといえる。

■ 石油貯蔵所のような施設に関する事故の特徴、パイプラインに関する事故の特徴、落雷を引き金とする事故の特徴などについては以前に分析が行われている。しかし、石油貯蔵所の火災・爆発事故に関する総括的な分析は行われていなかった。さらに、中国における過去の火災・爆発事故は類似した理由によって繰り返し起こっていた。その中のかなりの件数は科学的研究や合理的な指導書があれば防止できていただろう。本論文の目的は、過去に起こった中国の石油貯蔵所における火災・爆発事例を最も危険なエリア、設備の弱点、引火源、発災物質の種類、マネジメント責任性について統計的に分析し、事故から学ぶべき教訓を提起し、石油貯蔵所における安全に関するマメジメントの改善に供することである。

2. 中国における石油貯蔵所の火災・爆発事故
2.1 事故の総括的な分析
■ 1951~2013年の間の中国の石油貯蔵所における435件の火災・爆発事例は、論文、書籍、火災防止に関する設計基準、レポート、インターネットから集めた。データ抽出の選択基準はつぎのとおりである。  
(1) 中国の石油貯蔵所で起こった事故の中で、火災、爆発、爆発までに至る火災、2次的な爆発、あるいはこれらの組み合わせに関連していること。
(2) パイプライン破裂のような事故、火災や爆発がなく制御された油流出事故はデータから除外した。
(3) 石油貯蔵所のエリアで起こった火災・爆発事故、ただし、エリア外で生じた被害のデータは除外した。
(4) 範囲が広すぎて中国の石油貯蔵所に限定できないような事故や球形タンクの事故は、データに含めていない。

■ 中国における石油貯蔵所の事故の概要は図1に示す。ただし、記録がはっきりしないものや電子様式で記録されていないものは除いた。これらの事故の報告には、人身災害、毒物汚染、経済的損失を含んでいる。しかし、これらの事故が起きた時期が非常に違っているので、経済的損失の数値自体を比較することは意味が薄い。この代わりとして人身災害の数値を集積してみた。(人身災害の数値は表1に示す)
図1 石油貯蔵所の10年毎の火災・爆発事故件数
■ 図1からわかることは、事故の多くが1970年代(174件;40%)と1980年代(128件;29.43%)に起きたということである。 この時期は石油産業到来の時代であり、中国における石油消費の急速な成長期にあった。第二次世界大戦の後、中国全体の工業化のレベルが1950年代から1960年代は低かった。このため、石油貯蔵所の数が少なく、この期間の火災・爆発事故は2.53%(1950年代)と5.52%(1960年代)の割合に留まり、他の期間に比べて相対的に少ないといえる。1990年代は科学的な安全に関するマネジメントの導入と火災防止の認識によって、事故の件数はその前の10年間から大幅に減少した。(約30%から7.36%へ減少) しかし、事故の件数は次の10年間には15.17%まで増えていった。中国における燃料油の消費量が急速に増加したため、石油貯蔵所の容量を増やすことが求められた。国家石油備蓄戦略の基本方針のもとに巨大な貯蔵タンクが建設されていった。しかし、このような新しい技術や設備の建設を実行に移していく裏側には、火災・爆発の高いリスクが横たわっていた。多くの石油貯蔵所が1970年代や1980年代に建設されていったので、30~40年を経過した頃には、施設や設備(貯蔵タンク、配管系、ポンプ場など)は火災・爆発事故に対して弱点があった。このような背景があるため、ここ数年、火災・爆発事故がある程度増えていくことは間違いないだろう。

■ 表1は、人身災害の死者と負傷者の人数を示す。この中で、人身災害のほぼ半分(42.16%)が死亡または重傷だったことがわかる。全435件の火災・爆発事故を統計的にみると、平均して1件あたり約3名の人身災害が生じていることになる。これは、火災・爆発事故が人間にとって極めて有害であることを物語っている。
表1 人身災害の被害者数
2.2 発災場所
■ 石油貯蔵所において火災・爆発事故の起こった場所の観点で、全435件の事故を4つのエリアで分類した。ひとつは石油貯蔵エリア(貯蔵タンク地区、防火堤、分配サブステーションなど)、ふたつめは入出荷エリア(鉄道トレッスル、鉄道プラットフォーム、ポンプ・ステーション、オイル・ドック、ドラム缶倉庫、油充填・抜出し設備など)、三つ目は付属オペレーション・エリア(消火ポンプ・ステーション、計装機器修理場、ボイラー室、分析室、排水系など)、四つ目はその他のエリア(事務所、食堂、休憩室または仮眠室)である。

■ 発災場所を各エリアで分類すると、件数と割合は表2のとおりである。
2 発災場所
■ 表2から分かることは、事故の半分以上(51.03%)が入出荷作業エリアで起こっていることである。日常の油充填やタンクローリーからの積出し時の入出荷作業エリアでは、燃料-空気の混合気が大量に出ている。このとき、引火源があれば、燃料-空気の可燃性混合気は激しい蒸気ガス爆発に至ることがある。このエリアでの爆発事故の起こる可能性は他の場所より高い。

■ 2番目に危険性の高い場所は石油貯蔵エリアで、割合は23.68%である。貯蔵タンクは石油貯蔵所の中で可燃性の燃料を保管する重要な設備である。貯蔵タンクに入っている石油が、落雷、電気火花、静電気によって引火すれば、防火堤内において表面火災、プール火災、爆燃を引き起こすことがある。従って、石油貯蔵エリア内の火災事故の可能性は他のどの場所より大きい。

■ 付属オペレーション・エリアでの事故は37件(8.51%)のみで、余り起きそうでない。しかし、一旦、付属オペレーション・エリアで火災・爆発事故が起きると、エリア内にある多くの設備や機材が脅かされ、つぎへの波及が危惧される。火災の燃焼や輻射熱によって石油貯蔵所のほかの場所でのオペレーションを停止したり、中断しなければならないことがある。従って、日常の安全マネジメントや安全チェックリストの実行は、事故の起こる可能性の高い入出荷作業エリアや石油貯蔵エリアと同様に真剣に行うべきである。

2.3 発災設備
■ 石油貯蔵所の火災・爆発事故を施設や設備の観点でみると、435件は貯蔵タンク、タンクローリー、油ポンプ、油配管、ドラム缶、その他(電気機器、電気ケーブル、エンジン、計測器、コンピュータ設備など)で占められている。火災・爆発事故と施設や設備との関係を見るために、統計データを前述の6つのグループに分類してみた。施設や設備の分類ごとの事故件数とその割合は表3に示す。
3 発災設備
■ 表3で明らかなことは、最も多い件数(120件、27.59%)のその他の設備を除けば、火災・爆発に最も弱点のある設備は貯蔵タンク(112件、25.75%)だということである。貯蔵タンクの事故に関する研究によると、最も事故の引き金になっている要因は落雷である。これは石油貯蔵タンクの事故統計と一致している。石油貯蔵タンクの事故のその他の原因としては、人為ミス、設備の故障、破壊活動、タンクの割れや破裂、故意の行為や自然災害がある。

■ 2番目に弱点のある設備はタンクローリーである。事故の件数は87件(20%)で、爆発事故は油充填や荷卸し中に起こる傾向がある。このことは発災場所に関する分析と合致している。つぎにリスクの高い設備は油ポンプ(12.41%)、油配管(8.74%)、ドラム缶(5.52%)と続く。従って、油貯蔵エリアの貯蔵タンクと入出荷作業場のタンクローリーは、日常の安全マネジメント上、十分な配慮を払うことが重要である。また、油ポンプ、油配管、ドラム缶のようなリスクの高い設備にも注意する必要がある。

2.4 事故の引火源と発災物質
■ 石油貯蔵所には、保管燃料や可燃性混合気を燃焼させる引火源は数多く存在する。435件の火災・爆発事故の原因を引火源について8つに分類した。すなわち、電気火花、静電気、落雷、野火、タバコ、熱源(例えば、エンジンの熱い表面、電気機器によって発生する熱)、溶接、その他(打撃や摩擦による熱)の8つである。

■ 435件の事故を引火源で分類したものを表4で示す。また、火災・爆発事故の発災物質による分類を表5に示す。
4 引火源
■ 表4から、引火源の割合が各分類ごとに分散しているという結論を見出すことができる。引火源の最も多いのが電気火花で割合は20%である。そして静電気、野火、熱源、溶接、その他の引火源が12.18%~16.32%の範囲にあり、ほとんど同じくらいである。落雷とタバコの割合は少なく、それぞれ4.14%(18件)と7.13%(31件)であった。

■ 一方、中国の石油貯蔵所における個々の火災・爆発事故を比較分析すると、多くの場合、類似した原因が繰り返されている。これらの事故の多くは、科学的指針から出される安全に関するマネジメントを改善することによって防止したり、回避できるとみられる。

■ 表5は、発災物質と火災・爆発事故の関係を示す。
5 発災物質
■ 不明なケースもあるが、発災物質の大半は可燃性混合気であり、その割合は76.09%を占める。知ってのとおり、可燃性混合気が引火すれば、蒸気雲爆発を起こす傾向がある。一方、保管燃料への引火は、表面火災、プール火災または爆燃のような事故になる傾向がある。このようなことから、石油貯蔵所における事故は蒸気雲爆発のタイプだとみられる。しかし、石油貯蔵所の緊急事態における最近の技術的安全対応は、冷却システム、消火活動、火災警報や火災監視といったもので、多くは火災防止に片寄っており、爆発防止に対する配慮は少ない。従って、石油貯蔵所における可燃性混合気の爆発防止システムを構築することは急務であり、科学的な指針を提供し、今後の安全マネジメントと緊急事態時の対応に活かしていく必要がある。

2.5 事故の責任性
■ 事故の原因調査に関していえば、多くは石油貯蔵所における火災・爆発の理由だけに終わっている。火災・爆発事故の責任性は6つに区分できる。すなわち、マネジメント責任(運転ミス、保全ミス、現場の要領書の不適切、火災・爆発の安全装置の不適切など)、技術的責任(設計の欠陥、材料間違い、設備の建設ミス、エロージョン対策ミス、落雷対策の接地ミスなど)、マネジメント責任と技術的責任の複合的な責任、外部の責任(違法な構造物、防火帯を犯す外部建築、第三者による損傷など)、破壊活動、自然災害の6つである。

■ 責任性の各分類の事故件数と割合は表6に示す。
6 事故の責任性
■ 表6から確かなことは、ほとんどすべての事故(約94%)がマネジメント責任または技術的責任、あるいは両方の複合的な責任に起因していることである。これに付け加えると、事故の54.71%はマネジメント責任にあるが、その割合の中には最初の立地場所で始めるというマネジメント責任を含んでいる。従って、日常の運転作業の中で安全に関するマネジメントを改善していくことが重要な役割を果たすことになる。マネジメント責任による事故は日常の運転、保全、修理の中で現れてくると思われる。技術的責任からくる事故は石油貯蔵所の設計や建設を始めるときに起こるものとみられる。このことから言えることは、火災・爆発事故は、石油貯蔵所の設計や建設から運転やマネジメントまでの全期間を通して起こるかも知れないということである。このため、全期間24時間を通して安全に関するマネジメントに対して十分な注意を払うべきである。

3. 事故の教訓
■ 上記で述べてきた火災・爆発事故から、石油貯蔵産業の安全レベルを改善するため、特別に学ぶべき教訓を提唱する。
(1) 主な発災物質は統計のデータから可燃性混合気であった。しかし、石油貯蔵所に
おける最近の消火システムは爆発防止と区別していない火災に基づいている。
基本的な消火活動の装置は火災警報システム、火災監視システム、消火栓などである。
しかし、これらは可燃性混合気の蒸気雲爆発のような爆発事象に効果的な対応はできなか
った。石油貯蔵所に当初から設置された火災消火システムに加えて、水噴霧、活性ガス、
ドライ・パウダーのような基本的な科学的爆発防止システムを導入すべきである。

(2) 火災・爆発の評価システムは、過去の経験的な方法からフォールト・ツリー(Fault Tree) 、イベント・ツリー(Event Tree)、システム理論(System Theory)、グレイ・システム・セオリー(Grey System Theory)を活用したもっと科学的な評価システムに変えていき、階層制度と評価の信頼性を改善すべきである。

(3) 最近の巨大な貯蔵タンクの落雷対策は、金属性のタンク側板を接地する方法が用いられている。しかし、大きなタンク火災になった事故の中には、貯蔵タンク屋根とタンク側板の間の間違った電気接続によって起こっている。このため強く推奨することは、接地に金属製のタンク側板を使う代わりに、雷を誘導するため貯蔵タンク近くに個別の避雷針を用いて改善すべきである。

(4) 石油貯蔵所における大多数の施設や設備が30~40年運転され、火災源や爆発源に弱点があるとき、火災・爆発事故が起こるとみられる。 1980年代~1990年代の間に建設された石油貯蔵所は火災・爆発事故に対して高いリスクを有している。従って、石油貯蔵所における人へのマネジメント責任を強化すべきであり、日常の安全チェックとメンテナンスをこの数年で改善していくべきである。

■ 一方、中国の石油貯蔵所における個々の火災・爆発事故を比較分析すると、
多くの場合、類似した原因が繰り返されている。これらの事故の多くは、科学的指針か出
される安全に関するマネジメントを改善することによって防止したり、回避できるとみら
れる。

4. 結 論
■ 石油貯蔵所の火災・爆発に関する事故件数とデータを集積し、分析を行った。

■ その結果、火災・爆発に対して最も危険なエリアや弱点のある設備、すなわち入出荷作業場や貯蔵タンクだということについて有益な情報を提供できた。

■ さらに、事故の引火源を調べると、その割合は分散しており、いろいろな引火源が石油貯蔵所における火災・爆発事故を引き起こす要因になっていることがわかった。

■ 発災物質の中で事故に占める割合が大きいのは可燃性混合気である。従って、蒸気雲爆発には十分注意を払うべきであり、爆発を回避することは石油貯蔵所の緊急対応時の安全性に関して大きな関心事である。

■ 事故に対する責任性を分析すると、すべての原因の中でマネジメント責任が大きな割合を示した。従って、日常の運転において事故を防止することが重要であり、全期間24時間を通して安全に関するマネジメントに集中しておくべきである。

■ これに加えて、安全に関するマネジメントが科学的な指針によって改善されれば、中国の石油貯蔵所における火災・爆発の多くは防止あるいは回避できるとみられる。

補 足                                   
■ 著者の「Yi Zhoua」氏の所属は 「物流エンジニアリング大学」(Logistical Engineering University) であり、正式には中国人民解放軍後勤工程学院(ちゅうごくじんみんかいほうぐん-ごきんこうていがくいん)で英名をLogistical Engineering Universityと言っている。中国の重慶市沙坪壩区にあり、1961年に設立された大学で、中国の重点軍事学校の一つである。 所属部署は「石油供給エンジニアリング部」(Department of Petroleum Supply Engineering)である。
 共著の一人である「Jianyu Zhaob」氏の所属は、「スウェーデン王立工科大学」 (Royal Institute of Technology)である。

■ 「事故の教訓」の中で、「火災・爆発の評価システムは、過去の経験的な方法からフォールト・ツリー(Fault Tree) 、イベント・ツリー(Event Tree)、システム理論(System Theory)、グレイ・システム・セオリー(Grey System Theory)を活用したもっと科学的な評価システムに変えていくべき」と指摘している。日本の「石油コンビナートの防災アセスメント指針」(2013年3月、消防庁特殊災害室)では、確率的な評価手法として「イベントツリー解析」、「フォールトツリー解析」、「リスクマトリックス」が掲載されている。
  なお、「事故の教訓」の中で、評価の信頼性を改善するほかに、「ヒエラルキー」(Hierarchy:階層制度)を改善すべきとあるが、石油貯蔵所の階層制度がどのようなことを指しているかは不詳である。

■ 当ブログで紹介した中国に関する事故などの情報は、つぎのとおりである。

所 感
■ このような中国国内を対象として石油貯蔵所の火災・爆発事故を総括的に分析した資料は興味深い。印象はつぎのとおりである。
 ● 1951年~2013年の63年間に435件の火災・爆発事故があったというので、平均すると6.9件/年である。貯蔵タンクに限ると、事故件数は112件であり、平均すると1.7件/年となる。一方、「貯蔵タンクの事故の研究」(2005年5月)では、世界で1960年~2003年の43年間に起こった242件の貯蔵タンクの事故件数について分析しており、これによると、平均は5.6件/年で、2000~2003年の4年間が最も多く、12.7件/年である。
 ● 中国では平均して1件あたり約3名の人身災害が生じており、この数値は多い。ひとつは入出荷作業での事故が多く、さらにタンクローリーの事故が多いためだと思う。すなわち、タンクローリーで火災・爆発事故が起これば、被災者は多くなる。 もうひとつは、これまでブログで扱った中国の事故を見てきて、安全性より職務に対する献身性が強いためだと感じる。論文で安全に関するマネジメントの改善が指摘されているとおりだろう。
 ● 発災物質による分類では「Fuel-air mixture」(可燃性混合気)と「Fuel」(燃料油)の2つに分け、爆発と火災の違いによる考察をしていることは面白い見方である。一方、発災物質としてはガソリン、軽油などの油種別の方がなじみがあるし、データへの興味がある。
 ● 事故の責任性に関する分析を試みているのが良く、その結果、事故の54.71%はマネジメント責任にあるということは理解できる。さらに、そのマネジメント責任(運転ミス、保全ミス、現場の要領書の不適切、火災・爆発の安全装置の不適切など)がどこにあったのかという掘下げを聞きたかった。

■「事故の教訓」の中で、「最近の巨大な貯蔵タンクの落雷対策は、金属性のタンク側板を接地する方法が用いられている。しかし、大きなタンク火災になった事故の中には、貯蔵タンク屋根とタンク側板の間の間違った電気接続によって起こっている。このため強く推奨することは、接地に金属製のタンク側板を使う代わりに、雷を誘導するため貯蔵タンク近くに個別の避雷針を用いて改善すべきである」と指摘しているが、 「中国における石油貯蔵タンクの避雷設備」(2012年5月) と読み比べると、中国の避雷設備の考え方が理解できる。 

■ 同じく、「事故の教訓」の中で、「石油貯蔵所における大多数の施設や設備が30~40年運転され、火災源や爆発源に弱点があるとき、火災・爆発事故が起こるとみられる。 1980年代~1990年代の間に建設された石油貯蔵所は火災・爆発事故に対して高いリスクを有している。従って、石油貯蔵所における人へのマネジメント責任を強化すべきであり、日常の安全チェックとメンテナンスをこの数年で改善していくべきである」という指摘は中国のみのことでなく、日本でも対岸の火事のように傍観していくべきではないだろう。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
 ・Aidic.it , “Research on Fire and Explosion Accidents of Oil Depots“,CHEMICAL ENGINEERING TRANSACTIONS, VOL. 51, 2016, Yi Zhou, Xiaogang Zhao, Jianyu Zhao, Du Chen
 Yi Zhou, Department of petroleum supply engineering, Logistical Engineering University, Chongqing 401311, China
 Xiaogang Zhao, Department of petroleum supply engineering, Logistical Engineering University, Chongqing 401311, China
 Jianyu Zhao, School of Architecture and the Built Environment, Royal Institute of Technology, SE-100 44, Sweden
 Du Chenc, Department of military engineering management, Logistical Engineering University, Chongqing 401311, China
  注記;本文の引用文献(15資料)については原文を参照。


後 記: 中国の論文ということで、読む前から興味がありました。中国の石油貯蔵所の事故情報はなかなかアンテナに引っかからず、どのくらいの頻度で起こっているかは漠然としていました。今回の資料は中国の事故を総括的に分析したもので、予想していたことがある反面、まったく予想に反していることもありました。現在の中国の事故は報道管制が引かれたりして、事故の掘り下げが難しいと感じていました。その点、この論文はかなり踏み込んだところがあるように感じます。事故の責任性に関して言及している点や、「多くの石油貯蔵所が1970年代や1980年代に建設されていったので、30~40年を経過した頃には、施設や設備(貯蔵タンク、配管系、ポンプ場など)は火災・爆発事故に対して弱点があった。このような背景があるため、ここ数年、火災・爆発事故がある程度増えていくことは間違いないだろう」という指摘はなかなか表に出てこないように感じます。この論文が出された2016年以降、このブログで紹介した石油貯蔵所の火災・爆発事故は7件ほどあります。「安全に関するマネジメントが科学的な指針によって改善されれば、中国の石油貯蔵所における火災・爆発の多くは防止あるいは回避できる」という指摘どおりに進むか見ていくこととします。