2017年10月21日土曜日

テキサス州バレロ社のタンク浮き屋根沈降による環境汚染

 今回は、8月27日(日)、テキサス州ヒューストンにあるバレロ・エナージー社のヒューストン製油所において、ハリケーン・ハービーの豪雨によって原油貯蔵タンクの浮き屋根が沈降し、環境汚染について問題になった事例を紹介します。
バレロ・エナージー社のヒューストン製油所
(写真はReuters.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、テキサス州(Texas)ヒューストン(Houston)にあるバレロ・エナージー社(Valero Energy Corp.)のヒューストン製油所である。

■ テキサス州南部にハリケーン・ハービー(Hurricane Harvey)が上陸し、各所の石油施設が被災したが、ヒューストン製油所のタンク施設でも影響を受けた。事故が起ったのは、タンク地区にある直径190フィート(58m)の浮き屋根式の原油貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年8月25日(金)、米国テキサス州南部にハリケーン・ハービーが上陸した。上陸時の勢力は中心気圧938hPa、最大風速58m/sで、ハリケーン分類の上から2番目に強い「カテゴリー4」だった。上陸後、勢力は弱まったものの、速度が落ち、テキサス南部に停滞した。ヒューストン周辺では、5日連続で雨が降り続き、総降水量が米国本土の最高記録である1,318mmに達し、多くの石油施設に影響が及んだ。

■ バレロ・エナージー社ヒューストン製油所では、豪雨により浮き屋根式タンク1基の浮き屋根が沈降し、貯蔵されていた原油が防油堤内に漏洩するとともに、油面が曝露してベーパーが大気へ放出した。漏洩した油量は分からないが、堤内に留まり、クリーンアップ作業が行われた。

■ 8月27日(日)、バレロ・エナージー社は、第一報として、貯蔵タンクの屋根の部分的な陥没によって、ベンゼン6.7ポンド(3kg)、不特定な揮発性物質3,350ポンド(1,520kg)が放出されたと米国環境保護庁(The U.S. Environmental Protection Agency: EPA)へ報告した。

■ これに対して、米国環境保護庁は、東ヒューストンのマンチェスター地区に放出された量をかなり過小評価していると指摘した。調査が完了するまで、正確な量は公表しないと語った。この件についてバレロ・エナージー社からは何のコメントも行われていない。

■ 以前、住民地区にあるヒューストン市と環境保護団体の大気モニターがベンゼン濃度(短時間曝露)について国の規制値を超えて2倍の値を測定していたことがある。ベンゼンは原油やガソリンに含まれている発がん性物質である。

■ バレロ・エナージー社ヒューストン製油所から放出されたベンゼンは、ハリケーン・ハービー通過後にヒューストン地区にある大気モニターによって検出された有毒化合物質の中で最も高い濃度の値だった。一方、この傾向は他の都市のベイタウンやポートアーサーでも同様に見られた。

■ 環境保護団体によると、9月4日(月)に検出されたベンゼン濃度は324ppbで、国の許容値である180ppbの2倍近かった。これは連邦政府が労働者に特別な呼吸装置を推奨するレベルを上回っている。

■ 米国環境保護庁は、9月5日(火)、「タンク屋根の事故時点におけるタンク内に入っている油の量からすれば、屋根陥没後にすぐにタンクから大量に放出される。当該事業所はタンク内容物の移送を行って減量に努めるとともに、泡の投入によって放出される量をできるだけ抑えるようにすべきである」と語った。

■ 直径190フィート(58m)の貯蔵タンクからは、9月8日(金)の時点でも、“中規模”の放出が続いていることが米国環境保護庁の調査で明らかになった。バレロ・エナージー社は、ポンプを使用して当該タンクから原油を抜き取っている最中であり、さらにタンク内に沈降した屋根を撤去する安全な方法を検討していると米国環境保護庁へ回答した。

被 害
■ 原油貯蔵タンクの浮き屋根が沈降してしまうような物損が出た。また、操業ロスなどの被害が出ているが、被害額は分かっていない。

■ 原油貯蔵タンクの油面が大気に直接曝露して、大気に環境汚染物質が放出された。 バレロ・エナージー社の第一報では、ベンゼン6.7ポンド(3kg)、不特定な揮発性物質3,350ポンド(1,520kg)が放出されたと報告した。しかし、米国環境保護庁は過小評価だと指摘した。

< 事故の原因 >
■ 事故の直接原因はハリケーン・ハービーによる風水害である。
 間接原因としては、原油貯蔵タンクの屋根の雨水排水系の保守が十分でなく、何らかの要因によって閉塞し、豪雨時の雨水が排出できずに、屋根が部分的陥没したものとみられる。

< 対 応 >
■ バレロ・エナージー社は、事故が豪雨の所為であり、タンク屋根の雨水排水系から漏洩した油を事業所員が迅速な行動で封じ込めた点は評価されるべきと反論した。さらに、クリーンアップの状況は米国沿岸警備隊が確認しているし、タンクからの放出に関するモニタリングについては州と米国環境保護庁に協力していると述べた。

<ハリケーン・ハービー襲来によるテキサス州の環境汚染 >
■ ハリケーン・ハービー襲来後、テキサス州において有害な化学物質が流出したと各機関に報告されている。8月23日(水)~9月3日(日)の間に、油、ケミカル、廃水などが流出したという報告は96件にのぼっている。

■ 米国環境保護庁によると、流出した化学物質の正確な量を推定することは難しいという。第一報は目視で観察した結果が報告されており、米国環境保護庁や他の機関が確認のため現場に到着したときには、クリーンアップが終わっているケースや、すでに構外のどこかに流れ出てしまっているケースもある。けれども、米国沿岸警備隊は、油流出やケミカル流出の事故報告について追跡調査し、結果を公表することができる。

■ 環境保護団体によると、米国環境保護庁などに出されている事故報告は氷山の一角にすぎないと指摘する。キンダー・モルガン社(Kinder Morgan)は、 8月27日(日)に500バレル(80KL)ものガソリンを流出させ、報告を出しているが、大きな問題になっていない。キンダー・モルガン社は流出した油を泡で覆い、公共の地区には出ていないという。 

■ 米国環境保護庁や自治体当局は、洪水の水に細菌や毒性化学物質が含まれている可能性があると警告しているが、その発生源や量についてはほとんど言及していない。各所における下水や廃水処理系からの流出は少なくとも80件にのぼる。
 環境保護団体は、住民が洪水後の清掃作業を行い、家屋の修復を始めると、汚染水に接触し、病気にかかる可能性があると指摘している。

■ テキサス州ハリス郡には、ダイオキシン類、鉛、ヒ素、ベンゼンなどの有害物質に汚染されてスーパーファンド・サイトの対象になっている工業団地が被災しているが、少なくとも14箇所がハリケーン・ハービーによって洪水で浸水したり、損傷を受けている。米国環境保護庁によると、13箇所について評価し、2箇所に改善努力が必要という結果だった。これらのスーパーファンド・サイトでは、重大な健康上のリスクを伴っており、サイトの多くは石で覆われた防水シートによって防護されているにすぎない。 

■ 環境保護団体によると、洪水によってスーパーファンド・サイトに存在する毒性物質が地域社会へ拡散することになり、汚染水に直接接したり、汚染された魚介類を食べることによって住民が病気にかかる恐れがあると懸念している。 
ハリケーンによる被災状況
左のタンク浮き屋根は沈んでいるように見える)
  (写真Chron.comから引用)
ハリケーンによる被災状況
(タンク地区がすべて浸水している)
  (写真Whio.comから引用)
                 ハリケーンによる被災状況  (写真Huffingtonpost.comから引用)
                ハリケーンによる被災状況  (写真ocregister.comから引用)
補 足
米国の主な都市とヒューストンの位置
(写真Ameblo.jpから引用)
■ 「テキサス州」(Texas)は、米国南部にあり、人口約2,780万人の州で、州都はオースティンである。
 「ヒューストン」(Houston)は、米国テキサス州の南東部に位置し、ハリス郡にある人口約210万人の都市である。

■ 「バレロ・エナージー社」(Valero Energy Corp.)は、1980年に設立された石油を主としたエネルギー会社で、テキサス州サンアントニオを本部に米国、カナダ、英国、カリブ海で事業を展開している。
 ヒューストン製油所には、精製能力10万バレル/日の製油所を保有している。
 バレロ・エナージー社は今年8月下旬に襲来したハリケーン・ハービーによって影響を受け、テキサス州にあるポートアーサー製油所、コーパスクリスティ製油所、ヒューストン製油所、テキサスシティ製油所、スリーリバーズ製油所の5つの製油所の運転停止または減産を強いられた。

■ 「発災タンク」は、直径190フィート(58m)の浮き屋根式の原油貯蔵タンクである。 ヒューストン製油所タンク地区をグーグルマップで調べてみると、直径の異なったタンクが多いのがわかる。その中で直径58mのタンクに該当するのがある(写真の矢印のタンク)が、被災写真がなく、発災タンクと判断する根拠としては薄い。 
バレロ・エナージー社のヒューストン製油所
(写真はGoogleMap から引用)

所 感
■ ハリケーン・ハービーの豪雨によって、テキサス州でタンク浮き屋根が沈降した事例は少なくとも11件ある。(「米国テキサス州でハリケーン上陸による石油施設の停止と油流出」を参照) 
 この中でバレロ・エナージー社ヒューストン製油所の事例だけが耳目を集めることになった。おそらく、米国環境保護庁へ提出したタンク曝露面からの汚染物質の放出推定量が他の箇所よりも格段に小さく、米国環境保護庁の不信感を募ってしまったのではないだろうか。

■ タンク浮き屋根が沈降した事故で、教訓として参考になる事例はつぎのとおりである。
 ダブルポンツーン型浮き屋根でも、屋根沈降が起こり得ることを示す事例である。この事故は「危険物質の放出」の分類でレベル6段階中、レベル4と評価されている。大気へ発散させた汚染物質の量が報告されており、揮発性の有機化合物の量は3,185トンで、うちベンゼンは55トンである。
(期間や条件が異なるが、今回のバレロ・エナージー社の報告は、ベンゼン3kg、不特定な揮発性物質1,520kgとしている)

 本事例は、浮き屋根沈降の経緯、事故発見後の対応、再発防止策などについて詳細な事故報告書が公表されており、参考になる。

 本事例の事故報告者では、浮き屋根沈降の反省からタンク点検の改善点が示されている。また、類似事故の再発防止の観点から、総務省消防庁が「浮屋根式屋外タンク貯蔵所の保安対策の徹底について」という通知を出した事例である。なお、紹介したブログの「補足」の中で、沖縄の事例をもとに原油タンク浮き屋根沈降時の安全対策や油抜取り方法をまとめた自衛防災組織等の防災活動の手引き」(危険物保安技術協会、2014年2月)を紹介している。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
      ・Chron.com, Valero "significantly underestimated" benzene leak at Houston refinery,  September  14,  2017
      ・ Nytimes.com , High Levels of Carcinogen Found in Houston Area After Harvey,  September  06,  2017 
  ・Hazmatnation.com, Valero “significantly underestimated” benzene leak at Houston refinery,  September  14,  2017   
      ・Chron.com, Air monitors detect cancer-causing compound as environmental concerns grow in east Harris County
,  September  06,  2017 
      ・Hazmatnation.com, Dozen of Active Spills being Worked in The Wake of Hurricane Harvey,  September  12,  2017 



後 記: 8月下旬、テキサス州に襲来したハリケーン・ハービーによる石油施設の被害(事故)について「米国テキサス州でハリケーン上陸による石油施設の停止と油流出」で紹介しました。ハリケーンの被害が広範囲で深刻なものが多く、個々の事故に関する情報は埋もれているような状況で、浮き屋根沈降や油流出に関する詳細な内容はほとんど分かりませんでした。
 そのような中で、バレロ・エナージー社ヒューストン製油所の浮き屋根沈降に関する事故が大気汚染の過小評価という観点から多くのメディアが報じていましたので、取り上げることとしました。しかし、その後、大気放出量の第一報以降の修正値が報じられることはなく、タンク事故状況の内容が深まったとはいえませんでした。一方、テキサス州ヒューストン周辺における石油・化学施設の「光と影」の影の部分、すなわち東京都豊洲市場どころではない環境汚染問題が見えてきました。

2017年10月16日月曜日

インドのムンバイ沖のブッチャー島で石油タンクに落雷して火災

 今回は、2017年10月6日(金)、インドのマハラシュトラ州ムンバイ沖のジャワハー・ドウィープ(ブッチャー島)にあるバラット・ペトロリアム社の石油貯蔵タンク施設で、落雷によって高速ディーゼル燃料用タンクが爆発して、火災になった事故を紹介します。
(写真はNdtv.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、インドのマハラシュトラ州(Maharashtra)ムンバイ(Mumbai)沖のジャワハー・ドウィープ(Jawahar dweep)にあるバラット・ペトロリアム社(Bharat Petroleum Corporation Limited:BPCL)の石油貯蔵タンク施設である。

■ ジャワハー・ドウィープ(Jawahar dweep)は、通称、ブッチャー島(Butcher Island)という名で知られている島で、発災があったのは石油貯蔵タンク施設にあるタンクNo.13で、高速ディーゼル燃料用の容量32,000KLのタンクだった。タンクはほぼ満杯の30,000KLの高速ディーゼル燃料が入っていた。
 石油貯蔵タンク施設は石油製品と原油の貯蔵基地で、貯蔵タンクが8基あり、貯蔵能力は17.9万KLである。施設内のタンクには、オイルタンカーで運ばれてきて保管され、ムンバイにあるムンバイ製油所マハールに移送される原油用の貯蔵タンク1基が含まれている。
ジャワハードウィープ(ブッチャー島)にある石油貯蔵タンク施設付近 
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年10月6日(金)午後5時頃、石油貯蔵地区の8基あるタンクの1基に落雷があり、爆発を起こし、火災が発生した。当時、ムンバイと周辺地区には雷雨が通過しており、目撃者によると、落雷があった後に火災が起ったという。
(写真はNdtv.comの動画から引用)
■ 発災に伴い、ムンバイ港の管理を司っているムンバイ港組合は島内にいる専門の消防隊を現場に出動させた。また、ムンバイ消防署の消防隊が高速消防艇で海を渡って出動し、対応に当たった。消防隊は、他のタンクへの延焼を防ぐことを最優先とした活動を行った。

■ 事故に伴うケガ人は無かった。激しい火災となり、石油貯蔵タンク施設の従業員は避難した。事故当時、島にはバラット・ペトロリアム社従業員12名のほか、島の管理中央産業保安隊員ら50名いた。

■ 島近くにいた船舶は、発災後、予防措置として島から遠い場所へ移動した。

■ ムンバイ港組合は、激しく燃え続けているタンク火災を見て、バラット・ペトロリアム社に対してタンク内のディーゼル燃料を製油所に移送するよう要請した。ムンバイ当局によると、ブッチャー島におけるモバイル・ネットワークに問題が発生しており、連絡はすべて無線で行っているという。

■ 発災初期には、火災タンクの10フィート(3m)側まで近づくことができたが、10月7日(土)の夜の時点では、二・三百メートル離れたところでも高温を感じるほど激しく燃えていた。

■ タンク内の油の移送計画が検討され、タンクNo.13の油は配管を通じてタンクNo.12とNo.14に移されることになった。

■ 火災はタンクNo.13に限定されていたが、一時火勢が弱まった火災が10月8日(日)午前4時30分頃、再び勢いを増した。さらに、午前11時45分頃、タンクNo.13で爆発事象が発生した。爆発は火炎による高熱で、高速ディーゼル燃料が沸騰し、発生したベーパーに引火して起ったものとみられる。激しい高熱によって、隣接タンクへの影響が懸念され、特に消防隊は近くにある浮き屋根タンクに注意を払った。初期の消火活動では、泡放射を試みたが、高熱の火炎のため、燃焼面を覆うことができなかった。これが、再着火の原因になった。

■ 10月7日(土)時点では、翌10月8日(日)の午前10時頃には消火できる見込みだった。しかし、10月8日(日)、消防隊は、泡放射による消火活動がうまくいかなかったため、火災タンクを制圧下のもとに燃え尽きさせることした。

■ 懸念されたのは、油が海に流出することであったが、火災は発災タンク内に限定され、油流出は免れた。しかし、火災は4日燃え続け、10月9日(月)午後10時50分に消えた。発災から77時間を経過していた。消防隊はタンクの冷却作業を続け、隣接していたタンクNo.12、No.14、No.15、No.16の冷却も行われた。今回の火災による消火活動や冷却活動の消火用水には、海水が使用された。

被 害
■ 火災によって高速ディーゼル燃料タンク(容量32,000KL)が損壊し、タンク内の油(約30,000KL)が焼失した。

■ 事故に伴う負傷者は無かった。
(写真はMindustantimes.comから引用)
(写真はDdinews.gov.inから引用)
(写真はMid-day.comから引用)
(写真はIndiatoday.intoday.inから引用)
< 事故の原因 >
■ 事故原因は落雷によってタンク上部に形成していた可燃性ガスへ引火したとみられる。詳細は調査中である。
 
■ 一方、バラット・ペトロリアム社の幹部や消防隊の一部に感じている疑問が報じられている。それは、約2か月前の7月29日にヒンドスタン・ペトロリアム社ヴィサカパトナム製油所で起った落雷による浮き屋根式のタンク火災と違って、今回の火災が固定屋根式タンクで起ったことである。当該の固定屋根式タンクには、雷接地の落雷対策が施されており、ほぼ満杯の状態で激しい雨の降っている最中に落雷による火災が起こるだろうかという疑問である。

< 対 応 >
■ ムンバイ消防署やムンバイ港組合の消防隊のほか、マハラシュトラ州都市開発産業公社やバラット・ペトロリアム社の製油所などの各機関からも出動し、対応に当たった消防士は合計100名近くになった。消防士は4日間を2交代で消火活動を実施した。活動中に消防隊にケガ人は出なかった。

■ 消防隊は、消火活動中、熱画像カメラを使用し、タンク内の液位をチェックした。火災タンクまわりの温度は350℃まで上昇したので、消防隊の活動は安全な距離を保つことにしたという。火災の制圧のために、固定モニター3台、可搬式泡モニター2台が使用された。

■ 10月7日(土)午後までに使用された泡消火剤は5,000リットルで、このほかに使用可能な泡消火剤は15,000リットルだった。

■ 10月10日(火)、火災が制圧された後、インド石油産業安全局の担当者が現地へ立ち入った。

■ 事故後の安全処置として、隣接タンクの油が製油所および他の貯蔵ターミナルへ移送され、内部が空にされたが、これらの対応は10月10日(火)に終了した。
(写真は、左:Indiatoday.intoday.in、右: Mid-day.comから引用)
(写真は、左:Indiatoday.intoday.in、右: Mid-day.comから引用)
(写真はMid-day.comから引用)
補 足
■ 「インド」は、正式にはインド共和国で、南アジアに位置し、インド亜大陸を占める連邦共和国で、イギリス連邦加盟国である。首都はニューデリーで、人口は約12億人で世界第2位である。
 「マハラシュトラ州」(Maharashtra)は、インド西部にある州で、人口は約9,700万人である。
 「ムンバイ」(Mumbai)は、マハラシュトラ州の中央西部にあり、州都でもあり、人口約1,250万人のインド最大の都市のひとつである。
 2017年7月には、インド東部アンドラ・ブラデシュ州のヴィサカパトナムで「インドのヒンドスタン・ペトロリアム社で原油タンクに落雷して火災」のタンク火災が起きている。
インドのマハラシュトラ州周辺  (写真はGoogleMapから引用)
 ■ 「バラット・ペトロリアム社」(Bharat Petroleum Corporation Limited:BPCL)は、歴史のあるインドの国営石油会社で、本社はマハラシュトラ州ムンバイにあり、従業員約13,000人の会社である。。
 バラット・ペトロリアム社は、インド西海岸にムンバイ製油所マハール(13.5万バレル/日)とコーチ製油所(19万バレル/日)の製油所を保有している。
  
■ 「発災タンク」は、高速ディーゼル燃料用の容量32,000KLの固定屋根式タンクである。発災写真とグーグルマップを見比べて調べてみると、北から2番目にあるタンクと思われる。このタンクは直径約49mであり、高さ17mで容量32,000KLとなる。 
ブッチャー島にあるバラット・ペトロリアム社の石油貯蔵タンク施設
(矢印が発災した高速ディーゼル燃料タンク)  
(写真はGoogleMapから引用)
■ インドでは、ディーゼル燃料の区分として「高速ディーゼル燃料」(High Speed Diesel :HSD)と「ライト・ディーゼル燃料」(Light Diesel Oil :LDO)の2つがある。高速ディーゼル燃料は100%蒸留油で、一般に750rpm以上のエンジンに使用される。ライト・ディーゼル燃料は蒸留油と少量の残渣油のブレンド品である。これらから、高速ディーゼル燃料は日本でいう軽油に相当し、ライト・ディーゼル燃料はA重油に相当するものとみられる。
 高速ディーゼル燃料の性状は、引火点:32~96℃、燃焼範囲:0.7~5.0%、自然発火温度:257℃である。
日本の軽油が引火点:40~70℃、燃焼範囲:1.0~6.0、自然発火温度:250℃であり、引火点に差異があると思われる。すなわち、製品によっては引火しやすいディーゼル燃料がありうると思われる。

■ 直径49mの円筒タンクに必要な泡放射量は8 L/min/㎡程度であり、全面火災時に必要な泡放射能力は15,000 L/minとなる。(日本の石災法によれば、直径49mのタンクの場合、20,000 L/minの大容量泡放射砲が必要となる) 消火泡投入後、火勢が急激に衰える時間、すなわちノックダウン時間は、通常、10~30分であるが、鎮火後の再燃防止を考慮して泡の投入時間を60分とおけば、泡の全放射量は900,000 Lである。 1%混合比の泡薬剤の場合、必要な泡原液量は9,000 Lとなる。

所 感
■ 今回の事例について、雷接地の落雷対策が施されたディーゼル燃料の固定屋根式タンクにおいて、ほぼ満杯の状態で激しい雨の降っている最中に落雷による火災が起こるだろうかという疑問が出ることは理解できる。しかし、落雷によってタンク火災は起こりうる。
 ● 「中国における石油貯蔵タンクの避雷設備」の中で、“注意すべき落雷対策の設備と問題点”に記載されているように、雷接地設備が適切に保守されていなければならない。果たして、雷接地設備は適切な保全が行われていただろうか。
 ● 今回の油種は高速ディーゼル燃料で、通常のディーゼル燃料より引火性の高い可能性がある。また、2016年4月に起きた「サモアの石油貯蔵施設で石油タンクが爆発して死者1名」の事例のように、本来はディーゼル燃料用のタンクにガソリンが混合していたため、引火して爆発した事例がある。高速ディーゼル燃料の性状から意図的に廃ガソリンを混入させた可能性も否定できない。
 ● 従来、雷の発生頻度が極めて高いといえないインドで、2017年7月に「インドのヒンドスタン・ペトロリアム社で原油タンクに落雷して火災」が起こっている。日本でも、従来より雷の強さを感じる状況にあり、貯蔵タンクはどこでも落雷によるリスクが潜在しているといえる。

■ 消火戦略は、当初、積極的消火戦略をとり、泡で消火しようとした。その後、この試みがうまくいかず、防御的消火戦略として燃え尽きさせることとした。この戦略選択は妥当ではあるが、つぎのような課題があったと思う。
 ● 最初の爆発で、固定屋根式タンクの屋根が崩落して、屋根部材が障害物になる「障害物あり全面火災」の様相を呈したと思われる。この種のタンク火災の消火は最も難しい。
 ● タンクの固定消火用設備や消火用水配管は配備され、使用可能な泡薬剤も20KL保有されていたが、有効に機能しなかったと思われる。
 ● このような場合、可搬式の消火用設備が必要になるが、整っていなかったとみられる。島にあるため、公設消防などの消防隊は高速消防艇で駆けつけており、適切な消火用設備を搬送できなかっただろう。島内に配備されていた消防隊の消火用設備も十分なものではなかったと思われる。
 ● 使用された固定モニター(3台)と可搬式泡モニター(2台)は放射能力が小さく、少なくとも15,000 L/minクラスの大容量泡放射砲システムと、障害物による死角部に泡放射できる高所放水車が必要だった。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである 。
    ・Gulftoday.ae,  Diesel Tank Catch Fire on Butcher Island,  October  07,  2017 
  ・Ndtv.com,  20 Hours Later Mumbai Butcher Island Fuel Tank Fire Still Burns on,  October  07,  2017
    ・Timesofindia.indiatimes.com,  Butcher Island Inferno Rages on Firemen Decide to Let It Burn out, May be Doused Today,  October  08,  2017  
  ・Hindustantimes.com,  Fire Continues to Rage at Butcher Island, 60 Firefighters Trying to Douse Oil Tank Blaze,  October  08,  2017
   ・Hindustantimes.com,   Mumbai’s Butcher Island Fire Brought under Control after Three Days,  October  09,  2017
   ・Hazmatnation.com,  Lightning Strike Causes Floating Tank Fire,  October  09,  2017
   ・Mid-day.com,  Butcher Island Fire: How Did Lightning- Proof Tank Get Struck,  October  10,  2017  
   ・Indianexpress.com, Butcher Island: Four days on, diesel tank fire continues to smoulder,  October  10,  2017
   ・Thestatesman.com, Butcher Island fire ends after four days,  October  10,  2017



後 記: 今回の事故はインドの大都市近郊で起ったタンク火災のため、比較的情報量の多かった事例です。また、石油基地の当事者と一線を画する港組合が消火活動に関与していたため、いろいろな情報がオープンに話されているという印象を受けました。発災写真も構内のかなり近いところから撮られたものが公開されており、発災状況や消火活動の一端を垣間見ることができました。
 インドは、2009年にジャイプールでタンク大火災が起こっています。このように自国で起った事故がありながら、大容量泡放射砲システムへの理解が少ないように思います。ジャイプールの事故は特殊な事例であり、タンク火災は起こらない、起こっても固定消火設備や消防車で十分だという意識があるのではないでしょうか。といっても、十年ほど前の日本の認識がそうでしたね。

2017年10月8日日曜日

パキスタン洪水に伴う油流出による環境汚染(2010年)

 今回は、2010年7月下旬、パキスタンのインダス川流域のパンジャブ州ムザファルガル地区にある3箇所の石油貯蔵施設がモンスーンの豪雨による洪水に襲われ、油が流出した事故を紹介します。
(写真はTribune.com.pkから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、パキスタン(Pakistan)インダス川流域のパンジャブ州(Punjab)である。パンジャブ州ムザファルガル地区(Muzaffargarh District) には、 3箇所の大きな石油貯蔵施設がある。パキスタン国営石油(PSO)のメウッド・コット油槽所(Mehmood Kot Depot)とラルピール油槽所(Lalpir Depot) である。もうひとつは、パルコ社(PARCO:PAK Arab Refinery Ltd)のパック・アラブ製油所(PAK Arab Refinery)である。

■ パキスタン国営石油のメウッド・コット油槽所はパンジャブ州とカイバル・パクトゥンクワ州の油供給基地としてディーゼル油、灯油、潤滑油を供給している。ラルピール油槽所は別の施設で、燃料油61,000トンとディーゼル油9,000トンの貯蔵能力を有しており、コット・アッドゥ発電所とAESラルピール発電所へ供給している。 
 パルコ社パック・アラブ製油所は、精製能力10万バレル/日で国内最大の製油所であり、大規模の貯蔵施設を有している。 同製油所は全国にガソリン、ディーゼル油、灯油、潤滑油を供給している。 また、製油所には、貯蔵タンクに各種のケミカルを大量に保有している。
パンジャブ州ムザファルガル地区 (矢印はパック・アラブ製油所の場所 
(写真はGoggleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2010年7月27日からパキスタンにモンスーンによる豪雨が降り始め、7月29日にインダス川流域のカイパル・パクトゥンクワ州で洪水が起こり、それ以降、パンジャブ州、シンド州にも広がった。
■ 激しい洪水の波はパンジャブ州ムザファルガル地区に流れ込み、同地区にある貯蔵施設を襲い、何千トンという油が流出し、100kmの範囲に広がった。この影響面積は50万エーカー(20ha)に及んだ。 
 当局によると、油の混ざった洪水はチェナーブ川近くまで達し、いっしょになった後、インダス川に流れ込み、さらにアラビア海へ注がれたという。

■ パキスタン国営石油によると、パンジャブ州ムザファルガル地区にある2つの油槽所や200箇所の販売店が水に浸かるなど、主要施設の被害が2.9億パキスタンルピー(2.9億円)以上と見込まれる。メウッド・コット油槽所の被害額は、推定42百万パキスタンルピー(42百万円)、製品損失は990百万パキスタンルピー(990百万円)と推定されている。
 ラルピール油槽所は、ムザファルガル運河の溢流後、10フィート(3m)の水の中に沈んだ。その後、ラルピール油槽所の水位はゆっくり下がった。
■ パック・アラブ製油所には、洪水を受けないようインダス川沿いにスーパー堤防(Super Bank)が設けられていたが、8月8日(日)、スーパー堤防が決壊し、洪水による水が製油所まで到達した。

影  響
■ 洪水によって国土の25%が影響を受けた。その広さは150,000km2で、2,000万人以上の住民が家、作物、仕事など生活の基本的なものを失った。この自然災害で、1,600人を超える死者が出ており、さらに推定350万人の子供たちが水系による感染症のリスクに曝された。

■ エンジニアリング・アンド・テクノロジー大学(UET)のケミカル・サイエンス学部長のサリーミ博士は、油を含んだ洪水は通過領域に汚染の影響を与えただろうと語った。博士によると、太陽光線は油の浮いた水面を透過することができない、このことは農業、水生生物、動植物へ影響を及ぼすことになるという。油の混じった水がこの地方から分散や蒸発で無くならなければ、この地域の耕作地は不毛の土地になってしまう。

■ 環境保護論者のアクタル・アワン氏は、油流出と洪水の影響について、油が洪水の中に流出したり、漏洩した場合、風と流れが手伝って極めて短時間に広がっていくといい、「数ガロン(15~20L程度)の油でさえ、2・3エーカー(8,000~12,000㎡)の広さの油流出に広がっていく。石油施設からの油流出は3日で数マイル四方(6~9km四方)に広がっていくだろう」と語った。
 アワン氏によると、油が水に混合し始めると、性質が変化してムース状の粘着性物質になり、触れるものはすべてベタベタと粘っこくなるという。 そして、多くの動物、は虫類および鳥は流出した油を避ける方法を知らないし、場合によっては食べ物と思って近づくものもいるだろうといい、「油が消散したように見えても、地中ではなおも潜み続け、長期間、生態系に重要な影響を及ぼす。これらの影響を受けた生物が他の動物の食べ物となり、何年もの長い間に害毒のサイクルが回り始める」と付け加えた。アワン氏によると、流出が水路の近くで起こっており、深刻なダメージを受けるのは、農業分野およびは虫類や鳥などの動物という異種生態系だという。

被 害
■ パキスタン国営石油では、パンジャブ州ムザファルガル地区にある2つの油槽所や200箇所の販売店が水に浸かるなど、主要施設の被害が2.9億パキスタンルピー(2.9億円)以上と見込まれた。パルコ社パック・アラブ製油所では、石油施設に物損や操業ロスなどの被害が出ているが、被害額は分かっていない。

■ 洪水によって国土の25%が被害を受け、2,000万人以上の住民が家、作物、仕事など生活の基本的なものを失い、1,600人を超える死者が出た。

■ 油流出による環境汚染への被害は分かっていない。

< 事故の原因 >
■ 事故原因は、インダス川流域の洪水による自然災害である。

< 対 応 >
■ パキスタン国営石油は、「洪水のため多くの道路や鉄道が寸断されている状況下で、国内の遠方地域に燃料のサプライチェーンを保持することは至難の技である。しかし、ギルギット-バルチスタンを含む北部の行くことが難しい地方の一部に何とかして石油ローリー車をまわすようにしている」と語った。

■ パキスタン政府は、供給不足を埋めるため、ジェット燃料とガソリンを輸入する計画を発表した。パキスタン国営石油は、9月の販売のため、ジェット燃料35,000トンおよびガソリン105,000トンを購入した。

■ 9月1日(水)時点でも、パック・アラブ製油所は深刻な洪水によって全面的にシャットダウンしていた。プラントは、洪水による製油所の補修が終了し、 9月中旬に再稼働した。
 
■ 9月14日(火)、パキスタン国営石油は、10月・11月販売のため、各月16,500トンのジェット燃料の買い付けを計画した。パキスタンの輸入は、インドネシア国営石油のプルタミナによるスポット購入とともに、過去2週間、アジアのジェット燃料市場へ影響を与えた。
(写真はBbc.comから引用)
(写真はSlideshare.netから引用)
(写真はSlideshare.netから引用)
補 足
■ 「パキスタン」は、正式には「パキスタン・イスラム共和国」で、南アジアに位置し、人口は1億8千万人、首都はイスラマバードである。2010年当時、パキスタンの石油消費は約2,000万トン/年であり、これは40万バレル/日程度に相当する。(2016年時点では、約2,700万トン)
 2010年7月末に起ったカイパル・パクトゥンクワ州の洪水はパンジャブ州、シンド州に広がり、大災害となり、日本からも国際緊急援助派遣法に基づき、8月23日に陸上自衛隊が派遣され、復興活動を行った。
 「インダス川」はチベット高原を源としてアラビア海に注ぎ、全長3,200kmの大河である。 流域はインダス文明が発祥した土地であるが、氾濫農耕で栄えてきた。 しかし、ナイル川と異なり、氾濫の規模が一定でないため、古代文明が衰退した要因の一つといわれている。

■ 「ムザファルガル地区」 (Muzaffargarh District)は、「パンジャブ州」にある人口約430万人の地区(District)で、首都はムザファルガル市である。

■ 「パキスタン国営石油」(Pakistan State Oil;PSO)は、1985年に設立された国策会社で、国の80%超の石油製品を貯蔵するパキスタンの石油マーケットリーダーである。 政府が54%の株を保有し、従業員は2,000人である。ムザファルガル地区にある2つの油槽所(事故前)は写真のとおりである。現在もほぼ同じ形で操業されている。
 ムハマッドコット油槽所                    ラルピール油槽所
写真はGoggleMapから引用)
 ■ 「パルコ社」(PAK Arab Refinery Ltd: PARCO )は、パキスタン政府とアブダビ首長国の共同出資で設立された石油企業である。 2000年にムザファルガル地区に10万バレル/日の製油所が建設され、処理原油はアブダビのアッパーザクムおよびサウジアラビアのライト・アラビアンである。石油貯蔵能力はタンク46基で100万トンである。なお、この製油所は日揮㈱が受注して建設された。
             パック・アラブ製油所   写真はGoggleMapから引用)
                パック・アラブ製油所   写真は同社ウェブサイトから引用)
所 感
■ この洪水による油流出事故は、今年8月下旬に起きた「米国テキサス州でハリケーン上陸による石油施設の停止と油流出」とは少し違った災害である。ハリケーン・ハービーでは、大量の雨が降って広大な平野に起った洪水だった。パキスタンの洪水では、水没するタンクが出るほど浸水が深いという特徴があろう。この点、2011年3月に起きた東日本大震災時の津波による油流出事故と類似性があるように思う。(「東日本大震災時の気仙沼オイルターミナルの壊滅」を参照)

■ オイルタンカーや貯蔵タンクの事故による海域への油流出事故に対しては、対応方法が自治体や企業などでまとめられている。しかし、これらは定常状態時の前提である。大洪水や津波のような災害の真っ只中の状況では、対処の方法が無いのが実情であろう。蒸発、分散、溶解、沈降などの「風化プロセス」に頼るしかない。一方、水を取り込んだ油はムース状のエマルジョンを形成し、油が容積の4倍の量の水を吸収して、粘性が増加し、油が水中や水底に留まることになるという。これらは長期にわたる微生物による「生分解プロセ ス」を待つしかない。2010年パキスタン洪水後の浄化作用や後遺症の影響はわかっていない。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
      ・Tribune.com.pk,  Muzaffargarh Oil Spill Threatens Environment,  August 23,  2010   
      ・Zoneasia-Pk. com, Floods Inflict Rs2.9b Loss on PSO,  Key Depots in Central Punjab Non-Operational,  August 24, 2010  
  ・En.wikipedia.org,  2010 Pakistan floods,  September 30,  2017 
      ・Slideshare.net,  Pakistan Floods July 2010 Case Study,  December 16, 2011

    

後 記: この2010年のパキスタン洪水による事故を聞いたとき、現実離れの災害が起こるものだと驚きました。しかし、これが始まりでした。2011年3月に東日本大震災が起こり、その後、このブログで紹介したハリケーンや集中豪雨によって起った石油施設の事故事例はつぎのとおりです。
 ● 2012年9月、「米国ルイジアナ州の製油所でハリケーン襲来後に油漏出」
 ● 2012年10月、「米国ニュージャージー州でハリケーン襲来後にタンクから油流出」
 ● 2013年9月、「米国コロラド州で洪水によって被災したタンクから油流出」
 ● 2014年6月、「米国コロラド州で洪水によって今年もタンクから油流出」
 ● 2017年7月、「メキシコのペメックス社の製油所で浸水による火災で死傷者9名」
 ● 2017年8月、「米国テキサス州でハリケーン上陸による石油施設の停止と油流出」
 このようにいろいろな災害や事故が起こると、驚くことがなく、物事に関する感性が鈍ってくるように感じています。その意味で初心に帰る事例として紹介することとしました。