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2013年5月27日月曜日

フィリピンでアスファルトプラントのタンクが爆発して死傷者2名

 今回は、2013年5月21日、フィリピンのパンパンガ州アパリットにあるアスファルト・プラントのバンカーオイルタンクが爆発して、作業員2名が死傷するという事故を紹介します。
タンク爆発事故のあったフィリピンのパンパンガ州アパリット付近
(写真はグーグルマップから引用)
 本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
  ・SunStar.com, Worker Killed in Bunker Tank Blast,  May 22,  2013

<事故の状況> 
■  2013年5月21日(火)、フィリピンのパンパンガ州アパリットにあるバンカーオイルタンクが爆発して、作業員2名の死傷者を出す事故が起こった。事故があったのは、パンパンガ州パリグイ地区アパリットにあるアスファルト・プラントのバンカーオイルタンクで、事故当時、溶接作業中だった。

■ アパリット警察署のホーマー・ペネシーラ署長によると、亡くなったのはザンバレス州スービックのエルネスト・アルバレスさん(60歳)であることを確認したという。一方、負傷したエルモ・オプラスさん(40歳)は、サンフェルナンドにあるマザー・テレサ・オブ・カルカッタ病院で治療を受けているという。
アパリット・ドクター病院 

■ ペネシーラ署長によると、被害者は4Bコンストラクション社の従業員で、当日、バンカーオイルタンクの上において配管設置工事のため溶接機を使っているときに爆発が起こったという。 報告によれば、溶接機の熱が爆発の原因ではないかといわれている。

■ 爆発後に火災が発生し、この火炎によって被害者は身体の各所に火傷を負ったものと、ペネシーラ署長は語っている。被害者はただちにアパリット・ドクター病院へ搬送されたが、アルバレスさんの火傷がひどく、病院へ着いたときには死亡していたことが確認された。オプラスさんは、治療のためマザー・テレサ・オブ・カルカッタ病院に移された。

■ アパリット消防署および近隣の消防署が出動し、消火にあたった結果、約1時間後に鎮火したと、ペネシーラ署長は語った。

補 足                
■ 「フィリピン」は、正式にはフィリピン共和国で、東南アジアに位置する共和制国家である。フィリピンの東にはフィリピン海、西に南シナ海、南にはセレベス海に囲まれた島国で、人口約9,400万人、首都はマニラである。
 「パンパンガ州」はフィリピン北部のルソン島にある州で、人口約190万人、州都はサンフェルナンドである。
 「アパリット」はパンパンガ州のパリグイ地区にある町で、首都マニラから北へハイウェイで約40kmのところに位置し、人口約10万人の町である。住民の85%はローマカトリック教徒で、町には伝統のある教会が建っている。

■ 「バンカーオイル」は各種重質の重油を指す。バンカーとは、本来、船内の石炭貯蔵庫のことであるが、船舶燃料が石炭から石油(重油)に移行したため、バンカーオイルは、通常、舶用燃料(重油)を意味するようになり、さらに一般的に各種の重質油を指すようになった。
 今回の事故情報では、アスファルトプラントにおいて取り扱っているオイルであり、原料の重油または半製品のアスファルトを指しているものと思われる。

■  「4Bコンストラクション社」(4B Construction Corp.) は、1995年にフィリピンのケソンを本拠地として設立された建設会社で、事業内容は道路、舗装、橋梁、灌漑、治水、ダム、港湾、オフショアエンジニアリング、水処理プラント、空港  産業プラントなど幅広い建設工事を展開している。アパリットでは、アスファルトを生産しているものと思われる。会社の詳細はよくわからない。 
 米国に同じ名称の4Bコンストラクション社があるが、米国東部において建築を主にした建設会社であり、両者に関係はないものと思われる。

所 感
■ またアスファルトタンクに関連する事故が起こった。最近では、①2006年5月、日本の東亜石油京浜製油所におけるアスファルトタンクの爆発事故、②2009年9月、ニュージーランドのフルトンホーガン社のアスファルトタンク爆発による溶接士の死亡事故、③2010年12月、カナダのポートスタンレーにあるマックアスファルト・インダストリー社のアスファルトタンク破損による漏洩事故、④2011年5月、米国カリフォルニア州のグラナイトロック社のアスファルトタンク爆発事故、➄2012年6月、日本のコスモ石油千葉製油所においてアスファルトタンク破損によるアスファルト流出事故、⑥2013年3月29日、中国山東省にある青州李浩恒石油化学社のスラリー(アスファルト)貯蔵タンクの爆発に続く事故である。
2009年9月、ニュージーランドのフルトンホーガン社の
アスファルトタンク爆発事故の現場
 

■ 今回の事故は詳細がわからないが、2009年9月に起きたニュージーランドのフルトンホーガン社のアスファルトタンク爆発事故に似ている。同事故では、溶接士が死亡しているが、安全のため空にされていた18KLアスファルトタンクの上で手摺り(ガードレール)を溶接していたときに爆発が起こり、即死の状態だった。今回もタンク上で溶接作業を行っているときに爆発が起こっており、火気工事を行うため、タンク内はクリーンアップされたものと思うが、タンク内に可燃性ガスが残っていた。元来、アスファルトタンクは燃えにくいものという予断と、クリーンップすれば大丈夫という予断があっただろう。今回は、火気工事のための環境管理についていくつものミスが重なって起こったものと思われる。



後記; 今回の事故を伝えたところは複数ありましたが、情報源は結局一つということで、フィリピンの情報入手は難しいことがわかりました。
 ところで、今年ほど天候不順な年はないですね。暑さ寒さが極端で、身体がついていかないという感じです。いつもの年なら、春が一番野球観戦にいい季節で、自宅のすぐ上にある周南市野球場から聞こえてくるアナウンスや応援の声を聞けば、覗いてみようかと思うのですが、今年は行く気にならない天候でした。
周南市野球場=津田恒美メモリアルスタジアム 
 周南市野球場は今年、津田恒美メモリアルスタジアムの愛称がつきました。広島東洋カープで活躍し、2012年の野球殿堂入りを機に、周南市出身の津田投手の偉業を称えるためです。炎のストッパーといわれ、直球勝負にこだわり続けたプロ野球選手でしたが、脳腫瘍のためわずか32歳で他界しました。現在の周南市の和田中学校から南陽工業高校に入り、高校野球で完全試合を達成し、春夏の甲子園にも出場して活躍しました。期待された夏の甲子園では2回戦で負けたので、集められた寄付金が余り過ぎ、和田中学校を始め野球部員の出身中学校にも野球用品が寄贈されたという話が残っています。周南市野球場は2011年に電光掲示板が設置され、グランドも両翼100mに拡張されるなどの改修工事が行われ、中国地方の社会人野球大会などアマチュア野球の開催が増えており、津田恒美メモリアルスタジアムの名に恥じない球場になっていると思います。

2013年5月24日金曜日

米国ヒューストンで落雷によるタンク火災

 今回は、2013年4月24日、米国テキサス州ヒューストンにあるサウス・コースト・ターミナル社の鉱油タンクに落雷があり、火災になった事故を紹介します。
テキサス州ヒューストンで火災のあったサウス・コースト・ターミナル
        (写真はABCLocal.go.comから引用)
本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
  ・ABCLocal.go.com, Lightning May Have Caused Storage Tank Fire in East Houston,  April 24,  2013
      ・HoustonGovNewsRoom.org,  Storage Tank Fire at 7401 Wallisville, April 24,  2013 
  ・KTEN.com,  No Injuries in 2 Houston Oil Storage Tank Fire, April 25,  2013   
  ・TankTeam.com, Two Storage Tanks Damaged in Terminal Fire, April 25,  2013
    ・FireEngineering.com,  Lightning Blamed in Fire at Houston Oil Storage Tank, April 25,  2013 

 <事故の状況> 
■  2013年4月24日(水)午前2時頃、米国テキサス州にある石油ターミナルのタンクに落雷があり、火災となった。事故があったのは、テキサス州ヒューストンのヴォリスヴィル通り7401にあるサウス・コースト・ターミナル社の鉱油タンクで、火災原因はタンク上部への落雷によるものだとヒューストン消防署は発表した。この事故による負傷者は出ていない。
火災のあったテキサス州ヒューストンのサウス・コースト・ターミナル
 (写真はグーグルマップから引用) 
駆けつけた消防車
(写真はABCLocal.go.comから引用) 
■ ヒューストン消防署の消防隊が現場へ駆けつけたときには、タンクから火の手が上がり、タンクを覆っていた保温部がくすぶっていた。火災は“Tower 18”と呼ばれるはしご付き消防車を使って消火された。消防隊は最初に上がっていた火を素早く消すことができたが、火炎によって別なタンクへ延焼した。火は主に保温部から燃えており、タンク本体が破損することはなかった。約70名の消防士が事故に対応した結果、午前3時50分頃に鎮圧した。ヒューストン消防署は、状況を監視し、くすぶっていた保温材をタンクから撤去するまで現場に残った。
■ サウス・コースト・ターミナル社の現場責任者は現場にいて、発災地区周辺の運転をすべて停止し、製品の荷役を中止した。同社によると、タンクには鉱油が貯蔵されており、自動車工業に使用され、毒性はないという。また、大気汚染への影響もないと語っている。
ターミナルの構内
(写真はABCLocal.go.comから引用)

補 足
テキサス州 
■ 「テキサス州」は米国南部にあり、メキシコと国境を接している州で、人口は約2,510万人と全米第2位である。
 「ヒューストン」は、テキサス州南東部に位置し、約210万人の人口抱えるテキサス州最大であり、全米第4の都市である。ヒューストンには、世界最大の医療研究機関の集積地テキサス医療センターやアメリカ航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターがあり、先端医療の研究や航空宇宙産業が有名であるが、フォーチュン500に入る企業の本社数がニューヨークについて多く、メキシコ湾岸地域における経済・産業の中枢である。

■ 「サウス・コースト・ターミナル社」(South Coast Terminal Inc.)は、 1964年に設立され、テキサス州ヒューストンに本拠を置いてミネラルオイル(鉱油)を取り扱う企業である。主に、工業用潤滑油のほか、切削油、油圧作動油、特殊グリース、熱媒体油などのブレンド、貯蔵、出荷業務を行っている。ヒューストンのヴォリスヴィルには、貨車とトラック輸送の出荷基地がある。
 今回の報道情報の中には発災企業を「サウスウエスト・ターミナル・ミネラルオイル)と報じたところもあるが、飼料貯蔵会社の「サウスウエスト・ターミナル」と混同したものと思われる。
ヒューストンのサウス・コースト・ターミナルの全景
(写真はサウス・コースト・ターミナル社のウェブサイトから引用)
ヒューストンのサウス・コースト・ターミナルの風景
(写真はグーグルマップのストリートビューから引用) 

Tower18の例 
■ 「Tower 18」は、はしご付き消防車で、都市構造火災を念頭に開発された消防車である。一般にプラットフォームを100フィート(30m)高まで延ばせ、大量の消火水を複数本放水できる性能を有している。


所 感
■ 事故は、潤滑油のような鉱油タンクで起こったもので、主に保温材に染み込んだ油分が燃えたものと思われる。ターミナルのタンク全景写真を見るとわかるように、鉱油タンクは火災になりにくいものとして、ほとんどタンク間距離がないが、保温材に染み込んだものが燃える事例は希に起こり得る。このように火災の起こりにくい条件の中で、落雷という確率の低い発火条件が重なったもので、極めて希な事例だといえる。しかし、逆にいえば、起こり得る可能性のある事故は実際に起こるということである。
注記;報道情報の中には「タンク」ではなく、「タンク・コンテナー」(タンク貨車)という表現もあった。確かに構内には、鉄道輸送用のタンク・コンテナーが走っているが、林立しているタンク群より高さの低いタンク・コンテナーに雷が落ちる可能性は小さいので、発災は貯蔵タンクとした。




後記; この投稿をまとめているとき、米国テキサス州の隣の州であるオクラホマ州で巨大竜巻が
発生し、子どもを含めて24人の死者を出すという大きな被害になりました。テキサス州やオクラホマ州は竜巻や落雷の多い州です。竜巻の予測研究も進んでおり、今回も竜巻警報が発令されていま
88番札所前の女体山
す。しかし、人の予想を上回る規模の竜巻だったので、
甚大な被害になっています。今回の事故情報と同様、人の思いを超えた事故が起こるものです。
 ところで、この5月に四国八十八箇所の歩き遍路に行ってきました。丸4年かかりましたが、今回で88箇所のお寺を全部廻り、結願しました。今年は、例年より暑い日があり、大変でしたが、お寺に着いて般若心経を詠み、お線香をあげるひと時に救われました。今はほっとして疲れが出ているところです。

2013年5月7日火曜日

イングランドのエセックス州でディーゼル燃料油タンクが火災

 今回は、2013年4月29日、イングランドのエセックス州サロックにあるヴォパック社のロンドン・ターミナルにおいて起こったディーゼル燃料油用タンクの火災事故について紹介します。火災のあったタンクは空の状態で、火災はタンクのリム・シール部で起こっています。
エセックス州サロックのヴォパック社のターミナルで起こったタンク火災に出動する消防隊 (写真はBBC.co.ukから引用
本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
  ・BBC.co.uk, Oil Terminal Fire: Crews Tackle Diesel Storage Tank Fire,  April 29,  2013
      ・RomfordRecorder.co.uk,  Wennington Firefighters among those Called to Diesel Tank Blaze at Vopak Terminal, West Thurrock, April 29,  2013 
  ・ThisisTotalEssex.co.uk,  Diesel Tank Catches Fire at Vopak Terminal in West Thurrock, April 29,  2013   
  ・YourThurrock.com, Fire Crews Successful in Tackling Fire at Vopak,West Thurrock, April 29,  2013
    ・Echo-News.co.uk,  Fire at Vopak in West Thurrock, April 29,  2013 

<事故の状況> 
■  2013年4月29日(月)午後3時30分頃、イングランドのエセックス州にある液体貯蔵ターミナルで石油タンクの火災が起こった。事故があったのは、エセックス州サロックのオリバー通り近くにあるヴォパック社のロンドン・ターミナルで、火災はディーゼル燃料油用タンクで起こった。
サロックにあるヴォパック社のタンクターミナル
(写真はグーグルマップから引用) 
消火泡剤搬送車
(写真はThisisTotalEssex.co.uk から引用) 
■ 発災に伴い、消防隊が出動し、60名を超える消防士と12台の消防車が現場へ駆けつけた。エセックス消防署は、救助作業車、消火泡剤搬送車、はしご車、ホース展張車など16の消火用機材を現場へ送り込んだ。火災のあったタンクは空の状態だったが、消防隊によると、“泡放射攻撃を浴びせた”という。
 事故に伴う負傷者はなく、避難する事態も無かった。消防隊は、15名を状況監視のため夜を通して現場に残した。
■ エセックス消防署によると、火はタンクのシール部から上がり、ヴォパック社の泡消火設備が自動的に始動したという。消防署は、「ごく最近、この種の事故対応についてヴォパック社の人たちと一緒に現場での訓練を行ったばかりだったので、消防活動がうまくいった」と付け加えた。
鎮火翌日に現場立入りした消防士
(写真はromfordRecord.co.ukから引用)
事故対策本部長のマーク・エリオット氏の話によると、火災はタンクのリム・シール部で起こったという。
■ 英国ヴォパック社の代表取締役イアン・コクラン氏は、29日夕方、つぎのような声明を出した。
 「私どものターミナルにおいて、メンテナンス作業中に火災があったことを報告します。火災があったのは空のタンクで、石油製品に被害はありませんでした。くすぶった物質は速やかに消火できました。私どもは安全を最優先してきており、今回も円滑に作業が進めることができました。事故に当たって迅速かつ心強い対応を行って戴いた地元関係機関に感謝の意を表します」
消火活動で出動し、発災翌日の消防士
(写真はromfordRecord.co.ukから引用) 

補 足
■ 「イングランド」は、通常、英国あるいはイギリスと言っているが、正式には「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」である。人口は約6,200万人で、首都はロンドンである。
 「エセックス州」は、イングランドの東部に位置する州(カウンティ)で、人口約167万人、州都はチェルムズフォードである。
 「サロック」はエセックス州にある独立行政区の都市で、人口約16万人である。

■ 「ヴォパック社」(Vopak)は、オランダのロッテルダムに本部をおく「ローヤル・ヴォパック社」で、石油やケミカルなどの液体貨物のロジスティクス カンパニーである。世界31か国で85箇所のターミナルを保有する世界有数の物流企業である。英国には、「英国ヴォパック社」が3箇所の基地を持ち、サロックに「ロンドン・ターミナル」があり、86基のタンク(容量50~10,000KL)に約37万KLの石油製品などを貯蔵している。
 なお、日本には、日本通運㈱と長瀬産業㈱とのジョイントベンチャーである「日本ヴォパック社」があり、横浜、川崎、名古屋、門司に事業所を有している。
サロックにあるヴォパック社のタンクターミナル
(写真はグーグルマップのストリートビューから引用) 
■ 「エセックス消防署」は、正式には「エセックス州消防および救助サービス」(Essex County Fire and Rescue Service;ECFRS) で、エセックス地域を管轄する州の消防機関である。管轄地域は 367,000 haで、年間に約25,000件の緊急事故に対応している。職員は1,640名のスタッフ、フルタイム消防士874名と待機消防士479名を擁している。同消防署のホームページには、緊急事故で対応した際の出動車両などの情報を公開している。当ブログで紹介した2011年6月3日のイングランドのケント州キングスノースにある廃油貯蔵施設の火災事故では、地域外であるが、エセックス消防署も消火活動支援で出動している。

所 感
■ 事故は、内部浮き屋根式タンクの浮き屋根用シール材がメンテナンス時の火気によって燃えたものと思われる201166日、米国メイン州で同様の火災事故が起こっている。その事故はメイン州サースポートにあるアーヴィング・オイルターミナルの内部浮き屋根式タンクで起こったもので、タンクは工事中で空だったが、浮き屋根のシール部から火が出たという今回と同じ状況である。タンクの定期保全時にシール部の火気養生が不足して、シール材を燃やすトラブルは過去にも起こっている。タンクの油抜きとクリーンアップを終了したら、内部に可燃物はないという予断と安心感で、可燃性であるシール材が盲点となった事例であろう
注記; 浮き屋根シールの構造は、フォーム・ログ・シール方式、リキッド・フィルド・ログ・シール方式、ワイパー・シール方式、シュー・シール方式があり、後者2つは金属製で可燃性ではないが、前者2つは可燃性である。シール方式については、当ブログの「内部浮き屋根シールの供用中検査の方法」(2011年8月)を参照。
ヴォパック社のアルミニウム製ドーム型タンクの例
(写真はVopak社のホームページからから引用) 
■ しかし、ガソリンのような揮発性液体でないディーゼル燃料油(軽油)に浮き屋根式タンクを使用するかという疑問がある。ただ、ヴォパック社のホームページによれば、アルミニウム製ドーム型浮き屋根式タンクの導入に積極的であるようなので、浮き屋根式タンクにディーゼル燃料油を入れているのかもしれない。米国メイン州の内部浮き屋根式タンクの火災では、消火活動が難しかったようだが、今回は、比較的円滑に火災は消火できたものと思われる。この要素の一つには、消防署がコメントを出しているように、事業所と公設消防による現場での訓練が役立ったものと思われる。
注記;米国メイン州の内部浮き屋根式タンクの火災は、当ブログの「オイルターミナルのタンク火災において消防隊奮闘」(2011年7月)を参照。

後記; ブログを2年間継続していると、類似事例が出てくることがわかりますね。残念ながら、世界規模で見ると、なかなか過去の事例が活かされないということです。今回は、当ブログで過去に紹介した2件の情報が役立ちましたが、私自身、いつ紹介したか忘れています。このとき、活用するのが自分のブログをGoogleで検索することです。例えば、「世界の貯蔵タンク事故情報」と「内部浮き屋根式タンク」という言葉で検索すると、欲する事故情報がリストされます。以前、投稿件数が増えたときにリスト表を作ることも考えましたが、Google検索すればよいと思い、やめました。これで良かったのです。最近、将棋のプロ棋士とコンピュータが対戦し、コンピュータ棋士が勝ったというニュースが報じられましたが、これほどではないにしろ、私自身が書いた情報の記憶をコンピュータは超えていると実感しますね。