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2017年6月29日木曜日

東燃ゼネラル和歌山工場の清掃中原油タンクの火災原因(最終報告)

 今回は、2017年1月18日に起きた東燃ゼネラル石油和歌山工場の清掃中の原油タンクの火災について、6月14日、原因調査の最終報告が公表されたので、この内容を紹介します。
(写真はPbs.twimg.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、和歌山県有田市にある東燃ゼネラル石油の和歌山工場である。和歌山工場の製油所精製能力は132,000バレル/日である。

■ 発災があったのは、和歌山工場のタンク地区にある原油貯蔵タンクTK35である。タンクは1969年に建設された浮き屋根式で、直径75.5m×高さ21.3m、容量85,376KLである。2012年の開放整備後は原油タンクまたはスロップタンクとして使用され、2016年11月から内部の油を抜いて清掃中で、発災当時、内部に油は無かった。

■ 発災当時の気象状況は、天候:晴れ、北東の風:2.1m/s、気温:2.0℃、湿度:68.7%だった。
有田市の東燃ゼネラル石油和歌山工場付近
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年1月18日(水)午前6時45分頃、東燃ゼネラル石油和歌山工場のタンクTK35から火災が起った。出火したのは、大小17基のタンクが並ぶエリアにあるタンクの1基で、内部清掃作業の時間外だった。

■ 発災のあったタンクは内部に油は無かったが、スラッジ(油混じりの残渣物)が残っていた。火災前のタンク内の残存スラッジの状況は、幅約12m×長さ約26m、高さ0.2~1.6m(最大)で、タンクの受入れノズル付近に堆積していた。(図を参照)
タンク内の残存スラッジの状況(火災前)
(図はNoe.jxtg-group.co.jp から引用)
■ 火災発生に伴い、東燃ゼネラル石油和歌山工場の自衛消防隊が現場に出動した。 タンクTK35の火災に対して泡消火、隣接するタンクTK34に対して固定散水リングによる冷却散水の実施が指示された。有田市消防署が現場到着後、指揮権が移譲され、タンクTK35の泡消火による窒息消火を試みたが、消火できなかった。このため、開放されていたタンク側板のマンホール6箇所を閉止して、水没消火する戦術がとられた。

■ 東燃ゼネラル石油和歌山工場では、発災後、近隣地域(初島町浜地区、港地区)に対して広報車による広報を開始した。発災直後は、火災の発生および消火作業中であることを伝えていたが、その後、風向きによって泡消火剤が近隣地域へ飛散していたため、飛散する泡消火剤への注意事項の広報を行った。地域広報の時間と内容については、つぎのとおりである。
 1月18日(水)午前8時20分:B工区タンクにて火災が発生。現在消火活動中。
                     午前9時40分:引き続き消火活動中。
                     午前11時00分:泡消火剤が飛散。健康影響はないが、触れないよう呼びかけ。
                     午後4時10分:飛散した泡消火剤の有害性は家庭用の洗濯洗剤と同程度。
              肌に触れた場合は水で良く洗い流す。
        午後5時30分:火災はおさまったが、タンクに注水しており、水の流れる音が発生する。
 1月19日(木)午前7時30分:タンクへの注水を継続中。
              泡消火剤を使用する可能性があり、洗濯ものを屋外に干さないよう注意喚起。
        午後6時30分:鎮火が確認された。
              使用した泡消火剤が飛散する可能性があり、念のため、
              洗濯ものを屋外に干さないよう注意喚起。

被 害
■ タンク内部火災による物的損害は約3,900万円だった。

■ 事故に伴う負傷者はいなかった。また、環境および地域への影響も無かった。

< 事故の原因 >
■ 直接原因
 タンク内にあった可燃性物質 (スラッジ、溶解用軽油、回収作業に使用していたホース類)に、スラッジに含まれていた硫化鉄が発火源となって火災になったと推定される。
 ● 硫化鉄以外の自己発火性物質、静電気、落雷、ウエスにしみ込んだ油の酸化による発熱、電動工具、放火について調査したが、いずれも可能性がなかった。
 ● スラッジの分析結果、乾燥すると自己発火性のある硫化鉄が52wt%相当含まれていた。
 ● スラッジの発熱性試験の結果、 60℃から酸化反応が有意に進行することが確認され、乾燥した状態で試験開始温度を40℃すると、300℃以上に発熱することが確認された。なお、乾燥させないで、試験開始温度を40℃とした場合には、発熱は87℃にとどまることがわかった。  

■ スラッジ中の硫化鉄が乾燥・発熱に至った要因
 ● 局所的なスラッジの堆積: 
 隣接するタンクTK34を開放・清掃する際、スラッジを多く含むスロップをタンクTK35に受入れたため、受入れノズル付近のタンク北西部に高いスラッジの山が局所的に形成していた。タンクTK35について原油洗浄工法(COW工法)によるタンク清掃工程の共油洗浄・軽油洗浄・清水洗浄を実施した後も、このスラッジの山は最大1.6mの高さを残していた。

 ● スラッジの山の回収作業: 
 マンホール開放後、タンク内部に作業員が入り、スラッジを少量の軽油に溶解し、仮設したエアポンプで回収する作業は2016年12月12日(月)から実施した。最初にタンク内の堆積の低い箇所のスラッジを回収する作業が行われ、2017年1月14日(土)までにタンク北西部に残る高いスラッジの山を除き、概ね除去されていた。発災前々日の2017年1月16日(月)から高いスラッジの山の回収作業を開始し始めたが、発災時、スラッジの山は最大1.6mの高さのまま残っていた。

 ● スラッジの山の乾燥・発熱: 
 スラッジの堆積の低い箇所では、回収時に軽油によって湿潤状態が保たれるため、スラッジが乾燥することはなかった。一方、高さ1.6mのスラッジの山の上部は着底した浮屋根に近く、軽油で湿潤させる作業が行われなかったため、スラッジ回収作業期間中(発災までの1か月強)に徐々に乾燥が進行した。さらに、発災前日の1月17日(火)、スラッジの山を崩す作業で溶解のための軽油が十分にかからない状況下で、山の上のスラッジが新たに崩され、山の中に埋もれていた硫化鉄の一部が空気にさらされ、硫化鉄の酸化による発熱が始まった。また、山の中腹部のスラッジにかけた軽油によってスラッジ表面を覆っていたワックス分が除去され、スラッジに含まれる硫化鉄の酸化による発熱が始まった。

 ● 発熱から着火への過程: 
 発熱に伴って周辺のスラッジに含まれる硫化鉄を覆うワックスの溶解や水分・油分の気化が進行し、新たに空気にさらされる硫化鉄の量が増加した。この空気にさらされる硫化鉄が多くなったことによって発熱範囲が拡大し、それまで水分・油分の気化に消費されていた熱がスラッジ自体の温度上昇に寄与し、スラッジの蓄熱が進行した。スラッジの温度がスラッジまわりの軽油やワックスの油分の発火点に達すると、着火して火災に至った。

■ 間接要因 
 硫化鉄の酸化発熱によるスラッジの自然発火については、湿潤した状態または散水等で除熱することが防止策として有効である。この防止策が取られなかった要因は、つぎの3つである。
① 東燃ゼネラル石油の要領書の規定内容が施工者の作業手順書に未反映
 ● 東燃ゼネラル石油の要領書には、水による湿潤化が安全対策として記載されているにもかかわらず、施工者の作業手順書に硫化鉄に関する安全対策の具体的な記述がなかった。
 ● 東燃ゼネラル石油と施工者の二者によるタンク清掃作業に関する事前の安全ミーティングが行われたが、硫化鉄の発熱危険性について議論されなかった。

② 想定外の状況時において未対応
 ● 東燃ゼネラル石油の要領書では、想定されていない状況に変化した場合、追加の安全ミーティングを実施するよう定めている。原油洗浄工法による清掃工事後に局所的なスラッジの堆積を認識したが、この状態を想定されていない状況への変化と捉えられず、追加の安全ミーティングを実施しなかった。スラッジの局所的な堆積が時間とともに湿潤した状態を維持できず、危険な状況になる認識がなかった。

③ 硫化鉄に対する安全上の認識不足
 ● 上記①②になった一因として、タンク清掃作業の関係者に硫化鉄に対する安全上の認識が不足していた。

■ 要領書における記載内容
① 東燃ゼネラル石油の「和工-製油部タンク開放作業要領」
 当該要領は、すべてのタンク清掃作業を対象としており、特に安全上の注意点を網羅して、具体的な手順や安全上の注意事項を記載したものである。
 ● タンク清掃の事前準備作業として、サワー(酸性)物質を貯蔵したタンクについては、その硫化鉄生成の履歴を考慮することが記述されている。(第5条)
 ● 東燃ゼネラル石油の操油課員と製油技術課員(タンク運転に詳しい者)およびタンク清掃作業の施工者で、作業開始2週間前を目途に、タンク清掃作業の安全ミーティングを開催し、施工者から予め提出された「施工要領書および安全対策書」について打ち合わせを行い、照査する手順となっている。また、タンク清掃作業の開始後において、想定されていない状況へと変化した場合は、追加の安全ミーティングを実施することが記述されている。(第6条)
 ● サワー(酸性)環境で硫化鉄生成が懸念される浮屋根タンクについては、硫化鉄対策として残油回収後、直ちに水張りを行って浮屋根裏面および側板内側に付着した硫化鉄を水で濡らすこと。清掃によりタンク内部の硫化鉄を含むスラッジが除去されるまでの期間は、定期的(目安3日以内)に水を導入し、硫化鉄を含むスラッジを湿潤に保つことと記述されている。(第11条)

② 東燃ゼネラル石油の「運転部門(操油課)作業手順書(SOP)」
 当該手順書は、タンクTK35のタンク清掃作業において操油課員が実施する作業について、各作業をステップ毎に記載した文書である。
 ● 表形式で、各作業確認のチェック記入欄や注意事項の記述があり、硫化鉄対策としてタンク開放前の清水洗浄作業で浮屋根裏面に清水を噴射し、スラッジを除去することと記述されている。
 ● スラッジ回収作業は、操油課員の作業対象外のため具体的な記載はなく、スラッジ回収作業における「硫化鉄の発熱の危険性」についての記述はない。

③ 東燃ゼネラル石油の「COWクリーニングの仕様書」
 当該仕様書は、タンクTK35の清掃作業の請負契約に際し、東燃ゼネラル石油からタンク清掃施工者へ依頼する作業の内容を指示した文書である。
 ● 「原油洗浄を伴うタンク清掃作業の注意事項」として、タンク清掃作業中は硫化鉄対策としてタンク内に存在する堆積物、タンク外へ搬出した堆積物は水で湿らせて置くことと記述されている。

④ 施工者の「タンク清掃工事施工要領書および安全対策書」
 当該要領書および対策書は、タンク清掃施工者が作成して東燃ゼネラル石油へ提出し、運転部門で照査、設備管理部門で合議した文書である。
 ● 東燃ゼネラル石油の要領書や仕様書にあった「硫化鉄の発熱の危険性」と「スラッジへの散水」に関する記述はない。本来、運転部門での照査、設備管理部門での合議で確認し、修正すべきであったが、それが行われなかった。

④ 施工者の「リスク分析シート(作業安全性分析:JSA)」
 当該シートは、作業ステップ毎に潜在的な危険有害要因を記述し、必要な危険軽減策・手順を記載した手順書である。
 ● リスク分析シートには、該当作業に関する危険因子をチェックするリストがあり、タンクTK35の清掃作業のリスク分析シートでは、「硫化鉄による発火の危険性がある」にチェックが入っている。
 ● 一方、リスク分析シート中の作業ステップ毎の中では、危険因子として硫化鉄が存在する可能性やリスク軽減策としてスラッジへの散水に関する記述はない。

■ 硫化鉄に関する危険性の認識
 当該タンク清掃では、原油洗浄工法での共油(原油)洗浄実施後にスラッジ量を測定した結果、局所的なスラッジの堆積が見られた。共油量に制約があり、洗浄を継続してもスラッジの堆積を減らすことができないと東燃ゼネラル石油の操油課員と施工者で判断した。この状態に対して「想定されていない状況」との認識を持っていなかったため、通常の原油タンクの開放と同等の手順(清水洗浄)によってタンク内を湿潤したのみの状態でマンホールを開放し、スラッジ回収作業を実施した。
 タンクTK35の清掃作業に関与した関係者にヒアリングした結果は以下のとおりであり、タンク内に硫化鉄の存在することや一般的な硫化鉄の危険性は理解していたが、硫化鉄の発熱・発火防止策としての散水の重要性、その具体的な防止策に関する理解が不十分であった。

 ● 東燃ゼネラル石油の操油課員は、原油洗浄作業およびスラッジ回収作業において、作業工程の中で硫化鉄が存在しうることについては認識しており、また、硫化鉄対策として散水することも、社内の要領や仕様書等で理解していた。しかし、タンクTK35で局所的に堆積したスラッジの山に多量の硫化鉄が含まれているという認識はなかった。

 ● 施工者の作業員は、原油洗浄作業の最終工程でタンク内全体を清水で洗浄したことで、「タンク内に存在する堆積物は水で湿らせた」状態であったと判断していた。また、過去にスラッジがくすぶった経験もないことから散水はしなかった。過去にも散水はしたことがなかった。タンクTK35で局所的に堆積したスラッジの山に多量の硫化鉄が含まれ、乾燥し、発熱・発火することは想定していなかった。

< 対 応 >
■ 東燃ゼネラル石油は、5月31日付けの最終報告で、今後の再発防止対策について、つぎのように述べている。
① 手順書の改善
 ● 「施工者のタンク清掃工事施工要領書および安全対策書」への反映: 
 東燃ゼネラル石油の仕様書では、「タンク清掃作業中は硫化鉄対策としてタンク内に存在する堆積物、タンク外へ搬出した堆積物は水で湿らせておくこと」と記述している。この仕様に関する具体的な対応策の記述を施工者の「タンク清掃工事施工要領書および安全対策書」に追記する。

 ● 施工者が作成する手順書の確実な照査: 
 東燃ゼネラル石油の仕様書に記載された安全対策および事前のリスク評価で抽出されたリスクへの対策が、すべて施工者の手順書に網羅されていることを確認する。このため、運転部門の照査および設備管理部門での合議の際、チェックリストを用いて抜けがないように確認する。

 ● 東燃ゼネラル石油の仕様書の質の改善: 
 仕様書に記載された安全対策が十分かどうかを東燃ゼネラル石油のセーフティーアドバイザー(製油技術課の安全専門家)がスポットチェック(抜き取り検査)を実施する。

② 教育の実施
 ● 硫化鉄を含むスラッジの発火危険性およびその対策に関する教育: 
 「タンクTK35火災事故概要および原因」に関する教育資料を作成し、東燃ゼネラル石油の従業員および構内入構の施工会社の従業員に対して教育訓練を実施する。特に、タンク清掃作業に関わる従業員に対しては定期的なリフレッシュ教育を実施する。

 ● 「想定されていない状況」に面した際に作業を止めることの重要性に関する教育: 
 事前のリスク評価で想定している前提からの状況が変化した場合、リスクの内容あるいはリスクレベルに対して影響があることを上記の教育資料による教育を通じて再度徹底する。また、些細な変化と感じられるものであっても、リスク評価を再度行うことの重要性を教育する。

 ● 安全対策を手順書に網羅することの重要性に関する教育: 
 施工者に対して作業のリスクを正しく伝え、必要な対策を施すよう促すことは、依頼側である東燃ゼネラル石油の責任である。仕様書に記載された安全対策だけでなく、事前のリスク評価で抽出されたリスクへの対策を施工者の手順書に抜けなく落とし込むことの重要性を東燃ゼネラル石油の従業員に再徹底する。

■ 和歌山放送ニュースは、6月14日(水)、「JXTG(旧東燃)が工場火災の最終報告書を公開」という見出しで、報告書が出されたという事実のみを報じた。

■ 6月21日(水)、経済産業省は、1月18日のタンク火災(および1月22日に発生した潤滑油製造装置群火災)に対して、和歌山製油所における保安確保について厳重注意を行い、今後、再発防止対策および更なる保安管理体制強化の実施状況について報告する旨の指示を行った。

補 足
■ 「和歌山県」は、近畿地方にあり、紀伊半島の西側に位置し、人口約95万人の県である。
 「有田市」(ありだ市)は、和歌山県中部に位置し、人口約30,000人の市である。

■ 「東燃ゼネラル石油」は、2000年に東燃とゼネラル石油が合併してできた石油精製・石油化学の会社である。川崎、和歌山、堺、千葉(市原)に工場がある。2017年4月には、東燃ゼネラル石油はJXホールディングの傘下となり、JXエネルギーの子会社となった。このため、新しい会社名はJXTGエネルギーとなった。
 「和歌山工場」は、軍用航空揮発油・潤滑油を製造する国策会社(東亜燃料)として1941年に操業を開始した歴史のある製油所である。1945年の空襲で壊滅したが、1950年に操業を再開した。精製能力は170,000バレル/日であったが、現在は132,000バレル/日である。原油タンク23基、製品・半製品タンク364基を保有している。現在は「JXTGエネルギー和歌山製油所」という名称になっている。
 2017年1月18日のタンク火災事故について紹介した当ブログはつぎのとおりである。

所 感
■ 火災は原油タンク内のスラッジ中の硫化鉄が着火源だった。結果的にいうと、タンク関係者であれば常識的な内容だといえよう。しかし、長年の技術的知見を有している製油所で起こっているのである。そのような製油所でなぜ起きたかについて調査された極めて有用な事故報告書である。興味深い点を列記すると、つぎのとおりである。
 ● スラッジの分析結果、硫化鉄の割合が52wt%相当だった。これは、スラッジ中に硫化鉄が想像以上に多く存在していることを示し、貯蔵タンク(特に原油タンク)を保有しているところでは、硫化鉄による発火の危険性は潜在している。

 ● スラッジの発熱性試験の結果、 スラッジが乾燥した状態であれば、300℃以上に発熱することが確認され、乾燥させなければ、発熱は87℃にとどまることがわかった。これは、貯蔵タンク(特に原油タンク)を保有しているところでこれまで発火しなかったのは、スラッジが乾燥していなかったのである。

 ● 東燃ゼネラル石油和歌山工場でも、過去にスラッジがくすぶった経験もなく、過去にも散水はしたことがなかったという。偶然を含めて何らかの条件によってスラッジが乾燥していなかっただけだったのである。

 ● タンク所有者と施工者の間にスラッジに関する認識に大きな差がある。タンク所有者はスラッジの危険性について理解しており、この危険性の認識は施工者と共有化していると思っている。一方、施工者にとってスラッジは単なる清掃作業の対象物質であり、スラッジの危険性排除はタンク保有者の責務と思っている。原油洗浄作業の最終工程でタンク内を清水で洗浄したことで、タンク保有者の指示する安全対策である「タンク内に存在する堆積物は水で湿らせた」状態にしたと考えているのである。このような認識の差や思い違いは、東燃ゼネラル石油和歌山工場における特殊な例でなく、どこにでも存在しうる。

■ よくまとめられた調査報告書であるが、ひとつだけ疑問が残った。それは、なぜ局所的なスラッジの山が残ったかということである。大量にスラッジがあったという隣接タンクでは局所的な堆積が生ぜず、なぜ大量のスラッジが発災したタンクに移送できたのかということである。スラッジは油と混合されてタンク内に入り、タンクの攪拌機があれば、分散されていき、局所的な山は形成しないのではないだろうか。軽質原油用タンクでは、攪拌機を設置しないことがある。原油の受入れ油種が変化していく中で、原油タンクの運用に潜在的な問題を抱えてはいなかったか。

■ 消防活動についても言及されており、参考になる。
  ● タンク内のスラッジによる火災は、泡消火の方法は有効ではない。初期消火やタンク径が小さい場合、あるいは浮き屋根シール部の火災は泡消火で対応できるだろうが、大型のタンク内における火災は消火できない場合があることが分かった。
 ● タンク内のスラッジによる火災の消火は、タンク側板マンホールを閉止して、水没消火する戦術が有効だった。しかし、この方法は時間がかかり、当該事例では、制圧までに9時間ほどかかっている。鎮火確認には水抜きとマンホール開放が必要であり、今回の場合、火災鎮火(確認)までに1日半かかっている。
 ● 近隣地域には、泡消火による泡が飛散するという問題が発生する。このために、広報活動が必要である。   

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Noe.jxtg-group.co.jp,   和歌山製油所火災事故報告書について,  June 14, 2017
    ・Tonengeneral.co.jp,   和歌山工場での火災に関する事故調査委員会の中間報告について,  February 28, 2017
    ・Wbs.co.jp,  JXTG(旧東燃)が工場火災の最終報告書を公開,  June  14,  2017
    ・Noe.jxtg-group.co.jp,  経済産業省からの和歌山製油所における火災に関する厳重注意について,  June 22, 2017


後 記: 2017年4月に東燃ゼネラル石油がJXエネルギーの傘下になり、懸念したのは、最終報告が公表されないのではないかということでした。 JXエネルギーは情報公開に積極的だったのですが、2016年6月に起きた「JXエネルギー根岸製油所で浮き屋根式タンクから出火」では、事故発生の発表は行われましたが、その後の状況(原因調査)について公表されなかったという前例があるからです。 2017年2月の中間報告のあと、「最終報告が公表されることに期待しています。横浜、和歌山とタンクの開放中の火災事故が続いており、事故の再発防止には、事業者や公設消防からの情報公開が必要であることは自明です」と後記に書きましたが、よく公表されました。(ただ、最終報告書の「添付資料」は公表されていませんが) 当該ブログでの紹介に当たっては、原文でわかりずらい箇所の表現を変えたり、記載の順番を変えたりして読みやすくしたつもりです。  

2017年6月25日日曜日

アイルランドの飼料製造工場で貯蔵タンク火災

 今回は、2017年6月18日(日)、アイルランドのリムリック市にあるロシュ・フィーズ社の家畜用飼料製造工場で貯蔵タンクが火災になった事故を紹介します。
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、アイルランド(Ireland)のリムリック市(Limerick)にあるロシュ・フィーズ社(Roches Feeds)の家畜用飼料製造工場である。ロシュ・フィーズ社は、国内最大の家畜用飼料製造会社のひとつである。

■ 発災があったのは、リムリック市ドック通り沿いにある製造工場内の貯蔵タンクである。
 リムリック市にあるロシュ・フィーズ社の飼料製造工場付近 (矢印部に複数の貯蔵タンク)
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年6月18日(日)真夜中の午前0時30分頃、製造工場内にある貯蔵タンクの1基から火災が発生した。

■ リムリック消防署は火災発生の通報を受け、現場へ出動した。

■ 消防隊による約5時間の消火活動によって火災は消火された。消防関係者によると、「貯蔵タンクから火が出ていました。幸いにも、飼料製造工場本体と離れていましたが、延焼する可能性は十分ありました。消防隊は火災の消火に5時間かかりました」と語っている。

■ アイルランドの警察であるガルディ(Gardai)は、火災がテロなどの不審火ではなく、偶発的な事故だとみている。 

被 害
■ 貯蔵タンク1基が焼損したほか、内部の液体が焼失した。被災の状況と程度は不詳である。

< 事故の原因 >
■ 火災の原因は不明である。火災はテロなどの不審火ではなく、偶発的な事故だとみられている。 

< 対 応 >
■ リムリック市消防署から消防車両2ユニットとはしご車が出動したほか、隣接するシャノン町の消防署から消防車両1ユニットが支援で出動した。消火活動の結果、鎮火の安全宣言が6月18日(日)午前5時に出された。   
            リムリック市消防署の消防車両の例   (写真はFire-ireland.comから引用)
補 足
■ 「アイルランド」(Ireland)は、正式にはアイルランド共和国で、北大西洋のアイルランド島にある立憲共和制国家である。人口は約460万人で、首都はダブリンである。
 「リムリック市」(Limerick)は、アイルランド中西部の「リムリック州」の州都で、人口約94,000人の都市である。都市の南には、豊かな牧草地のゴールデンベールがあり、この都市の産業の多くは農業に関連している。
 
 歴史的にみると、アイルランドはイギリスが最初に支配した植民地である。大地主による小作農を使役した商品作物栽培を行う植民地農業政策で工業化は遅れた。また、宗教では、プロテスタントによるカトリック教徒への迫害があった。1800年代初めには、市場において高く売買される農作物がイングランドに大量に移送される一方で、アイルランドからは食物が枯渇し、不作に見舞われた小作農の大量餓死が発生した。この飢餓や貧困から逃れるために、生き残った多くのアイルランド人は米国へ移住した。このため、1840年に800万人を数えた人口が1911年に440万人にまで減少した。これ以降、現在に至っても総人口は回復していない。
 1919~1922年にアイルランド独立戦争によって自由国として独立した。しかし、イギリス連邦下であることに不満をもつ人によってアイルランド内戦が起きた。このようにアイルランドではイギリス(イングランド)への植民地支配の恨みが強く、反英感情が残っている。
 一方、米国への移住者の子孫の中から、ジョン・F・ケネディやロナルド・レーガンという米国大統領になった人が出たことから米国との関係は良い。 
アイルランド(Ireland)とリムリック市(Limerick)の位置
(写真はGoogleMapから引用)
■ 「ロシュ・フィーズ社」(Roches Feeds)は、国内最大の家畜用飼料製造会社のひとつで、7,000の顧客に飼料を供給している。ロシュ・フィーズ社のオーナーはロシュ家で、現在は4代目が引き継いで経営している。リムリック市には、300万ユーロ(3億6,000万円)を投じた家畜飼料製造工場を保有している。

■ 「発災タンク」は、製造工場から離れたところにあるので、グーグルマップによって調べてみると、工場の裏にタンクらしい設備が複数確認できる。高い基礎の上に設置されたタンクと、防液堤らしいものに囲まれたタンクがある。前者は直径約5mで100KLクラス、後者は直径1.7mで10KLクラスだとみられる。発災タンクがどちらか特定できないが、火災を起こすような可燃性物質だということを考慮すれば、防液堤に囲まれて小さい方の10KLクラスのタンクと思われる。報道では、貯蔵タンクというだけで内液の種類について言及されていないので、特定できないが、工場で使用されるとすれば、軽油などの燃料ではないだろうか。なお、タンクと工場本体の距離は40mほど離れている。
飼料製造工場の発災場所とみられる付近 (矢印部:貯蔵タンク)
(写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ 工場の貯蔵タンクにおける火災ではあるが、貯蔵タンクの内液の種類は勿論、大きさなど仕様が分からない。真夜中の火災ということもあってか、投稿の写真などもない。消防活動についても、小型タンクの割に5時間も掛かったという印象だが、よく分からない。報道での伝え方は一般的な家屋火災と変わらないという印象である。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Limerickleader.ie,  Fire at Storage Tank in Limerick Manufacturing Plant ‘not suspicious’,  June 18,  2017  
    ・Irishexaminer.com,  Firefighters Battle for 5 hours to Put out Blaze in Limerick City,  June 18,  2017    
  ・Topix.com,  Firefighters Battle for 5 hours to Put out Blaze in Limerick City,  June 18,  2017


後 記: 火災情報の内容からブログの対象にするか迷いましたが、これまでアイルランドの火災事故を紹介したことはなく、調べてみました。今回調べて感じたのは、細かいことにこだわらず、悠々とした国ではないかということです。偶発的な事故とみているようですので、タンク火災といっても消防署では深く原因を追及しないのではないでしょうか。アイルランドの警察は、通常、ガルディ(正式には「アイルランド治安防衛団」)と言われているのは、初めて知りましたし、第一公用語が英語でなく、アイルランド語というのも初めて知りました。それで、今回の事故情報をアイルランド語で検索してみましたが、ヒットすることはなく、本当にローカルなニュースの扱いなのだと感じました。

2017年6月21日水曜日

メキシコのペメックス社の製油所で浸水による火災で死傷者9名

 今回は、2017年6月14日(水)、メキシコのオアハカ州サリナ・クルス市にあるペメックス社サリナ・クルス製油所において豪雨による洪水で貯蔵タンク地区が浸水し、溢流した油による火災が発生して、死傷者9名を出した事故を紹介します。
(写真はRazon.com.mx から引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、メキシコのオアハカ州(Oaxaca)サリナ・クルス市(Salina Cruz)にあるメキシコ国営石油会社ペメックス社(Petroleos Mexicanos: Pemex)のサリナ・クルス製油所である。サリナ・クルス製油所は、1979年に操業を開始し、330,000バレル/日の精製能力を保有している。

■ 発災があったのは、製油所のオフサイト・エリアで、貯蔵タンク地区だった。
サリナ・クルス市にあるペメックス社の製油所付近
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 6月12日(月)、メキシコは熱帯低気圧“カルバン”に襲われた。6月13日(火)、サリナ・クルス地区は豪雨が降って洪水となり、製油所の脱硫装置や14基の貯蔵タンクのある地区などが浸水した。貯蔵タンク群の排水溜めから原油のガソリン残渣(Crude Petrol Residue)を含んだ水が溢流し、油が広がっていった。製油所の各施設は、異常気象の措置として運転が停止された。
洪水による貯蔵タンク地区の浸水
(写真はMilenio.com から引用)
■ 2017年6月14日(水)朝、製油所の浸水した区域にあるポンプ室付近から火災が発生した。浸水した製油所の一区域から巨大な火炎と厚い黒煙が噴き出した。

■ 火災発生に伴い、製油所の自衛消防隊が出動し、緊急事態の火災対応をした。

■ この事故によって、1名が死亡し、8名の負傷者が発生した。負傷者は病院へ搬送され、治療を受けている。亡くなったのは自衛消防隊の消防士で、火災の消火活動に従事していたという。

■ 洪水によって製油所の近くに住む一部の人たちが避難していたが、火災が発生して避難した人は約550名になった。その後、約3,000人近い人が避難したと報じられている。

■ 火災は貯蔵タンクに近い場所だったが、タンクに延焼することはなかった。6月15日(木)になって下火になったが、火災はポンプ室付近で続いた。 

■ 6月16日(金)午前3時30分、火災は鎮火した。

■ 火災が鎮火した後、周辺地区の環境への影響が調査されている。実際、酸性を示す黒い雨の降ったことが確認されている。しかし、どこからもそのリスクや対処方法を注意喚起されていない。また、近くの海岸が油で汚染されており、漁師への影響が心配されている。
(写真はNvinoticias.com から引用)
(写真はNvinoticias.com から引用)
(写真はMxpolitico.com から引用)
(写真はMxpolitico.com から引用)
                   避難する市民    (写真はMilenio.com から引用)
被 害
■ 死亡1名、負傷8名の人身被害が出た。

■ 製油所構内にあるポンプ室などの設備が火災で損壊した。また、流出した油が焼失した。被害の状況や程度は不詳である。

■ 製油所近隣に住む人約3,000名が避難した。このほか、漁業や環境への被害が懸念されている。

< 事故の原因 >
■ 燃焼源は、洪水によって貯蔵タンク群の排水溜めから溢流した原油のガソリン残渣(Crude Petrol Residue)で、引火源は不明で、調査中である。

■ 一部のメディアでは、公式の情報ではないが、油は14基ある原油タンクのうちの1基から漏れた原油(Crude Oil)で、約500KLが火災で焼失したと報じている。

< 対 応 >
■ ペメックス社は、6月14日(水)、同社のウェブサイトにサリナ・クルス製油所で火災があったことを発表した。翌15日(水)、続報として消防隊員が亡くなったことを発表した。さらに、16日(金)、火災は鎮火したことを発表した。

■ ペメックス社は、消防士を各所から動員し、80名で対応した。

■ 6月15日(木)、メキシコ安全・エネルギー・環境庁(Safety, Energy and Environment Agency:ASEA)が現場への立入りを行い、火災事故の調査を始めた。

■ ペメックス社は、被害の状況を評価した後、停止していた施設の再稼働に向けて準備を行うという。しかし、6月20日(火)、製油所の生産開始時期は未定で、ガソリンを追加輸入するとの見通しであることが報じられている。

■ ペメックス社では、今回の事故が今年に入って2度目の重大事故である。2017年3月、サラマンカで8人が亡くなるという事故「メキシコのペメックス社の石油ターミナルで爆発、死傷者8名」が起こっている。
(写真はReuters.comから引用)
(写真はMexiconewsdaily.com から引用)
(写真はMexiconewsdaily.com から引用)
ペメックス社が公開した火災消火後の状況
(写真はPemex.comから引用)
ペメックス社が公開した火災鎮火後の状況
(写真はPemex.comから引用)
補 足
■ 「メキシコ」(Mexico)は、正式にはメキシコ合衆国で、北アメリカ南部に位置する連邦共和制国家で、人口約1億2,800万人の国である。
 「サリナ・クルス市」(Salina Cruz)は、「オアハカ州」(Oaxaca)の南東部の太平洋側にあり、人口約76,000人の港湾都市である。
メキシコ合衆国とサリナ・クルス市の位置
(図はBorderhopper.main.jp から引用)
■ 「ペメックス社」(Petroleos Mexicanos: Pemex)は1938年に設立された国営石油会社で、原油・天然ガスの掘削・生産、製油所での精製、石油製品の供給・販売を行っている。ペメックス社はメキシコのガソリンスタンドにガソリンを供給している唯一の組織で、メキシコシティに本社ビルがあり、従業員数約138,000人の巨大企業である。
 オアハカ州サリナ・クルス市には、精製能力330,000バレル/日のサリナ・クルス製油所(Salina Cruz Refinery)がある。当製油所は、別名Ingeniero Antonio Dovalí  Jaime Refineryといい、1979年に操業を開始した。
 なお、ペメックス社の関連事故については、つぎのような事例がある。

■  「発災場所」をグーグルマップで調べてみると、貯蔵タンク地区であることが確認できる。 この地区には14基の貯蔵タンク(実際に設置されているのは13基)があり、ポンプ室と思われる設備がある。ポンプ室から最も近い貯蔵タンクまでの距離は約200mである。なお、この地区の貯蔵タンクは原油用とみられ、原油タンクの直径は約89mであり、容量は10~12万KLクラスの大型タンクである。
サリナ・クルス製油所の貯蔵タンク地区付近 (矢印がポンプ室とみられる)
(写真はGoogleMapから引用)
発災場所とみられるポンプ室付近 
(写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ ペメックス社の公式発表は不明点や疑問点が多い。例えば、「原油のガソリン残渣」(Crude Petrol Residue)という油名は聞いたことがない。この点、一部のメディアが報じている「油は原油タンクのうちの1基から漏れた原油(Crude Oil)で、約500KLが火災で焼失した」という情報は合点がいく。この情報から考えられるのは、原油タンクの水切り作業のミスである。豪雨・洪水・浸水という非定常な状況から、水切り作業において何らかのミスがあり、原油タンク内の原油500KLを排出してしまったという推測である。そして、含油排水系統を通じて浸水区域に原油が流出し、原油の揮発分から形成された爆発混合気がポンプ室の何らかの火源によって引火し、大火災になったのではないだろうか。
 事故の多くは非定常な状況から発生するといわれるが、豪雨・洪水・浸水から火災発生というシナリオは考えつかない。しかし、現実には、思ってもみなかった状況から事故が起こることを示す事例である。

■ 亡くなった1名は消防活動を行っていたということから、ほかの8名の負傷者も消防活動によって被災したものと思われる。消防活動に関する情報は報じられていないが、発災写真の中に消火活動を撮した写真があり、腰の高さまで水に浸かりながら、同じ水面上の火災を消火するという極めて困難な状況だったことがうかがえる。この点、「米国フィラデルフィア製油所のタンク火災で消防士8名死亡(1975年)」の事例と類似した状況だったと感じる。
 最近、異常気象による豪雨や洪水が頻繁に起こっている。これまで、想定したことはないと思われる浸水条件でのタンク火災や水上火災への対応を考えておく必要性を示す事例でもある。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Pemex.com,  Pemex Fights Fire in the Salina Cruz Refinery,  June 14,  2017  
    ・Pemex.com,  Progress in the Efforts to Fight the Fire in the Salina Cruz Refinery Pump House,  June 15,  2017    
  ・Pemex.com,  Fire in the Salina Cruz Refinery Extinguished,  June 16,  2017 
  ・Abcnews.go.com,  Fire Reported at Partially Flooded Mexican Refinery; 9 Hurt,  June 14,  2017
    ・Reuters.com,  Fire Breaks out at Mexico’s Top Refinery, 9 People Hurt,  June 14,  2017
    ・Taiwannews.com.tw,  1 Dead,  9 Injured in Refinery Fire in Southern Mexico,  June 15,  2017
    ・Hazmatnation.com,  9 injured in Pemex Refinery Blaze,  June 15,  2017
    ・Oilprice.com,  Pemex  to Restart Mexico’s Biggest Refinery after Major Fire,  June 15,  2017     
  ・Mexiconewsdaily.com, Pemex  Refinery  Fire Produced  Toxic Rain,  June 17,  2017 
  ・Ogj.com,  Fire Halts Operations at Pemex’s Salina Cruz Refinery,  June 16,  2017
    ・Theoilandgasyear.com,  Fire at Salina Cruz Refinery  Causes  Injuries,  June 15,  2017
    ・Radioyucatanfm.com, No cede el fuego en refinería de Pemex,  June 16,  2017
    ・Reuters.com, Mexico's Pemex to up Gasoline Imports after Refinery Fire ,  June 20,  2017



後 記: 前回の中国の事故に比べると、メキシコの情報公開はオープンだと感じます。国営企業のペメックス社はウェブサイトを通じて事故情報(声明)を3日連続で発信しています。しかし、火災の発生状況の説明が判然としません。事実を把握していないためか、意図的に理解しづらくしているようです。声明を出す前の取材からだと思いますが、当初は「含油廃水池が洪水によって油が溢流して火災になった」という情報を出したメディアもありました。失敗は小さく見せたがるという保身的な声明の典型例だと感じます。1日目の声明では、「負傷者が出たが、命にかかわるような状態ではない」と言っていた翌日、ひとりが死亡したと変わりました。今回の報道で知ったのですが、今年3月のペメックス社石油ターミナルの爆発事故でも、死傷者8名(4名死亡、4名負傷)は全員亡くなっていました。一方、今回も発災写真や消防活動の写真が事故の状況を理解する上で非常に参考になりました。