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2018年11月18日日曜日

米国のテキサス州サットン郡で石油パイプラインが火災、負傷者2名

 今回は、2018年11月10日(土)、米国テキサス州サットン郡にあるDCPミッドストリーム社の天然ガスのパイプライン設備で起こった火災事故を紹介します。
(写真はHazmatnation.com から引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国のテキサス州(Texas)サットン郡(Sutton County)にあるDCPミッドストリーム社(DCP Midstream)の天然ガスのパイプライン設備である。

■ 発災があったのは、郡道406号線(カセンバリ通り)沿いにある呼び径20インチの天然ガスパイプラインである。
        テキサス州サットン郡付近(中央部に郡道406号線)  (写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2018年11月10日(土)午前11時少し前、天然ガスパイプラインが破損して、火災となった。炎は100フィート(30m)ほどの高さに昇った。

■ 作業員が新しい天然ガスパイプラインを敷設しようとして、既設のパイプラインを破損し、破裂させたものとみられる。

■ この事故によって、ふたりが負傷した。うち、ひとりは、逃げる際に背中側の70%に2~3度の火傷を負うという重傷で、サンアントニオの病院にペリコプター搬送された。もうひとりは体の10%に火傷を負った。
(写真はHillcountrybreakingnews.comから引用)
被 害
■ 呼び径20インチの天然ガスパイプラインが破損し、一部焼損した。

■ 負傷者が2名出た。

< 事故の原因 >
■ 作業員が新しい天然ガスパイプラインを敷設しようとして、既設のパイプラインを破損し、何らかの引火源で着火し、火災を起こしたものとみられる。

< 対 応 >
■ 保安官事務所によると、パイプラインの圧力が降下するまで、火災が続く可能性が高いという。
(写真はRockspringsrecord.comから引用)
補 足
■ 「テキサス州」(Texas)は、米国の南部に位置し、南はメキシコ湾に面している一方、西部はメキシコと国境を接している。人口は約2,800万人で、州都はオースティンである。
 「サットン郡」(Sutton County)は、テキサス州の西部に位置するエドワード高原にあり、人口約4,100人の郡である。 郡庁所在地は人口約3,000人のソノラ(Sonora)である。
 サットン郡は原油および天然ガスの生産が盛んなところである。テキサス州の石油生産はメキシコ湾が有名だが、サットン郡では、陸上の油井で中規模の原油・ガス埋蔵量であり、1960年代後半から1970年代にかけて大量生産された。サットン郡で石油の生産行っているのは31事業者で、油井は9,300を超えている。サットン郡をグーグルマップで見ていくと、至るところに油井があることがわかる。米国はシェール革命といわれる時期から原油の生産量は大きく伸び、2018年にはサウジアラビアを抜く勢いといわれているが、サットン郡の原油および天然ガスの生産は2014年頃から急激に落ちている。
サットン郡の原油および天然ガスの生産量
(写真はTexas-drilling.comから引用)
■ 「DCPミッドストリーム社」(DCP Midstream)は、コロラド州デンバーに本拠を置き、天然ガスの生産、輸送、貯蔵、販売に携わっている石油企業である。同社1929年に設立され、Duke Energy Field Servicesと称していたが、20071月にDCP Midstreamに社名を変更した。
 郡道406号線(カセンバリ通り)をグーグルマップで調べたが、油井が多く存在し、事故現場を特定することはできなかった。しかし、郡道406号線(カセンバリ通り)をストリートビューで見ていくと、地面にじか置きのパイプが走っているのがわかる。集積用の石油のパイプラインではないかと思われる。
       郡道406号線(カセンバリ通り)沿い (パイプが見える) 
(写真はGoogleMap StreetViewから引用)
所 感 
■ この事故は、石油パイプラインの工事に関わる人為的ミスが原因と思われる。
 一方、事故現場である郡道406号線(カセンバリ通り)沿いには、日本では信じられないことだが、地面にじか置きのパイプが走っている。石油の油井が至るところにあり、人が住んでいない場所では、当たり前の風景なのであろう。このようなところでは、危険物の意識が薄くなるのは当然であろうと感じる。

■ 石油パイプラインの火災への対応はおおらかである。天然ガスであるため、消火することはかえって危険な所為もあるが、消防隊による活動が行われた様子はない。油井からのバルブを閉めて、内液の流れがなくなるのを待ったと思われる。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Conchovalleyhomepage.com, Sutton County Pipeline Fire,  November 10  2018
    ・Hazmatnation.com, Pipeline Explosion Reported in Texas,  November 10  2018
    ・Hillcountrybreakingnews.com,  Pipeline Rupture in Sutton County Causes at Least 2 Injuries,  November 11  2018  
    ・Oilfield1.com, Texas Pipeline Explosion, Major Injuries Involved,  November 11  2018
    ・Reuters.com,  Fire on pipeline in Sutton County, Texas injures two: local media,  November 12  2018
    ・Zehllaw.com, Pipeline Ruptured as Workers Were Digging for New Line,  November 12  2018
    ・Rockspringsrecord.com, Two Injured in Sutton County Pipe Line,  November 15  2018


後 記: 本情報を入手したときには、スマホで撮ったと思われる動画くらいしかなく、事故状況を伝えるという内容のものではありませんでした。しかし、ほかに貯蔵タンクの事故はありませんでしたので、米国の報道の実態の一面を伝えるということから、ブログにまとめることとしました。
 しかし、調べてみると、面白いことを知り得ました。グーグルマップでは、サットン郡には、数多くの油井がある一方、人家が見当たりません。これがアメリカでしょう。また、ストリート・ビューでは、地面にじか置きのパイプが走っていることが分かりました。これもアメリカなのでしょう。そのうちに、事故の内容を伝える記事が出てきました。その主なものは米国のローカルの新聞によるものだということを知りました。米国の地方では、地元の新聞が発行され続けているのですね。(写真を参照)


2018年11月5日月曜日

中国・青島の死者62名が出た原油パイプラインの爆発事故(2013年)の原因


 今回は、20131122日(金)、中国の山東省青島市で起こった原油パイプライン漏れに伴う爆発事故の原因について紹介します。(事後直後の情報は、「中国・青島で原油パイプライン漏れに伴う爆発で、多数の死傷者」20131130日)を参照)
(写真はThepaper.cnから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、山東省(さんとう省/シャントン省)青島市(ちんたお市/チンダオ市)の中心地から膠州湾(こうしゅうわん)を挟んで約4km離れた黄島区(こうとう区/ファンダオ区)の青島経済技術開発区に位置し、中国石油化工パイプライン社の保有する石油施設である。中国石油化工パイプライン社は中国石油化工(シノペック)の子会社である。

■ 発災があったのは、青島経済技術開発区の秦皇島道路の東西方向に沿って走っている埋設の原油パイプラインである。パイプラインは東黄パイプラインといい、輸送能力2,000万トン/年、設計圧力6.27MPa、全長248.5km、管径711mm、材料API5LX-60ストレート溶接鋼管で、外面防食被覆と陰極防食法の電気防食で保護されていた。
青島市の経済技術開発区付近 ×印は爆発地点)
(写真はグーグルマップから引用
東黄パイプライン(口径711mm、東営市から黄島石油基地まで248km
(図はCiedu.com.cnの動画から引用
青島市黄島区市街地の東黄パイプラインのルート
(図はCiedu.com.cnの動画から引用
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2013年11月22日(金)午前10時25分頃、青島市で原油パイプラインの漏れに伴って大爆発が起こる事故があった。地下に埋設されたパイプラインで、22日午前2時12分頃に漏れがあり、対応作業中に爆発したものである。
爆発地点秦皇島通りと斎堂島通り交差点付近)
(図はCiedu.com.cnの動画から引用)
■ 122日(金)午前212分、原油パイプラインの計器室において、パイプライン圧力が4.56MPaから4.52MPaに降下したのを確認した。受入先の黄島石油基地に電話で連絡した結果、東黄線パイプラインが漏れていると判断し、午前225分、パイプラインを緊急停止した。さらに、黄島石油基地から24.5km離れた洋河にある遮断弁を閉じるように連絡し、午前320分頃、遮断弁が閉止された。

パイプライン破裂による道路への油流出
(図はCiedu.com.cnの動画から引用)
■ 原油漏れは、黄島区の秦皇島通りと斎堂島通り交差点付近においてパイプラインが破裂したためで、移送が停止された午前3時20分頃でまでの68分間、舗装道路に1,000㎡の範囲にわたり流出した。

■ 午前3時40分頃、中国石油化工パイプライン社の従業員が黄島石油基地から約1.5km離れた漏洩現場に到着した。 人員を手分けして路面に漏洩した油の清掃を行うとともに、応援を要請した。クリーンアップの作業員は清掃に追われたが、午前5時頃には通り全体が油の臭いで満たされていた。午前6時過ぎ、交差点付近の600m以内に警戒線が引かれたが、その中を平気で通り過ぎる人たちがいた。

■ 午前6時頃、中国石油化工パイプライン社は海上に流出した油のクリーンアップを始めた。
 漏洩した原油の一部が雨水暗渠を通じて膠州湾に流出したもので、原油による海上汚染の範囲は約3,000㎡にわたった。午前8時30分に青島市環境保護局が報告を受け、河口に作業員を派遣し、対応を始めた。中国石油化工パイプライン社は数百㎡の面積をカバーするオイルフェンスを展張した。

■ 午前7時頃、中国石油化工パイプライン社は重機を使用して、漏洩箇所付近を掘り始めた。午前7時40分、2m×2m×1.5mの穴を掘って漏洩部を露出させ、午前8時20分に漏洩箇所を確認した。
 現場では、漏洩した油の処理のため、市当局が管理する雨水暗渠の蓋を開けることとした。このため、パワーショベルや油圧圧砕機などが使用された。
パワーショベルによる漏洩個所の掘削
(図はCiedu.com.cnの動画から引用)
雨水暗渠の蓋を壊すための油圧圧砕機
(図はCiedu.com.cnの動画から引用)
雨水暗渠の蓋を壊す油圧圧砕機(火花要因)
(図はCiedu.com.cnの動画から引用)
■ 午前1025分、現場の作業中に爆発が発生した。漏れた原油が雨水管渠へ流れ込み、海河通りと斎堂島通りの交差点付近を中心に爆発を起こしたとみられる。さらに、雨水管渠内と海上に流出していた原油が火災を起こした。
パイプライン破裂による道路と雨水暗渠への油流出
(図はCiedu.com.cnの動画から引用)
雨水暗渠内への油流出
(図はCiedu.com.cnの動画から引用)
■ 爆発の破壊力はすさまじく、道路を壊し、多くの建物や車が被害を受けた。路面が浮き上がり、破片が飛び散り、人に当たり、建家のガラスを砕き、車の中には高さ2mほど吹き飛ばされたものもあった。地面には、多くの亀裂が走り、最長のものは約1,500mに達した。爆発の周辺地区は断水し、停電が起こった。
                      雨水暗渠内で次々と爆発   (図はCiedu.com.cnの動画から引用)
 消防署が通報を受けたのは午前1025分だった。出動した消防隊は消防士約200名、消防車両45輌で、午後1240分までに視認できた火災を消火した。また、3箇所の病院から44台の救急車と1,195名の医療スタッフが派遣され、救助活動が行われた。
(写真はSohcradio.comから引用)
(写真はNews.k618.cnから引用)
■ 事故が起こった後、黄島区では、住民の避難が実施され、移動した人は18,000人にのぼった。環境保護部門は青島市の市街区での空気質は爆発の影響を受けていないと発表した。

■ 原油パイプラインが漏れてから爆発が起こるまでに7時間あったが、この間に予防措置としての住民避難がなかった。青島市は避難指示を出していなかった。

■ この爆発によって市民に多数の死傷者が出ており、死者62人、負傷者136人にのぼった。

(写真はNews.hsdhw.comから引用)
■ 海事部門は、6月23日(土)も海のクリーンアップを行うため、30隻以上の漁船を出した。オイルフェンスは約3,000m展張され、10トンの分散剤が使用され、23日(土)昼頃にはかなりの油濁が処理された。しかし、膠州湾沖合に広がった流出油のクリーンアップは1か月以上の期間を要した。

■ 習近平主席は地方当局に対して、行方不明の人の捜索、負傷した人の治療、そして事故の原因追究を指示した。救助活動は事故発生の翌23日(土)も続けられ、24日(日)は激しい雨の中で行われている。24日(日)には、習主席が青島の病院を訪問し、負傷者と医療スタッフを慰問した。

被 害
■ この爆発による死者は62人、負傷者は136人である。
 爆発事故後、住民の避難が実施され、移動した人は18,000人にのぼった。

■ 原油の総漏洩量は、約2,000トンと推定されている。被害総額は7.5億元(120億円)である。
                油流出と爆発による影響    (図はCiedu.com.cnの動画から引用)
< 事故の原因 >
■ 直接原因 
 原油パイプラインが腐食して減肉し、配管圧力に耐えられず破裂した。原油がパイプラインから漏洩し、排水暗渠に流入するとともに道路路面に流出した。原油流出後、現場で暗渠の蓋を開けるために使用した重機によって火花が発生し、暗渠内に形成した爆発混合気に引火して爆発を起こしたものとみられる。

■ 腐食要因
 事故の要因は、軽質原油のパイプラインを地方自治体の暗渠内に入れたことである。パイプラインはカルバート式の雨水暗渠内を通過していた。パイプラインは地下水による塩化物の腐食環境にあり、さらに暗渠内は潮汐の変化による塩分の影響を受けるほか、道路からの振動の影響を受け、腐食環境の高い場所だった。漏洩していた個所はパイプラインの下部だった。

■ 間接要因
 原油パイプラインは山東省東営市から青島市黄島石油基地まで敷設され、1986年7月に運転を開始後、27年間を経過している。2011年には、シノペックは東黄線パイプラインの危険性について認識していた。原油パイプライン敷設後、街がにぎやかになり、多くの建物が増え、パイプラインの防食部をメンテナンスできないところが出てきた。

< 対 応 >
■ 爆発事故の調査は、国務院が「11.22中国石油化工黄東石油パイプライン漏れ爆発」としてチームを編成してあたった。

■ シノペックは、事故後、漏れのあったパイプラインは27年間使用していると発表した。パイプラインは、青島市黄島区から東営市まで結ばれており、1986年7月から使用され、直径711mm(呼び径28B)、全長248.5kmであった。

■ 中国メディアの財新は、パイプラインが住宅地から15m以上離さなければならないとする法規制に合っていないと指摘した。さらに、シノペックは、2年前にセキュリティ上のリスクがあることやパイプラインの経年劣化について把握していたにもかかわらず、改善計画を進めなかったと指摘している。

■ 青島市の警察当局は、2013年11月26日(火)までに、シノペックの関係者7人と地元の経済開発区関係者2人を拘束、本格的な事情聴取を始めたことを「微博」を通じて明らかにした。事故をめぐっては、パイプラインの管理の仕方や破裂から爆発までの間に周囲の住民に危険が知らされていなかったことなどが問題視されていて、警察当局は今後、安全対策や事故後の対応に問題がなかったか、9人を追及していた。

■ 事故の責任によって、2015年11月、中国石油化工パイプライン社の運送部長、同社の安全環境観察部長、同社の濰坊いほう)地区石油運輸部長、青島市経済技術開発区管理委員会の緊急時対応部主任、青島市経済技術開発区安全監察局副局長、石油化学区分局局長ほか14人が罰則の判決を受けた。なお、中国石油化工の総裁は行政処分を受け、同社の副総裁は解任されている。青島市長は行政警告を受けている。

補 足
■ 「中国」は、正式には中華人民共和国で、1949年に中国共産党によって建国された社会主義国家である。人口約138千万人で、首都は北京である。
 「山東省」(さんとう省/シャントン省)は、中華人民共和国の東部にある省で、北に渤海、東に黄海があり、黄河の下流に位置する。人口は約9,580万人、省都は済南である。
 「青島市」(ちんたお/チンダオ市)は、山東省の東部に位置する港湾都市で、市区人口約370万人、総人口約910万人と東部沿岸の重要な経済と文化の中心であり、近代的な製造業やハイテク産業基地がある。
 「黄島区」(こうとう区/ファンダオ区)は青島市の市轄区で、膠州湾入口の西側に位置し、青島市街地と海を隔てて向かいあっている。人口約149万人で、青島経済技術開発区を有している。

■ 「中国石油化工」は、正式には「中国石油化工集団公司」(ちゅうごくせきゆかこうしゅうだんこうし)といい、国務院国有資産監督管理委員会が監督・管理する国有企業である。英語名はChina Petrochemical Corporationで、通称「Sinopec(シノペック)」と呼ばれる。1998年、国務院の機構改革のもとに当時の中国石油化工総公司と中国石油天然気総公司が事業を再編され、中国石油化工集団公司(シノペック) と中国石油天然気集団公司(CNPC)の二大石油企業が誕生した。2000年、中国石油化工集団公司のうち、油田・工場・販売などの現業部門が分割民営化され、「中国石油化工股份有限公司」が誕生し、香港、上海、ロンドン、ニューヨークの各証券取引所に上場している。シノペックは、青島市黄島区に精製能力20万トン/日の青島製油所と石油化学プラントを有する。

所 感
雨水排水溝を横断する東黄パイプライン
(図はCiedu.com.cnの動画から引用)
■ 事故直後には、原油パイプラインの敷設がどのように行われていたかはっきりしなかったが、今回の情報で明確になった。パイプラインの雨水排水溝の横断方法が、埋設部と変わらない安易な形体をとったという印象である。それでも、パイプラインの通る上部部分だけが道路になっておれば、パイプラインを外観で見ることができ、検査も容易だっただろう。しかし、市街地の雨水排水溝の上に蓋をして道路を作ってしまったため、パイプラインが見えなくなってしまった。日本の町でも、雨水排水溝に蓋をして新しい土地を作ったりすることは少なくない。青島の場合、不幸ことに雨水排水溝が完全に暗渠となってしまい、危険物の通る危険な雨水暗渠になってしまった。そして、おそらく時間経過とともに、人々は道路の下に雨水排水があることも、まして原油パイプラインが走っていることも忘れてしまっていただろう。
 
■ 前回、パイプラインの補修を急ぐという明らかに操業優先の判断があったと述べた。これは、青島の事例だけでなかった。
   青島事例の4か月前に起こった事例では、パイプラインの破損補修を11時間で終わらせるという
   二次災害の危険性を無視し、操業を優先した荒い補修工事が行われている
   この事故は、建設用タワークレーンが倒壊して埋設の石油パイプラインを破損させた事例である。
   5日前に青島の事故があったばかりで、さすがに住民避難が優先的に行われたようだが、相変わらず
   油のクリーンアップ作業が完了していない段階で、溶接補修工事という非常に危険性の高い作業
   行われている。
 今回の事故では、直径711mmの配管の破裂箇所から2,000トンもの原油が流出している。必ずしも、補修工事を優先したのではなく、雨水暗渠内の流出油の処理作業を行おうとする対応だったようにも思える。しかし、大量の油流出の中で、補修工事という非常に危険性の高い作業を優先して行われようとしていたことへの疑念は払拭できない。中国の経済発展の裏にある陰の部分だといえるし 62人の死者と136人の負傷者を出し、余りにも大きな代償だったと思う。

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである
    ・Tank-accident.blogspot.com,  中国・青島で原油パイプライン漏れに伴う爆発で、多数の死傷者,  November  30,  2013 
  ・ Baike.baidu.com, 11·22青岛输油管道爆炸事件,  August  15,  2018
  ・ Zh.wikipedia.org , 2013年青岛输油管道爆炸事故,  July  28,  2018
  ・Bbc.com ,青岛输油管爆炸事故一审14人获刑,  November  30,  2015
    ・News.sohu.com,  山东青岛11-22中石化输油管道爆炸事故调查报告,  January  11,  2014
    ・Qingdao.iqilu.com ,  山东青岛11-22中石化输油管道爆炸事故调查报告,  December  15,  2014
 

 後 記: 今回の事例について、中国では大きな教訓として活かそうということを感じます。事故調査報告に関してメディアから多くの情報が出ていますし、事故についてアニメーションが作成されており、状況が理解し易くなっています。(ただし、事故調査報告書そのものの検索はできない) 62人の死者と136人の負傷者を出したのですから、当然といえますが。報道の多くは、漏れから爆発までに7時間あったにもかかわらず、住民への避難指示が出されていなかったという批判です。事故の重大性から習近平主席が現地へ趣いており、親会社の中国石油化工の総裁や青島市長などへの行政処分が行われています。本ブログでは、この事故の責任については簡単に触れるだけにしました。ちょっと脇道にそれますが、東京電力福島原発事故で責任が無かったと主張する東京電力最高経営者への裁判が行われており、どうしても比較して考えてしまいました。