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2022年7月16日土曜日

ナイジェリアのマトリックス社のLPG施設で爆発・火災、死傷者17名

 今回は、202278日(金)、アフリカのナイジェリアのデルタ州ウォーリ(Warri)にあるマトリックス・エナージー社のタンク・ターミナルにおいて石油液化ガス(LPG)施設が爆発して火災が起こり、死者5名と負傷者12名が出た事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、アフリカのナイジェリア(Nigeria)デルタ州(Delta)ウォーリ(Warri)にあるマトリックス・エナージー社(Matrix Energy)である。

■ 発災があったのは、マトリックス・エナージー社のウォーリにあるタンク・ターミナルの石油液化ガス(LPG)施設である。


< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 202278日(金)午後725分頃、マトリックス・エナージー社のタンク・ターミナルにある石油液化ガス(LPG)施設で爆発があり、火災が発生した。

■ 爆発があった時、多くの建物で地響きがし、揺れたため、住民は安全を求めて外へ逃げ惑った。別な住民は複数回の爆発音を聞いたと語っている。

■ 発災に伴い、デルタ州消防局などの消防隊が出動した。

■ 爆発・火災は積込み作業中に起こったとみられる。現場は混乱していて戦場のようだったという。

■ 事故によって死者5名と負傷者12名が出た。負傷者12名は病院へ搬送され、入院した。亡くなった人のうち、ふたりはエフルン(Effurun)にある石油訓練校の学生だった。発災当時、ふたりはインターンとして現場で従事していた。

■ マトリックス・エナージー社は、79日(土)、声明を発表し、その中で、「202278日(土)1925分頃、ウォーリにあるLPG施設で火災が発生しました。発災後、私どもは緊急事態対処計画を発動するとともに、デルタ州消防局、ナイジェリア港湾局、ウォーリ製油所石油化学、ナイジェリアガス社、シェル石油開発の安全チームの支援を受け、火災を制御しました。今後、私どもは事故の直接原因と間接要因を明らかにするために調査を開始します」などと述べている。

被 害

■ 液化石油ガス(LPG)施設の設備が爆発と火災で損傷した。

■ 事故によって死者5名と負傷者12名が出た。

■ 近くの住民は自主的に避難したとみられる。

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は調査中である。

< 対 応 >

■ 火災は午後1020分までに制圧されたという情報があるが、79日(土)の未明も火は残っており、消防隊が消火活動を行った。

■ 79日(土)午前中、州の石油・ガス担当委員らのデルタ州政府代表団が事故現場を視察した。

補 足

■「ナイジェリア」(Nigeria)は、正式にはナイジェリア連邦共和国で、西アフリカに位置し、アフリカのほぼ中央にあり、人口約21,100万人の連邦制共和国で、イギリスの連邦加盟国のひとつである。人口はアフリカ最大で、世界でも7位である。ナイジェリアは原油産出国であるが、違法な石油精製施設が作られ、危険な手順で精製されており、農地や河川に油流出によって汚染の問題が出ている。また、20224月には違法な精製施設が爆発し、多数の人が亡くなるという事故が起こっている。

「デルタ州」(Delta)は、ナイジェリアの南部に位置し、人口約470万人の州である。

「ウォーリ」(Warri)は、デルタ州の中部に位置し、人口約53万人の市である。

 なお、ナイジェリアの事故としては、つぎのような事例がある。

 ● 20146月、「ナイジェリアの石油ターミナルで落雷、タンク火災、その後油流出」

 ● 202011月、「ナイジェリアのラゴスでOVHエナージー社のガソリンタンク火災」

「マトリックス・エナージー社」(Matrix Energy)は、2004年に設立されたナイジェリアの石油企業で、石油の貯蔵・物流・販売を行っている会社で、近年、石油探査と生産に展開している。また、ナイジェリアはアフリカで最も液化石油ガス(LPG)の使用の低い国のひとつだったのに対してマトリックス・エナージー社は、2018年以降、LPG施設への投資を行っている。マトリックス・グループは、デルタ州ウォーリに4つの石油貯蔵施設を所有し、運営しており、合計容量は白物製品が150,000KLLPG5,000トンで、水深11m×全長224mの専用桟橋を備えている。


所 感

■ 今回の爆発・火災は積込み作業中に起こったとみられるという。例えば、例えば、2004年ドイツで起こった「タンクローリーの荷積み時、LPGが漏洩・火災」の事例のようなタンクローリー積込み作業時の設備不良や操作ミスによることが考えられる。

 一方、発災は従業員や作業員が少なくなると思われる午後725分頃に起こっている割に死傷者が17名も出ており、何らかの異常が発生して点検中に急変して爆発が起きたことも考えられる。また、被災後の現場写真では広範囲に設備が破損しており、発災時の火災写真では石油液化ガス(LPG)の多量漏洩によって起こった事故であるようにも見える。

■ 事業者は、「発災後、緊急事態対処計画を発動するととも・・・」とセオリーどおりに述べているが、事故時でもっとも把握すべき事項のひとつである人員の確認がおそまつである。本文では、事故によって死者5名と負傷者12名が出たと記載したが、当初の情報では負傷者無しであり、その後も死傷者の人数は報道によって異なっている。火災が消えた時間もはっきりせず、現場指揮所の対応は実際どのようなものだったか疑問の残る事例である。  


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Tankstoragemag.com, Fire at Delta State tank farm injures 12,  July  11,  2022

    Punchng.com, Two students die in Delta tank farm explosion,  July  11,  2022

    Businessday.ng, Explosion rocks Matrix Tank Farm in Warri,  July  09,  2022

    Ait.live, Fire guts tank farm in Ifiekporo, Warri South in Delta State,  July  09,  2022

    Dailypost.ng ,  Fear in Delta community as explosion rocks tank farm,  July  09,  2022

    Allafrica.com,  Nigeria: 5 Drown Fleeing Warri Tank Farm Explosion - 8 in Critical Condition,  July  12,  2022

    Sunnewsonline.com, 5 die in Delta tank farm explosion, divers recover,  July  12,  2022

    Nigerianobservernews.com, Multi-million Naira tank farm gutted by fire,  July  12,  2022

    Thenationonlineng.net, 12 injured in Delta tank farm fire,  July  09,  2022

    Ripplesnigeria.com, Three people feared dead as explosion rocks tank farm in Delta,  July  09,  2022

    Thisnigeria.com, Delta tank farm explosion: 12 people hospitalized, as Govt says no life lost in fire incident,  July  10,  2022

    News9ja.ng, Two Petroleum Institute Students Killed In Delta State Explosions As Colleagues Demand Justice,  July  13,  2022

    Leadership.ng, 2 Students Die In Delta Tank Explosion,  July  13,  2022

    Sunnewsonline.com, Delta: 12 hospitalised as Okowa sends delegation to explosion site ,  July  09,  2022


後 記:まだまだ新型コロナの影響は続いており、報道の質は上等とは言えないです。ということで、ナイジェリアの報道の自由度ランキング2022年を見てみましたら129位と良くない状況です。(ちなみに、日本71位、ロシア155位です) 今回の報道では、被災写真が少ないことです。明らかに事故とは関係のない写真が掲載されているメディアもありました。そのような中、6枚つづりの説明文なしの写真がありました。(下の写真参照)

被災状況の写真かと思い一枚ずつコピーしておきました。あとでよく見ると、同じ場所あたりを撮影しているようだということが分かり、貼り合わせてみたところ、被災状況が理解できるものになりました。これがブログの標題に使った合成写真です。なぜ、このような理解しづらい6枚つづりの写真にしたか分かりませんが、もっと被災状態がはっきりと分かる写真があるだろうと思っています。

 ところで、今回、採用しなかった被災写真の例を紹介しておきます。これも説明文なしで、本当に火災終盤の被災写真かも知れませんが、フェークとした訳は“勘” としかいいようがありません。


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