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2024年9月26日木曜日

米国ノースダコタ州の石油生産施設で原油タンクが爆発・火災

 今回は、2024916日(月)、米国ノースダコタ州スターク郡ディキンソンにある石油生産施設で、原油タンクが爆発し、火災になった事例を紹介します。比較的小型の原油タンクでしたが、火災の制圧に手こずり、発災後3時間でようやく鎮火しています。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、米国ノースダコタ州North Dakotaスターク郡Stark CountyディキンソンDickinsonにある石油生産施設である。

■ 発災があったのは、ディキンソンの15番ストリート・ウェスト/40番アベニュー・ウェスト付近にある石油生産施設の原油タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2024916日(月)午前6時頃、ディキンソンにある石油生産施設の原油タンクが爆発し、火災になった。

■ 火災による濃い煙が空に広がった。

■ 発災にともない、緊急通報があり、ディキンソン消防署が出動した。

■ 火災がウェストリッジ・アパートのある住宅地やファミリーフェア・スーパーマーケットのある商業施設に近かったため、当初、避難指示が出された。近くで建物の建設中だったが、作業は中断された。

■ 消火活動には、ディキンソン消防署のほか、ボランティア型のディキンソン在郷消防署、マラソン・リファイナリ消防隊が協力した。消火は泡消火剤が使用された。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。

被 害

■ 原油タンク1基が焼損した。内部の油が焼失した。

■ 負傷者は出なかった。

■ 住民への避難指示が出された。

< 事故の原因 >

■ 火災の原因は調査中である。

< 対 応 >

■ ディキンソン消防署は、当初、住民の安全を確保するために避難指示を発令した。しかし、消防当局は現場に到着し状況を評価した後、火災が拡大する要因はないと判断し、避難指示を解除した。一方、火災現場がディキンソン中学校に近かったため、風向きが変わって黒煙が学校に向かって流れた場合に備えて、緊急対応要員は生徒と職員の避難準備を整えた。

■ ディキンソン消防の救急隊とディキンソン公共事業局の緊急要員が支援に駆けつけ、必要に応じて医療支援の体制を整え、付近の交通整理を行った。

■ 消火活動中に火勢が変化するため、消防隊は火災を封じ込めるのに手こずった。消防署長は、予想しがたい火勢について、通常、火災は燃え尽き始めるが、今回のように火災の熱が強すぎると、再燃を繰り返すのだと説明した。火災の制御が難しい状況が続き、3時間近く燃焼したのち、鎮火した。

■ 爆発の原因は地元当局によって調査中である。捜査官らは爆発とその後の火災の原因を調査しており、当局は近隣の原油生産施設の潜在的な危険性について警戒を続けた。

補 足

■「ノースダコタ州」North Dakotaは、米国の北部に位置し、カナダに接する州で、人口約78万人である。州都はビスマルク市である。ノースダコタ州はシェールオイルの生産による石油ブームが続いており、石油生産量はテキサス州につぐ全米第2位になっている。

「スターク郡 Stark Countyは、ノースダコタ州の西部に位置し、人口約33,000人の郡である。

「ディキンソン」Dickinsonは、 スターク郡の中央北に位置し、人口約25,000人の都市である。

■「発災場所」に関しては、近くに8基のタンクを有する石油生産施設があったが、被災写真や近くのアパートなど割に詳しく報じられていたので、特定できた。事故のあった施設には、固定式屋根タンクが1基しかなく、隣には小型の石油掘削装置らしい機械があるだけである。石油生産施設としてはあまり見たことがない。ノースダコタ州はシェールオイルの生産が盛んであり、試掘で使用した機械とタンクで少量の原油を生産しているのではないだろうか。「発災タンク」の大きさはグーグルアースで調べてもはっきりしない。直径を23m、高さを46mとすれば、容量は1242KL程度である。

所 感

■ タンクの爆発・火災の原因は調査中であるが、発生時刻が午前6時頃と早く、落雷などの火気といった話は出ておらず、予想がつかない。

■ 今回のタンク火災で特異なことは、消火活動中に火勢が変化するため、消防隊が火災を封じ込めるのに手こずったということである。消防署長は、予想しがたい火勢について、通常、火災は燃え尽き始めるが、今回のように火災の熱が強すぎると、再燃を繰り返すのだと説明した。被災写真を見ると、発災初期段階は屋根が噴き飛び、通常のタンク全面火災の様相であるが、別な時間帯の写真では、タンク外のプール火災になっている。

 この要因は、タンク内の原油の比重が重く、生産油の段階でも完全に水がタンク底に静置せず、原油中に遊離水や自由水として存在していたため、一種のスロップオーバーやボイルオーバー現象が生じ、急激な沸騰で内部の原油が噴き出したためではないだろうか。あるいは、消火活動中に冷却水や泡消火水がタンク内に入り、同様に急激な沸騰が起こり、噴き出した原油がタンク外のプール火災になったことも考えられる。

■ 消火戦略には、「積極的戦略」、「防御的戦略」、「不介入戦略」の3つがある。通常、水圧破砕方式で塩水処理設備を有する陸上石油生産施設では、不介入戦略や防御的戦略がとられることが多い。今回は鋼製タンク1基の施設で、積極的戦略がとられた。しかし、消火戦術が適切ではなく、火災の制圧に時間がかかった。近くにあるマラソン・リファイナリ消防隊が支援に出動したと報じられているが、これは泡消火剤の使用を判断してから依頼したのではないだろうか。今回の事例は比較的小型のタンクであるが、かえって容量の小さいタンクの場合、消火戦術をきちんと決め、使用する消防資機材が十分であることを確認したのち、消火活動を実行しなければならないと感じる。

 (注;マラソン・ペトロリアムのディキンソン製油所は、最近、大豆油とコーン油を再生可能ディーゼル油に変える工場に転換している)


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    ・Thedickinsonpress.com,  Crude oil tank fire extinguished,  September 16, 2024

    ・Kxnet.com, Investigation continues into Dickinson crude oil tank fire,  September 22, 2024

    Kfyrtv.com, Dickinson crude oil storage tank fire put out,  September 17, 2024


後 記: 今回の事例では、グーグルマップとグーグルアースのストリートビューの威力を感じました。平面や3Dの地図でははっきりとしなかった発災施設の位置や発災タンクの外観を知ることができました。それがどうしたと言われれば、身も蓋もないのですが、グーグルマップやグーグルアースを活用している私にとってはひとつの進歩です。下図に特定に至ったストリートビューと平面の地図の相関を示します。


2024年9月21日土曜日

米国カリフォルニア州の山火事でプロパンガスタンクが爆発

 今回は、2024724日(水)、米国カリフォルニア州ビュート郡チコ市近郊で発生した山火事(パーク・ファイアと命名)の状況とともに、丘陵地域にある住宅地にあるプロパンガスタンクが爆発した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国のカリフォルニア州(California)ビュート郡(Butte)チコ市(Chico)近郊で発生した山火事である。

■ 事故があったのは、丘陵地域にある住宅地にあるプロパンガスタンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2024724日(水)、チコ市のビッドウェル・パーク(Bidwell Park)で放火とみられる山火事が発生した。

■ 724日(水)遅く、ビュート郡とテハマ郡の広範囲に避難命令が出され、丘陵地帯のコミュニティでは多くの人が避難した。山火事はパーク・ファイアPark Fire)と名づけられた。

■ チコ市の北東で燃えているパーク・ファイアの規模が拡大し始め、ロッククリーク通り沿いの住宅で爆発があり、炎上した。山火事の炎が漏れていたプロパンガスタンクに引火したためとみられる。山火事を取材していたフォトジャーナリスト(カメラマン)は、爆発の前に貯蔵タンクから漏れ出ていると思われるプロパンガスのシューという音を聞いたと語った。 爆発によって住宅から巨大な火の玉が噴き出し、火と煙の柱が夜空に上がった。

■ フォトジャーナリストによると、爆発した住宅の周辺には他に30軒ほどの家があったといい、火災で少なくとも4軒の家が全焼したのを見たという。撮影されたビデオには、チコ近郊の山火事で複数の建物が破壊される様子や住宅でプロパンガスタンクが爆発し、ガス管が繰り返し炎上する様子が写っている。

■ チコ市の山側に住む5人の子供の母親である住民は、山火事パーク・ファイアが迫る中、自宅から避難した数百人のうちのひとりである。彼女は、道路の向こう側で火事が始まったとき、家族とともにフォレスト・ランチの自宅を離れることを決めた。彼女は「早期避難警報の連絡網に申し込んでいたため、警察官が我が家に来たのですが、自主避難が必要だと告げた後、戻って来ないと言い、車に向かって走っていったので、危険を感じました」と語った。

■ 山火事パーク・ファイアは726日(金)夜に完全に乾いた燃料の中で急速に拡大し、消防士らが危険に対処しようと奔走する中、数千戸の住宅を脅かした。パーク・ファイアの激しさと広がりから、消防当局は、2018年に近くのパラダイスで制御不能に陥り、85人が死亡し、11,000戸の家屋が焼け落ちた恐ろしい火災を思い出し、比較してしまった。この火災により、これまでに130棟以上の建物が焼失し、さらに多くの住宅が危険にさらされている。

■ 山火事パーク・ファイアは当初爆発的に拡大し、カリフォルニア州の記録上4番目に大きな山火事となった。 一時、好天に恵まれて勢いが弱まったが、また、暑さと相対湿度の低さにより再び勢いを増し、シエラネバダ山脈の西側斜面を北上している。カリフォルニア州消防局によると、鎮火率は34%のままである。

■ 米国西部やカナダの他の地域も、726日(金)、雷によって山火事が急速に広がり、人々が火災で囲まれた道路を逃げ回り、厳しい状況に陥った。記録的な猛暑と極度の乾燥状態が続く中、気候変動により落雷の頻度が増加している。

■ オレゴン州東部では、山火事の消火活動中に墜落した小型空中給油機のパイロット1名が死亡した。

■ ユーチューブには、山火事の状況を撮影された動画などのニュースが投稿されている。プロパンガスタンクが爆発した頃の7月終わりに投稿された動画の主なものはつぎのとおりである。

  YouTube Park Fire: Home explodes as wildfire descends on area near Chico2024/7/26

  ●YouTube California‘s Park Fire surges in size, forces thousands to evacuate2024/7/26

  ●YouTube Video Now: Park Fire continues to burn in California2024/7/27

被 害

■ 811日(水)時点の山火事パーク・ファイアの焼失面積は429,188エーカー(1,736 ㎢)で、内訳はビュート郡 52,937エーカー(214 ㎢ )、テハマ郡 376,251エーカー(1,522㎢)である。両郡では、641棟の建物が破壊され、52 棟の建物が損傷した。   

■ この山火事で住宅地にあったプロパンタンクが爆発し、損壊した。 

< 事故の原因 >

■ 山火事の原因は放火による。

< 対 応 >

■ 山火事パーク・ファイアの原因になった放火したという犯人は724日(水)に逮捕された。放火の疑いで告発されている男は、燃えている車を市立公園の渓谷に突き落として火災を引き起こしたとされる。

■ カリフォルニア州消防局は、2024811日(水)、山火事パーク・ファイアの火勢が昨晩は落ち着いてきたと発表した。いくつかの新しい小さな火災はあるが、封じ込めラインは維持されている。一方、太い枯れ木や倒木がくすぶり続け、まだ燃えていない燃料源があり、制御ラインを脅かしている。ミル・クリーク地区では、一晩で湿度が回復した。次週初めから徐々に冷え込みが始まり、気温は平年並みかそれ以下まで下がる見込みである。消防隊は、制御ラインを構築し、すでに構築されたラインとの連結を行い、可能な限り積極的に消火活動を続けている。

■ 811日(水)時点の山火事パーク・ファイアの焼失面積は429,188エーカー(1,736 ㎢)で、内訳はビュート郡 52,937エーカー(214 ㎢ )、テハマ郡 376,251 エーカー(1,522㎢)である。両郡では、641棟の建物が破壊され、52 棟の建物が損傷している。損害検査チームは被害評価を終えている。

■ 山火事パーク・ファイアは、724日(水)にチコ東部のアッパービッドウェルパークで発生し、急速に広がり、826日(水)までにビュート、プラマス、シャスタ、テハマ各郡の429,603エーカー(1,738㎢)に広がった。600平方マイル以上の広さはサンフランシスコの13倍、ニューヨーク市やロサンゼルスよりも広い。9月に入った状況は、つぎのとおりである。

 ● 98日(日)時点、火災は99%鎮火した。

 ● 726日(金)、ビュート郡とテハマ郡で非常事態宣言が発令され、パーク・ファイアはカリフォルニア州史上4番目に大きな山火事で、2020年のSCUライトニング・コンプレックスを上回り、州史上2番目に大きな単独(複合ではない)山火事となった。

 ● 被害の点ではビュート郡が最も大きな被害を受けた。

 ● 火災により住宅を含む700棟以上の建物が破壊された。

 ● 8月下旬、パーク・ファイアの焼け跡は洪水警報の対象となり、土石流による地滑りの可能性が緊急管理者と近隣住民にとって大きな懸念事項となった。

 ● 被災した郡の人々が地元当局の命令により避難したが、多くが帰宅した。しかし、まだ何百人もの人々が長期にわたる避難生活に直面している。

■ 北米の山火事シーズンは、通常、春から始まって秋まで続く。しかし、気候変動の影響が増大するにつれて、災害は予想される季節を無視し続け、頻度と激しさが変化している。米国西部の今年の山火事は、主にオレゴン州、アイダホ州、ワシントン州、カリフォルニア州で発生しており、オレゴン州林業局の広報担当官は「今シーズンは、例年より早く始まったこともあり、対応が難しさを極めています」と言う。こうした状況は、事態の収拾を任されている消防士や消防資機材に大きな負担をかけており、各州は遠くハワイやニュージーランドからも援軍を要請しなければならない。20247月、国立合同消防センター(NIFC)は米国の火災対応レベルをもっとも厳しい準備レベル5に設定した。これは、消火活動のための資源を集中してすべて投入されていることを意味する。

 2023年は比較的静かな年だったが、2024年はカリフォルニア州の火災シーズンが早々に始まり、724日(水)に始まったパーク・ファイアの山火事は州内で最も急速に拡大し、大きな火災となった。専門家は焼失面積が山火事の破壊力を示すものではないというが、この焼失面積の測定値は火災がどれだけ急速に拡大したかを知る手がかりになる。

■ 米国森林局の山火事に対応する“ホットショット隊”の責任者は「シーズンも半分が過ぎ、本当に忙しい。まだ3か月は残っているという気持ちで、スタッフを精神的にも肉体的にも奮闘させている」と語った。ホットショット隊は、オレゴン州に向かう前に数日間パーク・ファイアの消火活動に従事し、そこで延焼防止のための防火線の構築に取り組んできた。彼らの肉体的に過酷な勤務時間は、通常12時間近くに及ぶ。

 “ホットショット隊”の責任者は山火事対応の計画・リスク軽減・戦略立案を主な業務とするが、消防隊員が毎晩少なくとも7時間の睡眠をとり、十分な栄養をとることで疲労を管理することが不可欠だと語った。消防隊員の人数を増やし、休日を増やし、メンタルヘルスについての改善をしたことが、消防士の健康に大きく貢献したとホットショット隊の責任者はいい、「消防業務の文化はこの25年間で大きく変わり、特に調子が良くないときは、休暇を取って自分の気持ちや状況を話すことが許されるという、大きな文化の変化がありました」と語っている。

912日(木)時点、カリフォルニア州では今年になって6,078件の山火事が発生し、約98万エーカー(3,642㎢)が焼失した。カリフォルニア州消防局は8月初旬、今年の山火事による焼失面積は昨年の29倍で消火活動は大幅に増加したと報告した。何千人もの住民が避難し、中期から長期にわたる避難生活に直面することになり、北カリフォルニアと南カリフォルニアの両方で重大な人道的懸念が高まっているという。

■ 国立合同消防センター(National Interagency Fire Center)は、2024916日(月)時点で、米国全土で 55 件の大規模な山火事について鎮圧戦略で管理されていると発表した。現在、25個の複合インシデント管理チーム、2 個のタイプ 1のインシデント管理チーム、577 の対応部隊、1,747 台のエンジン、145 機のヘリコプターが投入され、合計27,162人の消防士と支援要員が山火事の対応に従事している。2024年はこれまでに米国全土で36,920件の火災が発生し、焼失面積は7,301,739エーカー(29,549㎢)及んでいる。この10年間の同期間の平均値に比べると、火災の発生件数は少ないが、焼失面積は大きい。

補 足

■「カリフォルニア州」(California)は米国西海岸に位置し、メキシコとの国境から太平洋沿いに細長く伸び、人口約3,890万人の州である。

「ビュート郡」(Butte)は、カリフォルニア州の中央部に位置し、人口約21万人の郡である。

「チコ市」(Chico)は、ビュート郡の中央に位置し、人口約10万人の市である。

■「発災タンク」は、住宅地にあったプロパンガスタンク(プロパンガスボンベ)である。詳細な仕様は分からない。

所 感

■ 山火事で住宅地にあったプロパンガスタンクが爆発したという情報から、カリフォルニア州や米国の山火事を調べたが、予想していたものよりはるかに多く、広いエリアに及んでいる。プロパンガスタンクが爆発したというニュースは、たまたまフォトジャーナリスト(カメラマン)が現場にいたことによって広く知られたが、米国の山火事で住宅地が被災すれば、いつもある珍しくはない事象なのだろう。

■ 貯蔵タンクではないが、山火事に関するブログを初めて投稿したのは、本稿でも出ている“ホットショット隊”が19名亡くなるという悲惨な事故「米国アリゾナ州の山火事で消防士19名死亡」(20137月)からである。その後、異常気象などによる世界的に大きな山火事について投稿してきた。

 ●「米国アリゾナ州の山火事で消防士19名死亡」20137月)

 ●「ブラジルのアマゾン熱帯雨林で森林火災が多発」 20199月)

 ●「豪州における山火事の被害(20192020年)」 20203月)

■ 山火事に関するスペシャリストである“ホットショット隊”の責任者のつぎのような言動が印象に残った。

「“ホットショット隊” は、オレゴン州に向かう前に数日間パーク・ファイアの消火活動に従事し、そこで延焼防止のための防火線の構築に取り組んできた。彼らの肉体的に過酷な勤務時間は、通常12時間近くに及ぶ。ホットショット隊の責任者は山火事対応の計画・リスク軽減・戦略立案を主な業務とするが、消防隊員が毎晩少なくとも7時間の睡眠をとり、十分な栄養をとることで疲労を管理することが不可欠である。消防隊員の人数を増やし、休日を増やし、メンタルヘルスについての改善をしたことが、消防士の健康に大きく貢献したといい、消防業務の文化はこの25年間で大きく変わり、特に調子が良くないときは、休暇を取って自分の気持ちや状況を話すことが許されるという、大きな文化の変化があった」


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Centraloregondaily.com, Propane tank explosion at house at Park Fire,  July  27,  2024

     Sfchronicle.com, Park Fire destroys home near Chico. Video shows explosion, massive fireball,  July  25,  2024

     Woodtv.com, California’s largest wildfire explodes in size as fires rage across US West,  July  26,  2024

     Edition.cnn.com, California’s Park Fire is now bigger than Phoenix while in Canada a blaze is scorching one of the largest national parks,  July  27,  2024

     Fire.ca.gov,  Park Fire,  August  11,  2024

     Theguardian.com, ‘Exceptionally difficult’: grueling wildfires test the resolve of US crews,  August  11,  2024

     Earthobservatory.nasa.gov, California Burning, August  19,  2024

     Nifc.gov, National Fire News, September 16,  2024

     Disasterphilanthropy.org, Wildfires rage despite our collective fatigue,  August  22,  2024

     Disasterphilanthropy.org, 2024 North American Wildfires,  September  13,  2024

     Apnews.com, Huge California wildfire chews through timber in very hot and dry weather,  August  09,  2024 


後 記: このブログをまとめている918日(水)に地元山口県で山火事が発生したというニュースが入りました。後記としては長くなりますが、経緯をまとめました。日本も山火事の本格的な対応が必要になってきました。

 ● 918日(水)午後430分頃、山口市秋穂二島の山口県セミナーパーク付近の山林で火事が起きた。当時、セミナーパークの関係者が草刈りをしていて、何らかの原因で集めた草に火がつき、山に燃え移ったとみられる。午後4時に作業を終えた際には火は出ていなかったが、約30分後に作業員が戻ると煙が立ちこめていて、火を消そうとしても消せないような状況だったという。

 県の防災ヘリコプター1機、11台の消防車による消火活動が続けられたが、ヘリコプターによる消火活動は午後6時ごろでいったん打ち切られた。夜になって火は山の頂上付近にまで広がった。

 ● 夜中になって一旦風も収まってきて気温も下がってきた関係で少し小康状態なっていたが、19日(木)朝からまた燃え広がっており、現場周辺の山は真っ黒に焼け焦げ岩肌があらわになった。山の斜面に沿って木が生い茂っているため、火は斜面に沿って勢いよく上がり、燃え広がるスピードが速かった。

 919日(木)午前630分から消火活動が再開された。消防本部の隊員延べ65名、消防団員延べ70名が消火活動などにあたったほか、県や自衛隊のヘリコプターあわせて5機が出動して消火活動が行われた。

  山火事の焼失面積は約30haで、住宅への延焼はなく、一時、周辺の住民18世帯20人が避難したが、けが人は出なかった。19日(木)午前の時点で火の勢いはほぼなくなったが、白い煙がところどころ立ち上り、消防などはドローンを使ってどこに火がくすぶっているかを確認しながら消火活動を続けている。920日(金)も消火活動を行う予定である。

 ● 9月20日(金)、山火事は再び燃え上がった。これまでは山の東側だったが、山頂から西の斜面で燃え始めた。

 ● ユーチューブには、山火事や消火活動の状況を撮影された動画のニュースが投稿されている。

  YouTube「【山火事】草刈りで集めた草に火が付いたか?現地レポート|山口市秋穂二島」2024/9/18

        YouTube「【陸上自衛隊ヘリ】山火事消火活動/山口県山口市秋穂二島」2024/9/19) 





2024年9月13日金曜日

ジブラルタル港で廃液タンクが爆発、クルーズ船の乗客など死傷者15名(2011年)

 今回は、今から約13年前の2011531日(火)、英国領のジブラルタルの港にある海上廃棄物の受入れ・処理・保管施設で廃液タンクが爆発し、当時、港に停泊していたクルーズ船のわずか数メートルのところで発生したため、船の乗客など15名の死傷者を出した事例を紹介します。

< 発災地域の概要 >

■ 発災があったのは、欧州の英国領のジブラルタルGibraltarにある海上廃棄物の受入れ・処理・保管施設である。ジブラルタルはスペインの南海岸の岬にあるが、英国領である。

■ 事故があったのは、ジブラルタル港にある廃液の入った貯蔵タンクである。ネイチャア・ポート・ペセプション・ファシリティ社は海上廃棄物の受入れ・処理・保管施設を保有している。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2011531日(火)午後330分頃、ジブラルタルの港にあった廃液タンクが爆発し、火災となった。

■ 爆発でタンクの屋根が噴き飛び、炎が数メートルの高さまで上がった。タンクから上がる濃い黒煙の柱は遠くからも見え、濃い黒煙は港全体に広がった。

■ 目撃者によると、爆発は港に停泊していた船のすぐ近くで起きた。停泊していたのは、火曜の朝に到着したクルーズ船「インディペンデンス・オブ・ザ・シーズ号」(長さ340m)で、事故はわずか数メートルのところで発生した。

■ この爆発により「インディペンデンス・オブ・ザ・シーズ号」の乗客ら15名が火傷などのケガを負った。内訳は乗客12名、港湾労働者2名、警察官1名である。負傷した観光客は英国人とスイス人で、1名が破片に当たって骨折し、11名が軽度の火傷を負った。港湾労働者2名はスペイン人だった。救助活動中に警察官1名が軽傷を負った。軽傷を負った乗客は「インディペンデンス・オブ・ザ・シーズ号」内で治療を受けた。

■ 発災に伴い、ジブラルタル市の消防隊や救急隊が出動した。

■ 安全上の理由から 「インディペンデンス・オブ・ザ・シーズ」は事故直後に港から離れ、出航した。この船は約5,000名を収容でき、米国とノルウェーのロイヤル・カリビアン・クルーズ・ライン社に所属している。

■ 火災の原因について当初はテロ攻撃の可能性が懸念されていたため、英国軍も警戒を強めていた。しかし、警察はテロ攻撃の可能性を示す証拠はないと指摘した。  

■ 爆発は、油が入ったタンクの溶接作業中に発生した。このため、溶接作業が爆発を引き起こしたとみられている。爆発当時、港湾労働者2名はタンク上におり、うち1名は重傷である。重傷だった港湾労働者1名は、事故後2か月後にセビリアの病院で死亡した。 

■ 最初の情報によると、廃液タンクは船舶にディーゼル燃料を補給するために使用されていたと報じられていた。

■ 濃い煙のため、すぐ近くにあるジブラルタル空港行きの航空便はキャンセルされ、港湾地域にあるオフィスビルは予防措置として避難したところもある。

■ 事故後、廃液や油が海に流出し、対岸にあるスペイン南部の港湾都市アルヘシラス周辺の海岸が汚染されたところがある。

■ユーチューブでは、火災の状況を撮った映像が投稿されている。

 YoutubeFUEL TANK EXPLOSION AT NORTH MOLE IN GIBRALTAR2011/06/01

 ●YoutubeGIBRALTAR WASTE OIL TANK EXPLOSION & FIRE - INDEPENDENCE OF THE SEAS MAKES HASTY2011/06/08

 ●Youtube Independence of the seas. Gibraltar explosion 31 05 11.mp4 Independence of the seas. Gibraltar explosion 31 05 112011/06/12)・・・ クルーズ船から撮影した動画がある

 ●Youtubewaste fuel explosion, north mole, gibraltar, may 20112011/06/01)・・・消火活動

被 害

■ 廃液タンクが2基損傷した。内部の油が焼失した。 

■ 15名の死傷者が出た。 

■ タンクから流出した油で近くの海岸が汚染された。

■ 近くのオフィスビルの住民が避難した。ジブラルタル空港行きの航空便がキャンセルされた。

< 事故の原因 >

■ 直接原因は、廃液(油と水の混合液)の入ったタンクの上で溶接作業中を行っていたため、爆発を引き起こした。

 間接要因としては、タンク所有者のネイチャア・ポート・ペセプション・ファシリティ社がタンクの適切な維持管理をせずに屋根部の腐食を放置していたことである。2基合計約60箇所の開口部があり、それらの開口部から放出された可燃性ベーパーに溶接の火が引火し、爆発した。


< 対 応 >

■ タンク火災は制圧できず、午後740分頃、火災により高熱が発生し、隣接したタンクも火災になった。このため、消防隊は陸部から後退せざるを得ず、海から火災の炎と戦わなければならなかった。

■ 消防隊は海からの消火活動を実施したが、夜になっても鎮火せず、数回の爆発音が聞こえた。

■ 当初、ジブラルタル政府は湾岸地域のスペインの自治体からの援助の申し出を拒否していた。ジブラルタルの消防隊は数時間にわたって懸命に消火活動を行ったものの火災の制御ができず、火災現場に隣接する2番目の貯蔵タンクが発火した後、ジブラルタル政府はスペインの援助を受け入れた。

 当時のジブラルタル市の消防隊は、消防車4台、60フィートの高所用はしご車1台、軽量救助車1台、多目的車1台、救急車を1台を保有していた。これらの車両はジブラルタルの非常に狭い道路でも移動できるよう設計・製造されていた。消防士60名が3交代制で24時間勤務し、3名の消防隊長が指揮を執り、通信や管理など15名ほどの人員が補助する組織・体制だった。

 一方、スペインのアルヘシラス湾周辺では、カディス州消防局が6つの地元消防署を統括しており、約 140名の消防士などが勤務していた。アルヘシラス、ラ・リネア、サン・ロケの各消防署は、湾岸地域の緊急対応が可能だった。さらに、必要に応じて州消防局を構成する他の13署から消防資機材と人員を動員し、迅速に12台以上の消防車と100名近くの消防士を現場に派遣することが可能な組織・体制だった。 

■ 火災現場には、周辺地域のいくつかの町から消防士や消防車両のほか、3隻のタ​​グボートが出動した。ジブラルタルとスペインの船舶は朝まで消火活動を続けた。

■ ジブラルタル政府は、531日(火)午後830分に、つぎのような声明を発表した。「本日午後335分、ノースモールの汚水タンクが爆発し、火災が発生しました。タンクには水と使用済み油の混合物が入っていました。最初の報告によると、爆発当時、2人の作業員が爆発したタンクの上で溶接作業を行っていました。事故の正確な原因は調査中です」

■ この声明の発表時点ではまだ火災は鎮火されていなかった。市消防隊の3つのユニットと国防消防救助隊の2つのユニット、合計32名の消防士が、消火用ウォータージェットを備えたタグボート3隻とともに現場に派遣された。さらに、ジブラルタル政府はスペインの請負業者から消防タグボート2隻の追加契約を締結し、スペイン当局もタグボートなどの提供を開始した。

■ 消火活動は、火災タンクの消火と爆発を防ぐための隣接タンクの冷却の両方に重点が置かれていた。しかし、午後740分頃に隣接タンクでも火災が発生し、火災がさらに拡大したため、陸上の消防隊は撤退を余儀なくされ、消火活動は海上から行われた。

■ 火災はほぼ2日間燃え続け、その後制御され、消火された。

■ 20111117日、ジブラルタル政府は事故の調査報告書を公表した。それによると、タンク所有者のネイチャア・ポート・ペセプション・ファシリティ社は、タンクの適切な維持管理をせずに屋根部の腐食を放置していた。事故後の調査で2基合計約60箇所の開口部が見つかった。それらの開口部から放出された可燃性ベーパーに溶接の火が引火し、爆発したものである。 

■ 発災時、クルーズ船が現場近くにいて事故が起こってから船がドックを離れるまでに4分かかったが、これは船長と乗組員のプロ意識だと評価されている。船長らはすぐに全員の乗客を避難させた。さらに船後方エリアに近い乗客の一部は写真を撮ろうと近づこうとしたが、乗組員は乗客を安全なエリアに迅速に移動させた。船長など乗組員がすでに出航のために乗船しており、すぐに船のエンジンの準備ができたことは幸運だった。事故発生から4分以内に船は桟橋から離れ、海上に出た。乗客の負傷は、爆発の残骸が船の後方の外部デッキに落ちたことが原因だった。

■ クルーズ船の乗客にひとりは、事故後、つぎのように語っている。「ジブラルタルでの事故が発生したとき、私は乗船していました。私たち家族3人は船尾近くのランニング・デッキにいました。突然シューという音が聞こえ、船の側面から炎のようなものが現れるのを見ました。約5秒後に大きな音がして、突然、貯蔵タンクの屋根部が空中を飛んでいきました。爆発でタンク屋根部が船から遠い方のジブラルタルの港湾エリアに噴き飛んだのは幸運でした。逆方向に飛んでいたら、クルーズ船や近くの船に着地していたでしょう」


補 足                                                

■「ジブラルタル」Gibraltarは、スペインのイベリア半島最南端に位置し、広さはわずか数平方キロメートルであるが、英国の一部で約3万人が住んでいる。

■「ネイチャア・ポート・ペセプション・ファシリティ社」Nature Port Peception Facilitiesは、ジブラルタルにある港湾受入れ施設で廃棄物処理サービスを行う民間企業である。同社はジブラルタルの海上廃棄物の受入れ・処理・保管施設を保有している。国際法で船舶から発生する汚染物質は海洋に直接排出することができないため、港湾受入れ施設に入れなければならない。外洋航行船舶から発生する残留物、油性混合物、ゴミを収集するために国際海運港が提供しなければならない施設である。

 今回の事故で亡くなった作業員は、スペインの請負会社Surmeycaの従業員で、「ネイチャー・ ポート・ レセプション・ファシリティーズ社」から定期的に下請けとして働いていた。

■「発災タンク」の大きさなどの仕様は報じられていない。現在では、発災タンクは撤去されている。グーグルマップで調べると、跡地にタンク撤去跡があり、測定してみると、直径約17mだった。高さを16mと仮定すれば、容量は3,600KLである。ネイチャア・ポート・ペセプション・ファシリティ社は海上廃棄物の受入れ・処理・保管施設を運用しており、船からの廃棄油や廃棄水などの廃液を受入れていたものとみられる。処理した油はディーゼル燃料として舶用に使用していたのであろう。このブログでは、廃液タンクとしたが、スラッジタンクと称しているものや、事故直後にはディーゼル燃料というものもあり、実態の分からないタンクである。

所 感

■ 今回の事故は、廃液(油と水の混合液)の入ったタンクの上で溶接作業中を行っていたため、爆発を引き起こしたというもので、原因は何度も紹介している「タンク内外の火気工事における人身事故を防ぐ7つの教訓」20117月)で指摘しているものだろう。

 さらに調査報告書によると、タンク所有者がタンクの適切な維持管理をせずに屋根部の腐食を放置していたという。約60箇所の開口部があり、そこから放出された可燃性ベーパーに溶接の火が引火し、爆発したものだった。肩をすくめたくなる事例である。

■ 国際法で船舶から発生する汚染物質を海洋に直接排出することができないため、港湾受入施設に受け入れなければならないが、タンク保有者はジブラルタルの海上廃棄物の受入れ・処理・保管施設を運営していたもので、危険な油を貯蔵しているという意識に欠けていた。おそらく、事故の前に受け入れた油が揮発性の高いものだったと思われる。今回の事故は、海外の話や海上廃棄物の受入施設の話だけでなく、日本でも廃油の受入施設で同種事例がある。たとえば、つぎのような事例がある。

 ●「韓国華城市の廃油リサイクル会社の貯蔵タンクが爆発・火災、死者1名」20245月)

 ●「茨城県稲敷市の廃溶剤リサイクル処理施設で火災、死傷者3名」 20173月)

 ●「千葉県野田市の廃油処理施設の爆発事故」 20154月)

■ 消防活動も決して適切なものでなかった。ジブラルタルの道路が狭く、重装備の消防車両を保有できないという不利な点があるにしても、スペインの消防署の援助の申し出を最初にことわっているのは感心しない。消火戦術にしても、被災写真では泡薬剤を使った活動をしたのか疑問であるし、オイルフェンスを展張している様子に見えない。結局、スペインのアルヘシラス周辺の海岸を汚染させてしまった最悪の事例だと感じる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである

     Welt.de, Kreuzfahrt-Passagiere bei Öltank-Explosion verletzt,  June  01,  2011

     Volksstimme.de, Öltank explodiert im Hafen von Gibraltar,  June  03,  2011

     T-online.de, Öltank-Explosion im Hafen von Gibralta,  June  01,  2011

     Swissinfo.ch, 15 Verletzte bei Tank-Explosion in Gibraltar,  June  01,  2011

     Bazonline.ch, Tank-Explosion in Gibraltar – Öl strömt ins Meer,  June  02,  2011

     Spiegel.de, Kreuzfahrt-Passagiere bei Explosion verletzt,  June  01,  2011

     Bild.de, Kreuzfahrt-Passagiere bei Explosion verletzt,  June  01,  2011

     Thb.info, Öltank explodierte neben Kreuzfahrtschiff,  June  03,  2011

     20min.ch, Schweizer in Gibraltar verletzt,  June  01,  2011

     En.vijesti.me, 15 injured in an explosion in Gibraltar,  June  01,  2011

     Nzz.ch, 15 Verletzte bei Tank-Explosion in Gibraltar,  June  01,  2011

     Gbc.gi, ?Nature Port Reception Facilities? convicted of five counts of breaching health and safety legislation, December  09,  2014

     Bbc.co.uki, Gibraltar fuel depot blast hurts 12 cruise passengers,  June  01,  2011 

     Fireengineering.com, Explosion and Fire at Diesel Storage Tank in Gibraltar Injures 15,  July  28,  2011

     Boards.cruisecritic.co.uk, explosion INCIDENT IN GIBRALTAR,  June  06,  2011

     En.mercopress.com, Gibraltar: Major disaster in port,  June  01,  2011

     Jstage.jst.go.jp, 2011年に発生したエネルギー貯槽関連事故,  JHPI Vol. 50 No.5,  2012

     Archive.md, PORT EXPLOSION REPORT REVEALS TANK CORROSION ‘EASILY’ DETECTABLE,  November  18,  2011


後 記:  20115月と新しくない事例ですが、このブログを始めたときと同じ年月です。当時は知りませんでした。クルーズ船とタンク火災という興味深い事故ですが、10年以上も前の事例ですので、インターネットで調べても、まだ残されている報道記事があるかどうか疑問視していましたが、あにはからんや多くの情報がありました。ここ数年の状況を見てくると、インターネット検索のベース技術が各段と進歩していると感じます。今回の情報の中にはクルーズ船の乗客の話までありました。これは足で稼ぐ取材の力です。最近の淡泊な情報と比較すると、よく分かります。

2024年9月5日木曜日

米国テキサス州の石油生産施設で清掃作業中のタンク爆発、負傷者発生

 今回は、2024828日(水)、米国テキサス州パロピント郡グラフォードの南にある石油生産施設のタンクで爆発があり、負傷者が発生した事例を紹介します。ついでに、グラフォードの南にある石油生産施設の近くにグーグルマップで見ると長さ約35mの航空機らしいものが地上にありますので、その地図情報も紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国テキサス州Texasパロピント郡(Palo PintoグラフォードGrafordの南にある石油生産施設である。グラフォードはダラスの北西約93マイル(149km)にある。

■ 事故があったのは、グラフォードの南にある石油生産施設の貯蔵タンクである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2024828日(水)グラフォードの南にある石油生産施設のタンクで爆発があった。

■ 発災に伴い、消防隊が出動した。

■ 石油生産施設で爆発したとき、タンクでは清掃作業が行われていたという。

■ 消防署長はタンク清掃作業中に何かのきっかけで爆発が起きたとみられると語っている。

■ 事故に伴い、作業員が火傷を負い、ヘリコプターで病院に搬送された。容態は不明である。

被 害

■ 原油生産施設内の貯蔵タンクが破損したとみられる。

■ 負傷者が発生した。

< 事故の原因 >

■ 原因ははっきりしていない。タンク清掃作業中に何かのきっかけで爆発が起きたとみられる。  

< 対 応 >

■ 爆発後、負傷者の病院搬送以外、事故の対応状況は分かっていない。 

補 足

■「米国テキサス州」Texasは、米国南部にあってメキシコ湾岸に面し、メキシコと国境を接する人口約3,050万人の州である。

「パロピント郡」 Palo Pintoは、テキサス州の中部に位置し、人口は約28,000人の郡である。

「グラフォード」 Grafordは、パロピント郡の北部に位置し、人口は約660人の町である。

■「発災タンク」は、グラフォードの南にあるある石油生産施設の貯蔵タンクである以外、詳細仕様はわからない。グーグルマップやグーグルアースで調べると、グラフォードの南で郡道337号線の近くに3基のタンクを有する石油生産施設がある。被災写真が無いので、このタンク群が発災タンクかどうかは確証ないが、この近くには他にタンクは見られない。このタンクの直径は約3.5mで、高さを6mとすれば、容量は約58KLである。

 ところで、グーグルマップには、この石油生産施設の約700m西で郡道337号線近くの草地に長さ約35mの航空機があるのが見える。飛んでいるように見えるが、機体は地上にある。さらによく見ると、エンジン部分と垂直尾翼部は別な似た部品が置いてあるようで、翼と胴体部は絵または工作物ではないだろうか。

所 感

■ 事故はタンク清掃作業中に何かのきっかけで爆発したものとみられる。状況および原因は、米国CSB(化学物質安全性委員会)がまとめた安全資料「タンク内外の火気工事における人身事故を防ぐ7つの教訓」 20117月)に関連した内容だと思われる。

■ 今回は、タンク事故に関連してグーグルマップでグラフォードの南を見ていたら、航空機らしいものがあり、そちらの方を調べてみた。しかし、詳しいことはわからなかった。 


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Wfaa.com, One person flown to hospital after tank battery explosion in North Texas, officials say,  August  28,  2024

    Palopintopress.com, Explosion near Graford sends one person to plano hospital,  August  29,  2024


後 記: 最近、米国(特にテキサス州)における陸上原油生産施設の事故はニュースとして報道価値がないのか、今回も新しい情報が入れば、続報を出しますというメディアの話だったが、その後、何も報じられませんでした。したがって、このブログで紹介するには中身がなさすぎると思っていたところ、グーグルマップに石油生産施設の近くで航空機らしいものが見え、調べはそちらに重点が移りました。グーグルアースも調べましたが(こちらの方が地図の情報量が多い)、結局、よく分かりませんでした。米国のユーモアとのんきさを感じます。それにしてもかなり手の込んだ美術品(?)ですね。