テキサス州カーンズ郡で火災のあったタンク施設 (写真はKens5.comから引用)
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<事故の状況>
■ 2014年5月9日(金)午後1時30分、米国テキサス州にあるタンク施設で落雷による爆発・火災があった。事故があったのは、テキサス州カーンズ郡(Karnes
County)カーンズ・シティにあるシュプリーム・バキューム・サービス社(Supreme Vacuum Services, LLC )の石油タンク施設で、落雷を受けてタンク1基が爆発を起こした。
テキサス州カーンズ郡の発災場所付近の風景
(写真はグーグルマップから引用)
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■ カーンズ郡保安官事務所が語ったところによると、9日午後1時30分頃、シュプリーム・バキューム・サービス社のタンクに雷が落ちた直後、タンクが爆発を起こしたという。
■ シュプリーム・バキューム・サービス社は石油関連企業で、当局によると、タンク1基が噴き飛び、近くに駐車していた作業車に火が付いた。火災が広がったことによって、シュプリーム社では爆発が2回発生し、従業員は全員避難した。少なくともタンク2基とポンプ室が被災し、ドウェイン・ビラヌエバ保安官によれば、3台のバキューム車と2台の軽トラックが火災を起こしたという。
■ 最初にカーンズ・シティ消防署が発災の報告を受け、4つの消防署が消火のために出動した。この地域を襲った春の嵐によって、緊急対処部隊は思うように活動できなかった。結局、7つの消防署が対応し、約40人の消防士によって消火活動が行われた。火災は約1時間後の午後2時45分頃に制圧下に入った。
■ 爆発・火災事故に伴い、近くを走るハイウェイ181号線が上下車線とも閉鎖され、当局はハイウェイ181号線を迂回し、ハイウェイ123号線を通るよう規制した。火災の間、ハイウェイ181号線は午後3時30分頃まで閉鎖された。この事故に伴うけが人は報告されていない。
火災現場で消火活動を行なう消防隊
(写真はKens5.comから引用)
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出動した消防署の車両
(写真はKens5.com
から引用)
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補 足
■ 「テキサス州」は米国南部にあり、メキシコと国境を接している州で、人口は約2,510万人と全米第2位である。
「カーンズ郡」は、アメリカ合衆国テキサス州の中央部南に位置する郡で、人口は約14,800人であり、郡庁所在地はカーンズシティ(人口約3,000人)である。
テキサス州カーンズ郡
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■ 「シュプリーム・バキューム・サービス社」(Supreme
Vacuum Services, LLC )は、2006年にテキサス州で設立された油田関連のサービス業務を行っている石油企業である。主に南テキサスの石油開発企業に対して石油掘削、生産油の輸送、販売、貯蔵などの油田関連の業務を行っている。以前は「シュプリーム・オイルフィールド・サービス」と称していた。従業員は約120名で、バキューム車などの作業車60台を保有している。
今回、事故のあったカーンズシティに貯蔵タンクなどの施設があり、バキューム車などが巻き込まれたと思われる。発災タンクは直径3~4mで容量50KLクラスとみられる。
シュプリーム・バキューム・サービス社のカーンズシティにある施設
(写真はグーグルマップから引用)
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シュプリーム・バキューム・サービス社のバキューム車の例
(写真はSupreme
Vacuum Services のウェブサイトから引用)
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所 感
■ 米国テキサス州で落雷によるタンク火災事故が報じられ、今年もまた落雷の季節が来たと感じる。米国では、油井関連の貯蔵タンクは小型のコーンルーフ式やドームルーフ式タンクが用いられており、タンク大気弁まわりに爆発混合気形成の可能性は高く、雷が落ちれば、引火する恐れは高い。落雷によるタンク火災は米国ではめずらしくなく、報道では、タンク火災の状況よりハイウェイが一時閉鎖されたというニュースの方が大きい印象がある。
■ 事故は広大な土地にわずか15,000人ほどの住民しか暮らしていないカーンズ郡で起きており、7つの消防署から集まっても40人ほどの消防士が消火活動に参加したという。ボランティア型の消防署だと思われ、ある面、いかにも米国らしい事故と対応だと感じる。
備 考
本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Kens5.com, Tank Explosions, Severe Weather
Force Highway Shutdown in Karnes County,
May 09 , 2014
・News4sanatoneio.com,
Lightning Strikes Tank, Sparks Fire, Explosions, May 09 , 2014
・Victoriaadvocate.com,
Two Tanks Explode after Hit by Lightning in Karnes County, May 09 2014
・WilsonCountyNews.com,
U.S.181 Reopened, Karnes County Fire under Control, May 09 2014
後 記: 今回のタンク火災事故では、落雷が2回という話と爆発が2回という話の二つがありましたが、雷雲が流れていたとしても、まったく同じ場所(付近)に落ちることは考えづらいので、爆発2回という話の方をとりました。また、発災場所についてはハイウェイ181号線沿いに同じようなタンク施設があり、初めはそちらだと思っていましたが、火災現場を撮った写真や動画の背景から181号線から少し入った場所にあるタンク施設であると分かりました。両方ともグーグルマップのストリートビューでは施設のない写真でしたので、タンク施設は比較的新しいものだということがわかりました。原油価格が高いので、生産量が少なくても油井の掘削が行われていることがうかがえます。
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