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2013年7月27日土曜日

東京電力福島原発 汚染水処理施設のタンク漏れの原因(2)

 今回は、2013年7月25日、東京電力が福島第1原子力発電所にある放射能汚染水処理装置である多核種除去設備(ALPS)の汚染水タンク漏れの原因について公式発表した内容について紹介します。本件についてはすでに当ブログで2回紹介していますので、漏れ状況と原因追求に関する事項は東京電力福島原子力発電所の汚染水処理施設のタンクから漏れ」(2013年6月)および東京電力福島原発 汚染水処理施設のタンク漏れの原因」(2013年7月)を参照してください。
(写真および解説はAsahi.comから引用) 
本情報はつぎのような情報に基づいてまとめたものである。
  ・Tepco.co.jp,  東京電力報道配布資料;福島第一原子力発電所の状況,  July 25,  2013
  ・Asahi.com,  ALPS水漏れ、腐食が原因 汚染水処理の新装置, July 26,  2013
    ・Jiji.com,  薬液・塩分でタンク腐食=放射能低減装置の水漏れ-福島第1, July 26,  2013 
    ・Mainichi.jp,  <放射性汚染水>除去装置「アルプス」の試験運転停止へ,  July 26,  2013

 <漏れの原因> 
■  2013年7月25日(木)、東京電力は、福島第1原子力発電所にある放射能汚染水処理装置である多核種除去設備(ALPS)の汚染水タンクからの漏れ原因について公式発表した。報道配布資料(記者会見資料)をそのまま引用すると、つぎのとおりである。

■ 「水漏れの原因は、バッチ処理タンクのすき間腐食によるものと推定しており、腐食を拡大させた要因は、海水由来の塩化物イオンが存在していることに加え、次亜塩素酸や塩化第二鉄の注入によって腐食が加速される液性であったこと、また、付着したスケール等がすき間環境を形成していたものと評価。再発防止対策として、当該欠陥部の補修を行った後、バッチ処理タンク内面が腐食環境にさらされないようにゴムライニングを施工する。
 また、多核種除去設備A系のその他の機器について腐食状況を調査したところ、一部の前処理設備のフランジ面に腐食を確認。本事象の原因は、バッチ処理タンクで注入された薬液の影響が残存していること等と推定。また、前処理設備の一部に限定されるが、次亜塩素酸が徐々に分解され、残留塩素濃度が低下したこと、また、共沈タンクでアルカリ液性となること等を原因として推定。再発防止対策として、フランジとガスケットの間に犠牲電極を挟む対策を行うとともに、今後、信頼性を高めるために全面ライニング配管への取替を検討。 なお、多核種除去設備(B系、C系)についても、同様に再発防止対策を行っていく」

■ 東京電力の発表を受け、翌26日(金)に一部の報道機関がその内容を報じた。
 朝日新聞は、「東京電力福島第1原発の汚染水から放射性物質を除去する新装置ALPS(アルプス)で試験運転中にタンクから水漏れが起きた問題で、東電は25日、溶接部が腐食し、穴が開いたのが原因だったことを明らかにした。試運転終了は8月中旬の予定だったが、対策をとるのに時間がかかり、4か月後倒しになる。増え続ける汚染水の管理がさらに厳しくなる。この日、政府と東電の廃炉対策推進会議に報告された」と報じている。
 
■ 時事通信は、「東京電力福島第1原発で汚染水の放射性物質を除去する“多核種除去装置(アルプス)”のタンクから汚染水が漏れた問題で、東電は25日、汚染水に含まれる塩分と処理用の薬剤によって腐食が進んだことが原因と推定し、政府などとつくる廃炉対策推進会議に報告した。
 東電はアルプスの3系統のうち、A系統を3月から、B系統を6月から試運転していた。しかし、6月にA系統で処理前の汚染水をためるステンレス製タンクから水が漏れ、溶接部に微細な穴が見つかった。詳しく調べたところ溶接部が腐食しており、他のタンクでも変色やさびがあることが判明。汚染水に含まれる塩分や、処理に使う次亜塩素酸などの薬剤が腐食を進行させたことが分かった」と報じた。
 
■ 毎日新聞は、「政府と東京電力は25日、福島第1原発の廃炉対策推進会議を開き、放射性汚染水から62種類の放射性物質を取り除く多核種除去装置“アルプス”について8月上旬から約1か月半、試験運転を停止することを決めた。東電によると、運転停止によって推計約2万㎥の汚染水処理が遅れる見通し。
 アルプスはA〜C系の計3基。A系は4月から試験運転していたが、6月にタンクの腐食による水漏れトラブルが発生したため、東電が原因を調べていた。8月初旬までにすべての運転を停止させ、腐食防止のゴム処理などをしたうえで9月中旬には1基目の運転再開を目指している。処理できない汚染水は地上タンクへ移送するが、移送先のタンクは原発の敷地境界に近く、周辺の放射線量の増加が懸念されている」と報じている。

所 感
■ やっとバッチ処理タンク漏洩の「要因」が公式発表された。内容を見ると、漏洩の直接原因ではなく、腐食開口に至る可能性のある「要因」が網羅されたという印象である。本来は、これらの「要因」をもとに材料選定が行われるべきであった。冶金学的な調査を行えば、腐食生成物などからもう少し腐食過程がはっきりするだろうが、もともと適正な材料選定を行っていないので、対応を急いだものと思われる。

■ 対応方針として、タンクはゴムライニング、配管は全面ライニング配管とする内容は妥当なものと思われる。ただし、ゴムライニングやライニング配管は製作時の品質管理(検査でなく、製作工程)をきちんとしていなければ、欠陥による問題が潜在して、ある日突然、漏れなどの問題が顕在化してしまう。




後 記; 7月26日(金)にALPSのタンク腐食の原因が報道されましたので、すでに当ブログで2回にわたって紹介してきた関係で、また取り上げました。「共沈用攪拌槽」というような名称が付いていれば、「貯蔵タンク」を対象としている当ブログに取り上げることはなかったでしょうが、 「バッチ処理タンク」という曖昧な名称にされたことから、3回も取り上げることになってしまったというのが、本音ですね。 



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