このブログを検索

2026年1月26日月曜日

ポルトガルの製油所で潤滑油関連物質の貯蔵タンクが爆発・火災

 今回は、20251215日(月)、ポルトガルのマトジーニョス市にあるガルプ・エナージー社のペトロガル製油所において潤滑油関連物質の貯蔵タンクで爆発・火災が発生した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、ポルトガル(Portugal)のマトジーニョス市(Matosinhos)レサ・デ・パルメイラ(Leça de Palmeira)にあるガルプ・エナージー社」(Galp Energy)のペトロガル製油所(Petrogal refinery)である。ガルプ社は再生可能エネルギーへの注力に向けた再編の一環として、2021年にペトロガル製油所の操業を停止したが、潤滑油生産などの一部の装置は稼動している。

■ 事故があったのは、製油所内の潤滑油関連物質の貯蔵タンクである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 20251215日(月)午前930分頃、潤滑油関連物質の貯蔵タンクで爆発・火災が発生した。

■ 周辺住民は強いガス臭を訴え、爆発音も聞いたという。

■ 発災にともない、製油所の自衛消防隊が出動した。

 発災は、軽微な事故としてイエロー・アラート(黄色警戒)と判断されたため、製油所内の自衛消防隊での対応が可能となった。レサ・デ・バリオとマトジーニョス・リサのボランティア型消防隊は待機状態を維持していたが、出動要請はなかった。  

■ 事故にともなう死傷者はいなかった。

■ 施設の所有者であるガルプ社は、この事故による環境リスクを否定した。緊急事態管理局と市民保護局は状況を注視している。

■ ガルプ社の本社は、潤滑油関連物質を貯蔵していたタンクが爆発したと発表した。

■ ガスの臭いは数時間にわたって辺りに漂っていたが、公衆衛生への影響は報告されなかった。

■ 製油所の自衛消防隊は、消防士16名と消防車両4台で消火活動を行った。

■ フェースブックなどでは、タンク火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 ●FacebookExplosão na fábrica de lubrificantes provocou um incêndio na refinaria da Galp em Matosinhos. Empresa informa que não há feridos nem risco ambiental. www.centrotv.pt2025/12/15

 ●Instagram Uma explosão provocou um incêndio na refinaria da Petrogal, em Leça da Palmeira, Matosinhos, esta segunda-feira, dia 15.2025/12/15

被 害

■ 潤滑油関連物質の貯蔵タンク1基が焼損した。

■ 負傷者はいなかった。

■ 周辺住民が強いガス臭を感じた。 

< 事故の原因 >

■ タンク爆発・火災の原因は分かっていない。 

< 対 応 >

■ 火災は午前10時頃に鎮火した。地域民間防衛司令部は、午前104分に火災が完全に鎮火し、負傷者の報告がないことを確認した。地元当局は状況を監視し、同社と連携を取った。

■ 鎮火後、消防隊は火災現場の確認を行った。周辺の空気モニタリングでは、有害な汚染物質は検出されなかった。ガルプ社は住民の安全確保のため、敷地周辺の巡回を強化した。住民へのリスクはないと発表され、つぎのように語った。「最初の警報発令から数時間後、複合施設は通常の業務に戻りました。影響を受けていないエリアでは、保守作業が徐々に再開されました。当社は、残りの業務すべてにおいて安全を最優先に考えています。住民の方は当初、騒音と悪臭について懸念を示していましたが、悪影響の報告はなく、状況は安定しています」

■ 爆発の原因はわかっていない。ガルプ社は直ちに内部調査を開始した。専門家は、タンク内のベーパーの蓄積および貯蔵設備の故障の可能性について調査している。予備報告では、局所的な事故であり、システム全体の故障の兆候は見られないという。

■ この製油所は国内主要施設の一つとして数十年にわたり操業し、施設停止されるまで年間数百万トンの原油を処理していた。2021年の停止決定は、同社のエネルギー転換戦略の一環であった。一方、複合施設の一部は、潤滑油の特殊生産のために引き続き稼働している。製油所内では、計画的な解体と廃棄物の撤去が進められている。

■ 現在、この施設では潤滑油装置が主要な稼働拠点となっており、国内外の市場向けに特殊な潤滑油を生産している。試験施設は以前に比べて稼働能力を低下させている。タンクのメンテナンスには、定期的な清掃と健全性試験が含まれている。

補 足

■「ポルトガル」(Portugal)は、正式にはポルトガル共和国といい、ヨーロッパ南西部のイベリア半島に位置し、首都は最大の都市のリスボンである。本土は北と東をスペインと国境を接し、大西洋にはマデイラ諸島とアゾレス諸島がある。

■「マトジーニョス」(Matosinhos)は、ポルトガルの西に位置し、ポルト県にある人口約17万人の市である。

■「ガルプ・エナージー社」(Galp Energy)は、石油とガス事業を営んでいるポルトガルの会社である。事業内容は探査・生産、精製・マーケティングと幅広く、世界中に約40のプロジェクトを運営し、石油と天然ガスの探査、開発、生産を行っているほか、精製・流通分野において、ガソリンや潤滑油生産のために石油・ガス精製所を運営するほか、石油の販売も行っている。

■「潤滑油関連物質」とは何かはっきりしない。報道では、潤滑油添加剤と報じるところが多かった。しかし、潤滑油添加剤とは、潤滑油(ベースオイル)に少量添加し、酸化防止、摩耗防止、清浄性などの機能を付与・強化するための化合物のことであり、単独で火災の要因になることはないので、潤滑油関連物質とした。一方、潤滑油関連物質がどういうものを言っているのかは分からない。

■「発災タンク」は、円筒式の容器タイプとみられる。設置場所が分からないので、グーグルマップでも特定できず、タンク直径などの仕様も分からない。被災写真を見ると、50100KL級のタンクとみられる。

所 感

■ 事故原因はわからない。ガルプ社は、潤滑油関連物質を貯蔵していたタンクが爆発したと語っており、内部調査を開始したといい、専門家はタンク内のベーパーの蓄積および貯蔵設備の故障の可能性について調査しているという。通常、潤滑油は火災の起きにくい油であるが、何らかの軽質油が混入し、タンク気相部に爆発混合気が形成したと思われる。

■ 製油所内の自衛消防隊の消火活動で大きな火災には至らなかったとみられる。しかし、ポルトガルの消火活動の運用についてはよく分からない。発災は、軽微な事故としてイエロー・アラート(黄色警戒)と判断され、製油所内の自衛消防隊での対応が可能となったというが、通常、イエロー・アラート(黄色警戒)は火災としては重大な方の位置付けである。被災写真を見ても大きな火柱が立っており、隣接にはタンク群があり、延焼の可能性がある。このような状況では、外部から公的消防が立ち入る(支援する)のが本来の消防活動のように思う。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Mixvale.com.br, Une explosion dans un réservoir d’additif provoque un incendie dans l’ancienne raffinerie Galp de Matosinhos, contrôlée sans victimes,  December 15,  2025

      Jornaldenegocios.pt, Incêndio na Petrogal em Matosinhos já foi extinto,  December 15,  2025

      Eco.sapo.pt, Explosão em tanque causa incêndio na antiga refinaria em Matosinhos. Galp afasta “risco ambiental”,  December 15,  2025

      Dn.pt, Explosão seguida de incêndio na antiga refinaria de Leça da Palmeira,  December 15,  2025

      Cmjornal.pt, Explosão seguida de incêndio nas antigas instalações da Petrogal em Leça da Palmeira,  December 15,  2025

      Rr.pt, Petrogal em Leça da Palmeira foi extinto,  December 15,  2025

      Publico.pt, Incêndio na refinaria da Petrogal em Matosinhos dominado,  December 15,  2025


後 記: ポルトガルのタンク事故を報じるのは初めてです。従って、ポルトガルの会社やメディアの紹介についても初めての経験です。従来のメディアの報じ方はわかりませんが、潤滑油装置というなじみの無い設備のタンク事故なので、取材がむずかしかったと思います。それでもガルプ社の本社からの情報を報じて何とか記事にしようという意気は感じます。ただ、悪臭というキーワードに関しては住民の声を伝えて欲しかったですね。

2026年1月18日日曜日

米国ロードアイランド州でバイオ燃料油タンクが爆発・火災(原因)

  今回は、20241226日(木)、米国ロードアイランド州プロビデンスにあるグローバル・パートナーズ社傘下のグローバルGlo社のバイオ燃料施設でバイオ燃料の分配用タンクが爆発して、火災が発生した事故について20251月に現場調査記録が公表され、事故原因が報じられた内容を前回ブロブに修正・追記した内容を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国ロードアイランド州(Rhode Island)プロビデンス(Providence)にあるエネルギー供給会社のグローバル・パートナーズ社(Global Partners)傘下のグローバルGlo社(Global Glo.LLC)のバイオ燃料施設である。

■ 事故があったのは、プロビデンス港工業地帯のターミナル・ロード近くにあるコーン(とうもろこし)を原料としたバイオ燃料施設の分配用タンク(Distribution Tank)である。分配用タンクは金属製の立型円筒タンクで、直径約3.6×高さ約12mの保温材付きである。タンクの貯蔵容量は20,000ガロン(75.8KL)で、発災時、タンク内には3,000ガロン(11KL)のバイオ燃料が入っていた。このタンクは製品を大型タンクから抜き出し、指定された割合に混合してタンクローリーへの積み込みを実施する。

■ 発災時のプロビデンスの気象状況は、気温:華氏28度(ー2.2℃)、湿度66%、気圧30.34インチ(770mm)、くもり、風速;北北西の風で時速 7 マイル(3.1m/s)だった。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 20241226日(木)午後3時頃、グローバル社でバイオ燃料の分配用タンクが爆発して、火災が発生した。

■ タンクの上部屋根が噴き飛び、遠くの電柱にぶつかって落下した。けが人はいなかった。

■ グローバル社でタンクローリーに燃料を補給していた運転手によると、26日(水)午後、車からいつものようなカチカチという音が聞こえてきたといい、「はじめは古いタイマーか圧力鍋が鳴る音だと思いました。それが笛のような音になりました。その後、建物の裏側で爆発の音が聞こえました」と語った。そして、貯蔵タンクの上部のような部品が空中を飛んでいくのが見えたという。

■ 発災にともない、午後330分頃、消防隊が出動した。

■ 近隣のクランストン、ジョンストン、カンバーランド、イーストプロビデンス、ノーススミスフィールドから相互援助の消防隊が現場に駆けつけた。

■ 消防隊は泡消火剤を使用して火災の制圧に努めた。

■ 火災の炎は貯蔵タンク以外に広がることはなかった。

■ グローバル社によれば、コーンを原料として使用したバイオ燃料は主に暖房に使用されているという。ロードアイランド州は持続可能なエネルギーの実践を支援するために暖房用オイルに10%のバイオ燃料の混合を義務付けている。

■ 事故にともなう負傷者は報告されていない。

■ ユーチューブでは、事故に関するニュースが投稿されており、主なものはつぎのとおりである。

 YoutubeCorn oil storage tank catches fire in Providence2024/12/27

    ●YoutubeCorn oil  tank catches fire in Providence2024/12/28

被 害

■ 貯蔵容量20,000ガロン (75.8KL)の立型円筒タンク1基が損壊した。

■ タンク内部に入っていた3,000ガロン (11KL)のバイオ燃料の一部が焼失した。

■ 負傷者はいなかった。

< 事故の原因 >

■ 爆発の原因は、分配タンク内の加熱コイルの損傷が貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーを発火温度まで加熱し、タンク内に爆発混合気が形成し、引火して爆発を起こしたとみられる。 

< 対 応 >

■ 消防隊は泡消火剤を散布して火を消し止め、完全消火に向けて作業を続けた。

■ 1226日(木)午後445分頃、消防隊は火災を鎮火させた。消防士が現場を監視し、撤収前に安全を確認した。

 ■ 1226日(木)、グローバル社は、つぎのような声明を出した。「消防士たちが素早く炎を消し止め、延焼を防いでくれました。影響を受けたタンクは使用停止となり、火災の根本原因が特定され、再発防止のための是正措置が実施されるまで使用しないままとします」

■ 1227日(金)午後、グローバル社は、発災設備以外のプロビデンス・ターミナルの業務を再開した。

■ 20252月、プロビデンス消防署は、バイオ燃料分配タンクの爆発と火災に関する現場の調査記録を公表した。

■ 20252月に公表された現場の調査記録によると、「火災はバイオ燃料の分配タンクで発生した。火災の原因は、システム内の加熱コイルの損傷が、タンク内のバイオ燃料ベーパーに引火した可能性が考えられる。最初に発火したのは、タンク内のバイオ燃料のベーパーだった。発火のきっかけは、分配タンク内の加熱コイルの損傷が、貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーを発火温度まで加熱したこととみられる」という。    

 調査記録による事故の経緯については、つぎのとおりである。

 ・1226日(水)午後2時頃、バイオ燃料を保管していた大型貯蔵タンクから、事故が発生した分配タンクにバイオ燃料の移送を試みた。

 ・バイオ燃料は分配タンクから車両にポンプで送られ、そこで暖房用燃料と混合されて顧客に輸送される予定だった。

 ・従業員が大型貯蔵タンクから分配タンクにバイオ燃料を移送するためにバルブを開いたとき、大きな音(圧力波)がしたため、従業員はバルブを閉じた。

 ・午後3時頃、過圧(過剰圧力)で分配タンクの蓋が吹き飛び、タンクの保温材などが路上に飛び散り、タンクの上部で小さな火災が発生した。

 ・タンク上部で小さな火が見えたので、従業員は消火器をつかんでタンク梯子を昇った。消火器を作動させ、消火を試みた。

 ・爆発・火災の要因は、過圧の圧力波によって加熱コイルが損傷し、内液のバイオ燃料が発火したとみられる。 

 ・従業員は消火に成功したと信じており、すぐに緊急電話番号に電話して消防署に事故を知らせた。

 ・消防署は、敷地内でタンク火災が発生しているとの通報を受け、発災現場に急行した。

 ・消防署は、タンクが再び燃えていると判断し、火災の消火活動を行ったほか、周囲の建物への延焼や損傷がないか確認した。消防隊は敷地内の消火栓の位置を把握し、給水を確保した。消防隊は直径2.5インチ(64mm)の消防ホースを使用し、タンクの側面に水を噴射して冷却した。

 ・火災の要因は、貯蔵されているバイオ燃料からの利用可能なベーパーを発火温度まで引き上げた分配タンク内の損傷した加熱コイルだとみられた。

 ・火災発生区域において他に発火源となるものは発見できなかった。発火源は、システム内の損傷した加熱コイルである可能性が高いと判断された。

 ・最初に発火した燃料は、分配タンクに貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーと判明した。

 ・これらが同時に発生した状況としては、システム内の過圧事象によって加熱コイルが損傷し、タンクに貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーが発火温度に達したとみられる。

 ・火災発生時の気象状況を観察した結果、この火災に天候は影響していないと判断された。

補 足

■「ロードアイランド州」(Rhode Island)、米国東北部のニューイングランド地方にあり、人口約110万人の州である。

「プロビデンス」(Providence)はロードアイランド州北部のナラガンセット湾の湾奥に位置する南東にあり、人口約19万人である。プロビデンスは、州都であり、港湾都市・学術都市であり、州全土がプロビデンス大都市圏である。広域的には、プロビデンス大都市圏はボストンの広域都市圏に含まれているため、ロードアイランド州全土がボストンの広域都市圏に含まれている。

■「グローバル・パートナーズ社」(Global Partners)は、1933年にトラック1台による暖房用オイル販売会社として設立され、現在では、 2018年のフォーチュン500361位にランクされている米国のエネルギー供給会社である。事業は石油製品の輸入と北米での販売に重点を置いており、原油、ディーゼル油、ガソリン、暖房用油、灯油などの製品を卸売している。

■「発災タンク」は、貯蔵容量20,000ガロン(75.8KL)の立型円筒タンクである。発災時、タンク内には3,000ガロン(11KL)が入っていたと報じられている。グーグルマップで調べると、直径約4.0mであり、貯蔵容量から高さは約6.0mとなるとみられたが、調査記録によると、直径約3.6×高さ約12mの保温材付きだった。この仕様によると、容量は122KLとなる。貯蔵容量20,000ガロン(75.8KL)とに差異があり、使用するタンク液位を制限していたか、数値の違いかは分からない。発災時の液面は1.1m(前回試算では0.9m)となる。いずれにしてもタンク底に近い液位だったとみられる。

■ 発災した油はコーン油(とうもろこし油)そのものではなく、とうもろこしを原料としたバイオマス燃料である。ロードアイランド州は持続可能なエネルギーの実践を支援するために暖房用オイルに10%のバイオ燃料の混合を義務付けているという。今回のバイオ燃料の製造方法はわからないが、米国では、食品や飼料用のコーン(とうもろこし)を原料としたバイオマス燃料があり、バイオエタノール(ガソリンの代替になる軽質の油)を製造するものもあるという。

所 感 (前 回)

■ 事故原因は分かっていない。しかし、発災はタンクの屋根部を噴き飛ばすほどの爆発が起こっている。従って、タンク内部に軽質ガスがあったとみられる。廃油などを用いたバイオディーゼル燃料であれば、爆発を生じるほどの軽質分は無いと思われ、米国で通常採用されている食品や飼料用コーン(とうもろこし)から生産するバイオエタノール用ではなかっただろうか。発災時のタンク液面は満杯時の6.0mと比べると0.9mとかなり低く、タンク液を移送していたものと思われる。このため、タンク内には外気から空気が入り、爆発混合気が形成したのではないだろうか。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、泡消火剤を用いた積極的戦略がとられている。この消火作業には、はしご車が用いられており、タンク上部から泡消火剤を放射した効果があったものと思われる。発災のあったプロビデンスは人口約19万人であるが、近隣の町からも相互援助の消防隊が参画しており、人材や消防資機材の観点から適切な組織化が行われていたことがうかがえる。

所 感 (今 回)

■ 事故原因は、「分配タンク内の加熱コイルの損傷が、貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーを発火温度まで加熱したこととみられる」という。発災時のタンク液面は満杯時の7.4mと比べると1.1mとかなり低く、タンク内に外気から空気が入り、爆発混合気が形成したと思われる。

 ただし、「大型貯蔵タンクから分配タンクにバイオ燃料を移送するためにバルブを開いたとき、大きな音(圧力波)がしたため、バルブを閉じた。バルブを閉じた後、過圧(過剰圧力)で分配タンクの蓋が吹き飛び、タンクの保温材などが路上に飛び散り、タンクの上部で小さな火災が発生した」という状況が従業員の証言に基づくもので、バイオ燃料ベーパーの発火・爆発との関係が曖昧ですっきりしない。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、泡消火剤を用いた積極的戦略がとられている。従業員は消火器で消火したと証言しているが、消防署はタンクが再び燃えていると判断し、火災の消火活動を行ったという。その際に、給水を確保し、直径2.5インチ(64mm)の消防ホースでタンクの側面に水を噴射して冷却したとあり、泡消火剤を使った消火活動は短時間だったと思う。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Youtube.com,   Corn oil storage tank catches fire in Providence,  December 27, 2024

    Wpri.com, Corn oil storage tank catches fire in Providence,  December 27, 2024

    Providencejournal.com, Large tank fire in Providence has fire departments from around the state responding,  December 26, 2024

    Golocalprov.com, Corn Oil Tank Catches Fire in Providence - Latest Fire Off Allens Avenue,  December 26, 2024

    Firehouse.com, Corn Oil Storage Tank Catches Fire in Providence, RI,  December 27, 2024

    B101.iheart.com, Providence Oil Tank Fire,  December 27, 2024

   Steveahlquist.substack.com, Few answers for the public regarding the biofuel tank explosion in ProvPort,   February 27, 2025


後 記: ロードアイランド州のコーン油タンクの爆発事例は202412月に発生しており、今回の原因調査結果は1か月後の20251月に報じられていました。こんなに早く出るとは思っておらず、最近になって情報を知りました。ロードアイランド州では事例を今後に活かすことに積極的なのかも知れません。ところで、今回の調査記録によって前回のブログから変わったのは、燃焼物をコーン油からコーンを原料としたバイオ燃料としたことです。現地の事業所では意識的に食用の油という安全(?)な印象のあるコーン油という言葉を使ったようです。少し違和感がありましたが、コーン油という日本ではめずらしかったので、ブログでも“コーン油” を前面に出しました。しかし、ちょっと誤解を生みやすい表現でしたね。

2026年1月12日月曜日

イタリアの高速道路でLPGタンクローリーが爆発

 今回は、20251223日(火)、イタリアのミラノ~ナポリ間を縦断する高速道路を走っていた液化石油ガス(LPG)を積載したタンクローリーが車両事故を起こし、火災となり、しばらくして爆発事故を発生した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、イタリア(Italy)のミラノ~ナポリ間( Milano ‐ Napoli)を縦断する高速道路A1で、場所はテアーノ市(Teano)近郊である。

■ 発災があったのは、高速道路A1のナポリ方面の709km地点で、テアーノ・サービスステーション付近を走っていた液化石油ガス(LPG)を積載したタンクローリーである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 20251223日(火)午後5時頃、高速道路A1において2台のトラックが衝突する事故が起きた。後ろを走っていた液化石油ガス(LPG)を積んだタンクローリーが、乗用車を積載した自動車運搬車に衝突された。

■ 事故発生にともない、消防隊と救急隊が出動した。医療・機械支援、消防、高速道路パトロール、アウトストラーデ・ペル・リタリアのカッシーノ第6支部の職員を含む救助隊が現場に到着した。

■ 爆発の危険性が高いため、消防隊は現場地域からの即時避難を決定した。避難区域には高速道路の両側に設置された2つの道路脇のグリルも含まれていた。周辺地域にいた全員が無事に避難した。

■ 衝突されたタンクローリーが発火し、火災になった。タンクローリーの運転手は素早く反応し、炎が制御不能に燃え広がる前に車を放棄した。

■ 火災になったタンクローリーはしばらくして大きな爆発を起こし、高速道路の上空に巨大なファイアボールが噴き出した。

■ 爆発は大規模な火炎と濃い煙を伴い、遠くからでも目視できた。事故で現場にとどまっていたドライバーの多くが、この衝撃的な光景を携帯電話で撮影していた。

■ 近隣の町々にも大きな爆発音が響いた。

■ 発生した事故により、高速道路が両方向とも一時通行止めとなった。

■ 現場にいた運転手のひとりは、「怖かったです」といい、 「最初に事故があり、次に火災が起こり、その約3040分後に爆発が起こりました。 この事故で1時間以上も立ち往生しましたが、幸いにも被害はありませんでした」と語っている。

■ 渋滞に巻き込まれた利用者には給水が行われた。

■ テアーノのサービスエリアでは、爆発による被害が発生したが、車両事故が起こった後、避難が行われた。

■ 救急隊員の迅速な介入により、負傷者は報告されていない。爆発の威力と火災の規模にもかかわらず、死傷者が出なかった。

■ インスタグラムなどでは、事故の状況が投稿されている。

 Instagram.comThe moment an LPG tanker collides with a truck on the Milan・・・」2025/12/24

 ●Facebook.comA massive explosion rocked Italy’s Milan-Naples highway2025/12/24

被 害

■ 液化石油ガス(LPG)タンクローリーが損壊し、内液の液化石油ガス(LPG)約5,000リットルが焼失した。

■ 負傷者は出なかった。 

■ 車両事故で高速道路が渋滞し、現場近くにいた人が避難した。また、道路や周辺の建物に被害が出た。 

< 事故の原因 >

■ 車両事故である。

< 対 応 >

■ 道路や周辺の建物に被害があったものの、数時間後に運行を再開した。

■ 緊急サービスが直ちに現場に介入し、事故の原因を明らかにして物的損害を評価するための調査が継続されている。

■ タンクローリーの爆発によって高速道路の路面にクレーターができた。消防隊は引き続き残りの火災の消火と現場の安全確保に取り組んだ。

■ 約5,000リットルのLPGが焼失したと推定されている。

補 足

■「イタリア」(Italy)は、正式にはイタリア共和国(イタリアきょうわこく)で、ヨーロッパ南部に位置する人口約5,930万人の共和制国家である。

■「A1」はイタリアのミラノ~ナポリを縦断する高速道路である。図を参照。

所 感

■ ファイアボールが発生するようなLPGタンクローリーの車両事故は聞いたことがない。最近では、日本も多重車両事故が増えてきたように感じる。今回の事故のように大きな事故が無いことを切望する。

■ 一方、今回、本事例をとりあげたのは、標題の写真がインタネット・メディアのニュース記事の写真として掲載されたからである。写真説明では、「人工知能によって生成されたイラスト画像」と書いてある。ほかのメディアの発災写真に比べて鮮明さや構図が群を抜いてきれいな写真で、逆に違和感がある。すでに一般のソーシャルネットワークサービス(SNS)では、AIによる画像が溢れているが、事故の被災写真では使われてこなかった。事故情報では、使用すべきでない。1次報道の記事や写真は事実に基づいたものであるべきである。(事故情報を分析し、報告書として作成する場合はAIによる画像は読み手として分かりやすいが)


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Lamilano.it, A1 motorway, LPG tanker explodes in Teano after a rear-end collision: motorway closed and service stations evacuated,  December  24,  2025

    Amoledo.com, Massive explosion on the Milan–Naples highway in Italy paralyzed traffic,  December  24,  2025

    Bbc.com,  Watch: Huge fireball as tanker explodes on Italian motorway,  December  24,  2025

    Newsflare.com,  Italy: Gas Truck Explodes on Italian Highway After Major Collision,  December  24,  2025

    Balkanweb.com, Movie-like scene! The moment a liquefied gas tanker exploded in Italy (VIDEO),  December  24,  2025

    Ilmattino.it, Fiery Incident Shuts Down A1,  December  24,  2025

    Napolitoday.it, Incendio ed esplosione sull’autostrada A1: autocisterna di GPL prende fuoco | VIDEO,  December  24,  2025

    Tribunadosertao.com.br, Explosao de caminhao-tanque provoca bola de fogo em rodovia italiana,  December  24,  2025


後 記: 今回のブログ作成の主旨は「所感」に書いたとおりである。これまで発災写真の中には間違った画像があったことはある。それ以来、画像に関してはフェイクかどうか注意してきた。今回のようなAIによる画像については説明が無ければ、現場で撮られた発災写真ではないと見破ることは難しい。

2026年1月6日火曜日

米国ノースダコタ州の石油生産関連施設でタンクが爆発・火災

 今回は、20251229日(月)、米国ノースダコタ州マッケンジー郡ワトフォードシティにあるセレクト・ウォーター・ソリューションズ社の石油生産関連施設でタンクが爆発・火災を起こした事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、米国ノースダコタ州(North Dakota)マッケンジー郡(McKenzie)ワトフォードシティ(Watford City)にあるセレクト・ウォーター・ソリューションズ社(Select Water Solutions)の石油生産関連施設である。

■ 発災があったのは、ワトフォードシティのジョンソンズコーナーの西約3マイル(約4.8km)にあるセレクト・ウォーター・ソリューションズ社のリンクSWD2と称する施設の貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 20251229日(月)午後11時頃、ワトフォードシティにある石油生産関連施設で爆発・火災が発生した。

■ 火災は施設のタンク1基に収まっているが、近隣のタンク4基が爆発の危険にさらされた。

■ 発災にともない、キーン消防署が消火活動のため現場に出動した。

■ セレクト・ウォーター・ソリューションズ社は、ノースダコタ州規制当局に対して、爆発により4,000バレル(636KL)の産出水が施設内に流出したと報告した。産出水は石油とガスの生産の副産物である。

■ 現場へ出動した消防隊員は、汚染を可能な限り抑えるため、現場周辺に堤防を築いた。

■ 事故によって近くを通っているノースダコタ州道23号線が閉鎖された。

■ ノースダコタ州の石油ガス部門は、爆発による石油生産関連施設の産出水の流出を監視している。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。

■ ユーチューブでは、事故のニュースが投稿されている。

 YoutubeWestern ND Oil Field Tank Explosion2025/12/31

被 害

■ 貯蔵タンク1基が焼損した。また、内部の油が焼失した。

■ 石油生産施設の算出水が4,000バレル(636KL)タンク外へ流出した。 

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は不明である。

< 対 応 >

■ ノースダコタ州ハイウェイパトロールによると、1230日(火)の朝の段階で、消防隊による対応が続いており、爆発はタンク1基に限定されているが、残りの4基のタンクでさらなる爆発が起こる危険性が続いているという。

■ マッケンジー郡当局者によれば、 1230日(火)午後の時点で道路は閉鎖されたままだった。ノースダコタ州石油ガス局の検査官が現場を訪れ、追加の浄化作業が必要かどうか監視する予定だという。

■ ノースダコタ州ハイウェイパトロールは1230日(火)午後5時過ぎに、閉鎖していた道路を再開した。

■ 当局は爆発の原因を特定していない。

補 足

■ 「ノースダコタ州」(North Dakota)は、米国の北部に位置し、カナダに接する州で、人口約79万人である。州都はビスマルク市である。ノースダコタ州はシェールオイルの生産による石油ブームが続いており、石油生産量はテキサス州につぐ全米第2位になっている。

「マッケンジー郡」(McKenzie)は、ノースダコタ州の西に位置し、人口約14,700人の郡である。

「ワトフォードシティ」(Watford City)は、マッケンジー郡の中央に位置し、人口約6,200人の郡庁所在地である。

■「発災場所」は、ジョンソンズコーナーの西約4.8kmの位置と報じられている。グーグルマップで調べると、確かにタンク群がある。しかし、施設内にはタンクが多数あり、発災タンクの特定はできなかった。石油生産関連施設は、主に塩水処理を行う施設だと思われる。中には、原油(液化ガス)を取扱うタンクが含まれると思われるが、はっきりしない。ただ、施設内のタンクの直径は同じくらいで約3.5mであり、高さを68mとすれば、容量は5776KL程度である。

所 感

■ タンクの爆発・火災の原因は分からない。20249月の「米国ノースダコタ州の石油生産施設で原油タンクが爆発・火災」の事例では、「施設に人がいないときに起こっている。最近、このような事例があり、石油生産施設のタンク管理状況に問題がないか確認していく必要があるのではないだろうか」と所感に書いたが、今回の事例でも同じ感想を持たざるを得ない。

■ 消火戦略には、「積極的戦略」、「防御的戦略」、「不介入戦略」の3つがある。通常、水圧破砕方式で塩水処理設備を有する陸上石油生産施設では、不介入戦略や防御的戦略がとられることが多い。今回の事例でも積極的戦略をとった様子は伺えない。「現場へ出動した消防隊員は、汚染を可能な限り抑えるため、現場周辺に堤防を築いた」とあり、「ノースダコタ州の石油ガス部門は、爆発による石油生産関連施設の産出水の流出を監視している」と報じられており、消火よりも環境汚染の防止に気を遣っている。

備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

   Kfyrtv.com, Tank battery explosion, fire near McKenzie County causes produced water spill,  December 31, 2025

   Valleynewslive.com, Highway 23 reopens after tank battery explosion in McKenzie County,  December 31, 2025

   Minotdailynews.com, Explosion, fire temporarily close Highway 23,  December 31, 2025

   Minotdailynews.com, Closeup of tank battery incident,  January 02, 2026

   Watfordcitynd.com, TANK BATTERY EXPLOSION SHUTS DOWN PORTION OF HIGHWAY 23,  December 30, 2025

   Kfgo.com, Cleanup process beginning after tank battery explosion in North Dakota’s oil patch,  December 31, 2025

   Grandforksherald.com, Northwest North Dakota highway reopens after oil field explosion,  December 31, 2025 

 後 記: 年末年始に入ってきたタンク事故の情報です。日本では、正月という行事を重要視しますが、米国では日本ほど大事にする考え方はないようです。石油生産関連施設でタンク火災が起こっても淡々として処理しているように感じます。(実際には緊張感をもって対応しているのでしょうが) ところで、今回の事故でこれまでと違っていると感じたのは、「消防隊員が現場周辺に堤防を築いた」とあることです。米国ではテリトリーがはっきりしており、守備範囲を超えた職務をやらないと思っていました。今回の場合、夜半でもあり、事業者が対応のとれないことからやったのでしょう。それにしても施設の運営者(事業者)は事故連絡をしていますが、対応の姿がまったく感じられませんね。

2025年12月31日水曜日

米国カリフォルニア州のガソリンスタンドの地下タンクが爆発・火災

 今回は、20251215日(月)、米国カリフォルニア州サンフランシスコにあるシェル社ガソリンスタンドの地下にあるガソリンタンクが爆発・火災を起こした事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国のカリフォルニア州(California)サンフランシスコ(San Francisco)のミッション地区(Mission)にあるシェル社(Shell)のガソリンスタンドである。

■ 事故があったのは、ミッション地区の16番ストリートとゲレロ通りの角にあるシェルガソリンスタンド内の地下にあるガソリンタンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 20251215日(月)午後430分頃、シェル社のガソリンスタンドで爆発・火災が発生した。

■ ガソリンスタンドでは、建設作業員が地下のガソリンタンクを撤去しようと作業を行っていた。

■ 発災にともない、サンフランシスコの消防隊がミッション地区のガソリンスタンドに出動した。

■ 現場で消防隊は、撤去する作業中であった地下タンクが燃えているのを確認した。消防車6台を含む9台の消防車両とともに、数十人の消防士が出動していた。

■ 近くの家が揺れ、濃い黒煙が地区一帯に立ち込めた。 地域住民のひとりは、「ものすごく大きな音が聞こえた」といい、「爆竹か何かの音だと思ったんです。外に出てみると、大きな黒い煙が上がっていました。歩いていくと、タンクが火災になっており、信じられませんでした」と語った。別な住民は、「大きな音が聞こえました。建物が揺れけど大したことはなかった」といい、「外に出て様子を見に行くと、消防車が7台、パトカーが数台、そして100人ほどの群衆がいました。だから、ガソリンスタンドだとわかりました」と語った。 

■ ガソリンスタンドの隣にある学校とアパートは、どちらも避難を余儀なくされた。警察によると、隣の建物から人は無事に避難できたと語った。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。

■ 火災は撤去作業中の地下タンク内に残留ガスが残っていたからだと消防署は発表した。

■ 当局は一般の市民への脅威はないと述べたが、消防署長は空気中に危険物質や有害化学物質が含まれていないか監視していると述べた。

■ ユーチューブなどには、火災の状況を伝えるニュースや撮影された動画などが投稿されている。

 YouTubeGas tank catches fire at San Francisco Mission District gas station2025/12/16

    ●YouTubeSan Francisco gas station fire, explosion: What we know2025/12/16)

    ●Instagram.comEarlier today, San Francisco firefighters were on the scene at・・・」2025/12/16

被 害

■ 地下のガソリンタンクが損傷した。残留していたガソリンが焼失した。 

■ 負傷者はいなかった。

■ ガソリンスタンドの隣にある学校とアパートの人たちが避難を強いられた。

< 事故の原因 >

■ 発災の原因は、作業中の掘削機が地下のガソリンタンクに衝突し、残留していたガソリンが配管から漏洩し、火花が出て爆発・火災が発生したとみられる。 

< 対 応 >

■ 消防隊はガソリンタンクの火災を泡消火剤を使用して消し止めた。消防隊員らは10分以内に火を消し止め、午後5時までに鎮火したという。掘削機の下半分全体が黒く焼け焦げていた。

■ 発災の原因は、作業中の掘削機が地下のガソリンタンクに衝突し、残留していたガソリンが配管から漏洩し、火花が出て爆発・火災が発生したとみられる。 

■ 消防署によると、タンク内に燃料が残っており、外部の業者に除去を依頼したという。建設作業員が後で安全に作業を再開できるよう、残りの燃料を除去するためにシェル社の人間が来ていると述べた。作業員は現場に長時間留まり、地下タンクに残った燃料の搬出作業のため安全対策を講じている。

補 足

■「カリフォルニア州」(California)は米国西海岸に位置し、メキシコとの国境から太平洋沿いに細長く伸び、人口約3,950万人の州である。

「サンフランシスコ」(San Francisco)は、正式にはサンフランシスコ市郡(City and County of San Francisco)で、米国西海岸にあるカリフォルニア州の北部に位置し、人口約87万人の都市である。

「ミッション地区」( Mission District)サンフランシスコの地区のひとつである。

■「シェル社」(Shell)は、設立が1907年で、 旧称ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell plc)と称し、イギリスのロンドンに本拠を置き、石油・天然ガス等のエネルギー関連事業を展開する多国籍企業である。グループ企業は145の国にあり、世界中に47以上の製油所と、40,000店舗超のガソリンスタンドを展開している。

■「発災タンク」は、ガソリンスタンド内の地下に埋設された横型のタンクである。地下のガソリンタンクを撤去しようと作業を行っていた。

 米国におけるガソリンスタンドの地下タンクは、一般に容量が10,000ガロン(37KL)であり、標準的なサイズは直径2.5m×長さ8.0mである。米国では、地下貯蔵タンクは漏洩事故から地下水の環境汚染の問題があり、米国環境保護庁(EPA)が厳しい規制を行っている。

 なお、当ブログでガソリンスタンドなどの地下タンク事故について紹介したのは、つぎのとおりである。

  ●「米国で地下タンクからの油流出によって環境汚染」2012年3月)

  ●「米国ニューハンプシャー州の地下タンクでフラッシュ・ファイヤー、2名負傷」20139月)

  ●「米国オハイオ州の地下貯蔵タンクが落雷で爆発、地表にクレーター」20158月)

  ●「米国アイダホ州のガソリンスタンドで壊滅的な爆発・火災、死傷者4名」202410月)

  ●「ロシア連邦チェチェン共和国のガソリンスタンドで壊滅的な爆発、死傷者9名」202410月)

所 感

■ ガソリンタンクの撤去理由は報じられていないが、ガソリンスタンドの撤退ではなかろうか。工事請負会社の作業員も掘削機の作業に安全意識が欠けていただろう。また、地下タンクからガソリンを抜出す作業は別な作業会社が行っただろうが、この作業も安全意識が徹底していなかったと思われる。そして、シェル社(またはガソリンスタンド運営会社)も安全管理が欠けていたと思われる。

■ 日本でもガソリンスタンドの撤退が進んでいるが、地下タンクという見えない設備の工事を行う上での安全管理は地上設備より細かい配慮や徹底が必要だと思わせる事例である。 


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Abc7news.com, Massive fire erupts at San Francisco Mission District gas station,  December  16,  2025

     Ktvu.com, Gas tank catches fire at San Francisco Shell station,  December  15,  2025

     Instagram.com, An explosion struck a Shell gas station in the Mission District on Monday afternoon,  December  17,  2025

     Msn.com, San Francisco firefighters battle Mission District gas station blaze,  December  16,  2025

     Sfchronicle.com, San Francisco firefighters battle Mission District gas station blaze,  December  15,  2025

 

後 記: カリフォルニア州サンフランシスコにあるガソリンスタンドの地下タンクが爆発したということで調べることとしました。最近のタンク事故に関するメディア情報に比べると、はるかに内容が整っていました。そうなると、なぜ地下のガソリンタンクを撤去しなければならないのか、地下タンクの大きさはいくらなのかなどの情報が欲しくなりました。なぜこの種の情報が飛んでいる(抜けている)のかというと、SNS(ソーシャルネットワーク)がメディアに代わって画像などを流しているからだと感じます。 

      

後 記: ます。 

2025年12月21日日曜日

インドのリサイクル施設で燃料タンクが爆発・火災

  今回は、2025127日(日)、インドのグジャラート州パンチマハル地区の金属廃棄物リサイクル企業のルバミン社ハロル工場内にある燃料油タンクが爆発して火災になった事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、インド(India)グジャラート州(Gujarat)パンチマハル地区 (Panchmahal District)ハロル・タルカ(Halol taluka)にある金属廃棄物リサイクル企業のルバミン社(Rubamin Co.)のハロル工場である。  

■ 事故があったのは、工場内にある燃料油タンクである。タンクに入っていた油種は、加熱炉用燃料、重油、灯油などと報じられているが、はっきりしない。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2025127日(日)の夕方、燃料油の入ったタンクが爆発し、火災が発生した。

■ 爆発後に上がった炎と濃い煙は、数km離れたところからでも見えた。爆発・火災によってルバミン社の構内では混乱が生じた。

■ 発災にともない、4つの消防隊が出動した。

■ 事故にともなう死傷者は報告されていない。

■ 出動した消防隊は火災の制圧に努めた。

■ ユーチューブでは、タンク火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 YoutubeMassive Blast at Halol Rubamin Plant |હાલોલની રૂબામિન કંપનીમાં ધડાકાભેર બ્લાસ્ટ |Halol Rubamin Blast2025/12/08

    ●YoutubeFIRE IN Rubamin Private Limited, halol, 07.12.25,06PM 2025/12/08

被 害

■ 燃料油タンク1基が損壊した。内部の燃料油が焼失した。 

■ 死傷者はいなかった。 

< 事故の原因 >

■ 爆発の原因は不明である。 

< 対 応 >

■ 消防隊は、数時間以内に鎮火に成功した。

■ 会社経営陣は地区の災害管理当局に事故の発生と鎮火の事態を報告した。

■ メディアの1社は、事故の予防策として、つぎのように指摘している。 「定期的な安全監査を実施し、タンクの適切なメンテナンスを確保し、緊急時の手順に関する従業員の訓練を実施することで、ルバミン社における火災事故を防ぐことができた可能性がある」

補 足

■「インド」(India)は、正式名称はインド共和国で、南アジアに位置し、インド亜大陸の大半を領してインド洋に面する人口約145,000万人の連邦共和制国家である。首都はニューデリーで、最大都市はムンバイである。

「グジャラート州」(Gujarat)は、インド西海岸沿いに位置し、人口約6,044万人の州である。 。

「パンチマハル地区」 (Panchmahal District)は、パンチ・マハルとも表記し、グジャラート州東部に位置する地区で、人口は約239万人である。

「ハロル・タルカ」(Halol taluka)は、パンチマハル地区の一部で、人口約24万人であり、中心地はゴドラである。

 このブログでインドのタンク関連情報を紹介したのは、「インドの化学プラントでタンクから無水酢酸が漏洩、被災者55名」20195月)以来で、このほか6件ある。

■「ルバミン社」(Rubamin)は、1981年にインドのグジャラート州で設立された金属廃棄物リサイクル企業である。製油所の使用済み触媒、亜鉛メッキ工場の亜鉛廃棄物、電気自動車のバッテリー、製造スクラップなど使用済み製品のリサイクルを行っている。インドのグジャラート州に75エーカーの工場を有し、金属リサイクル事業ではモリブデン、バナジウム、タングステンなどの重要金属の回収を行っている。

■「発災タンク」は工場内にある燃料油タンクである。油種は加熱炉用燃料、重油、灯油などと報じられており、明確には分からない。被災写真を見ると、固定屋根式円筒タンクであり、側板にはタンク保温用のサポートらしいものがある。保温タンクであれば、重質油系であるが、設置場所の気候や予熱などを考慮して、重質油でなくても保温を設置しているところもある。また、被災写真では、タンク屋根がタンク横に落下しているように見える。グーグルマップで調べると、円筒タンクが2基並んで設置されている場所があるが、発災タンクだと特定はできない。このタンクの直径は約4.0mであり、高さを68mと仮定すれば、容量は75100KLである。

所 感

■ 事故原因は不明である。燃料油タンクが爆発した事故の状況は速報レベルの報道で終わっているので、ほとんど分からない。印象とすれば、設備的な欠陥が顕在化したというよりも、運転関連のミスであるように思う。タンクの屋根が噴き飛んでいるようなので、タンク内に爆発混合気が形成した可能性が高い。タンクに入っていた油種は加熱炉用燃料、重油、灯油などと報じられているが、いずれにしても重質油または中質油で爆発する可能性は低い。これまでの事例でいえば、間違えて軽質油を混入させたものだと思う。軽質油を導入後、タンク内の油を供給したため、タンク内に空気が入ってある時点で爆発混合気が形成したのではないだろうか。

■ 消火戦略には積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、いずれの戦略を選択したのか分からない。火災写真は遠くから撮られたものだけだが、かなり大きい炎が上がっている。典型的な泡薬剤による積極的戦略をとるべき事例であるように思う。しかし、被災写真ではタンク火災終盤で放水を行っているのがあるが、泡消火を実施した形跡は乏しい。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Timesofindia.indiatimes.com, Blast in oil tank sparks fire at Halol unit,  December  08,  2025

     Neuvisto.com, Blast in oil tank sparks fire at Halol unit,  December  08,  2025

     Youtube.com, Massive Blast at Halol Rubamin Plant |હાલોલની રૂબામિન કંપનીમાં ધડાકાભેર બ્લાસ્ટ |Halol Rubamin Blast,  December  08,  2025


後 記: インドのタンク火災ということで、調べることとしました。この5年間ほどインドの情報がありませんでしたが、特に取扱うのを避けたわけではありません。しかし、発災時間が夕方ということで内容がそれほど詳しくはありません。画一的に断言できませんが、この5年でインドのタンク事故情報の質が低下してきているように感じます。