今回は、2025年12月7日(日)、インドのグジャラート州パンチマハル地区の金属廃棄物リサイクル企業のルバミン社ハロル工場内にある燃料油タンクが爆発して火災になった事例を紹介します。
< 発災施設の概要 >
■ 発災があったのは、インド(India)グジャラート州(Gujarat)パンチマハル地区 (Panchmahal District)ハロル・タルカ(Halol taluka)にある金属廃棄物リサイクル企業のルバミン社(Rubamin
Co.)のハロル工場である。
■ 事故があったのは、工場内にある燃料油タンクである。タンクに入っていた油種は、加熱炉用燃料、重油、灯油などと報じられているが、はっきりしない。
<事故の状況および影響>
事故の発生
■ 2025年12月7日(日)の夕方、燃料油の入ったタンクが爆発し、火災が発生した。
■ 爆発後に上がった炎と濃い煙は、数km離れたところからでも見えた。爆発・火災によってルバミン社の構内では混乱が生じた。
■ 発災にともない、4つの消防隊が出動した。
■ 事故にともなう死傷者は報告されていない。
■ 出動した消防隊は火災の制圧に努めた。
■ ユーチューブでは、タンク火災のニュースを伝える動画が投稿されている。
●Youtube、「Massive
Blast at Halol Rubamin Plant |હાલોલની રૂબામિન કંપનીમાં ધડાકાભેર બ્લાસ્ટ |Halol Rubamin Blast」(2025/12/08)
●Youtube、「FIRE IN Rubamin Private Limited, halol, 07.12.25,06PM 」(2025/12/08)
被 害
■ 燃料油タンク1基が損壊した。内部の燃料油が焼失した。
■ 死傷者はいなかった。
< 事故の原因 >
■ 爆発の原因は不明である。
< 対 応 >
■ 消防隊は、数時間以内に鎮火に成功した。
■ 会社経営陣は地区の災害管理当局に事故の発生と鎮火の事態を報告した。
■ メディアの1社は、事故の予防策として、つぎのように指摘している。 「定期的な安全監査を実施し、タンクの適切なメンテナンスを確保し、緊急時の手順に関する従業員の訓練を実施することで、ルバミン社における火災事故を防ぐことができた可能性がある」
補 足
■「インド」(India)は、正式名称はインド共和国で、南アジアに位置し、インド亜大陸の大半を領してインド洋に面する人口約14億5,000万人の連邦共和制国家である。首都はニューデリーで、最大都市はムンバイである。
「グジャラート州」(Gujarat)は、インド西海岸沿いに位置し、人口約6,044万人の州である。 。
「パンチマハル地区」 (Panchmahal District)は、パンチ・マハルとも表記し、グジャラート州東部に位置する地区で、人口は約239万人である。
「ハロル・タルカ」(Halol taluka)は、パンチマハル地区の一部で、人口約24万人であり、中心地はゴドラである。
このブログでインドのタンク関連情報を紹介したのは、「インドの化学プラントでタンクから無水酢酸が漏洩、被災者55名」(2019年5月)以来で、このほか6件ある。
■「ルバミン社」(Rubamin)は、1981年にインドのグジャラート州で設立された金属廃棄物リサイクル企業である。製油所の使用済み触媒、亜鉛メッキ工場の亜鉛廃棄物、電気自動車のバッテリー、製造スクラップなど使用済み製品のリサイクルを行っている。インドのグジャラート州に75エーカーの工場を有し、金属リサイクル事業ではモリブデン、バナジウム、タングステンなどの重要金属の回収を行っている。
■「発災タンク」は工場内にある燃料油タンクである。油種は加熱炉用燃料、重油、灯油などと報じられており、明確には分からない。被災写真を見ると、固定屋根式円筒タンクであり、側板にはタンク保温用のサポートらしいものがある。保温タンクであれば、重質油系であるが、設置場所の気候や予熱などを考慮して、重質油でなくても保温を設置しているところもある。また、被災写真では、タンク屋根がタンク横に落下しているように見える。グーグルマップで調べると、円筒タンクが2基並んで設置されている場所があるが、発災タンクだと特定はできない。このタンクの直径は約4.0mであり、高さを6~8mと仮定すれば、容量は75~100KLである。
所 感
■ 事故原因は不明である。燃料油タンクが爆発した事故の状況は速報レベルの報道で終わっているので、ほとんど分からない。印象とすれば、設備的な欠陥が顕在化したというよりも、運転関連のミスであるように思う。タンクの屋根が噴き飛んでいるようなので、タンク内に爆発混合気が形成した可能性が高い。タンクに入っていた油種は加熱炉用燃料、重油、灯油などと報じられているが、いずれにしても重質油または中質油で爆発する可能性は低い。これまでの事例でいえば、間違えて軽質油を混入させたものだと思う。軽質油を導入後、タンク内の油を供給したため、タンク内に空気が入ってある時点で爆発混合気が形成したのではないだろうか。
■ 消火戦略には積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、いずれの戦略を選択したのか分からない。火災写真は遠くから撮られたものだけだが、かなり大きい炎が上がっている。典型的な泡薬剤による積極的戦略をとるべき事例であるように思う。しかし、被災写真ではタンク火災終盤で放水を行っているのがあるが、泡消火を実施した形跡は乏しい。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Timesofindia.indiatimes.com, Blast in oil tank sparks fire at Halol
unit, December 08,
2025
・Neuvisto.com, Blast in oil tank sparks fire at Halol unit, December
08, 2025
・Youtube.com, Massive Blast at Halol Rubamin Plant |હાલોલની રૂબામિન કંપનીમાં ધડાકાભેર બ્લાસ્ટ |Halol Rubamin Blast,
December 08, 2025
後 記: インドのタンク火災ということで、調べることとしました。この5年間ほどインドの情報がありませんでしたが、特に取扱うのを避けたわけではありません。しかし、発災時間が夕方ということで内容がそれほど詳しくはありません。画一的に断言できませんが、この5年でインドのタンク事故情報の質が低下してきているように感じます。










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