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2026年1月26日月曜日

ポルトガルの製油所で潤滑油関連物質の貯蔵タンクが爆発・火災

 今回は、20251215日(月)、ポルトガルのマトジーニョス市にあるガルプ・エナージー社のペトロガル製油所において潤滑油関連物質の貯蔵タンクで爆発・火災が発生した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、ポルトガル(Portugal)のマトジーニョス市(Matosinhos)レサ・デ・パルメイラ(Leça de Palmeira)にあるガルプ・エナージー社」(Galp Energy)のペトロガル製油所(Petrogal refinery)である。ガルプ社は再生可能エネルギーへの注力に向けた再編の一環として、2021年にペトロガル製油所の操業を停止したが、潤滑油生産などの一部の装置は稼動している。

■ 事故があったのは、製油所内の潤滑油関連物質の貯蔵タンクである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 20251215日(月)午前930分頃、潤滑油関連物質の貯蔵タンクで爆発・火災が発生した。

■ 周辺住民は強いガス臭を訴え、爆発音も聞いたという。

■ 発災にともない、製油所の自衛消防隊が出動した。

 発災は、軽微な事故としてイエロー・アラート(黄色警戒)と判断されたため、製油所内の自衛消防隊での対応が可能となった。レサ・デ・バリオとマトジーニョス・リサのボランティア型消防隊は待機状態を維持していたが、出動要請はなかった。  

■ 事故にともなう死傷者はいなかった。

■ 施設の所有者であるガルプ社は、この事故による環境リスクを否定した。緊急事態管理局と市民保護局は状況を注視している。

■ ガルプ社の本社は、潤滑油関連物質を貯蔵していたタンクが爆発したと発表した。

■ ガスの臭いは数時間にわたって辺りに漂っていたが、公衆衛生への影響は報告されなかった。

■ 製油所の自衛消防隊は、消防士16名と消防車両4台で消火活動を行った。

■ フェースブックなどでは、タンク火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 ●FacebookExplosão na fábrica de lubrificantes provocou um incêndio na refinaria da Galp em Matosinhos. Empresa informa que não há feridos nem risco ambiental. www.centrotv.pt2025/12/15

 ●Instagram Uma explosão provocou um incêndio na refinaria da Petrogal, em Leça da Palmeira, Matosinhos, esta segunda-feira, dia 15.2025/12/15

被 害

■ 潤滑油関連物質の貯蔵タンク1基が焼損した。

■ 負傷者はいなかった。

■ 周辺住民が強いガス臭を感じた。 

< 事故の原因 >

■ タンク爆発・火災の原因は分かっていない。 

< 対 応 >

■ 火災は午前10時頃に鎮火した。地域民間防衛司令部は、午前104分に火災が完全に鎮火し、負傷者の報告がないことを確認した。地元当局は状況を監視し、同社と連携を取った。

■ 鎮火後、消防隊は火災現場の確認を行った。周辺の空気モニタリングでは、有害な汚染物質は検出されなかった。ガルプ社は住民の安全確保のため、敷地周辺の巡回を強化した。住民へのリスクはないと発表され、つぎのように語った。「最初の警報発令から数時間後、複合施設は通常の業務に戻りました。影響を受けていないエリアでは、保守作業が徐々に再開されました。当社は、残りの業務すべてにおいて安全を最優先に考えています。住民の方は当初、騒音と悪臭について懸念を示していましたが、悪影響の報告はなく、状況は安定しています」

■ 爆発の原因はわかっていない。ガルプ社は直ちに内部調査を開始した。専門家は、タンク内のベーパーの蓄積および貯蔵設備の故障の可能性について調査している。予備報告では、局所的な事故であり、システム全体の故障の兆候は見られないという。

■ この製油所は国内主要施設の一つとして数十年にわたり操業し、施設停止されるまで年間数百万トンの原油を処理していた。2021年の停止決定は、同社のエネルギー転換戦略の一環であった。一方、複合施設の一部は、潤滑油の特殊生産のために引き続き稼働している。製油所内では、計画的な解体と廃棄物の撤去が進められている。

■ 現在、この施設では潤滑油装置が主要な稼働拠点となっており、国内外の市場向けに特殊な潤滑油を生産している。試験施設は以前に比べて稼働能力を低下させている。タンクのメンテナンスには、定期的な清掃と健全性試験が含まれている。

補 足

■「ポルトガル」(Portugal)は、正式にはポルトガル共和国といい、ヨーロッパ南西部のイベリア半島に位置し、首都は最大の都市のリスボンである。本土は北と東をスペインと国境を接し、大西洋にはマデイラ諸島とアゾレス諸島がある。

■「マトジーニョス」(Matosinhos)は、ポルトガルの西に位置し、ポルト県にある人口約17万人の市である。

■「ガルプ・エナージー社」(Galp Energy)は、石油とガス事業を営んでいるポルトガルの会社である。事業内容は探査・生産、精製・マーケティングと幅広く、世界中に約40のプロジェクトを運営し、石油と天然ガスの探査、開発、生産を行っているほか、精製・流通分野において、ガソリンや潤滑油生産のために石油・ガス精製所を運営するほか、石油の販売も行っている。

■「潤滑油関連物質」とは何かはっきりしない。報道では、潤滑油添加剤と報じるところが多かった。しかし、潤滑油添加剤とは、潤滑油(ベースオイル)に少量添加し、酸化防止、摩耗防止、清浄性などの機能を付与・強化するための化合物のことであり、単独で火災の要因になることはないので、潤滑油関連物質とした。一方、潤滑油関連物質がどういうものを言っているのかは分からない。

■「発災タンク」は、円筒式の容器タイプとみられる。設置場所が分からないので、グーグルマップでも特定できず、タンク直径などの仕様も分からない。被災写真を見ると、50100KL級のタンクとみられる。

所 感

■ 事故原因はわからない。ガルプ社は、潤滑油関連物質を貯蔵していたタンクが爆発したと語っており、内部調査を開始したといい、専門家はタンク内のベーパーの蓄積および貯蔵設備の故障の可能性について調査しているという。通常、潤滑油は火災の起きにくい油であるが、何らかの軽質油が混入し、タンク気相部に爆発混合気が形成したと思われる。

■ 製油所内の自衛消防隊の消火活動で大きな火災には至らなかったとみられる。しかし、ポルトガルの消火活動の運用についてはよく分からない。発災は、軽微な事故としてイエロー・アラート(黄色警戒)と判断され、製油所内の自衛消防隊での対応が可能となったというが、通常、イエロー・アラート(黄色警戒)は火災としては重大な方の位置付けである。被災写真を見ても大きな火柱が立っており、隣接にはタンク群があり、延焼の可能性がある。このような状況では、外部から公的消防が立ち入る(支援する)のが本来の消防活動のように思う。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Mixvale.com.br, Une explosion dans un réservoir d’additif provoque un incendie dans l’ancienne raffinerie Galp de Matosinhos, contrôlée sans victimes,  December 15,  2025

      Jornaldenegocios.pt, Incêndio na Petrogal em Matosinhos já foi extinto,  December 15,  2025

      Eco.sapo.pt, Explosão em tanque causa incêndio na antiga refinaria em Matosinhos. Galp afasta “risco ambiental”,  December 15,  2025

      Dn.pt, Explosão seguida de incêndio na antiga refinaria de Leça da Palmeira,  December 15,  2025

      Cmjornal.pt, Explosão seguida de incêndio nas antigas instalações da Petrogal em Leça da Palmeira,  December 15,  2025

      Rr.pt, Petrogal em Leça da Palmeira foi extinto,  December 15,  2025

      Publico.pt, Incêndio na refinaria da Petrogal em Matosinhos dominado,  December 15,  2025


後 記: ポルトガルのタンク事故を報じるのは初めてです。従って、ポルトガルの会社やメディアの紹介についても初めての経験です。従来のメディアの報じ方はわかりませんが、潤滑油装置というなじみの無い設備のタンク事故なので、取材がむずかしかったと思います。それでもガルプ社の本社からの情報を報じて何とか記事にしようという意気は感じます。ただ、悪臭というキーワードに関しては住民の声を伝えて欲しかったですね。

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