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2026年3月16日月曜日

イランのテヘラン周辺で複数の石油貯蔵所がイスラエルの空爆で火災

 今回は、米国とイスラエルによるイランへの共同攻撃が228日(土)に始まり、1週間にわたりイランの軍事・安全保障インフラストラクチャを破壊したが、202637日(土)夜、テヘラン周辺の複数の石油貯蔵所がイスラエル空軍によって空爆された事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、イラン(正式にはイラン・イスラム共和国)テヘラン周辺の石油貯蔵所である。

■ 事故があったのは、石油貯蔵所にある石油タンクである。

■ 米国とイスラエルによるイランへの共同攻撃は、2026年228日(土)に始まり、ハメネイ師と軍の上級司令官を標的とし、1週間にわたりイランの軍事・安全保障インフラストラクチャを破壊している。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 202637日(土)夜、イランの首都テヘラン周辺では、規模の大きい石油貯蔵所の爆発による炎と煙に包まれた。発災施設は、テヘラン北西部のシャーラン石油貯蔵所、陸軍石油貯蔵所として知られるアクダシー石油貯蔵所、シャーレ・レイ石油貯蔵所、コハク石油貯蔵所、テヘランに隣接するカラジュ市のファルディス石油貯蔵所と報じられている。

 テヘランの西方にあるカラジュ市の住民のひとりは、「最初は赤い光があたりを照らし、その後に風圧が来てドアが揺れました」といい、「その後、空が再び明るくなり、巨大な赤い雲が現れました。何が起こっているのか分かりませんでした」と語ったが、自宅の屋根に上がったところ、地元の石油貯蔵所が燃えているのを見たと付け加えた。

■ テヘランの石油貯蔵所3か所と、テヘラン西部のカラジ市にある石油貯蔵所1か所をイスラエルが攻撃し、テヘランの北東部、南部、西部から大量の煙が上がるのが目撃された。

■ テヘラン市内の北部タジリシュ地区にあるアグダシー石油貯蔵所では、オレンジ色の炎が燃え上がり、煙が噴き出す様子が見られた。

■ シャーレ・レイ石油貯蔵所はテヘラン製油所の隣にあるが、製油所は被害を受けていないという。 

■ 38日(日)朝、イスラエルは、イラン全土のインフラストラクチャに対して空軍が一連の攻撃を開始したと発表した。これに関して、イスラエルは、テヘランにあるイランの軍隊が使用する燃料タンクを標的にしたという。イスラエル軍によれば、イラン軍がこれらの燃料タンクを直接的に繰返し使用して軍の補給所を運営し、それを通じてイラン国内の軍事機関を含むさまざまな消費者に燃料を輸送していると言っている。

■ ユーチューブなどでは、石油貯蔵所とみられる火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 Youtube Iran's Largest Oil Depot Goes Up In Flames After Israeli Jet Lock In Tehran From East, West & South2026/03/08

 ●Edition.cnn.comTehran’s Shahran oil depot on fire2026/03/08

 ●FacebookHUGE FIRE IN FUEL DEPOT in Iran Eyewitness footage2026/03/08

 ●Facebookצהל פתח הערב במתקפה על אתרי הנפט הלאומיים של איראןלראשונה2026/03/08

被 害

■ テヘランとカラジュにある複数の石油貯蔵所が被害を受けた。被害タンク数はわからない。

■ 石油タンクの火災(黒煙)によって大気環境が悪化した。このため住民に自宅待機が要請された。  

< 事故の原因 >

■ 原因は、テロによる“故意の過失”でなく、戦争時の攻撃によるものである。 

< 対 応 >

■ イラン当局は、テヘランの空気の質を監視しており、住民に自宅待機を要請した。

■ イラン外務省は、攻撃により「有害・有毒物質が大気中に放出された」といい、「大規模な人命の危険にさらされている」と述べた。

■ 38日(日)昼、住民によると、煙の雲はイランの首都を覆い尽くし、正午なのに午後10時くらいに感じられたという。煙のせいで家から出られなくなり、家の中で呼吸するのもやっとだったといい、「頭痛がして家で座っています。口の中が苦いです」と語った。また別な住民は、「ひどい状況です」といい、雨が降って煙が薄くなった後も、「まだ煙の臭いがする」と語った。

■ 爆発によって空中に噴き出した油は、降雨に加え、車や人々に降り注いだ。市内シャーラン地区の道路では、大通りの側溝に油が流れ出ていた。

■ テヘランで石油タンクの火災と爆発が相次いでいることを受け、イランの環境保護機構(EPA)は38日(日)に声明を発表し、首都テヘランの大気汚染レベルが上昇していると警告した。環境保護機構(EPA) は、石油貯蔵所への最近の攻撃によって生じた有毒化合物の流入が、市民の呼吸器系疾患を危険な状態に陥らせていると述べた。

■ イラン国内で医療・救護活動を行う人道支援団体であるイラン赤新月社(IRCS)は、爆発によって炭化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物が大気中に放出されたと警告を発した。これらの物質が降下すると、腐食性の高い酸性雨を引き起こす可能性がある。この雨は、皮膚への化学火傷や呼吸器系への深刻な損傷を引き起こす危険性があるという。

■ 環境保護団体は、「広範囲にわたる石油タンクの空爆と、火災の黒煙層の下にテヘランがあるような状況は、明らかに環境犯罪です」といい、「これは、罪のない人々や民間人の命を脅かす非人道的な行為であり、住民は戦争による危険な環境的影響に耐えなければなりません」と語った。

補 足

■「イラン」 (Iran)は、正式にはイラン・イスラム共和国で、西アジア・中東のイスラム共和制国家である。世界有数の石油産出国であり、人口は約9,175万人で、首都はテヘランである。公用語はペルシア語である。

「テヘラン」(Tehran)は、イランの北部に位置し、人口約870万人のイラン最大の都市で、首都である。

「カラジュ」(Karaj)は、テヘランの西20kmにあり、人口196万人の都市である。

 イランに関する過去の主なブログは、つぎのとおりである。

  ●「イランでサイバー攻撃が疑われる中、精油所でタンク火災」201610月)

  ●「イランのテヘランで石油施設に落雷後、タンク火災」20172月)

  ●「イランのハールク島にある石油化学でガソリンタンク火災」20218月)

  ●「イランの製油所でタンクローリーによるプラント内の石油タンクが火災、負傷8名」20237月)

  ●「イランの簡易製油所で15基のコンデンセートタンク等が火災・爆発、48時間燃焼」 202312月)

  ●「イランの港湾施設で化学物質コンテナが爆発、死者57人、負傷者1,566 人」20255月)

所 感

■ これまで無人航空機(ドローン)による石油タンクの被害についてはブログで紹介してきたが、戦争目的の空爆(おそらく戦闘機のミサイルなど)による石油タンクの火災についてはブログに取上げなかった。今回、米国・イスラエルによるイランの石油貯蔵所への空爆による攻撃があり、実態を調べてみることにした。

 しかし、予想していたとおり石油タンクの被害状況については分からなかった。ロシアーウクライナ戦争では少しは被害情報が報じられていたが、米国・イスラエルーイラン戦争では、夜空に爆発による火炎や黒煙が上がる動画や写真が報じられていただけだった。夜が明けても石油タンクの被害状況の記事は出てこなかった。

■ 石油タンクの被害状況が報じられていないので、消火活動の報道記事はまったく出てこなかった。事故ではなく、戦争時の攻撃によるものであるので、消火活動自体が再度の空爆による人命のリスクを考えれば、消火活動は行われなかっただろう。 


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Ir.voanews.com, تمرکز حملات اسرائیل بر زیرساخت‌ها و مخازن سوخت در هشتمین روز عملیات نظامی در ایران,  March 06,  2026

     Vista.ir,  واکنش رئیس سازمان محیط زیست به انفجار مخازن نفت,  March 09,  2026 

     Farsi.anf-news.com,  واکنش رئیس سازمان محیط زیست به انفجار مخازن نفتهشدار درباره باران‌های اسیدی در تهران پس از انفجار مخازن سوخ March 08,  2026

     Bbc.com, 'Night turned into day': Iranians tell of strikes on oil depots,  March 08,  2026

     Ft.com, Tehran residents warned of acid rain after oil storage attack,  March 08,  2026

     Nbcnews.com,  Toxic rain fell over Tehran as airstrikes hit oil facilities,  March 08,  2026 


後 記: 労多くして成果の薄い内容になってしまいました。まず、石油貯蔵所の場所がなかなか特定できず、結局、“コハク石油貯蔵所” はわかりませんでした。被害を受けた石油タンクの基数はわかりませんし、被害を受けた石油貯蔵所の数だって4か所と3か所と差異があり、何が真実なのかわかりません。戦争では、攻撃国と被害を受けた国では、戦果や被害について意図してうその発表をします。現代でいうフェーク・ニュースです。イランの事故報道については以前から疲れる内容が少なくないものでしたが、今回の報道記事は比べ物にならないほど内容のはっきりしないものでした。調べるのを途中でやめようかとも思いましたが、希薄な内容でまとめました。 

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