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2020年7月23日木曜日

米国テキサス州の原油生産関連施設で落雷によるタンク火災

 今回は、2020年6月23日(火)、米国のテキサス州パーカー郡スプリングタウンのFM51号線沿いにある原油生産関連施設で落雷によるタンク火災の事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国のテキサス州(Texas)パーカー郡(Parker)スプリングタウン(Springtown)のFM51号線沿いにある原油生産関連施設である。


■ 事故があったのは原油生産関連施設のタンクで、施設内には14基ほどのタンクがあった。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2020年6月23日(火)夜明け前の午前5時30分頃、原油生産関連施設に落雷があり、タンクが火災を起こした。


■ 事故に伴う負傷者はいなかった。


■ スプリングタウン警察などが施設近くの住民を避難させるとともに、FM51号線を通行止めにした。


■ 午前10時頃に、FM51号線は閉鎖を解除し、避難した住民は自宅へ帰ることができた。

被 害

■ 原油生産関連施設内のタンクが複数基、火災で損壊した。


■ 事故に伴う負傷者の発生はない。


■ 施設近くの住民が避難するとともに、幹線道路が4時間半ほど通行止めになった。


< 事故の原因 >

■ 事故の原因は落雷である。

補 足

■「テキサス州」(Texas)は、米国の南部に位置し、人口約2,900万人の州である。

 「パーカー郡(Parker)は、テキサス州の北東部に位置し、人口約116,000人の郡である。

 「スプリングタウン(Springtown)は、パーカー郡(Parker)の北方にあり、人口約3,000人の町である。


■ 発災した「原油生産関連施設の所有者」は報じられておらず、分からない。


■ 「発災タンク」は約14基という基数だけで、あとの詳細仕様は報じられていない。グーグルマップで調べると、発災場所と見られるところには12基のタンクがある。直径が約4.8mのタンクが8基、ほかに、これよりやや大きいタンクが2基、やや小さいタンクが2基である。直径約4.8mのタンクの高さは約13mとみられるので、容量は235KLとなる。この原油生産関連施設は明確に報じられていないが、グーグルマップの画像を見ると、塩水処理設備と思われる。従って、大半のタンクはFRP製で、容量200KL級のタンクが12基設置されている施設である。

■ 被災写真はあるが、車の社内から撮ったものと思われ、状況がはっきりしない。標題の写真では、複数基が火災になっているので、FRP製タンクが座屈して延焼に至ったものと思われる。この写真の撮影場所であるが、幹線のFM51号線側でなく、北のイースト・ブラッドショー・ロード側から撮ったものと推定される。理由は、被災写真で手前に杭のようなものが並んでいるが、イースト・ブラッドショー・ロード側には高さの低い塀が設置されているので、この塀の外から撮影したものと思われる。


所 感 

■ 今回の事故は状況がはっきりしない。しかし、油混じりの塩水タンク群が落雷で火災になったものとみられる。 2020年4月に起こった「米国テキサス州の原油生産関連施設のタンク16基が火災」と類似例であろう。塩水タンクはFRP製であり、火災になって座屈し、隣接タンクへつぎつぎと延焼していったものと思われる。タンクのまわりには、防油堤が設置されており、防油堤の容量内の流出であれば、堤内火災で収まるが、防油堤の高さは低いので、タンク全量を保持できないと思われる。一部は堤外に出て火災になった可能性はあるが、堤外は広い空地が見られるので、他の建築物への延焼の恐れは低い。


■ 一方、北側には貯水池が見られる。この貯水池の目的がタンク火災時の消火水であれば、問題ないが、農業用の貯水池であれば、タンクから流出した油混じりの塩水や消火で使用した水(または泡)が入ることは避ける必要がある。

 これまでの事例だと、塩水処理設備のタンク火災の消火戦略は不介入戦略をとることが多い。今回の火災で消防署の活動について言及されていないが、4時間半で幹線道路の交通規制を解除したり、避難した住民を帰宅させている。今回のタンク火災も燃え尽きるのを待ったのではないだろうか。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    ・Fox4news.com,  Lightning strike causes Springtown oil tank fire,  June 23,  2020

     ・Star-telegram.com, Springtown oil tank fire likely caused by lightning. People asked to avoid the area,  June 23,  2020

     ・Newsbreak.com, Lightning strike causes Springtown oil tank fire,  June 23,  2020

     ・Msn.com, Springtown oil tank fire likely caused by lightning. People asked to avoid the area,  June 23,  2020

     ・Funasia.net, Texas: Lightning strike sparked the fire at an oil facility in Springtown,  June 23,  2020



 後 記: 前回のブログの後記で、米国のメディアが現場主義でなく、伝え聞いた話をもとにしていると感じると書きましたが、今回も火災があったという情報のみで、事故の状況や消火活動はほとんど分かりません。「テキサス、原油生産関連施設(塩水処理設備)、落雷、火災」と来れば、この時期の恒例の事故ではありますが、事故慣れしてあまりにもものごとに関する感性や感覚が乏しいのが気になりますね。米国後追いの日本もいずれこのような状況になるのでしょうか。

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