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2013年5月24日金曜日

米国ヒューストンで落雷によるタンク火災

 今回は、2013年4月24日、米国テキサス州ヒューストンにあるサウス・コースト・ターミナル社の鉱油タンクに落雷があり、火災になった事故を紹介します。
テキサス州ヒューストンで火災のあったサウス・コースト・ターミナル
        (写真はABCLocal.go.comから引用)
本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
  ・ABCLocal.go.com, Lightning May Have Caused Storage Tank Fire in East Houston,  April 24,  2013
      ・HoustonGovNewsRoom.org,  Storage Tank Fire at 7401 Wallisville, April 24,  2013 
  ・KTEN.com,  No Injuries in 2 Houston Oil Storage Tank Fire, April 25,  2013   
  ・TankTeam.com, Two Storage Tanks Damaged in Terminal Fire, April 25,  2013
    ・FireEngineering.com,  Lightning Blamed in Fire at Houston Oil Storage Tank, April 25,  2013 

 <事故の状況> 
■  2013年4月24日(水)午前2時頃、米国テキサス州にある石油ターミナルのタンクに落雷があり、火災となった。事故があったのは、テキサス州ヒューストンのヴォリスヴィル通り7401にあるサウス・コースト・ターミナル社の鉱油タンクで、火災原因はタンク上部への落雷によるものだとヒューストン消防署は発表した。この事故による負傷者は出ていない。
火災のあったテキサス州ヒューストンのサウス・コースト・ターミナル
 (写真はグーグルマップから引用) 
駆けつけた消防車
(写真はABCLocal.go.comから引用) 
■ ヒューストン消防署の消防隊が現場へ駆けつけたときには、タンクから火の手が上がり、タンクを覆っていた保温部がくすぶっていた。火災は“Tower 18”と呼ばれるはしご付き消防車を使って消火された。消防隊は最初に上がっていた火を素早く消すことができたが、火炎によって別なタンクへ延焼した。火は主に保温部から燃えており、タンク本体が破損することはなかった。約70名の消防士が事故に対応した結果、午前3時50分頃に鎮圧した。ヒューストン消防署は、状況を監視し、くすぶっていた保温材をタンクから撤去するまで現場に残った。
■ サウス・コースト・ターミナル社の現場責任者は現場にいて、発災地区周辺の運転をすべて停止し、製品の荷役を中止した。同社によると、タンクには鉱油が貯蔵されており、自動車工業に使用され、毒性はないという。また、大気汚染への影響もないと語っている。
ターミナルの構内
(写真はABCLocal.go.comから引用)

補 足
テキサス州 
■ 「テキサス州」は米国南部にあり、メキシコと国境を接している州で、人口は約2,510万人と全米第2位である。
 「ヒューストン」は、テキサス州南東部に位置し、約210万人の人口抱えるテキサス州最大であり、全米第4の都市である。ヒューストンには、世界最大の医療研究機関の集積地テキサス医療センターやアメリカ航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターがあり、先端医療の研究や航空宇宙産業が有名であるが、フォーチュン500に入る企業の本社数がニューヨークについて多く、メキシコ湾岸地域における経済・産業の中枢である。

■ 「サウス・コースト・ターミナル社」(South Coast Terminal Inc.)は、 1964年に設立され、テキサス州ヒューストンに本拠を置いてミネラルオイル(鉱油)を取り扱う企業である。主に、工業用潤滑油のほか、切削油、油圧作動油、特殊グリース、熱媒体油などのブレンド、貯蔵、出荷業務を行っている。ヒューストンのヴォリスヴィルには、貨車とトラック輸送の出荷基地がある。
 今回の報道情報の中には発災企業を「サウスウエスト・ターミナル・ミネラルオイル)と報じたところもあるが、飼料貯蔵会社の「サウスウエスト・ターミナル」と混同したものと思われる。
ヒューストンのサウス・コースト・ターミナルの全景
(写真はサウス・コースト・ターミナル社のウェブサイトから引用)
ヒューストンのサウス・コースト・ターミナルの風景
(写真はグーグルマップのストリートビューから引用) 

Tower18の例 
■ 「Tower 18」は、はしご付き消防車で、都市構造火災を念頭に開発された消防車である。一般にプラットフォームを100フィート(30m)高まで延ばせ、大量の消火水を複数本放水できる性能を有している。


所 感
■ 事故は、潤滑油のような鉱油タンクで起こったもので、主に保温材に染み込んだ油分が燃えたものと思われる。ターミナルのタンク全景写真を見るとわかるように、鉱油タンクは火災になりにくいものとして、ほとんどタンク間距離がないが、保温材に染み込んだものが燃える事例は希に起こり得る。このように火災の起こりにくい条件の中で、落雷という確率の低い発火条件が重なったもので、極めて希な事例だといえる。しかし、逆にいえば、起こり得る可能性のある事故は実際に起こるということである。
注記;報道情報の中には「タンク」ではなく、「タンク・コンテナー」(タンク貨車)という表現もあった。確かに構内には、鉄道輸送用のタンク・コンテナーが走っているが、林立しているタンク群より高さの低いタンク・コンテナーに雷が落ちる可能性は小さいので、発災は貯蔵タンクとした。




後記; この投稿をまとめているとき、米国テキサス州の隣の州であるオクラホマ州で巨大竜巻が
発生し、子どもを含めて24人の死者を出すという大きな被害になりました。テキサス州やオクラホマ州は竜巻や落雷の多い州です。竜巻の予測研究も進んでおり、今回も竜巻警報が発令されていま
88番札所前の女体山
す。しかし、人の予想を上回る規模の竜巻だったので、
甚大な被害になっています。今回の事故情報と同様、人の思いを超えた事故が起こるものです。
 ところで、この5月に四国八十八箇所の歩き遍路に行ってきました。丸4年かかりましたが、今回で88箇所のお寺を全部廻り、結願しました。今年は、例年より暑い日があり、大変でしたが、お寺に着いて般若心経を詠み、お線香をあげるひと時に救われました。今はほっとして疲れが出ているところです。

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