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2013年2月4日月曜日

米国テキサス州でたばこによるタンク爆発・火災

 今回は、2013年1月29日、米国テキサス州ヴァンザント郡ヴァンにある油井用の石油貯蔵タンク施設で起こった爆発・火災事故について紹介します。事故は、不法侵入した男女二人がタンクの上の渡り歩廊で、たばこを吸おうとして火をつけたとときに爆発が起きたいう普通では考えない原因です。
本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
  ・CBSLocal.com,  2 People Hunt in East Texas Oil Tank Explosion, January 29,  2013
      ・ABC13.com,  Two Injured in Explosion at Oil Storage Facility in Van Zandt Co,  January 29,  2013
  ・WAFB.com, Names Released of Two Injured in Van Oil Tank Facility Explosion,  January 30,  2013 
  ・KiiiTV.com,  Names Released in Oil Storage Tank Explosion,  January 30,  2013 

<事故の状況> 
■  2013年1月29日(火)午前3時頃、米国テキサス州ヴァンザント郡ヴァンにある油井用の石油貯蔵タンク施設で爆発・火災があり、負傷者が発生する事故があった。
ハズマット隊を含め、出動した消防隊
 
(写真はKTTXNewsの動画から引用) 
 ヴァンザント郡消防署は通報を受け、他にタイラー消防署、グランサリーネ消防署、リンデール消防署とともに、ヴァンの北方で州道110号線沿いにある石油貯蔵タンク施設の火災現場へ急行した。消防隊は燃え尽きる戦術をとった。アレン消防署長の説明では、「油流出によってこの地区が環境汚染に曝されるのだけは避けたかった。このため最もやりやすかったのは燃え尽きさせることだった」という。
■ 消防署長によると、24歳の男と24歳の女が貯蔵タンクの階段を登り、タンクの上の渡り歩廊にいたとき、タンクの一つで爆発が起き、他のタンクへ延焼したという。タンクには、塩水が少し混じった油と可燃性ガスが入っていたという。署長は、「二人は静かな時間を過ごすためにここまで来たと言っている。そして、たばこに火をつけた次の瞬間、No.1タンクが爆発したと言っている」と語った。
 すぐに2基のファイバーグラス製のタンクが火災となり、最終的には3基目のタンクに燃え移った。
■ タンクの上にいた二人は重傷を負い、ダラスのパークランド・メモリアル病院へ搬送された。女性は生命維持装置の中で治療を受け、男性は顔、胸、腕の火傷の治療を受けている。
              燃え尽きさせる戦術をとった火災現場 (写真はKTTXNewsの動画から引用)
■ 爆発の衝撃は静かなヴァンの町を揺るがし、 住民のオリバー夫妻はベッドから飛び起きた。夫のジェームズさんはCBS-11ニュースの記者に、「“ドーン”という大きな音で起こされたよ。あんな大きな音を聞いたことがあるかい? 一瞬、何が起こったのかと思ったね」と当時の状況を語った。
 事故のことは町の話題になった。ジャーナリストを目指している高校三年生のエミリー・マクミランさんは、「信じられない! 変わった事故のひとつだわね。何とも言いようがないわ」と話し、さらに「誰だか知らないけれど、知っている人だといやだわ。わたしにできることはその人たちのために祈ることだけ」と語った。
■ 火災がほとんど下火になってくると、住民の関心は油による環境汚染の懸念に変わり、近くのクリークへ流れ込まないようにすることだった。住民のオリバー夫人は、「わたしたちは地域の水系を使っているの。油が飲料水系に入ったらと思うと心配だわ」と懸念を示した。州の環境検査官も同様に思っていた。検査官は午前中に現場へ入った。石油貯蔵施設の所有者であるスリー・フォーク社の作業員は、1日をかけて流出しないように堤を直し、汚染土壌を除去し、できるだけ被害が出ないように努めた。
             下火になった火災現場   (写真はKTTXNewsの動画から引用)
■ スリー・フォーク社によると、並んでいた4基のタンクの1基が爆発し、残り3基が完全に焼損したという。残っている比較的大きな容器は油井から出てくる塩水を貯蔵しているとのことである。スリー・フォーク社の代表者であるビリー・ウィルソン氏は、「それらの容器類は塩水の処理施設です。油井から出てくる塩水はここに集められ、再注入井から地中へポンプで戻すようになっています」と説明した。被害者たちはスリー・フォーク社の従業員ではなかった。
■ その後、当局の発表によると、男性はパークランド・メモリアル病院での治療を受けているが、容体は良好だといい、一方、女性はすでに病院から退院しているという。

補 足
■  「テキサス州」は米国南部に位置し、人口約2,500万人で、州都はオースティンである。 テキサス州はメキシコ湾岸沿いで、ハリケーンや落雷の多い州である。 
 「ヴァンザント郡」はテキサス州の北東部に位置し、人口約52,000人の郡である。
 「ヴァン」はテキサス州ヴァンザント郡にある町で、人口約2,600人である。 

■ 「スリーフォーク社」(Three Folks Operating Co.)はテキサス州にあるエネルギー会社で、石油・ガスの生産を行っている。ヴァンの町にも油井をいくつか保有している。
右後方に油井が見える 

所 感
■ 信じられないようなタンク火災事故が起こる。しかし、米国では、2012129日オクラホマ州で銃弾によるタンク火災事故が起こっている。(当ブログでは2012214日に紹介) 米国では、小さな油井が身近に数多く存在しているため、このような石油施設への危険意識が希薄だと言えるが、日本でも規模の小さい油槽所などは数多くあり、日本で起こらないと断言はできない。事故は思いも寄らない要因で起こるのである。
■ 米国の一地方のローカルな関心をもたれる話題として報道されている。その中で興味深いのは、消防署が燃え尽きさせる消火戦術をとったことである。タンクがグラスファイバー製で火災のために焼損し、防油堤内に漏出したと思われ、火を消すことが堤外へ流出してクリークを通じて水系への環境汚染に至ることを回避するという判断であるが、写真でわかるようにハズマット隊も出動しており、米国の地方における消防隊の適切な対応がうかがえる。


後 記: 2月3日節分の日に近くの神社で行われた豆まきに行ってきました。今年は日曜と重なり、また天候にも恵まれたこともあり、多くの人と一緒に「福は内、鬼は外」のお祓いを受けました。しばらくは、福豆を食べる日々になりそうです。









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