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2012年11月4日日曜日

米国カリフォルニア州ロサンジェルス市街地で原油漏洩

 今回は、2012年10月23日、米国カリフォルニア州ロサンジェルスのシグナルヒルにあるタンク所から原油が流出し、近くの公共地区へ出て、道路に流れてしまった事故を紹介します。

本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
  NBCLosangeles.com, Oil Spill Closes Road in Signal Hill, October 23, 2012
      PressTelegram. com, Signal Hill Tank Oil Spill Clogs Signal Hill, Long Beach Street, October 23, 2012
      KFWBan. com, Signal Hill Oil Spill , October 24, 2012  
      TankStorageMag. com, Oil Leak Contaminates Local Waterways, October 24, 2012 

 <事故の状況> 
■  2012年10月23日(火)午前8時頃、米国カリフォルニア州ロサンジェルスのシグナルヒルにあるタンク所からポンプの故障によって油が漏洩するという事故があった。事故があったのは、ロングビーチの北東に当たるオリーブ・アベニュー2700区にあるタンク所で、流出はパイプラインで原油を受入れていたタンクからであった。
 油は近くの公共地区へ出て、大通りに流れてしまったので、道路や交差点を遮断しなければならなくなった。警察官が出て、車両の交通整理に当たり、オリーブ・アベニューは27番から28番通りの間が閉鎖された。警察によると、道路は24時間閉鎖された。
写真はPressTelegram.comから引用
■ ロサンジェルス郡消防の検査官であるクヴォンド・ジョンソン氏によると、油の一部が雨水排水系を通って流出したものであるが、正確な漏洩量は現在のところ明らかでないという。事故発生に伴い、ロサンジェルス郡消防の健康・ハズマット部隊が出動連絡を午前8時前に受けている。雨水排水系は空で、地区の水路系へ流れ込んでいなかったが、環境汚染の恐れがあるため、カリフォルニア州フィッシュ&ゲーム部と米国沿岸警備隊が対応に当たっている。
写真はPressTelegram.comから引用
■ 流出の原因は、原油を移送する高圧配管が逆流してタンクからオーバーフローしたものだという。
 油の漏洩は30分以内で封じ込めることができ、1日でクリーンアップが終わる見込みである。ジョンソン氏は、現在、クリーンアップ作業中であるが、漏洩は止まって制圧下に入っているので、状況が悪くなることはないだろうと語っている。
■ 当局では、現在、タンク所を罰金に科するかどうか検討しているところだという。
                 油流出のあったタンク所付近   (写真はグーグルマップから引用)

              油流出のあったタンク所付近   (写真はグーグルマップのストリートビューから引用)


補 足                                                        
■  「カリフォルニア州」は米国西部にあり、太平洋岸の州で、アメリカ西海岸の大部分を占める。人口約3,720万人で、州都はサクラメントである。
 「ロサンジェルス郡」は、カリフォルニア州の南部にある郡で、人口は約990万人である。
 「ロサンジェルス」は、ロサンジェルス郡の州都で、ニューヨークに次いで全米2位の人口規模約380万人で、アメリカ西海岸を代表する世界都市のひとつである。
 「シグナルヒル」はロサンジェルスのロングビーチ地区の中で目印になるという所から命名された丘(高さ約110m)である。20世紀に入って油田が発見され、最盛期には産油設備が立ち並んでいた時代がある。なお、シグナルヒル・ペトロリウム社という石油会社があるが、今回の報道ではタンク所有者が公表されていないので、関係があるかどうかはわからない。
1920年代のシグナルヒルの風景  (写真はGoocogem.netから引用)

■ 「ロサンジェルス郡消防の健康・ハズマット部隊」(County  of Los Angeles, Fire Department, Health Hazardous Material Division)はロサンジェルス郡消防に所属し、有害物質や廃棄物の不適切な取扱いや偶発的な事故によって生じるロサンジェルス郡住民の健康と環境を保護する使命をもって組織されている。当初は、1970年代の有害物質の発生事件から設立されたが、その後の生物、放射能、化学テロの脅威への対応も含めた緊急事態対応部隊である。
                                                        ロサンジェルス郡消防の健康・ハズマット部隊 
                                                 (写真はCounty  of Los Angeles, Fire Department から引用)

所 感
■ 今回の事故のタンク所は小規模で、グーグルマップによって大きさを推定すると、直径は48m程度のタンク群で、1基のタンク容量は100250KL程度とみられる。従って、逆流によって戻った油の緩衝スペースは大きくなかったと思われる。
 タンクの近くに油生産用のオイル・ポンプが見えるが、ロサンジェルス・シグナルヒルの油生産用のオイル・ポンプはほとんどが撤去されており、このオイル・ポンプが稼動しているのか、またタンク所と接続しているかはわからない。しかし、ロサンジェルスという大都会が以前は原油を生産していた町で、今も原油パイプラインなどの施設があり、原油の漏洩があっても街は大きな騒ぎにならず、比較的冷静に受け止めているのが印象的である。
■ 今回の油流出事故でも、危険性物質の取扱いを熟知しているハズマット(HazMat)部隊が出動している。日本では、生物・化学テロの対応を想定し、大都会の消防庁・局にしかハズマット部隊を組織していない。しかし、最近、日本の石油化学コンビナートで起こる事故において消防機関の危険性物質の対応が適切でない事例が出ている。地方の消防機関、特に石油化学コンビナート地区を管轄する消防署でも、住民および消防士を守る上から、危険性物質(Hazardous Material)を専門とする人材を育成すべきである。

後記;  今回の事例を調べていて感じたのは時代の変遷ということです。90年ほど前には原油の生産基地だったロサンジェルスが現在は米国第2位の大都市になっています。日本でも、鉄道の駅前にあるショッピング街がシャッター街に変わってきましたが、地元周南市の徳山駅の近くにある百貨店も来年2月に閉店することが決まりました。駅前が車社会に適合しなくなったのですから、流れは変わっていくのでしょう。
 ところで、この後記の8月に出光興産徳山製油所の構外にある既に使用していないアスファルトタンクが撤去される話題を紹介し、あっという間に撤去されるだろうと話しましたが、11月に入ってもまだ残っています。保温は解体されましたが、赤錆の鋼板がむき出しになったままです。数年前にスクラップ鋼材の値が高いとき、タンク解体費用とトントンだった頃と今は違いますし、後工程がないので、のんびり(?)した工事なのでしょう。近くにあったスーパーとパチンコ屋が後から解体工事を始めましたが、終わりかけています。跡地にはマンションが建設されるようですので、てきぱきと工事が進められているようです。ここにも時代が変わったということを感じます。

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