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2020年3月1日日曜日

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)に備えて知っておくべきこと


 今回は、2020214日(金)に “HazmatNation”のインターネット情報に掲載された「新型コロナウイルスのパンデミックに備えて知っておくべきこと」(原題: Coronavirus: What needs to be known about a pandemic)を紹介します。貯蔵タンク事故情報ではありませんが、いま日本で関心の高い話題ですので、当ブログで載せることとしました。
< はじめに >
■ 生命保険会社であるホランスマン・エデュケーア社(Horace Mann Educators Corp)では、最近の当社のニュース欄に、新型コロナウイルスの拡散に関する情報やニュースが殺到しています。 ウイルスに「新型」と付けられたのは、 これまでに見たことのないウイルスであることを意味します。 防護服を着た医療従事者の画像や一般的な予防策を通じて、私たちは自分自身で調べ始め、感染の流行が来たときに対応できるよう備えています。まず、この可能性のあるパンデミック(世界的な大流行)について、基本的な認識と私たちに何ができるかを明確にしていこうと思います。このコロナウイルスは「新型」と付けられており、それが何を意味するのかを明確にしていこうと思います。

< 序文 >
(図はLivescience.comから引用)
■ 新しい中国のコロナウイルスは、SARSウイルスの仲間であり、2019年12月に中国の武漢で発生が始まって以来、感染が広がっています。ウイルスを最初に解読したレオ・プーン氏(Leo Poon)は、それが動物で始まり、人間に広がった可能性が高いと考えています。香港大学の公衆衛生学校のウイルス学者であるレオ・プーン氏は、「肺炎を引き起こし、抗生物質治療が有効でないことはわかっていますが、これは驚くことではありません。SARSの死亡率は、感染者の10%に昇っていました」と述べています。武漢で流行っている新型コロナウイルスがどれほどの致死力があるかは明らかではありませんが、死亡率はいまのところMERSとSARSの両方よりも低くなっています。専門家は、大きな流行になったら、新型コロナウイルスが変化することもあると危惧しています。

■ 世界保健機関(World Health Organization;WHO)は、新型コロナウイルスに対応するため各国にガイダンス(指針)を提供しました。それには病気に対する監視方法や患者の治療方法を含んでいます。新型コロナウイルスについて知っておくべきことは、次項以降に示すとおりです。

< コロナウイルスとは? >
■ コロナウイルスは、動物の間で共通的なウイルスの大きなグループに属するものです。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、まれに、その中には人獣共通感染症と呼ぶものがあり、動物からヒトに感染する可能性があります。

< コロナウイルスの症状 >
COVID-19(新型コロナウィルス)の症状
(図はHazmatnation.com から引用)
■ ウイルスは人間を病気にします。通常、風邪と同様、軽度ないし中度の上気道の病気です。コロナウイルスの症状は鼻水、咳、のどの痛みですが、頭痛を伴ったり、熱が出ることがあり、これらは2・3日間続くことがあります。免疫系が弱っている人、高齢の人、若い人にとって、可能性は低いけれども重症の肺炎や気管支炎のような気道疾患を引き起こすことがあります。

■ わずかですが、致命的であることが知られているヒト・コロナウイルスが存在します。

■ MERSウイルスとしても知られる中東呼吸器症候群は、2012年に中東で初めて報告されました。呼吸器系の問題も引き起こしますが、 MERSの症状はより深刻です。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、MERSに感染した患者10人につき3~4人が死亡しました。SARSとしてしられている重症急性呼吸器症候群は、より重篤な症状を引き起こす可能性のある別なコロナウイルスです。世界保健機関(WHO)によると、中国南部の広東省で最初に特定され、呼吸器の問題を引き起こしますが、下痢、疲労、息切れ、呼吸困難、腎不全も引き起こす可能性があります。患者の年齢に応じて、SARSの死亡率は症例の0〜50%の範囲で、高齢の人が最も弱い年齢層でした。

■ 現在、中国の武漢で流行っているコロナウイルスはSARSやMERSよりも軽度であると考えられており、症状が現れるのに時間がかかっています。 オックスフォード大学の感染症の権威であるピーター・ホービー(Peter Horby)教授によると、これまでの患者は、通常、1週間ほど軽い咳に続いて息切れを経験して病院に訪れていると説明しています。これまで、症例の約15~20%が重症になっています。このことから病院での換気などが必要といえます。

< 感染の広がり方 >
■ ウイルスは、人間と動物との接触から広がる可能性があります。世界保健機関(WHO)によると、科学者はMERSがラクダで始まったと考えています。SARSについてはジャコウネコだと考えています。中国当局は、武漢で発生を引き起こした動物が何かを特定していません。ウイルスのヒトからヒトへの感染については、咳の飛沫など感染した人の分泌物に接触するとよく起こります。

■ ウイルスの悪性に応じて、咳、くしゃみ、または握手が感染を引き起こす可能性があります。ウイルスは、感染した人が触れたものに続いて触れ、さらに口、鼻、目にさわることでも感染していきます。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、介護する人が患者の排泄物を処理することで感染することがあります。

■ 中国武漢のコロナウイルスのヒトからヒトへの感染は確認されていますが、専門家は、現在、誰が最も伝播させているのか、誰が最もリスクが高いのか、そして病院または地域(コミュニティ)内で多くが感染しているか分析しようとしています。オックスフォード大学のホービー教授によると、SARSとMERSは主に病院内で伝播したといいます。また、専門家によっては、感染の伝播に大きな働きをする人“スーパースプレッダー” (Superspreaders)の存在とみる人もいます。

< 誰が影響を受けますか? >
■ MERS、SARSおよび中国武漢のコロナウイルスは、高齢の人がより深刻な疾患を引き起こすように見えます。しかし、最新の発生についてはまだ分からない点が残っています。オックスフォード大学のホービー教授によると、これまでに報告された中国武漢のコロナウイルスの症例のうち、子供たちの間で確認されたものはいないと述べており、感染した人の平均年齢は40歳以上です。

< コロナウイルスの治療 >
■ 特定の治療法はありませんが、現在、研究が進められています。

■ ほとんどの場合、症状は自然に消えますが、専門家は早期にケアすることを勧めています。症状が普通の風邪よりひどい場合、かかりつけの医師に相談してください。医師は痛みや発熱の薬を処方することで症状を緩和することができます。

■ 米国疾病管理予防センター(CDC)は、部屋に加湿器を置いたり、ホットシャワーが喉の痛みや咳の緩和に役立つと述べています。水分を十分に飲み、休息を取り、できるだけ睡眠をとるようにしましょう。

< 新型コロナウイルスについて心配する必要がありますか? >
■ 中国武漢で発生した新型コロナウイルスの死亡率はSARSやMERSより低いけれども、1918年に流行したスペイン風邪のパンデミックと同じくらいだと、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)数理生物学のニール・ファーガソン(Neil Ferguson)教授は説明しています。「これは世界的にみて重要な懸念事項です」とファーガソン教授は述べていますが、しかし、私たちはその重要度について完全には理解していないと指摘しています。

■ ファーガソン教授は、まだ見つかっていない軽度の症例の人の“氷山”によって、死亡率がより低い値になる可能性が高いと考えています。一方、ファーガソン教授は、新しいウイルスが人口全体にはるかに速く広がっていることに注目しています。

< どうすれば、防ぐことができますか? >
■ 少なくとも、まだ、このウイルス対して防護できるワクチンはありません。MERSワクチンが有効かの試験が進められています。米国国立衛生研究所は新しいウイルスに対するワクチンの開発に取り組んでいますが、臨床試験が開始されるまでには数か月かかり、利用できるようになるまでには1年以上かかるかもしれません。

■ あなた方がやれることは、病気に罹った人を避けることで、感染のリスクを減らすことができるかもしれません。 自分の目、鼻、口に触れないようにすることです。たびたび石鹸と水で、少なくとも20秒間、手を洗ってください。

■ 意識することや認識することが重要です。あなたが病気にかかり、武漢に旅行したとか、感染した人と接触したことにより新型コロナウイルスであると信じる理由がある場合、医療提供者(ヘルス・ケア・プロバイダー)に知らせて治療を早めに求めるべきです。

■ 咳やくしゃみをするときは口と鼻を覆ってください。あなたが触れた物や表面は消毒してください。

■ もし中国に旅行しなければならない場合、症状が出ていないか留意してください。武漢で流行が始まっていますので、動物市場に行くことは避けてください。

< コロナウイルスと妊娠 >
■ 妊婦では、MERSやSARSのコロナウイルスの場合には厳しかった状況にありました。2014年の調査によると、 MERSに感染した女性が死産したケースがあります。SARSに関連した症例としては、自然流産、妊産婦死亡、重大な妊産婦疾患のケースがあったことが、2004年の調査で明らかになりました。

< コロナウイルスと猫や犬などの動物との関係 >
■ 猫や犬などのペットはコロナウイルスを受け入れることがあり、その場合、感染が深刻になる可能性があります。ときには、ウイルスが致命的な病気につながることがあります。 2011年の研究によると、ウイルスが猫に猫伝染性腹膜炎を引き起こさせる可能性があり、向汎性イヌコロナウイルスと呼ばれるウイルスが猫や犬に感染する可能性があるといいます。

■ 猫はSARSを受け入れることができますが、研究によると、感染した猫のいずれも症状を発症しませんでした。ネココロナウイルスは、通常、症状はありませんが、軽い下痢を引き起こす可能性があります。猫伝染性腹膜炎は猫にインフルエンザのような症状を引き起こす可能性があります。しかし、猫にとってより深刻な臓器不全を引き起こす可能性があります。一方、それは伝染性はなく、動物から動物へあるいは人へ広がることはありません。

■ 猫や犬に影響を与える向汎性イヌコロナウイルスは、犬にとって致命的な可能性があることが研究で分かっています。これらの特殊な犬や猫のウイルスは人間には広がらないとみられます。

補 足
■「中国による新型コロナウイルスに関する大規模調査」が行われ、2020年2月17日(月)に公表されました。判明したことの主なことは、つぎのとおりです。
 ● 感染者の80.9%は軽度に分類され、13.8%が重度、4.7%が致命的だった。
 ● 9歳までの子どもに死者はいない。39歳までの死亡率は0.2%と低い。
 ● 死亡率は40代が0.4%、50代が1.3%、60代が3.6%、70代が8%と、年齢層が上がるにつれ徐々に上昇している。
中国による新型コロナウイルスに関する大規模調査結果(一部)(写真はNote.comから引用)
■「こどもの発症」について、資料が書かれた段階ではゼロという数値でしたが、その後の調査では発症者が出ています。年齢層に対する発症者の割合と死亡率はつぎのようになっています。
    年齢   発症者の割合  死亡率
 ●  0~9歳    0.9%     0%
 ● 10~19歳    1.2%    0.2%
 ● 40~49歳   19.2%    0.4%
 ● 50~59歳   22.4%    1.3%
 ● 60~69歳   19.2%    3.6%

所 感
■ “戦略”を考えるとき、まずやることは、戦いの相手がどういうものであるかということです。例えば、火災との戦いでは、目の前に起こっている火災の性質を知ることです。火災といっても、石油火災、LPガス火災、建物火災などがあり、相手になる火災の性質を知ることが必要です。そして、火災戦略を考え、実際の行動である火災戦術をとることになります。
 新型コロナウイルスとの戦いでは、まず新型コロナウイルスに関する基本認識が必要です。この点、本資料はウイルスとは何かにかについて内容のある話を簡潔にまとめています。そして、新型コロナウイルスについて、現在、分かっていること、まだ分かっていないことを明示し、パンデミック(世界的な流行)になったとき、知っておくべきことやとるべき対応について提言しています。

■ 新型コロナウイルスは、比較的、症状が軽度であることから、パンデミック(世界的な流行) になっても手洗いや消毒などの配慮をしながら、普段の生活をすることを勧めています。ところが、日本(政府)では、小中学校・高校について春休みまでの休校を要請しました。しかし、中国の調査結果によると、0歳~9歳、10歳~19歳までの人の発症割合はそれぞれ1%前後です。発症割合が多いのは、40歳代が19%、50歳代が22%、60歳代が19%で、全体の60%を占めます。働き盛りの40歳~60歳代を外して、発症割合1%の年齢層だけを対象に休校措置をとらなければならない理由はありません。こどもが学校を休んでも、親が感染すれば、こどもにも感染する可能性はあります。

■ 手洗いについて定量的に“少なくとも20秒間行う” ことが勧められています。今の日本のこどもはインフルエンザ対応で先生から教えられてよく手洗いする習慣ができています。この点からも小中学校・高校について休校する必要はないといえます。

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
    ・Hazmatnation.com, Coronavirus: What needs to be known about a pandemic, February  14, 2020
    ・Bbc.com,  新型ウイルスで中国が初の大規模調査 「80%以上は軽度」, February  18, 2020
    ・Nhk.or.jp, 致死率は2.3% 高齢者や持病ある人は注意 中国分析データ公表, February  19, 2020
    ・Note.com, [まとめ] 小児のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の科学的根拠,  February  19, 2020
    ・Who.int, Rolling updates on coronavirus disease (COVID-19), February  27, 2020 


後 記:  ハズマット(Hazardous Materials)を対象としたインターネット情報“Hazmat Nation”の2月14日分に新型コロナウイルスのことが掲載されたので、通常の事故などの記事と異質なので、ちょっとびっくりしました。しかし、突然、2月27日に日本の首相が学校を春休みまで休校にすることを要請すると発表しましたので、 “Hazmat Nation”の記事をブログに掲載することとしました。
 プリンセスダイヤモンド号の着岸に際しては、“水際作戦”と称して新型コロナウイルスを日本に入れないという“戦略”でした。その後、 “水際作戦”が破綻して、世の中では新型コロナウイルスはすでに日本に蔓延化してきており、“重症化”対策に切り替えるべきだといわれています。一方、市中ではマスクがない、消毒薬がない状況であり、新型コロナウイルスに罹っているかのPCR検査をやってもらえない中で、学校を休みにすることの優先度が理解できません。「最悪のシナリオを真っ先に考えるアメリカ。最悪のシナリオが無いことにする日本」といわれていますが、残念ながら、まさに言われるとおりの話だと痛感し、がっかりしながら、急遽まとめました。

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