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2017年7月25日火曜日

米国インディアナ州の石油タンク施設に落雷して火災

 今回は、2017年7月7日(金)、米国インディアナ州スペンサー郡ラマーにある石油タンク施設で貯蔵タンク1基に落雷があり、火災となった事例を紹介します。
(写真はDuboiscountyherald.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国インディアナ州(Indiana)スペンサー郡(Spencer County)ラマー(Lamar)にある石油タンク施設である。

■ 発災があったのは、ラマーを通る国道245号線の東で郡道1100N号線沿いにある石油タンク施設の貯蔵タンクである。施設には16基の貯蔵タンクがあった。
スペンサー郡ラマーの郡道1100N号線沿い (矢印が発災した石油タンク施設) 
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年7月7日(金)午後9時47分頃、石油タンク施設の貯蔵タンク1基に落雷があり、火災となった。タンク火災は、つぎつぎと隣接するタンクへ延焼し、爆発を伴って広がった。

■ 火災の通報を受け、スペンサー郡緊急事態対応センターが対応した。 対応に参加したのは、ボランティア型のクリスニー消防署、グランドビュー消防署、ニューボストン消防署、サンタクロース消防署、スペンサー郡緊急医療サービス、保安官事務所などである。

■ この事故に伴う負傷者はいなかった。

被 害
■ 爆発・火災によって施設内のタンクが複数基焼損した。被害の範囲や程度は明らかでない。

■ 事故に伴う負傷者は無かった。

< 事故の原因 >
■ 事故の原因は落雷による貯蔵タンクの可燃性ガスへの引火とみられる。

< 対 応 >
■ 事故の調査はスペンサー郡緊急事態対応センターのほか、インディアナ州環境管理局が現地を訪れて行っている。
(写真は14news.comから引用)
(写真はDuboiscountyherald.com から引用)
(写真はTristatehomepage.com から引用)
補 足
インディアナ州の位置 
(図はNizm.co.jp から引用)
■ 「インディアナ州」は米国中西部に位置し、五大湖地域にも含まれ、人口は約6,500万人である。
 「スペンサー郡」( Spencer County)は、インディアナ州南西部に位置し、人口約21,000人の郡である。
 「ラマー」(Lamar)は、スペンサー郡の東部に位置するクレイ町の中にあるコミュニティである。
 インディアナ州は、州南部に豊富な石炭資源があり、発電の主は石炭で州に28か所の石炭火力発電所がある。インディアナ州にある世界初の商業規模の石炭ガス化発電所は、2013 年6月に運転を開始したが、当初、20 億ドル (2,000億円)と見積もられていた建設費が35 億ドル(3,500 億円)に上がったほか、運転開始以来、地元の反対を受けたり、技術的課題に悩まされ続けているという。一方、再生可能エネルギーの利用を促進させようとしており、風力発電量が急成長を遂げている州で、工業の盛んな米国中西部で最大規模の風力発電所がある。
  
■ 「発災のタンク施設」は16基という情報以外、施設保有者を含めて詳細はわかっていない。グーグルマップによれば、タンクの大半は直径2.6mであり、高さを3~4mとすれば、容量は15~20KLクラスと思われる。しかし、ストリートビューを見ると、多くのタンクはかなり錆が目立ち、供用中であるようには思えない状態である。発災後の状況の写真と見比べると、比較的きれいなタンクが無くなっているので、使用していた一部のタンクが爆発・火災で損壊したものではないかと思われる。
発災した石油タンク施設(事故前) 
(写真はGoogleMapから引用)
発災した石油タンク施設(事故前) 
(写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ インディアナ州は石炭の豊富な州で、雷の発生頻度も高いところでない。(「NASAによる世界の雷マップ」を参照) このような州で油井施設とみられる石油タンク施設の落雷による火災は珍しい。しかし、発災状況や消防活動はよく分からない。落雷後の火災によって「つぎつぎと隣接するタンクへ延焼し、爆発を伴って広がった」とされるが、事故後の被災写真を見ると、原形をとどめているタンクが多く、被災タンクの基数はそれほど多くないように思う。

■ 消火活動に関する情報はほとんどないが、積極的消火戦略がとられた様子はない。漏洩した油による地上火災が隣接する小型タンクを巻き込んでおり、タンク内部に油が入っておれば、爆発のリスクが高いので、安易に発災場所に近づくべきでないと判断したのではないだろうか。そして、不介入戦略または防御的消火戦略が選択されたと思われる。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである
    ・Tristatehomepage.com, Lightning Strike Causes Chain Reaction of Explosions in Spencer County,  July  08,  2017 
  ・ 14news.com,  Oil Tank Struck by Lightning Sets off  Chain Reaction of Explosions,  July  08,  2017
    ・Duboiscountyherald.com,  Lightning Triggers Oil Tank Battery Fire, Explosions,  July  10,  2017  
  ・Hazmatnation.com,  Lightning Strike Causes Tank Battery Fire in Indiana,  July  10,  2017
    ・Wiky.com, Lightning blamed for tank explosion in Spencer County,  July  10,  2017



後 記: このブログでインディアナ州の事故を紹介するのは珍しく、「米国ホワイティング製油所の装置爆発で貯蔵タンク70基に延焼(1955年)」(2017年4月)に続き、2例目です。
 インディアナ州といえば、州都であるインディアナポリスで行われるカーレース「インディ500」が有名ですし、今年の大会では、日本人ドライバーの佐藤琢磨さんが優勝して大きく報道されましたね。
 ところで、インディアナという名は「インディアンの土地」というところから来たのですが、インディアンの部族はすべて州外に移住させられたそうです。インディアナ州にインディアンはいませんが、アーミッシュの多い州だそうです。アーミッシュといえば、「米国メリーランド州で納屋の火災中に燃料油タンクが爆発」(2015年8月)の事例を思い出します。

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