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2017年2月4日土曜日

米国オクラホマ州でオイルタンクが爆発して1名死亡、放火か?

 今回は、2017年1月18日、米国オクラホマ州ガーフィールド郡ワウコミスの近くにあるベレックスコ社の油井施設のオイルタンクが爆発して、1名の死者が出た事例を紹介します。
(写真はKoco.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国オクラホマ州ガーフィールド郡(Garfield County)のワウコミス(Waukomis)の近くにあるベレックスコ社(Berexco LLC)の油井施設である。

■ 発災したのは、ワウコミスから西へ2.5マイル(4km)離れたところで、西フリン道路沿いにある油井施設のオイルタンクで、内液は天然ガスだという。タンク区域には、高さ12フィート(3.6m)で容量200バレル(32KL)のタンクが3基あった。タンクは57年前に製作されたものだった。
オクラホマ州ワウコミス付近 (矢印が発災場所)
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年1月18日(水)午後6時45分頃、油井施設のタンク区域で大きな爆発が起った。この地域の住民によると、爆発によって建物が揺れたという。住民のひとりは炎を見たといい、「家の外に出たとき、太陽が逆に上がってきたように見えました。その後、火は次第に薄くなっていきました。怖かったですね」と語っている。

■ 事故現場には、ひとりの焼死体が見つかったほか、完全に焼けてしまった1台のSUV(スポーツ用多目的車:Sport Utility Vehicle)があった。当初、被災した人はベレックスコ社に関係ある人間で巡回中だったのではないかといわれていたが、その後、無関係だと分かった。

■ 発災に伴い、ワウコミス消防署およびガーフィールド郡の保安官が現場へ出動した。男性が亡くなっていることから、オクラホマ州検死官が呼ばれ、午後9時30分に現場へ到着した。

■ 爆発によってタンクの1基は上部が約40フィート(12m)離れたところに落下しており、1基は道路を越えて約200フィート(60m)の距離を飛んでいた。 SUVの上にもタンクの破片が落下していた。

■ 1月20日(金)、被災者はワウコミスにある農業関係のセンテニアル・ファーム社(Centennial Farm LLC)のマネージャーの男性(33歳)であることが分かった。
(写真はOkcfox.comから引用)
(写真はOkcfox.comから引用)
被 害
■ 油井施設のタンク区域にあるオイルタンク3基などの設備が損壊した。内液の天然ガスが焼失した。 また、 車両(SUV1台が焼損した。

■ 発災場所で男性1名が死亡した。このほかにケガ人はいなかった。

< 事故の原因 >
■ 爆発の原因は調査中である。また、死亡した男性の死因についても調査中である。

< 対 応 >
■ 事故のあった1月18日(水)の夜は、火災が再発した場合のことを考慮してワイコミス消防署とドラモンド消防署の消防隊員が現場に待機した。また、ガーフィールド郡保安官事務所の保安官も現場に配置された。

■ 事故の発生を受けて、地方当局はオクラホマ州コーポレーション委員会の石油・ガス部門に爆発の原因を調査するよう連絡した。

■ 1月20日(金)の朝、ベレックスコ社は事故に関してつぎのような文書による声明を出した。
 「私どもは、この不幸な状況の重大性を理解しております。現在、当局が原因の調査を行っています。私どもは、この専門家の調査に委ねなければなりません」

■ 1月20日(金)、検死官事務所の広報担当は、「現時点では、死因の特定はしていません。確定する前に毒物の分析を依頼しています。分析結果が出るまでには、4~6週間かかります」と語った。

■ 当局は、被災者がオイルタンクに火をつけたかについても調査していると話している。一部のメディアは、被災者とベレックスコ社が言い争っていたという情報を伝えている。また、被災者が爆発の前にタンクの上にいるのを見たという目撃情報も報じられている。

■ 1月24日(火)、調査官によると、爆発が事故だったのか放火だったのかという結論を出すにはあと2・3週間かかると言っている。
(写真はOkcfox.comから引用)
                道路を越えて噴き飛んだタンク    (写真はOkcfox.comから引用)
補 足
(図はcabinflooresoterica.comから引用)
■ 「オクラホマ州」は、米国南中部にあり、人口約375万人の州である。州都および最大都市はオクラホマシティである。「ガーフィールド郡」(Garfield County)は、オクラホマ州の北部中央に位置し、人口約62,000人の郡である。
 「ワウコミス」(Waukomis)は、ガーフィールド郡にあり、人口約1,300人の町である。町の人口は18歳未満28%、65歳以上11%で、年齢の中央値は36歳である。町の世帯の平均収入は約32,000ドルで、人口の15%が貧困線以下という。

■ 「ベレックスコ社」(Berexco LLC)は、2009年に設立された独立系の石油・天然ガス探査・生産会社である。オクラホマ州の北に隣接するカンザス州のウィチタに本社を置き、主にカンザス州、ネブラスカ州、オクラホマ州で事業を展開している。発災タンクは57年前に製作されたものだったということから、以前に開発された油井施設を買収したか、あるいは別な施設のタンクを転用したと思われる。

■ 事故のあった3基のタンクは高さ3.6mで容量が32KLと報じられている。グーグルマップで発災場所を確認すると、直径が約3.6mである。容量を推測すると35KL級であり、報じられている容量とほぼ合致する。このうち1基のタンクの上部が西に約12mのところに落下し、1基のタンクは南に約60mの距離を飛んでいる。
発災のあった油井施設のタンク区域 (発災前)
(矢印は大きなタンク部品が落下していた場所)
(写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ 爆発・火災の状況を考えると、最初に1基のタンクが何らかの要因で引火して爆発を起こし、内液が流出して堤内火災になり、残りのタンクが火炎に曝されて引火・爆発したとみるのが普通であろう。ただ、住民の話では、爆発が複数回あったということではないようなので、実際の状況は違うものと思われる。

■ 一方、今回ほど印象の変わっていった事例はない。最初、爆発で人が亡くなったということからタンク内外の火気工事で起った事故ではないかと思った。つぎに、タンク施設に関係のない人だったということからタンクの近くを車で通っていたとき、たまたま爆発に巻き込まれた事故で、このような偶然がありうるのかと思った。さらに新しい情報が出てくると、爆発は産業事故でなく、放火という事件の疑いがあるという。
 米国では、境界柵のない土盛りの防油堤だけで囲まれたタンク区域(タンク・バッテリー)は一般的で数多く存在している。このため、2012年1月の「米国オクラホマ州で銃弾によるタンク火災」、2013年1月の「米国テキサス州でたばこによるタンク爆発・火災」のような事例が起こっている。今回の事故はまだ原因が断定されていないが、前の2つの事例と違って、米国の良心が失われつつあるようで嫌な事例(事件)である。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Enidnews.com,  Massive Explosion at Oil Tank Battery West of Waukomis Kills 1,  January 18, 2017  
    ・Okcfox.com,  Garfield County Sheriff: 1 Dead in Oil Tank battery Explosion,  January 19, 2017
    ・Tulsaworld.com,  Oklahoma Oil Tank Battery Explosion Kills One near Waukomis,  January 19, 2017
    ・Okenergytoday.com,  Was Deadly Waukomis Oil Explosion set by Victim,  January 20, 2017
    ・Upstreamonline.com,  One Dead in Oklahoma Tank Battery Fire,  January 20, 2017
    ・Okcfox.com,  Man Killed in Explosion near Waukomis Identified,  January 20, 2017
    ・Koco.com,  1 Dead after Explosion at Tank Battery Site near Waukomis,  January 20, 2017
    ・News9.com,  Authorities Investigating Cause of Deadly Oil Tank Explosion in Waukomis,  January 20, 2017             
    ・Vanceairscoop.com,  Investigation Involving Explosion Continues,  January 20, 2017  
    ・Normantranscript.com,  Investigation Involving Explosion Continues,  January 20, 2017
    ・Okenergytoday.com,  Cause Still Undecided in Deadly Waukomis Oil Tank Explosion,  January 24, 2017



後 記: 予断はいけないと日頃言っていますが、死亡した人は車の中にいたと思い込み、そのようなニュアンスで文章にしていました。情報をよく読むと、死亡した人が見つかった場所について報じているメディアはありません。発災現場の地上で見つかったのではないかと思います。保安官などは、早い段階で被災者がタンク上にいた情報を得ており、タンク施設に関係する人物でないと分かった時点で、放火の可能性を考えたようです。しかし、何の証拠もないわけですので、メディアへの発表は慎重な言葉を選んでいたと思います。この点からすれば、メディアは正しく報道していたように思います。
 ブログの標題は「米国オクラホマ州でオイルタンクが爆発して1名死亡」としていました。しかし、事件性が伝わりませんので、 「米国オクラホマ州でオイルタンクが爆発して1名死亡、放火か?」としました。そして、被災者の名前は出さないこととしました。(海外ですし、「貯蔵タンクの事故情報」としては被災者の名前は必要条件ではありませんし)

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