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2016年12月27日火曜日

米国カリフォルニア州の製油所でアスファルトタンクが火災

 今回は、2016年12月16日、米国カリフォルニア州カーン郡ベーカーズフィールドにあるサンホアキン製油所のアスファルトタンクで火災が発生した事例を紹介します。
(写真はBakersfieldnow.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 発災施設は、米国カリフォルニア州カーン郡(Kern County)ベーカーズフィールド(Bakersfield)にあるサンホアキン製油所(San Joaquin Refinery Co., Inc.)である。サンホアキン製油所はナフテン系原油の精製を行い、潤滑油基油やアスファルトなどの特殊製品を製造している。

■ 事故があったのは、製油所のプラント内にあるアスファルトタンクである。タンクの容量などは不詳である。
ベーカーズフィールドのサンホアキン製油所付近 (写真はグーグルマップから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2016年12月16日(金)午前11時半過ぎ、ベーカーズフィールドのシェル通りにあるサンホアキン製油所のアスファルトタンクで火災が発生した。

■ カーン郡消防署は、午前11時37分にサンホアキン製油所で火災が発生したという通報を受け、出動した。消防隊が現場に近づいたとき、煙と火を伴ったアスファルトタンクが見えた。製油所の従業員による迅速な対応によって、消防隊が到着したときには、火災はほぼ制圧されていた。製油所の消火水モニターノズルが使用されて冷却が行われ、火災が鎮圧された。

■ 事故に伴う負傷者は出なかった。また、火災による環境や健康上の問題も報告されていない。

■ カリフォルニア州ハイウェイ・パトロール隊によって近くの交通規制が行われた。予防措置として道路が閉鎖され、近くにある職場は施設を離れないよう指示された。

被 害
■ アスファルトタンク1基が火災による損傷を受けた。被災額は150,000ドル(約1,700万円)と見積もられている。

■ 事故に伴う死傷者はいなかった。

< 事故の原因 >
■ 事故原因は調査中である。

< 対 応 >
■ 発災に伴い、カーン郡消防署が出動し、消火活動が行われた。消防隊が現場についたときには、火災はほぼ制圧されており、消防隊による消火活動は20分もかからなかった。 
(写真はBakersfieldnow.comから引用)
(写真はBakersfieldnow.comから引用)
(写真はBakersfieldnow.comから引用)
補 足
■ 「カリフォルニア州」は、米国西部の太平洋岸に位置する州で、人口約3,880万人である。州都はサクラメントである。 
 「カーン郡」(Kern County)は、カリフォルニア州の中南部に位置し、人口約84万人の郡である。
 「ベーカーズフィールド」(Bakersfield)は、カーン郡の中央部に位置する郡庁所在地で、人口約25万人の都市である。
 カリフォルニア州ベーカーズフィールドの位置 (写真はグーグルマップから引用)
■ 「サンホアキン製油所」(San Joaquin Refinery Co., Inc.)は、1969年に設立され、現地の油田で出油しているサンホアキン・バレー・ヘビー・ナフテン原油を原料として、特殊用途向けの製品を生産している製油所である。生産製品としては、潤滑油基油やアスファルトのほか、印刷インキ、ゴムおよびプラスチック、接着剤、塗料、電気絶縁、燃料などである。 製油所の従業員は130名で、精製能力24,300バレル/日の常圧蒸留装置、14,300バレル/日の減圧蒸留装置など8つのプラントがある。なお、サンホアキン製油所では、2010年12月に製油所構内でタンクローリーの流出火災が起こっている。
 今回の発災場所をグーグルマップで調べたところ、消防車の止まっていた位置はわかったが、発災タンクを特定するだけの情報がなく、タンクの場所や大きさなどは分からなかった。
事故のあったプラント付近 (矢印は消防車が止まっていた場所)  
 (写真はグーグルマップから引用)
所 感
■ これまでの事例紹介の際に述べてきたように、アスファルトタンクの爆発・火災に関して注意すべき項目はつぎのとおりである。
   ① 水による突沸
   ② 軽質油留分の混入
   ③ 運転温度の上げ過ぎ
   ④ 屋根部裏面の硫化鉄の生成
 今回の事故は、爆発があったような状況ではなく、また火災も大きな火炎が立ち昇ったようでないので、上記以外の要因で発災した可能性があるように思う。

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  Kerncounty.org,  San Joaquin Incident,  December 16,  2016   
    Turnfo23.com,  Kern County Firefighters Put out Fire at San Joaquin Refinery,  December 16,  2016
    Kerngoldenempire.com,  Firefighters Knock down Asphalt Container Fire at San Joaquin Refinery,  December 16,  2016
    Bakersfieldnews.com,  Employees at a Local Refinery Help Put out a Fire,  December 17,  2016
    Kuzz.com, Fire at Bako Refinery,  December 16,  2016


後 記: 今回の製油所を調べていて、メジャーといわれていた石油会社が製油所操業から撤退していき、日本国内でも製油所が閉鎖されたりしていく中で、小さくても、特殊製品を生産しているサンホアキン製油所のようなところは生き残っていくということを感じました。山口県でいえば、岩国市にあるユニオン石油工業のような会社(製油所)でしょうかね。ただ、サンホアキン製油所は、現地の油田であるサンホアキン・バレー・ヘビー・ナフテン原油を原料としているという絶対的な優位性があり、この点は米国が原油産出国であることを改めて思い知らされます。 

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