(写真はCaller.com
から引用)
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< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国テキサス州(Texas)ニュエセス郡(Nueces)コーパス・クリスティ(Corpus
Christi)にあるハス-アンダーソン建設(Hass-Anderson Construction, Ltd)のアスファルト・プラントである。
■ ハス-アンダーソン建設は、1991年に設立され、テキサス州コーパス・クリスティを本拠地にした土木・建設会社である。発災があったのは、コーパス・クリスティ国際空港の近くでホプキンス通り6500区にある建設資材用のアスファルト・プラントである。
コーパス・クリスティの国際空港付近 (写真はGoogle Mapから引用) |
コーパス・クリスティのハス-アンダーソン建設アスファルト・プラント (写真はGoogle
Mapから引用)
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< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2016年9月14日(水)午前4時頃、アスファルト・プラントのタンク地区で爆発があり、火災となった。爆発したのは、軽油(ディーゼル燃料)用タンクで、アスファルトを生産するために使用されていた。タンクの一部が噴き飛び、元の場所から約50ヤード(45m)離れた場所に落下した。
■ 発災に伴い、コーパス・クリスティ消防署が現場へ出動した。爆発現場で53歳の男性が死亡しているのを発見した。この男性は発災時にタンクの近くにいたとみられ、爆発によって遠くへ吹き飛ばされた。このほかに火災に直接関係はないが、怪我をした男性が病院へ搬送された。ひざを負傷したものとみられる。
■ 発災時、プラントには6名の従業員がいた。彼らは職場で行うべき仕事の準備をしていたというが、詳細は分かっていない。
■ 火災はタンク地区に限定されており、消防隊は約1時間の消火活動によって火災を消した。
■ 火はプラントで使用していた油が燃えたとみられるが、消防署は爆発の原因を調べている。
被 害
■ 発災に伴って2名の死傷者が出た。爆発によって男性1名が死亡し、男性1名が負傷した。
■ 軽油(ディーゼル燃料)用タンク1基が爆発によって損壊した。そのほかの設備にも被害が出たとみられるが、被災範囲と程度は不詳である。
< 事故の原因 >
■ 原因は調査中である。
< 対 応 >
■ 発災に伴い、コーパス・クリスティ消防署の消防隊がハズマット・チーム(HazMat)とともに現場へ出動し、対応した。
■ 米国安全衛生労働局(OSHA)コーパス・クリスティ支所が、死亡事故の原因を究明するため、調査を開始した。
■ ハス-アンダーソン建設は、死亡事故に対して“痛ましい喪失”だというコメントを出した。当該アスファルト・プラントは、損害がはっきりするまで、操業を停止する予定だという。
噴き飛んだとみられる貯蔵タンク (写真はCaller.comから引用) |
調査する関係機関 (写真は左;Caller.com、右;Texas-wronrfull-death-lawer.net
から引用)
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補 足
■ 「テキサス州」は米国南部にあり、メキシコと国境を接している州で、人口は約2,700万人である。
「ニュエセス郡」(Nueces)は、テキサス州南部に位置し、人口約34万人の州である。
「コーパス・クリスティ」(Corpus
Christi)は、ニュエセス郡南部のメキシコ湾の一部であるコーパス・クリスティ湾に面した港湾都市で、人口約28万人のニュエセス郡都である。
テキサス州コーパス・クリスティ(Corpus Christi)の位置 (写真はGoogle
Mapから引用)
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■ ハス-アンダーソン建設はコーパス・クリスティにアスファルト・プラントを保有しているが、爆発した石油タンクの仕様(大きさなど)は分かっていない。グーグルマップによると、同プラントには2基の小型円筒タンクがあり、1基は直径約3.3m、もう1基は直径3.9mである。従って、小さい方は30KL級、大きい方は50KL級のタンクと推定される。どちらが発災したか分からない。
爆発したタンクは約45m噴き飛んでいるが、グーグルマップで調べると、落下位置はプラント内に留まり、構外の公道に達していないと思われる。
ハス-アンダーソン建設のアスファルト・プラント (写真はGoogle
Mapから引用)
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タンクから約45m離れた場所(黄線) (写真はGoogle
Map から引用)
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所 感
■ 今回の事故は、軽油(ディーゼル燃料)という爆発を起こしにくいといわれる油種で発生しており、要因を推測するような情報もなく、米国安全衛生労働局(OSHA)の原因調査を待つしかない。
■ しかし、これまでにディーゼル燃料タンクの爆発事故は皆無でなく、つぎのような事例がある。
● 2013年8月、「米国ペンシルバニア州で燃料貯蔵タンクが爆発し、死者1名」
貯蔵タンクが爆発して噴き飛んだ状況は今回の事故と似ている。
● 2015年8月、「米国オハイオ州の地下貯蔵タンクが落雷で爆発、地表にクレーター」
この事例は給油スタンドのディーゼル燃料用地下タンクが落雷によって爆発したものである。
■ 建設資材用アスファルト・プラントの石油タンク火災としては、つぎのような事例がある。
● 2013年9月、「米国アリゾナ州の建設資材プラントで石油タンク火災」
この事例では、アスファルト品の製造に使用されるポリマーを含んだ液体石油製品タンク
から発災したものである。
■ さらに、延焼によって火災になったディーゼル燃料タンクがボイルオーバーを発生した事例もある。
● 1987年6月、「フランス・リヨンの油槽所における火災事故」
軽油(ディーゼル燃料)が安全という予断はもつべきでないといえよう。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである
。
・Bigstory.ac.org, 1 Dead, 1 Hurt in Asphalt Plant Explosion in
South Texas, September
14, 2016
・Firehouse.com, Explosion at TX Asphalt Plant Leaves One Dead, September 14,
2016
・Caller.com,
OSHA to Investigate Explosion at Asphalt Plant,
September 14, 2016
・Texas-wrongfull-death-lawer.net, Jose de la Torre Dies in Corpus Christi, TX
Asphalt Plant Accident, September
15, 2016
・88p4.com, US Texas Asphalt Plant Caused by a Dead One
Injured in The Accident Is still under Investigation, September 15,
2016
後 記: 今回の事故情報は多くのメディアから出されていましたが、大半が米国大手通信社のAP通信の一報を引用したものでした。発災写真はなく、情報が少ない中でまとめるしかないなと思いつつ、調べ(検索)を続けていくと、別な情報が出てきましたし、画像を掲載したものもありました。粘り強く調べていくことですね。ただし、情報が出てきたからといって事故状況や原因が分かるというものでなく、さらに分からないことが出てきます。テキサス州は石油施設が多く、落雷によるタンク火災も多いところですので、言い方はきついですが、死者が出るような事故があっても、感性が鈍いように思いますね。そのような中で、中国の通信社がこの事故を伝えているのが印象的です。
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