2014年9月20日土曜日

クウェートの製油所におけるタンク火災(2008年)

 今回は、2008年9月3日、クウェートのアハマディ州にあるウェート国営石油会社のミナアル·アーマディ製油所で起こった石油タンク火災について紹介します。
クウェート国営石油会社ミナアル·アーマディ製油所のタンク火災
(写真はQna.org.qa から引用)
 <事故の状況> 
■  2008年9月3日(水)午前10時頃、クウェートのアハマディ州にある製油所でタンクの火災事故があった。事故があったのは、アハマディ州のクウェートシティから南へ約45km離れたクウェート国営石油会社(Kuwait National Petroleum Company: KNPC)のミナアル·アーマディ製油所(Mina Al-Ahmadi Refinery)にある石油タンクで起こった。
                                        ミナアル·アーマディ製油所付近  (写真はグーグルマップから引用)
■ KNPCによると、93日水曜に起こった火災は同日、制圧下に入り、操業には影響がないという。
 「製油所は現時点、フル操業中で、輸出や出荷に影響はありません」とKNPC広報担当のアハマド・アル・ムザイエル氏はロイター通信に語った。さらに、ケガ人はいないとムザイエル氏は付け加えた。発生した火災によって多少の被害は受けたタンク地区の被災タンクへのパイプラインは閉止したとムザイエル氏は語った。メンテナンス地区の作業員1名の所在が事故直後に分からないときがあったが、すぐに無事に発見されたとムザイエル氏は語った。

■ ガソリンの入ったタンクと別な空のタンクの間にあったクレーンから火が出たもので、火災は限定的で短時間だったと会社側はみているという。

■ 極度の疲労によって6名の消防士が火災現場から退避したと、クウェートテレビは伝えている。

■ 火災のあったミナアル·アーマディ製油所は精製能力46万バレル/日である。製油所は輸出基地で、ジェット燃料の大半は欧州に運ばれている。
                     ミナアル·アーマディ製油所のタンク火災  (写真はArabianoilandgas.com から引用)
補 足                                                       
■ 「クウェート」は正式にはクウェート国で、アラビア半島の付け根に位置し、東はペルシア湾に面している。人口約325万人で、首都はクウェート・シティである。1938年に大油田が発見され、19616月英国から独立した。
 「アハマディ州」はクウェートにある6つの州のひとつで、クウェート南部に位置する。「州」ではなく「県」と訳す場合もある。

■ 「クウェート国営石油会社」(Kuwait National Petroleum Company: KNPC)は1960年に設立され、クウェート国営の石油精製および国内への石油製品供給を行っている会社である。クウェート国営石油会社は、クウェート国営石油精製会社と訳されることがある。これは1980年に設立されたクウェート国営石油会社( Kuwait Petroleum Corporation :KPC)やクウェート国営石油開発会社(Kuwait Oil Company :KOC)と区別するためである。なお、KPC(Kuwait Petroleum Corporation)はクウェート石油公社と訳すことがある。
 クウェート国営石油会社(KNPC)は国内3箇所に製油所を有している。
 ● ミナアル·アーマディ製油所(Mina Al-Ahmadi Refinery): クウェートシティから南へ約45km離れた場所で、精製能力は46万バレル/日
 ● シュアイバ製油所(Shuaiba Refinery): クウェートシティから南へ約50km離れた・ シュアイバ工業団地にあり、精製能力は20万バレル/日
 ● ミナアブドラ製油所(Mina Abdullah Refinery): クウェートシティから南へ約60km離れた場所で、精製能力は27万バレル/日
                                             KNPCのミナアル·アーマディ製油所  (写真は同社ウェブサイトから引用)
■ 「ミナアル·アーマディ製油所」は1949年に建設され、その後の増強によって常圧蒸留装置は現在、3系列で合計46.6万バレル/日の精製能力を有する。桟橋は輸出基地として増強され、現在5つの埠頭があり、最大着桟能力は16DWT、水深17mである。貯蔵タンクの貯蔵能力は同社ウェブサイトに記載がなく、わからない。グーグルマップによると、タンク地区には24KL級の浮き屋根式タンク群があるのはわかるが、発災タンクTK-46-610は判別がつかない。また、建て替えられたのか、補修して再使用されたのかもわからない。
 ミナアル·アーマディ製油所では、2014年8月17日(日)、廃水処理装置で火災があり、数名が病院に搬送される事故があった。また、2010年6月2日には、構内のパイプラインで火災が発生し、作業員2名が負傷する事故が起こっている。
                          ミナアル·アーマディ製油所のタンク地区    (写真はグーグルマップから引用)
所 感
■ 当該タンク火災は、防油堤内における火災発生からタンクのリムシール火災へと移行したものと思われる。タンク側板が広範囲に黒くなっており、堤内火災はかなり激しいものだったとみえる。発災の要因はクレーンとなっており、おそらく工事用に堤内に降りた移動式クレーン(クレーン車)だと思われる。堤内の配管は車両の衝突に対して無防備であり、注意が必要なことはよく知られている。

■ 今回の事故情報で言えることは、堤内火災の輻射熱に注意が必要だということである。タンク火災と異なり、堤内火災ではかなり火炎に接近して消火活動を行なうものと思われる。(接近することが可能だともいえる) 現実には火炎の規模は一定でなく、強弱があり、火炎が立ち昇った場合には、消防士が受ける輻射熱は大きく、許容できないこともあるだろう。 2014年7月22日の「メキシコのペメックス社でタンク火災、負傷者も発生」の事故でも、堤内火災を伴うタンク火災があり、消防士23名が火傷のほか、脱水症状と極度疲労に陥っている。


備 考
 本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいてまとめたものである。
      ・Khaleejtimes.com, Kuwait Refinery Fire Controlled, Output Unaffected, September 03, 2008
     ・Community.248am.com, Blast at Mina Al Ahmadi Refinery, September 03, 2008   
      ・Aaj.tv, Fire at Kuwait’s Largest Oil Refinery, September 03, 2008
      ・Qna.org.qa, Fire Breaks out in Ahmadi Refinery in Kuwait, August 17, 2014
      ・FireDirect.net, Kuwait- Workers Injured in Refinery Fire, September 05, 2014 
      ・Arabianoilandgas.com, Refinery Blaze in Kuwait Forces 72-hour Shutdown, June 03, 2014


後 記: 今回の事故情報をブログへ投稿するきっかけは、まったく別な最近の事故報道記事からです。「補足」に付記したようにミナアル·アーマディ製油所では、2014817日、廃水処理装置で火災事故ありました。この報道記事の中にタンク火災の写真がありました。記事内容には合わないのです。このために調べると、別な記事にもタンク火災の写真がついています。また、別な記事ではタンク火災の写真がついているのですが、説明に2008年のタンク火災と記載してあります。結局、わかったことはミナアル·アーマディ製油所において2008年に写真のようなタンク火災があったということでした。インターネットの報道記事の中には事故とは関係のない写真が掲載されることがあります。事故の写真は文章よりも訴えるものがあり、私も重要視しているのですが、本当に事故の写真かどうか判断し、関係のない(と思われる)写真はとりあげないようにしています。しかし、実際に現場に行っているわけでないので、事故状況や他の写真との整合性から見極めるようにしています。怪しいものの判断は最終的には「勘」でしょうね。

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