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2022年12月10日土曜日

ロシアの石油貯蔵所で無人航空機によって燃料タンク3基が火災

 今回は、20221130日(水)、ロシアのブリャンスク州スラジスキー地区にある石油貯蔵所でディーゼル燃料用の貯蔵タンクが無人航空機(ドローン)によって攻撃された事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、ロシア(Russia)のブリャンスク州(Bryansk)のスラジスキー地区(Surazhsky district)にある石油貯蔵所である。

■ 事故があったのは、石油貯蔵所内にあるディーゼル燃料用の貯蔵タンクである。

<事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 20221130日(水)午前6時頃、石油貯蔵所内で貯蔵タンクが火災を起こした。タンクの容量は5,000トンで、発災時は満杯であった。

■ 火災は、正体不明の無人航空機(ドローン)がディーゼル燃料タンクの1基に爆発物を落とした後に始まった。その後、容量5,000トンの燃料タンク2基に延焼した。

■ 発災に伴い、消防隊と救助隊が出動した。現場に出動した隊員は80名を超え、車両は30台にのぼった。また、緊急事態省の航空機動部隊も現場に派遣された。

■ 火災発生直後に撮影されたテレグラム・チャンネル(Telegram channels)のビデオでは、2 基の燃料タンクが黒煙と炎を噴き出していることがわかる。少なくとも1基は爆風による損傷の兆候を示しており、金属製の側板が外側に曲げられている。

■ 火災エリアは1,800㎡に及び、その後、さらに3,000㎡のエリアに広がった。

■ 事故に伴う死傷者は無かった。

■ ユーチューブにタンク火災の映像が投稿されている。

 ●В Брянській області загорівся резервуар з нафтопродуктами(ブリャンスク地方で石油製品のタンクが火災)(2022/11/30

 ●Fire at an oil storage tank in the Bryansk region of the Russian Federation2022/12/03

■ ロシアのウクライナ侵攻(ロシアのウクライナでの特別作戦)に関連して202210月以降、ブリャンスク地方などは中レベルの対応体制(黄色レベルのテロの脅威)が導入され、公の秩序の保護の強化、国家施設の運営のための特別体制、および出入りの制限がとられていた。

被 害

■ 貯蔵タンク1基が攻撃によって破損し、さらにタンク2基が火災によって被災した。内部の燃料油が焼失した。このほか、堤内火災によって設備被害が出ているが、詳細は分からない。

■ 負傷者は出なかった。

< 事故の原因 >

■ 原因は、無人航空機(ドローン)による攻撃である。

< 対 応 >

■ 1130日(水)、燃え広がった火災は制圧され、3時間後に鎮火したと報じられている。

補 足

■「ロシア」(Russia)は、正式にはロシア連邦といい、ユーラシア大陸北部に位置し、人口約14,600万人の連邦共和制国家である。

「ブリャンスク州」(Bryansk)は、ロシアの北西部に位置し、人口約128万人の州である。行政の中心地はブリャンスク市で、20224月には「ロシアのふたつの石油貯蔵所でタンク爆発・火災、テロ攻撃か」の事故があった。

「スラジスキー地区」 (Surazhsky district)は、ブリャンスク州にある27 の地区の1つである。州の西部に位置し、人口は約27,200人で、行政の中心地は スラーズ市である。

 ■「発災タンク」は、ディーゼル燃料タンクで容量5,000トンと報じられている。グーグルマップで調べてみると、スラジスキー地区には規模の大きい石油貯蔵所がある。固定屋根式(コーンルーフ)で直径が同じタンクが40基とやや直径の小さいタンク4基の計44基で構成されている。40基タンク群は直径約22mであり、高さを13mと仮定すれば、容量は5,000KLとなる。総貯蔵容量は5,000KL×40基=20KLクラスである。

タンク所有者の名前は報じられていないが、 20224月の「ロシアのふたつの石油貯蔵所でタンク爆発・火災、テロ攻撃か」の事故や、ブリャンスクがウクライナとの国境の北東154kmの地点にあり、ウクライナ侵攻でロシア軍の兵たん拠点の一つといわれており、軍事施設の石油貯蔵所とみられる。

所 感

■ タンク火災の原因は無人航空機(ドローン)による爆発物の攻撃である。20224月の「ロシアのふたつの石油貯蔵所でタンク爆発・火災、テロ攻撃か」の事故以降、ロシアでの攻撃がエスカレートしている。ブリャンスク州は中レベルの対応体制(黄色レベルのテロの脅威)が導入され、公の秩序の保護の強化、国家施設の運営のための特別体制、および出入りの制限がとられていたにもかかわらず、無人航空機(ドローン)による攻撃を受けており、石油貯蔵所がこの種の無人航空機(ドローン)の攻撃に対する防御に脆弱であるのが理解できる。

■ 今回の石油貯蔵所の規模(貯蔵タンク44基)に比べ、被災タンクが3基と報じられており、意外に少ないと感じる。その理由として、つぎのようなことが考えられる。

 ● 実際には被災範囲はもっと広いが、意図的に小さく報じられている。

 ● 無人航空機(ドローン)による爆発物の威力がそれほど大きくなかった。

 ● タンクの内液が軽油(ディーゼル燃料)で、ガソリンのような引火点の低い油でなかった。

 ● タンク間距離がタンク直径分とられ、またタンク24基でひとつの防油堤に囲まれており、タンクの配置計画が適切だった。

■ 消防活動は、出動人員・車両台数以外、報じられていない。火災写真も少ないが、主な被災のひとつは堤内火災である。これまでロシア国内の消火体制や消火資機材が充実していないことをうかがわせる事例が少なくなかったが、堤内火災は、高発泡の泡消火が有効であり、今回はこの種の消火資機材が整っていたのかも知れない。一方、タンク屋根または側板が破壊されている被災写真があり、鎮火まで3時間という報道は早すぎるという印象である。


備 考

 本情報はつぎの情報に基づいてまとめたものである。

   Tankstoragemag.com, Fire breaks out at Russian oil storage tank,  November  30,  2022

     JP.Reuters.com, Fire at oil storage tank in Russia's Bryansk region – governor,  November  30,  2022

     Mil.in.ua, Fire at an oil storage tank in the Bryansk region of the Russian Federation,  November  30,  2022

     Tass.com, Oil storage facility on fire in western Russia’s Bryansk Region,  November  30,  2022

     Ukranews.com, Tanks With Fuel On Fire In Bryansk Region. Russian Authorities Claim Ammunition Dropped From Drone, November 30, 2022

     Dailymail.co.uk, 'Ukraine drone attack' sparks inferno at Russian oil depot: Giant blaze hits critical resupply route for Putin's invading forces,  November  30,  2022

     Pravda.com.ua, Another large-scale fire at oil depot in Russia,  November  30,  2022

     Neftegaz.ru, В Суражском районе Брянской области загорелись резервуары с нефтепродуктами,  November  30,  2022

     Nangs.org, Губернатор сообщил о локализации пожара на брянском нефтехранилище,  November  30,  2022


後 記: 今回の石油貯蔵所に関する事故情報はロシアの報道規制がかかっているようです。前回の20224月のタンク事故では、ロシアのインターネットメディアのマッシュ(Mash)に投稿された動画やロシアのソーシャル・ネットワーキング・サービスのVKには、ロシア国営のイタル・タス通信の無味乾燥な報道にない自由さが残っていると感じましたが、今回はビデオ映像があるものの、報道の自由さは感じられません。タンク事故情報だけを調べているだけですが、ロシア-ウクライナの戦況を感じ取ることができます。

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