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2017年12月12日火曜日

マレーシアでディーゼル燃料タンクが爆発・火災、死者3名

 今回は、2017年11月3日(金)、マレーシアのセランゴール州ラワンにある建材メーカーのラファージ・マレーシア社の工場でディーゼル燃料タンクが爆発し、火災となり、3名の死者を出した事故を紹介します。
 (写真はLimaumanis.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、マレーシア(Malaysia)のセランゴール州(Selangor)ラワン(Rawang)ジャラン・クアン・ガアリング(Jalan Kuang Garing)にある建材メーカーのラファージ・マレーシア社(Lafarge Malaysia)のラファージ・ラワン工場である。

■ 発災があったのは、ラファージ・ラワン工場のディーゼル燃料タンクである。タンクは直径約12m×高さ約4.6mクラスで、内部に725KLのディーゼル燃料が入っていたといわれる。
                     マレーシアのセランゴール州ラワン付近     (写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年11月3日(金)午後4時15分頃、ラファージ・ラワン工場のディーゼル燃料タンクで爆発があり、火災となる事故が起った。

■ 当時、タンクでは保守作業が行われており、タンク上に3名の作業者がいた。事故発生により、3名はタンク内へ落下した。

■ 発災に伴い、ラワン消防署、セルラヤン消防署、バトゥアラン消防署の3つの消防署から消防車5台と消防士30名が出動した。消火活動によって火災は1時間ほどで消された。

■ 三人の捜索が困難ということで、タンク内の油を排出するため、タンクローリーが手配され、午後10時頃から油の抜き出しが始められた。結局、13台のタンクローリーが使用された。11月4日(土)午後2時過ぎ、現場監督だった28歳の男性の遺体が発見されたのに引き続き、技術者の35歳と49歳のふたりの男性の遺体が確認された。

被 害
■ ディーゼル燃料用タンク内1基が焼損した。

■ 事故に伴い、死者3名の労働災害が発生した。

< 事故の原因 >
■ 事故原因は調査中である。

< 対 応 >
■ ラファージ・マレーシア社は、11月3日(金)、同社のウェブサイトのプレス・リリースによってラワン工場で火災が発生したことを発表した。同日午後9時に行方不明が3名あったことを追加掲載した。しかし、その後の状況について発表は行われていない。 
写真はWangcyber.comから引用)
(写真はNst.com.myの動画から引用)
(写真Limaumanis.comから引用)
補 足
■ 「マレーシア」(Malaysia)は、東南アジアのマレー半島南部とボルネオ島北部を領域とする連邦立憲君主制国家で、人口約2,900万人である。イギリス連邦加盟国で、タイ、インドネシア、ブルネイと陸上の国境線で接し、シンガポール、フィリピンと海を隔てて近接する。通常、マレー半島部分が「マレーシア半島」、ボルネオ島部分が「東マレーシア」 と呼ばれる。一方、マレー半島とボルネオ島間の往来は、マレーシア国民であってもパスポートを必要とする。
 「セランゴール州」(Selangor)は、マレーシア半島の西部に位置し、人口約630万人の州である。
 「ラワン」(Rawang))はセランゴール州の東部に位置し、ゴンバク地区にある町である。
(図はGoogleMapから引用)
■ 「ラファージ・マレーシア社」(Lafarge Malaysia)は、スイスを本拠にする世界最大の建材メーカーであるラファージ・ホルシム社(LafargeHolcim)の子会社で、マレーシアにおいてセメントを主として展開する建材メーカーである。マレーシアのラワンにラファージ・ラワン工場がある。

■ 発災タンクは、ディーゼル燃料用で、直径約12m×高さ約4.6m、内部に725KLの油が入っていたことになっている。しかし、直径約12m×高さ約4.6mのタンクでは、容量が520KL程度であり、タンク仕様が違っていると思われる。725KLが正しいとすれば、直径約14.5m×高さ約4.6mクラスのタンクとなる。グーグルマップでラファージ・マレーシア社のラファージ・ラワン工場の敷地内を見たが、該当する発災タンクは見当たらなかった。
 一方、発災の関連写真を見ると、当該タンクを含めてまわりの設備の一部が他と比べて新しいように思える。グーグルマップの施設写真にも、この新しそうな設備に該当するところがない。最近、設置された設備ではないだろうか。
      ラファージ・マレーシア社ラファージ・ラワン工場付近   (写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ ディーゼル燃料用タンクが爆発して火災になるという事例で稀なようにみえるが、この2年ほどでも、つぎのような類似事例がある。
 過去の事例から類推すると、石油について安易な取り扱いをし、タンク内にディーゼル燃料だけでなく、廃ガソリンのような揮発性の高い油を混合したのではないだろうか。

■ タンクが爆発してタンク外に吹き飛ばされた事例はあるが、タンク上にいた保守作業者がタンク内に落下するという例はない。発災写真を見ると、屋根部が噴き飛ばされている。また、タンクのまわり階段の頂部にかなり広いフロアらしいものが見られる。これは噴き飛んだ屋根部の反対方向にあるので、タンク屋根が噴き飛んだ際、タンク内側に傾き、上にいた人がタンク内に落下するという最悪の悲劇が起きたのではないだろうか。


備 考
 本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいてまとめたものである。 
     ・Lafarge.com ,   Fire at Lafarge Rawang Plant,   November  03,  2017
      Nst.com.my , 725,000 Litres of Diesel to be Pumped Out to Search for Three Missing Man, Following Explosion at Factory   November  03,  2017
  ・Nst.com.my , Rawang Oil Storage Tank Eplosion: Bodies of All Three Victims Found,  November  04,  2017
      Nst.com.my, Bodies of All Three Victims in Oil Storage Tank Fire Found,  November  05,  2017
      malaysiandigest.com , Rawang Storage Tank Fire: Diesel Extraction Operation Continues to Locate Victims,  November  04,  2017
    Cyber-rt.info,  3 Feared Killed in Rawang Cement Plant Diesel Tank Explosion,  November  04,  2017
          Hazardexonthenet.net,  Malaysia Cement Plant Blast Kills Three,  November  06,  2017


後 記: この事故は、別な情報を探していてたまたま知った事例です。さらに詳しい情報を検索しましたが、望むような情報は出てきませんでした。タンク仕様(直径×高さ)と入っていた油量に整合がとれないということなど、なにかすっきりしない事例でした。ラファージ・マレーシア社も事故発生の第一報をウェブサイトのプレス・リリースで発表していますが、3名の行方不明という人災が起こっているらしいことが分かってから、プツリと続報が途絶えています。会社のあわてぶりを感じます。このようなことから、所感はかなり類推した内容を書くことになってしまいました。


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