(写真はKatc.comから引用)
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< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国ルイジアナ州(Louisiana)セント・マーティン教区(St.
Martin Parish)にあるJPオイル社(JP Oil Company)のタンク施設である。
■ 発災があったのは、ブロー・ブリッジ(Breaux
Bridge)郊外のルイジアナ州高速94号(LA94号線)沿いにある油井関連のタンク施設である。
ブロー・ブリッジ郊外のルイジアナ州高速94号付近 (矢印部が発災場所)
(写真はGoogleMapから引用)
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< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2018年8月17日(金)昼過ぎ、油井関連施設の古い油タンクが火災となった。発災現場からは、火災から上がる煙の雲が地域一帯に流れた。
■ 油タンクは落雷によって火災になったとみられる。少なくとも、タンク1基が火災になった。
■ 発災に伴い、セント・マーティン教区消防署が出動した。
■ ルイジアナ州高速94号、通称ミルズ通りは、ラファエットとブロー・ブリッジの間で、消防隊の消火活動中、警察によって一時的に閉鎖された。
■ 事故による負傷者はいなかった。
被 害
■ 火災に伴い、少なくともタンク1基が焼損し、内部の油が焼失した。
■ 事故に伴う負傷者は出なかった。
< 事故の原因 >
■ 火災の原因は落雷によってタンク内部の油に引火し、火災になったとみられる。
< 対 応 >
■ ハズマット(HazMat)隊は、事故後のクリーンアップのため現場に残った。
■ 出動した消防隊員など緊急対応人員の人数や活動の詳細は分からない。
(写真はKlfy.comから引用)
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(写真はKlfy..comから引用)
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(写真はKlfy..comから引用)
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補 足
ルイジアナ州の位置 (写真はNizm.co.jpから引用)
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■ 「ルイジアナ州」(Louisiana)は、米国南部のメキシコ湾に面しており、州都はバトンルージュ、最大の都市はニューオリンズである。人口は約457万人であるが、2005年のハリケーン・カトリーナなど何度も大型のハリケーンに襲われたため、移転する州民が多く、他の州に比べて人口が伸び悩む傾向にある。
「セント・マーティン教区」(St.
Martin Parish)は、日本ではセント・マーティン郡とも呼ばれ、ルイジアナ州南部に位置し、人口約52,000人の郡である。群庁はセントマーティンビル(人口約6,100人)であり、最大の町は「ブロー・ブリッジ」(Breaux
Bridge:人口約8,100人)である。
なお、ルイジアナ州では、つぎのような事故や対応事例がある。
● 2012年9月、「米国ルイジアナ州の製油所でハリケーン襲来後に油漏出」
● 2013年1月、「米国ルイジアナ州でクリスマスに落雷によるタンク火災」
● 2016年3月、「米国ルイジアナ州における消防活動の相互応援の歩み」
● 1989年12月、「米国バトンルージュの貯蔵タンク複数火災における消火活動」
ルイジアナ州のメキシコ湾岸 (写真はGoogleMapから引用)
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■ 「JPオイル社」(JP Oil Company, LLC)は、1975年に設立された石油・天然ガス掘削・生産の石油会社で、ルイジアナ州ラファイエットを拠点として、主にルイジアナ州、テキサス州、カリフォルニア州、ワイオミング州で事業を展開している。
JPオイル社の石油・天然ガス掘削生産の例
(写真はJpoil.comから引用)
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■ 「発災タンク」の仕様については「古いタンク」ということだけで、大きさなどの情報は報じられていない。グーグルマップで発災場所を調べてみると、ルイジアナ州高速94号(ハイウェイ)沿いに新旧の油井用タンク施設がある。(写真を参照)
JPオイル社は、石油メジャーから既存の油井(採掘権)を買収し、新しい掘削・生産方法をとる事業を行っている。今回、発災した油井用タンク施設はその例のひとつだと思われる。グーグルマップで調べると、古い方のタンクは、直径約2.5m×3基、直径約4.5m×2基である。直径約2.5mのタンクの高さを4mとすれば、容量は20KL級タンクとなる。直径約4.5mのタンクの高さを6mとすれば、容量は100KL級タンクとなる。容量20~100KL級のタンクのいずれが発災タンクかは特定できなかった。
発災したとみられる油井用タンク施設 (右が古い施設)
(写真はGoogleMapから引用)
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事故前の油井用タンク施設 (左が古い施設)
(写真はGoogleMapストリートビューから引用)
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所 感
■ 今回、久しく無かったルイジアナ州での落雷によるタンク火災である。「NASAによる世界の雷マップ」によれば、ルイジアナ州は、テキサス州などと並び、雷の多い地域である。米国の原油・天然ガスの油井施設が好調の背景から、メキシコ湾岸でのタンク火災の頻度の高まる可能性があるのではないだろうか。
■ 消防活動については、あまり言及されていないが、タンクが容量20~100KL級の規模から数時間で火災は消えたと思われる。注目している点は、ハズマット(HazMat)隊が出動し、事故後のクリーンアップのため現場に残ったことである。ルイジアナ州はハズマット隊の組織化に熱心なところであるが、人口約52,000人のセント・マーティン教区消防署でもハズマット隊を編成していることは興味深い。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Katc.com, Oil Tank Fire Extinguished in St. Martin Parish, August 17, 2018
・Klfy.com, Major Fire on Mills Highway in St. Martin Parish Now Under Control , August 17, 2018
・Kadn.com, Oil Tank on Fire at Refinery outside Breaux Bridge, August 17, 2018
・Hazmatnation.com , Lightning Strikes Oil Tank in St. Martin Parish, August 18, 2018
後 記: 米国の事故情報を調べていて、最近、感じることはツイッターを利用する人が増えたことです。以前からフェースブックを使う人はありましたが、大統領の影響(?)でツイッターを使用する人が増えているようです。私は事故の状況の詳細を知りたいので、事故があったということだけを伝えるツイッターは、参考になりません。しかし、メディアも今回のような通信社のような記事だと、伝えるべき内容に乏しいですね。人口約8,100人のブロー・ブリッジのさらに郊外で起こった火災事故では、近隣の人の意見は出ないでしょう。現地に行った記者がいなければ、消防隊が出て消火活動に勤(いそ)しんでも、感想が無いのは当然なのでしょうかね。救いは、事故の写真や映像が出ていることです。(今回は良い写真や映像ではありませんが) これがなければ、無味乾燥の内容になっているでしょう。