< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年1月22日(日)15時40分頃、潤滑油製造プラントの「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2)で火災が起った。プラントからは激しく炎が噴き出した。
■ 発災当日、 「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2)
は、1月21日(土)22時から原料油種を切替えて通油量約60KL/hで運転されていた。なお、「第二プロパン脱瀝青装置」(DA-2)は、1月18日(水)0時から通油量約53KL/hで運転され、「第二プロパン脱ろう装置」(PD-2)は、「第六水添脱硫装置」(HD-6)を含め、
1月22日(日)05時30分から原料油種を切替えて通油量約35KL/hで運転されていた。
■ 当該装置の運転員によると、15時40分頃、「第二プロパン脱ろう装置」(PD-2)のコンデンセイトポット(D-412)東側付近にある機器または配管から可燃性ガス・油が漏洩して着火したと語っている。従業員の中には、大きな音とともに、窓が揺れる程度の風圧を感じたという。一方、ガラス窓の破損等の被害報告はないため、着火の際、強い爆風を伴う爆発は発生しなかったとみられる。
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運転員の証言による発災時の状況
(図はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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■ 火災は「水素化精製部門」(PT-2HD)の高圧パージガス系の配管開口部から可燃性ガスが噴出して着火して発生した。その後、開口部から油が漏洩して油火災となった。火炎に曝露された配管から別な開口部が生じ、また機器や配管のフランジ部が変形して、さらに可燃性ガス・油が漏洩して広がり、火災は装置内の防液堤内に拡大した。漏洩して着火した油類は当該装置の防液堤内に留まった。
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第二潤滑油抽出水添精製装置(PT-2)の水素化精製部門(PT-2HD)の工程概略図
(図はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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■ 火災発生に伴い、東燃ゼネラル石油和歌山工場の自衛消防隊が出動するとともに、有田市消防本部の消防隊が出動した。
■ 東燃ゼネラル石油和歌山工場の防災活動要領に従い、工場自衛防災組織の防災戦術班が「第二プロパン脱瀝青装置」(DA-2)と「第二プロパン脱ろう装置」(PD-2)の防災戦術シートを用いて、BLEVE(Boiling
Liquid Expanding Vapor Explosion:沸騰液膨張蒸気爆発)の発生リスクのある機器の冷却を優先することとした。これとともに、漏洩量を抑制するため、火災の状況を見極めながらブロック範囲を狭める戦術が提案され、有田市消防本部の指揮のもと、和歌山県北部臨海地域広域消防協議会メンバーの消防隊と共に消防活動が実施された。
■ 1時間を経過しても火災の勢いは収まらず、爆発の可能性があるとして、1月22日(日)17時14分、有田市は火災現場に近い初島地区の住民に対して避難指示を発令した。
■ 東燃ゼネラル石油和歌山工場は、周辺住民への情報提供として広報車、避難所での説明を各々6回実施した。また、東燃ゼネラル石油のウェブサイトにプレスリリースを4回掲載した。
■ 火災は、つぎのようなフェーズを経て拡大したものとみられる。
フェーズ 1(15時37分~15時47分): 開口部からガス火災発生(約10分間)
フェーズ 2(15時48分~16時13分) : ガス火災から油火災への進展(約25分間)
フェーズ 3(16時14分以降) : 油火災の拡大・継続(鎮火まで約40時間)
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潤滑油製造プラントの火災(発災から約37分後のフェーズ3始まりの状況)
(写真はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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● 火災フェーズ 1では、
「水素化精製部門」(PT-2HD)の高圧パージガス系配管の開口部(9.2mm角)から流量約3.0トン/時で、約1分間、ガスが放出した。
その後、信号喪失によって圧力制御弁(PICV-251 A/B)が閉止し、第五水添脱硫装置(HD-5)からの逆流が止まり、ガス放出量は、約6分間、約1.5トン/時に減少した。さらに、「水素化精製部門」
(PT-2HD)の高圧高温分離槽(D-252)が満液となり、高圧低温分離槽(D-253)にオーバーフローが始まり、約3分間、ガス放出量は0.4トン/時に低下した。この初期開口からの火炎は、直径約1m、長さは5~10m程度であり、ガス放出量が減少するに従い、火炎の大きさは小さくなった。
● 火災フェーズ2では、高圧低温分離槽(D-253)においてオーバーフローが始まったことにより、圧力制御弁(PICV-251)を含む高圧パージガスラインへ流入した油が開口部から漏洩して、開口部付近はガス火災とともに油火災へ発展し、25分間ほど続いた。
● 火災フェーズ3では、「抽出部門」の原料油タンク直近の原料供給ポンプP-2207および装置内の昇圧ポンプP-201が駆動されたままであったため、原料油が潤滑油製造プラント内に送油され、油火災が拡大した。この事象は原料油タンク直近のP-2207が停止される17時25分まで継続され、この間の約70分間で約102KLの原料油が装置内に送油された。油漏洩によって油火災が拡大して地上火災となり、この範囲内の熱交換器のシェルカバー、チャンネルカバー、配管フランジのボルトナットの熱膨張が生じ、溶剤のNMP(
N-メチルピロリドン)など他の油の漏洩が発生して、火災範囲が拡大し、長時間の火災となった。
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第二潤滑油抽出水添精製装置(PT-2)の抽出部門の工程概略図
(図はNoe.jxtg-group.co.jpから引用 |
■ 火災の拡大を抑制できなかったのは、つぎのような要因があった。
● 発災後、 「水素化精製部門」(PT-2HD)の高圧パージガス系のガス漏洩部位の圧力を低下する目的で緊急降圧弁(手動弁)による降圧を試みたが、当該弁の設置位置が火災の発生した範囲内であり、近づくことができなかった。緊急降圧弁による降圧が実施できなかったため、開口部からのガスおよび油火災が継続し、火災拡大を防止する事ができなかった。
● 「抽出部門」の装置内への原料の供給を停止するため、装置内の昇圧ポンプP-201を停止しようとしたが、火災によってポンプ停止スイッチに近寄ることができず、停止不可であった。
● 和歌山工場の主要装置には、緊急対応時の処置を計器室から一括で行うためのエマージェンシー・システム(緊急時処置機構)が設置されている。しかし、当該昇圧ポンプP-201は「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2) のエマージェンシー・システムに組み込まれていなかった。
■ 住民の避難に関する状況はつぎのとおりであった。
● 1月22日(日)15時40分の発災後の火災状況から東燃ゼネラル石油和歌山工場は、重大事故のひとつであるBLEVE(沸騰液膨張蒸気爆発)の発生する可能性があると判断した。火災の発生していた防液堤内の範囲には、
BLEVE 発生リスクのある機器は無かったが、隣接する防液堤内にBLEVE
発生リスクのある機器が6基が存在していた。
● 油火災が拡大・継続する中で、有田市は17時14分に初島町の全住民を対象に避難指示を発令した。
● 住民の避難について国の指針等では、「BLEVE(沸騰液膨張蒸気爆発)の恐れがある場合に発令する」
となっている。東燃ゼネラル石油和歌山工場の工場防災計画の策定に際して、有田市と東燃ゼネラル石油和歌山工場は事前に適切な情報を共有していたため、有田市は最悪の事態に備えた予防的な住民の避難指示を発令した。
● 発災当時、火災はガス火災と高さ約20cmの防液堤内での液体炭化水素のプール火災(地上火災)になったが、早期に周辺冷却を開始したため、当該防液堤外への火災延焼は抑えられていた。最も近いBLEVEリスク機器はT-101だったが、T-101には可搬式放水銃1台と高所放水車2台によって冷却散水を実施していた。T-101の温度・圧力は既存計器によりモニターされ、BLEVE(沸騰液膨張蒸気爆発)の兆候は見られなかったし、受熱量と放水による徐熱量を計算し、必要な冷却散水が確保されていた。
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火災の発生した範囲とBLEVE リスク機器の位置関係
(図はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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● 住民の避難指示は、有田市防災無線で初島町内に放送された後、東燃ゼネラル石油和歌山工場の防災隊が広報車で3回(17時30分、19時00分、19時45分)避難を呼びかけた。さらに、19時38分頃から有田警察署、有田市、東燃ゼネラル石油和歌山工場は、三者で手分けして個別訪問を行って避難して
いない住民がいないか呼びかけを実施した。避難指示発令から住民避難の個別訪問が終わるまでに、3時間以上の時間を費やした。
● BLEVE(沸騰液膨張蒸気爆発)の恐れは無いと判断され、発災から約12時間後の翌1月23日(月)
04時10分に避難指示が解除された。
● なお、東燃ゼネラル石油和歌山工場は、
BLEVE以外の重大事故である蒸気雲爆発(Vapor Cloud Explosion:VCE)、容器の破裂、有毒ガス放出、有毒液体流出、大規模火災の5項目について検討したが、リスクがあるのはBLEVE (沸騰液膨張蒸気爆発)のみと判断した。また、事故調査時に本火災事故時のBLEVE (沸騰液膨張蒸気爆発)発生の可能性について検討したが、発生の可能性は低かったと推測された。
■ 火災は発災から約40時間余を経過した1月24日(火)8時27分に鎮火した。
被 害
■ 物的被害は約8,700万円だった。装置から漏洩した水素、軽質炭化水素、重油、抽出溶剤の総量は約200トンで約2,500万円相当だった。
■ 事故に伴う負傷者はいなかった。地元住民約2,986人を対象に避難指示が出された。(報道によると、避難所に避難した人数は約570人だった)
< 事故の原因 >
■ 直接原因
「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2)の「水素化精製部門」(PT-2HD)の高圧パージガス系配管内部に水硫化アンモニウム(アンモニウム・バイサルファイド)によるアルカリ・サワーウォーターの局部腐食が発生し、減肉が進行して開口し、内部のガスが漏洩して静電気で着火したとみられる。
● 開口部付近の配管は2014年10月に取替えているが、それ以降の配管の腐食率は年間約3mmに相当し、急激な腐食が進展していた。配管の設置時の肉厚は5.5mmだったので、約2年3か月という短い期間で開口していた。
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高圧パージガス系配管の腐食による最初の開口部
(写真はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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● 開口部周辺部には、ウロコ状の減肉に加えて、部分的に液垂れのような筋状の減肉が確認された。当該配管の直上流の上向きT字管は行き止まりの枝管であり、この部位でガスが滞留凝縮されて生じる硫化水素とアンモニアを含む水分がT字管に垂れ落ちて発生した腐食減肉とみられた。
● 高圧パージガスラインを含む「水素化精製部門」(PT-2HD)反応槽下流の炭素鋼配管について全線放射線検査(RT)を実施した結果、開口部のエルボ部を含む圧力制御弁PICV-251A上流配管に激しい腐食が確認された。また、1969年建設当時から使用されている配管でも、著しい局部腐食減肉が確認された。
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1969年建設当時から使用されていた配管の腐食による減肉
(左:D-253 からPICV-251
行き配管の立ち上がりエルボ、右:E-253出口配管)
(写真はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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● 「水素化精製部門」(PT-2HD)の装置の運転は、製品需要の変化に伴って重質原料油の処理比率が年々増加していた。このため、
「水素化精製部門」(PT-2HD)の装置で生成されるアンモニアの総量が年々増加し、1994年に比べて2007年以降は約2倍となっている。このため、アンモニア生成量増加に伴い、凝縮水中の水硫化アンモニウム濃度が上昇し、サワーウォーターの腐食性が増加したと考えられる。事故調査時に水硫化アンモニウム濃度の推移をプロセスシミュレーションで推測した結果、2002年以降、徐々に増加傾向にあることが確認された。
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水硫化アンモニウム(NH4HS)の推定濃度の推移
(図はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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● さらに、2016年における運転条件(水硫化アンモニウム:19
wt%、流速:5m/s)を米国石油学会の推奨基準「API
RP 932-B」(Design, Materials, Fabrication, Operation and Inspection
Guidelines for Corrosion Control in Hydroprocess
Reactor Effluent Air Cooler Systems)のチャートに落とし込むと、予測腐食率は年間5.0~7.5
mmとなった。実際の腐食率が年間約3 mmであり、予測腐食率はやや大きいが、実際の腐食率とはオーダー的に大きな乖離は無いことが確認された。
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API
RP 932-B チャートによる腐食率推定
(図はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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● 開口した脱硫装置分離槽の下流配管系で発生しうる腐食劣化要因は、水硫化アンモニウムによるアルカリ・サワーウォーター腐食のほか、塩化アンモニウム腐食、塩酸腐食、エロージョン・コロージョン、湿性硫化水素環境における劣化、溶剤であるNMP(N-メチルピロリドン)による6つの腐食要因が考えられるが、可能性を検討した結果、水硫化アンモニウムによるアルカリ・サワーウォーター腐食以外にないと判断された。
■ 間接要因
水硫化アンモニウムによるアルカリ・サワーウォーターは腐食因子として認識されているが、アルカリ・サワーウォーターによる腐食のメカニズムは現在においても十分に解明されていないこともあり、潤滑油製造プラント(第二潤滑油抽出水添精製装置の水素化精製部門)において急激な腐食を予見できなかった。
● 重油脱硫装置など燃料油系の水添脱硫装置では、水硫化アンモニウムによるアルカリ・サワーウォーター腐食は、配管管理上、重要な腐食因子のひとつである。一方、
「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2)の「水素化精製部門」(PT-2HD)の装置は、燃料油系の水添脱硫装置と比べ、脱硫・脱窒素率の低い潤滑油系の脱硫装置であるため、アルカリ・サワーウォーター腐食は軽微であると考えていた。
● 水硫化アンモニウムによるアルカリ・サワーウォーター腐食が産業界で認識され、同腐食防止のガイドライン等で知られるようになったのは、1970年代(例えば、1975年米国の防食技術者協会“NACE”のガイドライン)
で、その後も様々な研究が進められているが、未だその腐食メカニズム等は十分に解明されていない。
● そのような中で、東燃ゼネラル石油では、アルカリ・サワーウォーター腐食の新しい知見にもとづく
リスク評価を燃料油系の水添脱硫装置を対象にして2004年~2005年にかけて全社的に実施している。しかし、 「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2)の「水素化精製部門」(PT-2HD)の装置は評価対象にされなかった。 その理由は運転の過酷さの違いである。燃料油系の軽油・重油脱硫装置では、製品規格から90wt%以上の高い脱硫率が要求される。これに対して潤滑油脱硫装置では、潤滑油の色相、酸化安定性、界面活性性状などの改善を行うことを目的としており、30~60wt%の低い脱硫率で運転され、脱窒素率も低い。従って、水添反応で生成される硫化水素とアンモニアの量は燃料油系の軽油・重油脱硫装置に比べて少なく、反応塔下流でのアルカリ・サワーウォーター腐食は軽微と考えた。
● 「水素化精製部門」(PT-2HD)の装置を建設した1969年当時、アルカリ・サワーウォーター腐食のメカニズムは既知の事柄ではなく、設計時の材料選択では、通常の炭素鋼が採用された。また、水分中の水硫化アンモニウムを希釈する洗浄水の注入設備や、水硫化アンモニウム濃度を分析するための排水サンプリング設備は設置されなかった。また、装置を建設した1969年から発災までの50年弱の間、水硫化アンモニウムによるアルカリ・サワーウォーター腐食によるトラブルの経験はなかった。
● 高圧パージガス系の配管は定期的な配管検査にもとづく腐食管理が行われてきた。具体的には、高圧ガス保安法にもとづく肉厚測定および社内配管検査プログラムにもとづく肉厚測定である。社内配管検査プログラムでは、劣化メカニズムに加えて、配管設置状態により発生し得る劣化メカニズム(行き止まり部での腐食、外面腐食等)を定義している。そして、これらの劣化メカニズムに適した検査手法(超音波肉厚測定あるいは放射線透過試験)や検査周期が定められている。当該配管系は、腐食が軽微で、余寿命が十分にあると推定したため、約10年間隔で検査する計画になっていた。直近では、2009年、1998年、1991年に検査を実施し、これら検査結果にもとづき腐食進行度合いや余寿命を推定し、腐食管理が行われていた。当該配管系の定期的な配管検査では、すべての検査箇所にて腐食率が0.1mm/年以下であり、顕著な減肉は認められなかった。
● 今回の開口した部分のような新材 (2014年取替配管)
が、著しいアルカリ・サワーウォーター腐食を受けるといった知見や、新材と旧材の腐食率の違いや検査上の注意点についても技術指針(API
RP 932-B 等) にも記述がない。
< 対 応 >
■ 東燃ゼネラル石油は、5月31日付けの最終報告で、今後の再発防止対策について、つぎのように述べている。
① 「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2)の「水素化精製部門」(PT-2HD)に洗浄水注入設備を設置
高圧高温分離槽(D-252)の頂部配管に清浄な洗浄水を注入する設備を設置する。ガス中のアンモニアが洗浄水に溶け込み、下流の高圧低温分離槽(D-253)の底部から排水させることによって、高圧低温分離槽(D-253)頂部配管の高圧パージガス系における凝縮水の中の水硫化アンモニウム濃度を低下させ、アルカリ・サワーウォーター腐食環境を緩和させる。流量0.5トン/時の洗浄水を注入することで、水硫化アンモニウム濃度を2wt%以下に制御する。この対策によって、API
RP 932-Bのチャートにもとづく腐食率推定では、アルカリ・サワーウォーター腐食の腐食率は0.5mm/年以下に抑制されることが期待される。
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API
RP 932-B チャート上での洗浄水注入設備設置後の運転条件
(図はNoe.jxtg-group.co.jpから引用)
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② アルカリ・サワーウォーター腐食管理の実施
洗浄水注入設備の設置後、当該装置運転中のアルカリ・サワーウォーター腐食管理をつぎの要領で行う。
● 高圧低温分離槽(D-253)底部からの排水中の水硫化アンモニウム濃度の上限管理値を2wt%に設定する。
● 高圧低温分離槽(D-253)底部からの排水を定期的に採取して分析する。
排水のpH、排水中の水硫化アンモニウム(HS-, NH4+)、塩化物イオン濃度(Cl-)のほかに、
腐食減肉の発生有無を確認するための鉄イオン濃度(Fe2+)を測定し、分析する。
● 排水中の水硫化アンモニウム濃度が2wt%を超える場合は、洗浄水注入量を増加して希釈を促進するとともに、検査実施時期の見直しを行う。
● アルカリ・サワーウォーター腐食の局部的な腐食をとらえるため、配管の検査方法は配管肉厚の測定箇所を増やすとともに、超音波検査(点測定)から放射線検査(面測定)に変更する。
● 現在も開催している技術部門・運転部門・工務部門の定期会議に、排水分析結果および検査結果を含む腐食管理状況を報告する。
③ アルカリ・サワーウォーター腐食に関する情報収集
今回の事故調査等を通じて、未だアルカリ・サワーウォーター腐食のメカニズムは十分に解明されているとはいえない。アルカリ・サワーウォーター腐食は極めて注意すべき事象であり、腐食防止のための設計・管理が重要であることを再認識して、今後、国際的な防食技術者協会のNACE、米国石油協会のAPIなどの専門機関、業界団体、事故情報等からアルカリ・サワーウォーター腐食に関する新たな知見が得られた場合、社内における対応の水平展開に当該装置
(潤滑油系脱硫装置) を加えるのは無論のこと、再発防止を確実にするため、つぎの対策を講じる。
● 製油所内での腐食管理体制を強化する。
● 製油所外の本社等の専門家が、定期的に腐食管理が適正に行われていることを確認する。
(操業管理システムの定期監査に組み込む等)
■ 東燃ゼネラル石油は、5月31日付けの最終報告で、今後の火災の延焼抑制対策について、つぎのように述べている。
① 緊急降圧弁の改造
緊急事態の発生初期には、装置の内容物を早期に安全な回収先へ送気・送液させるとともに、装置の緊急降圧操作を実施することが可燃物の外部漏洩量を最小化させる観点で有効である。今回の発災時に緊急降圧操作ができなかったという教訓から、
「第二潤滑油抽出水添精製装置」 (PT-2)の水素化精製部門 (PT-2HD)の装置および「第六水添脱硫装置」(HD-6)の緊急降圧を遠隔操作できる設備を設置する。
② エマージェンシー・システム(緊急時処置機構)の改造
延焼を防止する観点で、可燃性の高い油分の供給を安全かつ迅速に遮断することが有効である。今回の発災時に現行のエマージェンシー・システムで遮断ができなかったという教訓から、各装置への原料移送ポンプおよび溶剤のプロパンポンプ、NMP (
N-メチルピロリドン) ポンプを計器室から停止できるシステムに改造する。
■ 和歌山放送ニュースは、6月14日(水)、「JXTG(旧東燃)が工場火災の最終報告書を公開」という見出しで、報告書が出されたという事実のみを報じた。
■ 6月21日(水)、経済産業省は、1月22日に発生した潤滑油製造装置群火災(および1月18日のタンク火災)に対して、和歌山製油所における保安確保について厳重注意を行い、今後、再発防止対策および更なる保安管理体制強化の実施状況について報告する旨の指示を行った。
補 足
■ 「和歌山県」は、近畿地方にあり、紀伊半島の西側に位置し、人口約95万人の県である。
「有田市」(ありだ市)は、和歌山県中部に位置し、人口約30,000人の市である。
■ 「東燃ゼネラル石油」は、2000年に東燃とゼネラル石油が合併してできた石油精製・石油化学の会社である。川崎、和歌山、堺、千葉(市原)に工場がある。2017年4月には、東燃ゼネラル石油はJXホールディングの傘下となり、JXエネルギーの子会社となった。このため、新しい会社名はJXTGエネルギーとなった。
「和歌山工場」は、軍用航空揮発油・潤滑油を製造する国策会社(東亜燃料)として1941年に操業を開始した歴史のある製油所である。1945年の空襲で壊滅したが、1950年に操業を再開した。精製能力は170,000バレル/日であったが、現在は132,000バレル/日である。原油タンク23基、製品・半製品タンク364基を保有している。
2017年1月22日の潤滑油プラントの火災事故について紹介した当ブログはつぎのとおりである。
■ 「水硫化アンモニウム(アンモニウム・バイサルファイド:NH4HS)によるアルカリ・サワーウォーター腐食」は燃料油系の脱硫装置にみられ、事例も少なくない。東燃ゼネラル石油和歌山工場の「最終報告書」の中では、潤滑油系脱硫装置の腐食環境について、つぎのように述べている。
(注:
「最終報告書」では、「アンモニウム・バイサルファイド」という用語が使われているが、このブログでは汎用的に使われている「水硫化アンモニウム」とした)
● 潤滑油系脱硫装置の反応塔下流の高圧高温分離槽の頂部流体中には、一般的な燃料油系脱硫装置と同様に、NH3 に比べてH2Sが過剰に存在する。この環境下では、冷却されて生成した凝縮水中に溶解度の高いNH3 が優先して溶解し、NH4+イオンが形成される。その結果、凝縮水がアルカリ性を帯び、H2S はHS-イオンとして凝縮水に溶解しやすくなる。
● 「水素化精製部門」(PT-2HD)の装置の運転は、処理量に大きな変化はないものの、製品需要の変化に伴い、原料油組成の重質原料油の処理比率が年々増加している。これに伴って「水素化精製部門」
(PT-2HD)の装置で生成されるNH3の総量が年々増加し、凝縮水中の水硫化アンモニウム濃度が上昇し、サワーウォーターの腐食性が増加する環境下にあったと考えられる」
■ 水硫化アンモニウムによる腐食はつぎのような事例がある。
■ 東燃ゼネラル石油和歌山工場の「最終報告書」の中では、配管内部表面の硫化鉄についてつぎのように言及されている。
● 1969年設置配管に比べて、2014年取替配管で腐食が激しかった要因には、配管内部表面に生成された硫化鉄スケールの種類の違いである可能性が考えられた。硫化鉄は保護膜としての役割を果たすことがある。今回、腐食開口した2014年取替配管と、これにつながる腐食の軽微な1969年設置配管のスケールに対してX線回折を実施したが、いずれもFeS(トロイライト)しか検出されず、スケール分子構造の違いによる耐食性の相違を実証することはできなかった。これは、硫化鉄が約500℃以上に加熱されると、全て単体のFeS(トロイライト)に変化するため、火災の影響によりスケールの性状が変化してしまったためと考えられる。
所 感
■ 当ブログで「中間報告」を取り上げた際、「所感」の中で、「火災の原因は配管からのガス漏洩が最初のきっかけとみられ、配管管理の問題だと思われる。火災の直接原因・間接要因には、配管管理に関する普遍的な“失敗”あるいは“盲点”があるように思う」と述べ、焦点になるべき3つの疑問点を列記した。この疑問点について最終報告の内容から見てみる。
① 配管の肉厚測定の定点が妥当だったか。
(例えば、異種流体の合流箇所付近や配管分岐の偏流などによる特異な腐食・侵食の状況を的確に定点として定めていたか)
● 高圧ガス保安法にもとづく肉厚測定のほか、社内配管検査プログラムにもとづく肉厚測定が行われており、劣化メカニズムに加えて、行き止まり部など腐食配管設置状態によって発生し得る劣化メカニズムを考慮されていた。腐食が軽微であるとし、約10年間隔で検査する計画になっていた。直近では2009年に検査を実施していた。当該配管系では、腐食率が0.1mm/年以下であり、顕著な減肉は認められなかったとしている。
● 一方、開口部付近の配管は2014年10月に取替えているが、それ以降の配管の腐食率は約3mm/年に相当し、急激な腐食が進展して約2年3か月という短い期間で開口(9.2mm角)している。
● 教訓として、局部的な腐食をとらえるため、配管肉厚の測定箇所を増やすとともに、超音波検査(点測定)から放射線検査(面測定)に変更するとしている。
(感想) 水硫化アンモニウムによるアルカリ・サワーウォーターの局部腐食は予見できなかったという見解であるが、腐食は軽微という固定観念にとらわれ、局部腐食に関する危険予知をしようとしなかったのではないかと感じる。開口した部位付近が定点になっていたか不詳だが、配管の肉厚測定の定点が妥当だったとはいえないのではないだろうか。
② 当初の運転条件と異なる厳しい運転条件に変更した際の変更管理は妥当だったか。
(例えば、油(脱歴油)の収率を上げるため、条件を変更し、腐食・侵食の環境条件が厳しくなることへの対応策がとられたか)
● 「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2)の「水素化精製部門」(PT-2HD)の装置は、燃料油系の水添脱硫装置と比べ、脱硫・脱窒素率の低い潤滑油系の脱硫装置であるため、アルカリ・サワーウォーター腐食は無い(軽微)という認識だった。
● 水素化精製部門(PT-2HD)装置の運転は、製品需要の変化に伴って重質原料油の処理比率が年々増加していた。この製品需要に伴う原料油の処理油種比率の変更に伴って水硫化アンモニウム濃度が上昇し、アルカリ・サワーウォーター腐食環境が2002年頃から徐々に過酷になり、
2014~2016年の腐食率が2002年と比較して3~4倍の腐食率となっていたということは、事故後の検証で分かったことだったという。
● 通常の運転範囲内での処理油種比率の変更が腐食環境に大きく変わることは想定できず、肉厚検査結果も腐食率は低い結果となっており、腐食環境が悪化していることを捉えることは困難だったという見解である。
(感想) 当初の運転条件と異なる厳しい運転条件に変更する場合、変更管理による評価を行うのが一般的である。当該装置では、製品需要の変化に伴って重質原料油の処理比率が年々増加しており、変更管理による評価を行うべきだった。腐食環境が大きく変わることは想定できなかったのではなく、想定しなかったといえよう。技術部門・運転部門・工務部門の各々が単独で考えるのではなく、当初の運転条件と異なりつつあるという情報を共有化し、腐食環境への影響を考える場にすべきだった。
事故後の検証で分かったというアルカリ・サワーウォーター腐食に関する検討は、事故が起こる前に技術部門・運転部門・工務部門による会議で取り組めたのではないだろうか。
③ 配管管理の組織体制は、熟練した経験者が引退していく中で、うまく引き継ぎが行われたか。
● 「第二潤滑油抽出水添精製装置」(PT-2)の配管管理に関する組織体制については言及されていない。
● しかし、最終報告の中で、「再発防止を確実にするため、(a)製油所内での腐食管理体制を強化する、
(b)製油所外の本社等の専門家が、定期的に腐食管理が適正に行われていることを確認する」とあり、腐食管理体制の課題は認識されていると思われる。
(感想) 配管(腐食)管理に関する組織体制は、個々人の責務に関することであるが、刑事事件(業務上失火という犯罪)との微妙な関係があり、意図的に避けられているのであろう。(日本の法制度の欠点のひとつ)
脇道にそれるが、一般的に潤滑油部門は自他ともに特異な分野だと思う傾向にある。燃料油系の水添脱硫装置と違い、腐食は軽微で、まして水硫化アンモニウムによるアルカリ・サワーウォーター腐食などは無縁な分野だという予断があったのではないだろうか。
■ 当ブログの「東燃ゼネラル和歌山工場の潤滑油製造プラントの火災」(2017年1月)の「所感」では、「爆発を伴わなかったプロセス装置の火災にしては、鎮火までに40時間と長くかかっているという印象をもった。一般にプロセス装置はインベントリー(液の保有量)が大きくなく、火災の規模は比較的小さい。さらに、潤滑油製造プラントは石油精製装置の中で設備規模が小さく、通油を停止してしまえば、燃焼源は限定される。今回の場合、プロパンという液化石油ガスを使用しており、燃え尽きるまで待ったようである。しかし、被災面積が広がったのは、プロパンでなく、原料油である減圧軽油を主とする油の地上火災ではないだろうか。このような場合、冷却用の水が装置内を流れ、その表面を油火災が漂って広がることがある」と述べた。この疑問点について最終報告の内容から、つぎのことが分かった。
● 発災後、開口部からのガス火災は約10分間である。この間、ガス放出量は約3.0トン/時から0.4トン/時に徐々に低下している。ここで止まっていれば、標題の火災写真で見るように火災の規模は小さかった。
● その後、
ガス火災から油火災へと拡大・継続しているが、この大きな要因のひとつが原料油タンク直近の原料ポンプP-2207が運転したままで、停止されるまでの約70分間に約102KLの原料油が装置内に送油されていたという。通油を停止しなかったために、燃焼源が供給されていたことになり、長時間の火災となった背景が分かった。
● 「プロパンという液化石油ガスを使用しており、燃え尽きるまで待ったようである」という指摘は当たらなかったが、現場指揮所はBLEVE (沸騰液膨張蒸気爆発)の発生する恐れを懸念していた。現場指揮所として最悪のシナリオを考えておくという判断は妥当である。一方、消防活動の全容が分からないが、BLEVEの回避対策としての冷却散水に片寄りしすぎていなかっただろうか。
●「被災面積が広がったのは、プロパンでなく、原料油である減圧軽油を主とする油の地上火災ではないだろうか」という指摘は当たっている。しかし、「冷却用の水が装置内を流れ、その表面を油火災が漂って広がることがある」という指摘に関しては、各装置が、各々、防液堤(高さ約20cm)で囲まれており、火災は防液堤内に限定されていたという。
● この防液堤に囲まれていたことによって、地上火災が隣接する装置への延焼を抑制できたといえるが、防液堤内へ泡消火水を導入することは、火を消せずに水の上に油を浮かせ、防液堤を溢流して油火災を拡大することにならないかというためらいはなかったのだろうか。すなわち、最初にとった防御的消火戦略から積極的消火戦略に移行できなかったのではないだろうか。
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潤滑油製造プラントの火災と消防活動の状況
(写真はMatomame.jpから引用)
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■ 同じく「所感」の中で、「消火活動についてもまとめてもらいたい」と述べ、主要事項を列記した。これらの事項について最終報告の内容から分かったこと(および分からなかったこと)は、つぎのとおりである。
① 自衛防災隊は初動にどのような活動をしたか。
● 東燃ゼネラル石油和歌山工場の防災活動要領に従い、工場自衛防災組織の防災戦術班が「第二プロパン脱瀝青装置」(DA-2)と「第二プロパン脱ろう装置」(PD-2)の防災戦術シートを用いてBLEVE(沸騰液膨張蒸気爆発)の発生リスクのある機器の冷却を優先することとした。
② 有田市消防本部の覚知は発災から7分を経過しており、現場への到着はさらに遅いが、その時点で発災状況はどのようなものだったのか。
● 通報を受けた15時47分頃は開口部からのガス火災の火災フェーズ1の後である。ガス火災から油火災へ進展する火災フェーズ2(約25分)の間に有田市消防本部が現場に到着している。東燃ゼネラル石油和歌山工場は、漏洩量を抑制するため、火災の状況を見極めながらブロック範囲を狭める戦術を提案している。
③ 自衛消防隊から有田市消防本部への現場指揮の交代は円滑にいったのか。現場指揮所の体制はどのような組織で運用されたのか。
● 有田市消防本部は、現場到着後、現場指揮を交代し、東燃ゼネラル石油自衛消防隊とともに、支援で出動した和歌山県北部臨海地域広域消防協議会メンバーの消防隊と共に消火活動を実施した。
● 現場指揮所と各消防隊がどのような活動をしたかは言及されていない。
④ 当該施設の潤滑油製造プラントに詳しい人材を作戦本部に配置することができたか。
● 東燃ゼネラル石油自衛防災組織の防災戦術班が対応していたと思われる。
● 防災戦術班は、 「第二プロパン脱瀝青装置」(DA-2)と「第二プロパン脱ろう装置」(PD-2)の防災戦術シートを用いている。しかし、潤滑油製造プラントに詳しい人材が配置できたかは分からない。
⑤ 初期の消火戦略・戦術はどのようなものだったのか。
● 防御的消火戦略がとられた。
戦術としては、BLEVE(沸騰液膨張蒸気爆発)の発生リスクのある機器の冷却散水がとられている。
⑥ 消防資機材に不足するものはなかったか。
● 消防活動については、最もBLEVEリスクの高い機器T-101に可搬式放水銃1台と高所放水車2台による冷却散水が実施されたという以外にどのような活動が行われたかは分からない。
● 消防資機材の過不足については言及されていない。
⑦ 地上からでは消防活動の効果状況を十分確認できなかったと思われるが、どのような観察方法がとられたか。
● この点については言及されておらず、問題があったかどうかも分からない。
⑧ 消火用水の供給に問題はなかったか。排水系統に問題は出なかったか。
● 冷却水源は供給ポンプが冗長化されており、消防車は待機するほど十分な数が参集し、冷却ができなくなる可能性はなかったとされており、消火用水の供給に問題はなかったかと思われる。
● 防液堤内の排水系統について言及されておらず、問題の有無は分からない。
⑨ 延焼が拡大した時点で、どのような消火戦略・戦術がとられたか。
● 防御的消火戦略から積極的消火戦略への移行について言及されておらず、どのような消火戦術がとられ、鎮火に至ったかは分からない。
⑩ 40時間に及ぶ消防士の配置や交代はどのように行われたか。
● 消防車は待機するほど十分な数が参集したとあり、消防士の人員に大きな問題はなかったと思われる。
● しかし、このような長時間の火災に際しては、主要な消防活動を行う消防隊や消防車は限定される傾向にある。火災の最前線に立つ消防士の緊張を保つ時間は限られており、今回、現場指揮所がどのような判断をされたかは分からない。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Noe.jxtg-group.co.jp, 和歌山製油所火災事故報告書について, June 14, 2017
・Tonengeneral.co.jp, 和歌山工場での火災に関する事故調査委員会の中間報告について, February 28, 2017
・Wbs.co.jp, JXTG(旧東燃)が工場火災の最終報告書を公開, June
14, 2017
・Noe.jxtg-group.co.jp, 経済産業省からの和歌山製油所における火災に関する厳重注意について, June 22, 2017
後 記: 最終報告書は44頁で読み応えのあるボリュームでした。添付資料は公表されていないので、報告書のすべてはもっと厚いものでしょう。当ブログの様式に沿ってまとめ直しましたが、最終報告書の記載順が異なるので、前を読んだり、後ろを見たり、頭の整理が大変でした。さらに、当然ですが、最終報告書は発災事業所の立場で書かれているので、事故事例として第三者の眼で書くこと(あるいは省くこと)に気を遣いました。日本語の難しいところですが、主語がはっきりしない箇所を理解するのに頭を使いました。しかし、極めて真摯に書かれており、伝えるべきことが多く書かれた報告書でした。当該事故を紹介した過去のブログで疑問に感じていた事項のかなりの部分を答えた内容になっていますので、「所感」が長くなってしまいました。