(写真はFacebook.comの動画から引用)
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< 発災施設の概要 >
■ 発災施設は、米国オハイオ州(Ohio)ノーブル郡(Noble
County)サマーフィールド(Summerfieald)にあるロッキー・エクスプレス・パイプライン(Rockies
Express Pipeline)の天然ガス用パイプライン施設である。ロッキー・エクスプレス・パイプラインはタルグラス・エナージー社(Tallgrass
Energy)などによって運営されている。
■ 事故があったのは、
24インチ・セネカ・ラテラル(24-inch Seneca Lateral)称されているパイプラインで、このラインはロッキー・エクスプレス・パイプラインとマークウェスト処理プラントの間をつなぐものだった。発災があったのは、サマーフィールドから北へ約3マイル(4.8km)のオハイオ513号線と379号線の間にあるパイプラインで、施設内にはこのほかに複数のパイプラインがあった。
ノーブル郡サマーフィールド周辺 (写真はGoogleMapから引用)
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ロッキー・エクスプレス・パイプライン
(図はSnl.comから引用)
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< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2018年1月31日(水)午前2時30分頃、サマーフィールドの北にあるパイプラインが爆発し、火災となった。
■ サマーフィールドの住民は夜中に起った爆発で目を覚まされ、夜空が明るくなっているのを見た。多くの住民から消防署へ緊急通報があった。
■ 発災に伴い、各消防隊が出動し、消火活動を行った。出動したのは、ノーブル郡消防署のほか、ボランティア型のサマーフィールド消防署、ベルバリー消防署、カルドウェル消防署の各消防隊である。
■ タルグラス・エナージー社は、事故に伴い、
24インチ・セネカ・ラテラル・パイプラインを停止し、ほかと縁切りした。火災は午前4時30分頃に制圧された。
■ まわりには建物はなく、火災による影響は軽微で、樹木がわずかに焼けた程度だった。消防隊は1月31日の午前中までホットスポットがないことを確認するため、現場に待機した。
■ 事故に伴うけが人の発生や住民の避難は無かった。
(フェースブックに発災時の火炎の動画「Mid-OhioValley Weather Update」が投稿されている)
被 害
■ 天然ガス用パイプラインの一部が損壊・焼損したものとみられる。被害の状況は不詳である。
■ 事故に伴う負傷者な出なかった。また、住民の避難もなかった。
■ パイプラインの一部が運転できずに、天然ガスの供給へ影響が出た。
(写真はAmerica.easybranches.comから引用)
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< 事故の原因 >
■ パイプラインの爆発原因は調査中である。
< 対 応 >
■ タルグラス・エナージー社はパイプラインの爆発原因の調査に入った。
■ 環境保護団体は、今回の爆発を起こしたパイプラインが詳細な審査を受けることなく承認されていたと指摘した。2013年、
24インチ・セネカ・ラテラル・パイプラインは、天然ガスの流れの変更について所有者からの要請があり、連邦エネルギー規制委員会が承認していた。当初、天然ガスは東から西へ流れだったが、その後この地域で急成長しているマルケス・シェールのガス田生産のため、所有者は流れを逆にする承認を求めていた。環境保護団体は、プロジェクトは環境影響評価書を準備して審議された後に、承認されるべきだという抗議書を提出していた。会社が計画を決めてから1か月でパイプラインは承認されており、極めて速い決定である。これは、環境審査プロセスの規制を基本的に撤廃するという問題だと指摘している。
■ オハイオ州環境評議会は、1月31日(水)、「パイプラインが爆発事故を起こしたという報告を受けたときには、常に最悪の事態を考える。幸い、今回の事故ではけが人が無かったが、米国国内を横断しているパイプラインに関する懸念が残った。爆発原因について十分調査されなければならない。国内を走っているパイプラインは数多くあり、潜在的危険性としてパイプライン破裂の問題についてじっくりと検討することは重要である。将来の事故を回避するため、パイプラインの建設には慎重な対応が求められる」という声明を出した。
補 足
■ 「オハイオ州」(Ohio) は、米国の中西部の北東に位置し、人口約1,150万人の州である。州都は人口約79万人のコロンバスである。
「ノーブル郡」
(Noble County)は、オハイオ州の東部に位置し、人口約14,000人の郡である。1814年、北アメリカで最初に油井施設が設置された郡で、19世紀後半には人口20,000人を超えていた。
「サマーフィールド」(Summerfieald)
は、ノーブル郡の東部にあり、人口約250人の町である。
■ 「タルグラス・エナージー社」(Tallgrass
Energy)は、 2012年に設立された原油・天然ガスの輸送に携わるパイプライン会社である。カンザス州リーウッドに本拠地を置き、ワイオミング州、コロラド州、ネブラスカ州、カンザス州、ミズーリ州、イリノイ州、インディアナ州、オハイオ州を通る全長約11,900kmのパイプラインを有している。
■ 「24インチ・セネカ・ラテラル・パイプライン」(24-inch
Senaca Lateral Pipeline)は、ノーブル郡サマーフィールドにあるマークウェスト・エナージー社(MarkWest
Energy)のセネカ処理施設(Seneca Processing Facility)からタルグラス・エナージー社のロッキー・エクスプレス・パイプラインへ接続する約14.7マイル(23.5km)のパイプラインである。セネカ処理施設は天然ガスの製品化処理用として2013年に操業を開始した。
24インチ・セネカ・ラテラル・パイプラインの発災場所をグーグルマップで調べたが、パイプライン施設らしい場所が点在しており、特定はできなかった。
24インチ・セネカ・ラテラル・パイプライン
(写真はNapipeline.com
から引用
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サマーフィールドにあるマークウェスト・エナージー社の天然ガスセネカ処理施設
(写真はGalvanizeit.orgから引用)
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所 感
■ 発災したパイプライン(施設)の状況がわからないので、爆発原因は推測しようがない。一方、ロッキー・エクスプレス・パイプラインの運営を行っているタルグラス・エナージー社は2012年に設立された会社であり、
そのパイプライン支流である24インチ・セネカ・ラテラル・パイプラインも2013年に操業を開始しており、比較的新しい。このように新しいということが発災に関係しているのかもしれない。あるいは、操業開始から落ち着いてきた段階での緩みや慢心といったことが背景にあるのではないだろうかとも思う。
■ 消火活動の状況は分からないが、発災から約2時間ほどで制圧されており、天然ガスの場合、遮断弁を閉止するいう操作をすれば、油のような流出の拡散がなく、比較的速い制圧が可能だと思われる。消防隊が出動しているが、おそらく、まわりへの延焼防止を主とした消防活動だったと思われる。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Hazmatnation.com,
Ohio Firefighters Respond to Pipeline Explosion,
February 1, 2018
・Reuters.com, Tallgrass
Isolates Ohio Natgas Pipeline Segment after Rupture, February 1, 2018
・Daily-jeff.com, Pipeline Explodes in Eastern Noble County
Field, January 31,
2018
・Wtov9.com, Pipeline Explosion Results in Fire in Noble
County, January 31,
2018
・Theoec.org, Statement from the Ohio Environmental Council
on an Overnight Explosion of the Seneca Lateral Pipeline , January
31, 2018
・Napipelines.com, Natural Gas Pipeline Explodes in Noble
County, Ohio, January 31,
2018
・Marcellusdrilling.com, Utica Pipeline Explosion in Noble
County, OH Affects Natl Output, February 2, 2018
・Thenewscenter.tv,
Environmental Group Says Pipeline Not Thoroughly Reviewed, February 1, 2018
後 記: 最近の傾向としてオイル(石油)に関係する事故より、天然ガスに関わる事故が多いように思います。掘削技術の進化により天然ガスの生産が増加しているからではないでしょうか。今回の事故を調べていて、米国を横断するロッキー・エクスプレス・パイプラインについて初めて知りました。グーグルマップで発災場所を調べましたが、天然ガスのパイプライン施設らしい場所が点在しており、特定できませんでした。また、サマーフィールド周辺は草木が刈り取られてパイプラインが敷設されたと思われる直線が数多く見られ、地下には縦横にパイプラインが走っていると感じました。これが米国経済の源泉のひとつなのでしょう。しかし、これで本当にいいのかという素朴な疑問も湧いてきます。米国国内でも、環境保護団体が監視活動をしているのがその表れではないかと思いながら、まとめました。