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2012年3月28日水曜日

東日本大震災の液化石油ガスタンク事故(2011年)の原因

  今回は、2011年3月11日に発生した東日本大震災時に起こった液化石油ガスタンクの事故の原因について紹介します。
  ひとつは、千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所で起こった液化石油ガスタンクの爆発・火災事故です。この事故は、東日本大震災の大津波被害や福島原子力発電所事故に隠れて副次的に扱われたニュースになりましたが、日本のプラント事故としては最大規模のものでした。
  もうひとつは、茨城県の鹿島石油コンビナートで起こった液化石油ガスタンクの損傷と原因についてです。両方のタンクとも、球形タンクの支柱の筋交いが破断するという損傷が発生したものです。しかし、一方は爆発・火災事故につながっていき、一方は火災や漏洩という事故には至っていません。
  一年前の事故ですが、2012年3月7日、石油連盟は同タイプの筋交いを使っている99基のタンクのうち49基について補強策を取るということを発表しています。

後記; このブログの最初に取り上げたのが、東日本大震災のタンク事故に関する情報でした。その中で市原市のコスモ石油千葉製油所の液化石油ガスタンクの爆発・火災事故情報も紹介しましたが、今月になって石油連盟がガスタンク49基の筋交い補強を決めたというニュースを聞いて再び取り上げることとしました。
  この種の事故情報は、事故の状況、地元の反応、消防活動状況、事故原因、再発防止策がわかることが最も好ましいのですが、なかなか揃わないのが通常です。この点、コスモ石油のタンク事故については1年間で大方の情報が揃いました。日本は事故関連の情報公開に消極的であったものが、変わってきたなという印象です。

  市原市に住んでいる知人がコスモ石油の球形タンク爆発の時は、生きた心地がしなかったと言っています。西日本にいると、ニュースに余り取り上げられず、わかりませんでしたが、今回、改めて事故情報を調べてみると、確かに大変な事故だったと再認識しています。

  知人は「若者への応援歌」というブログを開設しており、このコスモ石油事故にも触れている「大地震災害に備える」という記事があります。その中で液化石油ガスタンクの倒壊は液状化で基礎の杭が折れたのではないかという説を紹介しています。今回、情報検索した際、そのような情報もありましたが、一応、液状化によるものでないという結論が出ています。しかし、簡単に倒壊した原因に疑問が残っていると感じている人が多いことは確かでしょう。

  なお、「若者への応援歌」のアドレスはつぎのとおりです。 http://kamuimintara.blogspot.jp  

2012年3月17日土曜日

東ソー塩ビモノマーの爆発事故(2011年)の原因

今回は、2011年11月13日、東ソー南陽事業所の塩ビモノマー製造設備で、枕タンクへ抜き出し中に起きた爆発・火災事故の原因について紹介します。東ソーでは第三者を入れた事故調査対策委員会を設立して原因調査の検討を行なっていましたが、2012年3月8日に原因調査結果を発表しています。当日は報道関係者への記者会見が行われ、翌日、新聞等で調査結果の内容が記事になっています。
なお、東ソー塩ビモノマー製造設備の爆発事故(2011年)の状況については、本ブログの2011年 11月分に掲載しています。

後記; プロセスプラントでは、定常状態のときには安定しており、運転を調整することはほとんどないといえます。しかし、一旦運転が乱れたり、非定常状態では、調整に時間がかかります。東ソーの事故では発災前に温度や圧力が変動し、多くのアラームが鳴っていたそうです。この塩ビモノマー製造設備はオペレーターとしてなかなか難しい装置にように思います。
 現在は制御システムの高度化が進み、オペレーターの負担を減らすような改善が可能になっています。原因調査結果のように後から分かってみると、いろいろなことが言えますが、事故前のオペレーション状況を理解し、オペレーターの洞察力や判断力に過度に頼ることなく、改善されることを期待しながら、事故原因の情報を見ていました。

2012年3月12日月曜日

米国テキサス州ガルベストン島でタンクが爆発・火災

今回は、2012年2月23日、米国テキサス州ガルベストン郡のガルベストン島にあるテキサス・インターナショナル・ターミナルの軽質原油の入った容量1,900KLタンクが爆発して火災を起こした事故を紹介します。火災の消火活動は、強風が吹く中、消火栓が不足し、困難な条件下で行われました。

後記; 3月11日、近くにある遠石(といし)八幡宮で東日本大震災の「復興祈願祭」があり、行ってきました。配られたパンフレットに「震災の記憶が薄れ始めている西日本ですが、現地ではまだまだ私たちからの支援を必要としていますし、“忘れないでいる”という“励ましのメッセージ”を届け続けよう」とあります。
 確かに記憶が薄れ始めています。これは震災の記憶だけでなく、日常から人間は忘れやすい生体になっているそうで、辛さを忘れるから良い面もあります。従って、忘れてはならないことは、記録に残しておくべきです。2・3箇月もすれば、記憶は曖昧になってきます。それまでに記録しておき、そのあとでわかりやすく整理して残しておくことが大事だと教わってきました。

2012年3月1日木曜日

米国で地下タンクからの油流出によって環境汚染

今回は、2012年1月11日、米国ニュージャージー州ワシントン・タウンシップにあるニュージャージー交通のバス車両基地においてディーゼル燃料油の地下タンクから油が漏洩し、カムデン郡とグロスター郡を流れる水路に流出して、油の臭いが水路沿いの住宅地域へ広がるとともに、フィッシングやボート遊びで使われ、野生動物の聖域になっている湖などが環境汚染に至った事例を紹介します。

後記; 今冬は日本海側や北海道で例年にない大雪が話題になり、ここにきて、また東京で雪が降ったというニュースが流れています。地元の周南市は、山口県下で雪が積もっても、雪の降ることが少ない地域です。職場の関係で北海道から山口へ帰ってくるとき、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)を置いてきましたが、不自由さは感じません。瀬戸内の温暖な気候を実感します。
 といっても、今年の冬は例年になく寒く感じます。一週間前からやっと梅が一輪二輪ほど咲き始めましたが、このままだと三春(梅と桃と桜が一度に咲く)になりそうです。ただ、日暮れは日に日に遅くなり、晴れた日なら午後6時をすぎても薄暮の風情が見え始め、春は遠くないことを感じるようになりました。東日本大震災からもうすぐ1年です。復興が進まないようですが、こちらも春が遠くないことを感じるようになることを祈っています。