米国オクラホマ州の油井施設で落雷によるタンク爆発・火災

　今回は、2023年9月19日（火）、米国オクラホマ州ヒューズ郡のスポールディングにある油井施設で落雷があり、タンクが爆発・火災を起こした事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■　発災があったのは、米国オクラホマ州（Oklahoma ）ヒューズ郡（Hughes County）のスポールディング（Spaulding）にある油井施設である。

■　事故があったのは、油井施設の円筒型タンクである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■　2023年9月19日（火）、油井施設に落雷があり、タンクが爆発・火災を起こした。

■　発災に伴い、消防署の消防隊が出動した。ホールデンビル消防署によると、消防隊の第一陣は落雷によって始まったとされる油井施設のタンク火災の現場に到着した。

■　消防隊が現場に到着したと、タンク2基は爆発で屋根が噴き飛ばされ、火災になっていた。

■　消防隊は、後から来る部隊に消火水と泡薬剤を追加で搬送してくるよう要請した上で、火災の制圧に努めた。

■　 9月19日（火）には激しい嵐がこの地域を通過し、州の各地に雹（ひょう）や落雷をもたらしていた。

■　ユーチューブには、現場の状況が投稿されている。（Youtube.com、「Lightning strike causes tank batteries to explode in Hughes County」を参照）

被　害

■　油井施設のタンク複数基が損壊した。内部の原油が焼失した。

■　負傷者はいなかった。　

< 事故の原因 >

■　火災の原因は落雷である。

< 対　応 >

■　消防隊は約3時間かけて、20ガロン（75リットル）の泡薬剤と3,000ガロン（ 11,340リットル）の消火水を用いて火災を消火した。

■　事故に伴う負傷者はいなかった。

■　消防署は、タンクから大きな炎と黒煙が立ち上る火災の写真を撮影し、あとでフェースブックにつぎのようなコメントを付けて投稿した。

「Cシフトの消防車両はEng-39とBp-23で、落雷によって発生した油井施設の火災に対応した。 到着すると、タンクのうち2基はすでに損壊し、完全に火に巻き込まれていた。 消防隊は、消火水と泡薬剤を搬送してくるよう連絡するとともに、防油堤内に広がっていた火災を制圧するように努めた。 これらの消火活動中に3基目のタンクが爆発的な燃焼を起こした。 3時間後、20ガロン（75リットル）の泡薬剤と約3,000ガロン（11,340リットル）の消火水で火災消火することができた。 油井施設を管理している会社から連絡があり、再建設が終えるまで油井施設は閉鎖するとのことだった。対応した消防車両はEng-39、BP-23、BP-40、T-22で、消防士は7名だった。この事故による負傷者はいなかった」

補　足

■「オクラホマ州」（Oklahoma ）は、米国の中部にあり、州の南隣はテキサス州で、人口約400万人の州である。

「ヒューズ郡」（Hughes）は、オクラホマ州の中南部に位置し、人口約13,000の郡である。ヒューズ郡の経済は農業と牧畜が重要で、主な作物は綿花、小麦、トウモロコシ、オート麦、落花生、大豆である。

「スポールディング」（Spaulding）は、ヒューズ郡の西部にあり、人口178人の町である。

■「油井施設」の所有者や仕様は分からない。「発災タンク」をグーグルマップで調べたが、油井施設の場所が特定できず、分からなかった。

所　感

■　米国における陸上油田の典型的な油井施設である。また、米国の油井施設でよく起こる落雷によるタンクの爆発・火災事例である。この種の油井タンク火災事故は燃え尽きる戦略をとることが少なくないが、今回の火災対応では、消火戦略として積極的戦略をとっている。

■　興味深いのは、消防署がSNS（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）を活用して火災の状況や被災写真を報じていることである。米国では、個人だけでなく、公的な機関（消防署）もSNSを活用している。常日頃から使用しているから、このような火災事故の際にも躊躇なく使っているという感じである。しかも、泡薬剤と消火水の量をも投稿している。人口178人の町（郡でも13,000人）でできるのである。日本でも、最近は会社や機関がSNSを使用しているが、タンクの事故について消防署などがSNSで情報を報じることは考えられない。メディアが縮小傾向にある中、情報の伝達の場として考えてもよいのではないだろうか。

備　考

　本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     ・Koco.com,  Lightning reportedly sparks large tank battery explosion in Hughes County,  September  20,  2023

       ・Ground.news, Pictures show large flames after lightning reportedly sparks tank battery explosion in Hughes County,  September  20,  2023

後　記：　今回の事故情報は消防署がSNSで報じなければ、ローカルメディアでもニュースにならず、おそらく一般の人には伝わっていないでしょう。所感の中で、「（日本は）タンクの事故について消防署などがSNSで情報を報じることは考えられない。メディアが縮小傾向にある中、情報の伝達の場として考えてもよいのではないだろうか」と書きましたが、私自身、SNSに対する発想を変える 必要があるなあと感じました。