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2019年12月12日木曜日

トルコの化学工場で火災、小型タンクが爆発して上空へ噴き飛ぶ


 今回は、 2019918日(水)、トルコのイスタンブールのツズラ地区にある米国のハンツマン社系列エマ・キマ・システムレリ・サナイ・ヴェ・ティカレット・アス社の化学工場で火災・爆発があり、負傷者2名を出したほか、小型タンクがロケットのように噴き飛んだ事故を紹介します。
         火災の中から噴き飛ぶ小型タンクと金属片  (写真はAnews.com.tr から引用)


< 施設の概要 >
■ 事故があったのは、トルコ(Turkish)イスタンブール(Istanbul)アジアン・サイドのツズラ(Tuzla)地区にある米国の多国籍企業であるハンツマン社(Huntsman Corp.)系列のエマ・キマ・システムレリ・サナイ・ヴェ・ティカレット・アス社(EMA Kimya Sistemleri Sanayi ve Ticaret AS)の工場である。

■ 発災があったのは、ポリエステルポリオールなどの化学製品を生産している化学工場だった。
       イスタンブールのツズラ地区付近(矢印が発災場所) (写真はGoogleMapから引用)
ハンツマン社系列のエマ・キマ・システムレリ・サナイ・ヴェ・ティカレット・アス社周辺
 (矢印が発災場所)  (写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2019年9月18日(水)午前11時40分頃、ツズラ地区にある化学工場で火災が発生した。

■ 発災に伴い、消防隊が出動し、消火活動に入った。

■ 火災は小さな爆発を何度か繰返し、その爆発のひとつで消防車が1台が燃え、工場の駐車場に停めていた車両が何台か延焼した。

■ 火災が化学工場を飲み込むほど拡大したとき、火災から出る渦巻く黒煙とは対照的に白い煙を吐く小型タンクが工場のかなり上へ噴き飛んだ。 金属製のタンクが爆発して金属片とともに空中に打ち上がって、構外へ落下した。落下したのは、構外の道路に停っていた消防車の近くだった。近くにいた人たちはタンクが落ちそうなところを避けるように走って逃げた。
(タンク爆発の瞬間がユーチューブに投稿されている。YouTube「Turkey:Panic in Istanbul as Tank Explodes, Sending Metal Pieces into Sky」を参照)

■ 事故に伴い、工場から道路へ液体の化学物質が流れ出した。消防隊は、危険性の予防措置として工場近隣のアイディンリ(Aydinli)とオルハンリ(Orhanli )の道路を通行止めにした。

■ 爆発によって消防士2名が負傷した。このほか、煙を吸って住民数人が病院で手当てを受けた。

■ 火災によって大気中に放出された化学物質は、風に乗ってコジャエリ(Kocaeli) 、サカリヤ(Sakarya) 、エスキシェヒル(Eskisehi)の地域に運ばれた。 

■ 火災は約5時間後に鎮火した。 

被 害
■ エマ・キマ・システムレリ・サナイ・ヴェ・ティカレット・アス社の化学工場の建屋・設備が焼失した。爆発によって小型タンクが飛散して損壊したほか、消防車両や駐車場に停めていた車が数台延焼の被害を受けた。

■ 爆発によって消防士2名が負傷した。このほか、煙を吸って住民数人が病院で手当てを受けた。

■ 油や建物の燃焼によって煙の形で近隣地区に放出され、環境への影響があった。

< 事故の原因 >
■ 原因は不詳である。
(写真はOnedio.comから引用)
(写真はAhvalnews.comから引用)
 (写真はLodoshaber.comから引用)
(写真はOlay.com.trから引用)

(写真はTarafsizhaberajansi.comから引用)
(写真はHaberglobal.com.trから引用)
 (写真はTarafsizhaberajansi.comから引用)
< 対 応 >
■ 消防隊は火災を制圧するまでに約2時間かかった。結局、火災は138名の消防士と48台の消防車両によって最終的に約5時間かかって鎮火された。

■ 道路脇に落下した小型タンクは重機のパワーショベルを使って撤去された。
 (写真はHurriyetdailynews.comから引用)
(写真はOnedio.comから引用)
(写真はEvrensel.netから引用)
 (写真は、左;Onedio.com右; Haberglobal.com.trから引用)
(写真はTarafsizhaberajansi.comから引用)
補 足
■「トルコ」(Turkish)は、正式にはトルコ共和国といい、西アジアのアナトリア半島に位置し、人口約8,200万人で首都はアンカラである。
「イスタンブール」(Istanbul)は、トルコの北西部にあり、人口約1,500万人のトルコ最大の都市で、世界で最も人口の多い都市のひとつである。
「ツズラ」(Tuzla)は、イスタンブールの南東部に位置し、アジアン・サイドにある人口約20万人の町である。
            トルコおよび周辺国  (図はPds.exblog.jp から引用)
 トルコのタンク事故は、つぎような事例がある。

■「ハンツマン社」(Huntsman Corp.)は、1970年に設立した各種石油化学製品などを生産している米国の多国籍企業である。買収で大きくなった会社で、2011年には、イスタンブールにあるエマ・キマ・システムレリ・サナイ・ヴェ・ティカレット・アス(EMA Kimya Sistemleri Sanayi ve Ticaret AS)を買収した。EMA社は、主に断熱、自動車、接着剤、コーティング、エラストマー、家具産業で使用されるポリエステルポリオールを製造し、MDIポリウレタンシステムをブレンドする能力を持っている。
        ハンツマン社のイスタンブール工場(事故前)  (写真はhuntsman.comから引用)
所 感 
■ 火災の原因は不詳である。
 爆発して噴き飛んだ小型タンクの内容物も分からない。報道では、一部、燃料タンクという記事もあったが、被災写真を見ると、タンクは常圧式ではなく、圧力タンクであり、タンク下部には加温設備のような円環状の筋が何本もあるので、プロセス用の設備だと思われる。また、タンクは底部を含めた最下部が無く破断して噴き飛んでおり、爆発時の激しさがわかる。

■ 建屋の火災は黒煙が大量に発生しており、燃えやすい物が多くあり、火の回りは相当速かったものと思われる。一方、消防活動では、消防戦略として明確な判断や指示は無かったように思う。火災の対象設備(プロセス装置)をはっきりと認識していなかったように感じる。消防車が火炎に巻き込まれおり、配置場所が近すぎたと思われる。消防隊は各地の消防署から応援で駆け付けたものであり、単なる建屋火災とみていた隊もあるのではないだろうか。
 また、火災写真を見ると、最初は建屋が燃えており、タンク群のあるエリアは火災になっていなかった。その後、タンク・エリアが延焼し、タンクが爆発して噴き飛んだものと思われる。この間、被災写真では、タンク群への冷却散水はされていない。タンク群のエリアが奥で煙の量が多く、見えずらく、放水もやりずらいことはあっただろうが、冷却戦術をとらなかったことによって小型タンクが爆発して噴き飛んでしまった。

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
    ・Foxnews.com, Turkey chemical factory explosion launches metal tank into sky above fleeing onlookers, video shows, September  19,  2019
    ・Powderbulksolids.com,  Explosion at Chemical Factory Injures Several, September  19,  2019
    ・Reddit.com, Chemical factory in Istanbul explodes and catches fire, launching a metal tank into the air, September  19,  2019
    ・Hurriyetdailynews.com, 2 injured in chemicals factory fire in Istanbul, September  18,  2019
    ・Ahvalnews.com, Several injured in blast and fire at Istanbul chemical plant, September  19,  2019
    ・Dailysabah.com, Fire engulfs factory in Istanbul’s Tuzla, 2 injured, September  18,  2019
    ・News1.news, Fire in a chemical factory in Tuzla, Istanbul has been going on for 5 hours, September  18,  2019


後 記: 今回のタンク爆発・噴き飛び事例は、前回のブログ「米国テキサス州でブタジエン装置が爆発・火災、球形タンクに迫る」(2019年12月5日)の事故を契機に調べて知った情報です。9月に起こった事故ですが、情報は残っていました。ただし、欧米の記事は爆発して空を飛ぶタンクに焦点を当てたものが大半で、事故の状況ははっきりしません。今回、時間を一番費やしたことは発災事業所の企業名です。どのような会社か分からないので、当然ですが、発災場所がグーグルマップで特定できませんでした。調べていって企業名が分かり、事業内容なども分かり、場所も特定できました。

 ところで、ロケットのように青い空のもとに白い煙を出しながら飛んだタンクの内容物は分かりませんでした。ロケットは液体水素と液体酸素が反応して水蒸気の白い煙を吐くのは理解できます。しかし、まさか液化水素ということではないでしょう。タンク内の液体(燃料)が火災の熱で気体になり、膨張して破裂し、内部のガスに点火して完全燃焼状態で発射したのでしょう。飛び出したあと空気に冷やされて白い煙となったものでしょうか。燃料が尽きて落下状態になってもなお白い煙が出ています。不思議な事故ですね。もう一度再現しようとしてもできないでしょう。空を飛ぶタンクに焦点が当てられるのは分かります。

1 件のコメント:

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