(写真はHazmatnation.com
から引用)
|
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国のコロラド州(Colorado)ウェルド郡(Weld County)にあるNGLエナージー・パートナーズ(NGL
Energy Partners)の油井用のタンク施設である。
■ 発災があった施設には、6基のタンクがあった。タンク施設は、郡道51号線と53号線の間の郡道16号線沿いにあり、ハドソンとキーンズバーグの間で、デンバーから北西に約40マイル(64km)のところであった。
郡道51号線と53号線の間の郡道16号線沿い周辺
(写真はGoogleMapから引用)
|
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
(写真は9news.comから引用)
|
■ 2018年6月18日(月)午後10時20分頃、油井用施設のタンク1基に落雷があり、大きな爆発音が鳴った。
■ 落雷とともにタンクは火災となり、すぐに隣接するタンク2基に延焼し、制圧されるまで火災は数時間続き、19日(火)朝まで続いた。
■ 発災とともに近くの消防署が現場へ出動した。消防隊は火災を限定的に封じ込めようと、消防活動を行った。
■ 事故に伴う負傷者は無かった。
被 害
■ 油井用のタンク施設が3基以上が焼損した。被災写真によると、5基が被災しているが、詳細な損害状況は分かっていない。
■ 事故に伴う負傷者の発生はない。
< 事故の原因 >
■ 事故の原因は落雷による爆発・火災である。
< 対 応 >
■ 火災対応に出動した消防隊員など緊急対応の人員は分かっていない。
(写真はFox4kc.comから引用)
|
(写真はFox4kc.comから引用)
|
(写真はFox31.comから引用)
|
補 足
米国におけるコロラド州の位置
(図は1.bp.blogspot.comから引用)
|
■ 「コロラド州」(Colorado)は、米国西部に位置し、州の南北にロッキー山脈があり、州全体の平均標高が全米で一番高い山岳地帯の州である。人口は約500万人で、州都および最大都市はデンバーである。コロラド州は石油・天然ガス資源に恵まれており、オイルシェールの埋蔵量は石油換算で1兆バーレルとされているほか、石炭(瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭)もかなりの埋蔵量が見つかっている。
「ウェルド郡」 (Weld
County)は、コロラド州北東部に位置し、比較的平坦な地域にあり、人口約25万人である。
ウェルド郡では、近年、洪水による石油タンク施設から油流出の事故があった。
● 2013年9月、「米国コロラド州で洪水によって被災したタンクから油流出」
● 2014年6月、「米国コロラド州で洪水によって今年もタンクから油流出」
■ 「NGLエナージー・パートナーズ」(NGL
Energy Partners)は、石油・天然ガスの生産・貯蔵・輸送、プロパンガスの販売などを行なうエネルギー会社で、本社はオクラホマ州タルサにある。
なお、NGLエナージー・パートナーズでは、コロラド州ウェルド郡で傘下のNGLウォーター・ソリュージョン社の天然ガス生産関連施設で落雷によって火災を起こす事例がある。
● 2015年4月、「米国コロラド州で天然ガス生産関連施設に落雷してタンク火災」
■ 事故のあったタンク施設は、郡道51号線と53号線の間の郡道16号線沿いにあると報じられており、同地区をグーグルマップで探したら、同じようなタンク施設が2箇所あった。しかし、被災写真とタンクの配置や数が違っており、発災タンクは新しい設備ではないかと思われる。なお、発災タンクを既設のこれらのタンク形状と同じだとすれば、直径は約5mであり、高さを約8mとすれば、容量は160KLクラスとみられる。
郡道16号線沿いにあるタンク施設
(写真はGoogleMapから引用)
|
所 感
■ 今回の事故は油井用のタンク施設で、損壊したのはファイバーグラス製タンクと思われる。従って、天然ガス生産関連施設の排水貯蔵タンクではないだろうか。被災したタンクの写真を見ると、タンク下部は残っており、タンク上部は爆発で噴き飛んだか、溶け落ちたものだと思われる。一方、隣接タンクでも完全に形状が残っているものがあり、火災の影響を受けなかったか、鋼製タンクだとみられる。
■ 消防活動は分からないが、まわりは広大な畑であり、消火用水源に乏しく、最低限の延焼対策を行い、燃え尽きるのを待つ戦略がとられたものと思う。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Fox40.com
, Video Shows Massive Explosion After Lightning Strikes Colorado
Oil Tanks, June 20 2018
・9news.com, Lightning Ignites Oil Tank in Hudson, June 19
2018
・Hazmatnation.com,
Colorado Crews Battle Well Site Fire after Lightning Strike, June 21,
2018
後 記: 今回の事故は米国のコロラド州の話なので、事故情報は多いと思っていましたが、意外に少なく、内容に深みがありませんでした。広大な畑の中にある石油・天然ガス生産設備の多いコロラド州において、落雷によるタンク火災で、朝には火が消えているような事故はニュース性が薄いのでしょう。現場で消火活動に従事する消防隊について感謝の心をもって取材するのが通常ですが、今回は何も触れられていません。
これまで、米国はメモにいたるまで記録を残し、情報公開していくという点について感心していましたが、どうなってしまったのでしょう。最近、新しくできた徳山駅前図書館で「写真が語る 山口県の空襲 米軍が記録した偵察・攻撃・損害」(徳山高専 工藤洋三著)を借りてみました。写真が主ですので、読むというより、見たという感じですが、よくまとめられています。これこそ米国の記録というものです。
徳山海軍燃料廠の爆撃跡と大浦油槽所のタンク損壊状況(米国立公文書館所蔵)
(写真は「写真が語る山口県の空襲 米軍が記録した偵察・攻撃・損害」(徳山高専 工藤洋三著)から引用)
|
0 件のコメント:
コメントを投稿