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2014年11月25日火曜日

米国ワイオミング州で天然ガスタンクの爆発によって死傷者4名

 今回は、2014年9月23日、米国ワイオミング州リンカーン郡ラ・バージにあるEOGリソース社所有の天然ガス生産施設にある貯蔵タンクの爆発によって4名の死傷者が出た事故を紹介します。
(写真はLocaltvkstu.iles.wordpress.com から引用
 <事故の状況> 
■  2014年9月23日(火)、米国ワイオミング州にある天然ガスタンク施設で爆発があり、死傷者の出る事故があった。事故があったのは、ワイオミング州リンカーン郡ラ・バージにあるEOGリソース社(EOG Resources Inc.)所有の天然ガス生産施設にある貯蔵タンクで爆発があり、作業員1名が死亡、3名が負傷した。
                           ワイオミング州ラ・バージ付近    (写真はグーグルマップから引用)
■ 当局によると、ワイオミング州西部で天然ガス貯蔵タンクが爆発して4名の作業員が負傷する事故があったと発表された。リンカーン郡保安事務所広報担当のスティーブン・マリック氏は、グリーンリバーから北西約30マイル(48km)の砂漠にあるタンクをメンテナンス要員によって清掃作業が行われているときに爆発が起こったと語った。

■ タンク所有者であるEOGリソース社(本社:ヒューストン)女性広報担当のケイ・レナードさんは、負傷した3名はソルト・レイク市民病院へ搬送され、1名は診療所で手当てを受けたのち退院したと語った。レナードさんによると、負傷した4名のうち2名はEOGリソース社の従業員で、あとの2名は請負会社の社員だという。
 その後、負傷した1名は重度の火傷のため、ユタ大学病院へ移されたが、23日夜に死亡したと報じられた。被害者は請負会社の社員だとレナードさんは語った。ユタ大学病院は、死亡したのはジャレッド・ロフティスさん(男性35歳)だったことを明らかにした。入院した他のふたりもユタ大学病院火傷治療センターで治療を受けている。このふたりの名前は明らかにされていない。なお、死亡した人を含め、請負会社の二人はヒューズ・エンタープライズ社(Hughes Enterprises Inc.)の従業員である。

■ マリック氏によると、発災後、火は消防隊によってすぐに消されたという。 EOGリソース社広報担当のレナードさんによると、事故はフラッシュ・ファイヤーと呼ばれる現象だったという。天然ガス生産施設には油井1基と小型の貯蔵タンク2基があるという。火災は鎮火し、油井は閉止されているとレナードさんは語った。

■ ワイオミング州労働安全衛生局のインスペクター2名が24日(水)の朝、現地へ立入り、調査を開始した。

■ 今回事故があった天然ガス施設は、グリーンリバーから北西約30マイル(48km) のラ・バージ・ハイウェイ近くの砂漠の中にあり、2014年4月に爆発・火災のあったワイオミング州オパールの天然ガス処理プラントから約15マイル(24km)しか離れていないところである。 

■ 4月に爆発・火災のあったワイオミング州オパールの天然ガス処理プラントはウィリアムズ・カンパニーズ社(Williams Companies Inc.)が所有する施設で、爆発・火災による負傷者は出なかったが、オパールの住民約100人が避難する事態となった。火災は5日間に亘って続いた。

■ この地方は米国内で最も大きな天然ガス生産地区のひとつであり、数多くの油井が点在している。ワイオミング州は石油・天然ガス産業の労働災害事故が多い州となっている。

補 足               
■ 「ワイオミング州」は、米国中西部に位置し、人口約56万人と全米50州の中で最も人口の少ない州である。州は山岳・高原地域で、ロッキー山脈やイエローストーン国立公園がある。
 「リンカーン郡」は、ワイオミング州中西部にあり、人口約18,000人である。
 「ラ・バージ」は、リンカーン郡にあり、人口約550人の町である。オパールはリンカーン郡にあり、人口約100人の町である。「グリーン・リバー」は、ワイオミング州スウィートウォーター郡にある都市で同郡の郡都で、人口は約12,000人である。
■ 「EOGリソース社」(EOG Resources Inc.)は、1999年に設立された米国の独立系石油·天然ガスの探査·生産会社である。旧名エンロン・オイル&ガス社(Enron Oil and Gas)で、テキサス州ヒューストンを本拠地にして米国、カナダなど世界的に展開している。
■ 「フラッシュ・ファイヤー」(Flash Fire)は、可燃性ガス、可燃性または爆発性液体あるいは可燃性粉体と空気の混合気が着火して突然、激しい火災を起こすことをいう。高温、短時間、急速な火炎前面が特徴である。一般には「爆発」という用語で表現するが、消防など専門分野では区別している。 201399日米国ニューハンプシャー州マンチェスター市にあるモービル給油所の地下タンクでフラッシュ・ファイヤーが起こり、工事中の作業員2名が火傷を負う事故が起きている。「米国ニューハンプシャー州の地下タンクでフラッシュ・ファイヤー、2名負傷」を参照。

所 感
■ タンク爆発(フラッシュ・ファイヤー)の原因は、ガス井に通じる配管との切離し(孤立)が不完全だったためだと思われる。 2014年10月30日に起きた「米国ワイオミング州シャイアンでタンク爆発して死者1名」の火災事故の原因は油タンクまわりにおける火気工事管理のミスだと思われると所感で述べたが、今回の事故も同様に工事管理のミスである可能性が高い。

■ ワイオミング州は1990年代から天然ガスの生産が増大してきているが、一方で天然ガス産業における労働災害事故の多い州となっている。米国内でも、この要因として「安全文化の欠如」が指摘されている。おそらく、ワイオミング州の天然ガス産業界は生産優先で、米国CSB(化学物質安全性委員会)がまとめた安全資料「タンク内外の火気工事における人身事故を防ぐ7つの教訓」の認識が希薄だと思われる。
                          ワイオミング州における天然ガス田の例      (写真はFlickr.comから引用)
備 考
  本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいてまとめたものである。
       ・BigStory.ap.org,  4 Injured in Natural Gas Tank Blast in Wyoming, November 23, 2014
       ・Fox13now.com, Explosion Reported at Gas Plant Pumping Station in Wyoming, November 23, 2014
       ・Reuters.com, One Dead after Fire at EOG Resources7 Wyoming Natgas Tank, November 24, 2014  
       ・Trib.com, Officials ID Victim in Fatal Gas Explosion, November 24, 2014
       ・BicMagazine.com, Natural Gas Tank in Wyoming Explodes during Maintenance, November 24, 2014
       ・BillingsGazette.com, 1 Dead Following Wyoming Gas Explosion, November 24, 2014
       ・BigStory.ap.org, Worker Hurt in Wyoming Natural Gas Tank Blast Dies, November 24, 2014
       ・Munufacturing.net, Natural Gas Storage Tank Explosion Injured 4, November 24, 2014
       ・ThinkProgress.org, A Gas Plant Fire Just Killed One Wyoming Worker, November 24, 2014



後 記: 「米国ワイオミング州シャイアンでタンク爆発して死者1名」(2014年10月30日)の事故を調べていて、9月の天然ガス貯蔵タンクの火災事故を知り、紹介することとしました。しかし、今回の報道記事は間接情報(人から伝聞された話)が多く、曖昧さの残る事故情報になりました。発災場所も漠然としており、グーグルマップで探すことを試みましたが、特定できませんでした。というより、諦めました。それはワイオミング州の天然ガス施設が年々変わっている(増加)様子が感じられたからです。9月の火災施設は油井1基とタンク2基から構成されているようですが、標題の写真の中にも同様の施設が写っていますし、グーグルマップでも同じような施設がみられます。最新マップと位置情報がないと、発災場所を特定することは難しいと悟りました。逆にいうと、グーグルマップの写真が追いつかないほどワイオミング州の天然ガス生産(施設)が進んでいるということでしょう。  

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