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2020年3月16日月曜日

フランスの製油所で仕掛けられた爆弾によってタンク火災(原因)

 今回は、2015年7月14日(火)、フランス南東部マルセイユ近郊のベールレタンにあるリヨンデルバゼル社の製油所で起こった貯蔵タンクの爆発事故について、その後、この爆発を計画して実行した犯罪者が逮捕され、2020年3月11日(水)に15年の禁固刑を受けたという情報を紹介します。
 発災当時の情報はフランスの製油所で仕掛けられた爆弾によってタンク火災」を参照。
(写真はProtectionimages.bobitstudios.comから引用)
< 工場の概要 >
■ 事故のあった製油所は、フランス南東部マルセイユ近郊のベールレタンにあるリヨンデルバゼル社所有の工場である。リヨンデルバゼル社(LyondellBasell Industries)はオランダの化学大手企業で、ニューヨーク株式市場に上場し、従業員11,000人を擁して世界的に展開する会社である。リヨンデルバゼル社は、2007年にバセル社(Basell)とリヨンデル社(Lyondell Chemical)が合併して誕生した。
 ベールレタンの製油所はマルセイユ空港の近くにあり、 1929年に建設され、2008年にロイヤル・ダッチ・シェルからリヨンデルバゼル社が取得した。石油化学プラントの一つとして精製能力80,000バレル/日の製油所を有し、従業員は約1,000名で、請負会社の社員が同じほどの人数いる。

■ 発災のあったのは、製油所のタンク地区にある貯蔵タンクである。
                     ベールレタン付近 (中央上部が発災のあったタンク地区)  
(写真GoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2015年7月14日(火)午前3時、フランスの革命記念日であるパリ祭の日に、製油所のタンク地区にある2基の貯蔵タンクで同時に爆発があり、火災が発生した。発災のあった貯蔵タンクはガソリン用とナフサ用で、これらの2基のタンクは互いに500mほど離れていた。2基のタンクとも、ほぼ満杯の状態だった。
(写真はBBC.com から引用)
■ フランスで2番目に大都市近郊の空には、巨大な煙の柱が立ち、炎は数km先からも見ることができた。黒煙は、北西の風に乗って、マリグナネ、レ・ペンヌ=ミラボー、サン=ヴィクトレの町の方へ広がっていった。

■ 火災の発生に伴い、消防署の消防隊が出動した。ガソリン貯蔵タンクの火災は比較的早く消すことができた。鎮火時間は午前6時30分頃とみられる。ナフサ貯蔵タンクの火災には手こずった。当初は、製油所の自衛消防隊によって消火活動が行われていたが、公設消防隊による消火活動が必要となった。公設消防隊は液面上に“泡による巨大カーペット”を放射した。ナフサタンク火災は14日午前中まで数時間にわたって燃え、その後、消火された。鎮火時間は午前10時30分頃とみられる。

■ 「互いに500mほど離れているタンクで同時に爆発があったということは、技術的な問題による事故とは考えにくい。犯罪の意図がはっきり感じられる」とリヨンデルバゼル社の関係者は語っている。

■ 7月15日(水)、事故後の調査で、発災タンクにあった起爆装置とみられる電子機器と同様の機器が、別な3番目のタンクで見つかった。これは爆破に失敗したものとみられている。

被 害
■ 被災したのは、ガソリン貯蔵タンクとナフサ貯蔵タンクの2基である。燃焼した油の量は数千KLとみられる。損害は1,800万ドル(20億円)とみられる。

■ 爆発・火災に伴う、死者や負傷者は出ていない。

■ 爆発・火災事故に伴い、土壌と水質汚染が発生したが、解決には数年かかるといわれている。

< 事故の原因 >
■ 2基の貯蔵タンクの爆発・火災の原因は、犯罪行為による故意の過失である。

■ 犯人は印刷工場を営む男(38歳)で逮捕され、2020年3月11日(水)、フランスの法廷で15年の禁固刑を受けた。

■ 男は反米感情をもつ元ジャーナリストで、裁判の中では、米国の石油資源に関する好戦的な政策に対してフランスの外交政策が米国の追随者だとフランスに警告することを意図したと述べている。
(写真はStatique.lamarseillaise.frから引用)
< 対 応 >
■ 発災に伴い、消防署は120名の消防隊と50台の消防車を現場に出動させた。

■ 当局によると、消防隊は町や地元に火災活動による汚染の影響を防止するため、特別な方法である「予防ダム」をとったという。この予防ダムは消火用水と関係する炭化水素汚染を防止するため、工場近くの町に設置された。

■ ガソリン貯蔵タンクの火災は比較的早く消すことができ、鎮火時間は午前6時30分頃とみられる。

■ ナフサ貯蔵タンクの火災には手こずった。当初は、製油所の自衛消防隊による消火活動が行われていたが、公設消防隊による消火活動が必要となり、液面上に“泡による巨大カーペット”を放射する消火活動が行なわれた。ナフサタンク火災は午前中半ばまで燃え、その後、消火された。鎮火時間は午前10時30分頃とみられる。

■ 英国BBCは、カスヌーブ氏の談として、フランス全土には危険性物質を扱っている施設が1,100箇所ほどあり、セキュリティを強化する必要があると報じた。
(写真はBouches-du-rhone.gouv.fr から引用)
プラスチック爆弾と起爆装置の盗難があった施設
(切断されたフェンスの前にいる警察車両)
(写真はTelegraph.co.ukから引用)

補 足
■ ベールレタン(Berre-l‘Etang)はブーシュ・デュ・ローヌ(Bouche du Rhone)県にあり、フランスで2番目の大都市であるマルセイユ(Marseille)の北方約20kmにある。
(図GoogleMapから引用)
■ 発災したナフサ貯蔵タンクは火災写真から場所が特定でき、タンク地区の中央部にある直径約60mの浮き屋根式タンクである。貯蔵容量は50,000KL級と思われる。一方、ナフサ貯蔵タンクから500m離れた位置にあるタンクは南側に何基か見られる。火災になったのはガソリン貯蔵用であり、浮き屋根式と思われるので、西端にあるタンク2基のいずれかと思われる。この2基のタンクは、直径が約35mと約32mであり、10,000KL級と思われる。
(図GoogleMapから引用)
(写真GoogleMapから引用)
■ ナフサ貯蔵タンクの火災を火災写真で見ると、全面火災ではなく、リムシール火災から屋根火災に近いものと思われる。爆弾は、タンク下部でなく、屋根上に仕掛けられたものと思われる。爆破によってどのような損傷があったのか情報はない。被災程度としては激しいものではないと思われるが、浮き屋根上にナフサが漏れ出た可能性は高い。

■ ナフサタンク火災の消火活動は、公設消防隊による液面上に“泡による巨大カーペット”(Massive Carpet of Foam)を放射する戦術がとられたと報じられている。断定はできないが、これは大容量泡放射砲によるもの思われる。欧州の大容量泡放射は、米国のフットプリント方式などと異なり、泡放射量10L/㎡/min以上でタンク側板に沿って投入する方法をとる。直径60mのタンクでは、28,300L/minの放射能力を有する泡モニターが必要である。複数台の大型化学消防車(スクワート車)による一斉放射では、10台分に相当し、消防車の配置上難しい。おそらく、大容量泡放射砲によって消火させたものと思われる。

■ 火災活動に入る前に特別な「予防ダム」をとったと報じられており、大量の消火排水による地表水系への汚染防止のために構築された仮設堤と思われる。

所 感
■ テロ攻撃や戦争行為によるタンク火災は少なくなく、近年は中東などで多くなっている。これまでは、政情の不安定な国でロケット弾、迫撃砲、手りゅう弾といった戦闘行為によるものだったが、今回の事例はフランスという先進国で、個人による過激な行動である。集団によるテロ攻撃とは違った脅威を感じる事例である。

■ 前回の所感の中で、「報を聞いて感じたのは、製油所のセキュリティの甘さである。フランス国内でもテロ事件が続く中で、フェンスを破って複数のタンクに爆弾を仕掛けられている。工場の正門に「テロ対策中」という看板が掛かっていなかったにしても、所内ではテロへの警戒心はあっただろう。それがいとも簡単に破られている。しかし、このようなセキュリティの弱点を有する事業所は、リヨンデルバゼル社のベールレタン製油所だけに限ったものではないだろう。テロリストや悪質な犯罪者が意図をもって攻撃する可能性のあることを前提に、施設のセキュリティを考えなければならない。先進国のフランスで起きており、日本では起こらないという保証はどこにもないのである」と述べたが、この考えは現在も変わらない。

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  Industrialfireworld.com, French Refinery Arsonist Sentenced to 15 Years in Prison,  March  12,  2020
      Lemonde.fr, Quinze ans de prison pour l’incendiaire de la raffinerie de Berre-l’Etang,  March  12,  2020
      UK.Reuters.com,  Criminal Intent Seen in Petrochemical Fire on French Bastille Day,  July  14,  2015
      Telegraph.co.uk,  Two Blasts in French Chemical Plant Caused by Malicious Act,  July  14,  2015
      RT.com,  2 Blasts Rock Oil Refinery in Southern France 10km from Marseille Airport,  July  14,  2015
      BBC.com,  France Explosions: Devices Found near Berre-L’Etang Plant,  July  15,  2015
      Breithart.com,  There Was a Significant Terrorist Attack in France This Week and The Mainstream Media Hasn’t even Bothered Telling You,  July  15,  2015
      RT.com,  France Blasts:  Foul Play Suspected as Electronic Device Found at The Scene,  July  15,  2015
      News.NNA.jp,  マルセイユ近郊の製油所爆発、起爆装置発見,  July  16,  2015
  ・Mainichi.jp,フランス:マルセイユ近郊の工場 薬品タンク二つ同時爆発,  July  16,  2015
  ・Tokyo-np.co.jp, 仏工場で同時爆発 現場近くで起爆装置?発見,  July  16,  2015
      Chunichi.co.jp,仏南部の工場で同時爆発 発火装置?発見,  July  16,  2015



後 記: 今回の裁判結果は、フランスという先進国で個人的な思想の違いによるテロ行為でタンク火災を起こしたという話題に事欠かないため、メディアで取り上げられたので、知り得たものです。原因が犯罪らしいということから故意の過失だったことが確定しました。しかし、個人の犯罪でこうも簡単に侵入し、爆発物を仕掛けられるのかという素朴な疑問が再び浮かんできました。そういえば、最近、世の中では「テロ対策中」という看板を見ることが少なくなったように思いますが、対策は抜けなくできているのでしょうね。今回のような個人的な犯罪による事故が発生してから、「想定外」だったということはないでしょうね。

2020年3月1日日曜日

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)に備えて知っておくべきこと


 今回は、2020214日(金)に “HazmatNation”のインターネット情報に掲載された「新型コロナウイルスのパンデミックに備えて知っておくべきこと」(原題: Coronavirus: What needs to be known about a pandemic)を紹介します。貯蔵タンク事故情報ではありませんが、いま日本で関心の高い話題ですので、当ブログで載せることとしました。
< はじめに >
■ 生命保険会社であるホランスマン・エデュケーア社(Horace Mann Educators Corp)では、最近の当社のニュース欄に、新型コロナウイルスの拡散に関する情報やニュースが殺到しています。 ウイルスに「新型」と付けられたのは、 これまでに見たことのないウイルスであることを意味します。 防護服を着た医療従事者の画像や一般的な予防策を通じて、私たちは自分自身で調べ始め、感染の流行が来たときに対応できるよう備えています。まず、この可能性のあるパンデミック(世界的な大流行)について、基本的な認識と私たちに何ができるかを明確にしていこうと思います。このコロナウイルスは「新型」と付けられており、それが何を意味するのかを明確にしていこうと思います。

< 序文 >
(図はLivescience.comから引用)
■ 新しい中国のコロナウイルスは、SARSウイルスの仲間であり、2019年12月に中国の武漢で発生が始まって以来、感染が広がっています。ウイルスを最初に解読したレオ・プーン氏(Leo Poon)は、それが動物で始まり、人間に広がった可能性が高いと考えています。香港大学の公衆衛生学校のウイルス学者であるレオ・プーン氏は、「肺炎を引き起こし、抗生物質治療が有効でないことはわかっていますが、これは驚くことではありません。SARSの死亡率は、感染者の10%に昇っていました」と述べています。武漢で流行っている新型コロナウイルスがどれほどの致死力があるかは明らかではありませんが、死亡率はいまのところMERSとSARSの両方よりも低くなっています。専門家は、大きな流行になったら、新型コロナウイルスが変化することもあると危惧しています。

■ 世界保健機関(World Health Organization;WHO)は、新型コロナウイルスに対応するため各国にガイダンス(指針)を提供しました。それには病気に対する監視方法や患者の治療方法を含んでいます。新型コロナウイルスについて知っておくべきことは、次項以降に示すとおりです。

< コロナウイルスとは? >
■ コロナウイルスは、動物の間で共通的なウイルスの大きなグループに属するものです。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、まれに、その中には人獣共通感染症と呼ぶものがあり、動物からヒトに感染する可能性があります。

< コロナウイルスの症状 >
COVID-19(新型コロナウィルス)の症状
(図はHazmatnation.com から引用)
■ ウイルスは人間を病気にします。通常、風邪と同様、軽度ないし中度の上気道の病気です。コロナウイルスの症状は鼻水、咳、のどの痛みですが、頭痛を伴ったり、熱が出ることがあり、これらは2・3日間続くことがあります。免疫系が弱っている人、高齢の人、若い人にとって、可能性は低いけれども重症の肺炎や気管支炎のような気道疾患を引き起こすことがあります。

■ わずかですが、致命的であることが知られているヒト・コロナウイルスが存在します。

■ MERSウイルスとしても知られる中東呼吸器症候群は、2012年に中東で初めて報告されました。呼吸器系の問題も引き起こしますが、 MERSの症状はより深刻です。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、MERSに感染した患者10人につき3~4人が死亡しました。SARSとしてしられている重症急性呼吸器症候群は、より重篤な症状を引き起こす可能性のある別なコロナウイルスです。世界保健機関(WHO)によると、中国南部の広東省で最初に特定され、呼吸器の問題を引き起こしますが、下痢、疲労、息切れ、呼吸困難、腎不全も引き起こす可能性があります。患者の年齢に応じて、SARSの死亡率は症例の0〜50%の範囲で、高齢の人が最も弱い年齢層でした。

■ 現在、中国の武漢で流行っているコロナウイルスはSARSやMERSよりも軽度であると考えられており、症状が現れるのに時間がかかっています。 オックスフォード大学の感染症の権威であるピーター・ホービー(Peter Horby)教授によると、これまでの患者は、通常、1週間ほど軽い咳に続いて息切れを経験して病院に訪れていると説明しています。これまで、症例の約15~20%が重症になっています。このことから病院での換気などが必要といえます。

< 感染の広がり方 >
■ ウイルスは、人間と動物との接触から広がる可能性があります。世界保健機関(WHO)によると、科学者はMERSがラクダで始まったと考えています。SARSについてはジャコウネコだと考えています。中国当局は、武漢で発生を引き起こした動物が何かを特定していません。ウイルスのヒトからヒトへの感染については、咳の飛沫など感染した人の分泌物に接触するとよく起こります。

■ ウイルスの悪性に応じて、咳、くしゃみ、または握手が感染を引き起こす可能性があります。ウイルスは、感染した人が触れたものに続いて触れ、さらに口、鼻、目にさわることでも感染していきます。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、介護する人が患者の排泄物を処理することで感染することがあります。

■ 中国武漢のコロナウイルスのヒトからヒトへの感染は確認されていますが、専門家は、現在、誰が最も伝播させているのか、誰が最もリスクが高いのか、そして病院または地域(コミュニティ)内で多くが感染しているか分析しようとしています。オックスフォード大学のホービー教授によると、SARSとMERSは主に病院内で伝播したといいます。また、専門家によっては、感染の伝播に大きな働きをする人“スーパースプレッダー” (Superspreaders)の存在とみる人もいます。

< 誰が影響を受けますか? >
■ MERS、SARSおよび中国武漢のコロナウイルスは、高齢の人がより深刻な疾患を引き起こすように見えます。しかし、最新の発生についてはまだ分からない点が残っています。オックスフォード大学のホービー教授によると、これまでに報告された中国武漢のコロナウイルスの症例のうち、子供たちの間で確認されたものはいないと述べており、感染した人の平均年齢は40歳以上です。

< コロナウイルスの治療 >
■ 特定の治療法はありませんが、現在、研究が進められています。

■ ほとんどの場合、症状は自然に消えますが、専門家は早期にケアすることを勧めています。症状が普通の風邪よりひどい場合、かかりつけの医師に相談してください。医師は痛みや発熱の薬を処方することで症状を緩和することができます。

■ 米国疾病管理予防センター(CDC)は、部屋に加湿器を置いたり、ホットシャワーが喉の痛みや咳の緩和に役立つと述べています。水分を十分に飲み、休息を取り、できるだけ睡眠をとるようにしましょう。

< 新型コロナウイルスについて心配する必要がありますか? >
■ 中国武漢で発生した新型コロナウイルスの死亡率はSARSやMERSより低いけれども、1918年に流行したスペイン風邪のパンデミックと同じくらいだと、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)数理生物学のニール・ファーガソン(Neil Ferguson)教授は説明しています。「これは世界的にみて重要な懸念事項です」とファーガソン教授は述べていますが、しかし、私たちはその重要度について完全には理解していないと指摘しています。

■ ファーガソン教授は、まだ見つかっていない軽度の症例の人の“氷山”によって、死亡率がより低い値になる可能性が高いと考えています。一方、ファーガソン教授は、新しいウイルスが人口全体にはるかに速く広がっていることに注目しています。

< どうすれば、防ぐことができますか? >
■ 少なくとも、まだ、このウイルス対して防護できるワクチンはありません。MERSワクチンが有効かの試験が進められています。米国国立衛生研究所は新しいウイルスに対するワクチンの開発に取り組んでいますが、臨床試験が開始されるまでには数か月かかり、利用できるようになるまでには1年以上かかるかもしれません。

■ あなた方がやれることは、病気に罹った人を避けることで、感染のリスクを減らすことができるかもしれません。 自分の目、鼻、口に触れないようにすることです。たびたび石鹸と水で、少なくとも20秒間、手を洗ってください。

■ 意識することや認識することが重要です。あなたが病気にかかり、武漢に旅行したとか、感染した人と接触したことにより新型コロナウイルスであると信じる理由がある場合、医療提供者(ヘルス・ケア・プロバイダー)に知らせて治療を早めに求めるべきです。

■ 咳やくしゃみをするときは口と鼻を覆ってください。あなたが触れた物や表面は消毒してください。

■ もし中国に旅行しなければならない場合、症状が出ていないか留意してください。武漢で流行が始まっていますので、動物市場に行くことは避けてください。

< コロナウイルスと妊娠 >
■ 妊婦では、MERSやSARSのコロナウイルスの場合には厳しかった状況にありました。2014年の調査によると、 MERSに感染した女性が死産したケースがあります。SARSに関連した症例としては、自然流産、妊産婦死亡、重大な妊産婦疾患のケースがあったことが、2004年の調査で明らかになりました。

< コロナウイルスと猫や犬などの動物との関係 >
■ 猫や犬などのペットはコロナウイルスを受け入れることがあり、その場合、感染が深刻になる可能性があります。ときには、ウイルスが致命的な病気につながることがあります。 2011年の研究によると、ウイルスが猫に猫伝染性腹膜炎を引き起こさせる可能性があり、向汎性イヌコロナウイルスと呼ばれるウイルスが猫や犬に感染する可能性があるといいます。

■ 猫はSARSを受け入れることができますが、研究によると、感染した猫のいずれも症状を発症しませんでした。ネココロナウイルスは、通常、症状はありませんが、軽い下痢を引き起こす可能性があります。猫伝染性腹膜炎は猫にインフルエンザのような症状を引き起こす可能性があります。しかし、猫にとってより深刻な臓器不全を引き起こす可能性があります。一方、それは伝染性はなく、動物から動物へあるいは人へ広がることはありません。

■ 猫や犬に影響を与える向汎性イヌコロナウイルスは、犬にとって致命的な可能性があることが研究で分かっています。これらの特殊な犬や猫のウイルスは人間には広がらないとみられます。

補 足
■「中国による新型コロナウイルスに関する大規模調査」が行われ、2020年2月17日(月)に公表されました。判明したことの主なことは、つぎのとおりです。
 ● 感染者の80.9%は軽度に分類され、13.8%が重度、4.7%が致命的だった。
 ● 9歳までの子どもに死者はいない。39歳までの死亡率は0.2%と低い。
 ● 死亡率は40代が0.4%、50代が1.3%、60代が3.6%、70代が8%と、年齢層が上がるにつれ徐々に上昇している。
中国による新型コロナウイルスに関する大規模調査結果(一部)(写真はNote.comから引用)
■「こどもの発症」について、資料が書かれた段階ではゼロという数値でしたが、その後の調査では発症者が出ています。年齢層に対する発症者の割合と死亡率はつぎのようになっています。
    年齢   発症者の割合  死亡率
 ●  0~9歳    0.9%     0%
 ● 10~19歳    1.2%    0.2%
 ● 40~49歳   19.2%    0.4%
 ● 50~59歳   22.4%    1.3%
 ● 60~69歳   19.2%    3.6%

所 感
■ “戦略”を考えるとき、まずやることは、戦いの相手がどういうものであるかということです。例えば、火災との戦いでは、目の前に起こっている火災の性質を知ることです。火災といっても、石油火災、LPガス火災、建物火災などがあり、相手になる火災の性質を知ることが必要です。そして、火災戦略を考え、実際の行動である火災戦術をとることになります。
 新型コロナウイルスとの戦いでは、まず新型コロナウイルスに関する基本認識が必要です。この点、本資料はウイルスとは何かにかについて内容のある話を簡潔にまとめています。そして、新型コロナウイルスについて、現在、分かっていること、まだ分かっていないことを明示し、パンデミック(世界的な流行)になったとき、知っておくべきことやとるべき対応について提言しています。

■ 新型コロナウイルスは、比較的、症状が軽度であることから、パンデミック(世界的な流行) になっても手洗いや消毒などの配慮をしながら、普段の生活をすることを勧めています。ところが、日本(政府)では、小中学校・高校について春休みまでの休校を要請しました。しかし、中国の調査結果によると、0歳~9歳、10歳~19歳までの人の発症割合はそれぞれ1%前後です。発症割合が多いのは、40歳代が19%、50歳代が22%、60歳代が19%で、全体の60%を占めます。働き盛りの40歳~60歳代を外して、発症割合1%の年齢層だけを対象に休校措置をとらなければならない理由はありません。こどもが学校を休んでも、親が感染すれば、こどもにも感染する可能性はあります。

■ 手洗いについて定量的に“少なくとも20秒間行う” ことが勧められています。今の日本のこどもはインフルエンザ対応で先生から教えられてよく手洗いする習慣ができています。この点からも小中学校・高校について休校する必要はないといえます。

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
    ・Hazmatnation.com, Coronavirus: What needs to be known about a pandemic, February  14, 2020
    ・Bbc.com,  新型ウイルスで中国が初の大規模調査 「80%以上は軽度」, February  18, 2020
    ・Nhk.or.jp, 致死率は2.3% 高齢者や持病ある人は注意 中国分析データ公表, February  19, 2020
    ・Note.com, [まとめ] 小児のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の科学的根拠,  February  19, 2020
    ・Who.int, Rolling updates on coronavirus disease (COVID-19), February  27, 2020 


後 記:  ハズマット(Hazardous Materials)を対象としたインターネット情報“Hazmat Nation”の2月14日分に新型コロナウイルスのことが掲載されたので、通常の事故などの記事と異質なので、ちょっとびっくりしました。しかし、突然、2月27日に日本の首相が学校を春休みまで休校にすることを要請すると発表しましたので、 “Hazmat Nation”の記事をブログに掲載することとしました。
 プリンセスダイヤモンド号の着岸に際しては、“水際作戦”と称して新型コロナウイルスを日本に入れないという“戦略”でした。その後、 “水際作戦”が破綻して、世の中では新型コロナウイルスはすでに日本に蔓延化してきており、“重症化”対策に切り替えるべきだといわれています。一方、市中ではマスクがない、消毒薬がない状況であり、新型コロナウイルスに罹っているかのPCR検査をやってもらえない中で、学校を休みにすることの優先度が理解できません。「最悪のシナリオを真っ先に考えるアメリカ。最悪のシナリオが無いことにする日本」といわれていますが、残念ながら、まさに言われるとおりの話だと痛感し、がっかりしながら、急遽まとめました。

2020年2月17日月曜日

米国ペンシルバニア州の化学工場で火災、タール用タンクへ延焼

 今回は、2020年2月4日(火)、米国のペンシルバニア州モンゴメリー郡アッパー・メリオンにあるクーパーズ・クリーク・ケミカル社の化学工場で、火災があり、コールタール用タンクへ延焼した事故を紹介します。
(写真はIndustrialfireworld.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国のペンシルバニア州(Pennsylvania)モンゴメリー郡(Montgomery)アッパー・メリオン(Upper Merion)にあるクーパーズ・クリーク・ケミカル社(Cooper‘s Creek Chemical)の化学工場である。同社は粗コールタールの生産を専門にしている。

 ■ 発災があったのはリバー通り800番地にある化学工場内の施設で、この施設にはコールタール用タンクがあった。
    アッパー・メリオンのクーパーズ・クリーク・ケミカル社付近  (写真はGoogleMapから引用)
         クーパーズ・クリーク・ケミカル社の化学工場付近  (写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2020年2月4日(火)午前4時10分頃、クーパーズ・クリーク・ケミカル社の化学工場のボイラー室で火災があり、10,000ガロン(37KL)の貯蔵タンクに広がった。

■ 発災に伴い、アッパー・メリオン消防署が出動したほか、モンゴメリー郡のハズマット隊(Hazmat)が出動した。消防士が現場に駆け付けると、貯蔵タンクの隣にあるボイラー室が燃えていた。

■ 発災によってリバー通り(ルート23)が交通制限により3時間ほど閉鎖された。

■ 事故に伴う負傷者はいなかった。また、事故による大気質への影響は無かった。

■ 消防隊はボイラー室の火災の消火活動を行うとともに、貯蔵タンクへの延焼を防ぐよう努めた。消防隊は、消火泡を使用する前に、火災を制圧した。消防隊は、午前7時30分頃に消火したことを発表した。

被 害
■ ボイラー室で火災があり、隣接したコールタール用タンクが火災で被災した。損傷程度は不詳である。

■ 事故に伴う負傷者の発生はない。避難した住民もいない。

■ 化学工場に近い道路が交通制限で3時間ほど閉鎖した。

< 事故の原因 >
■ 事故の原因は分かっていない。
(写真は6abc.comから引用)
(写真は、左 6abc.com右;Liveuamap.comから引用)
補 足 
■「ペンシルバニア州」(Pennsylvania)は、米国の北東部に位置する州で、人口約1,280万人である。 
 「モンゴメリー郡」(Montgomery)は、ペンシルバニア州の東部に位置し、人口約828,000人の郡である。
 「アッパー・メリオン(Upper Merion)は、モンゴメリー郡の南部にあり、人口約28,600人の町である。
          米国におけるペンシルバニア州の位置   (図はGoogleMapから引用)
■「クーパーズ・クリーク・ケミカル社(Cooper‘s Creek Chemical)は、1938年に設立し、モンゴメリー郡に化学工場を有し、粗コールタールの生産を専門にしている。製品には、コールタール、コールタールピッチ、クレオソートなどである。

■「コールタール」(Coal Tar)は、石炭を乾留してガス・コークスをつくるときに得られる粘性の高い油状の物質である。比重は1.1~1.2と水より重く、黒色~暗茶色で特有の臭気がある。主成分は芳香族化合物(多環芳香族炭化水素)で、ナフタレン(5~15%)、ベンゼン(0.3~1%)、フェノール(0.5~1.5%)、フェナントレン(3~8%)などを含む。防腐用塗料として使用されてきたが、分留していろいろの有機化学工業の重要な原料である。なお、コールタールを分別蒸留したときの残留分をコールタールピッチという。

■「発災タンク」は、容量が10,000ガロン(37KL)という情報だけで、その他の仕様は分かっていない。円筒タンクであれば、直径3.6m×高さ3.6mほどの大きさである。横型(枕型)タンクであれば、直径3.0m×長さ5.2mほどの大きさである。これらのデータと事業所内のタンク配置を考えれば、標題の写真にある横型(枕型)タンクが発災タンクではないかと考えられる。この周辺のグーグルマップを見ると、標題の写真にある小さな建屋のほか、南側にも小さな建屋がある。しかし、被災写真からはこの両建屋ともはっきりした火災跡は見られない。結局、発災タンクと火災源になったボイラー室は特定できなかった。
       発災の可能性のある工場内の場所 (写真はGoogleMapから引用)
所 感 
■ 今回の事故は、ボイラー室から出火した火がコールタール用の貯蔵タンクに引火したものと思われる。ボイラー室の火災は消防隊による消防活動で消火されたが、コールタール用タンクは泡消火活動を行う前に消えたとみられる。タンクの火災規模は小さく、蒸気を噴射して消えたのではないだろうか。

■ アッパー・メリオン消防署だけの対応でなく、コールタール化学工場の火災ということで、モンゴメリー郡消防署のハズマット隊(Hazmat)が支援に駆け付けている。とにかく火を消す行動をとるのではなく、知識・経験のあるハズマット隊を呼ぶというのは適切な判断だっと思う。 

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Industrialfireworld.com, Fire Threatens Coal Tar Tank in Pennsylvania,  February  04  2020
    ・6abc.com,  All-clear after fire, hazmat incident at Coopers Creek chemical plant in Montgomery County,  February  04  2020
    ・Powderbulksolids.com, Fire Breaks Out at Pennsylvania Chemical Plant,  February  04  2020
    ・Philadelphia.cbslocal.com, Fire Breaks Out At Chemical Company In West Conshohocken,  February  04  2020
    ・Newsbreak.com, Limerick Assists Tuesday at Chem Plant Fire,  February  04  2020


後 記: コールタール用タンクの火災らしいということで調べてみました。朝の4時頃の事故ですが、7時頃には火は消えていましたので、事故情報は多くなかったですね。メディア側もよくわからない化学工場内の事故という訳で、記事の内容もはっきりしないところがありました。発災場所は、「建屋(小屋)」というものや、「ボイラー室」というものがあり、判然としませんが、火が出たということで「ボイラー室」としました。報道写真もありましたが、発災時点のものでなく、何を撮影しているのか分からず、いろいろ考えました。標題の写真も残骸が写っているので、最初は被災写真と思いましたが、それにしては火災跡が見えません。悩みながらまとめた事例でした。