本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
・Reutrs.com, Phillips66 Alliance Refinery Reports Leakage at Oil Storage Facility, September 4, 2012
・FirstEnercastFinancial.com, U.S. Guard: Oil Polluted Louisiana Wetlands after Isaac, September 4, 2012
・UBS.WallST.com, Phillips66 Says No Sign of Oil Leak from Refinery, September 10, 2012
・Nola.com, Oil, Chemical, Coal Releases during Hurricane Isaac Should Have Been Avoided, Environmental Groups Say,
September 6, 2012
・Blog.Skytruth.org, Post-Isaac Aerial Survey Photography Now Available from NOAA, September 6, 2012
<事故の状況>
■ 2012年9月2日(日)午後、米国ルイジアナ州のベルチャスにあるフィリップス66社のアライアンス製油所で油漏出の事故があった。事故は、2日(日)午後1時過ぎに貯蔵タンク地区から油が漏出しているのが発見され、漏出量は不詳だという。
同製油所は247,000バレル/日の精製能力を持っているが、ハリケーン・アイザックの襲来によって8月30日(木)以降、電力が止まって操業を停止しており、当日は洪水によって施設が冠水の状況に直面していた。
■ アメリカ沿岸警備隊は、9月6日(木)に、ルイジアナ州の湿地帯がハリケーン・アイザックの襲来によって油汚染の影響を受けたことを明らかにした。沿岸警備隊のニュースリリースによると、カッショクペリカンなどの水鳥や動物が油まみれになっていたり、死んでいたことから、マトル・グローブ湿地帯、プラックマイン教区にある各施設と野生生物について調査しているという。同ニュースリリースでは、評価チームは、バイユー・セントデニスやポート・サルファー近隣でも油を発見し、ブレトン・サウンドでキラキラした光沢が見られるとの報告に注目しているという。ニュースリリースによれば、湾岸警備隊とルイジアナ州の担当官が、ハリケーンで大きな被害を受けたブレイスウェイトにあるストートヘブン貯蔵施設を詳しく調査しているという。
沿岸警備隊によると、ポンチャーントレイン湖を飛行機で上から調査したところ、油の流出や漏洩といった状況は見られなかったが、見慣れないドラム缶やコンテナーが見つかったという。沿岸警備隊が9月2日(日)に話したところによると、マトル・グローブの近くにある沼地で見つかった油が、停っていた2箇所の油生産施設から出たものかどうかわからなかったといい、漏れたという兆候も認められなかったという。
■ 国家対応センター(NRC)から出された9月2日(日)の報告では、マトル・グローブ湿地帯への油流出はベルチャスにあるフィリップス66社のアライアンス製油所の貯蔵施設からだとしている。
フィリップス社広報担当のリッチ・ジョンソン氏はこの情報を否定し、「私どもは、施設内のタンクや油槽を調べましたが、言われているようなことの証拠は見当たりませんでした」と語っている。ジョンソン氏によると、フィリップス社は漏洩について報告していないし、そのような話を誰がしたか分からないという。
フィリップス社の製油所は、ハリケーン・アイザックがメキシコ湾岸に上陸したときに運転を停止しており、ジョンソン氏によると、ハリケーンが原因と思われる損傷被害はなく、ハリケーンが通り過ぎた後も、数日間は電力がなく、装置も停ったままだったという。同社によると、9月4日(火)の朝に電力が回復したので、製油所の装置を立ち上げているところだという。ただし、数週間で通常通りの運転に戻るかどうかわからないといっている。
■ 誰かわからない人物が、9月3日(月)に国家対応センターへアライアンス製油所の近くにある湿地帯へ油が漏れていると連絡したものと思われる。フィリップス社広報担当のジョンソン氏は、「製油所から漏洩していると連絡したようですが、そのような事実を裏付けるものはありませんでした」と話している。
フィリップス社は、国家対応センターへ油漏洩の連絡をした人物を探そうとしたが、確認できなかった。なお、国家対応センターの事故報告システムはアメリカ沿岸警備隊によって運営されている。
■ その後、フィリップス社の広報担当は、ハリケーンが来るとわかって製油所の装置を停止する工程に入っていたが、製油所構内の道路と(排水)集積系統が洪水で冠水してしまったと話している。暗渠は閉止されており、製油所内の含油水は封じ込められていた。フィリップス社は、現在、構内の植生や土の上に残っている光沢上のもののクリーンアップ作業を進めている。
光沢上のものは、8月30日(木)に製油所排水口近くの川でも見つかったが、このエリアにはオイルフェンスが張られた。広報担当は、それ以降、光沢上のものは確認されていないと語った。この二つの問題とも会社側から国家対応センターへ報告されている。
■ 環境保護団体の一つである「スカイ・トゥルース」(Sky Truth)はリモート・センシングとデジタル・マッピング技術を保有しているが、今回のハリケーンによる環境汚染の状況調査に適用し、ウェブサイトでつぎのように述べ、航空写真画像を公開した。
「先の大きなハリケーン通過後、NOAA(米国海洋大気庁)は沿岸部および浸水区域に航空写真調査飛行を行いました。このため、関係の画像が利用可能となりました。地図上にあなたの知りたい場所をクリックすれば、詳細な画像を見ることができます。例えば、ルイジアナ州ベルチャス南のミシシッピー川沿いで洪水を受けたコノコフィリップス社のアリアンス製油所付近を見てください。水面の油膜がはっきり見えます。しかし、 NOAAが撮影した時点では、油膜は施設内に限定しているように見えます。メキシコ湾岸復興ネットワークのジョナサン・ヘンダーソン氏は今回の流出問題について自らのブログに投稿しています」
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