今回は、 2020年10月4日(日) 、北海道網走郡美幌町にある美幌地方農産加工農業協同組合連合会の家畜飼料用でんぷん工場内にあるタンクにおいて、男性従業員が亡くなるという人身災害事故を紹介します。
< 発災施設の概要 >■ 発災があったのは、北海道網走郡美幌町報徳にある美幌地方農産加工農業協同組合連合会の家畜飼料用でんぷん工場である。
■ 事故があったのは、でんぷん工場内にある原料の水溶液が入ったタンクで、大きさは縦4m×横4m×高さ4mである。
事故の発生
■ 2020年10月4日(日)午前1時頃、でんぷん工場の原料の水溶液(水に溶かしたでんぷん)が入ったタンクの底に、男性従業員が意識不明の状態で沈んでいるのを同僚が発見し、消防署へ通報した。
■ 事故に伴い、消防署が出動した。被災者は救助され、病院に搬送されたが、間もなく死亡した。
■ 午前0時過ぎに機械に不具合が起き、被災者となった男性従業員はひとりで点検に行った。戻るのが遅いため、同僚が様子を見に行ったという。発見当時、タンク上部にある出入り口のふた(約60㎝四方)が開き、タンク内の攪拌(かくはん)装置も作動していた。同僚がタンクの中身を抜いて確認したところ発見された。
被 害
■ 男性従業員が人身災害で死亡した。
< 事故の原因 >
■ 事故原因は調査中であるが、被災者はタンク点検中に誤って転落したものとみられる。
< 対 応 >
■ 警察は誤って転落した可能性があるとみて調べている。
補 足
■「北海道」は、 日本列島を構成する主要4島のひとつで日本の北部に位置し、人口約524万人である。道庁所在地および最大の都市は札幌市である。
「網走郡」(あばしり)は、美幌町(びほろ)、津別町(つべつ)、大空町(おおぞら)の3町を含み、人口約30,500人の郡である。
「美幌町」(びほろ・ちょう)は、網走郡の中央に位置し、阿寒摩周国立公園のある人口約19,000人の町である。
■「美幌地方農産加工農業協同組合連合会」は、1966年に設立され、北海道網走郡美幌町報徳50にあり、業種は農林水産協同組合の飼料製造業である。
でんぷんの製造フロー (写真はAlic.go.jpから引用) |
でんぷんの製造工程(写真はFurusato-tanegashima.net) |
■ 今回の事故は、タンク関連の人身災害であるが、つぎのような硫化水素などの中毒や酸素欠乏症ではない。
● 2018年6月、「石川県の製紙工場において溶剤タンクで死者3名」
● 2019年2月、「大阪府のカーペット製造会社でタンク清掃時に転落、2名死亡」
類似例としては、むしろ、つぎの事故だと思う。
● 2015年1月、「海外で報道される東電福島原発の水タンクからの墜落死亡事故」
■ 今回の事故は、最近起きた「横浜市の小柴貯油施設跡地の覆土式地下タンクに工事中に転落(その後の情報)」(2020年8月25日)と同様、ひとりで作業をしていたときの死亡事故なので、事故時の状況は類推するしかない。今回、被災者となった男性従業員は点検に行っているが、発見当時、タンク上部にある出入り口のふた(約60㎝四方)が開いていたという。
「東電福島原発の水タンクからの墜落死亡事故」では、つぎのような作業口の設計不良だとみている。
● 100cm×80cmの開口部に対して人の墜落防止策が考慮されていない。
● 重量51kgの蓋の位置・構造が、人間の動作を考慮したものになっていない。(持ち上げるためには、人が最も不安定で腰に悪い姿勢になる)
● 蓋を持ち上げるための足元のスペースが配慮されていない。(屋根用の梁が足場の邪魔になる)
● 安全帯のフックを掛ける場所がない。(タンク屋根外周の手すりは遠すぎる)
今回の出入り口のふた(詳細な情報は不詳)についても、長年問題なくやってきたという考えでなく、安全の視点から見直すのがよいと思う。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Hokkaido-np.co.jp, でんぷん工場で男性1人死亡 美幌, October
04, 2020
・Htb.co.jp,でんぷん工場のタンクに転落か 男性作業員が死亡, October
04, 2020
・News24.jp, 美幌で作業事故 1人死亡,
October 04, 2020
後 記: 今回の事故は「でんぷん工場のタンクで死亡」という一報から気になり、調べました。しかし、北海道の中でも札幌から遠い美幌町のことなのでしょうか、事故の状況はほとんど分かりませんでした。また、事故の起こったでんぷん工場の製造工程も分かりませんでした。じゃがいもではありませんが、さつまいものでんぷん製造工程がわかったので、これから類推することにしました。タンクというので、円筒タンクを想像していましたが、どうやら角形貯槽ではないかと思うようになりました。
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