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2026年4月15日水曜日

パナマの石油貯蔵施設でタンクローリー大規模火災、高架道路に炎、死傷者5名

 今回は、202646日(月)、パナマの首都パナマシティにあるパナマ・オイル・ターミナルズ社(POTSA)のバルボア石油貯蔵施設において燃料を受入れていたタンクローリーが火災となり、近くにいた2台のタンクローリーに燃え移って爆発的燃焼が起こり、死傷者5名を出した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、パナマ(Panama)の首都パナマシティ(Panama City)にあるパナマ・オイル・ターミナルズ社(POTSA)のバルボア石油貯蔵施設(Balboa oil tank facility )である。バルボア石油貯蔵施設は、パナマ運河の太平洋側入口にあるアメリカ橋(Bridge of the Americas)の下にある貯蔵施設である。

■ 事故があったのは、バルボア石油貯蔵施設内にあったタンクローリーである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 202646日(月)午後4時頃、バルボア石油貯蔵施設で燃料を受入れていたタンクローリーが火災になった。

■ 火災は近くにいた2台のタンクローリーに燃え移って爆発的燃焼が起こり、濃い黒煙がパナマ運河の太平洋側の入り口付近に立ち込めた。

■ 爆発的燃焼はアメリカ橋に通ずる高架道路の下で起こったので、火炎が道路の上空まで立ち昇った。当時、高架道路の上は交通が流れており、トラックを含む複数の車両がファイアボールのすぐそばを通過していった。

■ 世界で最も重要な航路の一つであるパナマ運河付近で発生した爆発的燃焼により、パナマ市はパニックに陥った。濃い煙、高く燃え上がる炎やファイアボールが一帯を混乱の渦に巻き込んだ。

■ 事故が重要なパナマ運河に近いことから、安全上の懸念を引き起こした。当局は交通を遮断し、緊急対応を開始せざるを得なかった。

■ 発災にともない、消防隊が出動し、少なくとも5台の緊急車両が現場に派遣された。

■ 橋を巻き込んだ火災・爆発の瞬間は、パナマ交通情報の監視カメラがとらえていた。この映像はユーチューブなどのSNS(ソーシャルネットワークシステム)を通じて伝えられた。

 インターネット上で拡散されている動画には、高架道路のすぐそばで大きなファイアボールが噴き出している瞬間が捉えられていた。映像には、橋の上を車が走行する中、近くで炎が空高く立ち昇る様子が映っていた。車の運転手たちは火炎から逃れようと急いで通り過ぎようとする様子が見られた。この衝撃的な映像はまたたく間に注目を集め、事故の大きさを浮き彫りにした。

■ 当局は、流される動画の中には独自に検証されていないものもあると警告し、国民に対し公式発表を信頼するよう促した。

■ 当局によると、火災は石油貯蔵エリアに延焼しそうになり、消防隊や付近の交通にとってより危険な状況となった。

■ 当局は、炎にさらされた高架道路の構造物の安全性を確認するため、アメリカ橋を一時的に閉鎖した。消防隊員と安全専門家が検査を行い、高架道路の構造が車両にとって安全であるかどうかを確認する。当局は、技術者による安全点検が完了するまで通行止めを継続すると述べた。この橋は、地域交通と国際貿易において極めて重要な役割を果たしている。世界で最も通行量の多いパナマ運河付近において主要な道路網と接続し、大型車両の通行を支えている。

46日(月)夜遅くの時点で、被災地域に閉じ込められている可能性のある1名の捜索活動が続けられた。

■ 事故にともない、タンクローリーの運転手ひとりが死亡しているのが確認された。このほかに4名の負傷者が出た。負傷者は、民間人2名が2度の火傷を負い、現場で手当てを受けたほか、消防士2名が1度と2度の火傷を負い、治療のため病院に搬送された。

■ フェースブックなどでは、爆発的燃焼の火災映像を伝える動画が投稿されている。

 FacebookSeveral people were reportedly injured after a powerful 2026/04/07

 ●InstagramA powerful explosion rocked the Balboa oil tank facility near ..2026/04/07

 ●YoutubeMassive blast in fuel tanker shakes Panama City - Several people are injured, killed2026/04/07

被 害

■ タンクローリーが3台焼損した。

■ 5名の死傷者が出た。内訳は死亡者1名、負傷者4名である。

■ アメリカ橋の高架道路が火炎で被災し、交通遮断した。

■ バルボア石油貯蔵施設の貯蔵タンクが延焼の恐れがあった。  

< 事故の原因 >

■ 事故の原因はタンクローリーが火災になったためであるが、火災の要因は分かっていない。

< 対 応 >

■ 消防隊は数時間にわたって消火活動を行い、ようやく鎮圧したが、冷却作業は継続されている。

■ 47日(火)も高架道路の状態を評価するための点検作業が行われたため、橋は車両通行止めとなった。火災現場付近の脚柱と桁は、火災による黒い煤で覆われていた。運河は航行可能であり、7日(火)朝も船はアメリカ橋の下を航行していた。

■ 石油貯蔵施設をこれほど重要な輸送インフラストラクチャーのすぐ近くに設置することが、本当に最適なのかどうかという意見が出されている。

■ パナマ消防局は、火災は完全に鎮火し、近隣の貯蔵タンクや橋梁構造物への延焼の恐れはないと発表した。

■ 捜査当局は、爆発の正確な原因究明を進めている。

■ パナマ運河庁は、今回の事故により運河の航行に影響はなかったことを確認した。

■ 412日(日)、メディアの中には、今回の事故に鑑み、つぎのように指摘しているところがある。

「パナマは重要インフラストラクチャーが機能不全に陥った際の対応体制を強化する必要がある。最近のアメリカ橋をめぐる事故で深刻な弱点が露呈した。懸念の中心は、基幹システムが混乱した際に、公的機関と民間機関がどのように連携するかという点にある。今回の事故では、重要なインフラストラクチャーに影響を与える危機において、国家機関と民間企業がどのように協力すべきかを明確に定めた規則が無かった。

■ 今回の事故は、世界で最も厳重に監視されている海上交通の要衝の一つに隣接していることから、海運市場の注目を集めた。パナマ運河は世界の海上貿易の約35%を担っており、その航路で何らかの混乱が生じれば、アジア、南北アメリカ、ヨーロッパを結ぶ複数の貿易ルートにおける船舶の運航スケジュール、燃料供給、運賃に影響を及ぼす可能性がある。

補 足

■「パナマ」(Panama)は、正式にはパナマ共和国で、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の境に位置し、人口約431万人の共和制国家である。北西にコスタリカ、南東にコロンビアに接し、北はカリブ海、南は太平洋に面している。

「パナマシティ」(Panama City)は、パナマの首都で、人口約88万人の都市である。国の政治、経済、文化の中心だけではなく、中米有数の世界都市でもあり、中米有数の金融センターとして世界各国の銀行が進出している。旧市街地はパナマ歴史地区として世界文化遺産に登録され、多くの観光客を集めている。

■「バルボア石油貯蔵施設」(Balboa oil tank facility)は、パナマ・オイル・ターミナルズ社(POTSA)が運営している独立系の地域ターミナル会社である。パナマ運河の太平洋側入口に位置し、ターミナルは3つの施設で構成されており、バルボア港の海上施設には2つの専用桟橋があり、2つのタンク貯蔵所は合計150万バレル(246,000KL)の容量を保有している。これらのタンクは1945年に建設されたものがあり、現在適用される安全基準とは異なる基準だという。タンクの中には、外側をコンクリート製外壁で囲んでいるタンクも見られる。

■「アメリカ橋」(Bridge of the Americas)は、パナマ運河の太平洋側入口にあり、パンアメリカンハイウェイ沿いに南北アメリカ大陸を結ぶ重要な陸路である。

所 感

■ 何事もなければ、ごく一般的な石油貯蔵施設であっただろう。しかし、今回の事故が起こり、監視カメラの映像を見ると、よく車両の事故や貯蔵タンクへの延焼が無かったのが、幸運だったと思える石油貯蔵施設の立地だと感じざるを得ない。世の中の出来事には、人の想像力を越えるような事故がありうるといえる。

■ 日本ではタンクローリーの事故や火災は滅多にないが、海外ではタンクローリーの事故は多い。しかし、今回のようにタンクローリーが火災になり、ほかに2台のタンクローリーに延焼するという火災事故は聞いたことはない。今回の爆発的な火災がどの時点で起こったか分からないが、タンクローリーの安全管理の点で問題があったと思われる。

 タンクローリーの火災事故は基本的にこのブログの対象にしていないが、過去に大きな事故はブログで紹介した。主なものはつぎのとおりである。

 ●「米国テキサス州でタンク爆発? 実はタンクローリーが爆発、死傷者2名」20191月)

 ●「イタリアの高速道路で渋滞中、タンクローリーが突っ込み爆発、死傷者72名」 20188月)

 ●「イタリアの高速道路でLPGタンクローリーが爆発」 20261月)


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    News18.com,  Fuel Tanker Blast Near Panama Canal Bridge Injures Several, One Missing | Video,  April  07,  2026

    Breakbulk.news.com, Fuel Tanker Explosion at Panama Canal’s Pacific Gate Injures Four, Bridge Briefly Closed,  April  07,  2026

    Threads.com, Se reportó la explosión de un camión cisterna ..,  April  07,  2026

    Sundayguardianlive.com, Panama Explosion: Massive Fuel Tanker Explosion Near Panama Canal Bridge Sparks Huge Fireball, Forces Closure of Bridge of the Americas | Watch,  April  07,  2026

    Newsroompanama.com, Infrastructure Failure Exposes Gaps: APEDE Calls for Stronger Crisis Planning,  April  12,  2026

    Dailykos.com, Fireball from Tanker Truck Explosion Engulfs Bridge of the Americas over Panama Canal Monday,  April  08,  2026

    Maritime-executive.com, Tanker Truck Blast Closes Bridge Over Panama Canal,  April  06,  2026

    Prensa.com, Fuego bajo el puente de las Américas enciende alarmas sobre seguridad y controles,  April  09,  2026

    Laverdadpa.com, Especialistas de Estados Unidos evalúan puente y Gobierno analiza reubicar tanques de combustible,  April  09,  2026


後 記: 今回、初めてパナマの事故を紹介しました。パナマ運河で有名で南北アメリカ大陸を結ぶ中央アメリカの国ですが、パナマという国はなじみがありませんでした。歴史から公用語はスペイン語です。報道の自由度ランキング(2025年)は53位で、日本の66位より上です。今回の事例でいえば、文字よりユーチューブやインスタグラムなどのSNS(ソーシャルネットワークシステム)による映像が主流でした。爆発的火災の映像は鮮烈な印象があり、言葉では表現できません。しかし、一旦落ち着いてからタンクローリーの安全管理や石油貯蔵施設の立地に関するコメントが現れ始め、報道の自由度は感じました。どのような相関になるのか分かりませんが、今回の事故の背景にアメリカ・イスラエルーイランの戦争によってパナマ運河の通行量が増加したために起こったという風評もあるようですが・・・

2026年4月8日水曜日

米国メリーランド州の温室施設で温水タンクが破裂、死傷者3名

 今回は、2026320日(金)、米国メリーランド州キャロル郡キーマーにあるカトクティン・マウンテン・グローワー社の温室施設で大型の温水(貯蔵)タンクが破裂して、3名の死傷者を出した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国メリーランド州(Maryland)キャロル郡(Carroll)キーマー(Keymar)にあるカトクティン・マウンテン・グローワー社(Catoctin Mountain Growers)の温室施設である。

■ 事故があったのは、シックス・ブリッジ通り8000番地付近にある温室施設内の大型の温水(貯蔵)タンクである。


<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026320日(金)午後5時頃、キャロル郡の温室施設で爆発があり、建物などに被害が出た。

 発災の通報にともない、キャロル郡の保安官と消防隊が現場に出動した。

■ 当初、ボイラーが爆発したという通報だったが、消防隊員らは、建物の一部が倒壊するなど広範囲にわたる被害を確認した。また、横転した車両が瓦礫に絡まっていた。

■ 関係機関は、事故が爆発ではなく、温水タンクが破裂し、82℃の温水が大量に周辺に流出したことを突き止めた。

■ 事故にともない、負傷者が出た。負傷した3人は温水施設の従業員だという。消防局によると、65歳の男性が重傷を負い、火傷専門治療センターに空路搬送された。他のふたりも火傷を負い、ひとりは病院へ搬送された。当局は施設内にいた全員の所在と安否を確認したという。

■ ユーチューブなどでは、事故のニュースを伝える動画が投稿されている。

 YoutubeThree injured after hot-water tank rupture collapses Carroll County greenhouse2026/03/21

 ●YoutubeInjuries reported after hot-water holding tank ruptures at・・・」2026/03/21

被 害

■ 温室施設の温水(貯蔵)タンクが破裂したほか、建物の一部が損壊した。

■ 死傷者3名が被災した。内訳は死亡1名、負傷者2名である。

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は調査中である。

< 対 応 >

■ 当局は貯水タンクが破裂した原因を調査している。

■ 重傷だった65歳の男性は事故から3日後に亡くなった。この男性はカトクティン・マウンテン・グローワー社の創業者でありオーナーだった。

補 足

■「メリーランド州」(Maryland)は、米国の中部大西洋岸に位置し、人口約625万人の州である。メリーランド州の州都はアナポリス、州内で最も人口の多い都市はボルチモアである。メリーランド州は、首都ワシントンDCに近いことと、製造業、小売サービス業、情報技術、医療、バイオテクノロジーなどにまたがる多様な経済のおかげで高い世帯所得を有している。

「キャロル郡」(Carroll)は、メリーランド州の北部中央に位置し、人口約17万人の郡である。

「キーマー」(Keymar)は、キャロル郡の東部に位置し、非法人地域である。

■「カトクティン・マウンテン・グローワー社」(Catoctin Mountain Growers)は、1985年に設立した家族経営の商業用温室を営む会社組織で、15エーカー(60,700㎡)の敷地を保有している。春咲きの一年草、秋咲きの菊や一年草、ポインセチアなどを栽培している。

■「発災タンク」は、大型の温水(貯蔵)タンクと報じられているが、構造や仕様などは分かっていない。温水タンクの例を下記に示す。温水タンクが破裂する要因としては、内部の急激な圧力上昇、経年劣化、凍結による膨張などである。

 ● タンク内の過圧; タンク内の圧力を放出する安全弁が故障したり、入口弁を閉めて作動しなくなり、沸き上げ時の熱膨張で圧力が高まり続けて破裂する。または、温度を制御するサーモスタットが故障し、水が沸騰し続けて蒸気が発生、内部圧力が限界を超えて破裂する。

 ● 経年劣化; 長年使用してタンク本体が腐食して、通常時の圧力に耐えきれなくなって破裂する。

 ● 凍結による配管・タンクの破損; 冬の気温低下により、タンク内の水や配管内の水が凍って膨張し、タンク本体や配管が破裂する。 

所 感

■ 温水タンクが破裂して死傷者を出す事例を紹介するのは初めてである。どのような温水システムで、どのようなタンク構造をしていたかは明らかでないが、水のタンクであっても破裂することがありうるということを示す事例である。

 これまで紹介してきた水タンクの主な破裂事例は、つぎのとおりである。

 ●「消火用水タンクが破裂して死者2名の事故」20116月)

 ●「福岡県苅田町の工場で円筒形タンクの漏れ検査中に破裂、死傷者4名」20252月)

 ●「米国カリフォルニア州で飲料水用貯水タンクが爆発で噴き飛び、死傷者2名」 202310月)

■ 今回の被災写真の中には、消火用ホースが展張されている写真があるが、火災対応のためでなく、熱い温水が噴出したので、冷却のために使用されたのではないだろうか。事故の中には、予期しない対応が必要になるといえよう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Wbaltv.com, Injuries reported after hot-water holding tank ruptures at Carroll County greenhouse facility,  March 20,  2026

Msn.com, 65-year-old critically injured in boiler rupture at Catoctin Mountain Growers in Carroll County,  March 20,  2026

    Instagram.com,  Gardencentermag,  April 03,  2026

    Podcasts.apple.com, Hot Water Tank Rupture Critically Injures Man at Maryland Nursery,  March 21,  2026


後 記: 今回は温水タンクの破裂事故というので、調べることとしました。異質な事故なので、もう少し報道されて事故状況がわかるのではないかと思っていましたが、あにはからんや詳細はわかりませんでした。それにしても、温水タンクの破裂で建物が壊れたり、駐車していた車両がひっくり返っている被災写真をみると、かなりひどい破裂事故だったことがうかがい知れます。温室施設はお花の栽培をやっており、あまりにも落差のある状況だと感じます。温水タンクは付属施設ですし、温水タンクの近くにいたと思われる施設のオーナーが亡くなっていますので、原因の調査は難しいのではないでしょうか。

2026年3月31日火曜日

米国テキサス州の化学工場でプラント異常や操作不具合で火災、タンクが被災

 今回は、2026312日(木)、テキサス州ハリス郡パサデナにあるライオネルバセル社の化学工場で火災が発生して施設内にあったタンク2基が焼損したほかプラント内の配管などが被災し、大量のブタンなどが焼失した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、テキサス州(Texas)ハリス郡(Harris)パサデナ(Pasadena)にあるライオネルバセル社(LyondellBasell)の化学工場である。

■ 事故があったのは、ライオネルバセル社のベイポート・チョート(Bayport Choate)工場のプラントである。 ベイポート・チョート工場では、主にプロピレン(Propylene)とイソブタン(Isobutane)を主要な原料として、プロピレン・オキサイドやターシャリー・ブチル・アルコールなどを生産している。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026312日(木)午後9時頃、ライオネルバセル社ベイポート・チョート工場で火災が発生した。

■ 火災が起こる前に、ライオネルバセル社は、工場のプラントで異常が発生し、可燃性ガスを安全に燃焼させるフレアスタック設備を使用することとした。このフレアは大規模になるため、住民が明るい炎や轟音を目にする可能性があるとして、複数の地域の住民へ注意喚起の連絡を出した。

■ ライオネルバセル社は、当初、この出来事を“フレアリング” と呼ぶ自己申告による地域向けのメッセージを発信したが、近隣住民はそれが事実でないことに気づいた。各所から火災ではないのかという連絡があったが、ライオネルバセル社はフレアリングの炎と回答していた。

■ 実際には、操業上の不具合が発生して可燃性ガスが放出し、フレアスタックのパイロットランプによって引火して火災になっていた。別な報道としては、フレア設備が破裂したか、あるいはフレア自体が熱くなり過ぎて激しく燃え上がり、火炎が配管に燃え移り、火災になっていたという。

■ 火災発生の目撃者によると、激しい火災が工場の燃料タンクで起こり、大きな爆発が発生したという。

■ ライオネルバセル社は、消火・災害対応チームが出動した。一方、発災にともない、公的消防の消防隊が出動し、ハズマット隊(HAZMAT)が現場へ到着した。

■ 夜間、工場から煙と炎が上がっているのが見え、近隣住民の間で懸念が広がった。午後942分、当局は、火災が起きて炎とともに大きな煙の柱が出ているということをソーシャルメディアに投稿した。

■ テキサス州環境品質委員会(TCEQ)は、工場の敷地境界線沿いで大気モニタリングを実施している。

■ ハリス郡は、消防隊員が化学物質の混合物を放出しているバルブを閉じる作業を続けていると述べた。

■ 工場施設からは夜通し激しい炎が上がっているのが目撃された。火災は夜間にわたって燃え続け、炎と濃い煙は数マイル離れた場所からも確認できた。

■ ハリス郡汚染管理局は、施設周辺地域で大気汚染のモニタリングを実施した。 「現時点で、対策が必要な数値は検出されていません」と発表し、「住民の人たちは空に大量の煙が立ち昇っていることを心配されるのは当然ですが、燃焼している化学物質は地域社会に脅威を与えるものではありません」と述べた。

■ 312日(木)午後11時過ぎ、ライオネルバセル社は、 「現時点で地域社会への対応は必要ありません」と発表した。

■ 313日(金)午前0時過ぎ、ライオネルバセル社は、今回の出来事を火災と呼ぶメッセージを出し、火災は312日(木)夜に施設内で発生した操業上の混乱が原因で発生したという。

■ 消防署は、施設内のタンク2基が炎上したが、負傷者は報告されていないと述べた。

■ ユーチューブでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

  YoutubeUnauthorized contaminants released from LyondellBassell plant at least 36 times, TCEQ says2026/03/16

  ●YoutubeQuestions After at LyondellBasell Chemical Plant Fire in Pasadena2026/03/14

  ●YoutubeFire at LyondellBasell‘s Bayport Choate site extinguished, officials say2026/03/14

被 害

■ 施設内にあったタンク2基が焼損したほか、プラント内の配管などが被災した。内部にあったブタンなどの石油が焼失した。 

■ 負傷者はいなかった。

■ 火災によって大気環境が汚染された。避難指示は出なかったが、住民に心配をかけた。

< 事故の原因 >

■ 事故原因は調査中であるが、火災は312日(木)夜に施設内で発生した操業上の混乱が要因で発生した。

 火災が起こる前に、ライオネルバセル社は、工場のプラントで異常が発生し、可燃性ガスを安全に燃焼させるフレアスタック設備を使用することとした。しかし、操業上の不具合が発生して可燃性ガスが放出し、フレアスタックのパイロットランプによって引火して火災になったか、あるいは、フレア設備が破裂したり、またはフレア自体が熱くなり過ぎて激しく燃え上がり、火炎が配管に燃え移り、火災になったのではないかとみられる。

< 対 応 >

■ 313日(金)午前630分頃、当局は主な火災は制圧したが、施設内では引き続き火災活動が予想されると発表した。

■ 313日(金)午前830分頃、監視ドローンで再び施設上空を飛行したところ、工場の施設内から小さな炎が上がっているのが確認された。

■ 313日(金)、ライオネルバセル社は、火災が午前2時に制圧され、全従業員の安全が確認するとともに、事故ともなう負傷者はいなかったと発表した。また、自衛消防隊は、チャンネル産業協同組合(Channel Industries Mutual AidCIMA)および公設消防の支援を受けたという。 注;CIMAは、ヒューストン圏内の石油精製・石油化学業界において消防業務および危険物取扱いを専門とする非営利団体である。

■ テキサス州環境品質委員会(TCEQ)は、ライオネルバセル社と連絡を取り合っており、今回の事故について調査を行うと語った。

■ 記録によると、テキサス州環境品質委員会(TCEQ)は、昨年発生した排出事故に関して、ライオネルバセル社のベイポート・チョート施設を以前から調査している。テキサス州環境品質委員会の記録によれば、ベイポート・チョートの施設では、過去5年間に36件の無許可の大気汚染物質の放出事例を発生させており、139,000ドル(約2,200万円)の罰金を科されている。この施設では、昨年、大気汚染物質を放出された事案が7件発生しており、このうち6件は現在も捜査中であるという。

■ 2026319日(木)、大気環境保全団体のエア・アライアンス・ヒューストン(Air Alliance Houston)は、地元自治体や企業の関係者が事故発生時に懸念されるような大気汚染問題はなかったと言っていたが、夜間の風向き、地域の大気モニタリング、企業自身の排出量報告書の分析からより包括的な詳細が明らかになったと発表した。エア・アライアンス・ヒューストンは、地域最大のコミュニティ大気監視ネットワークを運営しており、10以上の地域に60個を超す低コストの固定式大気センサーを設置し、10分ごとに大気質データを取得して公開している。

 ●火災発生期間(午後10時~午前6時)中、風はパサデナの北東方向へ吹く傾向にあった。これは、火災による大気汚染物質が工場から離れてベイトンの東部地域へと拡散したことを意味する。 

 ●実際、エア・アライアンス・ヒューストンがベイタウンに設置した地域大気監視装置も、火災発生と同時期に粒子状物質汚染の急増を検知していた。

 ●施設が提出した予備報告書によると、火災により24時間で23,172ポンド(10,510㎏)の大気汚染物質が放出された。これらの汚染物質は主にブタン、一酸化炭素、窒素酸化物、プロピレン、アセトンなどであり、下の図に示す。これらの化学物質はすべて呼吸器系の刺激、頭痛、吐き気などさまざまな健康被害を引き起こす可能性がある。

 地域大気モニタリングプログラムマネージャーは、「だからこそ、地域モニタリングが非常に重要なのです。ベイポート・チョート工場で発生したような事故の影響をより包括的に把握するのに役立ちます。火災の風下側に住む人達が、現場の近くに住んでいた人たちと同じくらい火災の影響を受けた可能性は十分にあります」と述べている。


補 足

■「米国テキサス州」(Texas)は、米国南部にあってメキシコ湾岸に面し、メキシコと国境を接する人口約3,170万人の州である。

「ハリス郡」(Harris)は、テキサス州の南東部に位置し、人口約473万人の郡である。郡庁所在地はヒューストンである。

「パサデナ」(Pasadena)は、ハリス郡の南部に位置し、人口は約15万人の都市であり、ヒューストン都市圏に入っている。

■「ライオネルバセル社」(Lyondell Basell)は、オランダで設立された米国の多国籍化学会社で、米国本社はテキサス州ヒューストンにある。2007年、オランダのバセル社が米国のライオネル社と合併して設立された独立系化学メーカーである。液体・気体の炭化水素原料をプラスチック樹脂などに変える大規模処理プラントを運営している。同社はポリエチレンとポリプロピレン技術の最大のライセンサーであり、エチレン、プロピレン、ポリオレフィン、オキシ燃料なども製造している。

■「発災タンク」は、燃料タンクあるいは大型タンクと報じられているが、詳細仕様はわからない。被災写真を見ると、化学プラント施設内の設備と思われるので、円筒式固定屋根型タンクではなく、プラントの圧力容器型のタンクではないだろうか。

所 感

■ 被災があったのは貯蔵タンクではなく、プラントの圧力容器(タンク)ではないかと思われる。

 発災の要因は、工場のプラントで異常が発生し、可燃性ガスを安全に燃焼させるフレアスタック設備を使用することとしたが、操業上の不具合が発生して可燃性ガスが放出し、フレアスタックによって火災が起きたのではないかと報じられている。大量のブタンをフレアで燃焼させているだが、このフレア燃焼(フレアリング)はプラントを停止させる際に常に行われている操作である。今回、火災に至っているが、たまたまというより、いつかは今回のような火災になるのではなかっただろうかと思わせる工場の安全意識である。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、今回の火災の燃料源は空気より軽いブタン系であり、消火させるのではなく、冷却作業を主体とする防御的戦略をとったものとみられる。

“消防隊員が化学物質の混合物を放出しているバルブを閉じる作業を続けている”というのが、適切な対応である。 312日(木)午後9時頃に発災し、翌13日(金)午前630分頃に火災を制圧したというので9時間を超える燃焼時間であり、バルブを閉じ、燃え尽きるまでに時間がかかっている。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Abc13.com,  Fire chemical plant in Pasadena contained; emergency officials say cause of incident unknown,  March 14,  2026

    Reuters.com,  LyondellBasell says fire contained at Texas chemical plant,  March 13,  2026

    Houstonpublicmedia.org, Emergency crews, pollution control respond to fire at Pasadena chemical plant,  March 13,  2026

    Inspectioneering.com, Fire Breaks Out at LyondellBasell Plant in Pasadena, TX; No Injuries Reported,  March 13,  2026

    Airalliancehouston.org, UPDATED 3/19/26 – Air Alliance Houston Statement on the LyondellBasell Plant Fire in Pasadena, Texas, “What the Wind Tells Us”,  March 19,  2026

    Fox26houston.com, LyondellBasell industrial fire out in Pasadena; no air quality concerns reported,  March 19,  2026

    Click2houston.com, Fire at LyondellBasell chemical plant in Pasadena extinguished; air monitoring shows no danger to public,  March 13,  2026

    Bicmagazine.com, Flames shoot into sky after fire at Pasadena chemical plant,  March 13,  2026

    Arnolditkin.com, LyondellBasell Fire at Bayport Choate Plant in Pasadena, Texas,  March 12,  2026

    Cw39.com, TCEQ to investigate fire at Lyondell Basell’s Pasadena site,  March 15,  2026

    Aol.com, Fire chemical plant in Pasadena contained; emergency officials say cause of incident unknown,  March 14,  2026


後 記: 今回の事例はプラントの火災ですが、被災に2基のタンクという情報から調べることとしました。事故の経緯は分かりましたが、肝心の被災したタンクについては報じられておらず、大きさなどの仕様は分かりませんでした。

 ところで、地元の徳山港で昨年9月に直径40cm×長さ120cmの不発弾が見つかり、先週の325日に海上自衛隊が水中で爆破させたというニュースがありました。午前11時過ぎに爆破させましたが、場所が出光興産の桟橋に近く、防護対策として水中で気泡を発生させて爆破の影響を緩和させるバブルカーテンという方法を国内で初めて採用しています。当時私は自宅におり、家が一瞬揺れました。「地震!」と思いましたが、不発弾処理の話は聞いていたので、爆破させたのだと理解しました。現場は終戦まで海軍燃料廠があり、米軍による空襲があっています。徳山海軍燃料廠の爆撃跡の写真は、20186月のブログ「米国コロラド州のタンク施設で落雷による火災」の後記に載せています。


2026年3月21日土曜日

アラブ首長国連邦(UAE)のシャルジャ首長国で石油タンクが漏洩して火災

 今回は、2026314日(土)、アラブ首長国連邦(UAE)のシャルジャ首長国のシャルジャ市にある工業地区の石油貯蔵タンクが火災になった事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、アラブ首長国連邦(United Arab EmiratesUAE)シャルジャ首長国(Sharjah)のシャルジャ市アル・サジャア工業地区(Al Sajaa)にある石油貯蔵施設である。

■ 事故があったのは、アル・サジャア工業地区の石油貯蔵タンクである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026314日(土)午後9時頃、アル・サジャア工業地区にある石油貯蔵タンクを含む施設で火災が発生した。火災はタンクの一つから発生し、炎が燃え広がった。

■ 首長国の民間防衛当局によると、この事故は1基のタンクの漏洩が要因だった。

■ 消防隊は午後9時頃に通報を受け、直ちに現場に駆けつけ、定められた手順に従って消火活動と冷却作業を開始した。可燃性の高い石油系物質の取扱いに関する手順と基準に従った。

■ 現場報告によると、消防隊が記録的な速さで対応し、火災がタンクや隣接する倉庫に延焼するのを防いだ。

■ 事故にともなう死傷者はいなかった。

■ ユーチューブでは、石油タンクの火災のニュースを伝える動画が投稿されているが、文字のみで画像はない。

 Youtubeالشارقة: السيطرة على حريق بمنشأة صهاريج بترولية في الصجعة ...2026/03/14

被 害

■ 石油タンクが火災で損傷した。

■ 死傷者はいなかった。  

< 事故の原因 >

■ 発災要因はタンク1基からの漏洩である。漏洩の部位や原因はわからない。

< 対 応 >

■ 消防隊は、発生した火災を鎮火した。

■ 当局によると、消防隊は現場に留まり、封じ込め措置を継続した。

■ 専門機関が事件の原因究明のための調査を開始する予定である。

補 足

■「アラブ首長国連邦」(アラブしゅちょうこくれんぽう、 United Arab EmiratesUAE は、中東に位置し、7つの首長国からなる連邦制国家で、人口は約11,000万人である。首都はアブダビ市で、公用語はアラビア語である。アラブ首長国連邦はアラビア半島のペルシャ湾南岸でオマーン湾西岸にあり、対岸のイランと向かい合う。東部ではオマーンと、南部および西部ではサウジアラビアと陸上国境を接する。カタールとは国境を接していないが、カタールとの間のサウジアラビアの一部地域の領有権をめぐる論争が発生している。

「シャルジャ首長国」 (Sharjah) は、アラブ首長国連邦の7つある首長国のひとつで、人口約180万人の国である。

「シャルジャ市」は、ペルシャ湾に臨み、シャルジャ首長国の首都で人口約80万人の市である。アラブ首長国連邦ではドバイ、アブダビ市に次ぐ第3の都市である。

■「発災タンク」は、アル・サジャア工業地区にある石油貯蔵タンクという記事だけで、タンクの大きさなどは報じられていない。アル・サジャアをグーグルマップで調べると、小型のタンクは見られるが、いわゆる石油貯蔵所(油槽所)というような規模の大きい石油タンク群ではないとみられる。アル・サジャアにある石油貯蔵タンクの一例を示す。

所 感

■ 最近、米国・イスラエルーイランの戦争で中東の石油施設が攻撃対象になっているが、シャルジャ首長国の石油貯蔵タンクが漏洩によって火災になったというメディア情報を知った。シャルジャ首長国はどこにあるのか疑問になり、調べることとした。

 結果はブログで書いたとおりで、事故内容の詳細は分からなかったし、被災写真も無かった。。これが米国・イスラエルーイラン戦争で中東諸国が巻き込まれている影響の所為なのか、アラブ首長国連邦の国情なのかどうか分からない。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

Timesofindia.indiatimes.com, Another fire hits Gulf energy infrastructure: Sharjah petroleum storage blaze ignites security feas amid Iran vs US-Israel war,  March 15,  2026

 ・Khaleejtimes.com, استجابة سريعة تخمد حريقاً فيصناعية الصجعةبالشارقة, March 15,  2026

    Ajel.sa, حكومة الشارقة بالإمارات تسيطر على حريق في منشأة تحتوي على خزانات بترولية, March 15,  2026

    Arabic.rt.com,   اندلاع حريق في منشأة تخزين نفط في الشارقة بالإمارات, March 14,  2026

    Alqudsalarabi.co.uk, مسؤولون: حريق عرضي في منشأة تخزين نفط في الشارقة بالإمارات, March 14,  2026

    Royanews.tv, دفاع مدني الشارقة يسيطر على حريق في منشأة لصهاريج البترول بمنطقة الصجعة, March 15,  2026


後 記: 先週、後記で“イランの事故報道については以前から疲れる内容が少なくなく、今回のイランの報道記事は比べ物にならないほど内容のはっきりしないものでした” と書きましたが、もっと内容の薄い報道記事がありました。紹介しようと思ったのは、シャルジャ首長国がどこにあるのかということです。というより、私自身、どこにあるのか分からなかったので、調べてみることにしたのがきっかけです。今回の事例はメディアの取材にとって午後9時という時間帯も悪かったですね。 しかし、アラブ首長国連邦は「報道の自由度ランキング2025年版」で180か国中164位ですからもともと報道に関して自由度はなかったようです。一方、近年、各地で戦争や争いが増えてきて、報道の自由度が低下してきているのは憂うべきことですね。

2026年3月16日月曜日

イランのテヘラン周辺で複数の石油貯蔵所がイスラエルの空爆で火災

 今回は、米国とイスラエルによるイランへの共同攻撃が228日(土)に始まり、1週間にわたりイランの軍事・安全保障インフラストラクチャを破壊したが、202637日(土)夜、テヘラン周辺の複数の石油貯蔵所がイスラエル空軍によって空爆された事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、イラン(正式にはイラン・イスラム共和国)テヘラン周辺の石油貯蔵所である。

■ 事故があったのは、石油貯蔵所にある石油タンクである。

■ 米国とイスラエルによるイランへの共同攻撃は、2026年228日(土)に始まり、ハメネイ師と軍の上級司令官を標的とし、1週間にわたりイランの軍事・安全保障インフラストラクチャを破壊している。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 202637日(土)夜、イランの首都テヘラン周辺では、規模の大きい石油貯蔵所の爆発による炎と煙に包まれた。発災施設は、テヘラン北西部のシャーラン石油貯蔵所、陸軍石油貯蔵所として知られるアクダシー石油貯蔵所、シャーレ・レイ石油貯蔵所、コハク石油貯蔵所、テヘランに隣接するカラジュ市のファルディス石油貯蔵所と報じられている。

 テヘランの西方にあるカラジュ市の住民のひとりは、「最初は赤い光があたりを照らし、その後に風圧が来てドアが揺れました」といい、「その後、空が再び明るくなり、巨大な赤い雲が現れました。何が起こっているのか分かりませんでした」と語ったが、自宅の屋根に上がったところ、地元の石油貯蔵所が燃えているのを見たと付け加えた。

■ テヘランの石油貯蔵所3か所と、テヘラン西部のカラジ市にある石油貯蔵所1か所をイスラエルが攻撃し、テヘランの北東部、南部、西部から大量の煙が上がるのが目撃された。

■ テヘラン市内の北部タジリシュ地区にあるアグダシー石油貯蔵所では、オレンジ色の炎が燃え上がり、煙が噴き出す様子が見られた。

■ シャーレ・レイ石油貯蔵所はテヘラン製油所の隣にあるが、製油所は被害を受けていないという。 

■ 38日(日)朝、イスラエルは、イラン全土のインフラストラクチャに対して空軍が一連の攻撃を開始したと発表した。これに関して、イスラエルは、テヘランにあるイランの軍隊が使用する燃料タンクを標的にしたという。イスラエル軍によれば、イラン軍がこれらの燃料タンクを直接的に繰返し使用して軍の補給所を運営し、それを通じてイラン国内の軍事機関を含むさまざまな消費者に燃料を輸送していると言っている。

■ ユーチューブなどでは、石油貯蔵所とみられる火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 Youtube Iran's Largest Oil Depot Goes Up In Flames After Israeli Jet Lock In Tehran From East, West & South2026/03/08

 ●Edition.cnn.comTehran’s Shahran oil depot on fire2026/03/08

 ●FacebookHUGE FIRE IN FUEL DEPOT in Iran Eyewitness footage2026/03/08

 ●Facebookצהל פתח הערב במתקפה על אתרי הנפט הלאומיים של איראןלראשונה2026/03/08

被 害

■ テヘランとカラジュにある複数の石油貯蔵所が被害を受けた。被害タンク数はわからない。

■ 石油タンクの火災(黒煙)によって大気環境が悪化した。このため住民に自宅待機が要請された。  

< 事故の原因 >

■ 原因は、テロによる“故意の過失”でなく、戦争時の攻撃によるものである。 

< 対 応 >

■ イラン当局は、テヘランの空気の質を監視しており、住民に自宅待機を要請した。

■ イラン外務省は、攻撃により「有害・有毒物質が大気中に放出された」といい、「大規模な人命の危険にさらされている」と述べた。

■ 38日(日)昼、住民によると、煙の雲はイランの首都を覆い尽くし、正午なのに午後10時くらいに感じられたという。煙のせいで家から出られなくなり、家の中で呼吸するのもやっとだったといい、「頭痛がして家で座っています。口の中が苦いです」と語った。また別な住民は、「ひどい状況です」といい、雨が降って煙が薄くなった後も、「まだ煙の臭いがする」と語った。

■ 爆発によって空中に噴き出した油は、降雨に加え、車や人々に降り注いだ。市内シャーラン地区の道路では、大通りの側溝に油が流れ出ていた。

■ テヘランで石油タンクの火災と爆発が相次いでいることを受け、イランの環境保護機構(EPA)は38日(日)に声明を発表し、首都テヘランの大気汚染レベルが上昇していると警告した。環境保護機構(EPA) は、石油貯蔵所への最近の攻撃によって生じた有毒化合物の流入が、市民の呼吸器系疾患を危険な状態に陥らせていると述べた。

■ イラン国内で医療・救護活動を行う人道支援団体であるイラン赤新月社(IRCS)は、爆発によって炭化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物が大気中に放出されたと警告を発した。これらの物質が降下すると、腐食性の高い酸性雨を引き起こす可能性がある。この雨は、皮膚への化学火傷や呼吸器系への深刻な損傷を引き起こす危険性があるという。

■ 環境保護団体は、「広範囲にわたる石油タンクの空爆と、火災の黒煙層の下にテヘランがあるような状況は、明らかに環境犯罪です」といい、「これは、罪のない人々や民間人の命を脅かす非人道的な行為であり、住民は戦争による危険な環境的影響に耐えなければなりません」と語った。

補 足

■「イラン」 (Iran)は、正式にはイラン・イスラム共和国で、西アジア・中東のイスラム共和制国家である。世界有数の石油産出国であり、人口は約9,175万人で、首都はテヘランである。公用語はペルシア語である。

「テヘラン」(Tehran)は、イランの北部に位置し、人口約870万人のイラン最大の都市で、首都である。

「カラジュ」(Karaj)は、テヘランの西20kmにあり、人口196万人の都市である。

 イランに関する過去の主なブログは、つぎのとおりである。

  ●「イランでサイバー攻撃が疑われる中、精油所でタンク火災」201610月)

  ●「イランのテヘランで石油施設に落雷後、タンク火災」20172月)

  ●「イランのハールク島にある石油化学でガソリンタンク火災」20218月)

  ●「イランの製油所でタンクローリーによるプラント内の石油タンクが火災、負傷8名」20237月)

  ●「イランの簡易製油所で15基のコンデンセートタンク等が火災・爆発、48時間燃焼」 202312月)

  ●「イランの港湾施設で化学物質コンテナが爆発、死者57人、負傷者1,566 人」20255月)

所 感

■ これまで無人航空機(ドローン)による石油タンクの被害についてはブログで紹介してきたが、戦争目的の空爆(おそらく戦闘機のミサイルなど)による石油タンクの火災についてはブログに取上げなかった。今回、米国・イスラエルによるイランの石油貯蔵所への空爆による攻撃があり、実態を調べてみることにした。

 しかし、予想していたとおり石油タンクの被害状況については分からなかった。ロシアーウクライナ戦争では少しは被害情報が報じられていたが、米国・イスラエルーイラン戦争では、夜空に爆発による火炎や黒煙が上がる動画や写真が報じられていただけだった。夜が明けても石油タンクの被害状況の記事は出てこなかった。

■ 石油タンクの被害状況が報じられていないので、消火活動の報道記事はまったく出てこなかった。事故ではなく、戦争時の攻撃によるものであるので、消火活動自体が再度の空爆による人命のリスクを考えれば、消火活動は行われなかっただろう。 


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Ir.voanews.com, تمرکز حملات اسرائیل بر زیرساخت‌ها و مخازن سوخت در هشتمین روز عملیات نظامی در ایران,  March 06,  2026

     Vista.ir,  واکنش رئیس سازمان محیط زیست به انفجار مخازن نفت,  March 09,  2026 

     Farsi.anf-news.com,  واکنش رئیس سازمان محیط زیست به انفجار مخازن نفتهشدار درباره باران‌های اسیدی در تهران پس از انفجار مخازن سوخ March 08,  2026

     Bbc.com, 'Night turned into day': Iranians tell of strikes on oil depots,  March 08,  2026

     Ft.com, Tehran residents warned of acid rain after oil storage attack,  March 08,  2026

     Nbcnews.com,  Toxic rain fell over Tehran as airstrikes hit oil facilities,  March 08,  2026 


後 記: 労多くして成果の薄い内容になってしまいました。まず、石油貯蔵所の場所がなかなか特定できず、結局、“コハク石油貯蔵所” はわかりませんでした。被害を受けた石油タンクの基数はわかりませんし、被害を受けた石油貯蔵所の数だって4か所と3か所と差異があり、何が真実なのかわかりません。戦争では、攻撃国と被害を受けた国では、戦果や被害について意図してうその発表をします。現代でいうフェーク・ニュースです。イランの事故報道については以前から疲れる内容が少なくないものでしたが、今回の報道記事は比べ物にならないほど内容のはっきりしないものでした。調べるのを途中でやめようかとも思いましたが、希薄な内容でまとめました。