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2026年10月15日木曜日

米国ミネソタ州でガソリンタンクの油抜出し作業中に爆発・火災、負傷1名

 今回は、2026年9月14日(月)、米国ミネソタ州ダルースにある燃料施設でガソリン貯蔵タンクの液抜出し作業中に爆発・火災となり、施設の従業員1名が負傷するという事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国ミネソタ州(Minnesota)ダルース(Duluth)のリンカーンパーク地区(Lincoln Park)にある石油会社のスーペリア・フューエル社(Superior Fuel)の燃料施設である。

■ 事故があったのは、ウェストスーペリア通りとカールトン通りの交差点近くにある燃料施設のガソリン貯蔵タンクである。タンクは、容量17,000ガロン(64KL)で、使用をやめており、撤去の予定だった。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026年9月14日(月)午後1時30分頃、スーペリア・フューエル社の燃料施設でガソリン貯蔵タンクが爆発し、火災となった。爆発によってタンク屋根が噴き飛んだ。

■ 爆発後、現場周辺では炎と黒煙が立ち昇るのが見られた。爆発現場の近くで働く住民のひとりは、「これまで経験したことのないような建物の揺れを感じました。音は落雷の100倍のように感じました」と語った。

■ 発災にともない、ダルース消防署の消防隊が出動した。リンカーンパーク消防署の消防隊員は、別の案件で出動していた任務を終えようとしていたところ、爆発音を聞き、煙を発見した。彼らは直ちに指令室に連絡して応援部隊を要請し、現場へ直行した。ダウンタウン、スピリットバレーなどの各消防署からも隊員が出動した。

■ 消防隊は、火災タンクの消火作業を行うとともに、隣接する2基のタンクの冷却作業を行った。隣接タンクへの延焼は免れ、近隣住民の大規模な避難は回避された。

■ ダルース警察は現場周辺の交通を遮断したが、避難命令は出さなかった。

■ ガソリンタンクは、爆発前にすでに使用されておらず、配管接続も切り離されており、撤去して別な新しい場所への移設準備が進められていたという。容量17,000ガロン(64KL)のガソリンタンクの液は残りわずかで、スーペリア・フューエル社の従業員2名がガソリンの最終的な抜出し作業を行っていた。爆発は、作業員2名がタンクから残燃料を抜出し、輸送の準備をしていた際に発生した。

■ 事故にともない、従業員2名のうちひとりが負傷した。負傷者は手に火傷を負い、病院に搬送され、治療を受けた。ダルース消防署とダルース警察署が現場周辺を捜索した結果、他に被害を受けた人はいないことが判明した。

■ スーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、ダルース消防署は同社の説明を裏付けておらず、爆発とそれに続く火災の原因を調査している。

■ ユーチューブなどでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 ●Youtube、「 UPDATE: Superior Fuel worker released from hospital after fuel tank explosion leads to fire in Du..」(2026/9/17)

 ●Facebook、「 New video of tank fire at Superior Fuel in Duluth‘s Lincoln Park.」 (2026/9/14)

 ●Facebook、 「 NEW DETAILS: We now know more about the explosion in Lincoln Park this morning that prompted a large emergency response and road」 (2026/9/14)

被 害

■ ガソリンタンク1基が焼損した。残液が焼失した。

■ 1名の負傷者が出た。 

< 事故の原因 >

■ 事故原因は、発災事業所のスーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、ダルース消防署は同社の説明を裏付けておらず、爆発とそれに続く火災の原因を調査している。

< 対 応 >

■ 火災は消防隊によって消された。

■ スーペリア・フューエル社社は事故当日の9月14日(月)午後遅くに営業を再開した。

補 足

■「ミネソタ州」(Minnesota)は、米国中西部の北に位置し、カナダに接しており、人口約570万人の州である。

「ダルース」(Duluth)は、ミネソタ州北東部に位置し、人口約86,000人の都市で、セントルイス郡の郡庁所在地である。ダルースは五大湖のひとつであるスペリオル湖の最西端に位置する港湾都市でもある。

■「スーペリア・フューエル社」(Superior Fuel)は、2006年に設立され、米国のミネソタ州やウィスコンシン州を中心に、一般住宅・商業・産業向けにエネルギーを供給している地域密着型の燃料供給会社である。

■「発災タンク」は、ガソリン用の容量17,000ガロン(64KL)で、事故時には液の抜取り作業中だった。グーグルマップで調べると、発災タンクは直径約3.3mであるので、高さは約7.4mである。タンク型式は、外観上、コーンルーフ型固定屋根型式である。通常、内液がガソリンの場合、内部浮き屋根式であるが、詳細はわからない。

所 感 

■ 事故原因は、発災事業所のスーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、これだけでは事故状況がわかりずらい。発災写真(標題の写真)を見ると、タンクローリーらしい車両があるので、タンク内の残留ガソリンはローリーに移送していたのだろう。残留ガソリンの抜出し方法を決めた事業所の安全管理の方法と実際の抜出しを行った従業員の作業安全の方法に問題があったことは間違いない。すでに撤去を終えたタンクもあり、いままでのやり方で大丈夫だったから今回も問題ないと考えがちだが、実際の現場の安全管理に抜けがあれば、事故に至るという事例だと思う。

■ 消火戦略には積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあり、火災タンクへの泡消火活動(積極的戦略)と隣接タンクへの冷却活動を行い、適切に鎮火させたとみられる。火災タンクの保有燃料の量が少なかったし、消防活動のしやすい場所だったため、状況としては比較的消火活動が容易だったと思われる。

備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     ・Duluthnewstribune.com, Fuel tank explodes near Lincoln Park neighborhood, September  14, 2026

     ・Duluthmn.gov, Explosion and fire on corner of W Superior Street and Carlton Street, September  14, 2026

     ・Northennewsnow.com, UPDATE: Superior Fuel worker released from hospital after fuel tank explosion leads to fire in Duluth, September  15, 2026

     ・Hazardexonthenet.net, US fuel tank explosion injures worker at Duluth transfer facility, September  22, 2026

     ・Gat.report, Worker injured in fuel storage tank explosion, Minnesota, September  14, 2026

     ・Fox21online.com, New information on fuel explosion in Lincoln Park, September  15, 2026

     ・98xrocks.com,  One Injured In Fuel Tank Explosion And Fire, September  15, 2026 

     ・Kare11.com,  1 hurt after explosion at Duluth fuel transfer facility, September  14, 2026

     ・Dailydispatchi.com, One injured, roads closed after fuel tank explosion leads to fire in Duluth, September  15, 2026 

後 記: タンクのメンテナンス工事中の事故では無く、タンクの油抜取り作業中の爆発・火災というめずらしい事例で、このブログでも扱ったことがない事例です。最近の米国におけるタンク事故については内容の乏しいメディアの記事が目立っていましたが、今回は発災事業者がその日のうちに原因について発表し、これまでの状況とは違っていました。米国南部のテキサス州やオクラホマ州と違って米国の北方に位置するミネソタ州だからでしょうか、あるいは地域密着型の燃料供給会社だったからでしょうか。いずれにしても、これからは事故を活かすメディアの記事を期待したいものです。

2026年10月8日木曜日

韓国・永川市のリサイクル工場で屋外の油貯蔵タンクが爆発・火災、負傷者3名

 今回は、2026年7月31日(金)、韓国の慶尚北道永川市にあるリサイクル会社の工場において、屋外の油貯蔵タンクが爆発して火災を起こし、負傷者3名を出した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国の慶尚北道(キョンサンブクト/けいしょうほくどう)永川市(ヨンチョンし/えいせんし)新寧面(シルリョンミョン)にあるリサイクル会社の工場である。

■ 事故があったのは、リサイクル会社の工場内にある屋外の油貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026年7月31日(金)午後1時50分頃、リサイクル会社の工場内にある油を保管する屋外の油貯蔵タンクにおいて火災が発生した。
■ 消防署には、油貯蔵タンクからバーンという音とともに、煙が上がったという通報を受け、消防隊が出動した。現場に到着した時、炎と煙が激しく、勢いのある火災の状態だった。

■ 消防隊は、消防士48名のほか消防車20台と消防ヘリコプターをともない、消火活動を行った。

■ 消防隊は現場到着と同時に人がいないか捜索に乗り出す一方で、隣接する建物に火が広がることを防ぐための消防防衛線を構築した。

■ 炎が上がっていた場所には、油を保管する屋外貯蔵タンクと建物が隣接しており、火災が周辺施設に広がる可能性があった。消防関係者は、「火災の延焼と燃焼拡大を防ぐために隣接箇所を統制し、速やかに炎を掴むことに総力を傾けている」と語った。

■ 事故にともない、3名の負傷者が出た。30代男性2人、50代男性1人の計3人が火傷、擦過傷、煙吸入などで病院に移され治療を受けた。

■ 消防当局と警察は、屋外の油貯蔵タンクまたは設備で爆発が発生した後、火災が始まったとみて、正確な火災原因と安全管理の状態などを調査するという。消防関係者は、「目撃者の陳述などに基づいて正確な爆発原因と財産被害規模を調査する方針」と話した。

■ ユーチューブなどでは、事故を報じる動画が投稿されている。

 ●Youtube、「경북 영천 공장 옥외 탱크에서 폭발·화재...3명 부상 / YTN」(2026/7/31)

 ●Yna.co.kr、「경북 영천 공장서 ‘펑’ 기름탱크 화재…3명 경상」 (2026/8/1)

< 被 害 >

■ 屋外の油貯蔵タンクが焼損した。内液の油が焼失した。

■ 負傷者が3名出た。 

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は分からない。当局が調査中である。

< 対 応 >

■ 消火活動は約1時間を費やし、火災は午後2時50分頃、鎮火した。

■ 消防当局は残火を整理し次第火災原因と被害規模を調査する予定である。 

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,120万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「慶尚北道」 (キョンサンブクト/けいしょうほくどう)は、韓国北西部にあり、人口約249万人の道である。

「永川市」(ヨンチョンし/えいせんし)は、慶尚北道の南東部に位置し、人口約96,000人の市である。

「新寧面」(シルリョンミョン)は、永川市の北西部に位置し、人口約3,400人の面(行政区画の一つ)である。

■「発災タンク」は、屋外の油貯蔵タンクと報じられているだけで、タンク型式や大きさなどの仕様は報じられていない。発災事業所のリサイクル会社も名称なども報道されておらず、どのような会社なのか、屋外の油貯蔵タンクはどのような目的(事業所の燃料油や製品油なのかなど)なのかも分からない。

所 感

■ 今回の事例はリサイクル会社で起こったものである。どのようなリサイクル会社かわからないし、今回の事故では負傷者が3名出ているが、事故状況や原因に関わる事象は報じられていない。過去に“廃油リサイクル会社” で起こった事故としては、つぎのような事例がある。

 ●「韓国華城市の廃油リサイクル会社の貯蔵タンクが爆発・火災、死者1名」(2024年5月); 廃油貯蔵タンクの圧力ゲージを取り換える作業をしていたというので、何らかのミスにより、引火して爆発・火災になったものとみられる。また、爆発しているので、廃油リサイクル会社が意図して揮発性の高い油を処理したのではなく、廃油を出した側がガソリンを投入してしまったと推測される。

 ●「茨城県稲敷市の廃溶剤リサイクル処理施設で火災、死傷者3名」(2017年3月); 発災場所がエマルジョン製造棟ということであり、廃溶剤のリサイクル処理装置の一部で起ったものとみられる。装置内の設備から多量の可燃性液体が漏洩し、火災になったものではないかと推測される。

■ 今回の消防活動は、消防士48名のほか、消防車20台と消防ヘリコプターをともない、事故発生から1時間で鎮火させたと報じられている。発災箇所や油量などが分からないが、この報道が正確なら、消火活動は適切に行われたのだろう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       ・News.kbs.co.kr,  영천 공장 옥외저장탱크서 화재…3명 경상,  July  31,  2026

       ・News1.kr,  영천 공장 옥외 기름탱크 폭발 화재 46분만에 초진…부상 3명(종합),  July  31,  2026

       ・Kyongbuk.co.kr, 영천 재활용업체서 폭발 추정 화재…3명 부상,  July  31,  2026

       ・Kmib.co.kr, 영천 공장 기름탱크서 화재…3명 다쳐,  July  31,  2026

       ・V.daum.net, 영천 공장 기름탱크서 화재…3명 다쳐,  July  31,  2026

       ・News.nate.com,  경북 영천 공장서 옥외 기름탱크 폭발 화재…부상 1명,  July  31,  2026

       ・Hankyung.com,  경북 영천 공장서 불…"기름탱크서 펑 소리“,  July  31,  2026

       ・Segye.com, “펑 소리 나더니 검은 연기”… 영천 공장서 기름탱크 폭발 추정 화재, 인명 피해는 없어,  July  31,  2026


後 記: 今回の韓国の事例報道をブログにまとめて感じたことは、韓国では事例を今後に活かそうという気持ちが伝わってこないことです。“韓国のある場所で火災が起こり、消防隊が消火させた” という記事に過ぎません。もともと韓国では、発災事業所の名前を報じませんし、情報量が少なく、今回はグーグルマップで場所を特定できませんでした。メディアによっては下のような夜の火災写真が添付されていました。最近の「韓国の華城市にある廃油処理施設で屋外タンクが爆発・火災、負傷者1名」(2026年9月)の後記では“韓国でもメディアの人不足が深刻なようです”と書きましたが、人の数ではなく、報道の質が低下していますね。


 

2026年10月2日金曜日

ブラジルのサンパウロ州の化学工場でタンク火災、住民約150名が避難

 今回は、2026年8月4日(火)、ブラジルのサンパウロ州イタクアケセトゥバにあるケマ・キミカ社の化学工場で、溶剤タンクなどが火災や爆発を起こし、鎮火までに約33時間かかり、住民約150名が避難したという事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、ブラジル(Brazil)のサンパウロ州(São Paulo)イタクアケセトゥバ(Itaquaquecetuba)にあるケマ・キミカ社(Quema Química)の化学工場である。工場では、溶剤とポリエステル系樹脂を製造している。

■ 事故で影響があったのは、化学工場内にある溶剤貯蔵タンクである。工場には、メタノール、エタノール、アセトン、トルエン、ヘキサンなど約200万リットル(2,000KL)の製品が保管されていた。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026年8月4日(火)午後3時過ぎ、ケマ・キミカ社の化学工場で火災が発生した。火災が拡大して爆発が起こった。

■ 住民から工場敷地内で複数の爆発音が聞こえたとの通報を受け、消防隊が出動した。消防隊は18台消防車とともに現場に向かった。

■ 消防隊は、火災の消火と、ほかの貯蔵タンクや工場区域への延焼防止に努めた。消防署は「火災は揮発性物質を貯蔵したタンクが関係している」と述べている。

■ 工場内にはメタノール、エタノール、アセトン、トルエン、ヘキサンといった引火性の高い可燃性物質が約200万リットル(2,000KL)貯蔵されており、これらに次々と引火していった。 火災は激しさを増し、数km先からも見えるほどの濃い黒煙の柱を発生させ、爆発を引き起こした。電力会社は工場への送電を停止した

■ 工場からは巨大な炎が轟音を立てて噴き上がり、黒煙が100フィート(約30m)以上も空高く立ち昇り、火災現場では、可燃性物質を入れたドラム缶が空中に投げ上げられた。

■ 住民のひとりは、「あの化学工場で火災が発生しました。今でもあちこちで爆発が起きています」と語った。別な住民は、「私は家にいたのですが、突然爆発音が聞こえました。何が起こっているのか外に出てみると、化学工場が火事になっていました。火の勢いが非常に強く、すぐには消えそうにありません。かなり時間がかかりそうです」と語った。

■ 工場では、溶剤とポリエステル系樹脂を製造しており、現場には大量の可燃物が存在するため、消火活動は難航した。工場には24基の容量約30KLの溶剤貯蔵タンクのほか、5000リットルタンク6基、200リットルのドラム缶、100個以上のIBC型コンテナなどが保有されていた。

■ 大規模の火災になったため、近隣の住宅や工場からの避難が余儀なくされ、当局は近隣住民約150人を避難させた。

■ 消防隊は、事態を収拾するために長時間の消火活動を行った。消防士たちは夜通し現場に留まり、翌日も大規模な火災の鎮火に努めた。

■ 夜の駐車場から撮られた爆発時の映像には、巨大な火球と濃いオレンジがかった煙が暗い空に高く立ち昇る様子が捉えられていた。

■ 溶剤の可燃性物質を貯蔵する複数のタンクが巻き込まれて火災になり、 敷地内のタンクが爆発したほか、流出した可燃性物質が公共の雨水排水系に流れ込んだことで、道路中央にあるマンホールが次々と吹き飛ぶという異例の事態が発生した。通行人が爆発の一つで吹き飛ばされたと報じられている。

■ 当局は、現場周辺を封鎖し、消防隊が危険がなくなったと宣言するまで電力供給は再開されないと発表した。

■ 事故にともなう死傷者は無かったと大半のメディアは報じたし、事故後の事業者の発表でも、従業員には負傷者はいなかったという。一方、メディアの中には、21名の負傷者が出たと報じている。

■ 施設内には溶剤用のタンクやドラム缶などがあり、火災を絶えずあおっているため、消火活動は非常に複雑かつ危険だった。さらに、工場は揮発性や可燃性物質を集中する工業地帯に位置しており、爆発のリスクが影響を高め、封じ込め作業を困難にした。

■ ユーチューブでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

   ●YouTube、「Incêndio destrói indústria química em Itaquaquecetuba」(2026/8/6)

   ●YouTube、「Incêndio de grandes proporções atinge indústria química em Itaquaquecetuba (SP) 」(2026/8/6)

   ●YouTube、「SP: explosões assustam moradores e incêndio em fábrica química passa de 13 horas」(2026/8/6)

   ●YouTube、「Helicóptero do SBT mostra como ficou fábrica após incêndio devastador em SP |」 (2026/8/6)


被 害

■ 化学工場の施設が全焼した。保有していた200万リットル(2,000KL)の

タンクは容量30KLタンク24基、5000リットルタンク6基、200リットルのドラム缶、100個以上のIBC型コンテナがあったが、内部の油の焼失とともに損傷したものと思われる。

■ 施設の従業員に死傷者は出なかった。しかし、メディアによって負傷者21名と報じられているので、住民に被害が出た可能性がある。

■ 住民約150名が避難した。

■ 大気汚染が生じたと思われる。また、公共の雨水排水系に油類が流出し、排水管が爆発した。

< 事故の原因 >

■ 最初の火災の原因は不明で調査中である。


< 対 応 >

■ 火災は水曜日の朝(8月5日)には近隣の建物への延焼の危険はなくなったが、工場内にはまだ火が残っていた。消防署によると、火災は火曜日の午後9時頃に封じ込められ、延焼の危険はなくなったと発表した。

■ 最終的には、消防車30台以上、90名以上の消防士が動員され、鎮火までに約33時間を要した。火災は火曜日(8月4日)の午後から始まり、木曜日(8月6日)の午前0時10分まで続いたことになる。

■ 火災は、工場をほぼ全焼するほど激しいものだった。

■ 火災の原因と爆発に至った経緯については、現在も調査中である。当局は火災の原因をまだ特定していない。火災が完全に鎮火し、現場の安全が確認され次第、調査が開始される予定だという。

■ 今回の事故のあと、メディアの中に「ブラジルの溶剤貯蔵タンク」についてつぎのような指摘をしている。
 ●「溶剤貯蔵タンクはABNT NBR 7821(Tanques soldados para armazenamento de petróleo e derivados;「石油および石油製品を貯蔵するための溶接タンク」)に準拠する必要がある。これは基本的に“ブラジル・ポルトガル語で簡略化されたAPI Std 650” (Welded Tanks for Oil Storage) であるが、ブラジルではAPI Std 650のみに従うことが一般的に認められている。しかし、事故のタンクは工場組立タンクであり、タンク屋根がフランジ付きで屋根と側板の接合部が突合せ溶接されている限り(API Std 650 - Annex Jと同様)、トップアングルは不要だが、そうではないようである。

 ●API  Std 650によれば、爆発時を考慮した“弱くした屋根”の設計には、トップアングルのスケッチ、接合部の断面積、屋根をトップアングルに取り付けるための単一のすみ肉溶接の使用、アンカーなどに関する非常に具体的な要件がある。これらの要件のため、“弱くした屋根”は工場組立のタンクでは実現不可能である。ABNT NBR 7821 は“弱くした屋根”についてあまり詳しく規定していないが、この設計はブラジルの基準にも適合しないと思われる。 

 ●今回の事故で多くのタンク屋根は、設計がかなり自由奔放だったにもかかわらず、脆弱な挙動を示した。推測では、脆弱性の断面積制限に準拠するために上部の角度が省略されたが、屋根はすみ肉溶接で取り付けられていた。少なくとも 2基のタンク屋根は、縦方向の突合せ溶接に沿って中央部で大きな破損があったが、屋根と側板の接合部は無傷のままだった。

 ●ウェブサイトには、タンク屋根に圧力逃がし弁が写っている写真があった。おそらくフレームアレスターが装備されていると思われる。少なくとも API Std 650 に従って不十分な“弱くした屋根”の設計を即席で行うのではなく、圧力安全弁や緊急圧力逃がし弁を使用していれば、タンクの実装コストは高くなるが、被害の程度は軽減できたと思われる。

 ●化学工場の施設内には、巨大な消火用水タンクがあるようだが、火災発生時にタンクを冷却するためにこの水をタンクの近くに送るシステムはなかったと思われる。

補 足

■「ブラジル」(Brazil)は、正式にはブラジル連邦共和国で、南アメリカに位置し、人口約2億1,200万人の連邦共和制国家である。首都はブラジリアである。

「サンパウロ州」(São Paulo)は、ブラジル南東部に位置し、人口約4,440万人の州で、州庁所在地はサンパウロ市である。

「イタクアケセトゥバ」(Itaquaquecetuba) は、単にイタクアとも呼ばれ、サンパウロ州の南東部に位置し、人口は382,000人の自治体である。

■「ケマ・キミカ社」(Quema Química)は、 2002年に設立され、当初は溶剤の製造・販売から事業を開始した。現在では、ポリエステル系樹脂の製造・販売も行っている。事故のあったイタクアケセトゥバ工場は同社で最も歴史が古く、約24年間操業を続けている。ケマ・キミカ社はブラジル国内に他にも施設を所有しており、支店はブラジル南部とミナスジェライス州カンブイにある。

■「発災タンク」は、化学工場に保有している容量30KLタンク24基、5000リットルタンク6基、200リットルのドラム缶、100個以上のIBC型コンテナのいずれかとみられるが、どのタンク類か特定はできない。

 注;IBC型コンテナとは、液体や粉体を効率よく保管・輸送するための約1,000リットルの

中型容器(Intermediate Bulk Container)で、ほかに中間バルクコンテナやタンクパレットと呼ばれる。最大の特長は、1基あたり約1,000リットルという容量を有しながら、フォークリフトによる機械荷役が容易なパレット一体型構造を採用している。

所 感 

■ 今回の事故は、化学工場が全焼するほどの大きな火災だった。しかし、原因をはじめ事故経緯はよくわからない事例である。可燃性物質が公共の雨水排水系に流れ込んだというので、周辺のインフラにも影響を及ぼしている。これは工場の施設(タンクまたは配管)から可燃性物質が流出したものと推測できる。

 グーグルアースによると、タンク群の北側にあるのが溶剤の充填場と思われるので、ドラム缶またはIBC型コンテナの充填系統の溶剤配管から何らかの要因で流出して電気系統などの引火源によって火災になったのではないだろうか。

■ 負傷者がいなかったとすれば、事故の激しさを考えれば、せめてもの救いである。しかし、公共の雨水排水系のマンホールが噴き飛ぶという事態が発生し、通行人が吹き飛ばされたと報じられており、けが人が出たのではないだろうか。また、火災は鎮火までに約33時間を要しており、体調不良で病院の診察受けた人がいるのではないだろうか。

■ 消防活動について報道では、“消防隊は、火災の消火と、ほかの貯蔵タンクや工場区域への延焼防止に努めた”と報じられている。消火戦略は、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあり、積極的戦と防御的戦略の消火活動をとったかのような印象になっている。しかし、被災写真を見ても火災終盤を除いて積極的戦略や防御的戦略をとったように思えない。現場にはドラム缶などに入った可燃性物質がそこら中にあり、何度も爆発を起こしており、消防隊の消防士の安全を考慮しなければならない。火災の初期から中盤は不介入戦略をとったものと思われる。消防資機材(特にスクアート車など)の保有状態が分からないが、資機材が不十分であれば、不介入戦略をとったのは適切な判断だったといえよう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     ・Hazardexonthenet.net, Brazil chemical plant fire involves multiple explosions,  August  7, 2026

     ・Aljazeera.com, Massive fire at chemical factory forces evacuations in Brazil,  August  5, 2026

     ・Reutersconnect.com, Brazil: Chemical Factory Engulfed By Massive Fire As Towering Flames Light Up Night Sky,  August  7, 2026

     ・Viory.video, Chemical chaos - Huge blaze at Quema Química plant forces evacuation of 150 people in Sao Paulo,  August  5, 2026

     ・Independent.co.uk, Fireball erupts at chemical factory as blaze prompts evacuations,  August  5, 2026

     ・Joiff.com, BRAZIL – Large Fire Erupts at Solvent Factory in Greater São Paulo,  August  5, 2026

     ・Thesun.co.uk, PLANT INFERNO Huge blaze burns through chemical plant as dozens of fire engines called to scene and 150 locals evacuated,  August  5, 2026

     ・Eng-tips.com, Massive fire destroys chemical plant in Brazil,  August  6, 2026

     ・G1.globo.com, Indústria química destruída por incêndio funciona há mais de duas décadas em Itaquaquecetuba,  August  5, 2026

     ・Dailybeirut.com, Brazilian Chemical Plant Fire Triggers Multiple Explosions, Evacuates 150,  August  6, 2026


後 記: 初めて事故の報道を知ったときには、化学工場の通常的な事故だと思いました。インターネットで調べ始めても、大手メディアの情報も化学工場で事故があり、負傷者は無いというもので、最初のうちはそれほど変わりありませんでした。しかし、調べていくうちにドラム缶やIBC型コンテナなどを含むタンク火災で、これまでに扱ったことのない事故だと分かりました。火災時の被災写真は多くありましたが、火災後の事業所が全焼し、数多くのドラム缶が散乱している様子はこれまでに無い事故の写真で驚きました。ブラジルの事故報道は時系列がはっきりせず、内容は事業所寄りの見方の記事が多いのですが、被災写真は秀逸だと思います。

2026年9月24日木曜日

韓国の華城市にある廃油処理施設で屋外タンクが爆発・火災、負傷者1名

 今回は、2026年9月16日(水)、韓国の京畿道の華城市にある廃油処理施設において屋外タンクが爆発・火災を起こし、負傷者1名を出した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国の京畿道(경기도;キョンギド/けいきどう)の華城市(화성시;ファソンし/かじょうし)孝行区(ヒョヘンく)鄭南面(ヒョハンク・チョンナムミョン)にある廃油処理施設である。施設は廃油や廃オイルフィルターなどを処理する会社である。

■ 事故があったのは、廃油処理施設内にある屋外の貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026年9月16日(水)午後2時前、廃油処理施設内で爆発が発生した。

■ 京畿道消防本部は、廃油処理施設から「廃棄物が燃えている」という通報を受け、消防隊を出動させた。

■ 施設に火がつき、施設内帯には相次いで爆発が発生した。何度も爆発が続き、赤い火柱が空へ突き破るたびに振動が伝わり、近くの住民たちの嘆息が続いた。火災現場付近の住民たちは爆発が続くと、延焼してくるのを避けて避難した。住民のひとりは、「爆発音と炎が続くのがまるで戦争があったようでした」と語った。

■ 自宅が火災現場とすぐ隣接しているという住民のひとりは、「家にいましたが、大きな炎が立ち昇ったので、携帯電話だけを掴んで深く考えず家から飛び出しました」といい、「火が移って来て、被害を受けていないだけでも幸いです」と一息ついた様子だった。

■ 消防当局は、火災発生場所が廃油処理施設でまわりには他の工場や住宅地があり、延焼していく恐れがあると判断し、対応段階を上げていった。

■ 華城市は火災発生直後、「火災による煙が多量発生中です。近くの住民は窓を閉めるなど安全に留意してください」と伝えた。

■ 消防隊は、消防ヘリコプターをはじめとする装備58台と消防士120名を動員した。消防ヘリコプターは空中から消火水をかけ、消防車両は地上から消火水をかけた。救助隊と警察官は人命救助と現場統制に慌ただしく活動した。

■ 消防当局は、施設にある屋外タンクで火災が発生したとみている。

■ 事故にともない、ひとりが負傷した。火災初期の消火活動をした施設関係者1名が火傷の負傷をした。当初、消火活動をしたのは女性だと報じられたが、実際は50代の男性で右腕に火傷を負って病院に搬送されていた。

■ 事故発生当時、施設で働いていた9名は自力で避難した。  

■ 施設で保管していた廃油の一部が近くの河川に流入した。関係機関とともに黄区地川につながる河川に土手によるダムをつくり、水道を遮断し、廃油や汚染水回収など防除作業に乗り出した。黄区地川は、義王市大峰山を源とし、水原、華城、五山、平沢を経て真威川に合流する総延長30kmの国家河川である。消防当局などは装備を投入して廃水の流入を防いでいる。

■ 華城市の関係者は、「現在まで廃油が川まで流入した痕跡はない」とし、「防除作業終了まで継続的にモニタリングして汚染物質遮断に総力を傾ける予定である」と話した。しかし、火災現場から出てきた廃水が黄区地泉支流に流入しており、二次被害が懸念されている。

■ ユーチューブでは、事故を報じる動画が投稿されている。

 ●Youtube、「화성시 자원순환시설에서 불...한때 대응 2단계 발령 / YTN」(2026/9/16)

    ●Youtube、「대형 참사 막았다...화성 폐유처리시설 화재」 (2026/9/16)

< 被 害 >

■ 廃油処理施設の屋外タンクなどの設備が焼損した。 

■ 負傷者が1名出た。

■ 廃油が近くの河川に流出したとみられる。

■ 近くの住民には窓を閉めるなど安全に留意する旨の連絡があった。  

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は不明である。消防当局が火災原因と被害規模を調査している。

< 対 応 >

■ 消防隊は、事故発生から2時間余りの午後4時頃に火災を制圧し、午後5時前に鎮火させた。

■ 消防当局は正確な火災原因と被害規模などを調査する予定だ。

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,120万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「京畿道」(경기도;キョンギド/けいきどう)は、大韓民国北西部にあり、朝鮮半島中西部に位置する人口約1,379万人の道である。

「華城市」(화성시;ファソンし/かじょう‐し)は、京畿道の南西部に位置し、人口約100万人の都市である。2025年1月に人口100万人以上の特例市となった。

 韓国の京畿道では、タンク事故がよくあるところである。ブログには、つぎのような事例を紹介した。

 ●「韓国のレーザー加工工場で液体窒素タンクが破裂、建物2棟が損傷」(2025年10月)

 ●「韓国華城市の廃油リサイクル会社の貯蔵タンクが爆発・火災、死者1名」(2024年5月)

 ●「韓国の石油貯蔵所で半地下式ガソリンタンクの爆発・火災」(2018年10月)

■「発災タンク」は、屋外タンクと報じられているだけで、タンク型式や大きさなどの仕様は分かっていない。、廃油処理施設は、一般事業場から排出される廃棄物や廃油・廃酸など有害物質を含む指定廃棄物を専門的に処理する施設であるが、どのようなプロセスかは分からない。日本国内の一般的な廃油処理施設の例を図に示す。なお、韓国では、産業事故に対しても消防ヘリコプターを使用しているようだが、爆発を繰り返すような火災現場で効果は疑問だと感じる。

所 感

■ 今回の事例は、2023年8月に同じ韓国・華城市で起こった 「韓国華城市の廃油リサイクル会社の貯蔵タンクが爆発・火災、死者1名」 と類似の廃油処理施設の事故である。2023年の事故では、「廃油も揮発性の高いものではないのが通常であろう。しかし、爆発して火災になっており、日本で起こった「千葉県野田市の廃油処理施設の爆発事故(2013年)」と同じように原因はガソリンなど揮発性の高い油を投入したのではないだろうか。廃油リサイクル会社が意図して揮発性の高い油を処理したのではなく、廃油を出した側がガソリンを投入してしまったのではないか」と所感に書いた。

 今回の事故では、火が出た際、事業所の作業員が初期消火活動をしていたという。なぜ、火が出たかは分からないが、その後の火災で爆発が連続して起こったということから、揮発性の高い油を処理または保管(貯蔵)していたと思われる。過去の貴重な事例が活かされていないと感じる。

■ 消火活動は、「消防ヘリコプターをはじめとする装備58台と消防士120名を動員した。消防ヘリコプターは空中から消火水をかけ、消防車両は地上から消火水をかけた」とあり、事故発生から3時間で鎮火させたという。この報道が正確なら、消火活動は適切に行われたのだろう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       ・V.daum.net,  “전쟁난 것 같은 폭발음이”…화성 폐유처리시설 화재, 한때 대응 2단계 [현장, 그곳&] [영상],  September  16,  2026

       ・Kyeonggi.com,  화성 자원순환시설 화재에 대응 2단계…‘폐유 처리시설’로 확인,  September  16,  2026

       ・Biz.chosun.com,  화성 자원순환시설 화재 2시간 40여분 만에 진화…1명 부상,  September  16,  2026

       ・Kmib.co.kr, [포토] 화성 자원순환시설 화재, 160여분 만에 진화,  September  16,  2026

       ・Yna.co.kr,  경기 화성 자원순환시설 화재…대응 2단계 발령,  September  16,  2026

       ・Kyeonggi.com,  화성 자원순환시설 화재에 대응 2단계…‘폐유 처리시설’로 확인,  September  16,  2026

       ・Kihoibo.co.kr,  화성 자원순환시설 화재...2시간 40분만에 진화,  September  16,  2026

       ・News.ifm.kr,  화성 자원순환시설 화재 2시간 40여분만에 완진,  September  16,  2026

       ・Yonhapnewstv.co.kr, 경기 화성 자원순환시설 화재…대응 2단계 발령 서승택 기자,  September  16,  2026

       ・Kconsumers.com,  화성 자원순환시설 화재 2시간 40여분 만에 완진…50대 관계자 2도 화상,  September  16,  2026


後 記: 今回の韓国の事例報道を読んで感じたことは、取材が不十分なことです。その要因のひとつは、韓国ではよくあることですが、発災事業所の名前を報じないことです。そのためだと思いますが、初期消火をやっていた人を女性と報じたところが大半でした。“男女平等”の世の中ですが、初期消火をやっていた人が女性だと言われれば、最初に本当かなと思うはずです。メディアの中に疑いをもって調べたのでしょう、実際は男性だったという訂正の記事がありました。全般に報道を一歩引いて読んでいました。河川への油流出についても自治体関係者は流出はないと主張しています。対応はやっているようですが、結局、どのくらい流出したのか不明瞭(曖昧模糊)です。韓国でもメディアの人不足が深刻なようです。