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2026年10月21日水曜日

韓国・蔚山市の化学会社でトルエンの貯蔵タンクが爆発・火災、タンク6基へ延焼

 今回は、2026年10月14日(水)、韓国の蔚山市蔚州郡温山邑にある化学製品製造会社の㈱釜昇化学の工場においてトルエンの入った貯蔵タンクが爆発・火災を起こし、隣接タンクへ延焼していき、7基の貯蔵タンクが焼損した事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国の蔚山市(ウルサンシ)蔚州郡(ウルジュグン)温山邑(オンサンウプ)鶴南里(ハクナムリ)にある化学製品製造会社の㈱釜昇化学(プスンかがく)の工場である。

■ 事故があったのは、工場の屋外にあるトルエン用タンクである。 釜昇化学の工場は石油化学物質を流通・保管・販売する事業場で、トルエン、シンナーなど可燃性物質を多量に保有している。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026年10月14日(水)午前9時30分頃、蔚山市にある釜昇化学の工場で大きな火災が発生した。

■ 発災にともない、消防隊が出動した。

■ 消防隊は現場に到着して消火活動を行うとともに、人的被害の有無がないか確認した。

■ 火災の発生後、蔚州郡は午前10時過ぎに携帯電話向けメッセージで「温山邑鶴南里58‐7の工場で火災が発生した」と伝え、「車両は迂回し、近隣の住民は安全に注意してほしい」と呼びかけた。
■ 近くの蔚山テクノパークで教育を受けていた人は、「最初、3回ほどバーンという爆発音がした後、しばらく間隔をあけて6~7回ほど爆発する音がした」と語った。

■ 火災現場では爆発音が続き、火災の煙が広がった。 火災から出る黒い煙と臭いが広がると、周辺事業場は作業を中断した。近隣工場では働いていた人が約7千人おり、避難する騒動が生じた。

■ 釜山(プサン)、大邱(テグ)、慶尚南道(キョンサンナムト)などから支援の消防隊が動員された。消防士200名のほか、大型化学消防車、消防用ヘリコプター3機、大容量泡放射砲1台などの消防資機材が動員された。

■ 火災は屋外の貯蔵タンクから出火したとみられ、事故当時、屋外貯蔵タンク周辺で作業員16名がいたが、彼らは全員安全に避難した。
■ 関係者によると、可燃性物質であるトルエンの入った容量8,000リットル(8KL)貯蔵タンクから200Lドラム缶またはIBCタンクに配管を通じて小分け作業中、タンク注入口配管付近で電気火花によって引火したのではないかという。また、バルブをロック(締める)した後に爆発が発生したと話す関係者もいる。

 現場の関係者らは、貯蔵タンク注入口配管側で爆発音と電気スパーク音が出た後、バルブをロックする過程で爆発とともに激しい炎が上がったと語っている。
■ 蔚山消防本部によると、火災発生当時、釜昇化学はトルエンを出荷するために貯蔵タンクと接続された配管を使用して200Lのドラム缶に移す作業をしていた。この過程で原因が分からない火災が発生したとみている。

■ 火災は強い風に乗って炎が広がり、トルエン、シンナー、アセトン、エタノール、キシレンなどを保管する屋外貯蔵タンク33基のうち7基のタンクと野積場のドラム缶などに延焼した。また、火種が飛んで近くの事業場の芝生でも火が出た。

■ 消防隊は、消防車のほか消防用ヘリコプターを動員して消火作業を行っているが、炎は容易に消えない状態だった。消防当局は、延焼した貯蔵タンク7基の内部物質がなくなるまで、燃焼拡大防止に注力する計画だという。

■ 放射能力45,000L/minの大容量砲放射システムは、近くに水源がなく、すぐに稼働するのが難しい状況だった。大容量泡放射砲の投入準備を行っていたが、現場で投入前に火が鎮圧され、使用することは無かった。

■ 火災鎮圧後、初動出動した消防隊のひとりは、「炎があまりにも激しく、既存の消防ホースなどは接近すら難しかった。突然、バーンという音が聞こえ、屋外タンクのタンク屋根が空に舞い上がった」といい、「高温ガスのためタンク屋根が飛んだため、安全のために隊員と車両の両方がしばらく避難しなければならなかった」と語っている。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。 

■ ユーチューブなどでは、事故を報じる動画が投稿されている。

●Youtube、「폭탄 터지듯 ‘펑’‥7천여 명 대피 (2026.10.14/뉴스데스크/울산MBC)」(2026/10/14)

 ●Youtube,「[재난속보] 울산 화학 공장에서 불...대응 1단계 발령 진화 중」 (2026/10/14)

●News.sbs.co.kr、「울산 온산 화학업체 큰불…인근 7천 명 대피 출처 : SBS 뉴스 원본 링크 : 」(2026/10/15)

< 被 害 >

■ 貯蔵タンク7基が焼損した。内部の液が焼失した。

■ 野積場の200Lのドラム缶や1,000LのIBCタンクの一部が焼損した。

■ 負傷者は出なかった。

■ 発災事業所や周辺事業所で避難があった。 

< 事故の原因 >

■ 事故原因は調査中である。蔚山消防本部によると、火災発生当時、釜昇化学はトルエンを出荷するために貯蔵タンクと接続された配管を利用し、200Lのドラム缶に移す作業をしていた。この過程で原因が分からない火災が発生したとみている。  

< 対 応 >

■ 火災は、消防隊による消火活動によって約4時間後の午後2時頃に消えた。

■ 消防当局は、消火活動が終わりしだい、爆発の経緯や正確な火災原因、人的・物的被害規模を調査するという。

■ 10月15日(木)、鬱州警察署などによると、同日午前11時から約1時間40分間、釜昇化学の火災現場で関係機関約20人が参加し、合同捜査(調査)が行われた。鑑識には蔚山警察庁科学捜査界と蔚州警察署、国立科学捜査研究院、消防当局、雇用労働部、洛東江流域環境庁、安全保健公団などが参加した。

■ 国科水は、屋外貯蔵タンクから200Lドラム缶、または1,000リットル容量のIBCタンクに可燃性物質であるトルエンを移すために使用された配管を回収した。警察は国科水分析を通じて該当配管バルブが正常にロックされていたか、バルブがロックされた状態でもトルエンが漏れた可能性があるかどうかなどを確認する予定だ。

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,120万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「蔚山市」(ウルサンシ)は、韓国の南東部に位置し、人口約108万人の広域市である。

■ 「㈱釜昇化学」(プスンかがく)は、韓国の石油化学会社で石油化学物質を流通・保管・販売する。蔚山市に事業場があり、トルエンのほか、シンナー、アセトン、エタノール、キシレンなど可燃性物質を多量に保有している。

■「トルエン」(Toluene)は、芳香族炭化水素でシナモンやシンナールに似た臭いのある化学物質で、揮発性があり、引火点が4~5℃の可燃性石油化学物質である。塗料、ゴムビニール製造などに使われる。

■「発災タンク」は、容量8,000リットル(8KL)でトルエン用貯蔵タンクと報じられているが、タンク型式や大きさなどの仕様は報じられていない。被災写真やグーグルマップによると、被災したタンク7基はコーンルーフの固定屋根式円筒タンクである。グーグルマップでは、前列にあるタンクは直径約3.3mであり、高さを4mと仮定すれば、容量は約34KLとなり、大きすぎるので、後列にあるタンクが発災タンクとみられる。この後列のタンクははっきりしないが、直径約2.0m×高さ約2.5mとすれば、容量は約8,000リットルとなる。被災したタンクでタンク屋根が飛んだのが3基(前列1基、後列2基)であり、爆発したものと思われる。発災タンクは後列の2基のいずれかであろう。

所 感

■ 今回の事故原因は、蔚山消防本部によると、火災発生当時、トルエンを出荷するために貯蔵タンクと接続された配管を使用して200Lのドラム缶に移す作業をし、この過程で原因が分からない火災が発生したとみている。関係者の話によれば、トルエンの入った容量8,000リットル(8KL)貯蔵タンクから200Lドラム缶またはIBCタンクに配管を通じて小分け作業中、タンク注入口配管付近で電気火花によって引火したのではないかという。今回の事故要因は作業や運転操作時のミス(過失)と思われる。

 一方、韓国・蔚山市は、最近、つぎのようにタンク事故が増えている。

●「韓国のターミナルでタンクの試料採取中にタンク爆発して死傷者2名」 (2025年2月)

●「韓国で開放工事中の内部浮き屋根式タンクが爆発、死傷者2名」(2023年11月)

●「韓国S-オイル社製油所で原油タンクのミキサー破損で油漏洩」 (2014年4月)

 2020年にブログで紹介した「この10年間の「世界の貯蔵タンク事故情報」について(その3)」 (2020年9月)によれば、国別のタンク事故件数は日本が28件に対して韓国は6件と少ない。事故データの収集の差異もあるが、事故が増えた背景に経済優先などの要因があるのではないだろうか。

■ 今回の事故は、タンク7基の火災にしては、消防活動時間が約4時間と短い。しかも、途中で爆発があり、消防士の安全を考慮して消火活動を中断している。この報道が正確なら、負傷者も出さず、消火活動は適切に行われたのだろう。

■ 一方、放射能力45,000L/minの大容量砲放射システムが派遣されているが、近くに水源がなく、すぐに稼働するのが難しい状況だったという。韓国では、「韓国のタイヤ工場で大火災、負傷者3名、廃油タンク爆発の影響は?」(2025年6月)でも、放射能力45,000 L/minと30,000 L/minの大容量泡放射システムが派遣されたが、水源が乏しく、有効に働かなかった例がある。

 放射能力45,000L/minの大容量砲放射システムは、日本の基準では、直径60~75mの浮き屋根式タンクの全面火災で使用する能力のシステムである。今回のタンク火災では必要ない。どのような判断で派遣が決まったのか分からないが、混合装置、加圧ポンプ、泡消火薬剤に加え、水源供給、それに現場での配置の必要のある大容量砲放射システム派遣の基準を明確にしておく必要がある。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       ・News.yahoo.co.jp,  韓国消防当局、蔚山蔚州郡の製造業者火災で「対応第1段階」発令,  November  14,  2026

       ・Hani.co.kr,  울산 석화업체 저장탱크서 ‘펑펑’…화재로 작업자 10여명 대피,  November  14,  2026

       ・Yna.co.kr,  울산 온산 화학업체 저장탱크서 불…인근 공사장 7천명 대피(종합),  November  14,  2026

       ・Kmib.co.kr,  울산 온산 화학업체 화재…인근 공사장 7000명 대피,  November  14,  2026

       ・Stock.mk.co.kr,  울산 화학업체 화재는 '톨루엔' 옮기다 발생…탱크 7기로 번져,  November  14,  2026

       ・Indifocus.kr,  울산 화학제품 제조업체서 화재…톨루엔 8000리터 저장탱크 불타,  November  14,  2026

       ・Uljusinmun.co.kr, '펑' 하더니 화학물질 저장탱크 뚜껑 하늘로…아찔했던 화재 순간,  November  14,  2026

       ・Newsis.com,  울산 부승화학, 4시간만에 진화…7천여명 대피·사상없어(종합) ,  November  14,  2026

       ・Chosun.com, 울주군 화학제품 공장 화재… 7000명 대피,  November  15,  2026

       ・Hankyung.com, 울산 부승화학서 톨루엔 소분 중 화재…4시간여만에 완전 진화,  November  14,  2026

       ・Kmib.co.kr,  울산 온산 화학업체 화재…인근 공사장 7000명 대피,  November  14,  2026

       ・Pointe.co.kr, "펑 소리 후 불기둥" 울산 화학공장 톨루엔 탱크 화재...7000명 긴급 대피,  November  14,  2026

      

後 記: 今回の韓国の事例は久しぶりに本格的なメディアの記事と感じました。相変わらず、発災事業所の名前を報じないメディアもありましたが、今回の規模の事故(?)ではちゃんと報じているところが出ています。負傷者は出ていませんが、周辺事業所では7,000人規模の避難者があった(真偽は?)と報じ、被災写真を掲載していれば、発災事業所を報じないという選択肢はないのではないでしょうか。今回の事故でこのブログとして興味ある記事は、大容量放射砲システムを出動させたが、水源が無く、機能しなかったという付記記事(本文とは別に補助的な情報を付け加えた記事)です。泡放射能力のデータも記事になっていますし、このような情報や記事を望みます。

2026年10月15日木曜日

米国ミネソタ州でガソリンタンクの油抜出し作業中に爆発・火災、負傷1名

 今回は、2026年9月14日(月)、米国ミネソタ州ダルースにある燃料施設でガソリン貯蔵タンクの液抜出し作業中に爆発・火災となり、施設の従業員1名が負傷するという事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国ミネソタ州(Minnesota)ダルース(Duluth)のリンカーンパーク地区(Lincoln Park)にある石油会社のスーペリア・フューエル社(Superior Fuel)の燃料施設である。

■ 事故があったのは、ウェストスーペリア通りとカールトン通りの交差点近くにある燃料施設のガソリン貯蔵タンクである。タンクは、容量17,000ガロン(64KL)で、使用をやめており、撤去の予定だった。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026年9月14日(月)午後1時30分頃、スーペリア・フューエル社の燃料施設でガソリン貯蔵タンクが爆発し、火災となった。爆発によってタンク屋根が噴き飛んだ。

■ 爆発後、現場周辺では炎と黒煙が立ち昇るのが見られた。爆発現場の近くで働く住民のひとりは、「これまで経験したことのないような建物の揺れを感じました。音は落雷の100倍のように感じました」と語った。

■ 発災にともない、ダルース消防署の消防隊が出動した。リンカーンパーク消防署の消防隊員は、別の案件で出動していた任務を終えようとしていたところ、爆発音を聞き、煙を発見した。彼らは直ちに指令室に連絡して応援部隊を要請し、現場へ直行した。ダウンタウン、スピリットバレーなどの各消防署からも隊員が出動した。

■ 消防隊は、火災タンクの消火作業を行うとともに、隣接する2基のタンクの冷却作業を行った。隣接タンクへの延焼は免れ、近隣住民の大規模な避難は回避された。

■ ダルース警察は現場周辺の交通を遮断したが、避難命令は出さなかった。

■ ガソリンタンクは、爆発前にすでに使用されておらず、配管接続も切り離されており、撤去して別な新しい場所への移設準備が進められていたという。容量17,000ガロン(64KL)のガソリンタンクの液は残りわずかで、スーペリア・フューエル社の従業員2名がガソリンの最終的な抜出し作業を行っていた。爆発は、作業員2名がタンクから残燃料を抜出し、輸送の準備をしていた際に発生した。

■ 事故にともない、従業員2名のうちひとりが負傷した。負傷者は手に火傷を負い、病院に搬送され、治療を受けた。ダルース消防署とダルース警察署が現場周辺を捜索した結果、他に被害を受けた人はいないことが判明した。

■ スーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、ダルース消防署は同社の説明を裏付けておらず、爆発とそれに続く火災の原因を調査している。

■ ユーチューブなどでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 ●Youtube、「 UPDATE: Superior Fuel worker released from hospital after fuel tank explosion leads to fire in Du..」(2026/9/17)

 ●Facebook、「 New video of tank fire at Superior Fuel in Duluth‘s Lincoln Park.」 (2026/9/14)

 ●Facebook、 「 NEW DETAILS: We now know more about the explosion in Lincoln Park this morning that prompted a large emergency response and road」 (2026/9/14)

被 害

■ ガソリンタンク1基が焼損した。残液が焼失した。

■ 1名の負傷者が出た。 

< 事故の原因 >

■ 事故原因は、発災事業所のスーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、ダルース消防署は同社の説明を裏付けておらず、爆発とそれに続く火災の原因を調査している。

< 対 応 >

■ 火災は消防隊によって消された。

■ スーペリア・フューエル社社は事故当日の9月14日(月)午後遅くに営業を再開した。

補 足

■「ミネソタ州」(Minnesota)は、米国中西部の北に位置し、カナダに接しており、人口約570万人の州である。

「ダルース」(Duluth)は、ミネソタ州北東部に位置し、人口約86,000人の都市で、セントルイス郡の郡庁所在地である。ダルースは五大湖のひとつであるスペリオル湖の最西端に位置する港湾都市でもある。

■「スーペリア・フューエル社」(Superior Fuel)は、2006年に設立され、米国のミネソタ州やウィスコンシン州を中心に、一般住宅・商業・産業向けにエネルギーを供給している地域密着型の燃料供給会社である。

■「発災タンク」は、ガソリン用の容量17,000ガロン(64KL)で、事故時には液の抜取り作業中だった。グーグルマップで調べると、発災タンクは直径約3.3mであるので、高さは約7.4mである。タンク型式は、外観上、コーンルーフ型固定屋根型式である。通常、内液がガソリンの場合、内部浮き屋根式であるが、詳細はわからない。

所 感 

■ 事故原因は、発災事業所のスーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、これだけでは事故状況がわかりずらい。発災写真(標題の写真)を見ると、タンクローリーらしい車両があるので、タンク内の残留ガソリンはローリーに移送していたのだろう。残留ガソリンの抜出し方法を決めた事業所の安全管理の方法と実際の抜出しを行った従業員の作業安全の方法に問題があったことは間違いない。すでに撤去を終えたタンクもあり、いままでのやり方で大丈夫だったから今回も問題ないと考えがちだが、実際の現場の安全管理に抜けがあれば、事故に至るという事例だと思う。

■ 消火戦略には積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあり、火災タンクへの泡消火活動(積極的戦略)と隣接タンクへの冷却活動を行い、適切に鎮火させたとみられる。火災タンクの保有燃料の量が少なかったし、消防活動のしやすい場所だったため、状況としては比較的消火活動が容易だったと思われる。

備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     ・Duluthnewstribune.com, Fuel tank explodes near Lincoln Park neighborhood, September  14, 2026

     ・Duluthmn.gov, Explosion and fire on corner of W Superior Street and Carlton Street, September  14, 2026

     ・Northennewsnow.com, UPDATE: Superior Fuel worker released from hospital after fuel tank explosion leads to fire in Duluth, September  15, 2026

     ・Hazardexonthenet.net, US fuel tank explosion injures worker at Duluth transfer facility, September  22, 2026

     ・Gat.report, Worker injured in fuel storage tank explosion, Minnesota, September  14, 2026

     ・Fox21online.com, New information on fuel explosion in Lincoln Park, September  15, 2026

     ・98xrocks.com,  One Injured In Fuel Tank Explosion And Fire, September  15, 2026 

     ・Kare11.com,  1 hurt after explosion at Duluth fuel transfer facility, September  14, 2026

     ・Dailydispatchi.com, One injured, roads closed after fuel tank explosion leads to fire in Duluth, September  15, 2026 

後 記: タンクのメンテナンス工事中の事故では無く、タンクの油抜取り作業中の爆発・火災というめずらしい事例で、このブログでも扱ったことがない事例です。最近の米国におけるタンク事故については内容の乏しいメディアの記事が目立っていましたが、今回は発災事業者がその日のうちに原因について発表し、これまでの状況とは違っていました。米国南部のテキサス州やオクラホマ州と違って米国の北方に位置するミネソタ州だからでしょうか、あるいは地域密着型の燃料供給会社だったからでしょうか。いずれにしても、これからは事故を活かすメディアの記事を期待したいものです。

2026年10月8日木曜日

韓国・永川市のリサイクル工場で屋外の油貯蔵タンクが爆発・火災、負傷者3名

 今回は、2026年7月31日(金)、韓国の慶尚北道永川市にあるリサイクル会社の工場において、屋外の油貯蔵タンクが爆発して火災を起こし、負傷者3名を出した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国の慶尚北道(キョンサンブクト/けいしょうほくどう)永川市(ヨンチョンし/えいせんし)新寧面(シルリョンミョン)にあるリサイクル会社の工場である。

■ 事故があったのは、リサイクル会社の工場内にある屋外の油貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026年7月31日(金)午後1時50分頃、リサイクル会社の工場内にある油を保管する屋外の油貯蔵タンクにおいて火災が発生した。
■ 消防署には、油貯蔵タンクからバーンという音とともに、煙が上がったという通報を受け、消防隊が出動した。現場に到着した時、炎と煙が激しく、勢いのある火災の状態だった。

■ 消防隊は、消防士48名のほか消防車20台と消防ヘリコプターをともない、消火活動を行った。

■ 消防隊は現場到着と同時に人がいないか捜索に乗り出す一方で、隣接する建物に火が広がることを防ぐための消防防衛線を構築した。

■ 炎が上がっていた場所には、油を保管する屋外貯蔵タンクと建物が隣接しており、火災が周辺施設に広がる可能性があった。消防関係者は、「火災の延焼と燃焼拡大を防ぐために隣接箇所を統制し、速やかに炎を掴むことに総力を傾けている」と語った。

■ 事故にともない、3名の負傷者が出た。30代男性2人、50代男性1人の計3人が火傷、擦過傷、煙吸入などで病院に移され治療を受けた。

■ 消防当局と警察は、屋外の油貯蔵タンクまたは設備で爆発が発生した後、火災が始まったとみて、正確な火災原因と安全管理の状態などを調査するという。消防関係者は、「目撃者の陳述などに基づいて正確な爆発原因と財産被害規模を調査する方針」と話した。

■ ユーチューブなどでは、事故を報じる動画が投稿されている。

 ●Youtube、「경북 영천 공장 옥외 탱크에서 폭발·화재...3명 부상 / YTN」(2026/7/31)

 ●Yna.co.kr、「경북 영천 공장서 ‘펑’ 기름탱크 화재…3명 경상」 (2026/8/1)

< 被 害 >

■ 屋外の油貯蔵タンクが焼損した。内液の油が焼失した。

■ 負傷者が3名出た。 

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は分からない。当局が調査中である。

< 対 応 >

■ 消火活動は約1時間を費やし、火災は午後2時50分頃、鎮火した。

■ 消防当局は残火を整理し次第火災原因と被害規模を調査する予定である。 

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,120万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「慶尚北道」 (キョンサンブクト/けいしょうほくどう)は、韓国北西部にあり、人口約249万人の道である。

「永川市」(ヨンチョンし/えいせんし)は、慶尚北道の南東部に位置し、人口約96,000人の市である。

「新寧面」(シルリョンミョン)は、永川市の北西部に位置し、人口約3,400人の面(行政区画の一つ)である。

■「発災タンク」は、屋外の油貯蔵タンクと報じられているだけで、タンク型式や大きさなどの仕様は報じられていない。発災事業所のリサイクル会社も名称なども報道されておらず、どのような会社なのか、屋外の油貯蔵タンクはどのような目的(事業所の燃料油や製品油なのかなど)なのかも分からない。

所 感

■ 今回の事例はリサイクル会社で起こったものである。どのようなリサイクル会社かわからないし、今回の事故では負傷者が3名出ているが、事故状況や原因に関わる事象は報じられていない。過去に“廃油リサイクル会社” で起こった事故としては、つぎのような事例がある。

 ●「韓国華城市の廃油リサイクル会社の貯蔵タンクが爆発・火災、死者1名」(2024年5月); 廃油貯蔵タンクの圧力ゲージを取り換える作業をしていたというので、何らかのミスにより、引火して爆発・火災になったものとみられる。また、爆発しているので、廃油リサイクル会社が意図して揮発性の高い油を処理したのではなく、廃油を出した側がガソリンを投入してしまったと推測される。

 ●「茨城県稲敷市の廃溶剤リサイクル処理施設で火災、死傷者3名」(2017年3月); 発災場所がエマルジョン製造棟ということであり、廃溶剤のリサイクル処理装置の一部で起ったものとみられる。装置内の設備から多量の可燃性液体が漏洩し、火災になったものではないかと推測される。

■ 今回の消防活動は、消防士48名のほか、消防車20台と消防ヘリコプターをともない、事故発生から1時間で鎮火させたと報じられている。発災箇所や油量などが分からないが、この報道が正確なら、消火活動は適切に行われたのだろう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       ・News.kbs.co.kr,  영천 공장 옥외저장탱크서 화재…3명 경상,  July  31,  2026

       ・News1.kr,  영천 공장 옥외 기름탱크 폭발 화재 46분만에 초진…부상 3명(종합),  July  31,  2026

       ・Kyongbuk.co.kr, 영천 재활용업체서 폭발 추정 화재…3명 부상,  July  31,  2026

       ・Kmib.co.kr, 영천 공장 기름탱크서 화재…3명 다쳐,  July  31,  2026

       ・V.daum.net, 영천 공장 기름탱크서 화재…3명 다쳐,  July  31,  2026

       ・News.nate.com,  경북 영천 공장서 옥외 기름탱크 폭발 화재…부상 1명,  July  31,  2026

       ・Hankyung.com,  경북 영천 공장서 불…"기름탱크서 펑 소리“,  July  31,  2026

       ・Segye.com, “펑 소리 나더니 검은 연기”… 영천 공장서 기름탱크 폭발 추정 화재, 인명 피해는 없어,  July  31,  2026


後 記: 今回の韓国の事例報道をブログにまとめて感じたことは、韓国では事例を今後に活かそうという気持ちが伝わってこないことです。“韓国のある場所で火災が起こり、消防隊が消火させた” という記事に過ぎません。もともと韓国では、発災事業所の名前を報じませんし、情報量が少なく、今回はグーグルマップで場所を特定できませんでした。メディアによっては下のような夜の火災写真が添付されていました。最近の「韓国の華城市にある廃油処理施設で屋外タンクが爆発・火災、負傷者1名」(2026年9月)の後記では“韓国でもメディアの人不足が深刻なようです”と書きましたが、人の数ではなく、報道の質が低下していますね。


 

2026年10月2日金曜日

ブラジルのサンパウロ州の化学工場でタンク火災、住民約150名が避難

 今回は、2026年8月4日(火)、ブラジルのサンパウロ州イタクアケセトゥバにあるケマ・キミカ社の化学工場で、溶剤タンクなどが火災や爆発を起こし、鎮火までに約33時間かかり、住民約150名が避難したという事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、ブラジル(Brazil)のサンパウロ州(São Paulo)イタクアケセトゥバ(Itaquaquecetuba)にあるケマ・キミカ社(Quema Química)の化学工場である。工場では、溶剤とポリエステル系樹脂を製造している。

■ 事故で影響があったのは、化学工場内にある溶剤貯蔵タンクである。工場には、メタノール、エタノール、アセトン、トルエン、ヘキサンなど約200万リットル(2,000KL)の製品が保管されていた。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026年8月4日(火)午後3時過ぎ、ケマ・キミカ社の化学工場で火災が発生した。火災が拡大して爆発が起こった。

■ 住民から工場敷地内で複数の爆発音が聞こえたとの通報を受け、消防隊が出動した。消防隊は18台消防車とともに現場に向かった。

■ 消防隊は、火災の消火と、ほかの貯蔵タンクや工場区域への延焼防止に努めた。消防署は「火災は揮発性物質を貯蔵したタンクが関係している」と述べている。

■ 工場内にはメタノール、エタノール、アセトン、トルエン、ヘキサンといった引火性の高い可燃性物質が約200万リットル(2,000KL)貯蔵されており、これらに次々と引火していった。 火災は激しさを増し、数km先からも見えるほどの濃い黒煙の柱を発生させ、爆発を引き起こした。電力会社は工場への送電を停止した

■ 工場からは巨大な炎が轟音を立てて噴き上がり、黒煙が100フィート(約30m)以上も空高く立ち昇り、火災現場では、可燃性物質を入れたドラム缶が空中に投げ上げられた。

■ 住民のひとりは、「あの化学工場で火災が発生しました。今でもあちこちで爆発が起きています」と語った。別な住民は、「私は家にいたのですが、突然爆発音が聞こえました。何が起こっているのか外に出てみると、化学工場が火事になっていました。火の勢いが非常に強く、すぐには消えそうにありません。かなり時間がかかりそうです」と語った。

■ 工場では、溶剤とポリエステル系樹脂を製造しており、現場には大量の可燃物が存在するため、消火活動は難航した。工場には24基の容量約30KLの溶剤貯蔵タンクのほか、5000リットルタンク6基、200リットルのドラム缶、100個以上のIBC型コンテナなどが保有されていた。

■ 大規模の火災になったため、近隣の住宅や工場からの避難が余儀なくされ、当局は近隣住民約150人を避難させた。

■ 消防隊は、事態を収拾するために長時間の消火活動を行った。消防士たちは夜通し現場に留まり、翌日も大規模な火災の鎮火に努めた。

■ 夜の駐車場から撮られた爆発時の映像には、巨大な火球と濃いオレンジがかった煙が暗い空に高く立ち昇る様子が捉えられていた。

■ 溶剤の可燃性物質を貯蔵する複数のタンクが巻き込まれて火災になり、 敷地内のタンクが爆発したほか、流出した可燃性物質が公共の雨水排水系に流れ込んだことで、道路中央にあるマンホールが次々と吹き飛ぶという異例の事態が発生した。通行人が爆発の一つで吹き飛ばされたと報じられている。

■ 当局は、現場周辺を封鎖し、消防隊が危険がなくなったと宣言するまで電力供給は再開されないと発表した。

■ 事故にともなう死傷者は無かったと大半のメディアは報じたし、事故後の事業者の発表でも、従業員には負傷者はいなかったという。一方、メディアの中には、21名の負傷者が出たと報じている。

■ 施設内には溶剤用のタンクやドラム缶などがあり、火災を絶えずあおっているため、消火活動は非常に複雑かつ危険だった。さらに、工場は揮発性や可燃性物質を集中する工業地帯に位置しており、爆発のリスクが影響を高め、封じ込め作業を困難にした。

■ ユーチューブでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

   ●YouTube、「Incêndio destrói indústria química em Itaquaquecetuba」(2026/8/6)

   ●YouTube、「Incêndio de grandes proporções atinge indústria química em Itaquaquecetuba (SP) 」(2026/8/6)

   ●YouTube、「SP: explosões assustam moradores e incêndio em fábrica química passa de 13 horas」(2026/8/6)

   ●YouTube、「Helicóptero do SBT mostra como ficou fábrica após incêndio devastador em SP |」 (2026/8/6)


被 害

■ 化学工場の施設が全焼した。保有していた200万リットル(2,000KL)の

タンクは容量30KLタンク24基、5000リットルタンク6基、200リットルのドラム缶、100個以上のIBC型コンテナがあったが、内部の油の焼失とともに損傷したものと思われる。

■ 施設の従業員に死傷者は出なかった。しかし、メディアによって負傷者21名と報じられているので、住民に被害が出た可能性がある。

■ 住民約150名が避難した。

■ 大気汚染が生じたと思われる。また、公共の雨水排水系に油類が流出し、排水管が爆発した。

< 事故の原因 >

■ 最初の火災の原因は不明で調査中である。


< 対 応 >

■ 火災は水曜日の朝(8月5日)には近隣の建物への延焼の危険はなくなったが、工場内にはまだ火が残っていた。消防署によると、火災は火曜日の午後9時頃に封じ込められ、延焼の危険はなくなったと発表した。

■ 最終的には、消防車30台以上、90名以上の消防士が動員され、鎮火までに約33時間を要した。火災は火曜日(8月4日)の午後から始まり、木曜日(8月6日)の午前0時10分まで続いたことになる。

■ 火災は、工場をほぼ全焼するほど激しいものだった。

■ 火災の原因と爆発に至った経緯については、現在も調査中である。当局は火災の原因をまだ特定していない。火災が完全に鎮火し、現場の安全が確認され次第、調査が開始される予定だという。

■ 今回の事故のあと、メディアの中に「ブラジルの溶剤貯蔵タンク」についてつぎのような指摘をしている。
 ●「溶剤貯蔵タンクはABNT NBR 7821(Tanques soldados para armazenamento de petróleo e derivados;「石油および石油製品を貯蔵するための溶接タンク」)に準拠する必要がある。これは基本的に“ブラジル・ポルトガル語で簡略化されたAPI Std 650” (Welded Tanks for Oil Storage) であるが、ブラジルではAPI Std 650のみに従うことが一般的に認められている。しかし、事故のタンクは工場組立タンクであり、タンク屋根がフランジ付きで屋根と側板の接合部が突合せ溶接されている限り(API Std 650 - Annex Jと同様)、トップアングルは不要だが、そうではないようである。

 ●API  Std 650によれば、爆発時を考慮した“弱くした屋根”の設計には、トップアングルのスケッチ、接合部の断面積、屋根をトップアングルに取り付けるための単一のすみ肉溶接の使用、アンカーなどに関する非常に具体的な要件がある。これらの要件のため、“弱くした屋根”は工場組立のタンクでは実現不可能である。ABNT NBR 7821 は“弱くした屋根”についてあまり詳しく規定していないが、この設計はブラジルの基準にも適合しないと思われる。 

 ●今回の事故で多くのタンク屋根は、設計がかなり自由奔放だったにもかかわらず、脆弱な挙動を示した。推測では、脆弱性の断面積制限に準拠するために上部の角度が省略されたが、屋根はすみ肉溶接で取り付けられていた。少なくとも 2基のタンク屋根は、縦方向の突合せ溶接に沿って中央部で大きな破損があったが、屋根と側板の接合部は無傷のままだった。

 ●ウェブサイトには、タンク屋根に圧力逃がし弁が写っている写真があった。おそらくフレームアレスターが装備されていると思われる。少なくとも API Std 650 に従って不十分な“弱くした屋根”の設計を即席で行うのではなく、圧力安全弁や緊急圧力逃がし弁を使用していれば、タンクの実装コストは高くなるが、被害の程度は軽減できたと思われる。

 ●化学工場の施設内には、巨大な消火用水タンクがあるようだが、火災発生時にタンクを冷却するためにこの水をタンクの近くに送るシステムはなかったと思われる。

補 足

■「ブラジル」(Brazil)は、正式にはブラジル連邦共和国で、南アメリカに位置し、人口約2億1,200万人の連邦共和制国家である。首都はブラジリアである。

「サンパウロ州」(São Paulo)は、ブラジル南東部に位置し、人口約4,440万人の州で、州庁所在地はサンパウロ市である。

「イタクアケセトゥバ」(Itaquaquecetuba) は、単にイタクアとも呼ばれ、サンパウロ州の南東部に位置し、人口は382,000人の自治体である。

■「ケマ・キミカ社」(Quema Química)は、 2002年に設立され、当初は溶剤の製造・販売から事業を開始した。現在では、ポリエステル系樹脂の製造・販売も行っている。事故のあったイタクアケセトゥバ工場は同社で最も歴史が古く、約24年間操業を続けている。ケマ・キミカ社はブラジル国内に他にも施設を所有しており、支店はブラジル南部とミナスジェライス州カンブイにある。

■「発災タンク」は、化学工場に保有している容量30KLタンク24基、5000リットルタンク6基、200リットルのドラム缶、100個以上のIBC型コンテナのいずれかとみられるが、どのタンク類か特定はできない。

 注;IBC型コンテナとは、液体や粉体を効率よく保管・輸送するための約1,000リットルの

中型容器(Intermediate Bulk Container)で、ほかに中間バルクコンテナやタンクパレットと呼ばれる。最大の特長は、1基あたり約1,000リットルという容量を有しながら、フォークリフトによる機械荷役が容易なパレット一体型構造を採用している。

所 感 

■ 今回の事故は、化学工場が全焼するほどの大きな火災だった。しかし、原因をはじめ事故経緯はよくわからない事例である。可燃性物質が公共の雨水排水系に流れ込んだというので、周辺のインフラにも影響を及ぼしている。これは工場の施設(タンクまたは配管)から可燃性物質が流出したものと推測できる。

 グーグルアースによると、タンク群の北側にあるのが溶剤の充填場と思われるので、ドラム缶またはIBC型コンテナの充填系統の溶剤配管から何らかの要因で流出して電気系統などの引火源によって火災になったのではないだろうか。

■ 負傷者がいなかったとすれば、事故の激しさを考えれば、せめてもの救いである。しかし、公共の雨水排水系のマンホールが噴き飛ぶという事態が発生し、通行人が吹き飛ばされたと報じられており、けが人が出たのではないだろうか。また、火災は鎮火までに約33時間を要しており、体調不良で病院の診察受けた人がいるのではないだろうか。

■ 消防活動について報道では、“消防隊は、火災の消火と、ほかの貯蔵タンクや工場区域への延焼防止に努めた”と報じられている。消火戦略は、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあり、積極的戦と防御的戦略の消火活動をとったかのような印象になっている。しかし、被災写真を見ても火災終盤を除いて積極的戦略や防御的戦略をとったように思えない。現場にはドラム缶などに入った可燃性物質がそこら中にあり、何度も爆発を起こしており、消防隊の消防士の安全を考慮しなければならない。火災の初期から中盤は不介入戦略をとったものと思われる。消防資機材(特にスクアート車など)の保有状態が分からないが、資機材が不十分であれば、不介入戦略をとったのは適切な判断だったといえよう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     ・Hazardexonthenet.net, Brazil chemical plant fire involves multiple explosions,  August  7, 2026

     ・Aljazeera.com, Massive fire at chemical factory forces evacuations in Brazil,  August  5, 2026

     ・Reutersconnect.com, Brazil: Chemical Factory Engulfed By Massive Fire As Towering Flames Light Up Night Sky,  August  7, 2026

     ・Viory.video, Chemical chaos - Huge blaze at Quema Química plant forces evacuation of 150 people in Sao Paulo,  August  5, 2026

     ・Independent.co.uk, Fireball erupts at chemical factory as blaze prompts evacuations,  August  5, 2026

     ・Joiff.com, BRAZIL – Large Fire Erupts at Solvent Factory in Greater São Paulo,  August  5, 2026

     ・Thesun.co.uk, PLANT INFERNO Huge blaze burns through chemical plant as dozens of fire engines called to scene and 150 locals evacuated,  August  5, 2026

     ・Eng-tips.com, Massive fire destroys chemical plant in Brazil,  August  6, 2026

     ・G1.globo.com, Indústria química destruída por incêndio funciona há mais de duas décadas em Itaquaquecetuba,  August  5, 2026

     ・Dailybeirut.com, Brazilian Chemical Plant Fire Triggers Multiple Explosions, Evacuates 150,  August  6, 2026


後 記: 初めて事故の報道を知ったときには、化学工場の通常的な事故だと思いました。インターネットで調べ始めても、大手メディアの情報も化学工場で事故があり、負傷者は無いというもので、最初のうちはそれほど変わりありませんでした。しかし、調べていくうちにドラム缶やIBC型コンテナなどを含むタンク火災で、これまでに扱ったことのない事故だと分かりました。火災時の被災写真は多くありましたが、火災後の事業所が全焼し、数多くのドラム缶が散乱している様子はこれまでに無い事故の写真で驚きました。ブラジルの事故報道は時系列がはっきりせず、内容は事業所寄りの見方の記事が多いのですが、被災写真は秀逸だと思います。