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2026年3月6日金曜日

ブラジルでエタノールタンクの保全工事中に爆発、死傷者3名

 今回は、2026222日(日)、ブラジルのリオデジャネイロ州ボルタレドンダ市にあるビブラ・エネルジア社の燃料供給基地にあるエタノールタンクについて真夜中の保全工事を行っていたところ、タンクが爆発を起こして3名の死傷者を出した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、ブラジル(Brazil)リオデジャネイロ州(Rio de Janeiro)ボルタレドンダ市(Volta Redonda)にあるビブラ・エネルジア社(Vibra Energia)の燃料供給基地である。ビブラ・エネルジア社はペトロブラス系で旧ペトロブラス・ディストリビュードラである。

■ 事故があったのは、燃料供給基地にある容量2,000KLのエタノール貯蔵タンクである。事故当時は約350KLの製品が入っていた。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026222日(日)午前1時頃、燃料供給基地内にあるエタノール貯蔵タンク1基が爆発し、火災を起こした。

■ 発災にともない、ビブラ・エネルジア社の消防隊が出動した。

■ 爆発当時、現場では工事請負会社の従業員3名が作業していた。ビブラ・エネルジア社によると、爆発は設備のメンテナンス中に発生し、現場で溶接などの工事が行われていたという。

■ 事故にともない、ひとりが負傷し、2名が行方不明となっている。行方のわからないふたりは、事故発生時にタンク内もしくはそのすぐ近くにいたのではないかという。

■ ブラジルの国営石油庁(ANP)は、ビブラ・エネルジア社に対してボルタレドンダ地域の燃料供給基地の活動停止を命じた。

■ この活動停止に対してビブラ・エネルジア社は、「この地域では供給不足のリスクはありません。当社は既に顧客へのサービス提供のため代替物流ルートを稼働させており、供給拠点は別な供給基地に移す予定です」と語った。

■ 事故にともない、半径300m以内に住む周辺地域の住民41世帯118名が予防措置として避難させられた。ビブラ・エネルジア社は、ボルタレドンダ市役所と連携して住民にホテルの宿泊施設と交通手段を提供した。

■ ボルタレドンダ市役所によれば、タンクは容量2,000KLで、内液はアルコール(エタノール)で、事故当時は約350KLの製品が入っていたという。

■ ビブラ・エネルジア社の消防隊と消防署は協力して火災の制圧作業を行った。

■ 事故による地域の環境への影響はなかった。

■ ユーチューブでは、タンク事故のニュースを伝える動画が投稿されている。

 ●Youtube Explosão em tanque de combustível deixa um ferido e 2 desaparecidos no RJ | AGORA CNN2026/02/23) ・・・・Youtubeの翻訳機能を使えば、日本語訳が出てくる

被 害

■ 容量2,000KLのエタノールタンクが損壊した。内部のエタノールが一部焼失した。

■ 被災者3名が発生した。内訳は死者2名、負傷者1名である。

■ 近くの住民41世帯118名が避難した。

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は調査中である。タンクの爆発は、真夜中におけるタンク設備への溶接作業によるものとみられる。  

< 対 応 >

■ ボルタレドンダ消防署(第22消防大隊)は約30名を動員し、危険区域の捜索と監視を行うため、サーマルカメラを搭載した9台の特殊車両とドローンを出動させた。

■ 消防隊によって火災は消し止められ、再燃を防ぐため、影響を受けたタンクの冷却作業が行われた。

■ この地域の交通は通常通り運行し始めた。

■ しかし、火災直後に出てきた最大の課題は、火災そのものではなく、タンク内に残っていた約350KLのエタノール燃料だった。行方不明者の捜索のため、損傷したタンク内に入る前に、この燃料を除去する必要があった。

■ ビブラ・エネルジア社は、消防署と協力して、被害を受けた貯蔵タンクから残りの製品をタンクローリーに積み替え、別な拠点に輸送すると語った。残っていたエタノールの移送作業はタンクローリーで開始されたが、厳格な安全基準のもとで進められ、予想よりも遅れた。最初の数時間で少なくとも180KLが移送された。移送を完了するために、タンクローリー以外の車両も投入された。

■ 223日(月)朝、行方不明となっていた28歳と29歳の男性2名は、タンク内で死亡しているのが発見

された。

■ ビブラ・エネルジア社は関係当局とともに事故の原因を調査中だと述べた。

■ 避難した118名は自宅に戻った。

■ タンク爆発は突然起こるものではない。ほとんどの場合、誤った判断、警告の無視、手順の不備が積み重なり、火花、人為的ミス、設備の故障といった誘因が起こり、最終的に炎と煙へと変化する。

 ボルタレドンダ事故の調査では、その日に何が起こったかだけでなく、タンクTQ-1310の保守履歴、検査記録、溶接作業に関する安全文書、外注作業員の訓練、そしてビブラ・エネルジア社と作業員派遣会社との間の契約管理についても調査する必要がある。こうした包括的な情報に基づいて初めて、事故の真の原因を解明し、さらに重要なこととして、再発防止を図ることができる。

■ 今回の燃料産業の事故について、メディアの中には、つぎのような見解を述べているところがある。

 ● ボルタレドンダ事故は、燃料産業の歴史における孤立した出来事ではない。むしろ、過去数十年にわたり、様々な国や状況で発生してきた一連の悲劇の一部であり、その原因は常に不安を掻き立てるほどの規則性で繰り返されている。安全手順の不備、生産性へのプレッシャー、不適切なアウトソーシング管理、そして不十分な監督といったものである。

 ● ボルタレドンダのような産業事故において、あまり議論されていないことのひとつが、住民の避難のロジスティクスと責任である。危険な施設の近くに住んでいない人にとっては、人々は避難する必要があるという単純な話に思えるかもしれない。しかし、実際には、そのプロセスははるかに複雑で、技術的、法的、そして人道的な一連の決定が、今回のように真夜中に十分な情報がないまま迅速に行われなければならない。

 ● 避難の決定と避難区域の半径は、まず消防署の専門家、特に危険物処理グループによって決定される。専門家は、燃焼源の種類と量、気象条件、ベーパーの挙動に影響を与える地形、そして損傷したタンクなどの構造物の状態といった一連のパラメータを用いて安全範囲を計算する。

 ● ブラジルでは、産業事故後の避難に関して重要な前例がある。2019年、ヴァーレ社が所有するミナスジェライス州のブルマジーニョダムの決壊は、ブラジル史上最大級の悲劇のひとつで、270人が死亡、数十のコミュニティが影響を受けた。

 ● 性質は異なるが、今回の事例は、危険な施設と居住地域が近接していることが社会および公共管理における時限爆弾となることを明らかにした。2024年には、サンパウロ州内陸部の工場でアンモニア漏れが発生し、近隣地域全体が避難を余儀なくされた。これは、多くの自治体における化学物質による緊急事態への備えの不足を浮き彫りにした。

補 足

■「ブラジル」(Brazil)は、正式にはブラジル連邦共和国で、南アメリカに位置する人口約21,200万人の連邦共和制国家である。首都はブラジリアである。

「リオデジャネイロ州」(Rio de Janeiro)は、ブラジル西部に位置し、大西洋に面した人口約1,700万人の州である。

「ボルタレドンダ」(Volta Redonda)は、リオデジャネイロ州の西に位置し、人口約27万人の都市である。

■「ビブラ・エネルジア社」(Vibra Energia)は、旧ペトロブラス・ディストリビュードラ(Petrobras Distribuidora)で、ブラジル最大手の燃料・潤滑油販売会社である。全国に8,000以上のガソリンスタンドを有し、再生可能エネルギーを含めた持続可能なエネルギーソリューションへ事業を拡大している。ビブラ・エネルジア社は、2019年にペトロブラスが株式の71%を市場に売却して民営化し、その後、独立して事業を展開し、2021年に今の社名に変更した。

 ボルタレドンダにある燃料供給基地(ターミナル)は、9基の貯蔵タンクがあり、総容量は28,000KLである。この地域の販売会社へエタノール、軽油、ガソリンなどの供給を行っている。

 この燃料供給基地が住宅地の近くに位置しているという問題は、ブラジルの都市計画において最も古く、かつ未解決の問題のひとつである。これらの産業施設のほとんどは、都市が今より小規模だった数十年前に建設された。無秩序な都市成長によって住宅地が産業やターミナル周辺の地域にまで広がってきた。今日では、こうしたインフラストラクチャーが、人口密度の高い地域に埋め込まれてしまっている。

■「発災タンク」は容量2,000KLで、発災時は350KL(容量の約17%)入っていたと報じられている。被災写真からコーンルーフ式の固定屋根型円筒タンクである。グーグルマップ(ストリートビュー)で調べると、タンク番号“TQ1310” によって燃料供給基地の北東側にあるタンクだとわかった。このタンクの直径は約13mであり、容量2,000KLから高さは15mとなる。発災時の液位は約2.6mである。

■「エタノール」(エチルアルコール; C2H6O)は、引火点が約13℃で揮発性が高く、室温でも可燃性ベーパを容易に放出し始める。このベーパーが電気火花、溶接火花、裸火などの発火源に接触すると、激しい爆発を引き起こす可能性がある。爆発限界は、空気中で約3.319.0vol%である。

 また、エタノールには消火を困難にする特殊な特性があり、エタノールは水に溶ける性質がある。すなわち、水ではエタノール火災を消火できないだけでなく、場合によっては液体と混ざることで可燃性ベーパーの拡散を助長する。今回の事例では、蒸発によって発生したベーパー量は、タンク内部に爆発性雰囲気を生成するのに十分すぎるほどだった。なお、ブラジルは米国に次いで世界第2位のエタノール生産国であり、この燃料はガソリンスタンドなど様々な産業用途で使用されている。

■「エタノール火災の消火」には、AR-AFFF(耐アルコール性)と呼ぶ特殊な消火泡を用いる。この泡は燃焼液の表面に膜を形成し、酸素を遮断し、ベーパーの発生を抑える。ブラジルの多くの消防署では、アルコール専用泡の不足が消防業界の既知の問題となっている。  

■「ブラジルの規制基準」 ブラジルの法律、特に労働雇用省の規制基準20NR-20)は、可燃性および可燃性液体のある環境での作業に関して厳格な要件を定めている。溶接、切断、研磨、その他の熱、火花、炎を発生させる作業を行うための要件には、作業許可証の発行、適切な機器を用いた環境中の可燃性ベーパー濃度の測定、機器の完全な隔離、特定の個人用保護具の使用、そして作業中は訓練を受けた監視員の立会いなどが含まれる。

 作業許可証は、すべての安全条件が満たされていることを確認した後、活動の実行を許可する文書である。資格を有する専門家によって発行され、有効期間は通常1シフトに限定され、シフトごとに更新する必要がある。さらに、ガス濃度の変動やタンク操作の変更など、環境条件に変化があった場合は、状況の再評価が行われるまで活動を直ちに中断する必要がある。

 ブラジル規制基準NR-20では、可燃性リスクのある環境で作業を行う労働者は、特定の定期的な研修を受けなければならないこと、また、請負者や下請業者を含む雇用主は、安全基準の遵守について共同責任を負うことが規定されている。

 今回の事例の疑問点は、222日の早朝(真夜中)の溶接作業に有効な作業許可証が発行されていたのか、そして作業開始前に大気測定が行われたのかという点である。

所 感

■ 事故の原因は調査中であるが、「タンク内外の火気工事における人身事故を防ぐ7つの教訓」20117月)を問う以前の問題であるように思う。日本から見れば不可思議な事例である。なぜ真夜中の午前1時頃に火気工事を行わなければならなかったのか、なぜ代替手段で対応できなかったのか、なぜタンク屋根付近の工事で二人がタンク内に落ちたのか(入ったのか)、というような疑問が出てくる。

 しかし、夜中にタンク設備で不具合が見つかった場合に、どのような対応をとるかということを考えるに良い事例であろう。

■ 消火活動はビブラ・エネルジア社の自衛消防隊によって行われ、公設の消防署が協力したと思われる。しかし、その活動自体がどのようなものだったかは報じられていない。タンクには、固定泡消火設備が設置されており、被災写真でも被害は受けていないようなので、 AR-AFFF(耐アルコール性)の特殊な消火泡が投入されて消されたものだろう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Marketscreener.com, Brazil's ANP shuts down Vibra fuel base after ethanol tank explosion leaves one injured, two missing,  February 24,  2026

     Qcintel.com,  Rio de Janeiro ethanol unit shut down following explosion,  February 24,  2026

     Cnnbrasil.com.br, Explosão em tanque de combustível deixa um ferido e 2 desaparecidos no RJ,  February 24,  2026

     G1.globo.com, Explosão em tanque de combustível em Volta Redonda: o que se sabe e o que ainda falta esclarecer,  February 23,  2026

     Novacana.com, O que pode ter provocado a explosão que matou dois trabalhadores da Vibra,  February 26,  2026

     Veja.abril.com.br, Corpos de desaparecidos em explosão de tanque de combustível no Rio são encontrados,  February 23,  2026

     Estadao.com.br, Explosão em tanque de combustível leva à evacuação de 118 moradores em Volta Redonda,  February 23,  2026

     Economia.uol.com.br, Explosão em tanque da Vibra no RJ deixa um ferido e dois desaparecidos; ANP determina interdição,  February 23,  2026

     Usebaratao.com.br, Explosão em Volta Redonda: A Tragédia da Vibra Energia,  February 23,  2026


後 記: 本当に不可思議な事例です。まったく基本を無視したようなタンク事故です。報道でもブラジルという国がよくわかりません。事故から2日目には詳細な見解を述べているところが現れています。このアンバランスさは何でしょうね。

 メディアの写真の中には、下のような事故後の画像がありました。今回の事故は被災写真があまりなかったので、目につきました。ところが、“AI(人工知能)によって作成された画像という説明があり、フェーク写真とわかりました。消防車や見物人を入れてうまく出来た画像です。出来過ぎの画像なので気が付きますが、巧妙なものだったら、わからないでしょうね。


2026年2月28日土曜日

韓国の大韓オイルパイプライン社の慶山石油貯蔵所でガソリンタンクが爆発・火災

 今回は、2026210日(火)、韓国・慶尚北道の慶山市の大韓オイルパイプライン社の慶山石油貯蔵所にあるガソリン・タンクが爆発し、火災となった事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国・慶尚北道(キョンサンブクト/けいしょうほくどう)の慶山市(キョンサン・シ/けいざん・し)河陽邑(ハヤンウプ)にある大韓オイルパイプライン社(Daehan Oil Pipeline Corp.; DOPCO; 大韓送油管公社)の慶山石油貯蔵所である。

■ 事故があったのは、石油貯蔵所のガソリン・タンクである。円筒式タンクの容量は3,300KLで、発災当時は約80%の2,500KLが貯蔵されていたという。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026210日(火)午前8時前、石油貯蔵所のガソリン・タンクが爆発して火災が発生した。

■ タンク屋根が破損し、火災の炎が空に舞い揚がり、黒煙が空高く上がり、遠いところからでも肉眼で確認されるほどだった。

■ 突然の轟音に驚いた近くの住民たちは、急いで家を飛び出した。民家とわずか100mしか離れていない貯蔵タンクが爆発して火災が発生していた。近くの住民は 「見てわかるように私の家は150mの距離しかないのですから火の粉がこちらに飛んでくることも考えられますよ。だから私は何か飛んでくるのに備えていました」と語った。

■ 事故現場の近くには住宅地や山野があり、近くの3050世帯の住民は万が一に備えて避難しはじめた。

 消防署には、バンという大きな音がしてタンク火災が起こったという通報が寄せられた。

 発災にともない、消防署の消防隊が出動した。

■ 固定屋根式タンクのコーンルーフが爆発で外れて火災になっていた。事故タンク周辺には同じくらいの貯蔵タンク10余基が設置されており、燃焼が拡大すると大きな火災につながる可能性があった。

■ 出動した消防隊は、消防士104名、ポンプ車8台、消防ヘリコプター1機とともに化学消防車を投入した。油火災であるため、水では消火ができないので、泡薬剤を使用した。

■ 石油貯蔵所入口では、職員が外部の人が近づいたり、携帯電話で撮影をすることを妨げていた。職員は外部の人々の身元を確認し、「ここでむやみに写真を撮ってはならない」と警告した。慶山市役所職員や雇用労働部職員など所属を明らかにした人々だけが慶山貯蔵所の中に急いで入った。空では出動した消防ヘリコプターが上空を飛び回っていた。

■ 消防関係者によると、油流出はなく、火災の燃焼拡大の心配はない状態だと語った。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。

 タンクに製品が入ってくると、油の成分を確認するため、サンプル採取作業を行う。事故当時、現場でサンプル採取作業の担当者はすぐに避難した。作業者は爆発でズボンに火がついたが、すぐに逃げたため、ケガはなかった。

■ ユーチューブでは、発災時のニュースを報じる動画が投稿されている。

 Youtube「경산 송유관공사 유류 저장 탱크 폭발·화재2시간 50여 분 만에 완진 / KBS2026/02/10

 ●Youtube「경휘발유 250담긴 탱크 폭발...화재 진화 완료 / YTN2026/02/10

 ●Youtube[자막뉴스] ‘ 터지더니 큰 불기둥이경산 송유관공사 유류탱크 폭발 | 이슈픽2026/02/10) ・・・この動画には監視カメラによる爆発の瞬間の画像がある

・・・いずれも韓国語の動画であるが、Youtubeの翻訳機能を使えば、日本語訳が出てくる

被 害

■ 容量3,300KLのガソリン・タンクの屋根が噴き飛び、火災で損傷した。内部のガソリンが一部焼失した。  

■ 負傷者はいなかった。

■ 近くの住民3050世帯が避難した。

< 事故の原因 >

■ 消防当局は、作業者がタンクに貯蔵する油の成分を確認するためにサンプルを採取し、静電気が発生して爆発が起こったと推定している。消防署と警察は火災の原因などを調査する計画だという。

< 対 応 >

■ 事故発生初期、石油貯蔵所の固定消防設備が作動したことで、火が急速に弱まった。消防当局は、タンクに設置された泡消火設備(発泡噴射型消火施設)が作動し、初期の大きな炎が泡消火の効果が現れたと見ている。 

■ 消防隊は、発災から2時間半後の午前1030分頃に火災を制圧し、消火した。

■ 火災の再発の懸念に備えて、タンクに残留していたガソリンを他のタンクに移送する作業を行った。移送は約5時間かかる見込みだという。

■ 消防当局は、作業者がタンクに貯蔵する油の成分を確認するためにサンプルを採取し、静電気が発生して爆発が起こったと推定している。一方、消防と大韓オイルパイプライン社側は、マスコミブリーフィングで貯蔵タンクの上から入荷したガソリンのサンプル採取作業を行っている間に発生した静電気が油ベーパーに接触して爆発したと推定した。

■ 発災施設は100万バレル未満(16KL)で規模が大きくなく、国家重要施設から除外されていた。消防署と警察は、火災の原因などを調査する計画だという。国家重要施設から除外された2018年の京畿高陽石油貯蔵所爆発事故の時のように安全設備や出入管理などに問題があったのではないかみている。


■ 大韓オイルパイプライン社が運営するこの施設は、精製会社で作られた石油製品をガソリンスタンドに届ける前に一時的に保管する場所である。ここでは、毎年、大型石油貯蔵タンク火災や建物崩壊など複合災害発生を想定した災害対応訓練が開かれている。

■ 大韓オイルパイプライン社(大韓送油管公社)が管理するガソリン・タンクで爆発火災が起きたのは、2018年京畿道高陽石油貯蔵所爆発事故以来7年余りである。当時、消防施設の問題や安全管理が指摘されている。(当事故についてはブログ「韓国の石油貯蔵所で半地下式ガソリンタンクの爆発・火災」201810月)を参照)

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,114万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「慶尚北道」(キョンサンブクト/けいしょうほくどう)は韓国の西部に位置し、人口約255万人の道である。慶尚北道は慶北(キョンブク)と略されることもある。

「慶山市」(キョンサン・シ/けいざん・し)は、慶尚北道の南部に位置し、人口約26万人の都市である。

■「大韓オイル・パイプライン社」(Daehan Oil Pipeline Corp.; DOPCO) は、1990年に設立された韓国の石油エネルギー輸送会社である。韓国の送油管の所有および運営のために設立されたのち、2001年政府持分を石油精製会社別に分割売却して民営化された。大韓オイル・パイプライン社は1,116kmの送油管を通して韓国内の石油(ガソリン・軽油・灯油・航空油)の消費量の約58%を埋設配管で輸送し、貯蔵所で保管する運営専門会社である。貯蔵所は12箇所の拠点地域にあり、合計522万バレル(83KL)の石油類の備蓄が可能である。「大韓オイル・パイプライン社」は「大韓送油管公社」と訳されることがある。慶山市には石油貯蔵所がある。

■「発災タンク」は、コーンルーフ式の固定屋根型タンクで、容量は3,300KL、発災当時約80%の2,500KLを貯蔵していたと報じられている。グーグルマップで調べると、直径は約17mであるので、高さは約15mである。発災当時の容量2,500KLとすれば、液位は約12mである。この施設の貯蔵タンクのオープン・ベント(大気ベント)は、環境上の考慮からかタンク群のベント部をつないでタンク側板下部に持っていっていると思われる。

所 感

■ 事故の原因は、消防当局によると、作業者がタンクに貯蔵する油の成分を確認するためにサンプルを採取し、静電気が発生して爆発が起こったと推定しているという。しかし、この推定については疑問がある。タンク上でサンプル採取中、静電気によって爆発が起こったとすれば、作業者は逃げる時間的余裕は無い。監視カメラによる爆発の瞬間を撮った画像でも、爆発は瞬時に発生しており、またタンク上に人影は見えない。 

 発災は、タンク気相部に形成した可燃性ベーパーが他のタンクと共通の大気ベント管の出口部に流れ、そこで何らかの引火源(静電気など)で発火し、タンク気相部の爆発性混合気が爆発したのではないだろうか。

■ タンクの固定消火設備は半固定式泡消火設備だったと思われる。発災初期に自動で泡消火設備が作動したのではなく、防油堤外から泡消火設備の配管に泡薬剤を投入したものだろう。ただ、爆発で外れたタンク屋根が1基の泡モニターに損傷を与えて、残り(1基)の泡モニターしか機能しなかったとみられる。被災写真を見ると、消火用泡がタンク液面の全表面に届かず、燃焼面を覆うことができなかったと思われる。このため、本来タンクの泡消火設備が機能しておれば、もっと短時間で消火できたものが長い時間かかった。しかし、タンクの固定消火設備があったので、ほかのタンク群への延焼が回避できたという評価はできる。

 ■ 一方、この貯蔵所のタンク配置はアクセス性が極めて悪い。被災写真の消防車の配置を見ても、2台がやっと近づき得るような道路である。直径17m級のタンクの全面火災であれば、日本の法令の三点セットの能力(放水能力3,000L/分の大型化学消防車+スクワート車)があれば、消火できる規模のタンク火災だったが、タンクの固定消火設備を過信し、消防車は不要と考えているとしか思えない。 


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       Ytn.co.kr,  휘발유 250ℓ 담은 탱크 폭발..."화재 진화 완료,  February  10,  2026

       V.daum.net,  대한송유관공사 유류탱크 폭발 화재완진’···인명피해 없어,  February  10,  2026

       News.kbs.co.kr, 경산 송유관공사 저장탱크 폭발정전기 원인 추정,  February  11,  2026

       Joongang.co.kr, 경산 송유관공사 330L 유류탱크 폭발"정전기 원인 추정,  February  10,  2026

       Tbc.co.kr,  경산 송유관공사 기름 탱크 폭발..대형사고 이어질 뻔,  February  10,  2026

       Yna.co.kr,  경산 송유관공사 유류탱크 화재2시간 만에 진화,  February  10,  2026

       Ichannela.com,  휘발유 250들어있는데탱크 폭발에 아찔,  February  10,  2026

       M.sedaily.com,  경산 송유관공사 기름탱크 폭발대형사고 이어질 뻔,  February  10,  2026

       News.nate.com,  경북 경산 송유관공사 옥외탱크 폭발로 화재,  February  10,  2026

       Munhwa.com,  경산 송유관공사 옥외탱크 화재 3시간만에 진압,  February  10,  2026

       News1.kr,  경산저유소 탱크 폭발, 샘플 채취 과정서 '정전기' 추정,  February  10,  2026

       Jeonmae.co.kr,  경산 송유관공사 휘발유 저장탱크 폭발·화재7년 만에 재발,  February  10,  2026

       Newsis.com,  경산 송유관공사 저장탱크 폭발 화재, 관계기관 합동감식,  February  12,  2026


後 記: 今回の事例に接してまず感じたのは、他の国に比べて韓国のメディアがよく情報を集めて記事にしているということでした。一日で事故の推定原因まで記事にしています。

一方、ブログにまとめてみると、タンク上でのサンプル採取者の静電気説に違和感があり、すっきりしません。被災写真からタンク側板の少ない焼けた跡についても疑問が出てきて、タンクへの供給油の過充填も考えてみました。監視カメラにタンク屋根が外れる場面がないのはなぜか、タンク配置のアクセス性が悪いことが関係しているのではないか、コーンルーフ式固定屋根型タンクの屋根が噴き飛んだ後の屋根サポートが障害物になって消防車からの消火泡がうまく入らないのではないかなどの疑問がつぎつぎと出てきました。結局、疑問を解消させるような記事や写真が出てくることはなく、ブログをまとめました。

  

2026年2月20日金曜日

スペインの製油所で簡易常圧蒸留装置の原油貯蔵タンクが爆発・火災か

 今回は、2026126日(月)、スペインのムルシア州カルタヘナにあるレプソル社のカルタヘナ製油所において古い簡易常圧蒸留装置の原油貯蔵タンク付近で爆発が発生し、火災になった事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、スペイン(Spain)ムルシア州(Murcia)カルタヘナ(Cartagena)にあるレプソル社(Repsol)のカルタヘナ製油所である。製油所の精製能力は22万バレル/日であるが、2023年に再生可能燃料の大規模製造装置を稼働させた。

■ 事故があったのは、製油所内の古い簡易常圧蒸留装置の原油貯蔵タンク付近とみられる。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026126日(月)午後6時頃、カルタヘナ製油所で原油貯蔵タンク付近で爆発が起こり、火災が発生した。現場にいた目撃者によると、 事故発生時に3回の爆発音が聞こえたという。

■ 現場から巨大な黒煙が立ち昇り、カルタヘナ住民が衝撃を受けるほどだった。黒煙を見て数十件を超す緊急通報が寄せられた。

■ 事故は製油所内の最も古いセクションの一つであるトッピング3ユニットと呼ばれる簡易常圧蒸留装置で発生した。火災現場が発生した地区は主要な生産プラントとは離れており、火災が広がる危険性は少ないとみられた。

■ 最初の爆発から火炎・濃い黒煙の組み合わせは、近隣の住民に不安を引き起こした。火災による黒煙について、当局は、重炭化水素の不完全燃焼から生じる潜在的に有毒な雲と表現した。このため、地方政府は、工場敷地外の住民に影響を及ぼす可能性のある産業事故の対応として、同地域の化学部門を対象とした外部緊急時対応計画を発動することとした。

■ カルタヘナ製油所は発災後、直ちに社内緊急時対応計画を発動し、自衛消防隊で火災を制御可能であり、負傷者の報告はなく、火災が製油所構外に広がる危険性はないと騙った。

■ カタルヘナ製油所の自衛消防隊は、この種の火災の対応基準どおりに対応をとった。炭化水素の供給を遮断し、すでに放出された燃料を制御された方法で消費させ、隣接する領域を冷却して、他の機器やタンクへの延焼を防止した。

■ 当局は、カルタヘナ市の消防隊と地元警察を現場に派遣した。製油所内の自衛消防隊の活動と並行して、カルタヘナ市消防局の消防隊と地元警察とによる予防的配置が製油所の所外に設置され、必要に応じて介入できるようにした。市当局によると、最初の数時間は主に監視と支援が彼らの役割だった。

■ 州政府は、民間防衛警報システム(ES-Alert) を通じて近隣のアルンブレス、エスコンブレラス、ポルトマンを含めた住民に対して屋内に留まり、ドアと窓を閉めるよう指示し、車を運転中の人には周辺地域を避けるよう指示した。また、健康に害を及ぼす可能性のある煙が漂っていることについて明確に警告した。  

■ カルタヘナ市長は、技術者と警備員を伴って、事故発生時に製油所を訪れ、工場関係者と面会し、状況を聞いた。

■ レプソル社のカルタヘナ製油所はプレスリリースで、「本日午後550分、カルタヘナ工業団地の3号機上部で火災が発生しました」と発表し、「新たな情報が入り次第、引き続き最新情報を提供していきます」と付け加えた。 

 市議会は、住民に対し警戒を怠らないよう呼びかけ、「直ちに危険はありませんが、念のため屋内に留まり、ドアと窓を閉めてください」というメッセージを出した。

■ 事故にともなう死傷者はいなかった。

■ 主要なアクセス道路は通行規制が行われた。

■ 爆発は、簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクで発生したとみられる。または、原油をディーゼル燃料に加工する簡易常圧蒸留装置の設備かもしれないという。

■ 地方政府とカルタヘナ市議会は、住民は市政ポータルなどの公式ソーシャル・メディア・アカウントといった公式のチャンネルを通じてのみ情報を入手すべきだと主張した。同時に、カルタヘナ市議会の市民保護局職員が動員され、現場の住民との直接的なコミュニケーションを強化した。

 また、屋内に留まり通気口を閉じるというES-Alertのメッセージによる勧告は午後9時まで有効だったが、市議会は現場に最も近い地域では、夜間もこれらの予防措置を維持するよう求めた。

 ■ ユーチューブなどでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 Youtube ÚLTIMA HORA | Se incendia una refinería de Repsol en Cartagena y piden evitar desplazamientos2026/01/27

 ●Facebook Un incendio en las instalaciones de Repsol en Cartagena (Murcia), ha provocado una gran columna de humo negro, visible desde varios puntos Protección Civil ha emitido ES-Alert para pedir a la población cercana que 2026/01/27

被 害

■ 爆発・火災で簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクまたは装置内の設備が損壊した。

■ 住民に対して屋内に留まり、ドアと窓を閉めるよう避難指示が出された。

■ 道路の通行規制が出された。

< 事故の原因 >

■ 爆発・火災の原因は調査中である。爆発・火災の発生場所は、簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクまたは原油をディーゼル燃料に加工する簡易常圧蒸留装置の設備で発災したとみられる。

< 対 応 >

■ 火災は午後9時頃までに制圧されたと報じられた。一方、消防署の職員によると、午後9時頃、自衛消防隊は火を封じ込めたものの消し止めることはできず、さらに火災現場を冷却する作業を行っていたという。

■ 通行規制が出されていた幹線道路は、午後9時以降に煙が収まると、規制が解除された。

■ カタルヘナ製油所は、当局に対し、火災は235分から2326分頃に完全に鎮火したと報告した。

■ 地元の消防隊、警察、民間防衛隊が現場に待機していたが、再燃や延焼の恐れがなくなったことが確認され、対応に介入する必要はなかった。このため、午後1130分までに全隊が基地に戻った。

■ 製油所の火災は鎮圧されたが、煙が町にまで達する恐れがあるため、予防措置として近くの住民には、引続き、外出禁止令が出された。

■ 爆発・火災の原因は調査中である。レプソル社は、事故の正確な原因を明らかにし、原油貯蔵または処理エリアでの最初の爆発の正確な発生源を特定し、すべての安全システムと検知システムの運用を再検討するため、社内調査を開始したと発表した。

■ 火災の鎮火後、安全状況が確認され、カタルヘナ製油所の操業は通常の状態に戻った。

■ 一方、エコロジスト・イン・アクションなどの環境保護団体は、地方行政とカルタヘナ市議会に徹底的な調査と情報ファイルの公開を求めた。これにより、特に空気質による近隣住民の健康への影響に関して、潜在的な責任の決定と事故の実際の影響の評価が可能になる。

 エコロジスト・イン・アクションは、このような出来事は、汚染物質の排出に対する国民による規制強化の必要性を浮き彫りにし、通常の操業状況と事故発生時の両方において、石油化学やエネルギー施設に関連するリスクについて国民に透明性のある情報を提供する必要があると主張している。

■ カタルヘナ製油所火災では負傷者は出ず、数時間で鎮火したが、この事故により、産業安全と地元地域の住民保護に関する議論が再び注目を集めている。また、効果的な緊急時対応計画、ES-Alertなどの迅速警報システム、大規模な炭化水素処理施設に伴う環境・健康への潜在的な影響の厳格な監視の重要性も浮き彫りになった。

補 足

■「スペイン」(Spain)は、欧州のイベリア半島に位置し、人口約4,859万人の議会君主制国家である。首都はマドリード(人口約325万人)である。

「ムルシア州」(Murcia)は、スペインの南東部に位置し、人口約142万人の自治州で、州都はカルタヘナである。

「カルタヘナ」(Cartagena)は、ムルシア州の南部にあり、地中海に面し、人口約21万人の港湾都市である。

■「レプソル社」Repsolは、総合石油・ガス会社である。主な事業は、油井の探査、開発、原油の生産・精製、LPガスやCNG(圧縮天然ガス)の販売、炭化水素の取引、その他の特殊製品の製造である。レプソル社は、北米、アフリカ、欧州、ラテンアメリカ、アジア、オセアニアの卸売、小売、産業顧客に製品を提供しており、スペインのマドリードに本社を置いている。スペインとペルーで製油所を運営している。

 カルタヘナ製油所は1950年に操業を開始し、精製能力は22万バレル/日で、カルタヘナのエスコンブレラス港から原油を受け入れている。一方、 2023年に再生可能燃料の大規模製造装置を稼働させ、国内産や欧州産の使用済み食用油などの有機廃棄物 30 万トンから高付加価値製品に変換し、年間 25 万トンの燃料を生産する能力を備えている。

■「発災場所」ははっきりしない。爆発・火災の発生場所は、簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクまたは原油をディーゼル燃料に加工する簡易常圧蒸留装置の設備で発災したとみられる。原油貯蔵タンクとすれば、貯油エリアの大型貯蔵タンクではなく、簡易常圧蒸留装置に付帯し、圧力変動を緩和・安定させるために使用される小型のタンク(容器)ではないかと思われる。グーグルマップで調べても、情報が少なすぎて、場所を特定できなかった。

所 感

■ 事故原因はわからず、調査中である。爆発・火災の発生場所は、簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクまたは原油をディーゼル燃料に加工する簡易常圧蒸留装置の設備で発災したとみられている。

 一般にプロセス装置の火災は、燃焼源の供給を停止すれば、大きな火災にはならない。しかし、被災写真を見ると、火炎は大きく、発災時間は3時間(午後6時~9時)を超す火災になっているので、貯蔵タンクまたは圧力容器の火災ではないかと思う。貯油エリアの大型貯蔵タンクからの供給原油を停止しても、発災タンク(容器)から流出する原油が燃焼して比較的長い火災になったのではないだろうか。爆発は原油タンク内に爆発混合気が形成し、静電気などの引火源によって発災したものだろう。または、設備の不具合で原油が流出して何らかの引火源によって爆発したのではないだろうか。

■ 製油所内の自衛消防隊による消火活動の状況はあまり報じられておらず、はっきりとはわからない。「火災は午後9時頃までに制圧されたと報じられた一方、消防署の職員によると、午後9時頃、自衛消防隊は火を封じ込めたものの消し止めることはできず、さらに火災現場を冷却する作業を行っていたという」というので、消火戦略は、積極的戦略をとらず、防御的戦略で冷却を主にしたのではないか。火災はほとんど燃料が燃え尽きる状態で消えたものだったと思われる。もともと発災は爆発で始まり、事故発生時に3回の爆発音が聞こえたというので、発災現場は爆発の危険性のある火災であり、消防士の安全を考慮した防御的戦略をとるのが適切だったと思う。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Murcia.empresas.de, Una explosión en un tanque de crudo provoca un incendio en la refinería de Escombreras,  January  26,  2026

    Murciatoday.com, Fire breaks out at Escombreras refinery, now fully extinguished,  January  26,  2026

 ・Euroweeklynews.com, Repsol fire sends massive plume of smoke over Cartagena and nearby towns,  January  27,  2026

    Joiff.com, SPAIN – Fire at Escombreras refinery brought under control with no injuries,  January  28,  2026

    En.meteorologiaenred.com, Everything we know about the fire at Repsol's Cartagena refinery,  January  28,  2026

    Elinconformista.com, Extinguen un incendio en la refinería de Repsol en Cartagena,  January  27,  2026

    La7tv.es, Repsol abre una investigación para esclarecer el origen del incendio en Escombreras,  January  27,  2026

    Cope.es, Un incendio en la refinería de Repsol en Cartagena provoca una gran columna de humo y Protección civil manda una alerta a los móviles de los ciudadanos de la zona,  January  26,  2026

    20minutos.es, Extinguido el incendio en la refinería de Repsol en Cartagena, que obligó a enviar un mensaje Es-alert a la población,  January  27,  2026

    Murcia.empresas.de, Una explosión en un tanque de crudo provoca un incendio en la refinería de Escombreras,  January  26,  2026

    Cadenaser.com, Extinguido el incendio en la factoría de Repsol en Cartagena que supuso enviar un ES-ALERT a la población cercana a Escombreras,  January  26,  2026


後 記: 今回の事例は煙による人体への影響が懸念される可能性があるというアラームが出されたので、報道は住民の避難指示に関することが中心になりました。このためか、事業者への気遣いもあり(?)、大きな事故でありながら、なぜ起こったのかという事故原因への深堀が浅いように感じました。「スペインのバルセロナの貯蔵施設で酢酸メチルタンクが爆発・火災、死傷者5名」20251月)の事例で感じていたことと同様です。ただ、今回はドローンによる映像はありませんでしたが、発災現場に比較的近いところから撮った写真(標題の写真)があったのは救いです。と言っても、何が火災になっているのかは判別できませんが。

2026年2月15日日曜日

ロシアで対ドローン防御設備を施した貯蔵タンクが攻撃で被災

 今回は、20251231日(水)、ロシアのヤロスラヴリ州ルイビンスク市にあるテンプ石油貯蔵所の貯蔵タンクがウクライナの無人航空機(ドローン)の攻撃によって被災した事例を紹介します。被災した貯蔵タンクは無人航空機(ドローン)の防御設備を有していました。

< 発災施設の概要 >

■ 被害があったのは、ロシア(Russia)ヤロスラヴリ州(Yaroslavl)のルイビンスク市(Rybinsk)にあるロシア連邦国家準備金庁 (Rosrezerv) に従属するテンプ石油貯蔵所である。ルイビンスクはロシア軍の主要な物流・輸送拠点であり、石油貯蔵所はロシア北東部全域にわたる石油製品の貯蔵と配送の重要な拠点となっている。

■ 発災があったのは、テンプ石油貯蔵所内にある無人航空機(ドローン)の防御設備を有した燃料用の貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 20251231日(水)早朝 、テンプ石油貯蔵所の貯蔵タンクがウクライナの無人航空機(ドローン)の攻撃によって火災が発生した。

■ 火災は大規模で数km先の遠いところでも見えた。地元住民によると、ルイビンスクでは空襲警報が発令された後、爆発音が鳴り響き、続いて火災が発生したという。

■ 被害のあったのは石油貯蔵所の南西地区で、2基の大型貯蔵タンクが損傷した可能性があるという。

■ これらのタンクは金属製のフレームとグリッド(メッシュ)で囲まれ、タンクから離れた場所で無人航空機(ドローン)を起爆させるよう設計された防御設備を有していた。この防御設備は前線の戦車(装甲車両)に装備されたものから派生したものである。

 石油貯蔵所の西側のタンクには、新しい防御設備によって防護されているのが20256月時点の衛星画像によって確認されていた。 1231日(水)に損傷したのはこの防護されたタンクだった。攻撃の標的は、ロシアが2024年から追加した防御設備で防護しようとしていた石油タンクだったとみられる。

被 害

■ 対ドローン防御設備を有していた貯蔵タンクが無人航空機(ドローン)の攻撃で火災となり、損傷した。

< 事故の原因 >

■ 原因は、テロによる“故意の過失”でなく、戦争時の無人航空機(ドローン)による攻撃である。 

< 対 応 >

■ 石油貯蔵所の火災は11日(木)には鎮火した

■ 202615日(月)、ドローン攻撃を受けたテンプ石油貯蔵所の衛星画像が公開され、大型燃料タンク1基が火災により全焼したという。火災が拡大したため、隣接する複数のタンクが大きな被害を受けた可能性がある。

■ ウクライナは数か月にわたり、ロシアの製油所や燃料貯蔵所を正当な軍事目標と称し、組織的に攻撃を続けている。これらの施設では、軽油やガソリンなどの石油がロシア軍への供給に利用されるか、海外に売却され、その収益はロシアの対ウクライナ戦争遂行の維持に役立てられているという。

補 足

■「ルイビンスク」は、ヴォルガ川流域に位置し、鉄道が通っており、交通と物流の中心地として機能している。

■「テンプ」(Tempo)は、ロシアの連邦国家予算機関でロシア連邦国家準備金庁 (Rosrezerv) に従属する国営機関である。この機関の主な機能は、緊急事態や動員の必要が生じた場合に備えて、国家備蓄品(物質的資産)を戦略的に保管・蓄積することである。テンプのプラントは、ロシアの国家備蓄システムであるロスレゼルブの一部であり、燃料貯蔵に使用されている。

■「対ドローン防御設備」は、戦車などの装甲車両から離れた場所でドローンを起爆させるために設計された金属フレームとメッシュ構造である。

一般にはコープ・ケージ(Cope Cage)やマンガル(Mangal)」と呼ばれる。ロシアのウクライナ進行の際に広く採用され、無人航空機(ドローン)の爆発物や投下された弾薬が戦車などの上部装甲に直接接触する前に起爆するよう設計されている。

 当初は、強力な対戦車ミサイルに対しては効果が薄いとされていたが、現代のドローン戦においては一定の効果があるとして、現在では米国や韓国など世界各国の戦車で採用や技術が進んでいるという。設計は単純な溶接鉄筋グリッドから高度な多層金属シートへと進化し、ドローン制御信号を無効にする電子戦 (EW) 妨害装置と組み合わせられることが多くなっている。

 ロシアがウクライナとの戦争で対ドローン防御の先駆者であったが、ウクライナ軍も自国の車両に対ドローン防御設備を模倣し始めている。

■ 戦車の 「対ドローン防御設備」は、同様の対策が製油所や石油貯蔵所でも講じられている。モスクワ近郊の製油所や石油貯蔵所では、インフラストラクチャー施設の広範囲を覆う金属ケーブルによる防御措置が実施されている。この設計は、直径8mmの金属ケーブルをかなりの高さに固定し、ケーブル同士の間隔を60cmにしてネットワーク状に敷設するという。標題の貯蔵タンクの対ドローン防御設備は戦車と同様、金属フレームとメッシュ構造で構成されている。

■「被災タンク」の大きさなどの仕様は報じられていない。グーグルマップで調べると、被災タンクの直径は約22.5mであり、高さを1520mとすれば、容量は6,0008,000KL級の貯蔵タンクである。油種は分からない。 

所 感

■ 貯蔵タンクの対ドローン防御設備が無人航空機(ドローン)の攻撃で突破され、タンクが火災になった事例である。もともと戦車の対ドローン防御として使用されていたものを貯蔵タンクに応用したものとみられる。ロシアーウクライナの戦争においてミサイルに変わって無人航空機(ドローン)による燃料タンク攻撃が主流になってきたことから、ロシアで開発されたものである。

「ロシア連邦タタールスタン共和国の石油タンクが長距離攻撃用無人機で被災」20251月)では、所感の中で「このような状況にあり、日本の貯蔵タンクを運営する一(いち)事業者にとっては、テロ対策をとろうにも限界を越えている。公的機関による無人航空機(ドローン)によるテロ対策を考えていく必要がある」と書いた。ロシアは、戦争遂行上、戦車の対ドローン防御方法を応用したのだろう。

 標題の画像の貯蔵タンクへの対ドローン防御の実施策を見ると、既設タンク群への対応はコストの高いものになっている。しかし、新しいタンク建設時に考慮すれば、コストは下がるだろう。しかし、一番の欠点はタンク火災時の消火活動に支障があることだと思われるが、今回の事例では、消火活動について一切報じられていない。(戦争事なので、報道されないだろうが)


備 考

  本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

   Uv.ua, Спутниковые снимки подтвердили значительные разрушения «защищенной» части нефтебазы в Ярославской области РФ,  January  01,  2026

   English.nv.ua, SBU strikes major Rosrezerv oil depot in Russia’s Yaroslavl Oblast with long-range drones,  January  01,  2026

  English.nv.ua, Satellite Images Show Damage From Strike on Oil Depot in Yaroslavl Region on December 31,  January  06,  2026

  Pravda.com.ua, Ukraine's Security Service hits oil storage facility in Russia's Yaroslavl Oblast – Ukrainska Pravda sources,  January  01,  2026

  Ukrinform.net, SBU hits major oil depot in Russia's Yaroslavl region – SBU,  December  31,  2025

   Uawire.org, Ukrainian drones strike Russia’s Rosrezerv fuel depot in Yaroslavl region, sparking major fire,  December  31,  2025

  Babel.ua, SBU drones attacked a large oil depot in the Yaroslavl region of the Russian Federation,  December  31,  2025

  Militarnyi.com, Satellite Images Show Damage From Strike on Oil Depot in Yaroslavl Region on December 31 ,  January  07,  2026

  Dw.com, ВСУ: Украинские беспилотники атаковали нефтебазу Росрезерва,  December  31,  2025

  Pravda.com.ua, Нефтебазу в Ярославской области поразили дроны СБУ – источник,  December  31,  2025

   24tv.ua, “Защищенная” часть нефтебазы в Ярославской области России значительно разрушена: спутниковые снимки ,  January  01,  2026


後 記: 1年ぶりにロシアーウクライナ戦争によるタンク事例をブログに取り上げました。2022年の「ウクライナ各地で石油貯蔵所が攻撃によってタンク火災」を報じて以来、両国のタンク事例をときおりに取り上げ、ブログで紹介してきましたが、この12年でドローン戦争はますます激化し、貯蔵タンクなどのインフラストラクチャーの対ドローン防御設備が実施されていることにびっくりします。戦争は技術を進歩させるというのを感じますが、人が疲弊し、国を荒廃する見返りとしての技術進歩ってありえないでしょう。