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2026年10月30日金曜日

米国オハイオ州でケミカルタンクが破裂し、ガスが放出、住民1,000名が避難

 今回は、 2026年10月20日(火)、米国オハイオ州ルーカス郡トレドにある物流会社のMCタンク・トランスポート社のタンク施設で化学薬品の入ったタンクが圧力上昇し、内部に入っていた化学薬品(メタクリル酸グリシジル)が大気中に放出され、トレド市の住民に避難指示や自宅待機要請が出された事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国オハイオ州(Ohio)ルーカス郡(Lucas)トレド(Toledo)にある物流会社のMCタンク・トランスポート社(M.C. Tank Transport)のタンク施設である。MCタンク・トランスポート社は米国オハイオ州ウェストチェスターに本社を置き、液体バルクの輸送やコンテナサービスを専門とする。

■ 事故があったのは、タンク施設内の化学薬品タンクである。タンクは、通常、タンクコンテナと呼ばれる横型円筒タンクで、内部には液体状の化学物質が5,500ガロン(20.8KL)貯蔵できる。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026年10月20日(火)午後9時30分頃、MCタンク・トランスポート社のタンク施設内にある化学薬品タンクが破裂し、化学物質の煙が立ち昇った。

■ MCタンク・トランスポート社の従業員が破裂事故に対応するため、消防署など緊急対応の通報を行った。

■ 町の上空に目に見えるほどの濃い霧が発生し、プラスチックのような臭いが漂った。風はそれほど強くはなかったが、トレド市内に拡散するには十分な風の流れがあった。そのため、この地域では多くの人がこの化学物質の臭いを嗅いだ。しかし、強い臭気があるため、危険なレベルに達する前に人々は臭いに気づいた。

■ 破裂により化学物質が大気中に放出され、周辺地域で大規模な避難が行われた。事故現場から半径1,600m以内の住民は避難し、4,800m以内の住民は窓を閉めてその場にとどまるよう要請された。また、 MCタンク・トランスポート社の幹部が状況把握のためトレドに向かった。

■ 破裂現場に出動した保安官代理のひとりが体調不良を感じたため、自ら病院へ行ったが、命に別状はないという。

■ 10月20日(火)の夜に発生した化学物質の漏洩により、トレド市民の一部は呼吸困難に陥り、めまい、目の灼熱感、有毒な臭いを訴えた。近隣住民によると、あたり一面に強い化学物質の臭いが充満しており、最初はそれが何なのか、どこから来ているのか全く分からなかったという。

 事故現場から1,600mほど離れたマッツィンガー・ロードにあるレストランで働いていた住民のひとりは、救急隊員が店に入ってくるまではいつも通りの夜だったといい、「本当にひどかった。頭がふらふらして、少しめまいがして、涙目になったんだ。その時、ああ、これは本当に何かが起こっているんだって分かったんだ」といい、「ちょっと怖かったよ。消防士があちこちにいたし、防護服を着た人たちもいた。空気中に有害物質が漂っているから避難するよう言われたので、それに従ったんだ」と語った。

■ 放出された化学物質には、プラスチック・ゴム・樹脂などに使用される工業用コーティング剤であるメタクリル酸グリシジルが含まれていた。メタクリル酸グリシジルはタンク内では液体で、破裂して大気に放射されたものは気体だった。地元当局によると、この空気中の刺激物質は目、鼻、口、皮膚の灼熱感を引き起こす可能性があり、呼吸困難・吐き気・嘔吐・めまい・錯乱などの重篤な症状が現れた場合は、救急外来を受診するか、911番に電話するようトレド市民に呼びかけている。メタクリル酸グリシジルはフルーティーな匂いがするという。

■ ルーカス郡保健局長は、メタクリル酸グリシジルについて、「触れたり、飲み込んだりすると本当に有害です」といい、「現在、人々が呼吸している空気中の毒性レベルを把握し、より適切な指導ができるように努めています」と語った。トレド市は、住民に対し、目に刺激を感じたり、呼吸が荒くなったりした場合は、とりあえずシャワーを浴びるよう助言した。消防署は、症状が出た場合は医療専門家に連絡するよう呼びかけた。

■ 市は、事故現場から半径800m以内に住む約300名に対し避難命令を出したが、その後、避難範囲は半径1,600mに拡大され、約1,000名が避難した。市当局は、把握している限りでは住民全員が避難したと述べた。住民は避難区域内の地元企業や学校に連絡を取り、避難時の対応計画を確認するよう求められていた。10月21日(水)は休校となった学校や、始業を延期した学校があった。

■ 呼吸器・集中治療医は、「N95マスクでさえ気化した化学物質の状態から人々を守ることができない可能性があります」といい、「だから、安全を確保する唯一の方法は完全に自宅待機し、外出を一切避けることです。そして、妊婦、幼い子供、高齢者、持病のある人々は感染リスクが高く、この人たちを真に守ることです。屋外での曝露を制限する必要があります」と述べた。

■ トレド市長によると、さらなる爆発の危険性があるため、ハズマット隊(HAZMAT)などの対応要員はタンクに近づいておらず、10月21日(水曜)午前中に状況を再評価するという。 

■ 市当局は、漏洩を止めようとするよりも化学物質の放出を許容する方針を示しており、漏洩を止める方がより危険だと述べている。

■ 10月21日(水)の早朝、トレド市は濃い霧に覆われ、視界が悪く、ドローンを使った現場監視作業が遅れた。トレド市長は、避難区域外の住民に対し、霧は化学物質爆発とは無関係だと安心させた。国立気象局は、霧は午前中には晴れる見込みだという。

■ MCタンク・トランスポート社は、消防署やその他の緊急対応機関と協力しているといい、「我々の当面の最優先事項は、地域住民、緊急対応要員、そして従業員の安全です」と声明を出した。

■ 10月21日(水)午後、タンクから漏洩が始まった火曜夜から14時間以上が経過した時点でも、タンクから煙が立ち上っている様子が映像に捉えられた。状況は改善しつつあり、漏洩しているタンクを監視しているドローンによると、タンクの温度は低下しており、煙も減少しているという。それでも、タンクに安全に近づけるようになるまでには数時間かかる可能性がある。

■ トレド地域の病院では、化学物質漏洩に関連する症状で57名の患者が治療を受けた。そのほとんどは治療を終えて退院しており、10月22日(木)朝の時点で重篤な合併症は起こしていないが、7名はまだ治療を受けているという。

■ ユーチューブでは、事故の状況を報じる動画が投稿されている。

  ●Youtube、「 Chemical Tank Explosion Forces Toledo Evacuation」(2026/10/21)

  ●Youtube、「Evacuation zones expanded after chemical tank explosion in Toledo, Ohio」 (2026/10/22)

  ●Youtube、「Chemical tank explodes in Toledo, Ohio」 (2026/10/22)

被 害

■ 化学薬品タンク(貯蔵容量;20.8KL)から化学物質(メタクリル酸グリシジル)が放出した。

■ 漏洩した化学物質に関連する症状で57名が治療を受けた。

■ 現場周辺の住民(約1,000名)が避難したほか、屋内待機した住民が出た。 

< 事故の原因 >

■ 化学物質タンクからの漏洩事故は、従業員のミスによる化学反応が原因だった。 MCタンク・ターミナル社の従業員が液体を移送しようとした際に、タンク内の温度を上昇させたことで化学反応が起こり発生したという。 

< 対 応 >

■ 10月22日(木)午後、トレド消防署のが漏洩現場に立ち入り、危険性評価と大気モニタリングを実施し、人が敷地内に安全に立ち入ることができることを確認した。ハズマット隊が現場に入った時点では、タンクからガスが漏れている様子は見られなかったという。

 MCタンク・トランスポート社の作業員が現場に入り、冷凍システムを作動させて化学物質を冷却し、安全な濃度に保持できることが確認された。

■ 消防署は、「多くの住民の方々が抱えている不安や不満は理解しています。そして、これはすぐに解決できる問題ではありません」といい、「残念ながら、これは時間と状況の変化を監視する必要がある問題です。私たちは、避難区域から住民が戻ってくる際に安全上の懸念がないよう、適切な方法で進めていきたいと考えています」と述べた。

■ 10月22日(木) トレド市長は記者会見で、火曜日にMCタンク・ターミナル社で破裂したタンクのガス抜き作業が木曜日の夜遅くに完了し、ハズマット隊が現場に入って安全レベルを検査できるようになったと述べた。

■ メタクリル酸グリシジルタンクからの放出は、漏洩開始から約48時間後に停止した。住民の避難は半径400mの範囲に縮小し、屋内待避命令は解除された。しかし、米国環境保護庁(EPA)など緊急対応部隊は10月22日(木)夜から翌23日(金)にかけて現場の監視を続ける。市当局によると、現場の安全計画が策定され次第、現場は米国環境保護庁(EPA)に引き渡され、浄化作業が行われる。

■ 10月23日(金)、当局は、週初めに発生した化学物質タンクからの漏洩事故は、従業員のミスによる化学反応が原因だったと発表し、残っていた避難命令をすべて解除した。  

■ 市長によると、化学物質の漏洩は、 MCタンク・ターミナル社の従業員が液体を移送しようとした際に、タンク内の温度を上昇させたことで化学反応が起こって発生したという。同社は今回の事態について「責任を認めた」と市長は述べた。

■ オハイオ州立大学普及局の指示によると、 MCタンク・ターミナル社の敷地から半径4,800m以内の外出禁止区域に住んでいた人は、屋外に置いてあった農産物や作物をすべて処分する必要がある。トレド市は、同じ地域にあるすべての遊び場を清掃している。

■ 10月24日(土)、米国環境保護庁(EPA)は、基準値以下の極めて低濃度のメタクリル酸グリシジルを検出した。その後1時間、検出地点周辺の空気サンプリングを継続したが、追加の検出はなかった。その後、米国環境保護庁(EPA)は、ユーザーが地図上の大気モニタリング地点をクリックすると、その地点の大気モニタリングデータの表示した公開データビューアを作成し、市民がいつでも大気モニタリングデータを見ることができるように配慮した。

補 足

■「オハイオ州」(Ohio)は、米国北東部の五大湖に接し、人口約1,200万人の州である。

「トレド」(Toledo)は、オハイオ州ルーカス郡( Lucas)の北に位置し、人口約27万人である。トレド市は、ミシガン州の州境に接し、エリー湖の西端にあり、かつては全米屈指の工業都市として繁栄したが、現在は人口減少が継続している。

■「MCタンク・トランスポート社」(M.C. Tank Transport, Inc.)は、苛性ソーダ、硫酸、塩酸、その他の特殊化学品の配送と保管を行っている物流会社である。2025年、オハイオ州ノースカントンに拠点を置く北米最大級の燃料輸送会社であるKenan Advantage Group, Inc.(KAG)に買収され、 MCタンク・トランスポート社が所有する米国南東部・中西部の8つのターミナルと3つのISOコンテナデポは、KAGブランドに統合された。米国運輸省によると両運送会社の安全記録は「良好」と評価されている。KAGは過去2年間で84件の事故を起こし、うち1人が死亡、 MCタンク・トランスポート社は報告対象となる事故を14件起こし、うち1人が死亡している。

■「メタクリル酸グリシジル」(Glycidyl methacrylate; GMA)は、 化学式;C7H10O3で無色透明、可燃性液体、刺激臭があり、液体時の密度は約1.07 g/mL 、引火点76.0 ℃、爆発限界/範囲1.3~13%、用途はとして塗料・帯電防止剤・イオン交換樹脂などである。加熱・光などで自己重合を起こし、重合熱によって内部の温度や圧力が急上昇し、密閉容器の破損や最悪の場合は火災・爆発につながる恐れがある。

■「発災タンク」は、タンク施設内の化学薬品タンクで、5,500ガロン(20.8KL)貯蔵できると報じられている。通常の石油を貯蔵する固定屋根式の立型円筒タンクではなく、薬品などを取扱う横型円筒タンク(容器)である。船舶・鉄道・トラックなどの異なる2つ以上の輸送手段を組み合わせた複合輸送用のタンクで、通常、タンクコンテナと呼ばれる。事故のあったタンクコンテナは、 国際規格(ISO)で作られた「20ft(フィート)タンクコンテナ」だと思われる。「20ftタンクコンテナ」は、一般的に、長さ約6.0m×幅約2.4m×高さ約2.6mで、容量は種類によって11KL~26KLである。 事例では、容量5,500ガロン(20.8KL)であるので、標準の21KLのタンクコンテナであろう。付帯設備としては、一般に、安全弁2.5インチ単動式×1個(設定圧力 4.4bar)、 マンホール2か所 直径500mm(タンク前部)×直径300mm(タンク中央部)、 通気口1.5 インチ ボール弁、 上部積込口3インチバタフライ弁(フランジ付)、下部排出口3インチフート弁 (緊急遮断弁付)×3インチボール弁(フランジ付)がある。事例では、上部から漏洩しているので、安全弁またはマンホールフランジからであろう。

所 感

■ 今回のタンクからの漏洩事故は、MCタンク・ターミナル社の従業員のミスによる化学反応が原因である。液体を移送しようとした際に、タンク内の温度を上昇させたことで化学反応が起こり発生したという。メタクリル酸グリシジルは、加熱などで自己重合を起こし、重合熱によって内部の温度や圧力が急上昇し、タンクコンテナの破損や最悪の場合は火災・爆発につながる恐れがあるという。メタクリル酸グリシジルを取扱うMCタンク・ターミナル社の従業員であれば、よくわかっているはずである。操作基準(マニュアル)の回避策はどのようになっていたのだろうか。

■ 今回の事例は、現場の状況から緊急対応部隊は不介入戦術の判断を行っている。しかし、タンク火災とは異なり、化学物質の放出が継続し、住民への影響(呼吸困難・吐き気・嘔吐・めまい・錯乱など)が大きい状況だった。しかも、夜の9時過ぎという公務時間を過ぎている時間帯で、多くの人材を投入しなければならない。結局、避難指示・自宅待機要請を行ったが、誰がどのように判断し、実行していったか興味深いところである。日本でこのような事故があった場合、どのように対応するかを考える参考になる事例ではないだろうか。 


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     ・Guardian.com, Chemical tank explosion in Toledo, Ohio, prompts mass evacuation,  October 21,  2026

     ・Edition.cnn.com, A chemical tank explodes in Ohio, forcing evacuations and prompting fears of another blast,  October 21,  2026

     ・Abcnews.com, Ohio mayor says employee error caused chemical leak, lifts evacuation orders,  October 24,  2026

     ・13abc.com, City announces chemical release complete nearly 48 hours after leak, EPA monitoring evacuation zone perimeter,  October 22,  2026

    ・Pbs.org, Chemical tank explosion in Ohio of glycidyl methacrylate forces evacuations, prompts fears of another blast,  October 21,  2026

    ・Toledo.oh.gov, Hazardous Materials Evacuation Orders Lifted,  October 26,  2026

    ・Kcra.com, Chemical tank leak in Ohio forces evacuations as city allows plume to vent,  October 21,  2026

    ・Khq.com, A chemical tank explodes in Ohio, forcing evacuations and prompting fears of another blast,  October 21,  2026

    ・Usatoday.com, Ohio chemical leak eases as hospitals treat 35 people,  October 21,  2026


後 記: 今回の事例は、多くの住民に影響が出るような事故であり、2日以上に及ぶ長い事故だったので、久しぶりに米国らしいメディアの記事でした。通常の立型の円筒タンクによる漏洩事故と思っていましたが、状況が分かってくると、そうではなく、タンクコンテナの事故で避難指示・自宅待機要請が出されるというこのブログで扱ったことのない事例でした。どのような判断や対応がとられたかを紹介しようと、記事を調べましたが、メディア情報に差があって時系列がわかりづらいものでした。事故は住民に関わるものでしたが、目に見えるタンク火災と違って住民も何が起こったのかも分からず、避難や自宅待機をしている様子はうかがえました。

2026年10月21日水曜日

韓国・蔚山市の化学会社でトルエンの貯蔵タンクが爆発・火災、タンク6基へ延焼

 今回は、2026年10月14日(水)、韓国の蔚山市蔚州郡温山邑にある化学製品製造会社の㈱釜昇化学の工場においてトルエンの入った貯蔵タンクが爆発・火災を起こし、隣接タンクへ延焼していき、7基の貯蔵タンクが焼損した事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国の蔚山市(ウルサンシ)蔚州郡(ウルジュグン)温山邑(オンサンウプ)鶴南里(ハクナムリ)にある化学製品製造会社の㈱釜昇化学(プスンかがく)の工場である。

■ 事故があったのは、工場の屋外にあるトルエン用タンクである。 釜昇化学の工場は石油化学物質を流通・保管・販売する事業場で、トルエン、シンナーなど可燃性物質を多量に保有している。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026年10月14日(水)午前9時30分頃、蔚山市にある釜昇化学の工場で大きな火災が発生した。

■ 発災にともない、消防隊が出動した。

■ 消防隊は現場に到着して消火活動を行うとともに、人的被害の有無がないか確認した。

■ 火災の発生後、蔚州郡は午前10時過ぎに携帯電話向けメッセージで「温山邑鶴南里58‐7の工場で火災が発生した」と伝え、「車両は迂回し、近隣の住民は安全に注意してほしい」と呼びかけた。
■ 近くの蔚山テクノパークで教育を受けていた人は、「最初、3回ほどバーンという爆発音がした後、しばらく間隔をあけて6~7回ほど爆発する音がした」と語った。

■ 火災現場では爆発音が続き、火災の煙が広がった。 火災から出る黒い煙と臭いが広がると、周辺事業場は作業を中断した。近隣工場では働いていた人が約7千人おり、避難する騒動が生じた。

■ 釜山(プサン)、大邱(テグ)、慶尚南道(キョンサンナムト)などから支援の消防隊が動員された。消防士200名のほか、大型化学消防車、消防用ヘリコプター3機、大容量泡放射砲1台などの消防資機材が動員された。

■ 火災は屋外の貯蔵タンクから出火したとみられ、事故当時、屋外貯蔵タンク周辺で作業員16名がいたが、彼らは全員安全に避難した。
■ 関係者によると、可燃性物質であるトルエンの入った容量8,000リットル(8KL)貯蔵タンクから200Lドラム缶またはIBCタンクに配管を通じて小分け作業中、タンク注入口配管付近で電気火花によって引火したのではないかという。また、バルブをロック(締める)した後に爆発が発生したと話す関係者もいる。

 現場の関係者らは、貯蔵タンク注入口配管側で爆発音と電気スパーク音が出た後、バルブをロックする過程で爆発とともに激しい炎が上がったと語っている。
■ 蔚山消防本部によると、火災発生当時、釜昇化学はトルエンを出荷するために貯蔵タンクと接続された配管を使用して200Lのドラム缶に移す作業をしていた。この過程で原因が分からない火災が発生したとみている。

■ 火災は強い風に乗って炎が広がり、トルエン、シンナー、アセトン、エタノール、キシレンなどを保管する屋外貯蔵タンク33基のうち7基のタンクと野積場のドラム缶などに延焼した。また、火種が飛んで近くの事業場の芝生でも火が出た。

■ 消防隊は、消防車のほか消防用ヘリコプターを動員して消火作業を行っているが、炎は容易に消えない状態だった。消防当局は、延焼した貯蔵タンク7基の内部物質がなくなるまで、燃焼拡大防止に注力する計画だという。

■ 放射能力45,000L/minの大容量砲放射システムは、近くに水源がなく、すぐに稼働するのが難しい状況だった。大容量泡放射砲の投入準備を行っていたが、現場で投入前に火が鎮圧され、使用することは無かった。

■ 火災鎮圧後、初動出動した消防隊のひとりは、「炎があまりにも激しく、既存の消防ホースなどは接近すら難しかった。突然、バーンという音が聞こえ、屋外タンクのタンク屋根が空に舞い上がった」といい、「高温ガスのためタンク屋根が飛んだため、安全のために隊員と車両の両方がしばらく避難しなければならなかった」と語っている。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。 

■ ユーチューブなどでは、事故を報じる動画が投稿されている。

●Youtube、「폭탄 터지듯 ‘펑’‥7천여 명 대피 (2026.10.14/뉴스데스크/울산MBC)」(2026/10/14)

 ●Youtube,「[재난속보] 울산 화학 공장에서 불...대응 1단계 발령 진화 중」 (2026/10/14)

●News.sbs.co.kr、「울산 온산 화학업체 큰불…인근 7천 명 대피 출처 : SBS 뉴스 원본 링크 : 」(2026/10/15)

< 被 害 >

■ 貯蔵タンク7基が焼損した。内部の液が焼失した。

■ 野積場の200Lのドラム缶や1,000LのIBCタンクの一部が焼損した。

■ 負傷者は出なかった。

■ 発災事業所や周辺事業所で避難があった。 

< 事故の原因 >

■ 事故原因は調査中である。蔚山消防本部によると、火災発生当時、釜昇化学はトルエンを出荷するために貯蔵タンクと接続された配管を利用し、200Lのドラム缶に移す作業をしていた。この過程で原因が分からない火災が発生したとみている。  

< 対 応 >

■ 火災は、消防隊による消火活動によって約4時間後の午後2時頃に消えた。

■ 消防当局は、消火活動が終わりしだい、爆発の経緯や正確な火災原因、人的・物的被害規模を調査するという。

■ 10月15日(木)、鬱州警察署などによると、同日午前11時から約1時間40分間、釜昇化学の火災現場で関係機関約20人が参加し、合同捜査(調査)が行われた。鑑識には蔚山警察庁科学捜査界と蔚州警察署、国立科学捜査研究院、消防当局、雇用労働部、洛東江流域環境庁、安全保健公団などが参加した。

■ 国科水は、屋外貯蔵タンクから200Lドラム缶、または1,000リットル容量のIBCタンクに可燃性物質であるトルエンを移すために使用された配管を回収した。警察は国科水分析を通じて該当配管バルブが正常にロックされていたか、バルブがロックされた状態でもトルエンが漏れた可能性があるかどうかなどを確認する予定だ。

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,120万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「蔚山市」(ウルサンシ)は、韓国の南東部に位置し、人口約108万人の広域市である。

■ 「㈱釜昇化学」(プスンかがく)は、韓国の石油化学会社で石油化学物質を流通・保管・販売する。蔚山市に事業場があり、トルエンのほか、シンナー、アセトン、エタノール、キシレンなど可燃性物質を多量に保有している。

■「トルエン」(Toluene)は、芳香族炭化水素でシナモンやシンナールに似た臭いのある化学物質で、揮発性があり、引火点が4~5℃の可燃性石油化学物質である。塗料、ゴムビニール製造などに使われる。

■「発災タンク」は、容量8,000リットル(8KL)でトルエン用貯蔵タンクと報じられているが、タンク型式や大きさなどの仕様は報じられていない。被災写真やグーグルマップによると、被災したタンク7基はコーンルーフの固定屋根式円筒タンクである。グーグルマップでは、前列にあるタンクは直径約3.3mであり、高さを4mと仮定すれば、容量は約34KLとなり、大きすぎるので、後列にあるタンクが発災タンクとみられる。この後列のタンクははっきりしないが、直径約2.0m×高さ約2.5mとすれば、容量は約8,000リットルとなる。被災したタンクでタンク屋根が飛んだのが3基(前列1基、後列2基)であり、爆発したものと思われる。発災タンクは後列の2基のいずれかであろう。

所 感

■ 今回の事故原因は、蔚山消防本部によると、火災発生当時、トルエンを出荷するために貯蔵タンクと接続された配管を使用して200Lのドラム缶に移す作業をし、この過程で原因が分からない火災が発生したとみている。関係者の話によれば、トルエンの入った容量8,000リットル(8KL)貯蔵タンクから200Lドラム缶またはIBCタンクに配管を通じて小分け作業中、タンク注入口配管付近で電気火花によって引火したのではないかという。今回の事故要因は作業や運転操作時のミス(過失)と思われる。

 一方、韓国・蔚山市は、最近、つぎのようにタンク事故が増えている。

●「韓国のターミナルでタンクの試料採取中にタンク爆発して死傷者2名」 (2025年2月)

●「韓国で開放工事中の内部浮き屋根式タンクが爆発、死傷者2名」(2023年11月)

●「韓国S-オイル社製油所で原油タンクのミキサー破損で油漏洩」 (2014年4月)

 2020年にブログで紹介した「この10年間の「世界の貯蔵タンク事故情報」について(その3)」 (2020年9月)によれば、国別のタンク事故件数は日本が28件に対して韓国は6件と少ない。事故データの収集の差異もあるが、事故が増えた背景に経済優先などの要因があるのではないだろうか。

■ 今回の事故は、タンク7基の火災にしては、消防活動時間が約4時間と短い。しかも、途中で爆発があり、消防士の安全を考慮して消火活動を中断している。この報道が正確なら、負傷者も出さず、消火活動は適切に行われたのだろう。

■ 一方、放射能力45,000L/minの大容量砲放射システムが派遣されているが、近くに水源がなく、すぐに稼働するのが難しい状況だったという。韓国では、「韓国のタイヤ工場で大火災、負傷者3名、廃油タンク爆発の影響は?」(2025年6月)でも、放射能力45,000 L/minと30,000 L/minの大容量泡放射システムが派遣されたが、水源が乏しく、有効に働かなかった例がある。

 放射能力45,000L/minの大容量砲放射システムは、日本の基準では、直径60~75mの浮き屋根式タンクの全面火災で使用する能力のシステムである。今回のタンク火災では必要ない。どのような判断で派遣が決まったのか分からないが、混合装置、加圧ポンプ、泡消火薬剤に加え、水源供給、それに現場での配置の必要のある大容量砲放射システム派遣の基準を明確にしておく必要がある。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       ・News.yahoo.co.jp,  韓国消防当局、蔚山蔚州郡の製造業者火災で「対応第1段階」発令,  November  14,  2026

       ・Hani.co.kr,  울산 석화업체 저장탱크서 ‘펑펑’…화재로 작업자 10여명 대피,  November  14,  2026

       ・Yna.co.kr,  울산 온산 화학업체 저장탱크서 불…인근 공사장 7천명 대피(종합),  November  14,  2026

       ・Kmib.co.kr,  울산 온산 화학업체 화재…인근 공사장 7000명 대피,  November  14,  2026

       ・Stock.mk.co.kr,  울산 화학업체 화재는 '톨루엔' 옮기다 발생…탱크 7기로 번져,  November  14,  2026

       ・Indifocus.kr,  울산 화학제품 제조업체서 화재…톨루엔 8000리터 저장탱크 불타,  November  14,  2026

       ・Uljusinmun.co.kr, '펑' 하더니 화학물질 저장탱크 뚜껑 하늘로…아찔했던 화재 순간,  November  14,  2026

       ・Newsis.com,  울산 부승화학, 4시간만에 진화…7천여명 대피·사상없어(종합) ,  November  14,  2026

       ・Chosun.com, 울주군 화학제품 공장 화재… 7000명 대피,  November  15,  2026

       ・Hankyung.com, 울산 부승화학서 톨루엔 소분 중 화재…4시간여만에 완전 진화,  November  14,  2026

       ・Kmib.co.kr,  울산 온산 화학업체 화재…인근 공사장 7000명 대피,  November  14,  2026

       ・Pointe.co.kr, "펑 소리 후 불기둥" 울산 화학공장 톨루엔 탱크 화재...7000명 긴급 대피,  November  14,  2026

      

後 記: 今回の韓国の事例は久しぶりに本格的なメディアの記事と感じました。相変わらず、発災事業所の名前を報じないメディアもありましたが、今回の規模の事故(?)ではちゃんと報じているところが出ています。負傷者は出ていませんが、周辺事業所では7,000人規模の避難者があった(真偽は?)と報じ、被災写真を掲載していれば、発災事業所を報じないという選択肢はないのではないでしょうか。今回の事故でこのブログとして興味ある記事は、大容量放射砲システムを出動させたが、水源が無く、機能しなかったという付記記事(本文とは別に補助的な情報を付け加えた記事)です。泡放射能力のデータも記事になっていますし、このような情報や記事を望みます。

2026年10月15日木曜日

米国ミネソタ州でガソリンタンクの油抜出し作業中に爆発・火災、負傷1名

 今回は、2026年9月14日(月)、米国ミネソタ州ダルースにある燃料施設でガソリン貯蔵タンクの液抜出し作業中に爆発・火災となり、施設の従業員1名が負傷するという事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国ミネソタ州(Minnesota)ダルース(Duluth)のリンカーンパーク地区(Lincoln Park)にある石油会社のスーペリア・フューエル社(Superior Fuel)の燃料施設である。

■ 事故があったのは、ウェストスーペリア通りとカールトン通りの交差点近くにある燃料施設のガソリン貯蔵タンクである。タンクは、容量17,000ガロン(64KL)で、使用をやめており、撤去の予定だった。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026年9月14日(月)午後1時30分頃、スーペリア・フューエル社の燃料施設でガソリン貯蔵タンクが爆発し、火災となった。爆発によってタンク屋根が噴き飛んだ。

■ 爆発後、現場周辺では炎と黒煙が立ち昇るのが見られた。爆発現場の近くで働く住民のひとりは、「これまで経験したことのないような建物の揺れを感じました。音は落雷の100倍のように感じました」と語った。

■ 発災にともない、ダルース消防署の消防隊が出動した。リンカーンパーク消防署の消防隊員は、別の案件で出動していた任務を終えようとしていたところ、爆発音を聞き、煙を発見した。彼らは直ちに指令室に連絡して応援部隊を要請し、現場へ直行した。ダウンタウン、スピリットバレーなどの各消防署からも隊員が出動した。

■ 消防隊は、火災タンクの消火作業を行うとともに、隣接する2基のタンクの冷却作業を行った。隣接タンクへの延焼は免れ、近隣住民の大規模な避難は回避された。

■ ダルース警察は現場周辺の交通を遮断したが、避難命令は出さなかった。

■ ガソリンタンクは、爆発前にすでに使用されておらず、配管接続も切り離されており、撤去して別な新しい場所への移設準備が進められていたという。容量17,000ガロン(64KL)のガソリンタンクの液は残りわずかで、スーペリア・フューエル社の従業員2名がガソリンの最終的な抜出し作業を行っていた。爆発は、作業員2名がタンクから残燃料を抜出し、輸送の準備をしていた際に発生した。

■ 事故にともない、従業員2名のうちひとりが負傷した。負傷者は手に火傷を負い、病院に搬送され、治療を受けた。ダルース消防署とダルース警察署が現場周辺を捜索した結果、他に被害を受けた人はいないことが判明した。

■ スーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、ダルース消防署は同社の説明を裏付けておらず、爆発とそれに続く火災の原因を調査している。

■ ユーチューブなどでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 ●Youtube、「 UPDATE: Superior Fuel worker released from hospital after fuel tank explosion leads to fire in Du..」(2026/9/17)

 ●Facebook、「 New video of tank fire at Superior Fuel in Duluth‘s Lincoln Park.」 (2026/9/14)

 ●Facebook、 「 NEW DETAILS: We now know more about the explosion in Lincoln Park this morning that prompted a large emergency response and road」 (2026/9/14)

被 害

■ ガソリンタンク1基が焼損した。残液が焼失した。

■ 1名の負傷者が出た。 

< 事故の原因 >

■ 事故原因は、発災事業所のスーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、ダルース消防署は同社の説明を裏付けておらず、爆発とそれに続く火災の原因を調査している。

< 対 応 >

■ 火災は消防隊によって消された。

■ スーペリア・フューエル社社は事故当日の9月14日(月)午後遅くに営業を再開した。

補 足

■「ミネソタ州」(Minnesota)は、米国中西部の北に位置し、カナダに接しており、人口約570万人の州である。

「ダルース」(Duluth)は、ミネソタ州北東部に位置し、人口約86,000人の都市で、セントルイス郡の郡庁所在地である。ダルースは五大湖のひとつであるスペリオル湖の最西端に位置する港湾都市でもある。

■「スーペリア・フューエル社」(Superior Fuel)は、2006年に設立され、米国のミネソタ州やウィスコンシン州を中心に、一般住宅・商業・産業向けにエネルギーを供給している地域密着型の燃料供給会社である。

■「発災タンク」は、ガソリン用の容量17,000ガロン(64KL)で、事故時には液の抜取り作業中だった。グーグルマップで調べると、発災タンクは直径約3.3mであるので、高さは約7.4mである。タンク型式は、外観上、コーンルーフ型固定屋根型式である。通常、内液がガソリンの場合、内部浮き屋根式であるが、詳細はわからない。

所 感 

■ 事故原因は、発災事業所のスーペリア・フューエル社によれば、残留ガソリンのベーパーが封じ込め区域に充満し、従業員が延長コードを差し込んだ際に発生した火花で引火したという。しかし、これだけでは事故状況がわかりずらい。発災写真(標題の写真)を見ると、タンクローリーらしい車両があるので、タンク内の残留ガソリンはローリーに移送していたのだろう。残留ガソリンの抜出し方法を決めた事業所の安全管理の方法と実際の抜出しを行った従業員の作業安全の方法に問題があったことは間違いない。すでに撤去を終えたタンクもあり、いままでのやり方で大丈夫だったから今回も問題ないと考えがちだが、実際の現場の安全管理に抜けがあれば、事故に至るという事例だと思う。

■ 消火戦略には積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあり、火災タンクへの泡消火活動(積極的戦略)と隣接タンクへの冷却活動を行い、適切に鎮火させたとみられる。火災タンクの保有燃料の量が少なかったし、消防活動のしやすい場所だったため、状況としては比較的消火活動が容易だったと思われる。

備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     ・Duluthnewstribune.com, Fuel tank explodes near Lincoln Park neighborhood, September  14, 2026

     ・Duluthmn.gov, Explosion and fire on corner of W Superior Street and Carlton Street, September  14, 2026

     ・Northennewsnow.com, UPDATE: Superior Fuel worker released from hospital after fuel tank explosion leads to fire in Duluth, September  15, 2026

     ・Hazardexonthenet.net, US fuel tank explosion injures worker at Duluth transfer facility, September  22, 2026

     ・Gat.report, Worker injured in fuel storage tank explosion, Minnesota, September  14, 2026

     ・Fox21online.com, New information on fuel explosion in Lincoln Park, September  15, 2026

     ・98xrocks.com,  One Injured In Fuel Tank Explosion And Fire, September  15, 2026 

     ・Kare11.com,  1 hurt after explosion at Duluth fuel transfer facility, September  14, 2026

     ・Dailydispatchi.com, One injured, roads closed after fuel tank explosion leads to fire in Duluth, September  15, 2026 

後 記: タンクのメンテナンス工事中の事故では無く、タンクの油抜取り作業中の爆発・火災というめずらしい事例で、このブログでも扱ったことがない事例です。最近の米国におけるタンク事故については内容の乏しいメディアの記事が目立っていましたが、今回は発災事業者がその日のうちに原因について発表し、これまでの状況とは違っていました。米国南部のテキサス州やオクラホマ州と違って米国の北方に位置するミネソタ州だからでしょうか、あるいは地域密着型の燃料供給会社だったからでしょうか。いずれにしても、これからは事故を活かすメディアの記事を期待したいものです。

2026年10月8日木曜日

韓国・永川市のリサイクル工場で屋外の油貯蔵タンクが爆発・火災、負傷者3名

 今回は、2026年7月31日(金)、韓国の慶尚北道永川市にあるリサイクル会社の工場において、屋外の油貯蔵タンクが爆発して火災を起こし、負傷者3名を出した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国の慶尚北道(キョンサンブクト/けいしょうほくどう)永川市(ヨンチョンし/えいせんし)新寧面(シルリョンミョン)にあるリサイクル会社の工場である。

■ 事故があったのは、リサイクル会社の工場内にある屋外の油貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026年7月31日(金)午後1時50分頃、リサイクル会社の工場内にある油を保管する屋外の油貯蔵タンクにおいて火災が発生した。
■ 消防署には、油貯蔵タンクからバーンという音とともに、煙が上がったという通報を受け、消防隊が出動した。現場に到着した時、炎と煙が激しく、勢いのある火災の状態だった。

■ 消防隊は、消防士48名のほか消防車20台と消防ヘリコプターをともない、消火活動を行った。

■ 消防隊は現場到着と同時に人がいないか捜索に乗り出す一方で、隣接する建物に火が広がることを防ぐための消防防衛線を構築した。

■ 炎が上がっていた場所には、油を保管する屋外貯蔵タンクと建物が隣接しており、火災が周辺施設に広がる可能性があった。消防関係者は、「火災の延焼と燃焼拡大を防ぐために隣接箇所を統制し、速やかに炎を掴むことに総力を傾けている」と語った。

■ 事故にともない、3名の負傷者が出た。30代男性2人、50代男性1人の計3人が火傷、擦過傷、煙吸入などで病院に移され治療を受けた。

■ 消防当局と警察は、屋外の油貯蔵タンクまたは設備で爆発が発生した後、火災が始まったとみて、正確な火災原因と安全管理の状態などを調査するという。消防関係者は、「目撃者の陳述などに基づいて正確な爆発原因と財産被害規模を調査する方針」と話した。

■ ユーチューブなどでは、事故を報じる動画が投稿されている。

 ●Youtube、「경북 영천 공장 옥외 탱크에서 폭발·화재...3명 부상 / YTN」(2026/7/31)

 ●Yna.co.kr、「경북 영천 공장서 ‘펑’ 기름탱크 화재…3명 경상」 (2026/8/1)

< 被 害 >

■ 屋外の油貯蔵タンクが焼損した。内液の油が焼失した。

■ 負傷者が3名出た。 

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は分からない。当局が調査中である。

< 対 応 >

■ 消火活動は約1時間を費やし、火災は午後2時50分頃、鎮火した。

■ 消防当局は残火を整理し次第火災原因と被害規模を調査する予定である。 

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,120万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「慶尚北道」 (キョンサンブクト/けいしょうほくどう)は、韓国北西部にあり、人口約249万人の道である。

「永川市」(ヨンチョンし/えいせんし)は、慶尚北道の南東部に位置し、人口約96,000人の市である。

「新寧面」(シルリョンミョン)は、永川市の北西部に位置し、人口約3,400人の面(行政区画の一つ)である。

■「発災タンク」は、屋外の油貯蔵タンクと報じられているだけで、タンク型式や大きさなどの仕様は報じられていない。発災事業所のリサイクル会社も名称なども報道されておらず、どのような会社なのか、屋外の油貯蔵タンクはどのような目的(事業所の燃料油や製品油なのかなど)なのかも分からない。

所 感

■ 今回の事例はリサイクル会社で起こったものである。どのようなリサイクル会社かわからないし、今回の事故では負傷者が3名出ているが、事故状況や原因に関わる事象は報じられていない。過去に“廃油リサイクル会社” で起こった事故としては、つぎのような事例がある。

 ●「韓国華城市の廃油リサイクル会社の貯蔵タンクが爆発・火災、死者1名」(2024年5月); 廃油貯蔵タンクの圧力ゲージを取り換える作業をしていたというので、何らかのミスにより、引火して爆発・火災になったものとみられる。また、爆発しているので、廃油リサイクル会社が意図して揮発性の高い油を処理したのではなく、廃油を出した側がガソリンを投入してしまったと推測される。

 ●「茨城県稲敷市の廃溶剤リサイクル処理施設で火災、死傷者3名」(2017年3月); 発災場所がエマルジョン製造棟ということであり、廃溶剤のリサイクル処理装置の一部で起ったものとみられる。装置内の設備から多量の可燃性液体が漏洩し、火災になったものではないかと推測される。

■ 今回の消防活動は、消防士48名のほか、消防車20台と消防ヘリコプターをともない、事故発生から1時間で鎮火させたと報じられている。発災箇所や油量などが分からないが、この報道が正確なら、消火活動は適切に行われたのだろう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       ・News.kbs.co.kr,  영천 공장 옥외저장탱크서 화재…3명 경상,  July  31,  2026

       ・News1.kr,  영천 공장 옥외 기름탱크 폭발 화재 46분만에 초진…부상 3명(종합),  July  31,  2026

       ・Kyongbuk.co.kr, 영천 재활용업체서 폭발 추정 화재…3명 부상,  July  31,  2026

       ・Kmib.co.kr, 영천 공장 기름탱크서 화재…3명 다쳐,  July  31,  2026

       ・V.daum.net, 영천 공장 기름탱크서 화재…3명 다쳐,  July  31,  2026

       ・News.nate.com,  경북 영천 공장서 옥외 기름탱크 폭발 화재…부상 1명,  July  31,  2026

       ・Hankyung.com,  경북 영천 공장서 불…"기름탱크서 펑 소리“,  July  31,  2026

       ・Segye.com, “펑 소리 나더니 검은 연기”… 영천 공장서 기름탱크 폭발 추정 화재, 인명 피해는 없어,  July  31,  2026


後 記: 今回の韓国の事例報道をブログにまとめて感じたことは、韓国では事例を今後に活かそうという気持ちが伝わってこないことです。“韓国のある場所で火災が起こり、消防隊が消火させた” という記事に過ぎません。もともと韓国では、発災事業所の名前を報じませんし、情報量が少なく、今回はグーグルマップで場所を特定できませんでした。メディアによっては下のような夜の火災写真が添付されていました。最近の「韓国の華城市にある廃油処理施設で屋外タンクが爆発・火災、負傷者1名」(2026年9月)の後記では“韓国でもメディアの人不足が深刻なようです”と書きましたが、人の数ではなく、報道の質が低下していますね。