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2025年1月16日木曜日

米国テキサス州の石油生産施設で貯蔵タンクが爆発・火災

 今回は、202516日(月)、米国テキサス州リーブス郡バーハレンにあるバイタル・エナジー社の石油生産施設でタンクが爆発して火災を起こした事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、テキサス州(Texas)リーブス郡(Reeves County)のバーハレン(Verhalen)にあるバイタル・エナジー社(Vital Energy)石油生産施設である。

■ 事故があったのは、郡道336号線と郡道121号線の近くにある石油生産施設のタンクである。


<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 202516日(月)朝、石油生産施設のタンクが爆発し、火災になった。

    発災にともない、消防隊が出動した。

■ 消防隊が現場に到着すると、火災は石油掘削用リグが稼働している石油生産施設から発生していた。

■ 発災に伴う負傷者はいなかった。

■ 消防隊は、周辺地域への潜在的な危険を軽減するようバイタル・エナジー社の現場担当者と協力し、活動を行った。

被 害

■ 原油生産施設内にあった8基のタンクが損壊した。

■ タンク内にあった油類が焼失した。

■ 負傷者は出なかった。

< 事故の原因 >

■ 原因は分かっておらず、原因調査中である。

< 対 応 >

■ 消防隊は火災を制圧し、鎮火させた。

■ 消防隊は消火作業を終了し、危険が残っていないことを確認している。郡道336号線と郡道121号線のエリアを避けるよう住民に呼びかけている。

■ 火災の原因は現時点では不明で、調査が進行中である。


補 足

■「AIによる事故状況」; 事故の状況を報じているメディアが少ないため、 ChatGPTAIによる事故状況を問合せしてみた。

質問; 202516 にテキサス州バーハレンのタンクのバッテリーでどのようなタンク火災が発生しましたか?

回答; 202516日、テキサス州バーハレンのタンクバッテリーで原油貯蔵タンクの火災が発生しました。この事故は、現場の貯蔵タンクの爆発が原因で、大規模な火災が発生しました。緊急対応要員が火災の鎮火に努め、死者は報告されていません。爆発の原因は調査中で、当局は機器の故障やその他の技術的不具合の可能性に注目しています。火災は最終的に鎮火されましたが、この事故により石油貯蔵施設の安全基準に関する懸念が生じました。

=感想= 結果は上記のとおりで、非常に上手にまとめている。そして、最後に問題提起の文章を入れ、締めくくっている。

■「米国テキサス州」(Texas)は、米国南部にあってメキシコ湾岸に面し、メキシコと国境を接する人口約3,050万人の州である。

「リーブス郡」(Reeves County)は、テキサス州の西部に位置し、人口約14,700人の郡である。リーブス郡の北部は平坦で起伏のある地形で、最南部は山岳地帯の土地で構成されている。

「バーハレン」(Verhalen)は、西部開拓時代、テキサス州の広大な土地へと導いた時代に反映した。しかし、時の流れとともに、活気を失い始め、中心地だった町は衰退していった。かつては人々の生活とつながりをもたらした鉄道は、徐々にその音を止め、今では人けのない通りに不気味な静寂が響き渡るゴーストタウンになった。テキサス州にはゴーストタウンが少なくなく、バーハレンはそのひとつである。

■「バイタル・エナジー社」(Vital Energy)は、2006年にラレド・ペトロリアムとして設立し、2023年に社名をバイタル・エナジーに変更した独立系エネルギー会社である。オクラホマ州タルサ拠点にし、テキサス州などで原油や天然ガスを探査・開発・掘削を実施している。

■「発災タンク」は、郡道336号線沿いにある石油生産施設の円筒タンクである以外、詳細仕様はわからない。グーグルマップで調べると、郡道336号線沿いにある発災した石油生産施設と見られるタンク群がある。石油生産施設は水圧破砕法による油井とみられ、タンクは計8基あり、油系を貯蔵する炭素鋼製タンクが4基、塩水系のグラスファイバー製小型タンクが4基である。被災写真では、グラスファイバー製タンクはすでに損壊しているものと思われる。

 発災した炭素鋼製タンク4基の直径は約6.7mで、高さを7.0mとすれば、容量は約244KLである。この種の石油生産施設のタンクとしては大きい。標題の発災写真を見ると、噴き飛んだタンク屋根が防油堤外に落下しているので、少なくとも1基は爆発したものと思われる。このタンクに隣接する2基のタンクも屋根部がなく、側板もかなり変形しているので、爆発後の火災も激しかったと思われる。

所 感

■ 石油生産施設におけるタンクの爆発・火災は落雷によるものが多いが、要因を推測できるような情報は報じられておらず、事故原因はわからない。

■ 被災写真を見ると、発災タンクとみられるタンクは屋根が噴き飛んでおり、隣接する2基のタンクも屋根部が外れ、側板もかなり変形しているので、可燃性混合気の生成は大きかったと思われる。このように激しい爆発・火災の様相を呈しており、設備的に問題があったのかも知れない。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、被災写真を見る限り、消火活動を行ったようには見えないので、不介入戦略をとったのではないだろうか。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Newswest9.com, Tank battery fire reported in Verhalen, Texas, northwest of Fort Stockton,  Junuary 06,  2025

    Firehouse.com, Tank battery fire reported in Verhalen, Texas, northwest of Fort Stockton,  Junuary 06,  2025


後 記: 今回、テキサス州の状況についてこれまでと違った別な面を垣間見た感じです。テキサス州といえば、陸上原油生産施設の数が多いところで、米国発展の礎の土地だと思っていました。今回、テキサス州の西にあるリーブス郡バーハレンにある原油生産施設でしたが、バーハレンがゴーストタウン化しているというのを初めて知りました。原油生産施設のタンク爆発事故ですが、情報を伝えるメディアが2社しかなく、実質1社によるものでした。バーハレンの人口統計はなく、リーブス郡にしても人口約14,700人です。これではニュース性がなく、テキサス州のメディアがタンク事故に対して淡泊なわけが分かりました。

2025年1月9日木曜日

米国ロードアイランド州でコーン油タンクが爆発し、火災

 今回は、2024年12月27日(木)、米国ロードアイランド州プロビデンスにあるグローバル・パートナーズ社の施設で、コーン油(とうもろこし油)タンクが爆発し、火災になった事故について紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国ロードアイランド州(Rhode Island)プロビデンス(Providence)にあるエネルギー供給会社のグローバル・パートナーズ社(Global Partners)の施設である。

■ 事故があったのは、プロビデンス港工業地帯のターミナル・ロード近くにある貯蔵容量20,000ガロン(75.8KL)のコーン油(とうもろこし油)の立型円筒タンクである。発災時、タンク内には3,000ガロン(11KL)のコーン油が入っていた。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2024年12月27日(木)午後、グローバル・パートナーズ社でコーン油の貯蔵タンクが爆発して、火災が発生した。

■ タンクの上部屋根が噴き飛び、遠くの電柱にぶつかって落下した。けが人はいなかった。

■ グローバル・パートナーズ社でタンクローリーに燃料を補給していた運転手によると、27日(木)午後、車からいつものようなカチカチという音が聞こえてきたといい、「はじめは古いタイマーか圧力鍋が鳴る音だと思いました。それが笛のような音になりました。その後、建物の裏側で爆発の音が聞こえました」と語った。そして、貯蔵タンクの上部のような部品が空中を飛んでいくのが見えたという。

■ 発災にともない、午後3時30分頃、消防隊が出動した。

■ 近隣のクランストン、ジョンストン、カンバーランド、イーストプロビデンス、ノーススミスフィールドから相互援助の消防隊が現場に駆けつけた。

■ 消防隊は泡消火剤を使用して火災の制圧に努めた。

■ 火災の炎は貯蔵タンク以外に広がることはなかった。

■ グローバル・パートナーズ社によれば、コーン油は主に暖房に使用されるバイオディーゼルだという。ロードアイランド州は持続可能なエネルギーの実践を支援するために暖房用オイルに10%のバイオ燃料の混合を義務付けているという。

■ 事故にともなう負傷者は報告されていない。

■ ユーチューブでは、事故に関するニュースが投稿されており、主なものはつぎのとおりである。

 YoutubeCorn oil storage tank catches fire in Providence2024/12/27

   ●YoutubeCorn oil storage tank catches fire in Providence2024/12/28

被 害

■ 貯蔵容量20,000ガロン (75.8KL)の立型円筒タンク1基が損傷した。

■ タンク内部に入っていた3,000ガロン (11KL)のコーン油の一部が焼失した。

< 事故の原因 >

■ 爆発の原因は調査中である。 

< 対 応 >

■ 消防隊は泡消火剤を大量に散布して火を消し止めることに成功し、完全消火に向けて作業を続けた。

■ 12月27日(木)午後4時45分頃、消防隊は火災を鎮火させた。消防士が現場を監視し、撤収前に安全を確認するという。

■ 12月27日(木)、グローバル・パートナーズ社は、つぎのような声明を出した。「消防士たちが素早く炎を消し止め、延焼を防いでくれました。影響を受けたタンクは使用停止となり、火災の根本原因が特定され、再発防止のための是正措置が実施されるまで使用しないままとします」

■ 12月28日(金)午後、グローバル・パートナーズは、発災設備以外のプロビデンス・ターミナルの業務を再開した。

補 足

■「ロードアイランド州」(Rhode Island)、米国東北部のニューイングランド地方にあり、人口約110万人の州である。

「プロビデンス」(Providence)はロードアイランド州北部のナラガンセット湾の湾奥に位置する南東にあり、人口約19万人である。プロビデンスは、州都であり、港湾都市・学術都市であり、州全土がプロビデンス大都市圏である。広域的には、プロビデンス大都市圏はボストンの広域都市圏に含まれているため、ロードアイランド州全土がボストンの広域都市圏に含まれている。

■「グローバル・パートナーズ社」(Global Partners)は、1933年にトラック1台による暖房用オイル販売会社として設立され、現在では、 2018年のフォーチュン500で361位にランクされている米国のエネルギー供給会社である。事業は石油製品の輸入と北米での販売に重点を置いており、原油、ディーゼル油、ガソリン、暖房用油、灯油などの製品を卸売している。

■「発災タンク」は、貯蔵容量20,000ガロン(75.8KL)のコーン油(とうもろこし油)の立型円筒タンクである。発災時、タンク内には3,000ガロン(11KL)が入っていたと報じられている。グーグルマップで調べると、直径約4.0mであり、貯蔵容量から高さは約6.0mとなる。従って、発災時の液面はタンク底に近い0.9mとなる。

■「コーン油」(とうもろこし油)は、とうもろこしを原料とするバイオマス燃料である。報じられているところによると、コーン油は主に暖房に使用されるバイオディーゼルである。ロードアイランド州は持続可能なエネルギーの実践を支援するために暖房用オイルに10%のバイオ燃料の混合を義務付けているという。日本でも調理用のコーン油(とうもろこし油)の廃油を原料としてバイオマス燃料を作っていることがあるが、米国では、食品や飼料用のコーン(とうもろこし)を原料としたバイオマス燃料だと思われる。この場合、製造方法によるが、バイオエタノールを製造するとみられる。バイオエタノールはガソリンの代替になる軽質の油である。

所 感

■ 事故原因は分かっていない。しかし、発災はタンクの屋根部を噴き飛ばすほどの爆発が起こっている。従って、タンク内部に軽質ガスがあったとみられる。廃油などを用いたバイオディーゼル燃料であれば、爆発を生じるほどの軽質分は無いと思われ、米国で通常採用されている食品や飼料用コーン(とうもろこし)から生産するバイオエタノール用ではなかっただろうか。発災時のタンク液面は満杯時の6.0mと比べると0.9mとかなり低く、タンク液を移送していたものと思われる。このため、タンク内には外気から空気が入り、爆発混合気が形成したのではないだろうか。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、泡消火剤を用いた積極的戦略がとられている。この消火作業には、はしご車が用いられており、タンク上部から泡消火剤を放射した効果があったものと思われる。発災のあったプロビデンスは人口約19万人であるが、近隣の町からも相互援助の消防隊が参画しており、人材や消防資機材の観点から適切な組織化が行われていたことがうかがえる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    ・Youtube.com,   Corn oil storage tank catches fire in Providence,  December 27, 2024

    ・Wpri.com, Corn oil storage tank catches fire in Providence,  December 27, 2024

    ・Providencejournal.com, Large tank fire in Providence has fire departments from around the state responding,  December 26, 2024

    ・Golocalprov.com, Corn Oil Tank Catches Fire in Providence - Latest Fire Off Allens Avenue,  December 26, 2024

    ・Firehouse.com, Corn Oil Storage Tank Catches Fire in Providence, RI,  December 27, 2024 

    ・B101.iheart.com, Providence Oil Tank Fire,  December 27, 2024


後 記: 今回、初めてロードアイランド州の事例を取り上げました。しかも、燃料油としてはめずらしいコーン油の爆発事例です。ロードアイランド州は米国では歴史のある州であり、全般的にいうと、テキサス州のタンク事例に比べ、発災事業所の対応やメディアの報道内容が違っていました。これが本来の報道だという感じがしました。