このブログを検索

2024年12月29日日曜日

ロシアの黒海にある海峡で2隻のタンカーが座礁、油流出4,000トン、死者1名

 今回は、20241215日(日)、ロシア船籍のタンカー2隻がロシアとウクライナ南部クリミア半島に囲まれたアゾフ海と黒海をつなぐケルチ海峡で悪天候の強風にあおられて漂流して座礁し、船体から重油4,000トンを流出させ、1名の死者を出した事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災施設は、ロシアRussiaのタンカー2隻である。2隻のタンカーはボルガタンカー社Volga Tankersが所有するもので、比較的小型で、船名はボルゴネフト212Volgoneft 212とボルゴネフト239Volgoneft 239である。ボルゴネフト212号は長さ136m×16m1969 年に建造され、ボルゴネフト239号は長さ132m×17m1973年に建造された。

■ 発災があったのは、ロシアとウクライナ南部クリミア半島に囲まれたアゾフ海と黒海をつなぐケルチ海峡Kerch Strait である。ケルチ海峡はロシア産穀物の主要輸出ルートのほか、原油、燃料油、液化天然ガスの輸出に使用されている。


< 事故の状況および影響 > 

事故の発生

■ 20241215日(日)、ロシア船籍のタンカー2隻がケルチ海峡で悪天候の強風にあおられて漂流し、沖合で座礁し、船体から重油が流出した。

■ ボルゴネフト212号とボルゴネフト239号は、ケルチ海峡を航行中に、1215日(日)に危険にさらされた。その海域の風速は時速45マイル(20m/s)に達していた。

■ ボルゴネフト212号は海岸から8km離れた場所で起き、ボルゴネフト239号はクラスノダール準州タマン港近くの海岸から80mの地点で座礁した。ボルゴネフト212号のタンカーの船首部分が完全に折れ、海に油の筋が漂っているのが確認できる。

■ 2隻のタンカーには合わせて9,000トン以上の重油を積んでおり、そのうち約3,000トンが流出したとみられる。当初の流出量は約3,000トンとみられていたが、流出が続いて約4,000トンになった可能性がある。

■ ケルチ海峡では新たに3隻目のタンカー;ボルゴネフト109号も漂流した。ただし、3隻目のタンカーは遭難信号を発したが、船体は無傷で、油の流出はないという。

■ ロシア緊急事態省は、ロシア南部クラスノダール地方の黒海沿岸が少なくとも49kmにわたって重油で汚染されたといっている。映像によると、マズートと呼ばれる低品質の重油の黒い波が、クラスノダール地方に押し寄せているのが確認されている。

■ ロシアのSNSでは、油まみれになった鳥の写真や動画が投稿されており、「海の生態系に壊滅的な結果をもたらす可能性がある」と懸念する専門家もいる。クラスノダール地方の沿岸では、油まみれの海鳥が次々と住民らに保護されている。重油除去には2年以上かかるとの見方もあり、「黒海で最悪の環境災害の一つになる可能性がある」との指摘も出ている。

■ ウクライナのグリーンピースは1217日(火)、重油流出の影響は60kmの海岸線に及び、マズートに汚染された鳥たちが死んでいると伝えた。

■ ロシア産原油の国際取引に使用されるタンカーは一般的に、約12万トンの積載能力がある船が使用される。このことから、事故を起こしたタンカーは、ロシアの河川や沿岸水域における原油輸送に使用されていたとみられる。

■ 1223日(月)には、ロシアのケルチ橋の始まりから南に約10kmの海岸に打ち上げられたボルゴネフト212号の残骸が映っているのが確認された。

■ ユーチューブには事故の状況を示す動画が投稿されている。主な動画はつぎのとおりである。

 ● Youtube「アゾフ海と黒海を結ぶケルチ海峡でロシアのタンカー座礁 重油流出で環境被害深刻」(20241218)

  ● Youtubeイルカや鳥が真っ黒ロシアのタンカー2隻が悪天候で座礁し大量の重油流出 最悪の環境災害除去に2年以上かかるとの見方も」(20241220)

  ● YoutubeЭкологические последствия крушения танкеров в Керченском проливе2024/12/20

 ● Youtube Российские танкеры пошли ко дну во время шторма | Экологическая катастрофа в Керченском проливе2024/12/17


被 害

■ タンカー2隻が座礁して損傷した。

■ タンカー内に積んでいた重油約4,000トンが海へ流出し、環境汚染を引き起こした。

■ 船員1名が死亡した。 

■ 海に生息していた野鳥やイルカなどが油によって被災した。

< 事故の原因 >

■ 老朽化したタンカーで海上での運行ができないような船で、荒天時の操船ミスによって座礁してしまった。   

< 対 応 >

■ タンカーの救助活動には、複数のタグボート、ヘリコプター、50人以上の人員が投入された。ボルゴネフト212号から乗組員13人が救出されたが、その後、悪天候のため中断された。船首が嵐で引きちぎられたボルゴネフト212号では、船員1人が死亡した。ボルゴネフト239号は、ロシアのクラスノダール地方のタマン港付近の岸から80mのところで座礁し、14人が救助された。

■ ロシアの大統領は、副首相をトップとする事故対処作業部会の設置を命じた。当局は刑事過失があったとみて捜査をしている。

■ ロシアのタンカー2隻が座礁して大量の重油が流出した影響で、黒海などに生息する絶滅危惧種のイルカが危機に瀕(ひん)している。この海域では、ロシアなどが絶滅危惧種に指定するネズミイルカやバンドウイルカ、マイルカなどが生息しており、独立系メディアは少なくとも11頭のイルカと140羽以上の鳥が重油に汚染されて死んだと伝えている。

■ クラスノダール地方の首長によると、海岸に漂着した重油の除去作業は悪天候に阻まれて難航し、除去作業がいつ終わるかは分からない状況にあるという。ノボロシスク市の北部アナパ近郊の海岸に重油が押し寄せ、ロシアのエコロジストは「悪臭がひどいと地元住民が訴えている」という。

1223日(月)、油流出事故の除去作業にあたるボランティアらは、公開したビデオで、自分たちと地元当局が対応に追われているとして、ロシア大統領に連邦政府の緊急援助を送るよう訴えた。 

 現場ではボランティアが不足しており、最低限の防護をしながら活動している。流出油は手作業で洗浄されており、これでは明らかに十分ではない。人々は強い臭気、アレルギー、体調不良を訴えている。専門家らは浄化には技術が必要だと警告しているが、当局は「状況をコントロールしている」としている。

■ 当局は、海岸線に油が流出したため、テムリュク地区の4つの集落とアナパ地区の1つの村に地方非常事態が宣言されたと述べた。

■ クラスノダールの緊急対応センターは 、緊急事態省の職員やボランティアを含む約8,500人が進行中の清掃活動に参加していると述べた 。約400台の重機も配備されたと付け加えた。

■ 当局によると、 20241223日(月)時点でクラスノダール地方の海岸線約55kmが流出の影響を受けたという。当局は、緊急隊が流出したマズート(低品質の重油)の除去に「昼夜を問わず」取り組んでいると述べているが、清掃活動に携わる環境活動家やボランティアは、政府は災害への対応が不十分だと述べている。

■ 油流出の被害を受けているクラスノダール地方のリゾート地アナパに住む女性は、「私たちは皆さんの助けを懇願しています。これは心の底からの願いです」といい、「地元当局は対応に追われ、必要な資源が不足しています。彼らが持っている唯一の資源はシャベルを持った一般の人々ですが、この規模の大惨事はシャベルだけでは対処できません」と語っている。 

 ヴェセロフカ村とブラゴヴェシチェンスカヤ村の近くで活動するボランティアは、住民が砂から油を手作業で取り除いていると語った。場合によっては、マズートの袋がすぐに移動されずに再び海岸に漏れ出てしまい、海岸沿いの清掃作業を繰り返さなければならないこともあるという。

■ 法執行機関は、交通安全規則違反と海上輸送の運行に関する過失による死亡事故を引き起こした2件の刑事事件を開始した。捜査当局はタンカーの技術検査を行った会社の書類を押収し、捜索を行っている。両船の船長は拘束され、彼らは輸送安全要件に違反した疑いで告発されている。クラスノダール準州の知事、天然資源省などが緊急事態の現場に到着した。

■ 事故は内航海運の問題の大きさをはっきりと示した。今回の事故タンカーは50年を超えており、タンカーはとうの昔に期限切れになっている。1隻は1969 年に、もう 1隻は1973年に建設され、さらに、河川タンカーとして作られたものであり、海上航海を目的としたものではない。ソ連崩壊後、それらは「川・海」規格に転換されたという。両タンカーは最大波高22.5mの沿岸海域で航行できる河川船のクラスに属している。しかし、航行状況はタンカーのクラスに対応していなかった。専門家は、好天の場合と沿岸航行の場合にのみ海に出られると強調した。

■ 海上警備会社アンブリーによると、旧ソ連時代の船舶はここ数年、悪天候のため故障や沈没が相次いでおり、ロシアは欧米の制裁が原因で老朽化した船舶の修理に苦慮しているという。

■  2007年には、ケルチ海峡で停泊していたタンカーが嵐の影響で真っ二つに折れ、1,000トン以上の油が流出した事故が起こっている。


補 足

■ 「ロシア」Russiaは、正式にはロシア連邦といい、ユーラシア大陸北部に位置し、人口約14,200万人の連邦共和制国家である。

■「ケルチ海峡」Kerch Straitは、東ヨーロッパにある海峡である。黒海とアゾフ海を結び、西はクリミア半島のケルチ半島と東はロシア領クラスノダール地方のタマン半島を隔てている。海峡の幅は3.1kmから15km、深さは最大18mである。

■「タンカー事故」をこのブログで取扱ったのは、つぎのとおりである。

 ●「イランの石油タンカーが中国沖で衝突・炎上して漂流後沈没、死者32名」20181月)

 ●「米国テキサス州でバージがLPGタンカーと衝突して損傷、ガソリンが海上流出」 20195月)

 ●「インドネシアで修理中の石油タンカーで爆発、死傷者29名」20205月)

所 感

■ 事故の原因は、老朽化したタンカーで海上での運行ができないような船で、荒天時の操船ミスによって座礁してしまったものである。座礁事故は、起こるべくして起こったと感じる事例である。

■ 油流出が起こったあとの事故対応も不適切さを感じる。ロシアの大統領は、副首相をトップとする事故対処作業部会の設置を命じているが、現場の清掃作業がどのように組織され、実行しているのかまったく分からない、結局、当局は刑事過失があったとみて捜査しているしか見えない。

 たとえば、日本では、「流出油事故対応 総合マニュアル 」独立行政法人海上災害防止センター 、2006年)などがある。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Asahi.com,  ロシア重油流出、油まみれの鳥が次々 「最悪の環境災害」の可能性も,  December  19,  2024

     Bbc.com,  ロシア籍タンカー2隻がケルチ海峡で難破、原油流出 少なくとも1人死亡,  December  16,  2024

     Cnn.co.jp,  ロシアのタンカー座礁、海岸に押し寄せる重油 油まみれの鳥の姿も,  December  19,  2024

     Yomiuri.co.jp,  ロシアのタンカー2隻が座礁、うち1隻が沈没で1人死亡黒海・アゾフ海結ぶ海峡で重油流出,  December  19,  2024

     Nhk.or.jp,  ロシアのタンカー2隻 クリミア半島近くで座礁 重油流出か,  December  18,  2024

     Reuters.com,  黒海でロシア籍タンカーの漂流相次ぐ、新たに3隻目 先に難破した2隻からは原油が流出,  December  18,  2024

     Greenpeace.org, The oil spill accident in the Black Sea demonstrates what environmental damage old tankers with Russian oil can cause around Europe,  December  17,  2024

     Cnn.com, Russia’s Black Sea beaches flooded with oil from wreck of tankers,  December  18,  2024

     Reuters.com, Black Sea oil spill worsens as third Russian tanker sends distress call,  December  18,  2024

     Reuters.com,  Black Sea oil spill volunteers in Russia ask Putin to send urgent help,  December  24,  2024

     Themoscowtimes.com, ‘Left to Fend for Themselves’: Volunteers Step Up as Russian Government Falters in Black Sea Oil Spill Response,  December  24,  2024

     Bbc.com, В Керченском проливе потерпели крушение два танкера с нефтепродуктами. Что известно, December 16, 2024

    Forbes.ru, Отмыть нельзя: экологические последствия утечки мазута в Керченском проливе,  December  17,  2024

    Daryo.uz, Разлив мазута в Черном море: можно ли купаться?,  December  25,  2024


後 記: ロシアで起こった海上流出油事故だったので、どのような状況なのかを知りたくて調べ始めました。ロシアの公的機関は油の回収作業をやっているという発言ですが、ボランティアをやっている人から見れば、不十分だといいます。普通、油流出事故では、ボランティアなど作業する人が何名で、油回収量が何日で何トンになったということが報じられますが、ロシア‐ウクライナ戦争の渦中であるクリミア半島近くの出来事なので、実際、人員資機材が導入できず、把握されていないのでしょう。船舶の航跡図もダメでした。最後に疑問をひとつ。標題の船首が折れている写真はボルゴネフト212号というのが報道ですが、事故前のボルゴネフト212号の写真を見ると、船首の形が違っているように見えます。

2024年12月22日日曜日

米国ノースダコタ州レイの石油生産施設でタンクが爆発・火災

 今回は、20241129日(金)、米国ノースダコタ州ウィリアムズ郡レイにあるヘス社の石油生産施設において貯蔵タンクが爆発して火災になった事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、米国ノースダコタ州North Dakotaウィリアムズ郡Williams CountyレイRayにあるヘス社Hessが運営するGO-ロン・アンダーソン油井GO-Ron Anderson wellの石油生産施設である。

■ 発災があったのは、レイの北約3.5マイル(5.6km)にある石油生産施設の貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 20241129日(金)午前1040分頃、レイ近郊で石油タンクが爆発し、火災になった。

■ 近隣の住民は家屋を揺らすような爆発音を聞いたという。レイの上空は黒煙で暗くなった。

■ 発災にともない、消防隊が出動した。

■ 消防隊が現場に到着した時、タンク4基が炎上していた。

■ 爆発当時、現場には人がおらず、負傷者の報告もなかったので、消防隊は火が自然に消えるのを待つのが最善策だと判断した。

■ 火災現場では、原油と産出水が流出した。

■ ユーチューブでは、事故のニュースが投稿されている。

 YoutubeExplosion rocks tank battery near Ray Friday; no injuries2024/12/02

被 害

■ 貯蔵タンク複数基が焼損し、内部の油が焼失した。

■ 負傷者は出なかった。

■ 燃焼の黒煙で大気が汚染された。

< 事故の原因 >

■ 火災の原因は不明で、調査中である。

< 対 応 >

■ 1030日(土)の昼頃、火災は弱まり、現場は封じ込められた。タンクからの流出は防油堤で抑え込まれ、午前1145分時点では火災は鎮火したとみなされた。

■ 午後230分時点で現場はまだ煙が出ていたが、その時点では一般市民への危険はなかった。

■ 負傷者の報告はなく、火災や爆発発生時に発災現場付近に職員や通行人はいなかった。

■ ヘス社は、つぎのような声明を出した。

20241129日(金)午前1040分頃、ノースダコタ州ウィリアムズ郡のヘス社が運営するGO-ロン・アンダーソン油井で火災が発生しました。火災は鎮火しており、負傷者の報告はありません。ヘス社は安全で責任ある操業に尽力しています。当社は火災による被害を修復し、事故の原因を調査して教訓を特定し、実行していきます」

■ ノースダコタ州石油ガス局によると、この施設を運営するヘス社は原油420バレル(67KL)と産出水60バレル(10KL)が流出したが、報告時点ではそれぞれ3バレル(0.5KL)を除いてすべて回収されたと述べた。

■ 州の検査官が現場を訪れ、火災の原因を調査中である。

補 足

■「ノースダコタ州」North Dakotaは、米国の北部に位置し、カナダに接する州で、人口約78万人である。州都はビスマルク市である。ノースダコタ州はシェールオイルの生産による石油ブームが続いており、石油生産量はテキサス州につぐ全米第2位になっている。

「ウィリアムズ郡」Williams Countyは、ノースダコタ州の西に位置し、人口約41,000人の郡である。

「レイ」Rayは、ウィリアムズ郡にあり、人口約740人である。

■「ヘス社」Hessは、1919年に設立された原油と天然ガスの探査と生産に携わる米国の独立系エネルギー会社である。ヘス社は、米国(ノースダコタ州)とリビアの陸上、米国(メキシコ湾)、カナダ、南米(ガイアナ、スリナム)、東南アジア(マレーシア、マレーシア・タイ共同開発地域)の沖合で探査・生産事業を行っている。

  ヘス社のノースダコタ州における事故例としては、202212月、ノースダコタ州レイ近郊のヘス・パイプラインから7,800ガロン(30KL)以上のプロピレングリコールと4,400ガロン(17KL)以上の産出水を流出する事故を起こした。また、 20241月、ヘス・ウォーターサービスLLCは、ノースダコタ州で設備の故障により468バレル(74KL)の産出水を流出した事故を起こしている。

■「発災場所」は、レイから北約3.5マイル(5.6km)の位置とされている。グーグルマップで調べると、レイから北約510km付近には、多くの石油生産施設があり、区別はつかない。また、消防隊が現場に到着したとき4基が燃えていると報じられているが、レイ付近にある石油生産施設では少なくとも6基以上のタンクが設置されている。塩水処理を兼ねた施設だと思われ、燃焼していた4基以外のタンクは水タンクだと思われる。「発災タンク」が特定できないので、大きさはわからないが、直径を23m、高さを46mとすれば、容量は1242KL程度であろう。

所 感

■ タンクの爆発・火災の原因は分からない。ノースダコタ州では、「米国ノースダコタ州の石油生産施設で原油タンクが爆発・火災」20249月)があっているが、この事例も施設に人がいないときに起こっている。最近、このような事例があり、石油生産施設のタンク管理状況に問題がないか確認していく必要があるのではないだろうか。

■ 消火戦略には、「積極的戦略」、「防御的戦略」、「不介入戦略」の3つがある。通常、水圧破砕方式で塩水処理設備を有する陸上石油生産施設では、不介入戦略や防御的戦略がとられることが多い。今回、消防隊は、「現場には人がおらず、負傷者の報告もなかったので、火が自然に消えるのを待つのが最善策だと判断した」といい、不介入戦略をとっている。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

   Kfyrtv.com, UPDATE: Explosion rocks tank battery near Ray Friday; no injuries,  December 1, 2024

   Kxnet.com, Oil tank battery explodes and catches fire near Ray,  November 30,

   Msn.com,  Explosion rocks tank battery near Ray Friday; no injuries,  November 30, 2024

   Minotdailynews.com, Oil tank explodes near Ray, no injuries reported,  November 30, 2024


後 記: 今回の事例はテキサス州でなく、ノースダコタ州で起こったタンク火災事故なので、報道記事は内容のあるものが多くあるのではないかと思っていましたが、期待倒れでした。ウィリアムズ郡レイの町は人口約740人ですし、消防活動も、現場に人がおらず、負傷者もなく、火が自然に消えるのを待つ不介入戦略をとりましたので、報道する側としては書きようがないというのが正直なところでしょう。このような国土の広い感覚は日本ではわかりませんね。

2024年12月16日月曜日

米国テキサス州のプロパンガス供給センターでタンク爆発、負傷者1名

 今回は、20241016日(水)、米国テキサス州ウォーラー郡ブルックシャーにあるラピッド・エクスチェンジ社のプロパンガス供給センターで負傷者1名を出すプロパンガスボンベの爆発・火災事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国テキサス州Texasウォーラー郡Waller CountyブルックシャーBrookshireにあるラピッド・エクスチェンジ社Rapid Xchangeのプロパンガス供給センターである。センターは、プロパンガスを大型容器から家庭で使用する小型タンクに移し替える施設である。

■ 事故があったのは、ブルックシャーのFM529号線30313にあるラピッド・エクスチェンジ・プロパンセンター内のプロパンガスボンベである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 20241016日(水)午後1時過ぎ、ラピッド・エクスチェンジ・プロパンセンターで爆発が起こり、火災になった。

■ 通報によって消防隊が出動した。通報者は発災現場から大量の煙が上がっているのが見えたと話した。

■ 消防隊が現場に到着すると、プロパンガスボンベが次々に爆​​発していた。消防活動の対応のため、近くのFM529号線とFM2855号線が交通閉鎖された。

■ 事故にともない、男性ひとりが負傷し、病院に搬送された。容態は安定しているという。発災時、施設には15人がいたが、14人は被災から逃れた。

■ メディアが飛ばしたドローンの映像では、数マイル先から炎と黒煙が見える状況だった。

■ 当日午後3時頃、ラピッド・エクスチェンジ・プロパンセンターの建物裏の草原火災は鎮火したが、まだ建物の火災は続いた。

■ ウォーラー郡は、この地域の干ばつにより、草原火災が大きな懸念事項の一つであると語っている。ウォーラー郡では野焼き禁止令が出されており、これはテキサス州知事が1014日(月)に出した災害宣言の一部で「州全体で山火事の危険性が高まり、山火事対応の活動が続いている」という。

■ 事故はプロパンガスをボンベから別のボンベに移し替えている最中に発生した。

■ 当局は、同地域の空気の質は依然として安全であり、避難命令を発令しないと述べている。 

■ ユーチューブでは、事故に関するニュースが投稿されており、主なものはつぎのとおりである。

 YoutubeBrookshire, TX Propane Fire 12024/10/17) 

 ●YoutubeFire and smoke seen for miles after propane center explosion in Brookshire2024/10/17

 ●Youtube Fire under control after explosion at propane facility in Brookshire, officials say2024/10/17

被 害

■ 多数のプロパンガスボンベが損壊した。

■ プロパンガス供給センターの建物が火災で被災したほか、センター内にある設備が被災した。また、センター近くの草地30エーカー(12万㎡)が火災で焼失した。

■ 負傷者がひとり出た。

■ 近くの道路が交通閉鎖された。

< 事故の原因 >

■ 爆発の原因は調査中である。 

< 対 応 >

■ 当日の1016日(水)午後4時頃に、建物の火災と周囲の草地の火災はともに完全に鎮火した。草原火災の焼失面積は30エーカー(12万㎡)だった。 

■ 午後6時、対応により閉鎖していたFM 529号線とFM 2855号線の道路は解除された。

■ 当局によると、初期の兆候では火災が偶発的なものであったことを示唆しているが、当局は何が起こったのか調査中だという。

■ この事故は、プロパンガスの配送と保管に伴う潜在的な危険性をはっきり認識させる。特に、乾燥した状況では、火災が急速に広がる可能性があるため、危険は現場のすぐ外にまで及ぶ可能性がある。

補 足

■「米国テキサス州」Texasは、米国南部にあってメキシコ湾岸に面し、メキシコと国境を接する人口約3,050万人の州である。

「ウォーラー郡」Waller Countyは、テキサス州の東部に位置し、人口約56,000人の郡である。

「ブルックシャー」Brookshireは、ウォーラー郡にあり、人口約5,000人の町である。

「ラピッド・エクスチェンジ社」Rapid Xchangeは、本社がノースカロライナ州クリントンにあり、プロパンガス供給を業務とするエネルギー会社である。

「ラピッド・エクスチェンジ社」 は、20187月にノースカロライナ州クリントンでプロパンガス爆発を起こし、作業員2名が負傷するという事故を起こしている。

■「発災タンク」はプロパンガスボンベとみられる。ラピッド・エクスチェンジ社のボンベの例を写真に示す。

所 感

■ 事故原因は分かっていない。20226月にあった「カナダの建設機械レンタル会社でプロパンガスボンベが爆発・火災」20247月)の事例に類似している。カナダの事故事例も原因は分からなかったが、所感で「屋外に置いていたプロパンガスボンベが何らかの要因で漏れ、そのガスに引火して爆発が起こったものだろう。冷却散水など安全対策の整ったLPガス充填所ではないようなので、プロパンガスボンベの保管状態に疑問のある事故である」と書いた。

 今回の事例では、「当局によると、初期の兆候は火災が偶発的なものであったことを示唆しているが、何が起こったのか調査中だという」 今回も屋外に置いていたプロパンガスボンベが爆発要因のひとつであり、「火災が偶発的なもの」として処置すべきものではないと思う。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、プロパンガスボンベの火災は厄介である。多数のボンベを冷却しなければならないが、プロパンガスは空気中に漏れ出たときには気体状で爆発性があり、消防士の命を守る必要がある。今回の事例では、消防隊は出動しているが、報道記事でも被災写真を見る限り、積極的な消火活動を行ったようには見えないので、不介入戦略をとったものとみられる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Click2houston.com, Fire and smoke seen for miles after propane center explosion in Brookshire,  October 16, 2024

    Cw39.com, Worker injured in Brookshire propane plant fire expected to survive,  October 17, 2024

    Ktrh.iheart.com, Explosion, Fire Reported At RapidXchange Propane Facility In Brookshire,  October 17, 2024

    Fox26houston.com, RapidXchange propane facility fire: 1 injured in explosion, nearby roadways reopened,  October 16, 2024

    Coveringkaty.com, Multi-propane tank explosion in Brookshire forces road closures,  October 16, 2024

    Abrahamwatkins.com, Recent Propane Explosion in Brookshire,  October 24, 2024     


後 記: 今回のテキサス州の事例の報道記事を読むと、陸上原油生産施設のタンク事故と同様、“ひとつやふたつが火災になったところで取るに足らず、むきになって原因がどうの、未然防止がどうのと言っているのは、遠く離れた油田のない日本(の私)だけのように感じ、バカみたいですね”と後記で書いたことと似ています。今回の事例では、「当局によると、初期の兆候は火災が偶発的なものであったことを示唆しているが、何が起こったのか調査中」だといいますが、なにか対応に粗っぽさを感じます。この点、前回の「米国ミシガン州でGM自動車試験場にある石油生産施設のタンクが爆発」202412月)の事例のときに感じたように、関係機関の対応や取材に応じて細かい点まで気を配った報道記事とは随分差があります。

2024年12月8日日曜日

米国ミシガン州でGM自動車試験場にある石油生産施設のタンクが爆発

 今回は、20241126日(火)、米国ミシガン州ブライトン・タウンシップにあるゼネラルモーターズ試験場の敷地内に設置された石油生産施設で天然ガスなどの入った貯蔵タンクが爆発して火災を起こした事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国ミシガン州Michiganブライトン・タウンシップBrighton Townshipにある石油生産施設である。施設はデトロイトの北西約45マイル(70km)にあるゼネラルモーターズ試験場General Motors Proving Groundの敷地内にあり、エネルギー会社がゼネラルモーターズから用地を借りて操業している。

■ 事故があったのは、ブライトン・タウンシップのハイン北部プレザント・バレー道路沿いにある石油生産施設で天然ガスなどの生産物を貯蔵するタンクである。


<
事故の状況および影響
>

事故の発生

■ 20241126日(火)早朝、石油生産施設で貯蔵タンクが爆発して火災が発生した。

■ 数マイル離れた場所でも住民は爆発を感じたという。 住民のひとりは、「ガス漏れで家が爆発したかと思いました」と語った。仕事へ向かう途中だった別な住民は、「爆発したようなドカンという音が聞こえました。実際、自分のトラックに何かが当たったのではないかと思いました」と語った。

■ 事故にともない、周辺が揺れ、約500600フィート(150180m)離れた住宅2軒で窓ガラスが割れるなどの被害が出た。しかし、負傷者が出たという報告はない。

■ 発災にともない、消防隊が午前640分頃に出動した。爆発の通報を受けた複数の消防隊が現場に急行した。

■ 消防隊が発災現場に近づくと、炎と煙が見えた。火災現場の用地は賃貸物件とわかる場所だった。タンクには石油掘削の生産物である天然ガスが含まれ、そのほかに副産物として水、可燃性液体、塩水の混合物が入っているとみられる。

■ 消防署は、プレザント・バレー道路を消火活動のため交通制限した。

■ 9つの消防隊は、プレザント・バレー道路付近にある天然ガス処理タンクで2つの警報が鳴った火災に対して消火泡を用いて消火作業を行った。

■ 事故は天然ガス処理工程の一部であるタンクの1基が爆発したとみられた。

■ 爆発当時、現場で作業していた人はいなかった。

■ ユーチューブでは、事故に関するニュースが投稿されている。

 YoutubeBrighton fire chief speaks on explosion at tank on GM Proving Grounds2024/11/26

 ●YoutubeA tank fire erupted after an explosion at the General Motors Proving Grounds in Michigan2024/11/27


被 害

■ 石油生産施設の貯蔵タンク3基が被災し、うち1基は損壊した。内部の天然ガスなどが焼失した。

■ 負傷者はいなかった。

■ 近くの道路が消火活動のため交通閉鎖された。また、タンク内液などの流出について住民や環境団体が懸念した。  

< 事故の原因 >

■ 発災当時、現場には人がおらず、事故の原因は不明である。消防署などによって調査中である。

< 対 応 >

■ 1126日(火)午前8時頃、消防隊は消火泡を使用して火災を消火した。その後、近くのタンクに水を噴射して冷却した。

■ 消防署は午前8時頃、フェイスブックに火災の写真を掲載し、「現在、ブライトン・タウンシップのハインの北にあるプレザント・バレーにてタンク火災が発生しています。プレザント・バレー道路はハインの北で通行止めになっています」と注意喚起を行った。プレザント・バレー道路は、火曜日のほとんどの間、閉鎖されたままだった。

■ 今回、周辺の消防署から約24台の消防車両が出動したが、この地域には消火栓がないため、水を運ぶにはタンクローリーが必要だったという。

■ 火は消えたが、住民の中には飲料水の安全性を心配する人もいるという。住民のひとりは、「消火泡が上がっているのを見ました。石油タンクのまわりには防油堤があるようですが、もしこれを突破したら、その地域の井戸に影響が出るのではないかと心配しています。何年も前ですが、試験場の南東で井戸のある地面が汚染されたことがあります」と懸念して語った。

■ 消防署は、「このような可燃性液体火災が発生すると、その物質がどこに行くのか常に心配しなければなりません。ほとんどの物質は堤内に封じ込められていますが、一部は外に出ています。そのため、私たちは引き続き監視します。環境団体は物質が何であるかを分析し、それが何であるかを確認しようとしています」と語っている。

■ ミシガン州の環境・五大湖・エネルギー省は午前遅くに現場に到着し、まだ燃えている小さな炎が消え次第、清掃作業を開始する予定だといい、「現場には清掃班がきています。地下水は影響を受けておらず、飲料水にも影響はありません。水と放出された物質があった地表は封じ込められています」と語った。

■ この石油生産施設はテキサス州に拠点を置くホワイトロック・オイル&ガスが所有・運営しているが、デンバーに拠点を置くT2オペレーティング・コーポレーションに所有権を移管中だという。 T2オペレーティング・コーポレーションは、空気中のベーパーを除去するための特別な装置を持ち込む予定だという。

■ 消防署は爆発の原因を調査中である。なお、消防署は、火災現場はエネルギー会社がゼネラルモーターズの試験場から借りた区画の一部だといい、火災に関係した機器はいずれもゼネラルモーターズものではないと付け加えた。

■ ミルフォード試験場は、ゼネラルモーターズが自動車やトラックをテストする場所である。しかし、試験場沿いには、第三者に貸し出されている天然ガスや原油の井戸がいくつもあるという。

 発災当初の朝の時点では、ゼネラルモーターズの幹部は取材の要請に応じていなかった。昼の時点でゼネラルモーターズはつぎのような声明を出した。「ゼネラルモーターズの敷地内であるミルフォード試験場で油井のひとつにおいて、事故が発生したことは承知しています。幸い、負傷者はおらず、試験場施設の損傷もありません。ゼネラルモーターズの消防隊も現場に到着し、火災の制圧を見守っています。必要に応じて地元の消防署が待機しています。引き続き状況を監視していきます」

補 足

■「米国ミシガン州」Michiganは、米国中西部アッパー半島五大湖地域にあり、人口約1,012万人の州である。20世紀初頭に米国の自動車産業の中心地として知られ、米国の3大自動車会社(ゼネラルモーターズ社、フォード社、旧クライスラー社;現ステランティス)がミシガン州に拠点を置いている。

「ブライトン・タウンシップ」Brighton Townshipは、リビングストン郡にあり、人口は約19,000人である。ゼネラルモーターズのミルフォード試験場は町の北東部にある。なお、タウンシップは南西でブライトン市と接しており、両者は自治的に運営されている。

■「発災タンク」は、石油生産施設の原油掘削の生産物である天然ガスや副産物の水、可燃性液体、塩水の混合物が入っているとみられる。グーグルマップで調べると、施設には3基の立型の円筒タンクがある。大きさは3基とも同じとみられ、直径約3.8mであり、高さを6.0mとすれば、容量は約65KLである。爆発によって発災タンク1基が防油堤外に噴き飛んでいる。

所 感

■ 発災時、石油生産施設には人がいなかったということで保全工事のような直接的な人為ミスによる事故ではないとみられる。一方、発災タンクは堤外に噴き飛んでおり、可燃性ガス(天然ガス)による激しい爆発だったと思われる。このようなタンク事故は、一時期、頻繁に起こったタンク過充填事故に類似している。石油生産施設ではどのような過充填事故防止策をとっているか分からないが、タンクターミナルなどの貯蔵タンクにおける過充填事故や防止策についてこのブログで取り上げた主なものはつぎのとおりである。

 ●「最近の貯蔵タンク過充填事故からの教訓」20158月)

 ●「石油貯蔵タンクの過充填防止の基準」20149月)

 ●「カリビアン石油タンクターミナルの爆発・火災(2009年)の原因」 20158月)

■ 消火戦略には積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、今回の事故は、タンクは爆発して噴き飛んでおり、発災タンクへの対応はしていないものとみられる。(発災初期の残留液の消火は行っただろうが) 一方、タンクへの接続配管が破断して堤内火災になったものと思われ、この対応として積極的戦略および他のタンクへの防御的戦略がとられている。しかし、しかし、石油生産施設の防油堤は低く、滞油能力が小さいことから、中途半端な消火活動では、堤内に水が溢れて、防油堤外に火災が拡大する恐れがあり、気をつかった消火活動だったと思われる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Apnews.com, Tank containing oil drilling byproducts explodes and catches fire near GM facility in Michigan, November 27, 2024

     Detroitnews.com, Crews extinguish tanker fire near GM's Milford Proving Grounds, November 26, 2024

     Wxyz.com, Explosion & tank fire reported at General Motors Proving Ground in Milford, November 26, 2024

     Myupnow.com, Tank of oil drilling byproducts explodes, catches fire near GM facility in Michigan, November 26, 2024

     Freep.com, Tank explosion at GM Proving Ground in Milford damages nearby homes, November 26, 2024


後 記: 米国ミシガン州のタンク事故を取扱うのは初めてです。ミシガン州は自動車産業の州だと思っていましたが、石油生産施設があるとは意外でした。日本の地下には地震を生む断層だらけですが、米国の地下はどこを掘っても石油(天然ガス)が出るんですね。これでは国力というか経済に差がつくのは当然です。ところで、今回のミシガン州の事故報道は取材に応じて細かい点まで気を配った記事が多いと感じました。(はやりの言葉でいえば“丁寧さ”) 陸上原油生産施設の多いテキサス州やルイジアナ州のタンク事故では、油井のひとつやふたつが火災になったところで取るに足らず“といった感じの記事と全然違うという印象をもちました。

2024年12月2日月曜日

韓国の廃バッテリー処理施設でオイルタンクの修理中、爆発して死傷者3名

今回は、20241123日(土)、韓国の慶尚南道金海市にある廃バッテリー処理会社で屋外のオイルタンクが修理作業中に爆発し、3名の死傷者を出した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国の慶尚南道キョンサンナムト)金海市キメし)ハンリムミョンにある廃バッテリー処理会社である。

■ 事故があったのは、廃バッテリー処理会社の工場にある屋外のオイルタンクである。



< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 20241123日(土)午前11時過ぎ、廃バッテリー処理会社の工場で爆発とともに火災が発生した。

■ 消防署は、近隣にある別な工場の作業員から炎と黒煙を見たという連絡を受け、消防隊を出動させた。

■ 当局によると、修理作業をしていた請負会社の作業員ふたりが負傷して病院に搬送された。このうち、ひとりが死亡し、残りのひとりは骨折などの重傷を負ったという。また、工場の従業員ひとりも負傷して、病院に搬送され、治療を受けている。

■ 事故は、オイルタンクの上で修理作業中に爆発が起き、請負会社の作業員が10mの高さから墜落したものとみられる。

■ 当局は詳細な事故経緯を調査している。

被 害

■ オイルタンク1基が焼損した。内部のオイルが焼失した。

■ 3名の死傷者が出た。内訳は死亡1名、負傷者2名である。 

< 事故の原因 >

■ タンクの修理作業中に爆発し、タンク上にいた2名の作業員が墜落したものである。詳細な事故経緯は当局が調査している。  

< 対 応 >

■ 消防隊は、消防士67名と消防資機材23個を投入し、通報から40分後の午前1150分頃、火災を消した。

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,170万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「慶尚南道」 (キョンサンナムト、けいしょうなんどう)は、 、朝鮮半島南東部に位置し、人口約325万人の道である。

「金海市」キメし、きんかいし)は、慶尚南道沿海部にあり、人口約53万人の市である。

■「発災事業所」は、廃バッテリー処理会社としか報じられていない。

■「発災タンク」はオイルタンクと報じられており、詳細仕様は分かっていないが、作業員は高さ10mのところから墜落したというので、オイルタンクの高さは10mとみられる。被災写真から、直径3m×高さ10m程度の円筒タンクとみられ、容量は60KL程度と思われる。 グーグルマップで慶尚南道金海市ハンリムミョンあたりを調べてみたが、情報が不足し、発災事業所やタンクを特定できなかった。

■「廃バッテリー処理」の方法は報じられていない。バッテリーや電池の種類などによっていろいろな処理プロセスがある。おそらく処理プロセスはリサイクル・プロセスを採っているものと思う。廃バッテリー処理のリサイクル・プロセスの例を図に示す。

所 感

■ 廃バッテリー処理施設のオイルタンクの修理作業中に爆発してタンク上で作業していた作業員が死傷する事故であるので、オイルタンクについて環境確認(可燃性ガス)が行われなかったために起こったものであろう。

■ 一方、オイルタンクは廃バッテリー処理施設の乾燥工程などに使用される燃料油と思われ、通常だと軽油より重いオイルが使用される可能性が高く、爆発や火災は起こりにくい。爆発の要因としては軽質分を含むオイルが使用されていたのではないだろうか。

■ 消防隊による火災への対応は、被災後のタンクを見ると、泡薬剤が使用され、40分で鎮火させており、適切だったと思われる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       Chosun.com,  김해 공장서 기름탱크 수리 중 폭발화재… 1명 사망·2명 부상,  November 23,  2024

       News.kbs.co.kr,  김해서 기름탱크 수리 중 폭발 화재…3명 사상,  November 23,  2024

       Yna.co.kr,  김해 공장서 기름탱크 수리 중 폭발화재…1명 사망·2명 부상(종합),  November 23,  2024

       Yonhapnewstv.co.kr,  김해 공장서 기름탱크 수리 중 폭발…1명 사망,  November 24,  2024

       Donga.com,  김해 폐배터리 처리업체 기름탱크 폭발…1명 사망·2명 부상,  November 23,  2024

       Gnmaeil.com,  김해 공장서 기름탱크 폭발 화재… 1명 숨져,  November 24,  2024

       Ytn.co.kr,  공장 기름탱크 폭발로 3명 사상...화재 잇따라,  November 23,  2024

       M.nocutnews.co.kr,  김해 폐배터리 처리업체 기름탱크 폭발…3명 사상,  November 24,  2024

       Seoul.co.kr, 23일 김해 폐배터리 처리 업체 화재…1명 사망·2명 부상,  November 24,  2024

       News.tvchosun.com,  폐배터리 처리 공장에서 폭발 화재…1명 사망, 2명 중·경상,  November 24,  2024      


後 記; 韓国慶尚南道の金海市の位置を地図で見ると、ここ山口から大阪ぐらいの距離で意外に近いところです。しかし、この事故情報では近くて遠いという印象でした。一番感じたのは、報道記事の数は多いのですが、このブログで必要な情報が少ないことでした。発災のあった1123日の報道記事はどこも同じ内容で、翌24日も記事の内容が深まっていると感じないものが多かったですね。逆に混乱するような記事が多々ありました。たとえば、オイルタンクの油種は廃油だとするものや、タンクの上部でモーター交換作業をやっていたという記事です。事実なのかもわかりませんが、そのほかの状況が語られていませんので、これらの情報は混乱情報として採り入れませんでした。そして、極め付きは発災事業所の名前がなく、 3名の死傷者を出した事故なのにいろいろな検索を行っても時間の無駄だったという結果でした。中身の乏しい内容になり、日本だとどういう報道記事になるのだろうと思ってしまう事例でした。