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2026年7月30日木曜日

ナイジェリアの石油ターミナルでディーゼル燃料用貯蔵タンクが火災

 今回は、202673日(金)、ナイジェリアのラゴス(Lagos)にある石油施設のボノ・エナジー・ストレージ・ターミナルにおいて容量5,000KLのディーゼル燃料用貯蔵タンクが火災を起こした事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、ナイジェリア(Nigeria)のラゴス(Lagos)にある石油施設のボノ・エナジー・ストレージ・ターミナル(Bono Energy Storage Terminal)である。

■ 事故があったのは、ラゴスのアパパ・オウォロンショキ高速道路(Apapa–Oworonshoki Expressway)沿いにあるターミナル内のディーゼル燃料用貯蔵タンクで、容量は500万リットル(5,000KL)である。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 202673日(金)午前7時頃、石油施設のディーゼル燃料用貯蔵タンクで火災が発生した。

■ ターミナル近くで働いている目撃者のひとりによると、火災は金曜日の午前7時頃に発生したといい、住民などがラゴスの緊急電話番号112番に繰り返し電話をかけたが、緊急回線がつながらず、すぐには対応してもらえなかったと語っている。

■ 発災にともない、各消防署の消防隊が出動した。

■ 出動したのはアジェグンレ消防署、サリ・イガンム消防署、イソロ消防署の消防隊員で、このほか近隣の石油・ガス施設の消防隊員が支援で参画した。  

■ 事故にともなう死傷者はいなかった。

■ 消火活動は、火災が周辺の貯蔵タンクや設備に延焼するのを回避しようと努めた。

■ ユーチューブでは、事故による火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 FacebookThe Lagos State Fire Service said it has contained a fire that ..2026/7/3

被 害

■ 容量500万リットル(5,000KL)のディーゼル燃料用の貯蔵タンクが損壊した。内部の油が焼失した。

< 事故の原因 >

■ 事故原因はラゴス消防署によって調査中である。

< 対 応 >

■ 火災は消防隊によって73日(金)の午後2時頃、消火された。

■ メディアの一社が午後3時頃にターミナルを訪れた際、消防隊員と緊急車両がまだ施設内に待機しており、職員が事故後の状況を監視していた。しかし、施設の警備員は、メディアがターミナルに入るには管理者の承認が必要だと説明し、記者の立入りを拒否した。1時間ほど待ったが、事業者はインタビューに応じることも、メディアが施設内に入ることも拒否した。

■ このタンク火災が発生する前、ロゴス周辺では、イコロドゥ道路沿いのオニリン方面に向かうオウォデ・エレデで液化石油ガス(LPG)タンクローリーからLPガスの漏洩事故が発生し、ローリー周辺で爆発と火災が発生した。この事故では、死傷者は出ていないが、緊急要員が対応した。

■ 死傷者は出なかったものの、ナイジェリアで最も活発な石油・物流拠点であるアパパ地区には複数の燃料貯蔵施設や重要な産業施設があり、火災が発生すれば、すぐに大規模な緊急事態に発展する可能性があるため、今回の事故はアパパ地区にある石油貯蔵施設に伴うリスクを改めて浮き彫りにした。

補 足

■「ナイジェリア」(Nigeria)は、正式にはナイジェリア連邦共和国で、アフリカ大陸西南部に位置し、人口約232百万人の連邦制共和国である。1991年までラゴスが首都だったが、一極集中などの理由により首都はアブジャに移転した。ナイジェリアは、西にベナン、北をニジェール、北東がチャド、東はカメルーンと国境を接し、南はギニア湾(ペニン湾)に面し大西洋に通ずる。ナイジェリアは石油などの豊かな資源や大きな経済規模を持つ一方で、国民の多くが深刻な貧困と高い物価高に苦しみ、貧困格差の非常に大きい国である。

「ラゴス」(Lagos )は、ナイジェリア南西部に位置し、ギニア湾岸にあり、同国最大の港湾施設を備える人口1,500万人の港湾都市である。

■「ボノ・エナジー・ストレージ・ターミナル」(Bono Energy Storage TerminalBEST)は、 2019年に設立され、石油貯蔵、倉庫保管、小売、物流サービスを提供しており、ラゴスのイバフォン・アパパ工業地区に燃料輸入・流通の主要拠点がある。ボノ・エナジー・ストレージ・ターミナルの総貯蔵容量は47,350KLで、ガソリン、ディーゼル燃料用、航空タービン油、灯油、基油が貯蔵されている。ボノ・エナジー・ストレージ・ターミナルは、ボノ・エナジー・グループとグラディウス・コモディティーズが石油貯蔵ターミナルを取得するために設立した特別目的会である。

■「発災タンク」の仕様は、ディーゼル燃料用貯蔵タンクで、容量が500万リットル(5,000KL)と報じられている。ラゴスのイバフォン・アパパ工業地区をグーグルマップで調べたが、ボノ・エナジー・ストレージ・ターミナルの事業所名は見つからなかった。発災事業所(BEST)の写真をもとにグーグルマップを調べたところ、“Africa Terminals Nigeria Limited Depot”のタンク配置であることがわかった。この配置から被災写真と突き合わせると、発災タンクを特定することができた。グーグルマップで調べると、発災タンクはコーンルーフ型固定屋根式タンクで、直径は約23mであり、高さを12mと仮定すれば、タンク容量は約5,000KLである。

所 感

■ タンク火災の状況はほとんど報じられていない。しかし、被災後の発災タンクの写真を見ると、発災状況をうかがわせることが分かる。ひとつは、発災タンクの側板が座屈していることから、長時間火災の熱にあぶられていることが分かる。もうひとつは、タンク屋根がひっくり返った状態で落下している。タンク屋根をよく見ると、屋根の一部がタンク内側から破裂したと見られることである。このようなタンク屋根の一部が破断するような状況はこれまで見たことはなく、おそらくタンク屋根と側板の溶接部を弱めた個所と同様にタンク屋根板の接合部に欠陥があったのではないだろうか。

 火災の燃焼時間は7時間(午前7時~午後2時)であり、燃焼速度を20cm/hと仮定しても、液位は140cmしか下がらない。タンク側板の座屈状況から、容量5,000KLの貯蔵タンクには液位の低い状態だったと思われ、タンク内部に爆発性混合気が形成されたとみられる。これらのことから推定すると、発災タンクは内部爆発でタンク屋根が噴き飛ばされたと思われる。通常の軽油であれば、爆発することは考えにくいが、製品規格の曖昧なディーゼル燃料用であれば、軽質分を含む油だったのではないだろうか。火災の映像を見ても、軽油の燃焼というより、揮発分のあるガソリンのような激しい炎が出ている。

■ 消火活動は“火災が周辺の貯蔵タンクや設備に延焼するのを回避しようと努めた”とあり、消火戦略は防御的戦略をとったものと思われる。発災タンクの直径は23mであり、日本の法令であっても、大容量泡放射砲を使う範囲でなく、三点セット(最低放水能力3,000リットル/分の放射ノズル)があれば、積極的戦略で対応できたはずである。しかし、大型化学消防車を設置する場所の制約があったためか、泡消火設備の保有に制約があったためか、被災写真を見ても泡消火を実施した形跡はないように思う。タンク火災では発災タンクから液を移送することは避けなければならないが、今回の火災は燃え尽きた状態で鎮火したと思われる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Joiff.com, NIGERIA – Investigation under way after diesel tank fire at Lagos fuel terminal,  July 16, 2026

     Punchng.com, Lagos probes fuel storage tank fire,  July 4, 2026

     Premiumtimesng.com, UPDATED: Fire breaks out at Lagos fuel terminal (PHOTOS),  July 3, 2026

     Hazardexonthenet.net, Investigation under way after diesel tank fire at Lagos fuel terminal,  July 8, 2026

     Channelstv.com, Five-Million-Litre Diesel Tank Fire Contained In Apapa,  July 3, 2026

     Dailytrust.com, Fire guts petroleum storage tank, gas truck explodes in Lagos,  July 4, 2026

     Guardian.ng, Fire Guts Bono Energy Terminal As Gas Tanker Leakage Sparks Inferno In Owode,  July 4, 2026


後 記: ナイジェリアのタンク火災については、つぎのような事例を紹介してきました。

 ●2014年7月、「ナイジェリアの石油ターミナルで落雷、タンク火災、その後油流出」

 ●202011月、「ナイジェリアのラゴスでOVHエナージー社のガソリンタンク火災」

 ●20247月、「ナイジェリアのカナダ高等弁務官事務所で発電機用燃料タンクが爆発、死傷者4名」

 ナイジェリアの事故例は、フェーク写真がよく見られ、真偽を問われます。(報じている方からすれば、写真に説明分を付けているわけでなく、タンク火災のイメージ例を示しているだけだと言いそうですが) 今回のタンク火災事例は、メディアの敷地内立入りが拒否されたり、当局からの発表内容にも疑問があり、これまでになく疲れる事例でした。そのような中で、激しいタンク火災の写真が出れば、飛びつきますよね。今回のフェーク写真の例を下に示します。


 

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