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2024年1月31日水曜日

米国テキサス州ワイズ郡の原油生産施設で円筒タンク爆発、負傷者1名

 今回は、2023913日(水)、米国テキサス州ワイズ郡ディケーターにある原油生産施設において円筒タンクが爆発・火災を起こし、負傷者1名が出た事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国テキサス州(Texas)ワイズ郡(Wise)ディケーター(Decatur)にあるトリニティ・リソーシズ&オペレーティング社(Trinity Resources & Operating, LLC)の原油生産施設である。

■ 事故があったのは、郡道3170号線沿いの700番地にある原油生産施設の円筒タンクである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2023913日(水)午前7時頃、原油生産施設でタンクが爆発し、火災となった。

■ ディケーター消防署は、タンクの1基が火災になったという通報に応じて消防隊を出動させた。

■ タンク火災による黒煙が数マイル先の遠くのところからも見えた。発災現場に近い場所に住んでいた住民のひとりは、「家で仕事の準備をしていたところ、大きな爆発音が聞こえ、住宅がガタガタと揺れました。それで外に出てみると、裏庭の方向から大きな煙が立ち昇っているのが見えました」と語っている。

■ 複数ある円筒タンクのうちの1基が炎上していた。頭上では報道用のヘリコペターが飛行し、現場では、爆発したタンクに火がつき、円筒タンクの上部が吹き飛ばされていた。

■ 事故に伴い、ひとりが負傷し、病院へ搬送された。

■ 県道3170号線は緊急車両のため通行閉鎖となった。 

■ 近くの住民に避難命令は出されなかった。

■ ユーチューブなどでは、消防活動状況のニュース番組が投稿されている。

 Youtube1 person injured in Wise County fire at oil and gas facility2023/09/13

 ●NBCDFWOil and gas facility catches fire in Wise County, one injured2023/09/13

被 害

■ 原油生産施設内の円筒タンク1基が焼損した。内液の油分が焼失した。

■ 負傷者1名が発生した。

■ 現場近くの道路が緊急車両の通行のために閉鎖された。

< 事故の原因 >

■ 原因は調査中ということで、分からない。

< 対 応 >

■ 消防活動はディケーター消防署が指揮をとり、近隣のボイド消防署、ブリッジポート消防署、ワイズ郡消防保安局などの支援を受けた。しかし、消防隊は、「火災を制圧下に入れ、自然に燃え尽きるまで待つことになる。この施設は水源に恵まれており、ホットスポットが発生しないようにできる」と語っている。

■ 発災日の913日(水)昼の時点で、消防隊は郡道3170号線沿いにある施設で延焼を防ぐための活動を続けている。

補 足

■「米国テキサス州」(Texas)は、米国南部にあってメキシコ湾岸に面し、メキシコと国境を接する人口約2,900万人の州である。

「ワイズ郡」(Wise)は、テキサス州の北に位置し、人口約68,000人の郡である。

「ディケーター」(Decatur)は、ワイズ郡の中部に位置し、人口約6,500人のワイズ郡庁所在地の町である。

■「トリニティ・リソーシズ&オペレーティング社」(Trinity Resources & Operating, LLC)は、独立系原油・天然ガス事業のトリニティ・ オペレーティング社の関係会社で原油生産施設を直接運用している。トリニティ・ オペレーティング社は、テキサス州ヒューストンに本社を置き、テキサス州のほかルイジアナ、オクラホマで事業を展開している。

■「発災タンク」は、郡道3170号線沿いにある原油生産施設の円筒タンクである以外、詳細仕様はわからない。グーグルマップで調べると、被災写真にあるタンク設備の施設があるのがわかった。発災タンクの直径は約3.5mで、高さを4mとすれば、容量は約38KLである。発災写真を見ると、タンク屋根が噴き飛んで40mほど離れたところに落下しており、かなり激しい爆発があったものと思われる。

所 感

■ 事故要因に関する情報は報じられていないので、事故原因はわからない。発災タンクは単なる土盛りがあるエリア内に建っている円筒タンクである。 この側にあるコンクリート製の防油堤に設置されているのが原油用のタンク設備とみられる。発災タンクは、本来、爆発するような液体ではなく、油井注入の水やケミカル用の円筒タンクではないだろうか。タンク屋根が噴き飛んで40mほど離れたところに落下しており、激しい爆発があり、負傷者が1名出ているので、設備の不具合や運転の不調が関連しているのかも知れない。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、今回は原油生産施設の油用タンクではなく、付帯設備の円筒タンクであり、燃焼油量が多量でないと判断したためか、近くのタンクや設備などに延焼しない冷却を優先した防御的戦略をとられている。   

備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Nbcdfw.com, Oil and gas facility catches fire in Wise County, one injured,  September  13,  2023

    Wcmessenger.com, Battery tank explodes, ignites blaze,  September  13,  2023

    Cbsnews.com, 1 person injured after fire breaks out at Wise County oil & gas facility,  September  13,  2023     


後 記: テキサス州は今回のような陸上原油生産施設の数が多いところです。その所為(せい)か、タンク火災への消防活動が落ち着いており、必死さは感じられません。燃えているタンクに入っている液体や量の情報が入っているのでしょう。日本だと、炎を見れば何としても消さなくてはならないという気持ちになるのは、木造建築で延焼の危険性が高いという風土から来ているように思います。事実、この11日の能登半島地震では、朝市で有名なところが広範囲に焼ける火災がありました。実際、眼前で事故による火を見ると落ち着いてはおれませんが、沈着冷静な態度は必要ですね。 

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