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2022年8月1日月曜日

米国ペンシルバニア州のタール用タンクと接続配管が爆発、負傷者1名

 今回は、2022627日(月)、米国のペンシルバニア州リーハイ郡ノース・ホワイトホール・タウンシップにある建設資材メーカーのニューエンタープライズ・ストーン&ライム社の建設資材製造工場において高温のタール用タンクと接続配管が爆発し、負傷者1名が出た事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、米国のペンシルバニア州(Pennsylvania)リーハイ郡(Lehigh)ノース・ホワイトホール・タウンシップ(North Whitehall Township)にある建設資材メーカーのニューエンタープライズ・ストーン&ライム社(New Enterprise Stone & Lime Co.)の建設資材製造工場である。

 発災があったのは 建設資材製造工場にある高温のタール用貯蔵タンクと接続配管である。


< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2022627日(月)午前8時頃、高温のタール用タンクと接続されている配管が爆発した。

■ 爆発によって接続配管が破損した。工場の近く人によると、爆発時、家が揺れたと語っている。

■ 発災に伴い、リーハイ郡の消防署など4つの消防隊が出動した。

■ 現場に到着したとき、発災現場には竪型タンクが3基あり、そのうちの1基のタンクから煙が上がっていた。消防隊は、はしご車でタンクの頂部まではしごを延ばして、状況を確認した。

■ タンクから数千ガロン(1020KL程度)の液体タールが漏れ出していた。

■ タンクの基礎部にタールの液溜まりができ、工場内から砂利を運んで封じ込めに使用された。

■ 発災に伴い、作業員ひとりが火傷を負い、病院に搬送された。

被 害

■ タール用貯蔵タンクと接続配管が爆発で損傷した。

■ タンクから数千ガロン(約20KL)の液体タールが構内に漏れ出た。

■ 作業員ひとりが火傷を負い、病院に搬送された。   

< 事故の原因 >

■ 事故の原因は分かっていない。


< 対 応 >

■ 消防署によると、「発災時、切断された配管から流れ出る高温のタールの流れを止める方法はなかった」と語っている。

■ 特殊消防士が、壊れた配管の端に鋼板とガスケットを使ってチェーンとラチェット・ストラップで固定し、タールの流出を遅らせた。

■ 流出がゆっくり遅くなってから、消防士が消火器の二酸化炭素を使用してタールを冷やし、配管内で固化させて流出を食い止めた。

補 足

■「ペンシルバニア州」(Pennsylvania)は、米国の北東部に位置する州で、人口約1,280万人である。

「リーハイ郡」(Lehigh)は、ペンシルベニア州の東部のリーハイ・バレーに位置し、人口約374,000人の郡である。

「ノース・ホワイトホール・タウンシップ」(North Whitehall Township)は、リーハイ郡にあるタウンシップで、人口約15,600人の町である。

■「ニューエンタープライズ・ストーン&ライム社」(New Enterprise Stone & Lime Co.)は、1924年に設立したペンシルバニア州を拠点にした建設資材メーカーで、砂・砂利、ホットミックス・アスファルト、生コンクリートなどの資材を製造しているほか、舗装工事、高速道路の建設などの業務を行っている。

■「コールタール」(Coal Tar)は、石炭を乾留してガス・コークスをつくるときに得られる粘性の高い油状の物質である。比重は1.11.2と水より重く、黒色~暗茶色で特有の臭気がある。主成分は芳香族化合物(多環芳香族炭化水素)で、ナフタレン(515%)、ベンゼン(0.31%)、フェノール(0.51.5%)、フェナントレン(38%)などを含む。

■「発災タンク」は、高温のタール用タンクと報じられているだけでタンクの仕様などは分からない。被災写真の竪型タンクをもとにグーグルマップで調べると、直径約5.5m×高さ約32.5mであるので、容量が約770KLのタンク(容器)である。

所 感

■ 最近、タールやアスファルト用のタンクで起こった爆発事例の紹介は、つぎのとおりである。

 ● 20206月、「米国ニュージャージー州でアスファルト処理工場のタンクが爆発」

    (「米国ニュージャージー州でアスファルト処理工場のタンクが爆発(原因)」

 ● 20226月、「米国ミズーリ州セントルイスでアスファルト・タンクが火災」

 タールやアスファルト用のタンクでは、過去の事例から、①水による突沸、②軽質油留分の混入、③運転温度の上げ過ぎ、④屋根部裏面の硫化鉄の生成、に留意する必要がある。しかし、今回の事故は、爆発はしているが、大きな火災にはなっておらず、これらとは異なっているように感じる。竪型タンク上部の保温が一部脱落しており、接続配管のフランジ部近くのパイプが折損しているが、これらの破損の要因がタンク内の爆発によるものか、接続配管の破裂によるものか推測がつかない。一方、作業員ひとりが火傷を負う人身災害となっている。発災が午前8時頃であり、何かの操作あるいは異常を発見して確認作業を行っていたのではないだろうか。

■ 漏れ止め対策として、壊れた配管の端に鋼板とガスケットを使ってチェーンとラチェット・ストラップで固定する方法をとっているが、かなり手慣れた作業のようである。アイデアや資材は事業所の従業員が関与しているのではないだろうか。これらを特殊消防士がすべて行ったのであれば、通常の消防士の役割や能力を越えているように感じる。「防油堤内の配管フランジ漏れ火災に対処する方法」20215月)で紹介したように日米の消火戦術の考え方に違いがある。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

   Lehighvalleylive.com, 1 person burned in hot tar explosion at Lehigh County plant,  June  27,  2022

    Tankstoragemag.com, Hot tar tank ruptures in Lehigh County,  June  29,  2022

    Isssource.com, Hot Tar Blast Injures Worker,  July  20,  2022

    Wdbo.com, Hot tar explosion at Pennsylvania quarry injures 1, prompts hazmat response,  July  27,  2022

    Facebook.com, Lehigh County Special Operations,  July  28,  2022       


後 記: 今回の事例はリーハイ郡の消防署から出された情報が大きい。漏れ止め対策の方法は、写真を含め、フェースブックに掲載されたものだし、空からの画像も消防署が提供したのでしょう。フェースブックにはリーハイ郡の消防署がドローンを活用していることが載っています。一般のメディアの取材が活発でなくなっている世の中を見ると、米国の行政機関(消防など)の情報公開が救いのような気がします。特に今回の事例のように文字だけでは理解できません。日本の場合、ローカル・メディアが頑張っていますが、コロナ以降の取材が活発でなくなっており、写真を含めてもっとも情報をもっている行政機関の情報公開はもっと積極的にやるべきです。

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