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2024年10月8日火曜日

米国アイダホ州のガソリンスタンドで壊滅的な爆発・火災、死傷者4名

 今回は、2024911日(水)、米国アイダホ州クリアウォーター郡カーディフの山間部にあるアトキンソン・ディストリビューティング社のガソリンスタンドが壊滅的な爆発・火災を起こし、死傷者4名を出した事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、米国アイダホ州Idahoクリアウォーター郡(Clearwater County)のカーディフCardiffにあるアトキンソン・ディストリビューティング社Atkinson Distributingのガソリンスタンドである。

■ 発災があったのは、アイダホ州道11号線State Hwy 11沿いの山間部にあるガソリンスタンドの受入れ用の燃料タンクなどである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2024911日(水)午後3時頃、アイダホ州道11号線沿いの辺鄙(へんぴ)なところにあるガソリンスタンドが爆発し、火災が発生した。

■ ガソリンスタンドは炎につつまれ、空に向かって黒煙を放出し、平穏だった田園風景が一変した。

■ ガソリンスタンドと道路をはさんで反対側にある家の女性は、爆発が起こったとき、「一瞬、気が動転しました」といい、「私は固まってしまってどうしようかと考えました。そして、すぐに緊急通報の911番に電話し、夫の職場にも電話しました。その後6匹の飼い犬を連れて道路沿いにある丘の上に避難しました。そこで、結局5時間ほど待ちました」と語った。住民によると、ガソリンスタンドは1960年頃に建てられたという。

■ 発災に伴い、ふたりの負傷者が出た。負傷者は約400km離れたワシントン州シアトルに救急ヘリコプターで搬送された。シアトルにはクリアウォーター郡の小さな非法人林業の町からヘリコプターで1時間以上かかった。

■ 爆発は、ダブル連結タンクローリーがガソリンスタンドの地上タンクに燃料を補給している最中に起こった。爆発でタンクローリーは損壊し、まわりにはタンクローリーの部品、配管、タンクの破片、ガソリンスタンドの建物の破片などの残骸が、広範囲に飛び散った。ダブル連結タンクローリーとは、2基の燃料タンクトレーラーを連結したセミトラックSemi truck with two fuel tank trailersである。

■ 隣接する近くの建物も爆発と火災で被害を受けた。爆発により現場周辺に撒き散らされた多量の燃料が捜​​査にとって障害となっていることがわかった。危険緩和のため、危険物質対応チームが呼び出され、この危険の制御を支援した。

■ 救急ヘリコプターで搬送されたのは、タンクローリーの運転手とガソリンスタンドの女性店員だった。いずれも、タンクローリーとコンビニエンスストア併設のガソリンスタンドを経営していたアトキンソン・ディストリビューティング社の従業員だった。爆発が起こったとき、ふたりともタンクローリーの近くにいたとみられる。

■ 保安官事務所によると、ガソリンスタンド建物内には他にも人がいたとみられるが、その夜遅くまで火は燃え続けていたため、詳細は分からなかった。

■ 消防署は、米国アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局の特別捜査官の支援を受けていると述べた。人里離れた山間の町には、携帯電話の電波が届かず、情報伝達が困難だった。

■ ユーチューブでは、事故の火災の状況が投稿されている。

 YoutubeGas station explodes in Cardiff, Idaho 2024/09/12

 ●YoutubeTwo confirmed dead after Cardiff gas station explosion, two others in critical condition 2024/09/14

被 害

■ ガソリンスタンドと燃料受入れ用の地上タンクが全壊した。タンク内部の油が焼失した。 

■ 併設のコンビニエンスストアの建物が損壊した。

■ ダブル連結タンクローリーほか、ガソリンスタンドに駐車していた3台の車が損壊した。  

■ 死傷者4名が出た。内訳は死者2名、負傷者(火傷)2名である。

■ 隣接していた建物が被災した。 

< 事故の原因 >

■ 火災の原因は調査中でわかっていない。

< 対 応 >

■ アイダホ州消防局の捜査官は、事故の発生した直後から、火災と爆発の残骸の調査を続けた。912日(木)の朝からは、犠牲者の所在を特定するという困難な作業だった。ガソリンスタンドの瓦礫の中から2名の遺体が発見された。見つかった2名の犠牲者は、クリアウォーター郡検死局に引き渡された。検死局は身元確認を行い、家族に通知する予定だという。検視官は、2名の死因について爆発による鈍的外傷であるという。鈍的外傷とは、打撲や墜落など皮膚を貫通しない強い打撃などによって生じる外傷である。2名の死亡者はガソリンスタンドのすぐ外で発見されたが、事故が始まったとき建物の中にいたのか外にいたのか確認されていない。

■ アトキンソン・ディストリビューティング社のウェブサイトによると、カーディフのガソリンスタンドは林業の伐採シーズン中はスタッフが常駐しており、軽食や飲み物を販売する小さなコンビニエンスストアを併設している。

 住民によると、亡くなったふたりはガソリンスタンドの常連客の伐採業者だという。ガソリンスタンドは地元の人々の待ち合わせ場所であり、人々はそこで店員とおしゃべりするのが好きだったという。

■ 一夜明けたガソリンスタンドでは、ダブル連結タンクローリーの前側がシャーシと煙突型排気管だけ残っているような状態だった。タンクローリーは、4台ある旧式のセルフサービス式給油機の横に駐車されていた。コンクリートブロック造りのコンビニエンスストアは壊滅状態だった。駐車場には小型掘削機のフレーム、ピックアップ・トラック2台のほかもう1台の車が残されていたが、爆撃で破壊されたようだった。

■ ガソリンスタンドの敷地奥にあった地上タンクは、1基が隣接する家の庭に飛ばされ、残りの5基は敷地内外に散らばっていた。

■ 東側に隣接して被害にあった家の持ち主は、事故当時、近くの町に住む親戚を訪ねていた。道路が封鎖されていたため、913日(金)の朝まで家に戻れず、この日初めて家の被害状況を目にした。ガソリンスタンドの燃料タンクの残骸が、本来あるべき場所から約100ヤード(90m)離れた裏庭に転がっていた。家の持ち主は、「ひどい悲劇で、心が張り裂けそうです」と語った。

 家の持ち主によると、州道11号線沿いには数十軒の建物からなる小さなコミュニティで、ガソリンスタンドが唯一の店だったという。通年居住者はほとんどおらず、ガソリンスタンドの客のほとんどは林業の伐採業者やアウトドア愛好家だという。

■ アイダホ州消防局は「2名の犠牲者の家族に心からお悔やみを申し上げるとともに、この壊滅的な事件で負傷した人の早期回復を願っています」と語っている。国家運輸安全委員会 (NTSB) と労働安全衛生局 (OSHA) の調査チームが、爆発と火災の原因に関する調査を支援する。

「この悲劇的な事件の原因を推測するのは、まだ時期尚早です」とアイダホ州消防長官はいい、「爆発と火災に至るまでの出来事を解明するには数週間かかるかもしれない。計画的かつ徹底的に取り組む必要がありますが、10月中にもう少し明確な発表ができると思っています」と語っている。

■ アイダホ州消防長官は、ガソリンスタンドでの爆発はまれだといい、「私はここアイダホ州で19年間、州の消防署長を務めてきましたが、私が知る限りでは、これが初めての事故です。燃料をタンクローリーからガソリンスタンドの貯蔵タンクに移す作業である荷降ろしは、多少リスクがありますが、運転手が正しい手順に従うため、通常は安全な作業です」といい、「正直にいうと、最も危険なのはタバコを吸いながら車に給油したり、ピックアップ・トラックの荷台でプラスチックのガソリン缶にガソリンを入れたりすることだと思います。これは静電気による火花の危険性を高めます。揮発性があるのは実はガスなので、火花が飛ぶと問題が起きることがあります」と語っている。


補 足

■ 「アイダホ州」Idahoは、米国西部の太平洋岸北西部および山岳地帯西部に位置する内陸州で、人口約196万人の州である。

「クリアウォーター郡」(Clearwater County)は、アイダホ州の北部に位置し、人口約9,000人の郡である。

「カーディフ」Cardiffは、クリアウォーター郡にある非法人のコミュニティである。人口は不明である。

■「アトキンソン・ディストリビューティング社」Atkinson Distributingはアイダホ州で事業展開する石油類の運送会社である。アトキンソン・ディストリビューティング社は、2000年にビル&ベティ・アトキンソンから買収した。

「カーディフ」のガソリンスタンドは、林業の伐採シーズン中にはスタッフが常駐しており、軽食や飲み物を販売する小さなコンビニエンスストアを併設している。このガソリンスタンドは1960年頃に建てられたものとみられ、旧式のセルフサービス式給油機が4台設置されている。

■ 発災源は明確になっていないが、ガソリンスタンドの裏側には、燃料受入れ用の地上タンクが6基ある。事故の被災写真では、全基が据付用ボルト位置から外れ、勝手な位置にばらばらになっており、これらが「発災タンク」とみられる。タンクは横型の枕タンクである。これらのタンクの大きさはグーグルアースで調べてもはっきりしないが、直径を23m、高さを45mとすれば、容量は1235KL程度である。地上タンクの油種別は分かっていないが、隣家に飛んだ枕タンクはガソリンだとみられる。


所 感

■ ガソリンスタンドが壊滅的な損壊をしたが、爆発・火災の原因は調査中である。しかし、燃料受入れ用タンクが発災の規模を大きなものにしたのは間違いない。

■ 事故は、つぎのような状況で起こったのではないだろうか。

 ● タンクローリーが燃料受入れ用の地上タンクへの補給中に起きている。今回の燃料受入れはガソリンスタンドの専用の地下にある接続ノズルを通じて地下配管から地上タンクへ移送するあまり見ないタイプだとみられる。通常は、タンクローリーから地下タンクへ補給するか、またはタンクローリーから直接、地上タンクへ補給するタイプである。

 ● ガソリンスタンドは1960年頃に建設され、しかも季節営業である。タンクローリーから地上タンクへの補給配管は経年劣化や休止中の機能低下が考えられ、地上タンクまわりの配管接続部で漏洩があったのでないだろうか。

 ● 地上タンクのうち1基は隣家の庭に飛んでいるほどの爆発だった。このようなタンクはガソリンタンクしかない。しかし、人の動きから考えて、ガソリンスタンドの裏側にあるガソリンタンクが突然爆発した事故とは考えにくい。

 ● 最初にガソリンタンクの接続部から漏洩し、何らかの引火源で火災になったのではないだろうか。火災に気が付き、タンクローリーの運転手とガソリンスタンドの店員が対応処置(タンクローリーからの接続切り離しなど)をしようとしただろう。ガソリンタンクから漏洩した油が防油堤に溜まっており、ある時点で爆発した。

 ● 6基ある枕型の地上タンクがことごとく設置位置から外れており、大量の油流出が起こり、ガソリンスタンドを崩壊するほどの大火災になっている。ガソリンタンクの爆発力で、隣接の他のタンクを据付ボルトから外して、大量流出となり、地上タンク付近で爆発や火災を起こしたのではないか。

 ● 最初の火災発生時、駐車台数から推測して店には数人の客がいたと思われる。このとき、避難せず店外で状況を確認していたふたりが爆発で飛ばされ、鈍的外傷で亡くなったとみられる。

 ● 一連の爆発と火災で、ガソリンスタンドは壊滅的な被害を受けた。

■ 消火活動については報じられておらず、また被災現場の写真を見ても、消火活動を実施した形跡はない。おそらく、手の施しようがない状態だったと思われる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

   Apnews.com, Explosion at an Idaho gas station leaves two critically injured and others presumed dead,  September 14, 2024

   Abcnews.go.com, Officials identify 2 men killed in Idaho gas station explosion,  September 19, 2024

   Doi.idaho.gov, Cardiff gas station explosion still under investigation,  September 13, 2024

   Ntd.com, Explosion at Idaho Gas Station Leaves 2 Critically Injured and 2 Presumed Dead,  September 13, 2024

   Krem.com, Two confirmed dead after Cardiff gas station explosion, two others in critical condition,  September 13, 2024

   Timesunion.com, Officials identify 2 men killed in Idaho gas station explosion,  September 13, 2024

   Nypost.com, Two presumed dead, customers hospitalized with severe burns after giant explosion at Idaho gas station,  September 12, 2024

   Bigcountrynewsconnection.com, Investigation Ongoing After Deadly Cardiff Gas Station Explosion,  September 14, 2024

   Spokesman.com, Two bodies located in rubble of Cardiff gas station in remote Idaho,  September 16, 2024

  

後 記: 今回の事例は、山間部にあるガソリンスタンドの事故で携帯電話が通じないようなところだという米国にもこんなところがあるのかちょっと驚きの事故でした。このため、メディアの報じた日がバラバラで、いつ時点の話かわかりづらいものでしたし、記者が現地に取材に行っていないのが分かるような記事でした。日にちが経つと、実際に現場へ行き、住民にインタビューした話も出てきました。記事を時系列に並び直して整理しましたが、発災がどのような経緯で推移したのか気になってきました。事故の関係者の証言がなく、設備的な情報も少ないのですが、あえて事故の状況を推察しました。

2024年10月2日水曜日

米国オクラホマ州の石油ターミナルでタンク頂部が火災 (2023年)

 今回は、1年半ほど前の2023215日、米国オクラホマ州ロジャーズ郡カトゥーサにあるエネルギー会社のホリー・エナジー・パートナーズ社の石油ターミナルで、化学物質貯蔵タンクの頂部で火災が発生した事例を紹介します。

 < 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、米国オクラホマ州Oklahomaロジャーズ郡RogersカトゥーサCatoosaにあるエネルギー会社のホリー・エナジー・パートナーズ社Holly Energy Partnersの石油ターミナルである。

■ 発災があったのは、カトゥーサ港Port of Catoosaにある石油ターミナルの化学物質貯蔵タンクである。 カトゥーサ港はオクラホマ州のバーディグリス川西端の内陸港である。なお、人口約7,400人のカトゥーサの西約23kmには、オクラホマ州2番目の都市であるタルサ(Tulsa41万人)があり、今回の事故でもタルサ消防署が対応した。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2023215日(水)、午前9時頃、カトゥーサ港で火災が起こった。火災は化学物質貯蔵タンクの上部で発生した。

■ 港の警報システムであるサイレンがけたたましく鳴った。

■ 通報を受けた消防署は消防隊を出動させた。現場に最初に到着した隊員からは「タンクの上部から激しい煙と炎が出ている」と報告があった。タルサ消防署が火災に対応した。

■ タルサ消防署は、港で高さ30フィート(9m)のタンクが火災を起こしていると発表した。

■ 港湾当局から避難指示が出され、近隣住民に屋内退避の勧告が出された。港の労働者に対してはこの地域から避難するよう連絡が出された。タンクからの煙が住宅街に向かって漂っていたため、消防隊が消火活動を行う間、地元住民は避難するよう指示を受けた。 オクラホマ州ハイウェイ・パトロールとロジャーズ郡保安局が車両を退避する支援を行った。

■ カトゥーサ市は、この火災を化学火災と判断し、北風が火災を「タルサの衛星都市カトゥーサに向かって押し流している」と述べた。市は住民に避難指示を出した。小学校は避難させられ、港に続く道路は封鎖された。港には人影がなく、避難する人々の車列が伸びていた。

■ 火災の原因は不明で、港湾当局は地元メディアに対し、タンクに何が入っていたかは不明だと語った。タルサ消防署は、タンクは空だったと述べた。

 一方、ホリー・エナジー・パートナーズ社の広報担当者によると、タンクは使用中ではなかったが、重合物質polymerized materialがわずかに入っていたという。さらに、事故前に貯蔵タンクのメンテナンスが行われていたが、正確な原因の調査が行われていると付け加えた。ホリー・エナジー・パートナーズ社の広報担当者は、「この事故が公衆に脅威を与えたとは考えていない」と述べている。

■ ユーチューブでは、火災発生のニュースが動画に投稿されている。

Youtube、Chemical fire forces evacuations at Port of Catoosa2023/02/16)  

YoutubePort of Catoosa Tank Catches Fire During Repairs, Firefighters Say2023/02/16

●YoutubeTank Fire Forcing Evacuations At Port Of Catoosa, Tulsa Port Authority Says2023/02/16

被 害

■ 貯蔵タンク1基のタンク屋根部が焼損した。

■ 負傷者はいなかった。

■ 近隣の住民や小学校が避難した。

■ 近くの道路が閉鎖された。

< 事故の原因 >

■ 火災の原因は調査中である。現場では、タンクのメンテナンスを行っていたが、タンク内に残留した製品が燃えた可能性がある。

< 対 応 >

■ カトゥーサ市は、近くの住民に避難指示を出した。避難は「安全上の予防措置と手順に基づいて」開始されたと述べた。その後、発災から1時間半後の午前1030分頃に解除された。

■ 消防署によると、ホリー・エナジー・パートナーズ社は「空のタンクの底から火を消す」消火策を考えたという。彼らは「火を完全に消す」ために高所に設置したホースによることにした。現場に最初に到着した消防隊は、消火のために放水した。

■ 港湾局は、午前1030分までに火は消えたと述べた。また、現場の緊急対応要員の報告によると、作業員が空のタンクのメンテナンスを行っていたが、タンク内に残留した製品が燃えた可能性があるという。

■ 負傷者は報告されていない。

■ 熱画像検査でタンクがほぼ常温に戻ったことがわかり、タルサ港湾局は、火が消えてタンクの温度が下がると、現場はホリー・エナジー・パートナーズ社に引き渡された。

■ 午前11時前、ロジャーズ郡緊急管理局は、ホリー・エナジー・パートナーズ社所有のタンクから煙が上がり、避難指示が出されていたが、警報を解除したと発表した。

■ タルサ消防署が無事に消火に成功した後も、メディアは貯蔵タンクから約1,000フィート(900m)以内に近づくことは許可されなかった。当局は、安全上の理由によるものだと述べた。

■ 215日(水)の午後、タルサ港湾局は何が起こったのかを説明する声明を発表した。

「本日午前 9 時直前、タルサ港湾局は、航行水路の北端にあるホリー・エナジー・パートナーズ社の貯蔵タンクで火災が発生し、煙が立ち昇っていることを知りました。タルサの消防隊が現場に向かう中、港湾局は港湾にある危険物警報を鳴らし、火災に関する電子通知を発し、地元地域に港湾からの避難を検討するよう勧告しました。東からの風が吹いていたため、火災の真西に位置する産業地区は避難するよう勧告しました。

 タルサ消防署が現場に出動して事故に対応している間、港湾からの車両の避難を実施しました。午前10 30分頃、タルサ消防署は港湾局に火災は鎮火し、通常の港湾業務を再開できると報告しました。緊急対応員の報告によると、施設の作業員は空のタンクのメンテナンスを行っていましたが、タンクに残留した製品が発火して火災を引き起こした可能性があるということです。負傷者の報告はありません。タルサ港湾局は、緊急対応要員の迅速かつ専門的な対応に感謝しています」

補 足

■「オクラホマ州」Oklahomaは、米国の南部に位置し、人口約3,960万人の州である。州の南はテキサス州、北はコロラド州とカンザス州、東はミズーリ州とアーカンソー州、西はニューメキシコ州に接している。

「ロジャーズ郡」Rogersは、オクラホマ州の北東に位置し、人口約71,000人の郡である。

「カトゥーサ」Catoosaは、ロジャーズ郡とワゴナー郡にあり、人口約7,400人の町である。カトゥーサは、オクラホマ州ロジャーズ郡のタルサ市から北東に14マイル (23km) の場所にある。

■「カトゥーサ港」は、オクラホマ州北東部のマクレラン・カー・アーカンソー川航行システムの航行拠点に位置し、米国最大かつ最も内陸にある河川港のひとつである。農産物、建築資材、石油製品、機械など、あらゆる品物を船(はしけ)、鉄道、トラックを組み合わせて毎日カトゥーサ港から輸送できる。現在、カトゥーサ港の2,000エーカーの工業団地内には70社が拠点を構え、 合計で約3,000人が雇用されている。

■「ホリー・エナジー・パートナーズ社」Holly Energy Partnersは、石油製品の貯蔵・輸送を行うエネルギー会社である。 202312月、ホリー・エナジー・パートナーズ社は、 HF Sinclair Corporationと合併し、現在は同社の完全子会社となっている。本社はテキサス州ダラスにあり、石油ターミナルは、HollyFrontierの製油所およびDelekBig Spring製油所に接続されたパイプラインから製品を受け取る。ブタン、エタノール、バイオディーゼル、指定されたグレードのガソリンとディーゼルを達成するための混合設備や添加剤の注入やジェット燃料の濾過を含む補助サービスを行っている。石油ターミナルは複数の貯蔵タンクで構成され、24時間稼働する自動トラック積載装置が装備されている。

■「発災タンク」の仕様は高さ9mというデータ以外報じられていない。グーグルマップで調べると、直径は約18mであり、高さを9mとすれば、容量は2,200KLである。被災写真を見ると、タンク型式はコーン型固定屋根式タンクである。隣接する大型タンクは内部浮き屋根式とみられるが、発災タンクは通常の固定屋根式タンクである。

所 感

■ 貯蔵タンクには、化学物質または重合物質(Polymerized material)が入っていたと報じられており、メンテナンスのため内液を抜き出し、残油が残っていたために火災になったものとみられる。しかし、発災は、タンク屋根の中心部付近の限定したエリアで起こっている。この要因は工事に関わり、2つのことが考えられる。

 ● センターベント部(またはフレームアレスター)が円形のベースプレート(屋根部)とともに元あったところから移動している。この円形のベースプレートは爆発でできたものでなく、人為的に切断され移動した。

 ● 通気口はタンク屋根の端に設置されており、センターベント(またはフレームアレスター)を新しく設置するために、屋根中央部を円形に切断した。プレハブで製作した新しいセンターベント(またはフレームアレスター)部は溶接で付けるために屋根中央部付近に置かれていた。       

 事故当日、タンクではメンテナンスが行われていたが、タンク屋根には溶断器やアースクランプのような溶接器具が残されている。これらのことから、タンク屋根の一部を円形に撤去した際、溶断部の火花がタンク底に落ち、火災が発生したものではないだろうか。

■ 発災タンクの設置場所は消防活動を行うのに適切な場所とはいえない。実際、今回の消防車による放水も隣接する大型タンク(直径約40m)越しに行われている。防災道路はあるが、道幅が狭く、消防車が発災タンクに近寄ると、火災の状況によっては消防隊が二次災害を受ける危険性がある。今回も防災道路に消防車が進入した形跡はなく、被災写真では、川側の道路から消防士がホースを展張している。おそらく、タンク屋根に昇って、放水を行おうとしたのではないだろうか。今回の火災規模は小さかったので、何とか対応できたようだが、もっと規模の大きい火災時には対応がとれないのは明らかである。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

   Newsweek.com, Oklahoma Tank Fire Sparks Yet Another Chemical Incident,  February  20, 2023

   Ktul.com, Port of Catoosa reopens after chemical fire causes evacuation,  February  16, 2023

   Fox23.com,  Fire contained at Port of Catoosa,  February  15, 2023

   Maritime-executive.com, Tank Fire Prompts Evacuation at Port of Catoosa,  February  16, 2023

   Kjrh.com, All clear after tank fire at Port of Catoosa,  February  16, 2023

   Tulsaworld-com,  All-clear issued after fire brought under control at Port of Catoosa,  February  15, 2023


後 記: 今回の事例では、ドローンによる空からのタンク屋根部の写真で状況がよく分かりました。ところで、報道記事でよく分からなかったのが、事故対応の組織・体制です。発災地のあったカトゥーサでなく、20kmほど離れたタルサ消防署が指揮をとっていますが、カトゥーサには消防署があったのか、港湾局がどのような位置づけだったのかなどいまいちよく分からなかったというのが感想です。それにしても、発災事業所が「この事故が公衆に脅威を与えたとは考えていない」と言っていますが、住民に避難指示を出したのは港湾局など公的機関ですし、公衆に物損が出ていないので、いかにも米国らしい合理的な考え方(?)です。しかし、これでやっていけるのでしょうかね。

2024年9月26日木曜日

米国ノースダコタ州の石油生産施設で原油タンクが爆発・火災

 今回は、2024916日(月)、米国ノースダコタ州スターク郡ディキンソンにある石油生産施設で、原油タンクが爆発し、火災になった事例を紹介します。比較的小型の原油タンクでしたが、火災の制圧に手こずり、発災後3時間でようやく鎮火しています。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、米国ノースダコタ州North Dakotaスターク郡Stark CountyディキンソンDickinsonにある石油生産施設である。

■ 発災があったのは、ディキンソンの15番ストリート・ウェスト/40番アベニュー・ウェスト付近にある石油生産施設の原油タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2024916日(月)午前6時頃、ディキンソンにある石油生産施設の原油タンクが爆発し、火災になった。

■ 火災による濃い煙が空に広がった。

■ 発災にともない、緊急通報があり、ディキンソン消防署が出動した。

■ 火災がウェストリッジ・アパートのある住宅地やファミリーフェア・スーパーマーケットのある商業施設に近かったため、当初、避難指示が出された。近くで建物の建設中だったが、作業は中断された。

■ 消火活動には、ディキンソン消防署のほか、ボランティア型のディキンソン在郷消防署、マラソン・リファイナリ消防隊が協力した。消火は泡消火剤が使用された。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。

被 害

■ 原油タンク1基が焼損した。内部の油が焼失した。

■ 負傷者は出なかった。

■ 住民への避難指示が出された。

< 事故の原因 >

■ 火災の原因は調査中である。

< 対 応 >

■ ディキンソン消防署は、当初、住民の安全を確保するために避難指示を発令した。しかし、消防当局は現場に到着し状況を評価した後、火災が拡大する要因はないと判断し、避難指示を解除した。一方、火災現場がディキンソン中学校に近かったため、風向きが変わって黒煙が学校に向かって流れた場合に備えて、緊急対応要員は生徒と職員の避難準備を整えた。

■ ディキンソン消防の救急隊とディキンソン公共事業局の緊急要員が支援に駆けつけ、必要に応じて医療支援の体制を整え、付近の交通整理を行った。

■ 消火活動中に火勢が変化するため、消防隊は火災を封じ込めるのに手こずった。消防署長は、予想しがたい火勢について、通常、火災は燃え尽き始めるが、今回のように火災の熱が強すぎると、再燃を繰り返すのだと説明した。火災の制御が難しい状況が続き、3時間近く燃焼したのち、鎮火した。

■ 爆発の原因は地元当局によって調査中である。捜査官らは爆発とその後の火災の原因を調査しており、当局は近隣の原油生産施設の潜在的な危険性について警戒を続けた。

補 足

■「ノースダコタ州」North Dakotaは、米国の北部に位置し、カナダに接する州で、人口約78万人である。州都はビスマルク市である。ノースダコタ州はシェールオイルの生産による石油ブームが続いており、石油生産量はテキサス州につぐ全米第2位になっている。

「スターク郡 Stark Countyは、ノースダコタ州の西部に位置し、人口約33,000人の郡である。

「ディキンソン」Dickinsonは、 スターク郡の中央北に位置し、人口約25,000人の都市である。

■「発災場所」に関しては、近くに8基のタンクを有する石油生産施設があったが、被災写真や近くのアパートなど割に詳しく報じられていたので、特定できた。事故のあった施設には、固定式屋根タンクが1基しかなく、隣には小型の石油掘削装置らしい機械があるだけである。石油生産施設としてはあまり見たことがない。ノースダコタ州はシェールオイルの生産が盛んであり、試掘で使用した機械とタンクで少量の原油を生産しているのではないだろうか。「発災タンク」の大きさはグーグルアースで調べてもはっきりしない。直径を23m、高さを46mとすれば、容量は1242KL程度である。

所 感

■ タンクの爆発・火災の原因は調査中であるが、発生時刻が午前6時頃と早く、落雷などの火気といった話は出ておらず、予想がつかない。

■ 今回のタンク火災で特異なことは、消火活動中に火勢が変化するため、消防隊が火災を封じ込めるのに手こずったということである。消防署長は、予想しがたい火勢について、通常、火災は燃え尽き始めるが、今回のように火災の熱が強すぎると、再燃を繰り返すのだと説明した。被災写真を見ると、発災初期段階は屋根が噴き飛び、通常のタンク全面火災の様相であるが、別な時間帯の写真では、タンク外のプール火災になっている。

 この要因は、タンク内の原油の比重が重く、生産油の段階でも完全に水がタンク底に静置せず、原油中に遊離水や自由水として存在していたため、一種のスロップオーバーやボイルオーバー現象が生じ、急激な沸騰で内部の原油が噴き出したためではないだろうか。あるいは、消火活動中に冷却水や泡消火水がタンク内に入り、同様に急激な沸騰が起こり、噴き出した原油がタンク外のプール火災になったことも考えられる。

■ 消火戦略には、「積極的戦略」、「防御的戦略」、「不介入戦略」の3つがある。通常、水圧破砕方式で塩水処理設備を有する陸上石油生産施設では、不介入戦略や防御的戦略がとられることが多い。今回は鋼製タンク1基の施設で、積極的戦略がとられた。しかし、消火戦術が適切ではなく、火災の制圧に時間がかかった。近くにあるマラソン・リファイナリ消防隊が支援に出動したと報じられているが、これは泡消火剤の使用を判断してから依頼したのではないだろうか。今回の事例は比較的小型のタンクであるが、かえって容量の小さいタンクの場合、消火戦術をきちんと決め、使用する消防資機材が十分であることを確認したのち、消火活動を実行しなければならないと感じる。

 (注;マラソン・ペトロリアムのディキンソン製油所は、最近、大豆油とコーン油を再生可能ディーゼル油に変える工場に転換している)


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    ・Thedickinsonpress.com,  Crude oil tank fire extinguished,  September 16, 2024

    ・Kxnet.com, Investigation continues into Dickinson crude oil tank fire,  September 22, 2024

    Kfyrtv.com, Dickinson crude oil storage tank fire put out,  September 17, 2024


後 記: 今回の事例では、グーグルマップとグーグルアースのストリートビューの威力を感じました。平面や3Dの地図でははっきりとしなかった発災施設の位置や発災タンクの外観を知ることができました。それがどうしたと言われれば、身も蓋もないのですが、グーグルマップやグーグルアースを活用している私にとってはひとつの進歩です。下図に特定に至ったストリートビューと平面の地図の相関を示します。


2024年9月21日土曜日

米国カリフォルニア州の山火事でプロパンガスタンクが爆発

 今回は、2024724日(水)、米国カリフォルニア州ビュート郡チコ市近郊で発生した山火事(パーク・ファイアと命名)の状況とともに、丘陵地域にある住宅地にあるプロパンガスタンクが爆発した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国のカリフォルニア州(California)ビュート郡(Butte)チコ市(Chico)近郊で発生した山火事である。

■ 事故があったのは、丘陵地域にある住宅地にあるプロパンガスタンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2024724日(水)、チコ市のビッドウェル・パーク(Bidwell Park)で放火とみられる山火事が発生した。

■ 724日(水)遅く、ビュート郡とテハマ郡の広範囲に避難命令が出され、丘陵地帯のコミュニティでは多くの人が避難した。山火事はパーク・ファイアPark Fire)と名づけられた。

■ チコ市の北東で燃えているパーク・ファイアの規模が拡大し始め、ロッククリーク通り沿いの住宅で爆発があり、炎上した。山火事の炎が漏れていたプロパンガスタンクに引火したためとみられる。山火事を取材していたフォトジャーナリスト(カメラマン)は、爆発の前に貯蔵タンクから漏れ出ていると思われるプロパンガスのシューという音を聞いたと語った。 爆発によって住宅から巨大な火の玉が噴き出し、火と煙の柱が夜空に上がった。

■ フォトジャーナリストによると、爆発した住宅の周辺には他に30軒ほどの家があったといい、火災で少なくとも4軒の家が全焼したのを見たという。撮影されたビデオには、チコ近郊の山火事で複数の建物が破壊される様子や住宅でプロパンガスタンクが爆発し、ガス管が繰り返し炎上する様子が写っている。

■ チコ市の山側に住む5人の子供の母親である住民は、山火事パーク・ファイアが迫る中、自宅から避難した数百人のうちのひとりである。彼女は、道路の向こう側で火事が始まったとき、家族とともにフォレスト・ランチの自宅を離れることを決めた。彼女は「早期避難警報の連絡網に申し込んでいたため、警察官が我が家に来たのですが、自主避難が必要だと告げた後、戻って来ないと言い、車に向かって走っていったので、危険を感じました」と語った。

■ 山火事パーク・ファイアは726日(金)夜に完全に乾いた燃料の中で急速に拡大し、消防士らが危険に対処しようと奔走する中、数千戸の住宅を脅かした。パーク・ファイアの激しさと広がりから、消防当局は、2018年に近くのパラダイスで制御不能に陥り、85人が死亡し、11,000戸の家屋が焼け落ちた恐ろしい火災を思い出し、比較してしまった。この火災により、これまでに130棟以上の建物が焼失し、さらに多くの住宅が危険にさらされている。

■ 山火事パーク・ファイアは当初爆発的に拡大し、カリフォルニア州の記録上4番目に大きな山火事となった。 一時、好天に恵まれて勢いが弱まったが、また、暑さと相対湿度の低さにより再び勢いを増し、シエラネバダ山脈の西側斜面を北上している。カリフォルニア州消防局によると、鎮火率は34%のままである。

■ 米国西部やカナダの他の地域も、726日(金)、雷によって山火事が急速に広がり、人々が火災で囲まれた道路を逃げ回り、厳しい状況に陥った。記録的な猛暑と極度の乾燥状態が続く中、気候変動により落雷の頻度が増加している。

■ オレゴン州東部では、山火事の消火活動中に墜落した小型空中給油機のパイロット1名が死亡した。

■ ユーチューブには、山火事の状況を撮影された動画などのニュースが投稿されている。プロパンガスタンクが爆発した頃の7月終わりに投稿された動画の主なものはつぎのとおりである。

  YouTube Park Fire: Home explodes as wildfire descends on area near Chico2024/7/26

  ●YouTube California‘s Park Fire surges in size, forces thousands to evacuate2024/7/26

  ●YouTube Video Now: Park Fire continues to burn in California2024/7/27

被 害

■ 811日(水)時点の山火事パーク・ファイアの焼失面積は429,188エーカー(1,736 ㎢)で、内訳はビュート郡 52,937エーカー(214 ㎢ )、テハマ郡 376,251エーカー(1,522㎢)である。両郡では、641棟の建物が破壊され、52 棟の建物が損傷した。   

■ この山火事で住宅地にあったプロパンタンクが爆発し、損壊した。 

< 事故の原因 >

■ 山火事の原因は放火による。

< 対 応 >

■ 山火事パーク・ファイアの原因になった放火したという犯人は724日(水)に逮捕された。放火の疑いで告発されている男は、燃えている車を市立公園の渓谷に突き落として火災を引き起こしたとされる。

■ カリフォルニア州消防局は、2024811日(水)、山火事パーク・ファイアの火勢が昨晩は落ち着いてきたと発表した。いくつかの新しい小さな火災はあるが、封じ込めラインは維持されている。一方、太い枯れ木や倒木がくすぶり続け、まだ燃えていない燃料源があり、制御ラインを脅かしている。ミル・クリーク地区では、一晩で湿度が回復した。次週初めから徐々に冷え込みが始まり、気温は平年並みかそれ以下まで下がる見込みである。消防隊は、制御ラインを構築し、すでに構築されたラインとの連結を行い、可能な限り積極的に消火活動を続けている。

■ 811日(水)時点の山火事パーク・ファイアの焼失面積は429,188エーカー(1,736 ㎢)で、内訳はビュート郡 52,937エーカー(214 ㎢ )、テハマ郡 376,251 エーカー(1,522㎢)である。両郡では、641棟の建物が破壊され、52 棟の建物が損傷している。損害検査チームは被害評価を終えている。

■ 山火事パーク・ファイアは、724日(水)にチコ東部のアッパービッドウェルパークで発生し、急速に広がり、826日(水)までにビュート、プラマス、シャスタ、テハマ各郡の429,603エーカー(1,738㎢)に広がった。600平方マイル以上の広さはサンフランシスコの13倍、ニューヨーク市やロサンゼルスよりも広い。9月に入った状況は、つぎのとおりである。

 ● 98日(日)時点、火災は99%鎮火した。

 ● 726日(金)、ビュート郡とテハマ郡で非常事態宣言が発令され、パーク・ファイアはカリフォルニア州史上4番目に大きな山火事で、2020年のSCUライトニング・コンプレックスを上回り、州史上2番目に大きな単独(複合ではない)山火事となった。

 ● 被害の点ではビュート郡が最も大きな被害を受けた。

 ● 火災により住宅を含む700棟以上の建物が破壊された。

 ● 8月下旬、パーク・ファイアの焼け跡は洪水警報の対象となり、土石流による地滑りの可能性が緊急管理者と近隣住民にとって大きな懸念事項となった。

 ● 被災した郡の人々が地元当局の命令により避難したが、多くが帰宅した。しかし、まだ何百人もの人々が長期にわたる避難生活に直面している。

■ 北米の山火事シーズンは、通常、春から始まって秋まで続く。しかし、気候変動の影響が増大するにつれて、災害は予想される季節を無視し続け、頻度と激しさが変化している。米国西部の今年の山火事は、主にオレゴン州、アイダホ州、ワシントン州、カリフォルニア州で発生しており、オレゴン州林業局の広報担当官は「今シーズンは、例年より早く始まったこともあり、対応が難しさを極めています」と言う。こうした状況は、事態の収拾を任されている消防士や消防資機材に大きな負担をかけており、各州は遠くハワイやニュージーランドからも援軍を要請しなければならない。20247月、国立合同消防センター(NIFC)は米国の火災対応レベルをもっとも厳しい準備レベル5に設定した。これは、消火活動のための資源を集中してすべて投入されていることを意味する。

 2023年は比較的静かな年だったが、2024年はカリフォルニア州の火災シーズンが早々に始まり、724日(水)に始まったパーク・ファイアの山火事は州内で最も急速に拡大し、大きな火災となった。専門家は焼失面積が山火事の破壊力を示すものではないというが、この焼失面積の測定値は火災がどれだけ急速に拡大したかを知る手がかりになる。

■ 米国森林局の山火事に対応する“ホットショット隊”の責任者は「シーズンも半分が過ぎ、本当に忙しい。まだ3か月は残っているという気持ちで、スタッフを精神的にも肉体的にも奮闘させている」と語った。ホットショット隊は、オレゴン州に向かう前に数日間パーク・ファイアの消火活動に従事し、そこで延焼防止のための防火線の構築に取り組んできた。彼らの肉体的に過酷な勤務時間は、通常12時間近くに及ぶ。

 “ホットショット隊”の責任者は山火事対応の計画・リスク軽減・戦略立案を主な業務とするが、消防隊員が毎晩少なくとも7時間の睡眠をとり、十分な栄養をとることで疲労を管理することが不可欠だと語った。消防隊員の人数を増やし、休日を増やし、メンタルヘルスについての改善をしたことが、消防士の健康に大きく貢献したとホットショット隊の責任者はいい、「消防業務の文化はこの25年間で大きく変わり、特に調子が良くないときは、休暇を取って自分の気持ちや状況を話すことが許されるという、大きな文化の変化がありました」と語っている。

912日(木)時点、カリフォルニア州では今年になって6,078件の山火事が発生し、約98万エーカー(3,642㎢)が焼失した。カリフォルニア州消防局は8月初旬、今年の山火事による焼失面積は昨年の29倍で消火活動は大幅に増加したと報告した。何千人もの住民が避難し、中期から長期にわたる避難生活に直面することになり、北カリフォルニアと南カリフォルニアの両方で重大な人道的懸念が高まっているという。

■ 国立合同消防センター(National Interagency Fire Center)は、2024916日(月)時点で、米国全土で 55 件の大規模な山火事について鎮圧戦略で管理されていると発表した。現在、25個の複合インシデント管理チーム、2 個のタイプ 1のインシデント管理チーム、577 の対応部隊、1,747 台のエンジン、145 機のヘリコプターが投入され、合計27,162人の消防士と支援要員が山火事の対応に従事している。2024年はこれまでに米国全土で36,920件の火災が発生し、焼失面積は7,301,739エーカー(29,549㎢)及んでいる。この10年間の同期間の平均値に比べると、火災の発生件数は少ないが、焼失面積は大きい。

補 足

■「カリフォルニア州」(California)は米国西海岸に位置し、メキシコとの国境から太平洋沿いに細長く伸び、人口約3,890万人の州である。

「ビュート郡」(Butte)は、カリフォルニア州の中央部に位置し、人口約21万人の郡である。

「チコ市」(Chico)は、ビュート郡の中央に位置し、人口約10万人の市である。

■「発災タンク」は、住宅地にあったプロパンガスタンク(プロパンガスボンベ)である。詳細な仕様は分からない。

所 感

■ 山火事で住宅地にあったプロパンガスタンクが爆発したという情報から、カリフォルニア州や米国の山火事を調べたが、予想していたものよりはるかに多く、広いエリアに及んでいる。プロパンガスタンクが爆発したというニュースは、たまたまフォトジャーナリスト(カメラマン)が現場にいたことによって広く知られたが、米国の山火事で住宅地が被災すれば、いつもある珍しくはない事象なのだろう。

■ 貯蔵タンクではないが、山火事に関するブログを初めて投稿したのは、本稿でも出ている“ホットショット隊”が19名亡くなるという悲惨な事故「米国アリゾナ州の山火事で消防士19名死亡」(20137月)からである。その後、異常気象などによる世界的に大きな山火事について投稿してきた。

 ●「米国アリゾナ州の山火事で消防士19名死亡」20137月)

 ●「ブラジルのアマゾン熱帯雨林で森林火災が多発」 20199月)

 ●「豪州における山火事の被害(20192020年)」 20203月)

■ 山火事に関するスペシャリストである“ホットショット隊”の責任者のつぎのような言動が印象に残った。

「“ホットショット隊” は、オレゴン州に向かう前に数日間パーク・ファイアの消火活動に従事し、そこで延焼防止のための防火線の構築に取り組んできた。彼らの肉体的に過酷な勤務時間は、通常12時間近くに及ぶ。ホットショット隊の責任者は山火事対応の計画・リスク軽減・戦略立案を主な業務とするが、消防隊員が毎晩少なくとも7時間の睡眠をとり、十分な栄養をとることで疲労を管理することが不可欠である。消防隊員の人数を増やし、休日を増やし、メンタルヘルスについての改善をしたことが、消防士の健康に大きく貢献したといい、消防業務の文化はこの25年間で大きく変わり、特に調子が良くないときは、休暇を取って自分の気持ちや状況を話すことが許されるという、大きな文化の変化があった」


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Centraloregondaily.com, Propane tank explosion at house at Park Fire,  July  27,  2024

     Sfchronicle.com, Park Fire destroys home near Chico. Video shows explosion, massive fireball,  July  25,  2024

     Woodtv.com, California’s largest wildfire explodes in size as fires rage across US West,  July  26,  2024

     Edition.cnn.com, California’s Park Fire is now bigger than Phoenix while in Canada a blaze is scorching one of the largest national parks,  July  27,  2024

     Fire.ca.gov,  Park Fire,  August  11,  2024

     Theguardian.com, ‘Exceptionally difficult’: grueling wildfires test the resolve of US crews,  August  11,  2024

     Earthobservatory.nasa.gov, California Burning, August  19,  2024

     Nifc.gov, National Fire News, September 16,  2024

     Disasterphilanthropy.org, Wildfires rage despite our collective fatigue,  August  22,  2024

     Disasterphilanthropy.org, 2024 North American Wildfires,  September  13,  2024

     Apnews.com, Huge California wildfire chews through timber in very hot and dry weather,  August  09,  2024 


後 記: このブログをまとめている918日(水)に地元山口県で山火事が発生したというニュースが入りました。後記としては長くなりますが、経緯をまとめました。日本も山火事の本格的な対応が必要になってきました。

 ● 918日(水)午後430分頃、山口市秋穂二島の山口県セミナーパーク付近の山林で火事が起きた。当時、セミナーパークの関係者が草刈りをしていて、何らかの原因で集めた草に火がつき、山に燃え移ったとみられる。午後4時に作業を終えた際には火は出ていなかったが、約30分後に作業員が戻ると煙が立ちこめていて、火を消そうとしても消せないような状況だったという。

 県の防災ヘリコプター1機、11台の消防車による消火活動が続けられたが、ヘリコプターによる消火活動は午後6時ごろでいったん打ち切られた。夜になって火は山の頂上付近にまで広がった。

 ● 夜中になって一旦風も収まってきて気温も下がってきた関係で少し小康状態なっていたが、19日(木)朝からまた燃え広がっており、現場周辺の山は真っ黒に焼け焦げ岩肌があらわになった。山の斜面に沿って木が生い茂っているため、火は斜面に沿って勢いよく上がり、燃え広がるスピードが速かった。

 919日(木)午前630分から消火活動が再開された。消防本部の隊員延べ65名、消防団員延べ70名が消火活動などにあたったほか、県や自衛隊のヘリコプターあわせて5機が出動して消火活動が行われた。

  山火事の焼失面積は約30haで、住宅への延焼はなく、一時、周辺の住民18世帯20人が避難したが、けが人は出なかった。19日(木)午前の時点で火の勢いはほぼなくなったが、白い煙がところどころ立ち上り、消防などはドローンを使ってどこに火がくすぶっているかを確認しながら消火活動を続けている。920日(金)も消火活動を行う予定である。

 ● 9月20日(金)、山火事は再び燃え上がった。これまでは山の東側だったが、山頂から西の斜面で燃え始めた。

 ● ユーチューブには、山火事や消火活動の状況を撮影された動画のニュースが投稿されている。

  YouTube「【山火事】草刈りで集めた草に火が付いたか?現地レポート|山口市秋穂二島」2024/9/18

        YouTube「【陸上自衛隊ヘリ】山火事消火活動/山口県山口市秋穂二島」2024/9/19)