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2026年6月13日土曜日

米国オクラホマ州で製油所のホートン球形タンクが火災、負傷者1名

 今回は、2026511日(月)、米国オクラホマ州タルサにあるHFシンクレア社の製油所で長楕円体をしたホートン球形タンクが火災を起こして損傷した事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国オクラホマ州(Oklahoma)タルサ(Tulsa)にあるHFシンクレア社(HF Sinclair) の製油所である。

■ 事故があったのは、ウェストタルサのサウスユニオン・アベニュー1700番地にある製油所内の長楕円体をしたホートン球形タンクである。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026511日(月)午前1030分過ぎ、 製油所内のタンクで火災が発生した。

■ 製油所からは大きな炎と濃い黒煙が上がっているのが市内から目撃された。

■ 発災タンクは真の球形タンクでなく、長楕円体をしたホートン球形タンクだった。

■ 現場では、タンクの自動散水システムが作動した。球形タンクの近くには焼け焦げた車両が見られた。

■ 発災にともない、製油所の自衛消防隊が出動し、現場の対応を実施した。公設のタルサ消防署の消防隊は待機支援を行うため出動した。

■ 事故にともない、従業員1名が負傷し、診察のため搬送された。

■ HFシンクレア製油所は、敷地境界線沿いに大気モニタリングを実施し、敷地外への影響は確認されていないと述べた。

■ ユーチューブなどでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

  YoutubeTulsa Refinery Fire: Massive Flames Erupt at HF Sinclair Tulsa Refinery! Watch the Video2026/05/12

  ●Facebook.comMay 11, 2026 Tulsa firefighters responded to the HF Sinclair refinery around 11 a.m. to provide standby support during a fire at the facility2026/05/11

  ●Linkedin.com𝗕𝗿𝗲𝗮𝗸𝗶𝗻𝗴 | HF Sinclair Refinery Fire — Tulsa, Oklahoma 2026/05/11

被 害

■ タンク1基が火災で損傷した。

■ 車両が1台火災で被災した。

■ 負傷者1名があった。

< 事故の原因 >

■ 事故原因は不明である。 

< 対 応 >

■ 製油所内の自衛消防隊が火災を鎮火した。公設消防のタルサ消防署とベリーヒル消防署は出動したが、待機支援に回り、最終的に直接介入することはなかった。

■ 今回の事故で注目される点は、①ホートン球形タンク付近で焼け焦げた車両が見つかったことで、危険区域における車両アクセス管理について疑問が生じる。炭化水素貯蔵施設付近での火気作業許可、立入り禁止区域、引火源管理は、単なる事務手続きではなく、安全管理である。②自衛消防隊が自治体の消防隊の支援を必要とせずに火災に対処できたことは、緊急事態への備えの証といえよう。

■ 原因は発表されていない。調査は継続中である。

■ この製油所は1日あたり125,000バレルを処理し、中西部諸州にガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、潤滑油、アスファルトなどを供給しており、操業停止が長引けば、地域全体の供給に影響が出る。

■ 今回のHFシンクレア製油所のタンク火災は、PBFエナジー社(PBF Energy Inc.)のルイジアナ州シャルメット製油所で発生した大規模火災からわずか数日後に発生した。事故の分析データでは、製油所火災事故が世界的に顕著に増加していることが示されている。注記; 202658日(金)にガソリン製造用の改質加熱炉で爆発・火災事故が発生した。

補 足

■「オクラホマ州」(Oklahoma)は、米国の中南部に位置し、人口約396万人の州である。州名はチョクトー族インディアンの言葉でokla  hummaを合わせたもので赤い人々を意味する。1907年に元のインディアン準州とオクラホマ準州を合わせて合衆国46番目の州になっており、当初は全米のインディアン部族のほとんどを強制移住させる目的で作られた州である。このため、他の州に比べてインディアンの保留地(Reservation)の多い州である。

「タルサ」(Tulsa)は、オクラホマ州の北東部に位置し、アーカンソー川沿いにある人口約41万人の都市でタルサ郡の郡庁所在地でもある。タルサは、20世紀初頭の石油採掘によって成長した。

■「HFシンクレア」(HF Sinclair Corp.)は、1947年に設立し、テキサス州ダラスを拠点とする独立系エネルギー企業である。同社は、原油処理能力が1日あたり678,000バレルで、複合製油所を7か所運営しており、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料の精製・販売のほか、再生可能ディーゼルや潤滑油などの製造を手がけている。米国の 30 州に1,600箇所 を超える独立系シンクレア ブランドのガソリンスタンドを通じて、自動車燃料を消費者に販売・流通している。 オクラホマ州タルサには精製能力125,000バレル/日の製油所を有している。会社の経緯は、最初、ゼネラル・アプライアンス・コーポレーションとして1947年に設立され、1952年にホーリー・コーポレーションに社名を変更し、その後、買収・合併を繰り返し、2023年、HFシンクレアが設立された。

■「発災タンク」は、種類や大きさなどの仕様が報じられていない。被災写真はドローンで撮影された映像が流されているので、球形タンクであることが分かる。しかし、よく見ると、真の円形でなく、楕円形をしているので、ホートン球形タンク(Horton Sphere Tank、または長球、長楕円体、回転楕円体タンク)と思われる。日本では見られないが、米国では球形タンクのひとつとして使用されている。過去のタンクと思っていたが、現在でも、インドのアンモニア産業に使用されている例がある。

 グーグルマップで調べると、直径は約20mであり、容量は4,000KL級と思われる。球形タンクの頂部には、散水配管が設置されている。

所 感 

■ 今回の事例の原因は報じられていない。被災写真によると、最初にタンク下部で火災が発生し、その後、大量に漏れて爆発的燃焼が起こった後、再びタンク下部の火災が継続したのではないかと思われる。タンク下部の漏洩箇所は、タンク本体の損壊などの損傷ではなく、下部フランジからの流出やクラックからの漏れではないだろうか。

■ タンク近くに燃える車両があるが、この車両(および人)が要因で火災が生じたか可能性は否定できない。しかし、「従業員1名が負傷し、診察のため搬送された」というので、火災や爆発的燃焼の際に負傷したのかも知れない。

■ 消火活動は自衛消防隊で消火したと報じられているが、球形タンクの火災であり、燃焼物はLPガスなど高圧の軽質ガスである。このような火災の場合、消火戦略は、ガスの流出による爆発と人員へのリスク回避のため、不介入戦略または防御的戦略(冷却散水)をとる。「石油貯蔵タンク火災の消火戦略」201410月)を参照。被災写真を見ても、実際、泡薬剤などによる消火活動は行っていない。

 火災は燃料源の供給を停止することである。タンクへの供給弁を閉止して火災を消火したのであろう。公設消防による消防隊は待機させており、どのような話し合いがされたか分からないが、妥当な判断ではないだろうか。球形タンクの事故例については「中国山東省の液化石油ガスタンク群で爆発・火災」20157月)「東日本大震災の液化石油ガスタンク事故(2011年)の原因」20123月)を参照。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Newson6.com, Large fire sends black smoke into sky in West Tulsa, fire crews respond, May  11, 2026

     Koco.com, Pictures show plume of black smoke after large fire at HF Sinclair Refinery in Tulsa, May  11, 2026

     Newsflare.com, US: Fire Erupts at HF Sinclair Refinery in West Tulsa, May  11, 2026

     Linkedin.com, US: Fire Erupts at HF Sinclair Refinery in West Tulsa, May  11, 2026

     Fox23.com, Crews respond to fire at HF Sinclair refinery in west Tulsa, May  11, 2026

     Tulsaflyer.org, Large fire sends black smoke into sky in west Tulsa, fire crews respond, May  11, 2026

     Hazardexonthenet.net, Refinery fire prompts emergency response in west Tulsa, May  19, 2026 

     Kfor.com, Tulsa fire crews respond to fire at refinery, May  11, 2026


後 記: 米国の事故に対する感度や感性が、メディアを含めて、鈍くなっていると思います。メディアは、SNS(ソーシャルネットワークシステム)に押され、事故の要因に関して深堀りをせず、映像さえあれば良いという感じです。SNSはユーチューブ、フェースッブック、インスタグラムなど盛んに発信していますが、中身が薄いですね。「事故の分析データでは、製油所火災事故が世界的に顕著に増加していることが示されている」という意見が報じられていますが、製油所の火災事故だけでなく、ブログをやっていると、タンク関連の事故でも最近多くなっていると感じています。世界のいろいろなところで戦争が起こっていますが、戦争による人や設備の被害が伝えられてマヒして、人の感受性が衰え、弱くなってきているのかも知れませんね。

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