今回は、2025年3月16日(日)、米国ネブラスカ州北東部のノーフォークにある農場で容量500ガロン(2,270リットル)のプロパンガスボンベ(タンク)が爆発した事例を紹介します。発災にともない消防隊が現場に駆け付け、消火活動を行う直前にプロパンガスボンベから圧力が開放されるような音を聞き、消防活動を控える判断をした事例です。爆発の状況はビデオに撮影され、公表されました。
< 発災施設の概要 >
■ 発災があったのは、米国ネブラスカ州(Nebraska)北東部のノーフォーク(Norfolk)にある農場である。
■ 事故があったのは、農場にある容量500ガロン(2,270リットル)のプロパンガスボンベ(タンク)である。
<事故の状況および影響>
事故の発生
■ 2025年3月16日(日)、ノーフォークにある農場の建物で火災が発生した。
■ 発災にともない、ノーフォーク消防署の消防隊が出動した。
■ 消防隊は、建物火災の現場に到着した。そのとき、消防隊はプロパンガスボンベから圧力が開放されるような音を聞いた。
■ 消防隊は火災現場の手前で停止し、消火活動を控えることを決断した。そのすぐ後に、タンクが爆発した。
■ 消火活動を控える決断は賢明だった。
■ 消防隊は火災現場の手前で停止し、監視しているときに爆発の状況をビデオに撮影した。ノーフォーク消防局は、3月17日(月)、火災で500ガロンのプロパンボンベが爆発する瞬間のビデオを公開した。ビデオはメディアのニュース番組で紹介され、ユーチューブに投稿された。
●Youtube、「WATCH:
500-gallon propane tank explodes during fire in Nebraska」(2025/03/18)
被 害
■ 500ガロンのプロパンガスボンベが損壊した。火災の要因になった建屋が焼損した。
■ 負傷者は出なかった。
< 事故の原因 >■ プロパンガスボンベの爆発原因は建屋の火災である。
< 対 応 >
■ 爆発後、消防隊は火災を消し止めることができた。
■ 事故にともなう負傷者は出なかった。
■ ノーフォークの消防隊は、特に最近の乾燥した天候では、火災がいかに危険であるか、また、出動要請時に提供される情報がいかに重要であるか認識させられるものだと述べた。
■ 消防局はフェイスブックへの投稿で、爆発の動画を警告として使い、プロパンガスボンベ(タンク)付近における火災の危険性を示した。消防局は、「私たちの最大の願いは、みなさんが火災の経験をしないで済むことです。しかし、もし火災に遭遇する事態になってしまったら、みなさんが消防署に伝える情報がいかに重要かを知っておいてください。建物や車両が火災で燃えていて、近くにプロパンガスボンベ(タンク)があるなら、それは伝えるべき重要な情報です」と述べた。
補 足
■「ネブラスカ州」は、米国の中西部に位置し、人口約196万人の州である。
「ノーフォーク」は、ネブラスカ州北東部に位置し、人口約24,000人の市である。ノーフォークの気候は、夏は蒸し暑く、冬は乾燥して厳しく、気温の年較差の大きい内陸型の気候である。最も暑い7月の平均気温は約24℃、最高気温の平均は約32℃である。最も寒い1月の平均気温はー6.5℃、最低気温の平均はー12℃で、毎日気温が氷点下に下がる。
■「プロパンガスボンベ」は、一般の家庭や小規模企業向けに使用するプロパンガスの収納容器である。米国では、プロパンガスボンベとタンクの厳密な使い分けをしておらず、通常、プロパンガスタンクと呼んでいる。事例で出てきた500ガロン(2,270リットル)のプロパンガスボンベ(タンク)は、平均的な家庭を 1 シーズン暖めるのに必要なプロパンガスを収納できる大きさである。標準的なサイズ例は、直径37.5インチ×長さ9.5フィート(95cm×2,900cm)の横型タンクである。約 1,520 ポンド(690㎏)のプロパンガスを入れることができるが、安全上の理由から、容量の80%まで充填され、実際には約400 ガロン(552㎏)の容量である。内部圧力は平均的な気温時で約125~175psi (8.6~12.0bar)である。プロパンガスタンク内部圧力は自然に変動し、暑いときには圧力が上昇し、 寒いときには圧力が低下する。通常、プロパンガスボンベ(タンク)には、圧力が安全限度を超えた場合に作動する圧力安全弁が付いている。
■「発災タンク」は、ノーフォークというだけで詳細な位置は報じられていない。場所に関する情報はなく、発災場所は特定できなかった。
所 感
■ ブログで爆発の瞬間をとらえた映像(動画)を紹介するのは、今回で4回目である。これまで爆発の瞬間を報じたブログはつぎのとおりである。
●「原油タンク火災の消火活動中にボイルオーバー発生事例」( 2013年9月)
●「ロシアのタタールスタン共和国で工事中の空のタンクが爆発、死者2名」(2023年11月)
●「ロシアのふたつの石油貯蔵所でタンク爆発・火災、テロ攻撃か」(2022年4月)
今回の映像は一般の家庭にもあるボンベ(タンク)であり、プロパンガスという身近にある爆発しやすいガスという点が特徴である。
■ 現場に到着した消防隊が、事前に建屋火災の近くにプロパンガスボンベ(タンク)があるという情報を認識して対応したため、異常な音を覚知して消火活動を控える決断を行い、死傷者を出さなかった好事例である。一方、状況は少し異なるが、日本では、アクリル酸製造プラントで消防活動中だった消防隊員1人が死亡し、このほかに従業員、消防隊員、警察官ら36人が重軽傷を負うという「日本触媒でアクリル酸タンクが爆発・火災、死傷者37人」(2012年10月)の大きな事故を経験している。
今回の火災について、米国では消防局がフェイスブックへ投稿し、爆発の動画を警告として使っている。プロパンガスボンベ(タンク)付近における火災の危険性を一般住民に示し、「火災に遭遇する事態になってしまったら、皆さんが消防署に伝える情報がいかに重要かを知っておいてください。建物や車両が火災で燃えていて、近くにプロパンガスボンベ(タンク)があるなら、それは伝えるべき重要な情報です」と語り、2次災害を未然防止しようという意思を感じる。
■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、今回は不介入戦略の標準的な事例である。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Foxsanantonio.com, Dash-cam captures explosive moment as propane
tank erupts during fire, March 19,
2025
・Ketv.com, Unbelievable video shows 500-gallon propane tank exploding
as Norfolk crews respond to structure fire,
March 18, 2025
・Klkntv.com, WATCH: 500-gallon propane tank explodes during fire in
Nebraska, March 17,
2025
後 記: 「ロシアのタタールスタン共和国で工事中の空のタンクが爆発、死者2名」(2023年11月)では、円筒タンクの屋根にいた人が爆発で飛ばされるというショッキングな映像でしたが、今回のプロパンガスボンベの爆発映像は身近なこととしてインパクトのある動画でした。「米国カリフォルニア州の山火事でプロパンガスタンクが爆発」(2024年9月)では、山火事にともなう爆発事例でした。しかし、よそ事でなく、今年に入って岩手県大船渡市の山火事があり、その後、岡山、愛媛で山火事がありました。ニュースの一部に爆発のような映像がありましたが、被災のあった住宅ではプロパンガスボンベの爆発事例があったことは想像にかたくないですね。