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2025年3月13日木曜日

福岡県飯塚市の自動車解体施設で廃車のガスタンクから火災、負傷者2名

 今回は、2025114日(火)、福岡県飯塚市勢田にある自動車解体施設で、解体作業中に廃車の中にあったガスタンクが爆発して火災となり、負傷者2名を出した事例を紹介します。

< 発災地域の概要 >

■ 発災があったのは、福岡県飯塚市勢田(せいた)にある自動車解体施設である。

■ 事故があったのは、施設ヤード内の廃車の中にあったガスタンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2025114日(火)午前1030分過ぎ、廃車の解体作業中に爆発が起き、火災が発生した。

■ 発災にともない、消防署に「廃車の解体作業中にガスのタンクが爆発し、周囲に延焼した」という119番通報があった。通報にもとづき、消防隊が出動した。

■ 現場の住民によると、 「地響きするようなドーンっていう爆発音で家が揺れた。その後、細かくパーン、パーンという音が何度も聞こえた」という。

■ 火災は、現場に積み重なって置かれている複数の廃車などに延焼し、車は黒く焼け焦げ、赤い炎や煙が上がった。この火災で車両10台以上と敷地内の倉庫の一部が焼けた。

■ 事故にともない、解体作業にあたっていた2人が負傷し、病院に搬送された。ひとりは顔に火傷を負い、もうひとりは「耳が聞こえにくい」、「腰が痛い」などと訴えていたという。

■ 警察によると、発災当時は7人で廃車の解体作業などが行われていたという。事業所の関係者は、「廃車となったタクシーの車両から、燃料であるLPガスのタンクを外して運んでいるときに爆発が起きた」と話している。

■ユーチューブでは、事故を伝えるニュースの映像が投稿されている。

 Youtube「 ガスタンクが爆発」飯塚市で火災 2人搬送」2025/01/14

  ●Youtube「ガスタンクが爆発」飯塚市で火災 けが人情報も」2025/01/14

  ●Youtube「爆発音で家が揺れた」中古車輸入会社で車両の解体中に出火 19歳男性従業員が顔にやけどの重傷 福岡・飯塚市」2025/01/14

被 害

■ 廃車の車両10台以上と敷地内の倉庫の一部が焼けた。

■ 負傷者が2名出た。

< 事故の原因 >

■ 爆発・火災の原因は調査中である。施設の関係者は「廃車となったタクシーの車両から、燃料であるLPガスのタンクを外して運んでいるときに爆発が起きた」と語っている。  

< 対 応 >

■ 消防車8台が出て消火にあたり、火は約3時間後に消し止められた。

■ 警察と消防は、作業中に何らかの原因で爆発が起きたものとみて詳しい状況や原因を調べている。

補 足                                                

■「福岡県」は、九州地方の北部に位置し、人口約509万人の県である。

「飯塚市」は、福岡県北中部に位置し、筑豊三都(飯塚市・直方市・田川市)の一つで、筑豊で最多の人口約12万人を擁し、同地域の中心機能を持つ都市である。

■「自動車解体施設」は、廃車の引取りを行い、廃車を解体し、リサイクル部品の生産・販売を行う施設である。飯塚市勢田にある自動車解体施設の火災について報じたメディア各社は事業者名を報じていない。通常、今回のような火災について発災事業所を公表しない理由はない。変に疑いをもってしまう。逆に、2025122日には、事業者からフェースブック(Facebook)に、「114日にヤード内の輸出専門業者からの火災で関係者の皆様方々には多大なご迷惑とご心配をお掛けし誠に申し訳ありません。並びに沢山の励ましの言葉や沢山のお見舞いを頂き感謝でしかありません。(中略) 今後こういう事のないよう輸出業者に通達し改善していきますので、皆様今後共どうぞ宜しくお願い申し上げます」というコメントが投稿されている。

■「発災タンク」について「廃車の解体作業中にガスのタンク」と報じられている。一方、事業所の関係者の話しとして「廃車となったタクシーの車両から、燃料であるLPガスのタンクを外して運んでいるときに爆発が起きた」とも報じられている。実際、タクシーの車両では燃料としてLPGを使用するケースは多い。類似事例は、このブログでも「豪州の自動車解体施設でLPG燃料タンクによる火災」 20175月)を投稿している。

所 感

■ 自動車解体施設で廃車の燃料用LPGタンクが爆発して火災になった事故は、このブログの「豪州の自動車解体施設でLPG燃料タンクによる火災」 20175月) と類似事例である。

 豪州の事例では、所感に「燃料油の場合、燃料タンクからの油の抜き取りは比較的容易であるのに対して、 LPG燃料タンクでは残量が分かりにくい上にLPGの抜き取り(大気放散でなく)はむずかしい。この観点からすれば、LPG自動車の解体作業における盲点だったように思う」と書いたが、今回の事例でも、LPG燃料タンクの残液抜取りに問題があったと思われる。

■ 事業所の関係者が語っている「廃車となったタクシーの車両から、燃料であるLPガスのタンクを外して運んでいるときに爆発が起きた」と語っているが、廃車のタクシーを移動させているのか、LPガスのタンクを運んでいるのか状況は曖昧である。被災写真には、自動車解体施設のヤードに焼けた廃車類とともに、タクシーのような車両とフォークリフトが写っているが、当該事故のLPG車の廃車かどうかはわからない。

■ 消火活動は3時間かかって消火したとしか報じられていないので、どのような消火戦略をとったかはわからない。豪州の事例では、消火活動にかなり苦労している。消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、LPガスの火災では、火を消せばLPガスが流出・拡散し、何らかの引火源によって大きな爆発になる恐れがある。消火戦略やプロパンガスボンベの爆発・火災事例はつぎのブロブを参照。

 ●「石油貯蔵タンク火災の消火戦略」201410月)

 ●「カナダの建設機械レンタル会社でプロパンガスボンベが爆発・火災」 20247月)


 

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである

       Nhk.or.jp, 自動車解体事業所でLPガスのタンクが爆発 2人けが 飯塚,  January  14, 2025

       Yomiuri.co.jp, 「車を解体中にガスタンクが爆発」作業員2人搬送福岡県飯塚市の自動車関連会社「何回も爆発音」,  January  14, 2025 

       Newsdig.tbs.co.jp, 「爆発音で家が揺れた」中古車輸入会社で車両の解体中に出火 19歳男性従業員が顔にやけどの重傷 福岡・飯塚市,  January  14, 2025

      News.tnc.co.jp, 【速報】「爆発があった」との趣旨の通報 男性2人けがか「車が燃えている」激しく煙上がる 会社敷地内か 警察と消防が状況調べる 福岡・飯塚市,  January  14, 2025

      Okinawatimes.co.jp, 「車を解体中に爆発」と119番 福岡で複数人負傷か、19歳搬送,  January  14, 2025

      Sankei.com, 「車解体中にガスタンクが爆発」と通報、複数人負傷か 福岡県飯塚市の会社,  January  14, 20 25


後 記: 今回の事例では、九州のテレビ放送などによって事故状況が報じられました。しかもヘリコプターによる取材もあり、情報を調べれば、状況はわかると思いました。しかし、昼前の出来事だったので、昼のニュースの速報で報じられたあと、火災は消え、後報はなく、事故状況はよくわかりませんでした。LPG車のLPガスタンクの火災で危険性を知っている人ならば、関心のあるところなのですが。負傷者が出ているにもかかわらず、火が消えて万々歳といった雰囲気です。(「万々歳」は言い過ぎですが、類語辞典を調べても妥当な言葉が見つかりませんでした)

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