このブログを検索

2026年1月18日日曜日

米国ロードアイランド州でバイオ燃料油タンクが爆発・火災(原因)

  今回は、20241226日(木)、米国ロードアイランド州プロビデンスにあるグローバル・パートナーズ社傘下のグローバルGlo社のバイオ燃料施設でバイオ燃料の分配用タンクが爆発して、火災が発生した事故について20251月に現場調査記録が公表され、事故原因が報じられた内容を前回ブロブに修正・追記した内容を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国ロードアイランド州(Rhode Island)プロビデンス(Providence)にあるエネルギー供給会社のグローバル・パートナーズ社(Global Partners)傘下のグローバルGlo社(Global Glo.LLC)のバイオ燃料施設である。

■ 事故があったのは、プロビデンス港工業地帯のターミナル・ロード近くにあるコーン(とうもろこし)を原料としたバイオ燃料施設の分配用タンク(Distribution Tank)である。分配用タンクは金属製の立型円筒タンクで、直径約3.6×高さ約12mの保温材付きである。タンクの貯蔵容量は20,000ガロン(75.8KL)で、発災時、タンク内には3,000ガロン(11KL)のバイオ燃料が入っていた。このタンクは製品を大型タンクから抜き出し、指定された割合に混合してタンクローリーへの積み込みを実施する。

■ 発災時のプロビデンスの気象状況は、気温:華氏28度(ー2.2℃)、湿度66%、気圧30.34インチ(770mm)、くもり、風速;北北西の風で時速 7 マイル(3.1m/s)だった。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 20241226日(木)午後3時頃、グローバル社でバイオ燃料の分配用タンクが爆発して、火災が発生した。

■ タンクの上部屋根が噴き飛び、遠くの電柱にぶつかって落下した。けが人はいなかった。

■ グローバル社でタンクローリーに燃料を補給していた運転手によると、26日(水)午後、車からいつものようなカチカチという音が聞こえてきたといい、「はじめは古いタイマーか圧力鍋が鳴る音だと思いました。それが笛のような音になりました。その後、建物の裏側で爆発の音が聞こえました」と語った。そして、貯蔵タンクの上部のような部品が空中を飛んでいくのが見えたという。

■ 発災にともない、午後330分頃、消防隊が出動した。

■ 近隣のクランストン、ジョンストン、カンバーランド、イーストプロビデンス、ノーススミスフィールドから相互援助の消防隊が現場に駆けつけた。

■ 消防隊は泡消火剤を使用して火災の制圧に努めた。

■ 火災の炎は貯蔵タンク以外に広がることはなかった。

■ グローバル社によれば、コーンを原料として使用したバイオ燃料は主に暖房に使用されているという。ロードアイランド州は持続可能なエネルギーの実践を支援するために暖房用オイルに10%のバイオ燃料の混合を義務付けている。

■ 事故にともなう負傷者は報告されていない。

■ ユーチューブでは、事故に関するニュースが投稿されており、主なものはつぎのとおりである。

 YoutubeCorn oil storage tank catches fire in Providence2024/12/27

    ●YoutubeCorn oil  tank catches fire in Providence2024/12/28

被 害

■ 貯蔵容量20,000ガロン (75.8KL)の立型円筒タンク1基が損壊した。

■ タンク内部に入っていた3,000ガロン (11KL)のバイオ燃料の一部が焼失した。

■ 負傷者はいなかった。

< 事故の原因 >

■ 爆発の原因は、分配タンク内の加熱コイルの損傷が貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーを発火温度まで加熱し、タンク内に爆発混合気が形成し、引火して爆発を起こしたとみられる。 

< 対 応 >

■ 消防隊は泡消火剤を散布して火を消し止め、完全消火に向けて作業を続けた。

■ 1226日(木)午後445分頃、消防隊は火災を鎮火させた。消防士が現場を監視し、撤収前に安全を確認した。

 ■ 1226日(木)、グローバル社は、つぎのような声明を出した。「消防士たちが素早く炎を消し止め、延焼を防いでくれました。影響を受けたタンクは使用停止となり、火災の根本原因が特定され、再発防止のための是正措置が実施されるまで使用しないままとします」

■ 1227日(金)午後、グローバル社は、発災設備以外のプロビデンス・ターミナルの業務を再開した。

■ 20252月、プロビデンス消防署は、バイオ燃料分配タンクの爆発と火災に関する現場の調査記録を公表した。

■ 20252月に公表された現場の調査記録によると、「火災はバイオ燃料の分配タンクで発生した。火災の原因は、システム内の加熱コイルの損傷が、タンク内のバイオ燃料ベーパーに引火した可能性が考えられる。最初に発火したのは、タンク内のバイオ燃料のベーパーだった。発火のきっかけは、分配タンク内の加熱コイルの損傷が、貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーを発火温度まで加熱したこととみられる」という。    

 調査記録による事故の経緯については、つぎのとおりである。

 ・1226日(水)午後2時頃、バイオ燃料を保管していた大型貯蔵タンクから、事故が発生した分配タンクにバイオ燃料の移送を試みた。

 ・バイオ燃料は分配タンクから車両にポンプで送られ、そこで暖房用燃料と混合されて顧客に輸送される予定だった。

 ・従業員が大型貯蔵タンクから分配タンクにバイオ燃料を移送するためにバルブを開いたとき、大きな音(圧力波)がしたため、従業員はバルブを閉じた。

 ・午後3時頃、過圧(過剰圧力)で分配タンクの蓋が吹き飛び、タンクの保温材などが路上に飛び散り、タンクの上部で小さな火災が発生した。

 ・タンク上部で小さな火が見えたので、従業員は消火器をつかんでタンク梯子を昇った。消火器を作動させ、消火を試みた。

 ・爆発・火災の要因は、過圧の圧力波によって加熱コイルが損傷し、内液のバイオ燃料が発火したとみられる。 

 ・従業員は消火に成功したと信じており、すぐに緊急電話番号に電話して消防署に事故を知らせた。

 ・消防署は、敷地内でタンク火災が発生しているとの通報を受け、発災現場に急行した。

 ・消防署は、タンクが再び燃えていると判断し、火災の消火活動を行ったほか、周囲の建物への延焼や損傷がないか確認した。消防隊は敷地内の消火栓の位置を把握し、給水を確保した。消防隊は直径2.5インチ(64mm)の消防ホースを使用し、タンクの側面に水を噴射して冷却した。

 ・火災の要因は、貯蔵されているバイオ燃料からの利用可能なベーパーを発火温度まで引き上げた分配タンク内の損傷した加熱コイルだとみられた。

 ・火災発生区域において他に発火源となるものは発見できなかった。発火源は、システム内の損傷した加熱コイルである可能性が高いと判断された。

 ・最初に発火した燃料は、分配タンクに貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーと判明した。

 ・これらが同時に発生した状況としては、システム内の過圧事象によって加熱コイルが損傷し、タンクに貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーが発火温度に達したとみられる。

 ・火災発生時の気象状況を観察した結果、この火災に天候は影響していないと判断された。

補 足

■「ロードアイランド州」(Rhode Island)、米国東北部のニューイングランド地方にあり、人口約110万人の州である。

「プロビデンス」(Providence)はロードアイランド州北部のナラガンセット湾の湾奥に位置する南東にあり、人口約19万人である。プロビデンスは、州都であり、港湾都市・学術都市であり、州全土がプロビデンス大都市圏である。広域的には、プロビデンス大都市圏はボストンの広域都市圏に含まれているため、ロードアイランド州全土がボストンの広域都市圏に含まれている。

■「グローバル・パートナーズ社」(Global Partners)は、1933年にトラック1台による暖房用オイル販売会社として設立され、現在では、 2018年のフォーチュン500361位にランクされている米国のエネルギー供給会社である。事業は石油製品の輸入と北米での販売に重点を置いており、原油、ディーゼル油、ガソリン、暖房用油、灯油などの製品を卸売している。

■「発災タンク」は、貯蔵容量20,000ガロン(75.8KL)の立型円筒タンクである。発災時、タンク内には3,000ガロン(11KL)が入っていたと報じられている。グーグルマップで調べると、直径約4.0mであり、貯蔵容量から高さは約6.0mとなるとみられたが、調査記録によると、直径約3.6×高さ約12mの保温材付きだった。この仕様によると、容量は122KLとなる。貯蔵容量20,000ガロン(75.8KL)とに差異があり、使用するタンク液位を制限していたか、数値の違いかは分からない。発災時の液面は1.1m(前回試算では0.9m)となる。いずれにしてもタンク底に近い液位だったとみられる。

■ 発災した油はコーン油(とうもろこし油)そのものではなく、とうもろこしを原料としたバイオマス燃料である。ロードアイランド州は持続可能なエネルギーの実践を支援するために暖房用オイルに10%のバイオ燃料の混合を義務付けているという。今回のバイオ燃料の製造方法はわからないが、米国では、食品や飼料用のコーン(とうもろこし)を原料としたバイオマス燃料があり、バイオエタノール(ガソリンの代替になる軽質の油)を製造するものもあるという。

所 感 (前 回)

■ 事故原因は分かっていない。しかし、発災はタンクの屋根部を噴き飛ばすほどの爆発が起こっている。従って、タンク内部に軽質ガスがあったとみられる。廃油などを用いたバイオディーゼル燃料であれば、爆発を生じるほどの軽質分は無いと思われ、米国で通常採用されている食品や飼料用コーン(とうもろこし)から生産するバイオエタノール用ではなかっただろうか。発災時のタンク液面は満杯時の6.0mと比べると0.9mとかなり低く、タンク液を移送していたものと思われる。このため、タンク内には外気から空気が入り、爆発混合気が形成したのではないだろうか。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、泡消火剤を用いた積極的戦略がとられている。この消火作業には、はしご車が用いられており、タンク上部から泡消火剤を放射した効果があったものと思われる。発災のあったプロビデンスは人口約19万人であるが、近隣の町からも相互援助の消防隊が参画しており、人材や消防資機材の観点から適切な組織化が行われていたことがうかがえる。

所 感 (今 回)

■ 事故原因は、「分配タンク内の加熱コイルの損傷が、貯蔵されていたバイオ燃料のベーパーを発火温度まで加熱したこととみられる」という。発災時のタンク液面は満杯時の7.4mと比べると1.1mとかなり低く、タンク内に外気から空気が入り、爆発混合気が形成したと思われる。

 ただし、「大型貯蔵タンクから分配タンクにバイオ燃料を移送するためにバルブを開いたとき、大きな音(圧力波)がしたため、バルブを閉じた。バルブを閉じた後、過圧(過剰圧力)で分配タンクの蓋が吹き飛び、タンクの保温材などが路上に飛び散り、タンクの上部で小さな火災が発生した」という状況が従業員の証言に基づくもので、バイオ燃料ベーパーの発火・爆発との関係が曖昧ですっきりしない。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、泡消火剤を用いた積極的戦略がとられている。従業員は消火器で消火したと証言しているが、消防署はタンクが再び燃えていると判断し、火災の消火活動を行ったという。その際に、給水を確保し、直径2.5インチ(64mm)の消防ホースでタンクの側面に水を噴射して冷却したとあり、泡消火剤を使った消火活動は短時間だったと思う。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Youtube.com,   Corn oil storage tank catches fire in Providence,  December 27, 2024

    Wpri.com, Corn oil storage tank catches fire in Providence,  December 27, 2024

    Providencejournal.com, Large tank fire in Providence has fire departments from around the state responding,  December 26, 2024

    Golocalprov.com, Corn Oil Tank Catches Fire in Providence - Latest Fire Off Allens Avenue,  December 26, 2024

    Firehouse.com, Corn Oil Storage Tank Catches Fire in Providence, RI,  December 27, 2024

    B101.iheart.com, Providence Oil Tank Fire,  December 27, 2024

   Steveahlquist.substack.com, Few answers for the public regarding the biofuel tank explosion in ProvPort,   February 27, 2025


後 記: ロードアイランド州のコーン油タンクの爆発事例は202412月に発生しており、今回の原因調査結果は1か月後の20251月に報じられていました。こんなに早く出るとは思っておらず、最近になって情報を知りました。ロードアイランド州では事例を今後に活かすことに積極的なのかも知れません。ところで、今回の調査記録によって前回のブログから変わったのは、燃焼物をコーン油からコーンを原料としたバイオ燃料としたことです。現地の事業所では意識的に食用の油という安全(?)な印象のあるコーン油という言葉を使ったようです。少し違和感がありましたが、コーン油という日本ではめずらしかったので、ブログでも“コーン油” を前面に出しました。しかし、ちょっと誤解を生みやすい表現でしたね。

0 件のコメント:

コメントを投稿