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2025年12月12日金曜日

米国オクラホマ州の石油生産関連の施設でタンク設備が爆発・火災

 今回は、20251113日(木)、米国オクラホマ州オクラホマ・シティにある石油生産関連の施設内の塩水処理施設とみられるタンク設備が爆発・火災を起こした事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国オクラホマ州(Oklahoma)オクラホマ・シティ(Oklahoma City)ムスタング(Mustang)にあるバリダス・エナジー社(Validus Energy)の石油生産関連の施設である。

■ 事故があったのは、サウスウェスト89番通り(Southwest 89th Street)とサウス・シマロン・ロード(South Cimarron Road)交差点付近にある石油生産関連の施設内の塩水処理施設とみられるタンク設備である。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 20251113日(木)午後3時頃、施設内のタンク1基が爆発し、火災となった。爆発で円筒型タンクの屋根が噴き飛んだ。

■ 住民のひとりは、「私は1マイル(1.6km)ほど離れたところにいて停電になり、大きな音が聞こえました。それは家が爆発したように感じました」と語っている。

■ 発災にともない、消防署の消防隊が出動した。

■ 発災時、現場には誰もいなかった。

■ 出動した消防隊は泡消火活動を行い、消火にあたった。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。

■ 火災の原因は現時点では不明である。

■ ユーチューブには、石油生産関連の施設の火災を伝えるニュース動画が投稿されている。

 Youtube.comOklahoma City fire crews responding to tank battery fire2025/11/14

 ●Youtube.comFire crews battle tank battery explosion and fire2025/11/16

被 害

■ タンク1基が損壊した。内部の油が焼失した。

■ 負傷者はいなかった。

< 事故の原因 >

■ 火災の原因は不明である。

< 対 応 >

■ 消防隊の消火活動によって火災は鎮火した。

■ 出動したオクラホマ・シティ消防署は、ソーシャルネットワーク(SNS)にタンク火災の事故の写真を投稿した。

補 足

■「オクラホマ州」(Oklahoma)は、米国の中部にあり、人口約409万人の州である。

「オクラホマ・シティ」(Oklahoma City)は、オクラホマ州中央部に位置し、同州最大の都市で、人口約65万人である。

■「バリダス・エナジー社」(Validus Energy)は、コロラド州デンバーに拠点を置き、石油・ガス上流部門の開発を行っている探鉱・生産会社である。主にオクラホマ・シティ近郊で石油開発を行っている。

■ 発災施設はタンク・バッテリーと報じられているが、被災写真などからこのブログでは「石油生産関連の施設内の塩水処理施設」とした。「塩水処理施設」は、天然ガス井の生産で付随してきた塩水をタンクローリー車などで集積して、油水分離し、水(塩水)はポンプで地下に戻すプロセスである。一般的な塩水処理施設のプロセスフローの例は図のとおりである。塩水処理施設は、過去からタンク火災が発生しており、最近でも同じオクラホマ州で起こった「米国オクラホマ州の塩水処理施設で落雷によるタンク火災」(20255月)の事例がある。

■「発災タンク」は塩水処理施設内の円筒タンクである。一般的に塩水タンク群はFRP製が使用されるが、この施設では鋼製が使用されていると思われ、発災タンクは鋼製の屋根が噴き飛んでいる。グーグルマップで発災タンクを調べると、直径は約3.5mで、高さを6.0mと仮定すれば、容量は57KLとなる。

所 感

■ 火災原因は不明と報じられている。塩水処理施設内の円筒タンクは火災が多い。考えてみれば、タンクは塩水の中に付随している油(天然ガス)を分離しているが、このプロセスには安全設備がなく、爆発・火災のリスクは高い。おそらく、同伴してくる油の質は重質だというのが前提であろう。しかし、実際には軽質分が混じってきて爆発混合気を形成しやすい。ここに着火源(静電気や落雷など)があれば、容易に爆発や火災が起こる。このようなリスクを抱えながら、米国では陸上の原油や天然ガスを生産し、繁栄しているのだろうと思ってしまう。

■ 消火戦略には積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、報じられているところによれば、泡消火の積極的戦略をとっている。FRP製タンクを使用している塩水処理施設では、不介入戦略をとるが、鋼製のタンク群でタンク屋根が噴き飛んでいるので、積極的戦略をとっている。火災写真では、かなり激しく燃え、黒煙が噴き出しているが、泡消火の形跡はないように見える。おそらく、油量は多くなく、火災時間は短かったのではないだろうか。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     News9.com, Authorities respond to Mustang tank battery fire,  November 13,  2025

     Facebook.com, Oklahoma City Fire Department,  November 14,  2025

     Youtube.com,  Oklahoma City fire crews responding to tank battery fire, November 14,  2025 

  ・Youtube.com, Fire crews battle tank battery explosion and fire, November 14, 2025


後 記: タンクバッテリーの火災ということで、調べることとしました。しかし、被災写真がバラバラで中にはフェーク写真があるのではないかと思ってしまうような事例でした。発災場所も違っているのではないかと思いました。断片的な情報をつないでいくと、事故状況がだんだん分ってきました。これまでの事故と同様、オクラホマ州のタンク火災の情報は疲れますが、従来よりもまとまったブログになりました。

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