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2016年3月7日月曜日

原油貯蔵施設におけるリスクベース手法による火災防護戦略

 今回は、 International Fire Protection Magazine(IFP)に掲載されたMarcelo D’Amico氏の「原油貯蔵施設のリスクベース防火戦略」(Risk Based Fire Protection Strategy in Crude Oil  Storage Facilities)を紹介します。
    タンク火災の輻射熱影響域の3次元(3D)解析の例 (図はIfpmag.mdmpublishing.comから引用)
< タンク火災の影響 >
■ 原油タンク火災が起こると、施設所有者と事業者にとって運転および経営上、難しい判断を迫られることになる。というのは、火災が進展してボイルオーバーへ至る可能性があるため、火災への防護と緊急対応をどうするかという問題があるからである。確かにタンク全面火災の発生頻度は極めて小さい(約9×10ー5/年)が、ボイルオーバーのもっている壊滅的な特性は、施設被害、人身災害、事業停止、環境破壊といった問題を引き起こすことになる。

■ 大規模タンク火災(直径82mガソリンタンク)において消防隊の消火活動によって成功を収めた事例もあるが、産業界では、この種のタンク火災によって大量の油を焼失し、死傷者を出すという事故をたくさん経験してきた。例えば、英国のバンスフィールド火災事故(2005年)、インドのジャイプール火災事故(2009年)、プエルトリコ火災事故(2009年)、シンガポール火災事故(2011年)、そして最近ではブラジルのサントス火災事故(2015年)などである。

< 原油タンク火災の防護対策の検討方法 >
■ 施設所有者と事業者が起こりうる原油タンク火災への対策を検討する場合、火災への防護と緊急対応に関するガイドラインはいくつかある。これらのガイドラインは、規範的な基準や規格の形でまとめられているもののほか、リスクベースの検討手法がある。

■ 規範的な基準や規格は、施設所有者と事業者に役に立つ情報を提供することができるが、原油施設を防護する方法の検討過程で重要な現地特有の要因について考慮されているわけではない。この要因に含まれるものは、構内のリスク(例えば、専有建物、ほかのプロセスなど)や構外のリスク(例えば、隣接施設、地域社会など)、設置場所、対社会関係、経済的損失、会社のリスク耐力、環境への影響などである。さらに重要なことに、 規範的な基準は一般によく知られている重大な要素について言及していない。この重大な要素とは原油貯蔵施設の防護戦略に不可欠なもので、例えば全面火災から放射される輻射熱のレベル(隣接タンク、建物、プロセス装置への影響)、地元の緊急対応能力と限界、ボイルオーバーの発生時間などである。

■ 規範的な基準と規格は原油貯蔵施設に対する包括的な防護戦略に関する記載が不足しているという点からすると、最も良い方法はリスクベース手法あるいはパフォーマンスベース手法である。

■ 原油貯蔵施設を防護するベストの戦略を検討するに当たっては、つぎのような3つの基本的な選択肢がある。
 ① 消極的防護: 消火活動は行わず、貯蔵されている燃料油はいかなる介入もせずに燃え尽きさせる。
 ② 防御的防護: 火災に曝露されている設備(例えばタンク、プロセス装置、構造物など)に対して冷却を行い、火災の拡大を防ぎ、発災タンクを燃え尽きさせる。
 ③ 積極的防護: 固定消火設備や可搬式消火設備によって、攻撃的に火災の消火を試みる。
                    固定式泡消火設備の例  (写真はIfpmag.mdmpublishing.comから引用)
< ボイルオーバーの危険性 >
■ 火災の拡大やボイルオーバーの起こる恐れがある場合、タンク火災を燃え尽きさせることは許容される選択肢ではない。特に、人への被害や他の設備への拡大が考えられる場所では、許容できない。ボイルオーバー現象は、一般に十分解明されているとはいえない火災科学分野のひとつである。ボイルオーバーに至るメカニズムについては仮説が立てられ、徐々に分かってきているが、ボイルオーバーのすべての事象が十分に解明されてはいない。

■ 最も危険な状況になるのは、タンク内で油より比重の大きい層で生じる蒸発によって燃えている原油が噴き出されるときである。この層は油より比重が大きいが、沸点が油より小さい液体で、一般的には水である。この層は、通常、タンク内に存在する水から形成される。この水は、結露効果、原油の生産や輸送時の混入、あるいは原油中に含有される成分の一部として形成されるものである。比重が大きいため、水はタンクの底部に滞留し、工業的な方法では完全に除去することができない。火災の間に、油面下の液は加熱されて水の沸点を超えるような高温になる。この高温層は軽質分が燃えたあと、沈降し始める。この高温層が水の層に達すると、水は蒸発し始める。水から水蒸気に変化すると、急激な体積膨張が起こり、油がタンクから放出される。
 原油タンクの全面火災時にタンクから油の放出される形態は、図に示すように3つに分類される。「スロップオーバー」(Slop over)は、タンクの片方から油が断続的に泡立つようにこぼれる現象で、消火活動の放水によって起こるものとみられる。「フロスオーバー」(Froth over)は、激しさを伴わずに燃えている油が連続的に泡立つように流れ出る現象で、密度の違う油をタンクに充填する時に起こることのある、いわゆる「ロールオーバー」(Roll over)と関連することがある。
                     激化した火災の例   (図はIfpmag.mdmpublishing.comから引用)
■ 火災が進展したときに、最も危険な形態が「ボイルオーバー」である。ボイルオーバー時には、激しく油が放出し、タンク内液のすべてが泡立ち、火炎が大きく舞い上がり、ファイアボールが生じることになる。激しい輻射熱と流出する油によって、まわりのプラントと消防隊員は極めて危険な状態に陥る。ボイルオーバーが起これば、タンク直径の10倍の距離(深く研究された訳ではないが)まで液を放出し、他のところで火が出たり、緊急対応しているメンバーが危険にさらされる恐れがある。このように、あっという間に制御できない壊滅的な状況に進展してしまうので、ボイルオーバーに至ることは避けるべきであるし、少なくとも被害を最小に留めなければならない。

■ ボイルオーバーへ至るメカニズムは十分解明されていないが、ボイルオーバーがどのようにして、いつ起こるかという点については、いろいろな条件が影響しているということだけは言える。消火水のわずかな量を入れただけでも、すぐにボイルオーバーの原因になることもある。ポンプダウンがボイルオーバーの条件に影響するかもわからない。温度など多くの要素がボイルオーバーの要因になっている。ヒートウェーブは約1~3フィート/時(30~90cm/h)でタンク内を下がっていくといわれており、油の深さによっては4~5時間程度の短い時間でボイルオーバーが起こりうる。

■ 貯蔵タンク火災の消火には、多くの適切な資機材(水、泡、放射装置など)、十分練られた事前準備計画、よく訓練の行き届いた消防隊や緊急対応メンバーなど総合力を必要とする難しい活動である。

< 輻射熱解析(放射熱解析) >
■ タンク全面火災の及ぼしうる影響を完全に理解するには、第一ステップとして施設の輻射熱解析を行うことである。輻射熱解析では、タンク全面火災からの輻射熱を算定し、周辺にあるタンク・設備・建物・構造物への影響を考察する。この解析は、標準的に、2D (2次元)フォーマットと3D(3次元)フォーマットの両方の実施が可能である。2Dフォーマットでは、経験的なデータを使用するが、風向・風速や障害物のような環境データは考慮されない。3Dフォーマットでは、コンピュータによるファイア・モデリング・ツール、例えば、ファイア・ダイナミック・シミュレーター: Fire Dynamics Simulator(FDS)などを活用する。この場合、障害物はもちろん環境データも考慮される。

■ 輻射熱解析では、原油貯蔵タンクの危険輻射熱レベルの最大オフセット距離(すなわち、影響域)を決めることができる。この危険輻射熱レベルは、 防護濠にいる人間の最大曝露輻射熱が4.7kW/㎡である。隣接タンクの最大曝露輻射熱が12~19kW/㎡であり、熱流束にもよるが、このような状況時には13時間以内に冷却を要する。 19~35kW/㎡であれば、ただちに冷却を必要とする最大曝露輻射熱である。

■ 輻射熱解析結果は、隣接タンクや構造物などの曝露対策としての冷却水量だけでなく、発災タンクの消火のために必要な泡放射量を見積もるためにも用いることができる。
           輻射熱影響域の2次元(2D)解析の例  (図はIfpmag.mdmpublishing.comから引用)
< 防護対策の検討 >
■ 最悪ケースの必要な泡放射量が算出できれば、施設についていろいろな火災の防護システムの方法を選択できるようになる。工業的な標準システムはつぎのとおりである。
 ● 固定式泡消火設備: 泡消火薬剤原液タンク(ブラダ/ダイヤフラム式圧力タンクまたは常圧タンク)およびタンク頂部に設置した泡放出装置(例えば、フォームチャンバー、フォームポーラー)を使用する泡消火システム
 ● 半固定式泡消火設備: タンク頂部に設置した泡放出装置へ化学消防車など移動式装置で送り込む泡消火システム
 ● 移動式または可搬式泡放射装置: 大容量の泡モニターのような移動式または可搬式の装置でタンク上部越しに泡放射
 ● 複合型制圧システム: タンク中央部への泡放射を行うとともに、タンク壁沿いへの泡放出装置を使用する泡消火システム(通常、直径60m超の大型タンクに使用)

■ 原油貯蔵ターミナルの火災防護システムの設計は米国防火協会のNFPA11「Standard for Low-, Medium-, and High-Expansion Form」(低・中・高発泡泡消火設備の規格)の基準を適用して進められることが多いが、現地のレイアウト(輻射熱に関連)、ボイルオーバーの可能性、緊急事態対応の能力について十分に理解されていないままに行われている。リスクベースの防護対策は、現地特有の条件やハザード・モデルを考慮して行われる優れた進め方である。

■ 全面的なタンク火災には、火災と戦うための要員として100名以上の人たちが必要である。そして、このための活動や訓練は重要な課題である。タンクにおける火災では、火災に伴う特異な気象変化を生じ、特に熱による上昇気流は重要である。放射装置の正確な性能特性は、特に高い流量時や既製品の場合などにおいて把握されていないことがある。これらの技術的課題のほかに複雑な問題を含んでおり、適切なエンジニアリングをしっかりと実施した上でシステムをインストールする必要がある。このようにして意図した機能を発揮できるようにしていれば、システムは妥当な時間で実施できるようになる。

補 足
■ 最近のタンク火災事例が列記されているが、このブログで取り上げた事例はつぎのとおりである。

■ 輻射熱(放射熱)の曝露限界について記載されているが、日本では、「自衛防災組織等の防災活動の手引き」(危険物保安協会、2014年)の中で、「人体が単位時間に受ける輻射熱の許容限界として 2.3kW/㎥(2,000kcal/㎥・h)程度の値が用いられることが多い」としている。このほかの輻射熱の影響は表を参照。
              輻射熱の影響   (表はfdma.go.jp から引用)
■ 石油タンクの「固定式泡消火設備」の一般的な系統例を図に示す。「複合型制圧システム」(Hybrid Suppression System)は大型タンクを対象にし、タンク中央部への泡放射を行うとともに、タンク壁沿いへの泡放出を行う泡消火システムとあるので、例えば、ウィリアムズ・ファイア&ハザード・コントロール社のアムブッシュ(Ambush)のような泡消火設備と思われる。



                     固定式泡消火設備の系統の例 (図はkhk-syoubou.or.jp から引用)
                   複合型制圧システムの例  (写真はWilliamsFire.comの動画から引用)
所 感
■ 日本のように消防法などによってタンクの消火設備が細かく規定されているところでは、今回の資料は分かりづらい。まず法規制がなく、石油(原油)タンクに消火設備などが設置されていない前提で読んでみる必要がある。資料では、防護戦略として3つの選択肢があると述べられている。仮に砂漠の真ん中に石油タンクを設置する場合、消極的防護戦略(消火活動は行わず、油は燃え尽きさせる)の選択肢をとれば、消火設備などは備えず、建設費を低くすることができるということである。
 リスクベース手法は、対象案件に関連する重大なリスクを見える化し、どのように対応するかを検討する手法である。法規制は効果がある一方、法ではリスクについて言及しておらず、リスクが曖昧になる。この資料では、「規範的な基準や規格は、施設所有者と事業者に役に立つ情報を提供することができるが、原油施設を防護する方法の検討過程で重要な現地特有の要因について考慮されているわけではない」といい、基準や規格に書かれていないリスクを考える必要性を説いている。日本では、法による規則を満足していれば、それで良いという風潮(考え方)があるが、この点において興味深い指摘である。

■ 原油タンクでは、ボイルオーバーという大きなリスクがあり、タンク火災を燃え尽きさせる選択肢を許容できないので、積極的防護戦略を行うことになる。そこで Fire Dynamics Simulator(FDS)などの輻射熱解析を活用して防護対策(消火設備)の検討を勧めている。この点は重要なことである。例えば、以前の法であれば、三点セットといわれる大型化学消防車などを配備すれば、万一のタンク全面火災に対応できるとされていた。しかし、実際の火災では制圧できなかった。リスクが明確にされていなかったからである。現在は大容量泡放射砲システムの導入が法制化され、一見、問題は無くなったようにみえる。確かに直径82m(高さ約10m)のガソリンタンクの火災を消火できた実績はある。しかし、直径100mの原油タンクの火災を大容量泡放射砲システムで本当に消火できるのであろうか。テロ攻撃のように堤内火災を伴うタンク火災に対応できるのであろうか。この資料を読むと、基本に立ち返って、リスクの本性や防護戦略を考える必要性を問われているように感じる。


備考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・ Ifpmag.mdmpublishing.com ,  「 Risk Based Fire Protection Strategy in Crude Oil  Storage Facilities 」, International Fire Protection Magazine(IFP), By Marcelo D’Amico, December 15, 2015



後 記: 面白い資料でした。原題は「原油貯蔵施設のリスクベース防火戦略」(Risk Based Fire Protection Strategy in Crude Oil  Storage Facilities)ですが、日本語ではなじみのない用語が続き、わかりづらいので、少し長めですが、「原油貯蔵施設におけるリスクベース手法による火災防護戦略」としました。また、原文の標題写真は英国バンスフィールド火災事故で、原油と関係なく、しっくりこないので、カットし、資料途中に出てくる輻射熱解析の3Dの図にしました。
 なじみのない用語が出てきても、前後関係で推測がつくことがあります。しかし、ボイルオーバーの説明時に出てくる「ポンプダウン」(Pump-down)の用語は単発で出てきて、説明がないので、悩んだ言葉のひとつです。調べてもはっきりしませんので、そのままカタカナにしておきました。(おそらく、油移送のことだと思いますが)

2016年2月26日金曜日

インドで石油タンクに迫撃砲によるテロ攻撃(2003年)

 今回は、2003年3月7日、インドのアッサム州ティンスキアにあるインディアン・オイル社ディグボイ製油所で、ガソリン貯蔵タンクがテロ攻撃を受け、迫撃砲によって火災となった事例を紹介します。
   火災になったガソリン用タンクNo.559には、側板に大きな穴がみられる。   写真TheHindu.comから引用)
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、インドのアッサム州(Assam)ティンスキア(Tinsukia)にあるインディアン・オイル社(Indian Oil Corp.)ディグボイ製油所である。ディグボイ製油所は1901年にインドで最初に建設された製油所で、現在操業している製油所では、世界最古の部類に入るといわれている。

■ 発災があったのは、タンク地区にある燃料を貯蔵するタンク13基のうちの1基である。タンク地区にはおよそ25,000KLの油が貯蔵されていた。発災タンクは容量5,000KLの内部浮き屋根式タンクNo.559で、当時タンク内には約4,500KLのガソリンが入っていた。
インドのアッサム州にあるインディアン・オイル社ディグボイ製油所付近 
(写真はグーグルマップから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2003年3月7日(金)午後11時45分、ガソリンを貯蔵していたタンクNo.559で火災が起こった。タンク火災はアッサム統一解放戦線(United Liberation Front of Assam: ULFA)が迫撃砲による攻撃を行ったためである。迫撃砲はタンクから約200m離れたところで発射されたとみられる。

■ 火災の炎は一時100m以上の高さに舞い上がり、夜空を照らした。その後も高さ10mの炎を上げて燃え続けた。この火災に伴い、周辺地区の住民約3,000人が避難した。
■ 火災に伴い、消防隊が出動し、泡放射を始めたが、消火用資機材が不足したため、中断した。そして、近くにある12基のタンクへの火災拡大を回避するため、隣接タンクの冷却に注力した。

■ 3月10日(月)朝、消火用資機材が揃ったので、再び泡放射を開始し、昼過ぎに火災は鎮火した。火災後にタンクに残った油は深さ1mほどだった。   

被 害
■ 内部浮き屋根式タンク1基が火災により損傷した。 この火災によって約4,500KL入っていたタンク内のガソリンは、深さ約1m分を残して焼失した。インディアン・オイル社によると、概算損害額は1億ルピー(2.5億円)と推定された。
■ この火災による死傷者は出なかったが、地域住民約3,000人が避難をした。 

< 事故の原因 >
■ 迫撃砲の被弾によってタンク内で2箇所が破壊され、火災になったとみられる。事故原因の分類としてはテロ攻撃による「故意の過失」に該当する。  

■ 石油タンクへの攻撃の背景: 1979年、インドのアッサム州の分離独立を目指して「アッサム統一解放戦線」(United Liberation Front of Assam: ULFA)が設立された。組織的には政治部門と軍事部門があり、軍事部門は武装闘争を経て目的を達しようとし、各地でテロ攻撃を繰り返している。2003年3月7日には、製油所の石油タンクのほか、警察の交番、パイプラインなどがテロ攻撃を受け、2名の死者、6名の負傷者が出た。インド政府はテロ組織に指定して掃討作戦を展開し、組織は小さくなっているが、現在もバングラデシュ、ブータン、ミャンマーとインドとの国境地域に拠点を有しているとされる。

< 対 応 >
■ テロ攻撃後、州全体に警戒警報が発令された。

■ 発災に伴い70名の消防隊員が出動し、初動で泡放射を行ったが、資機材が不足したため、中断した。消防隊は、火災拡大を回避するため、隣接する6基のタンクの冷却作業に奮闘した。

■ 発災から56時間を経過した3月10日(月)の午前8時45分、消火用資機材が揃ったので、再び泡放射を開始した。泡消防車8台、泡投入装置6台、3,750L/min (1,000gpm)級モニター3台が火災に対して一斉放射された。 タンク火災はおよそ3時間半後の午前12時45分、鎮火した。
■ 使用された泡薬剤は、3%水成膜泡(AFFF)および3%フッ素たん白泡(FP)で、泡放射活動時の4時間で消費された量は合計65,000リットル(65KL)だった。
■ インディアン・オイル社は一時的に製油所の操業を中断したと言われていたが、3月8日(土)、製油所の精製装置は火災タンクの場所と離れており、安全が確保できるので、操業を続けていると発表した。

補 足
■ 「インド」(India)は、南アジアに位置し、インド亜大陸を領有する連邦共和制国家である。1947年に独立し、インダス文明に遡る古い歴史を持つ国で、約13億人と世界第二位の人口を持つ。首都はムンバイである。
 「アッサム州」(Assam)は、インド北東部にある人口約2,600万人の州で、北東インドの中核となっている。
 「ディグボイ」(Digboi)は、アッサム州の北東に位置するティンスキア(Tinsukia)地区の人口約20,000人の町である。ディグボイは、19世紀後半にアジアで最初に原油が発見されたことで知られている。1901年には製油所が建設され、操業を始めている。
         インド北東部のアッサム州まわりの国々  (写真はグーグルマップから引用)  
      迫撃砲の例  (写真はSeesaawiki.jp から引用)
■ 「迫撃砲」(はくげきほう:Mortar)は、弾体と発射薬が一体化された砲弾を簡易な構造で発射できる火砲である。迫撃砲で使用される砲弾は榴弾(りゅうだん)のほか、発煙弾、照明弾、焼夷弾などがある。迫撃砲は砲弾を砲身内に落とし込むだけで発射ができ、少人数での携行が可能で、操作も簡単である。射撃時の反動を地面に吸収させ、機構を簡素化させているため、射角は高くとり、砲弾は大きな湾曲の弾道を描く。 このため、命中精度が低く、射程は長くないが、軽量で大きな破壊力をもち、速射性に優れた火砲である。口径60mmクラスの軽量迫撃砲で射程距離は約3,000mである。持続射撃において毎分10発前後を発射でき、着弾時の角度は垂直に近くなる。
 当該事例の使用武器が「迫撃砲」であれば、内部浮き屋根式タンクの外部屋根に速射で発射されたものとみるのが妥当であろう。このため、外部屋根および内部浮き屋根が損壊し、油面火災になったものと思われる。しかし、使用された武器は迫撃砲のほかにロケット砲あるいは擲弾(てきだん)という情報もある。標題の発災写真には側板に大きな穴が見られるので、ロケット砲や擲弾も使用された可能性はある。

■ 「発災タンク」の場所は、主要精製装置地区の構外にある公道を越えたタンク地区ではないかと思われる。グーグルマップによると、このタンク地区には貯蔵タンクが13基あり、まわりは木々に囲まれている。そのうち1基は供用されていないとみられる。このタンクに隣接するタンク数は6基になる。報道された情報と合う。これが発災タンクだとすれば、直径は約23mであり、容量5,000KLクラスとなる。(発災タンクの大きさを推定した情報には、直径50m×高さ15mというのがあるが、これは30,000KLクラスになる)
 この容量5,000KLタンクに4,500KLのガソリンが入っていたとすれば、液面の高さは10mである。ガソリンの全面火災時の燃焼速度を30cm/hと仮定すれば、燃え尽きる時間は約33時間となる。実際には深さ1mを残して鎮火するまで約60時間かかっており、燃焼速度は15cm/hとなる。おそらく、内部浮き屋根の沈降によって「障害物あり全面火災」の状況ではなかったと思われる。 
ディグボイ製油所精製装置の構外にあるタンク地区付近(現在)
               (右下端のタンクは供用されていないようにみえる)    (写真はグーグルマップから引用)
所 感
■ この事故は、石油タンクがテロ攻撃の標的になったものの中では、発災状況と消火活動内容が比較的明らかな事例である。それでも、タンク直径(液の表面積)がはっきりしないので、泡放射量(L/min・㎡)が推測できない。56時間燃え続けたのち、消火資機材が揃ったのを機に消火活動を再開し、3時間半の時間をかけて消火しているが、残りの油面が深さ1m程度であり、ほとんど燃え尽きる状況だったと思われる。
 消火泡投入後、火勢が急激に衰える時間を「ノックダウン時間」というが、通常、ノックダウン時間は10~30分である。すなわち、泡放射開始から10~30分で火勢が衰えなければ、火災の鎮圧はむずかしく、泡放射モニターの増強や配置を見直すべきである。さもなければ、泡消火薬剤を無駄に消費させることになる。今回の事例が現場でこのような再検討が行われたかどうかは分からない。

■ このブログで紹介した世界のテロ攻撃はつぎのとおりで、規模がエスカレートしている。
  

備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Sp.se, Tank Fires   Review of fire incidents 1951-2003,  SP Swedish National Test and Research  Institute,
  ・Rediff.com,  ULFA Terrorists on Rampage in Assam,  March  08, 2003
  ・TheHindu.com, Blaze in Digboi Refinery as ULFA Attacks Oil Installations,  March  09, 2003  
  ・Tribuneindia.com, ULFA Ultras Bomb Digboi Refinery,  March  09, 2003


後 記: 今回のタンク事故情報は「Tank Fires」という資料で知りました。過去のテロ攻撃事例として紹介しようと、内容を見直し、フランス環境省のARIA(事故の分析・研究・情報)の記載項目に沿ってまとめ直しました。当時はグーグルマップを知りませんでしたが、今回、ディグボイ製油所付近の地図を見ていくと、報道記事に合うタンク地区のあることが分かりました。「補足」で述べたように発災タンクと思われるのですが、立証できませんので、断定は避けました。
 最近は事件があると、テレビニュースの中で現場の地図が紹介されますが、Googleの文字が添付されており、グーグルマップから引用したことが分かります。このブログでも必ずグーグルマップで確認することにしています。文字情報では分からない状況や雰囲気を感じることができます。グーグルマップで世界旅行をしているようなもので、便利な世の中です。

2016年2月20日土曜日

メキシコで内部浮き屋根式タンクに落雷して火災(2006年)

 今回は、石油貯蔵タンク基地などで起った火災事故の消防対応の業務などを行う会社として有名なウィリアムズ・ファイア&ハザード・コントロール社が公開しているCode Red Archivesの中から、 2006年6月28日、メキシコのベラクルス州のペメックス社系列の製油所にある内部浮き屋根式タンクに落雷があり、全面火災となり、この消火活動にウィリアムズ社が応援で出動した事例を紹介します。
古い施設で輻輳した設備地区、火災を受けたときのタンク構造への影響、発災タンク場所の高低、風の条件、 火炎の挙動や特性などの要因によって対応が難しくなったタンク火災   (写真はWiliamsfire.comから引用)
< 事故の発生 >
■ 2006年6月28日、メキシコのベラクルス州ミナティトラン市を熱帯低気圧が通過中、メキシコ国営石油ペメックス社(Pemex)の系列製油所の古い地区にあるタンクに落雷があり、火災が発生した。発災のあったのは87オクタン・ガソリン用の直径134フィート(37m)×高さ40フィート(12m)の内部浮き屋根式タンクで、まわりには多くの設備が並んでいた。火災が起ったとき、タンクには貯蔵能力の半分ほどの55,000バレル(8,700KL)が入っていた。
キシコのベラクルス州ミナティトラン市にある製油所付近(現在)  (写真はグーグルマップから引用) 
■ 火災発生から9時間後、ウィリアムズ・ファイア&ハザード・コントロール社(Williams Fire & Hazard Control)アメリカ地域担当のフィリップ・ハンハウゼン代理人に発災事業所からの連絡があり、相談とともに現地への支援が可能か聞かれた。ハンハウゼン氏は、施設で保有している泡薬剤をはしご車を使用して“ハイアード・ガン”(Hired Gun)で放射し、 それに放射能力2,000gpm(7,500リットル/分)泡モニターの“パトリオットⅡ” (Patriot II)と泡混合設定装置の“ホットショット・フォーム・システム” (HotShot Foam System )を使って“フットプリント” 法による泡放射方法を確立するのが良いと助言した。

落雷によって貯蔵タンクが火災となり、明るく照らされた夜空
(写真はWilliamsfire.comから引用)  
■ 事業所の消防隊は、当該地域にある系列事業所の消防隊とともに、徹夜で消防活動を行っていた。火災は完全な全面火災になっており、発災初期のすさまじさと火災そのものの大きさに直面しながらも、合同消防隊は火炎に向かって大量の水と泡による攻撃を行い、消火に努めた。午前中までの消防隊の初動活動によって、何回か火災を制圧できそうな状況までいったが、再燃してしまい、この間に泡薬剤は減少していった。

■ この時点で、ハンハウゼン氏は現場での指揮支援の対応と泡薬剤の手配を要請された。ハンハウゼン氏には、泡薬剤の調達先がいくつかあった。ウィリアムズ社テキサス施設にはすぐ出せる泡薬剤があったし、メキシコ国営石油ペメックス社の系列事業所は現場に泡薬剤を置いていた。また、泡薬剤メーカーのアンサル社(ANSUL Inc.)はメキシコにある地方倉庫から泡薬剤3,000ガロン(11.3KL)をすぐに出荷することが可能だった。

■  ハンハウゼン氏が到着した時点で、保有していた泡薬剤がほとんど使い果たされ、消防活動は隣接設備の曝露対策と冷却作業に縮小され、消火活動を継続するためにはかなりの増援が必要な状況だった。ハンハウゼン氏は現場に着くと、多糖類添加耐アルコール泡(AR-AFFF)の“サンダーストーム”(Thunderstorm)を少なくとも3,000ガロン(11.3KL)を手配するとともに、できれば当該周辺地域からすぐに現場へ持って来れる泡薬剤を要請した。

■ 泡薬剤が来るまでの間に、ハンハウゼン氏が最初に行ったことは火災現場を自分の眼で見て評価することだった。ハンハウゼン氏が現場を観察して気になったことは泡攻撃の場所だった。その時点では確かに風上だったが、防油堤のレベルからおよそ15フィート(4.5m)下であり、まわりにはいろいろな設備が輻輳しているエリアだった。また、タンク堤内の水位が高く、堤壁の割れがかなり気になる点だった。もし、タンクが壊れて油流出が起これば、防油堤が飲み込まれ、周辺エリアに油が漏洩し、泡攻撃している場所も堤内火災に至る恐れも考えられた。ハンハウゼン氏は、単に眼の前で起こっている火災だけでなく、火災自体がどのような経緯をたどる可能性があるかということにも気を配った。

< 消火活動で成功を勝ち取る秘訣 >
■ ハンハウゼン氏はドワイト・ウィリアムズ氏に連絡をとり、現場の観察結果を報告し、印象を聞いた。ドワイト氏は火災を読む不思議な能力がある。彼は、あなたが根気よく火災の挙動を観察することができれば、敵の強みと弱みをつかみ、打ち破るための最適な方法を見出すことができるだろうといった。確かに、眼前で事故に直面している最中に、このような才覚を発揮することは難しい。しかし、攻撃の先頭に立って、手元にある大切な資機材を的確に使いこなすことを求められたときには、この考え方を貫かねばならないという。

■ 火災は、まるで炎が全面火災の中で自由に動き回っているような状況を呈していた。実際、火災の激しい箇所は外周部に2つあり、ときどき噴射されて出てくるような炎の柱を立ちあげた。一方、火災の中心部はおとなしく、内部に障害物があるかのような状況を呈していた。

■ ウィリアムズ社のハンハウゼン・チームにとって運が良かったのは、ドワイト氏が2週間前に同じ状況に直面していたことである。それはオクラホマ州で起きた大きなガソリンタンクの火災で、内部浮き屋根が崩壊し、それに伴う残骸が障害物となっていた。このとき、最初に行った消火活動は、地上から見えない障害物のため、挑戦的な試みだった。ドワイト氏がオクラホマ州で指揮した作戦は「垂直泡攻撃」(Vertical Foam Attack)と称するもので、タンク中央部分にどっと浴びせる“シャワー・ダウン”で、敢然として燃えている全表面を泡で覆った。

■ ドワイト氏がとった作戦と同じように、ハンハウゼン・チームは手配した資機材を使って消火活動を展開した。はしご車から泡モニターを使った泡放射が行われ、地上からはハンハウゼン・チームが指揮する泡モニター“パトリオットⅡ” を使って支援した。ハンハウゼン・チームは“パトリオットⅡ” を使用して“フットプリント”法による泡で覆う方法を確立した。はしご車は高い位置から、死角になる部分に下向きに泡を放射した。火災状況の中で、2台の泡モニターの組合せによる消火活動は、劇的で極めて効果的な結果に導いた。およそ10分ほどで火災を消すことができ、初動で試みた泡攻撃に比較して泡の使用量は非常に少なかった。

■ この火災は非常に変わっていた。状況はタンク構造に直接関連するものであったが、火災自体が他に類を見ないような振る舞いをする火災になった。ハンハウゼン・チームが成功したのは、火災の挙動を根気よく観察し、状況に合った攻撃のやり方を見出したからである。

< ドワイト・ウィリアムズの言葉 >
■ 「この26年の間、ウィリアムズ社が成功した大きな理由は、要請された事故対応に際して火災の挙動に対する観察眼にある。そして、火災の特性に合った戦術を慎重に実施したからである。確かにできるだけ早く火の上に濡れた覆いを掛けたいというのが人間の本性であるが、これまでの経験によると、脅威の本質を見抜くのは意外に短い時間であり、それが的確で、効率的で、効果的な対応方法につながる」


補 足
■ 「メキシコ」(Mexico)は、正式にはメキシコ合衆国で、北アメリカ南部に位置する連邦共和制国家である。人口は約1億2,000万人で、首都はメキシコシティである。
 「ベラクルス州 」(Veracruz) は、メキシコ湾の西岸に位置する南北方向に細長い州で、人口約760万人である。気候は高温多湿で、内陸の丘陵地は多湿であるが、涼しい。6月から10月にかけてはカリブ海などで発生するサイクロンの影響を受ける。
 「ミナティトラン」(Minatitlan)は、ベラクルス州の南東部に位置し、人口約35万人の市である。ミナティトランにある製油所は1906年に建設されたラテンアメリカで最初の製油所である。2003年頃には24万バレル/日の精製能力だったが、現在は16~18万バレル/日程度である。
(図はグーグルマップから引用)
■  「ウィリアムズ・ファイア&ハザード・コントロール社」(Williams Fire & Hazard Control)は1980年に設立し、石油・化学工業、輸送業、軍事、自治体などにおける消防関係の資機材を設計・製造・販売する会社で、本部はテキサス州モーリスヴィルにある。ウィリアムズ社は、さらに、石油の陸上基地や海上基地などで起こった火災事故の消防対応の業務も行う会社である。
 ウィリアムズ社は、2010年8月に消防関係の会社であるケムガード社(Chemguard)の傘下に入ったが、2011年9月にセキュリティとファイア・プロテクション分野で世界的に事業展開している「タイコ社」(Tyco)がケムガード社と子会社のウィリアムズ社を買収し、その傘下に入った。
 ウィリアムズ社は、米国ルイジアナ州のオリオン火災(2001年)などのタンク火災消火の実績を有している。当該メキシコのタンク火災の2週間前にあったという事故は、2006年6月12日米国オクラホマ州グレンプールで起ったタンク火災である。当ブログにおいてウィリアムズ社関連の情報はつぎのとおりである。

■ ウィリアムズ社はウェブサイトを有しており、各種の情報を提供している。この中で「Code Red Archives」というサブサイトを設け、同社の経験した技術的な概要を情報として公開している。今回の資料はそのひとつである。

■ タンク全面火災時の「泡の打ち込み方法」の考え方は大きく二つに分かれる。一つは米国グループで、ウィリアムズ社を始めとする実火災の消火経験をベースにしたグループで、もう一つは、FORMSPEXプロジェクトによる泡消火の理論と実験をベースにした欧州グループである。
 ウィリアムズ社は泡の打ち込み方法として「フットプリント理論」を構築した。この「フットプリント理論」は、泡の放射流を油面の中で一つの区域に着水させ、部分的に大きな放射量を確保することによって、泡を急速で効率的に広がることを図るものである。泡放射は基本的にタンク中央付近へ打ち込む。
 一方、欧州グループは、タンク側板近傍端部への泡打ち込み方法をベースにした大容量の泡放射システムである。これは、タンク中央は火災による上昇気流があり、泡を打ち込みにくく、タンク側板近傍部に泡の“橋頭堡”(きょうとうほ)を形成すれば、消火できるという考えである。  
      フットプリントを示す図例             FORMSPEX プロジェクトによる実験の例
 写真はWilliamsfire.comから引用)                       写真Sp.seから引用) 
所 感
■ 今回の資料でウィリアムズ社の「フットプリント理論」の背景が理解できた。内部浮き屋根式タンクが全面火災になった場合の特徴かどうかわからないが、ウィリアムズ社のハンハウゼン氏は「火災は、まるで炎が全面火災の中で自由に動き回っているような状況を呈していた。実際、火災の激しい箇所は外周部に2つあり、ときどき噴射されて出てくるような炎の柱を立ちあげた。一方、火災の中心部はおとなしく、内部に障害物があるかのような状況を呈していた」という。ウィリアムズ・ドワイト氏がオクラホマ州で指揮した作戦は、「垂直泡攻撃」(Vertical Foam Attack)と称するタンク中央部分にどっと浴びせる“シャワー・ダウン”で、燃えている全表面を泡で覆ったという。火炎状況の弱いタンク油面付近に垂直泡攻撃を行うという戦術を「フットプリント理論」として理論構築したものと思われる。

■ 日本では、フットプリント理論ありきというか、ひとり歩きしているように思う。今回のメキシコでのタンク火災の消火成功についてウィリアムズ社のハンハウゼン氏は、「火災の挙動を根気よく観察し、状況に合った攻撃のやり方を見出したからである」と述べ、ドワイト・ウィリアムズ氏も同様に、「ウィリアムズ社が成功した大きな理由は、要請された事故対応に際して火災の挙動に対する観察眼にある。そして、火災の特性に合った戦術を慎重に実施したからである。確かにできるだけ早く火の上に濡れた覆いを掛けたいというのが人間の本性であるが、これまでの経験によると、脅威の本質を見抜くのは意外に短い時間であり、それが的確で、効率的で、効果的な対応方法につながる」と語っている。ウィリアムズ社では、何も考えず、フットプリント法を行うということではない。
 結局、当たり前の話であるが、火災の挙動をよく観察し、敵である火炎の弱点をつく対応方法(泡放射)をとるということが、基本だということが理解できた。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・Williamsfire.com,  「 Mexico Lights up!   Internal floating roof tank ignites from lightning strike , Feature , Edited by Brent Gaspard,   CODE RED ARCHIVES, Williams Fire & Hazard Control. Inc.


後 記: 今年になってタンク事故の情報は、リビアにおけるテロ攻撃によるタンク火災以外、入ってきません。本当にタンク事故がないとすれば、良いことです。このため、ウィリアムズ社の公開資料を続いて紹介しています。タンク火災対応の実体験の少ない日本では、貴重な経験談です。ウィリアムズ社が消火支援に出動した2006年のオクラホマ州グレンプールのタンク火災事故は当グログで紹介していましたが、今回のメキシコのタンク火災がオクラホマ州のタンク火災の2週間後の事故で、共通的で関連性のある事例だったことが分かりました。ひと月に2回もタンク全面火災の対応をしているのですから、大変なことだと感心するとともに、これだけの実体験を重ねているのですから勝てないなあ(今風にいうと“やばい”かな?)と実感しますね。